デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート
Fregatte De Zeven Provincien 2506.jpg
竣工当時のデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン
艦級概観
艦種 フリゲート
艦名
建造期間 1998年 - 2003年
就役期間 2002年 - 就役中
前級 カレル・ドールマン級フリゲート
次級 最新
性能諸元
排水量 満載:6,050t
全長 144m
全幅 18.8m
吃水 5.1m
機関 CODOG方式
バルチラ16V26ディーゼルエンジン (4,200kW / 5,600hp) 2基
SM1Cガスタービンエンジン (18,500kW / 24,800hp) 2基
推進機 2軸
速力 最大30ノット
乗員 202人(士官32人、艦隊司令部28人)
兵装 コンパクト 127mm単装速射砲 1基
ゴールキーパー 30mmCIWS 1基
20mm機関砲 2基
Mk.41 mod.11 VLS(40セル)
スタンダードSM-2 SAM
ESSM 短SAM
を発射可能
1基
ハープーンSSM 4連装発射筒 2基
Mk.32 Mod.9 連装短魚雷発射管 2基
艦載機 リンクス or NFH90 1機
C4I 海軍戦術情報システム
(SEWACO XI CMS+リンク 11/16)
レーダー SMART-L 対空捜索用 1基
APAR 多機能用 1基
タレス・スカウト 対水上/航海用 1基
光学 シリウスIRST装置 1基
ミラドール光学捜索・追尾装置 1基
ソナー DSQS-24 艦首装備式 1基
電子戦
対抗手段
タレス・セイバー ESM/ECM装置
Mk 36 SRBOC 4基

デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートオランダ語: De Zeven Provinciën-klasse Fregat)は、オランダ海軍フリゲートAPAR多機能レーダーを中核とするNAAWS防空システムを備えた防空艦指揮艦であり、LCF(Luchtverdedigings- en Commando Fregat)またはADCF(Air Defence and Command Frigate)としても知られている。ネームシップの艦名は、オランダの別称、「七州連合」(デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン)に由来する。

来歴[編集]

1980年代後半、NATO加盟8カ国の海軍は、NFR-90 (NATO Frigate Replacement for 1990s) 構想を開始した。これは、各国海軍が保有する1960年代型水上戦闘艦の老朽化が進んでいたことから、これらの代替艦として、NATOで共通のフリゲートを設計・採用し、50隻以上におよぶ大量建造を行なうことによって、相互運用性を向上させ、またコストを削減しようというものであった。オランダも、トロンプ級フリゲートコルテノール級フリゲートの一部を更新するため、この計画に加わっていた。しかし、NFR-90計画は事前調整から難航しており、また、他国との運用要求の差異から、イギリス海軍はNFR-90計画艦では42型駆逐艦の代替には不適であると判断、1989年に計画より脱退した。その後もNFR-90計画は多くの困難に直面し、90年にはフランス、イタリア、さらにはスペイン、ドイツが相次いで離脱し、さらにオランダまで脱退を決定するにおよび、本格始動からわずか2年でNFR-90計画は空中分解することになった。

NFR90計画の頓挫を受け、分裂した各国は

  • オランダ、ドイツ、スペインによるTFC(Trilateral Frigate Cooperation, 三国フリゲート共同)計画
  • イギリス、フランス、イタリアによるホライズン計画(Programme Horizon)

と言う2つの新しい共同開発計画をスタートさせることになった。

TFC計画は、

  • NAAWS(NATO対空戦闘システム)を各国が導入する
  • 可能な限り艦艇の設計を共通させる
  • 開発コストを分担して負担する
  • 共同購入によるコスト削減

など重要分野で協力し効率的に開発する事を目指したが、計画途中にスペインがコストの高騰と開発リスクを懸念したことを理由に離脱、イージスシステムの導入を決定したため、最終的にドイツのザクセン級フリゲート、そしてオランダの本級が建造されることになった。

船体・機関[編集]

艦体をTFCに基づいて建造したため、ザクセン級と似通ったサイズ・外観となっており、全体にステルス性への配慮がなされている。

主機関としては、前任者であるトロンプ級(GW級)以来、コルテノール級(S級)ヤコブ・ファン・ヘームスケルク級(L級)まで採用されていたロールス・ロイス オリンパスロールス・ロイス タインによるCOGOG構成ではなく、カレル・ドールマン級(M級)と同様のCODOG構成が採用された。

武器システム[編集]

砲熕兵器[編集]

当初は、本級により代替されるトロンプ級フリゲートからの流用によってボフォース120mm連装砲を搭載することが検討されていた。しかしこれらの砲の老朽化に伴い、結局、オート・メラーラ社のコンパクト 127mm54口径単装速射砲が採用された。これらの砲は、カナダ海軍イロクォイ級駆逐艦のTRUMP改修に伴い、防空艦装備の代償として撤去したものを流用しており、2012年現在、オランダ海軍で本砲を搭載しているのは本型のみである。

防空システム[編集]

本級は対空戦システムとして、NAAWSを搭載する。これはTFC計画の中核であり、NFR90計画が空中分解する原因の一つとなったものでもある。

センサーとして遠方目標を探索する広域捜索レーダーSMART-Lと、ミサイルや砲など武器管制を担当する多機能レーダーAPARを持ち、これらをSEWACO XI戦術情報処理装置(CMS)によって統合している。また本級の場合、これ以外にも水上レーダーや赤外線、可視光などを捉える電子光学機器も備える。

ミサイル発射機としては、40セルのMk.41 mod.11 VLSを搭載する。対空ミサイルとしては、ESSMスタンダードミサイルを32発ずつ搭載すると見られている。オランダ海軍ではトマホーク巡航ミサイルを搭載することも検討していたが、この計画は放棄された[1]

またオランダ海軍では、本級への弾道ミサイル防衛(BMD)能力の付与を計画している。2006年末、ハワイ州カウアイ島沖合の太平洋ミサイル試射場で行なわれた戦域弾道弾追尾演習(TRACKEX)に「トロンプ」が参加し、短距離弾道ミサイル(SRBM)を模した標的に対して探知・追尾および追尾データのリンク 16を通じた共有を行ない、これらの任務を成功裏に遂行した。同演習参加に当たり、新規開発によりSMART-LレーダーにELR (Extended Long Range) モードを付加することで、最大探知距離は480kmまで延伸されていた。その後、2011年9月には、ELRモードを全艦に付与する改修がタレス・ネーデルラント社に対して発注された。この改修によって、2017年までに、弾道ミサイルに対する追尾距離は最大で2,000kmまで延伸される計画である[2][3]

同型艦[編集]

艦番号 艦名 起工 進水 就役
F802 デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン
HNLMS De Zeven Provinciën
1998年
9月1日
2000年
4月8日
2002年
4月26日
F803 トロンプ
HNLMS Tromp
1999年
9月3日
2001年
4月7日
2003年
3月14日
F804 デ・ロイテル
HNLMS De Ruyter
2000年
9月1日
2002年
4月13日
2004年
F805 エヴェルトセン
HNLMS Evertsen
2001年
9月6日
2003年
4月19日
2005年

参考文献[編集]

  1. ^ Trouw, Laatste nieuws (Novum/ANP)| novum_laatstenieuws - Defensie ziet af van Tomahawks
  2. ^ N.R. Jenzen-Jones (2012年9月8日). “In Brief: The Netherlands’ De Zeven Provinciën class frigates” (英語). 2012年10月20日閲覧。
  3. ^ Menno Steketee (2011年9月30日). “Dutch frigates to gain BMD capability” (英語). 2012年10月20日閲覧。
  • 「多機能レーダーが現代艦艇のデザインを変えた! (特集・多機能レーダーと艦艇デザイン)」、『世界の艦船』第687号、海人社、2008年3月、 82-85頁、 NAID 40015830634
  • 多田智彦「ヨーロッパ軍艦のコンバット・システム (特集 現代軍艦のコンバット・システム)」、『世界の艦船』第748号、海人社、2011年10月、 88-93頁、 NAID 40018965308
  • 公式(LCF)
  • Naval-Technology