常任理事国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国際連合安全保障理事会常任理事国(こくさいれんごうあんぜんほしょうりじかいじょうにんりじこく)、通称常任理事国(じょうにんりじこく)とは、国際連合安全保障理事会を構成する15の理事国のうち、任期が設定されていない、
の5ヶ国のことである[1]。なお、この5ヶ国を「5大国」または、"Permanent 5" から「P5」とも呼ぶ。
目次 |
[編集] 権限
常任理事国は、実質事項(非手続事項)について拒否権を有する。実質事項の審議において常任理事国が1ヶ国でも反対すれば提案は否決される(大国の反対により理事会決定の実効性が失われる事を防ぐ「大国一致の原則」)。
常任理事国の近隣諸国にとってみれば、常任理事国との紛争が発生した場合には、たとえ当該常任理事国の方に非がある事例においても、安全保障理事会の場において当該常任理事国の拒否権の発動により、当該常任理事国に対して有効な制裁手段が講じられない可能性もあり得るために、こうした国々にとって常任理事国がいつでも自国の安全保障に対する「潜在的脅威」になり得る点が問題となる。
[編集] 沿革
1945年の国際連合設立時には、アメリカ合衆国・イギリス・ソビエト連邦・中華民国・フランスの5ヶ国であった。しかし、1971年の中国の代表権問題で中華民国(台湾)が排除されて中華人民共和国が中国の国連代表権を得た事(アルバニア決議)により常任理事国の地位の移動が発生。1991年にも、ソビエト連邦の解体にともなって同国が持っていた国連代表権がロシアへ引き継がれた。
常任理事国はすなわち第二次世界大戦の戦勝国であるという認識がしばしばなされる。しかし第二次大戦の戦勝国は、連合国共同宣言に参加した国々であって、常任理事国以外にもインド、オーストラリア、オランダ、カナダ、キューバ、コスタリカ、チェコスロバキア、ドミニカ共和国、ニュージーランド、ベルギー、ポーランド、ノルウェーなど多数の国が含まれていることから、その認識は正しくないという見方がある。また、常任理事国のうちアメリカ合衆国・イギリス・ソビエト連邦が実質的な戦勝国であり、法的には戦勝国であっても米英によってドイツの占領状態から解放されたフランスや日本軍を駆逐できなかった中華民国が、ドイツや日本に直接攻撃を加えて勝利したというわけではないとの指摘もある。もっとも、これに対しては、連合軍反攻に加わったシャルル・ド・ゴールの自由フランス亡命政権、中華民国がポツダム宣言に名を連ねたことを根拠とする反論もある。
[編集] 常任理事国改革
詳細は「常任理事国改革」を参照
現在、国際連合は安全保障理事会の改革を求められており、その改革案の中には常任理事国の拡大案もある。日本・ドイツ・インド・ブラジル・フランスなどがこの案(A案)を支持している。常任理事国入りを希望している主な国は次の通り。
しかし、中華人民共和国・イタリアなどは任期4年で再選可能な準常任理事国を創設する案(B案)を支持している。これは、隣国・近国が常任理事国になることによって自国の国際的影響力が相対的に低下すること、新常任理事国が自国の安全保障にとっての「潜在的脅威」となり得ることを恐れているためだと考えられる。
実際、日本・インド・ドイツ・ブラジルの常任理事国入りに反対しているのは、これらの4ヶ国の周辺の国である。反対している国は、4ヶ国すべての常任理事国入りに反対しているわけではなく隣国・近国の常任理事国入りに反対している。大韓民国[2]・中華人民共和国は日本の常任理事国入りには反発しているが、ドイツの常任理事国入りにおいては支持を表明していた。イタリアはドイツの常任理事国入りは反対の姿勢を示しているが、日本・インド・ブラジルの加盟には言及していない。これら以外にもインドの加盟には宗教的に対立しているパキスタンが、ブラジルの加盟にはアルゼンチンが反対している。このグループは1993年にイタリアや大韓民国の呼びかけで結成され、イタリア人のコーヒー好きから「コーヒークラブ」と呼ばれることがある。
常任理事国改変草案として、常任理事国を5→3に減らし非常任理事国を10→7に減らして、1ヶ国のみでは拒否権を発動出来ないようにする、などの草案が多々ある。(その他の主な草案は常任理事国改革を参照)
[編集] 脚注
- ^ 国連憲章ではイギリスなどの通称ではなく正式名称で明記されており、日本語訳もこれに則っている。
- ^ 対日関係全面見直し決議、韓国国会が採択 朝日新聞 2001年7月18日
[編集] 関連項目
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||

