偽装結婚

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偽装結婚(ぎそうけっこん)は、一般的に結婚の実態を伴わない結婚とされるが、必ずしも明確な定義はなく、偽装結婚という犯罪名が刑法上に存在するわけではない。

ただし、厳密に言えば、文書偽造の罪の一種である公正証書原本不実記載等罪(刑法157条)等として認定され、婚姻が無効となる場合もある。

具体的には、当事者双方が実際に結婚する意思がないのに、外形上結婚したように装うため婚姻届を提出した場合に、公務員に対し虚偽の書類によって申立てをし、公務員に不実の記載をさせた点が有罪であるとして同罪が適用される。

偽装結婚が行われるケースは目的により何種類かに類型される。

目的[編集]

犯罪目的のもの[編集]

消費者金融では債務者の情報が相互にやり取りされているため、偽装結婚により姓を変え、新規の債務者と思わせて借金を繰り返すなどの詐欺目的のものがある。

外国人では人身売買等で外国人を日本で働かせるため、ブローカー等が介在して偽装結婚させるケースがある。就労を目的として偽装結婚するケースでは、婚姻の合意があり実質的な結婚生活が伴っている場合には、結婚自体の違法性を認めることは難しい。さらに、制限なく就労できる在留資格(永住者の配偶者等、日本人の配偶者等など)を持っている場合は、就労していること自体は合法である。

また犯罪ではないが、短期間の結婚をしてブラックリストを回避し(携帯電話等を)契約をするケースもあるという。

架空の扶養を用いて、脱税する目的、あるいは贈与税脱税のために偽装結婚の後に偽装離婚をする。

在留資格の取得を目的としたもの[編集]

外国人が配偶者の身分として取得できる在留資格(「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」等)は、形式的及び実質的な結婚の実態があると入国管理局が認めれば許可される。そのため、現在は在留資格を持たない人、または他の在留資格では引き続き在留できない人などが、在留資格取得のために相手に金銭を払うなどして偽装結婚の意思を示して結婚することがある。両者に婚姻の合意があり( 日本国憲法第24条)、結婚後も相互扶助しながら暮らしている場合(民法752条)は、結婚が偽装であるという刑法上の認定は困難となる。

外国人の偽装結婚の中には、在留資格を得て合法的に就労することを主目的として行うものがある。特に身分系の在留資格のうち、日本人、在留資格「永住者」、在留資格「定住者」のいずれかの配偶者としての在留資格が得られれば、時間や職種の制限なく就労できるという出入国管理及び難民認定法の規定があるためである。

性的少数者が異性と結婚するケース[編集]

全ての性的少数者が異性との結婚を望んだり、実際に結婚する訳ではない。性的少数者のうち同性愛者が異性と結婚することは、当事者の性的指向とは異なる相手と結婚することを意味している。具体的な目的は個々のケースにより異なるが、社会的な信用(世間体)や生活の安定を得ること、実子を持ちたいことなどが主な理由とされる。

ゲイレズビアンや、ゲイとおこげの「友情婚」など、相手の性的指向について了承し合っているケースでは、異性と籍を入れているという部分のみを重視し、婚姻生活の実態を伴わない場合もあるが、家庭を持つことを目的としたケースでは実態の伴う婚姻生活が必要となるため、いわゆる偽装結婚の定義とは異なる。また、こうしたケースでは、当事者が配偶者に自身の性的指向を明かしていない場合もあり、配偶者が自身の夫や妻が同性愛者だと気づかないまま婚姻生活を営んでいる可能性もあり得る。

近年では海外のいくつかの国や地域において性的少数者の婚姻を認める制度が整備され、また事実婚などパートナーシップの多様性が広がっている。

偽装結婚を題材にした作品[編集]