偽証の罪
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| 偽証の罪 | |
|---|---|
| 法律・条文 | 刑法169条-171条 |
| 保護法益 | 国家の審判作用の適正な運用 |
| 主体 | 法律により宣誓した証人、鑑定人、通訳人、翻訳人(真正身分犯) |
| 客体 | - |
| 実行行為 | 虚偽の陳述等 |
| 主観 | 故意犯 |
| 結果 | 挙動犯、抽象的危険犯 |
| 実行の着手 | 虚偽の陳述があったとき(事後宣誓の場合は、宣誓の開始があったとき) |
| 既遂時期 | 宣誓・陳述の全体が終了したとき |
| 法定刑 | 3月以上10年以下の懲役 |
| 未遂・予備 | なし |
| 日本の刑法 |
|---|
| 刑事法 |
| 刑法 |
| 刑法学 · 犯罪 · 刑罰 |
| 罪刑法定主義 |
| 犯罪論 |
| 構成要件 · 実行行為 · 不作為犯 |
| 間接正犯 · 未遂 · 既遂 · 中止犯 |
| 不能犯 · 相当因果関係 |
| 違法性 · 違法性阻却事由 |
| 正当行為 · 正当防衛 · 緊急避難 |
| 責任 · 責任主義 |
| 責任能力 · 心神喪失 · 心神耗弱 |
| 故意 · 故意犯 · 錯誤 |
| 過失 · 過失犯 |
| 期待可能性 |
| 誤想防衛 · 過剰防衛 |
| 共犯 · 正犯 · 共同正犯 |
| 共謀共同正犯 · 教唆犯 · 幇助犯 |
| 罪数 |
| 観念的競合 · 牽連犯 · 併合罪 |
| 刑罰論 |
| 死刑 · 懲役 · 禁錮 |
| 罰金 · 拘留 · 科料 · 没収 |
| 法定刑 · 処断刑 · 宣告刑 |
| 自首 · 酌量減軽 · 執行猶予 |
| 刑事訴訟法 · 刑事政策 |
偽証の罪(ぎしょうのつみ)とは、刑法の「第二十章 偽証の罪」に規定された犯罪類型で、169条の「偽証罪」と、171条の「虚偽鑑定等罪」の総称。国家的法益の罪に分類される。
目次 |
[編集] 概要
偽証罪は、法律により宣誓した証人が虚偽の陳述(供述)をすることを内容とし、虚偽鑑定等罪は、法律により宣誓した鑑定人、通訳人又は翻訳人が虚偽の鑑定、通訳又は翻訳をすることを内容とする犯罪である。いずれも真正身分犯とされ、「法律により宣誓した証人(鑑定人、通訳人、翻訳人)」という身分が構成要件となる。
[編集] 虚偽の陳述
「虚偽の陳述」については、陳述内容が客観的真実に合致しているかどうか(客観説)ではなく、自己の記憶に反した陳述であればこれにあたるとする(主観説)のが判例、通説である。主観説に立てば、虚偽告訴罪と異なり、自己の記憶に反した陳述をし、それがたまたま客観的事実に合致していても、罪に問われることになる。「虚偽の鑑定」等についても同様に解されている。
[編集] 偽証罪の成立
偽証罪が成立するためには、「自己の記憶に反した陳述」(故意)であることが立証されることが必要であり、「陳述内容が客観的真実に合致していない」(過失)だけでは偽証罪は成立しない。
また、偽証罪の対象は「法律により宣誓した証人」(法廷証言)に限られるため、書証として提出される陳述書の偽証(虚偽記載)は、もとから偽証罪の対象とはならない。
[編集] 法定刑
いずれの類型も、3月以上10年以下の懲役に処せられる(169条)。
[編集] 自白による刑の減免
偽証の罪には、自白による刑の減免規定がある。偽証の罪を犯した者が、その証言をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減刑し、又は免除することができる(170条)。
「自白」については、法的な自首にあたる場合に限定されないとされる。
[編集] 刑法以外の法律の偽証罪
- 国際刑事裁判所証人等偽証罪
- 国際刑事裁判所における手続に従って宣誓した証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が虚偽陳述をした場合は、3月以上10年以下の懲役に処せられる。
- アメリカ合衆国軍事裁判所証人等偽証罪
- アメリカ合衆国軍事裁判所の手続に従つて宣誓した証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が虚偽陳述をした場合は、3月以上10年以下の懲役に処せられる。
- 国会証人偽証罪
- 国会におけるいわゆる証人喚問された証人が虚偽陳述をした場合は、出席委員の3分の2以上の賛成による告発を経て、3月以上10年以下の懲役に処せられる。
- 地方議会証人偽証罪
- 地方議会のいわゆる百条委員会で喚問された証人が虚偽陳述をした場合は、議会による告発を経て、3月以上10年以下の懲役に処せられる。
- 労働委員会証人偽証罪
- 労働委員会が証人が虚偽陳述をした場合は、3月以上10年以下の懲役に処せられる。
- 公職選挙選挙人等偽証罪
- 公職選挙の選挙人その他の関係人が虚偽陳述をした場合は、3月以上5年以下の禁錮に処する。
[編集] 積極的適用
裁判員制度の開始に合わせて、検察は偽証罪の積極的な適用を進めている。プロの裁判官とは違って裁判員が嘘の証言を見破るのは容易ではなく、法廷での証言は真実という前提でなければ裁判員制度の根幹が揺らぎかねないからである。今まで、適用例が少なかったのは、偽証の多くは客観的な証拠が少なく、捜査に手間がかかる上、偽証があっても有罪判決が出れば問題にしないこともあったからだといわれる[1]。
一方で、2006年8月、強制わいせつの容疑で起訴された長男の公判で虚偽の証言をしたとして、さいたま市の夫婦が偽証容疑で逮捕されたが、夫婦は検事から「刑務所に送ってやる。獄中死しろ」、「人間のくずだ」などと暴言を吐かれ、結局、妻は無罪、夫は起訴猶予処分となった。夫婦は2009年8月7日、国を相手取って770万円の損害賠償を求める裁判を起こした。夫婦の弁護団は、検察が裁判員裁判に向けて偽証罪を積極的に摘発していること、検察と違う証言をすると逮捕される危険性をはらんでいることを指摘している[2]。
[編集] 脚注
- ^ 読売新聞社会部 『ドキュメント検察官…揺れ動く「正義」』 中央公論新社〈中公新書〉(原著2006年9月25日)、初版、pp. 175-176。ISBN 9784121018656。2009年7月19日閲覧。
- ^ “地検取り調べ『脅迫された』 偽証無罪女性らが提訴”. 東京新聞. (2009年8月8日)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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