拒否権
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拒否権(きょひけん)とは、ある事柄について拒否(断ること)する権利を言う。この意味での用例としては供述拒否権がある。 政治の世界で拒否権と言う場合にはさらに意味が限定され、政策決定の際に、決議された法律・提案された決議・締結された条約その他を一方的に拒否できる特権を意味することが多い。
拒否権を表わす語は、ほとんどのヨーロッパ言語では veto, またはそれに近い発音の綴り (beto, weto など) となっている。これはこの語が共和政ローマ時代に護民官が保持していた権限 (ラテン語:veto) に由来するためである。
拒否権を持っているとそれを行使されないよう、案件はその所持者の意に沿うように作られる。拒否権はそれを行使する以前にも影響を発揮する、強大な権限なのである。[要出典]
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[編集] 国際連合安全保障理事会における拒否権
国際連合の安全保障理事会では、実質事項について決議が有効となるには、理事国15ヶ国のうち、常任理事国全てを含む過半数(非常任理事国最低3国)の賛成を要する。大国の反対により理事会決定の実効性が失われることを防ぐこと(大国一致の原則)を趣旨とするものであるが、逆に常任理事国のうち1国でも反対すれば理事会において決議案が否決されることも多々あるため、大国のエゴ(同盟国擁護のためのものを含む)を通すためだけの規定との批判もある。2008年10月現在アメリカ合衆国、イギリス、中国、フランス、ロシアの5ヶ国に与えられている。冷戦期にはアメリカ・ソ連がたびたび拒否権を行使し、国際政治の停滞を招いたとの批判も根強い。
冷戦終結後は、アメリカ合衆国によるイスラエル非難関連の決議での行使が目立った。しかし、2007年以降、ロシアと中国が連携して2度拒否権を行使しており、新たな対立が懸念されている。
[編集] 常任理事国の拒否権発動回数(2008年7月現在)
| 常任理事国 | 回数 |
|---|---|
| ソ連・ロシア | 124回(ロシアとしては4回) |
| アメリカ | 82回(対イスラエル非難決議に対して37回) |
| イギリス | 32回 |
| フランス | 18回 |
| 中華民國・中国 | 7回(中国としては6回 対ミャンマー非難決議に対し1回) |
[編集] 古代ローマの拒否権
古代ローマの政務官は護民官に限定されず全ての政務官が拒否権を保有していた。基本的に複数人制の各政務官は同僚の決定に対して拒否権を行使することができ、上位の政務官は下位の政務官の決定を拒否することもできた。同僚を持たない独裁官は下位の全ての政務官に拒否権を使用できる強力な官職であり、それゆえ半年と任期が制限されていた。護民官はその設立経緯からも特殊な官職であり、独裁官を除く全ての政務官に拒否権を行使することが可能であった。それだけではなく護民官の主要任務はこうした拒否権を使用した「否定」の作用であり、それゆえ拒否権は護民官の名と共に語られることが多い。クァエストルは最も下位の官職であり他の政務官への拒否権は持たなかった。
[編集] 米国大統領の拒否権
「アメリカ合衆国の政治」および「アメリカ合衆国大統領」も参照
アメリカ合衆国憲法第1条7項では、以下のことを定めている。
- 議会が制定した法案は国家元首たる大統領のもとに送付される。
- 大統領がこの法案を承認する場合は、法案への署名をもってこれが法律となる。署名をしなくても議会の会期中に日曜を除いて10日以上経過した際は法律となる。
- 大統領がこの法案を承認しない場合は、法案には署名せずに、承認できない理由を明記した別書を添えて、日曜を除いた十日以内に議会に差し戻す。
- その場合、議会は大統領が承認できない理由を十分に考慮したうえで、必要に応じて法案に修正を加えた上で大統領に再送付するか、または
- 両院で3分の2以上の多数で再可決して大統領の署名なしで法律にする。
- ただしこれらが会期内にできないときは廃案となる。
このうち、3 が大統領の「拒否権 (veto)」で、5 が議会の「拒否権を覆す権利 (override)」である。また 6 の規定を利用して会期末近くに議会から送付された法案を大統領が手元に留め置いて廃案にすることを「握りつぶし拒否権 (pocket veto)」という。
議会の両院で3分の2の多数の支持を得ることは至難の業であり、拒否権が覆された割合は10%を下回っている[1]。
拒否権を最も多用した大統領は第33代のフランクリン・ルーズベルトで、12年間の在任中に635回も行使している。逆に第3代のトーマス・ジェファーソンは、8年間の在任中に一度も行使していない。第43代のブッシュ大統領はこれまでに3度拒否権を行使している。
- 2006年7月、ES細胞法案
- 2007年5月1日、イラク派遣部隊の撤退期限を持つ予算法案
- 2008年3月8日、テロ被疑者に対する、ウォーターボーディング(水責め)などの拷問を禁止する法案
[編集] 日本の地方自治法
- この節では、地方自治法は条数のみ記載する。
長の拒否権
- 一般的拒否権
日本の地方自治においては、首長(都道府県知事や市町村長・特別区の区長)が議会の議決に異議がある場合、「再議に付す」ことができると規定されており(176条1項)、これを一般的に拒否権の行使と言う。
再議には、出席議員の三分の二以上の者の同意が必要である(176条3項)。
- 特別拒否権
長の義務となっている。
普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない(176条4項)。
普通地方公共団体の議会の議決が、収入又は支出に関し執行することができないものがあると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない(177条1項)。
議会において次の経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入についても、また、再議に付さなければ成らない(177条2項)。
- 法令により負担する経費、法律の規定に基き当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費
- 非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費
[編集] 拒否権つき株式(黄金株)
会社法では、株主総会の決議に対して拒否権のある株式[2]を発行することができ、これを実務上黄金株と呼ぶ。発行する場合は通常1株だけ発行され、譲渡制限が付けられることもある。 黄金株は経営安定化や買収防衛に有効とされるが、株主平等の原則上問題があるため、上場企業に対しては黄金株の発行に規制がかかっている。
[編集] 脚注
- ^ 米国議会上院ホームページ
- ^ 株主総会において決議すべき事項のうち、当該決議の他、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がある事を必要とするもの(会社法108条1項8号)

