本庄保険金殺人事件

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本庄保険金殺人事件(ほんじょうほけんきんさつじんじけん)とは、埼玉県本庄市で発生した保険金殺人事件。単に「本庄事件」「さいたま本庄事件」と呼称されることもある[1]

概要[編集]

本庄市内で金融業(街金融)を営む主犯が、自身の経営するパブスナックホステスに対して、常連客と偽装結婚のうえ保険金殺人を3度実行させる。第3の事件の被害者が1999年7月に「自分も殺される」とマスコミに告発し、保険金殺人疑惑として報道される。

前年に和歌山毒物カレー事件が発生して1年足らずの状況であったため世間の注目は高く、主犯は疑惑発覚から逮捕までの約8ヶ月間、自分の店を会場に記者1人に対して3000-6000円の入店料を徴収する有料の記者会見を203回実施。自身の潔白を表明するとともに雑談やホステスとのカラオケに興じ、およそ1000万円稼ぐという前代未聞の行動をした。逮捕が近付くにつれて参加者が増え、1999年12月以降はほぼ連日何処かしらの情報番組夕刊紙週刊誌で途切れなく取り上げられる事態が続いた。

状況証拠は限りなく黒に近かったが、捜査は物証がなく当初難航する。しかし最終的にホステス3人の証言をきっかけに、2000年3月に主犯とホステス3人を偽装結婚による公正証書原本不実記載容疑で逮捕。その後殺人罪詐欺罪などで起訴した。

主犯は2008年最高裁判決死刑が確定[2]2016年現在は東京拘置所収監されるも特別抗告中である。ホステス3人は既に有罪判決が確定しているが、ホステスの証言が警察に誘導されたとして冤罪であると弁護団は主張している。

第1の事件
1995年6月、元工員の45歳男性に対して、過労死作戦や成人病作戦などと称して長年にわたって多量のアルコールを飲酒させたり、睡眠不足となるよう仕向けたり、さらには、少量のトリカブトを一定期間継続的に摂取させ[3]ていた。しかし、一向に男性が弱らなかったため、致死量以上のトリカブトが入ったあんパンを食べさせて殺害。その後、利根川で水死体で発見。保険金3億円が偽装結婚相手のホステスに払われた。第1の事件の殺人事件では、保険会社が主犯とホステス3人に対し保険金返還の民事訴訟を起こし、返還を命じる判決となる。
第2の事件
1999年5月29日、元パチンコ店員の61歳男性を風邪薬を大量に飲ませて殺害。偽装結婚相手のホステスを受取人とする生命保険として保険金1億7000万円がかけられていた。
第3の事件
1999年5月30日、元塗装工の38歳男性が薬物中毒で重体。偽装結婚相手のホステスを受取人とする生命保険として9億円の保険金がかけられていたが未遂となり、マスコミに告発したことで保険金殺人が発覚する。

なお、風邪薬の主成分として使用されているアセトアミノフェン4.8gをアルコールとともに服用し、急性肝不全で死亡した事例が1989年に報告されている[4]

関連書籍[編集]

  • 『週刊新潮』第45巻第42号、新潮社、2000年11月2日、 57-58頁、 NAID 40001694442
  • 建脇保 『虫けら以下 - 本庄保険金殺人事件の軌跡』 太田出版、2001年ISBN 4872335872OCLC 166570768
  • 武まゆみ 『完全自白 愛の地獄』 講談社、2002年ISBN 4062114100OCLC 166695264
  • 高野隆、ほか 『偽りの記憶 : 「本庄保険金殺人事件」の真相』 現代人文社、2004年ISBN 487798187XOCLC 170007314

脚注[編集]

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  1. ^ opac.ndl.go.jp - 高野隆「『本庄事件』の集中審理-弁護人の経験と意見〔含 質疑応答〕」『刑事弁護』(36)(現代人文社)掲載。法曹制度検討会 - 第15回議事録 稲田刑事局総務課長の報告。第169回国会 法務委員会 - 第11号、2008年4月25日の細川律夫議員の発言。
  2. ^ “○○被告、死刑確定へ 埼玉・本庄の保険金殺人”. 共同通信. http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008071701000471.html 記事名に実名が使われているため、この箇所を伏字とした。
  3. ^ さいたま地方裁判所判決平成12年(わ)第529号、平成12年(わ)第636号、平成12年(わ)第748号、平成12年(わ)第941号、平成12年(わ)第1888号、平成12年(わ)第1968号
  4. ^ 清水 勝ほか「アルコール常用者にみられたアセトアミノフェンによる急性肝不全の1例」『肝臓』Vol. 30 (1989) No. 6 P 690-694

関連項目[編集]

外部リンク[編集]