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現存する日本の貨車形式一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

現存する日本の貨車形式一覧は、現在の日本鉄道において車籍を有し、鉄道路線において使用実態のある貨車形式の一覧である。

一覧

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コンテナ車

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コンテナ車は、現在の日本の貨物輸送において主流となっている貨車でおり日本貨物鉄道(JR貨物)で現在運用されている貨車の大部分を占める。かつては国鉄コキ50000形貨車国鉄コキ5500形貨車が大量製造され主流となっていたが、老朽化により後発の貨車形式により完全に置き換えられている。近年の動向として、2016年海上コンテナ輸送用のコキ73形が登場し運用が開始された。

形式 所有者 画像 備考
コキ73形 日本貨物鉄道
コキ100系 日本貨物鉄道 コキ100形からコキ107形とコキ110形がある。
コキ200形 日本貨物鉄道

有蓋車

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有蓋車は戦前から1990年代まで貨物輸送の中心的な役割を担っており、国鉄ワラ1形貨車国鉄ワム80000形貨車を代表とする有蓋車が大量に製造された。しかし物流の合理化に伴いコンテナに置き換える動きが強まったことで、かつてJR各社が大量に所有していた有蓋車は2010年代までに大半が廃車となった。最後まで残った東日本旅客鉄道(JR東日本)所有のワム287336も2020年に廃車となり、JR各社から有蓋車の車籍は完全に消滅した。現在は一部の私鉄臨海鉄道の事業用車として僅かに存続するのみである。

形式 所有者 画像 備考
スム4000形 秩父鉄道 救援車
テム1形 上信電鉄
ワ形 黒部峡谷鉄道
ワ1形 名古屋臨海鉄道 救援車。車籍を有する貨車では現存最古。
ワフ1形 小湊鉄道
cワフ0形 大井川鐵道

無蓋車

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無蓋車は有蓋車とともに近年までよく見られた形態の貨車であったが、物流の合理化により大半の形式が現在までに消滅している。JR貨物では自衛隊の機材輸送や車軸輸送用に近年までトラ45000形を所有していたがコンテナ化により廃車となった。また2021年まで亜鉛鉱石輸送用にJR貨物トキ25000形貨車が使用されていたが、需要が減少したため廃車となった。現在のJR各社の中ではトラ45000形が四国旅客鉄道(JR四国)でトロッコ用に使用されているのみである。一部の私鉄では事業用に車籍が僅かながら残っている。

形式 所有者 画像 備考
オト形 黒部峡谷鉄道
ト形 黒部峡谷鉄道
トキ500形 秩父鉄道 土砂運搬用。
トム1形 津軽鉄道小湊鉄道
トラ45000形 四国旅客鉄道 トロッコ車両用に改造。
cト100形 中部電力
cトキ200形 中部電力
(形式名不明) 神戸住環境整備公社 摩耶ケーブル線で使用。無蓋貨物車として正式に車籍がある。

長物車

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長物車は、現在の日本では大半がレール輸送用車として使用されおりJR各社や一部私鉄が所有している。近年のJR旅客各社の一部では長物車を廃車しキヤ97形などの自走可能な気動車へ置き換える動きが進み、東海旅客鉄道(JR東海)・東日本旅客鉄道(JR東日本)・北海道旅客鉄道(JR北海道)では長物車が完全に消滅している。一方で、JR貨物では長物車を用いた新幹線向けのロングレール輸送が積極的に行われており、近年でもチキ5500形が新造されている。

形式 所有者 画像 備考
オチ形 黒部峡谷鉄道
チ形 黒部峡谷鉄道
チ10形 近江鉄道 レール輸送用。
チ1000形 小湊鉄道 レール輸送用。
チキ10形 名古屋鉄道 レール輸送用。
チキ5200形 西日本旅客鉄道・小湊鉄道 レール輸送用。
チキ5400形 日鉄物流八幡 レール輸送用。
チキ5450形 日鉄物流八幡 レール輸送用。
チキ5500形(国鉄) 西日本旅客鉄道・九州旅客鉄道 レール輸送用。
チキ5500形(JR貨物) 日鉄物流八幡 レール輸送用。
チキ6000形 西日本旅客鉄道・四国旅客鉄道・九州旅客鉄道・日本貨物鉄道 レール輸送用。
チキ7000形 西日本旅客鉄道・九州旅客鉄道・日本貨物鉄道 レール輸送用。
チサ9000形 日本貨物鉄道 広島車両所で保管。
ナチ形 黒部峡谷鉄道
ムチ形 黒部峡谷鉄道

タンク車

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タンク車は、現在の日本ではガソリンに代表される石油類の輸送に専ら用いられており、そのほとんどが日本石油輸送および日本オイルターミナルの所有である。この他、太平洋セメント三重県内でセメント輸送用に、東邦亜鉛福島県から群馬県で亜鉛焼鉱輸送用にそれぞれタンク車を所有し現在も運用がなされている。

形式 所有者 画像 備考
タキ1000形 日本石油輸送・日本オイルターミナル 石油類専用。
タキ1200形 東邦亜鉛 亜鉛焼鉱専用。
タキ1300形 太平洋セメント セメント専用。
タキ1900形 太平洋セメント セメント専用。
タキ43000形 日本石油輸送・日本オイルターミナル 石油類専用。
タキ44000形 日本石油輸送・日本オイルターミナル 石油類専用。
タム500形 津軽鉄道 軽油専用。

ホッパ車

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ホッパ車は、全国的に数を減らしつつも現在でも石灰石バラストの輸送で使用されている。かつては石炭の輸送でもしばしば用いられていたが、日本における鉄道による石炭輸送は2021年までに完全に終了した。

形式 所有者 画像 備考
ホキ1形 秩父鉄道 バラスト散布用。
ホキ10形 近江鉄道 バラスト散布用。
ホキ80形 名古屋鉄道・富山地方鉄道 バラスト散布用。
ホキ100形 岩手開発鉄道 石灰石輸送用。
ホキ800形 東日本旅客鉄道・西日本旅客鉄道・弘南鉄道八戸臨海鉄道・上信電鉄・小湊鉄道・大井川鐡道・遠州鉄道 バラスト散布用。
ホキ1000形 太平洋セメント フライアッシュ及び炭酸カルシウム専用。
ホキ1100形 太平洋セメント フライアッシュ及び炭酸カルシウム専用。
ホキ2000形 矢作工業 石灰石専用。
ホキ9500形 矢作工業 石灰石専用。
ヲキ100形 太平洋セメント 石灰石輸送用。
GV-E196形 東日本旅客鉄道 バラスト散布用。

大物車

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大物車は全国的に大半が消滅しているが、変圧器などの輸送のために僅かに残存している。

形式 所有者 画像 備考
オシ形 黒部峡谷鉄道
シ形 黒部峡谷鉄道
シキ610形 日本貨物鉄道 変圧器輸送用。
シキ800形 日本通運 変圧器輸送用。
シキ850形 日本貨物鉄道
シム1形 日本車輌製造 日本車輌製造豊川工場内で保管。

車掌車

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車掌車はかつて多くの鉄道会社で運用されていたが、現在はその用途が限られるようになったためJR旅客各社では全車消滅し、JR貨物が甲種輸送などで使用するのみである。

形式 所有者 画像 備考
ヨ8000形 日本貨物鉄道・東武博物館 東武博物館所有分は東武鉄道SL大樹」の保安機器積載用。

その他

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脚注

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関連項目

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