ヌエボトウショウ

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ヌエボトウショウ
欧字表記 Nuevo Tosho[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1987年5月30日[1]
死没 不明(2005年12月5日転売不明)[2]
トウショウゴッド[1]
プリティトウショウ[1]
母の父 トウショウボーイ [1]
生国 日本の旗 日本北海道静内町[1]
生産者 藤正牧場[1]
馬主 トウショウ産業(株)[1]
調教師 渡辺栄栗東[1]
競走成績
生涯成績 26戦9勝
獲得賞金 3億3502万7000円[1]
勝ち鞍
GIII サファイヤステークス 1990年
GIII 朝日チャレンジカップ 1991年
GIII 北九州記念 1992年
GIII 愛知杯 1992年
GIII 京都牝馬特別 1993年
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ヌエボトウショウ(欧字名:Nuevo Tosho1987年5月30日 - 不明)は、日本競走馬繁殖牝馬[1]。主な勝ち鞍に1990年サファイヤステークス1991年朝日チャレンジカップ1992年北九州記念愛知杯1993年京都牝馬特別主戦騎手角田晃一

半弟に、2000年中日新聞杯を制したトウショウアンドレがいる。

経歴[編集]

競走馬時代[編集]

デビューは遅く、1990年4月22日京都競馬場第4競走の4歳未勝利よりデビュー。鞍上は、その後ほとんどのレースで騎乗することになる角田晃一で、1番人気に支持されていたが4着に敗れる。しかし5月6日の未勝利戦ではしっかり1番人気に応え、2着に3馬身差もつける圧勝を見せた。ここから500万下条件を3戦しいずれも3着[注 1]、続く北洋特別(同条件)でようやく勝利すると、HTB杯(900万下)も快勝、その勢いのまま初重賞参戦となるサファイヤステークスでは、翌月にローズステークスを制することになるカツノジョオーに1馬身3/4差を付けて勝利した。この時の3着に、この後もたびたび対戦し、ライバルとも呼ばれるようになるイクノディクタスが入っている。

続くローズステークスでは先述のカツノジョオーが7番人気で制し、3番人気に支持されていたヌエボトウショウは7着と初の掲示板外を経験する[注 2]。ここからしばらく調子を落とし、5番人気で挑んだ牝馬三冠の最終レース・エリザベス女王杯ではキョウエイタップの14着と惨敗。年が明け半年振りのレース出走となったオーストラリアトロフィーでは4番人気を裏切る9着、阪急杯では11番人気に支持され11着となる。しかしCBC賞では3着と勢いを取り戻し、小倉日経賞2着、北九州記念3着、小倉記念2着と堅実な走りを見せ、9月15日朝日チャレンジカップで2着のイクノディクタスに2馬身差をつけ勝利、重賞2勝目を挙げた。さらに、続く天皇賞・秋でも5着[注 3]と健闘し、この年のレースを終えた。

1992年は半年以上休養し、小倉日経賞より始動し1番人気に応える1着。続く北九州記念でも、この年に天皇賞・秋を制することになるレッツゴーターキンをクビ差退け勝利し重賞3勝目を挙げる。この勢いで産経賞オールカマーに1番人気で臨むも、上位5頭のうち4頭が5番人気以下という波乱となり、ヌエボトウショウは10着に沈む大敗。ここで優勝したのはイクノディクタスであった。その後の天皇賞・秋では6着となり、1番人気に支持されながら7着に沈んだトウカイテイオーに先着。続くマイルチャンピオンシップではダイタクヘリオスの4着で、翌年にGⅠ競走を2勝する5着のヤマニンゼファーに先着するなど善戦した。そして年末の愛知杯を制し重賞4勝目を挙げ、この年のレースを終えた。

1993年スポーツニッポン賞金杯より始動。6番人気に支持されたが8着に終わる[注 4]。しかし、2番人気で挑んだ京都牝馬特別では再び勝利し、重賞5勝目を挙げた。このレースを最後に競走馬を引退。

引退後[編集]

引退後は故郷のトウショウ牧場で繁殖牝馬となるも、2003年頃にビッグレッドファームへ売却される[2]。そこで2年連続アグネスデジタルを種付けするも不受胎となり、2005年12月付で転売不明となった[2]。それ以降の動向は分かっていない。引退後に繁殖入りした牧場で用途変更後も功労馬として過ごし、32歳の大往生を遂げたかつての同期のイクノディクタスとは対照的な扱いであった。

なお、産駒のうち最も多くの賞金を稼いだマイネルモデルノは、2018年に筑波大学馬術部所属の乗用馬・桐翠として登録されている[3]

競走成績[編集]

以下の内容は、netkeiba.com[4]およびJBISサーチ[5]に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
備考
1990.04.22 京都 4歳未勝利 芝1600m(良) 13 1 1 002.80(1人) 04着 R1:39.0(52.1) -1.6 0角田晃一 52 マチカネアマツカゼ 478
0000.05.06 京都 4歳未勝利 芝1200m(稍) 15 6 11 001.40(1人) 01着 R1:11.4(47.2) -0.5 0角田晃一 52 (アドバンテージ) 470
0000.06.02 阪神 4歳500万下 芝1400m(良) 11 6 6 002.50(2人) 03着 R1:24.4(48.3) -0.2 0角田晃一 52 サウザンドアイズ 478
0000.07.08 中京 4歳500万下 芝1200m(良) 14 4 6 003.40(2人) 03着 R1:10.5(36.4) -0.8 0小島貞博 53 コスモオリンピア 476
0000.08.04 函館 4歳上500万下 芝1800m(良) 10 4 4 002.30(1人) 03着 R1:48.4(35.9) -0.0 0角田晃一 52 フォーティマイルズ 490
0000.08.18 函館 北洋特別 500万下 芝1800m(稍) 8 7 7 001.60(1人) 01着 R1:49.5(37.4) -0.3 0角田晃一 53 (モガミシラオキ) 488
0000.09.08 函館 HTB杯 900万下 芝1800m(良) 10 8 10 001.90(1人) 01着 R1:49.8(36.2) -0.3 0角田晃一 53 (カナルウォーター) 490
0000.09.30 中京 サファイヤS GIII 芝1700m(不) 10 1 1 003.60(1人) 01着 R1:45.7(38.4) -0.3 0角田晃一 54 (カツノジョオー) 486
0000.10.21 京都 ローズS GII 芝2000m(良) 14 7 11 003.90(3人) 07着 R2:01.4(47.8) -0.8 0角田晃一 55 カツノジョオー 484
0000.11.11 京都 エリザベス女王杯 GI 芝2400m(良) 18 8 16 011.40(5人) 14着 R2:27.7(50.1) -2.2 0角田晃一 55 キョウエイタップ 482
1991.04.21 京都 オーストラリアT OP 芝1800m(良) 9 8 8 009.20(4人) 09着 R1:49.3(49.8) -2.0 0角田晃一 53 メインキャスター 468
0000.06.02 京都 阪急杯 GIII 芝1400m(不) 14 5 9 032.4(11人) 11着 R1:25.2(50.2) -1.7 0角田晃一 52 ジョーロアリング 488
0000.06.23 中京 CBC賞 GII 芝1200m(不) 11 3 3 007.80(3人) 03着 R1:11.3(36.5) -0.5 0角田晃一 55 フェイムオブラス 486
0000.07.14 小倉 小倉日経賞 OP 芝1700m(良) 8 6 6 002.90(1人) 02着 R1:40.6(34.7) -0.1 0角田晃一 53 ホクセイシプレー 486
0000.08.04 小倉 北九州記念 GIII 芝1800m(良) 12 5 6 003.50(1人) 03着 R1:47.4(36.1) -0.5 0角田晃一 54 ムービースター 484
0000.08.25 小倉 小倉記念 GIII 芝2000m(良) 10 3 3 006.90(3人) 02着 R2:03.0(34.4) -0.3 0角田晃一 53 ナイスネイチャ 488
0000.09.15 中京 朝日チャレンジC GIII 芝2000m(稍) 16 2 4 006.30(3人) 01着 R1:59.1(34.0) -0.3 0角田晃一 54 イクノディクタス 488
0000.10.27 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(不) 18 8 18 021.90(7人) 05着 R2:04.2(38.1) -0.3 0角田晃一 56 プレクラスニー 492 [注 3]
1992.07.19 小倉 小倉日経賞 OP 芝1700m(良) 12 4 4 002.10(1人) 01着 R1:41.4(34.8) -0.1 0角田晃一 55 (イブキリセス) 484
0000.08.09 小倉 北九州記念 GIII 芝1800m(稍) 13 8 13 001.70(1人) 01着 R1:46.8(35.1) -0.0 0角田晃一 56 レッツゴーターキン 492
0000.09.20 中山 オールカマー GIII 芝2200m(良) 14 8 13 002.10(1人) 10着 R2:13.4(37.0) -1.3 0角田晃一 54 イクノディクタス 492
0000.11.01 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 18 7 13 023.40(7人) 06着 R1:59.1(37.2) -0.5 0角田晃一 56 レッツゴーターキン 496
0000.11.22 京都 マイルCS GI 芝1600m(良) 18 6 11 019.60(7人) 04着 R1:34.0(46.6) -0.7 0角田晃一 55 ダイタクヘリオス 492
0000.12.13 中京 愛知杯 GIII 芝2000m(稍) 11 6 7 002.70(1人) 01着 R2:02.5(34.9) -0.1 0角田晃一 57 カリブソング 488
1993.01.05 京都 金杯 GIII 芝2000m(良) 16 7 13 011.00(6人) 08着 R2:01.5(46.2) -0.1 0角田晃一 58 エルカーサリバー 488
0000.01.31 京都 京都牝馬特別 GIII 芝1600m(良) 11 8 10 003.30(2人) 01着 R1:34.0(44.9) -0.2 0角田晃一 58 ラビットボール 482

繁殖成績[編集]

9番仔スタートウショウの産駒ニッポンダエモンが2017年若駒賞勝ち、ベンテンコゾウ2019年京成盃グランドマイラーズなど地方重賞8勝の成績を残している。

馬名 誕生年 毛色 厩舎 馬主 戦績・備考 出典
初仔 トウショウコスモス 1994年 栗毛 セクレト 栗東・渡辺栄 トウショウ産業 4戦0勝(引退) [6]
2番仔 (不受胎) 1995年 マルゼンスキー
3番仔 ニュエラトウショウ 1996年 鹿毛 ソヴィエトスター 栗東・渡辺栄 トウショウ産業 12戦0勝(引退・繁殖) [7]
4番仔 アンジュトウショウ 1997年 鹿毛 オジジアン 1戦0勝(引退・繁殖) [8]
5番仔 トウショウサクセス 1998年 鹿毛 メジロライアン 栗東・渡辺栄
道営恵多谷豊
トウショウ産業
→田村義徳
24戦1勝(引退) [9]
6番仔 デジタルトウショウ 1999年 鹿毛 ラストタイクーン 栗東・渡辺栄
高崎新井明
高知雑賀正光
トウショウ産業
→西三雄
51戦1勝(引退) [10]
7番仔 ロータストウショウ 2000年 栗毛 サクラバクシンオー 栗東・坪憲章 トウショウ産業 7戦0勝(引退・繁殖) [11]
8番仔 トウショウジェイル 2001年 黒鹿毛 オペラハウス 19戦1勝(引退) [12]
9番仔 スタートウショウ 2002年 鹿毛 スキャターザゴールド 美浦大久保洋吉
→美浦・土田稔
岩手伊藤和
トウショウ産業
→日下部勝徳
30戦8勝(引退・繁殖) [13]
10番仔 マイネルモデルノ 2004年 鹿毛 バブルガムフェロー 美浦・萱野浩二 サラブレッドクラブ・ラフィアン 32戦3勝(引退) [14]
11番仔 (不受胎) 2005年 アグネスデジタル
12番仔 (不受胎) 2006年

血統表[編集]

ヌエボトウショウ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 リュティエ系
[§ 2]

トウショウゴッド
1977 青鹿毛
父の父
*ダンディルート
1972 鹿毛
Luthier Klairon
Flute Enchantee
Dentrelic Prudent
Relict
父の母
シルバーボード
1970 黒鹿毛
*パーシア
Parthia
Persian Gulf
Lightning
リュウカリム *カリム
パシフィックポート

プリティトウショウ
1980 鹿毛
トウショウボーイ
1973 鹿毛
*テスコボーイ Princely Gift
Suncourt
*ソシアルバターフライ Your Host
Wisteria
母の母
*ビバドンナ
Vivadonna
1970 鹿毛
Petingo Petition
Alcazar
Donna Lolio Donatello
Camerita
母系(F-No.) ビバドンナ系(FN:14-c) [§ 3]
5代内の近親交配 Hyperion 5×5 [§ 4]
出典
  1. ^ [15]
  2. ^ [16]
  3. ^ [15]
  4. ^ [15]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ この3戦のうち、2戦目のみ小島貞博が騎乗している。ヌエボトウショウに角田以外が騎乗したのはこの1戦のみ。
  2. ^ このローズステークスは1番人気ダイイチルビーが5着、2番人気エイシンサニーが12着と人気馬が総崩れの様相となった。なお、イクノディクタスは10番人気ながら2着に入っている。
  3. ^ a b 6位入線繰り上がり5着(1位入線メジロマックイーンが18位降着)。
  4. ^ なお、このレースは勝ち馬のエルカーサリバーと2着のエイシンテネシーの着差が3/4馬身、3着がラッキーゲランワンモアラブウエイが同着で2着との着差がハナ差、以降8着のヌエボトウショウまで着差がハナ差という稀に見る大接戦のレースであった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n ヌエボトウショウ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年5月23日閲覧。
  2. ^ a b c ヌエボトウショウ(JPN) - 血統書サービス、2022年5月23日閲覧。
  3. ^ 公益社団法人 日本馬術連盟 《Japan Equestrian Federation》・日本馬術連盟・日馬連・馬術連盟・公益社団法人 日本馬術連盟”. www.equitation-japan.com. 2022年5月23日閲覧。
  4. ^ ヌエボトウショウの競走成績”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2022年5月24日閲覧。
  5. ^ ヌエボトウショウ 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年5月24日閲覧。
  6. ^ トウショウコスモス - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  7. ^ ニュエラトウショウ - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  8. ^ アンジュトウショウ - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  9. ^ トウショウサクセス - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  10. ^ デジタルトウショウ - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  11. ^ ロータストウショウ - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  12. ^ トウショウジェイル - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  13. ^ スタートウショウ - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  14. ^ マイネルモデルノ - JBISサーチ、2022年7月15日閲覧。
  15. ^ a b c 血統情報:5代血統表|ヌエボトウショウ”. JBISサーチ. 公益社団法人 日本軽種馬協会. 2022年5月23日閲覧。
  16. ^ ヌエボトウショウの血統表”. netkeiba.com. 2022年5月23日閲覧。
  17. ^ サラブレッド 101頭の死に方 P196

外部リンク[編集]