「Β-エンドルフィン」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Tr-909 (会話 | 投稿記録)
エンドルフィンへのリダイレクト
 
en:beta-endorphin00:18, 30 July 2014‎を翻訳
1行目: 1行目:
{{Infobox protein
#REDIRECT [[エンドルフィン]]
| Name = [[プロオピオメラノコルチン]]
| caption =
| image =
| width =
| HGNCid = 9201
| Symbol = POMC
| AltSymbols =
| EntrezGene = 5443
| OMIM = 176830
| RefSeq = NM_000939
| UniProt = P01189
| PDB =
| ECnumber =
| Chromosome = 2
| Arm = p
| Band = 23
| LocusSupplementaryData =
}}
{{chembox
| verifiedrevid = 444653150
|ImageFile= beta-endorphin.png
|ImageSize=
|IUPACName=
|OtherNames=
|Section1={{Chembox Identifiers
| CASNo_Ref = {{cascite|correct|??}}
| CASNo=
| PubChem=16132316
| SMILES=CCC(C)C(C(=O)NC(C(C)CC)C(=O)NC(CCCCN)C(=O)NC(CC(=O)N)C(=O)NC(C)C(=O)NC(CC1=CC=C(C=C1)O)C(=O)NC(CCCCN)C(=O)NC(CCCCN)C(=O)NCC(=O)NC(CCC(=O)O)C(=O)O)NC(=O)C(C)NC(=O)C(CC(=O)N)NC(=O)C(CCCCN)NC(=O)C(CC2=CC=CC=C2)NC(=O)C(CC(C)C)NC(=O)C(C(C)O)NC(=O)C(C(C)C)NC(=O)C(CC(C)C)NC(=O)C3CCCN3C(=O)C(C(C)O)NC(=O)C(CCC(=O)N)NC(=O)C(CO)NC(=O)C(CCCCN)NC(=O)C(CCC(=O)O)NC(=O)C(CO)NC(=O)C(C(C)O)NC(=O)C(CCSC)NC(=O)C(CC4=CC=CC=C4)NC(=O)CNC(=O)CNC(=O)C(CC5=CC=C(C=C5)O)N
}}
|Section2={{Chembox Properties
| Formula=C<sub>158</sub>H<sub>251</sub>N<sub>39</sub>O<sub>46</sub>S
| MolarMass=3464.98224
| Appearance=
| Density=
| MeltingPt=
| BoilingPt=
| Solubility=
}}
|Section3={{Chembox Hazards
| MainHazards=
| FlashPt=
| Autoignition=
}}
}}
'''β-エンドルフィン'''(beta-endorphin)は、[[中枢神経系]]と[[末梢神経系]]の両方の[[ニューロン]]で見られる内生[[オピオイド]]の[[神経ペプチド]]である。[[α-エンドルフィン]]、[[γ-エンドルフィン]]、[[α-ネオエンドルフィン]]、[[β-ネオエンドルフィン]]とともに、ヒトで見られる5つの[[エンドルフィン]]のうちの1つである。

[[アミノ酸配列]]は、[[チロシン|Tyr]]-[[グリシン|Gly]]-Gly-[[フェニルアラニン|Phe]]-[[メチオニン|Met]]-[[トレオニン|Thr]]-[[セリン|Ser]]-[[グルタミン|Glu]]-[[リシン|Lys]]-Ser-[[グルタミン酸|Gln]]-Thr-[[プロリン|Pro]]-[[ロイシン|Leu]]-[[バリン|Val]]-Thr-Leu-Phe-Lys-[[アスパラギン酸|Asn]]-[[アラニン|Ala]]-[[イソロイシン|Ile]]-Ile-Lys-Asn-Ala-Tyr-Lys-Lys-Gly-Gluである<ref>[http://www.genome.ad.jp/dbget-bin/www_bget?compound+C02210+C11684+C16041+C16042+C16043+C15890+C15891+C01574+C16135+C01516+-s DBGET]</ref>。

==形成==
β-エンドルフィンは、31[[アミノ酸]]長のペプチドで、前駆体[[プロオピオメラノコルチン]]の[[プロセッシング]]により生成する(プロオピオメラノコルチンは、[[プロプロテインコンベルターゼ]]の作用により、[[副腎皮質刺激ホルモン]]や[[メラニン細胞刺激ホルモン]]等の他の[[ホルモン]]の前駆体にもなる)。

β-エンドルフィンは、[[視床下部]]や[[下垂体]]のニューロンで見られる。

==機能==
[[オピオイド受容体]]の[[アゴニスト]]であり、[[モルヒネ]]等が作用するのと同じ。内生の[[μ-オピオイド受容体]]リガンドとして作用する(実際に、μ-オピオイドは、最も有名なリガンドであるモルヒネから名付けられた)。

==歴史==
β-エンドルフィンは、[[ラクダ]]の下垂体の抽出物の中から、C・H・リーとデヴィッド・チャンによって発見された<ref>{{cite journal | doi = 10.1073/pnas.73.4.1145 | url = http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/73/4/1145 | author = Choh Hao Li and David Chung | title = Isolation and structure of an untriakontapeptide with opiate activity from camel pituitary glands | journal = PNAS | year = 1976 | volume = 73 | issue = 4 | pages = 1145–1148 | pmid = 1063395 | pmc = 430217}}</ref>。

==効果==
β-エンドルフィンは、無感覚や鈍い痛みに対する[[鎮痛剤]]として用いられる。これは、ヒトが受傷した時、まだ傷が残っているにも関わらず、すぐに痛みが引き始める理由である。痛みが鈍くなる理由は、この物質がオピオイド受容体と結合して、活性化するためである。β-エンドルフィンは、モルヒネと比べて、鎮痛剤としての作用が約80倍強い。

===運動===
運動への応答としてβ-エンドルフィンが放出される現象は、少なくとも1980年代から知られ、研究されてきた<ref name="pmid6091217">{{cite journal | author = Harber VJ, Sutton JR. | title = Endorphins and exercise. | journal = Sports Med. | volume = 1 | issue = 2 | pages = 154–71 |date = Mar–Apr 1984 | pmid = 6091217 | url = http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6091217 }}</ref>。これにより、[[血清]]中のオピオイド、特にβ-エンドルフィンと[[β-リポトロピン]]の濃度が急な運動の後にもトレーニングの後にも上昇していることが示された<ref name="pmid6091217" />。運動中のβ-エンドルフィンの放出は、「[[ランナーズハイ]]」として知られる<ref>{{cite web |url=http://www.webmd.com/depression/guide/exercise-depression |title=Exercise and Depression |last=Goldberg |first=Joseph |date= February 19, 2014 |website=WebMD |accessdate=14 July 2014}}</ref>。

==出典==
{{Reflist|2}}

==外部リンク==
* {{PubChem|16132316}} - β-endorphin
* {{PubChem|3081525}} - β-endorphin (1-9)
* {{PubChem|133304}} - β-endorphin (2-9)
* {{MeshName|β-endorphin}}

{{ホルモン}}
{{DEFAULTSORT:へえたえんとるふいん}}
{{medical-stub}}
[[Category:脳]]
[[Category:神経伝達物質]]
[[Category:ペプチド]]

2014年9月12日 (金) 06:28時点における版

プロオピオメラノコルチン
識別子
略号 POMC
Entrez英語版 5443
HUGO 9201
OMIM 176830
RefSeq NM_000939
UniProt P01189
他のデータ
遺伝子座 Chr. 2 p23
テンプレートを表示
Β-エンドルフィン
識別情報
PubChem 16132316
特性
化学式 C158H251N39O46S
モル質量 3464.98224
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

β-エンドルフィン(beta-endorphin)は、中枢神経系末梢神経系の両方のニューロンで見られる内生オピオイド神経ペプチドである。α-エンドルフィンγ-エンドルフィンα-ネオエンドルフィンβ-ネオエンドルフィンとともに、ヒトで見られる5つのエンドルフィンのうちの1つである。

アミノ酸配列は、Tyr-Gly-Gly-Phe-Met-Thr-Ser-Glu-Lys-Ser-Gln-Thr-Pro-Leu-Val-Thr-Leu-Phe-Lys-Asn-Ala-Ile-Ile-Lys-Asn-Ala-Tyr-Lys-Lys-Gly-Gluである[1]

形成

β-エンドルフィンは、31アミノ酸長のペプチドで、前駆体プロオピオメラノコルチンプロセッシングにより生成する(プロオピオメラノコルチンは、プロプロテインコンベルターゼの作用により、副腎皮質刺激ホルモンメラニン細胞刺激ホルモン等の他のホルモンの前駆体にもなる)。

β-エンドルフィンは、視床下部下垂体のニューロンで見られる。

機能

オピオイド受容体アゴニストであり、モルヒネ等が作用するのと同じ。内生のμ-オピオイド受容体リガンドとして作用する(実際に、μ-オピオイドは、最も有名なリガンドであるモルヒネから名付けられた)。

歴史

β-エンドルフィンは、ラクダの下垂体の抽出物の中から、C・H・リーとデヴィッド・チャンによって発見された[2]

効果

β-エンドルフィンは、無感覚や鈍い痛みに対する鎮痛剤として用いられる。これは、ヒトが受傷した時、まだ傷が残っているにも関わらず、すぐに痛みが引き始める理由である。痛みが鈍くなる理由は、この物質がオピオイド受容体と結合して、活性化するためである。β-エンドルフィンは、モルヒネと比べて、鎮痛剤としての作用が約80倍強い。

運動

運動への応答としてβ-エンドルフィンが放出される現象は、少なくとも1980年代から知られ、研究されてきた[3]。これにより、血清中のオピオイド、特にβ-エンドルフィンとβ-リポトロピンの濃度が急な運動の後にもトレーニングの後にも上昇していることが示された[3]。運動中のβ-エンドルフィンの放出は、「ランナーズハイ」として知られる[4]

出典

  1. ^ DBGET
  2. ^ Choh Hao Li and David Chung (1976). “Isolation and structure of an untriakontapeptide with opiate activity from camel pituitary glands”. PNAS 73 (4): 1145–1148. doi:10.1073/pnas.73.4.1145. PMC 430217. PMID 1063395. http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/73/4/1145. 
  3. ^ a b Harber VJ, Sutton JR. (Mar–Apr 1984). “Endorphins and exercise.”. Sports Med. 1 (2): 154–71. PMID 6091217. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6091217. 
  4. ^ Goldberg, Joseph (2014年2月19日). “Exercise and Depression”. WebMD. 2014年7月14日閲覧。

外部リンク