拒否権
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拒否権(きょひけん)とは、ある事柄について拒否(断ること)する権利を言う。この意味での用例としては供述拒否権がある。
政治の世界で拒否権と言う場合には、さらに意味が限定され、政策決定の際に、決議された法律、提案された決議、締結された条約その他を一方的に拒否できる特権を意味することが多い。
拒否権を表わす語は、ほとんどのヨーロッパ言語では veto、またはそれに近い発音の綴り (beto、weto など) となっている。これはこの語が共和政ローマ時代に護民官が保持していた権限 (ラテン語 veto) に由来するためである。ローマ帝国が成立すると、拒否権は皇帝の特権となった。
日本の地方自治においては、首長(都道府県知事や市町村長・特別区の区長)が議会の議決に異議がある場合、再議に付すことができると規定されており(地方自治法第176条)、これを一般的に拒否権の行使と言うことがある。
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[編集] 国連安全保障理事会における拒否権
国際連合の国際連合安全保障理事会では、実質事項について決議が有効となるには、理事国15ヶ国のうち、常任理事国全てを含む過半数(非常任理事国3国)の賛成を要する。大国の反対により理事会決定の実効性が失われることを防ぐ事(大国一致の原則)を趣旨とするものであるが、逆に常任理事国一国の反対で理事会において決議案が否決される事も多々あるため、大国のエゴ(同盟国擁護の為のものを含む)を通すためだけの規定との批判もある。2006年4月現在アメリカ合衆国、イギリス、中国、フランス、ロシアの5ヶ国に与えられている。冷戦期にはアメリカ・ソ連がたびたび拒否権を行使し、国際政治の停滞を招いたとの批判も根強い。
[編集] 常任理事国の拒否権発動回数(2007年1月現在)
| 常任理事国 | 回数 |
|---|---|
| ソ連・ロシア | 123回(ロシアとしては3回) |
| アメリカ | 82回(対イスラエル非難決議に対して37回) |
| イギリス | 32回 |
| フランス | 18回 |
| 中華民國・中国 | 6回(中国としては5回 対ミャンマー非難決議に対し1回) |
[編集] 古代ローマの拒否権
古代ローマの政務官は護民官に限定されず全ての政務官が拒否権を保有していた。基本的に複数人制の各政務官は同僚の決定に対して拒否権を行使することができ、上位の政務官は下位の政務官の決定を拒否することもできた。同僚を持たない独裁官は下位の全ての政務官に拒否権を使用できる強力な官職であり、それゆえ半年と任期が制限されていた。護民官はその設立経緯からも特殊な官職であり独裁官を除く全ての政務官に拒否権を行使することが可能であった。それだけではなく護民官の主要任務はこうした拒否権を使用した「否定」の作用でありそれゆえ拒否権は護民官の名と共に語られることが多い。クァエストルは最も下位の官職であり他の政務官への拒否権は持たなかった。
[編集] 米国大統領の拒否権
- 「アメリカ合衆国の政治」と「アメリカ合衆国大統領」も参照のこと。
アメリカ合衆国憲法第1条7項では、以下のことを定めている:
- 議会が制定した法案は国家元首たる大統領のもとに送付される。
- 大統領がこの法案を承認する場合は、法案への署名をもってこれが法律となる。
- 大統領がこの法案を承認しない場合は、法案には署名せずに、承認できない理由を明記した別書を添えて、日曜を除いた十日以内に議会に差し戻す。
- その場合、議会は大統領が承認できない理由を十分に考慮したうえで、必要に応じて法案に修正を加えた上で大統領に再送付するか、または
- 両院で3分の2以上の多数で再可決して大統領の署名なしで法律にする。
- ただしこれらが会期内にできないときは廃案となる。
このうち、3 が大統領の「拒否権 (veto)」で、5 が議会の「拒否権を覆す権利 (override)」である。また 6 の規定を利用して会期末近くに議会から送付された法案を大統領が手元に留め置いて廃案にすることを「握りつぶし拒否権 (pocket veto)」という。
議会の両院で3分の2の多数の支持を得ることは至難の業であり、拒否権が覆された割合は10%を下回っている[1]。
拒否権を最も多用した大統領は第33代のフランクリン・ルーズベルトで、12年間の在任中に635回[要出典]も行使している。逆に第3代のトーマス・ジェファーソンは、8年間の在任中に一度も行使していない。現在のブッシュ大統領はこれまでに3度拒否権を行使している。1度目は2006年7月にES細胞法案に、2度目は2007年5月1日にイラク派遣部隊の撤退期限を持つ予算法案に、3度目は2008年3月8日にテロ被疑者に対する、ウォーターボーディング(水責め)などの拷問を禁止する法案に拒否権を行使した。
[編集] 拒否権つき株式(黄金株)
会社法では、株主総会の決議に対して拒否権のある株式[2]を発行することができ、これを実務上黄金株と呼ぶ。発行する場合は通常1株だけ発行され、譲渡制限が付けられることもある。
黄金株は経営安定化や買収防衛に有効とされるが、株主平等の原則上問題があるため、上場企業に対しては黄金株の発行に規制がかかっている。
[編集] 注
- ^ 米国議会上院ホームページ
- ^ 株主総会において決議すべき事項のうち、当該決議の他、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がある事を必要とするもの(会社法108条1項8号)

