平成27年台風第15号

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平成27年台風第15号(Goni、コーニー)
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ひまわり8号による衛星画像(8月23日)、左側に台湾と中国大陸が見える。
ひまわり8号による衛星画像(8月23日)、左側に台湾中国大陸が見える。
発生期間 2015年8月15日 3:00
- 8月26日 6:00
寿命 258時間
最低気圧 930hPa
最大風速
(日気象庁解析)
50m/s(100knot)
最大風速
米海軍解析)
115knot
平均速度 19.9km/時
476km/日
移動距離 5124km
死傷者数 死者34名
被害地域 カロリン諸島北マリアナ諸島グアムフィリピン中国台湾日本韓国北朝鮮ロシア
プロジェクト : 気象と気候災害
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平成27年台風第15号(へいせい27ねんたいふうだい15ごう、アジア名:Goni、命名:韓国、意味:白鳥[1]、フィリピン名:Ineng)は2015年平成27年)8月15日に発生した台風

概要[編集]

進路図

8月12日に発生した熱帯擾乱が次第に発達し、14日には合同台風警報センター(JTWC)が熱帯低気圧番号16Wを割り当てた。16Wは15日3時(協定世界時14日18時)にマリアナ諸島の北緯13度、東経148.2度で台風となり[2][3]、アジア名コーニー(Goni)と命名された[4][5]。なお、同時刻に15号の東方で16号が発生している[6]

当初、中心気圧1000ヘクトパスカル程度であった台風は日本の南の海上を西進しながら次第に勢力を増し、16日15時(協定世界時16日6時)からの24時間で中心気圧を45ヘクトパスカル低下させて935ヘクトパスカルの勢力となり[4]、18日午前にフィリピンの監視領域に達したため、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)によってフィリピン名イネンIneng)と命名された[7]フィリピン海を西進した台風は非常に強い勢力を維持したまま20日にルソン島へと接近[8]。21日夜にはフィリピンの東の海上で一時停滞したが[9]、その後進路を北寄りに変えて22日には沖縄の南海上を進み、先島諸島に接近[10]。23日には雲の形がやや崩れ、強い勢力に弱まったが、24日には東シナ海上で再発達、眼がはっきりとした、勢力の非常に強い状態になり[11]、19時頃、眼は西表島上空を通過したものと見られる[12]。23日夜には石垣島で最大瞬間風速の記録を更新した[13][14]南西諸島各島を暴風域に巻き込みながら東シナ海を北東に進み、25日の4時過ぎに鹿児島県阿久根市付近を通過し、25日5時過ぎに熊本県宇城市付近を通過し[15]、6時過ぎに同県荒尾市付近に上陸した[16][17]。その後も九州や中国、四国の一部などを暴風域に巻き込みながら九州北部を縦断し、25日昼前に日本海へ抜けた。その後21時に(協定世界時25日12時)に北緯36.5度、東経132.3度で温帯低気圧に変わった[3][18]

影響[編集]

フィリピン[編集]

台風の接近に備えて19日朝には各政府機関が対応を開始[19]、台風の接近した20日夕方にはルソン島北部に位置するカガヤン州バブヤン諸島バタネス州バタン諸島などにシグナル3、カガヤン州の他の地域とイサベラ州北部、カリンガ州アパヤオ州アブラ州イロコス・ノルテ州にシグナル2、イサベラ州の他の地域とアウロラ州北部、キリノ州ヌエヴァ・エシハ州イフガオ州マウンテン州ベンゲット州ラウニオン州イロコス・スル州にシグナル1の暴風雨警報が発令された[20]。 9月5日までの集計で洪水129ヶ所と河川の越流25ヶ所、治水施設への被害15ヶ所、地滑り・崖崩れ13ヶ所、建造物の損壊10ヶ所などのほか、死者33名、負傷者24名、行方不明7名、家屋の損壊5,742棟が確認されており、約318,000人が避難した[21]。なお、9月5日時点で判明している被害額はインフラや農業・水産業などで約41億フィリピンペソ(約100億円[22])となっている[21]

台湾[編集]

20日午後に中央気象局が台湾南東の海域とバシー海峡を対象として海上台風警報を発令した[23]

日本[編集]

20日以降、沖縄本島と離島との間を結ぶ船便が欠航[24]、複数の航空便も欠航した。先島諸島に接近した23日、21時16分に石垣市登野城で南南西の風71.0メートルを観測し、これまでの最大瞬間風速の記録を更新した[13][14]。また、25日には熊本県熊本城旧細川刑部邸の長塀が約70メートルにわたって大きく倒壊した[25]

三重県から熊本県までの7県で約245,000人に避難指示、約528,000人に避難勧告が出された[26]。なお確認されている被害は死者1名、重軽傷者147名、家屋の全半壊140棟、一部破損3555棟、床上・床下浸水397棟。非住家の被害1406棟[26]。また農林水産関係への被害額は9月4日15時までの集計で約67億円となっている[27]

風水害等による支払保険金の額
順位 災害名 地域 対象年月日 支払件数 (件) ※ 支払保険金 (億円) ※
火災・新種 自動車 海上 合計
1 平成30年台風第21号 大阪京都兵庫 2018年9月3日 - 5日 857,284 9,363 780 535 10,678
2 令和元年東日本台風(令和元年台風第19号) 東日本中心 2019年10月6日 - 13日 295,186 5,181 645 - 5,826
3 平成3年台風第19号 全国 1991年9月26日 - 28日 607,324 5,225 269 185 5,680
4 令和元年房総半島台風(令和元年台風第15号) 関東中心 2019年9月5日 - 10日 383,585 4,398 258 - 4,656
5 平成16年台風第18号 全国 2004年9月4日 - 8日 427,954 3,564 259 51 3,874
6 平成26年豪雪 関東中心 2014年2月 326,591 2,984 241 - 3,224
7 平成11年台風第18号 熊本山口福岡 1999年9月21日 - 25日 306,359 2,847 212 88 3,147
8 平成30年台風第24号 東京神奈川静岡 2018年9月28日 - 10月1日 412,707 2,946 115 - 3,061
9 平成30年7月豪雨 岡山広島愛媛 2018年6月28日 - 7月8日 55,320 1,673 283 - 1,956
10 平成27年台風第15号 全国 2015年8月24日 - 26日 225,523 1,561 81 - 1,642

※ - 支払件数・支払保険金は見込であり、支払保険金は千万円単位で四捨五入して算出しているため、各項目を合算した値と合計欄の値が一致しないことがある。


記録[編集]

降水量については8月22日0時から26日24時までのアメダス観測値[27]。台風から遠く離れた三重県や奈良県などで大雨となり、三重県の宮川や尾鷲では24時間降水量が500ミリを越えた[27]。風は台風の進路に近い九州・沖縄で強くなり、最大瞬間風速の上位10位まではすべて沖縄県で観測された[27]

1時間降水量[編集]

地点名 降水量 観測日時 備考
雲仙岳(長崎県) 134.5ミリ 25日5時43分まで 観測史上1位、8月の1位
宮川(三重県) 101.0ミリ 25日20時4分まで 観測史上1位タイ
粥見(三重県) 99.0ミリ 25日20時50分まで 観測史上1位、8月の1位
中甑(鹿児島県) 89.0ミリ 25日4時5分まで 8月の1位
津(三重県) 82.0ミリ 25日21時19分まで
尾鷲(三重県) 79.5ミリ 25日13時19分まで
牛深(熊本県) 79.5ミリ 25日4時37分まで
油谷(山口県) 78.0ミリ 25日9時13分まで 観測史上1位、8月の1位
東厚保(山口県) 77.5ミリ 25日9時30分まで
椿ヶ鼻(大分県) 74.0ミリ 25日7時12分まで 8月の1位

24時間降水量[編集]

地点名 降水量 観測日時 備考
宮川(三重県) 677.5ミリ 25日21時30分まで 8月の1位
尾鷲(三重県) 535.0ミリ 25日21時40分まで
下北山(奈良県) 353.5ミリ 25日20時50分まで
粥見(三重県) 341.5ミリ 25日22時20分まで
御浜(三重県) 319.0ミリ 26日2時10分まで
雲仙岳(長崎県) 288.0ミリ 26日0時20分まで
えびの(宮崎県) 284.5ミリ 25日18時40分まで
上北山(奈良県) 280.5ミリ 25日22時10分まで
肝付前田(鹿児島県) 277.5ミリ 25日8時10分まで
田代(鹿児島県) 276.5ミリ 25日7時40分まで

期間降水量[編集]

地点名 降水量
宮川(三重県) 680.5ミリ
尾鷲(三重県) 544.0ミリ
石垣島(沖縄県) 362.5ミリ
下北山(奈良県) 355.0ミリ
粥見(三重県) 352.5ミリ
御浜(三重県) 321.0ミリ
えびの(宮崎県) 307.0ミリ
盛山(沖縄県) 304.0ミリ
雲仙岳(長崎県) 297.0ミリ
田代(鹿児島県) 288.0ミリ

最大風速[編集]

地点名 風速(風向) 観測日時 備考
石垣島(沖縄県) 47.9m/s(南西) 23日22時21分 8月の1位
盛山(沖縄県) 44.9m/s(南西) 23日22時51分
北原(沖縄県) 40.7m/s(南) 24日10時21分 8月の1位
大原(沖縄県) 38.8m/s(東) 23日17時24分 8月の1位
伊原間(沖縄県) 37.4m/s(南西) 23日24時0分 観測史上1位、8月の1位
中筋(沖縄県) 35.1m/s(南) 24日0時21分 8月の1位
波照間(沖縄県) 34.9m/s(東) 23日15時56分 8月の1位
志多阿原(沖縄県) 34.7m/s(西) 23日19時5分 8月の1位
下地(沖縄県) 32.5m/s(南) 24日2時44分
枕崎(鹿児島県) 32.2m/s(南南東) 25日2時27分
西表島(沖縄県) 32.2m/s(北東) 23日18時17分

最大瞬間風速[編集]

地点名 風速(風向) 観測日時 備考
石垣島 71.0m/s(南南西) 23日21時16分 当地点歴代1位・国内歴代7位[28]
盛山 67.4m/s(南南西) 23日22時18分 当地点歴代1位[29]
大原 58.9m/s(東) 23日17時17分 当地点歴代2位[30]
波照間 56.1m/s(東) 23日15時56分 当地点歴代2位[31]
伊原間 54.6m/s(南東) 23日23時47分
西表島 54.1m/s(東北東) 23日19時8分 -
北原 54.0m/s(南) 24日10時7分 -
志多阿原 50.9m/s(西南西) 23日18時50分 当地点歴代3位[32]
久米島 47.8m/s(南) 24日10時27分 -
中筋 54.1m/s(東北東) 23日19時8分 -

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 台風の番号と名前”. 気象庁. 2015年8月18日閲覧。
  2. ^ 平成27年 台風第15号に関する情報”. 気象庁 (2015年8月15日). 2015年8月18日閲覧。
  3. ^ a b 台風201515号 (GONI) - 詳細経路情報”. デジタル台風. 2015年8月18日閲覧。
  4. ^ a b 台風201515号 (GONI) - 総合情報(気圧・経路図)”. デジタル台風. 2015年8月18日閲覧。
  5. ^ 台風15号「コーニー」発生”. 日本気象協会 (2015年8月15日). 2015年8月18日閲覧。
  6. ^ 台風 2個同時発生は8年ぶり 今後は”. 日本気象協会 (2015年8月15日). 2015年8月18日閲覧。
  7. ^ SEVERE WEATHER BULLETIN #1 TROPICAL CYCLONE ALERT: TYPHOON "INENG" (GONI)”. フィリピン大気地球物理天文局 (2015年8月18日). 2015年8月18日閲覧。
  8. ^ 平成27年 台風第15号に関する情報 第18号 (位置)”. 気象庁 (2015年8月20日). 2015年8月20日閲覧。
  9. ^ 平成27年 台風第15号に関する情報 第28号 (位置)”. 気象庁 (2015年8月21日). 2015年8月21日閲覧。
  10. ^ 平成27年 台風第15号に関する情報 第36号”. 気象庁 (2015年8月22日). 2015年8月22日閲覧。
  11. ^ http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/summary/wnp/k/201515.html.ja”. デジタル台風 (2015年8月24日). 2015年8月24日閲覧。
  12. ^ 気象衛星”. 気象庁 (2015年8月23日). 2015年8月24日閲覧。
  13. ^ a b 平成27年 台風第15号に関する情報 第66号 (位置)”. 気象庁 (2015年8月23日). 2015年8月24日閲覧。
  14. ^ a b 石垣島で記録的な暴風”. 日本気象協会 (2015年8月23日). 2015年8月24日閲覧。
  15. ^ 平成27年 台風第15号に関する情報 第104号”. 気象庁 (2015年8月25日). 2015年8月25日閲覧。
  16. ^ 平成27年 台風第15号に関する情報 第106号”. 気象庁 (2015年8月25日). 2015年8月25日閲覧。
  17. ^ 台風15号 熊本県荒尾市付近に上陸”. 日本気象協会 (2015年8月25日). 2015年8月25日閲覧。
  18. ^ 台風15号が温帯低気圧に変わりました”. 日本気象協会 (2015年8月26日). 2015年8月26日閲覧。
  19. ^ SitRep No.1 re Preparedness Measures for Typhoon "INENG" (GONI) (PDF)”. フィリピン国家災害リスク削減管理委員会 (2015年8月19日). 2015年8月20日閲覧。
  20. ^ Severe Weather Bulletin No.9 for Typhoon INENG (GONI) (PDF)”. フィリピン国家災害リスク削減管理委員会 (2015年8月20日). 2015年8月20日閲覧。
  21. ^ a b SitRep No.22 re Preparedness Measures and Effects of Typhoon "INENG" (GONI) (PDF)”. フィリピン国家災害リスク削減管理委員会 (2015年9月5日). 2015年9月9日閲覧。
  22. ^ 8月21日時点の為替レート1ペソ=2.626円を元に算出
  23. ^ “台風15号で海上台風警報発令”. Radio Taiwan International. (2015年8月20日). http://japanese.rti.org.tw/news/?recordId=31654 2015年8月21日閲覧。 
  24. ^ “台風15号:八重山きょう強風域 船便欠航も”. 沖縄タイムスプラス. (2015年8月21日). http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=129451 2015年8月21日閲覧。 
  25. ^ http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150825-00000039-nnn-soci”. YAHOO!ニュース (2015年8月25日). 2015年8月25日閲覧。
  26. ^ a b 平成27年台風第15号に係る被害状況等について(第14報)”. 総務省消防庁 (2017年2月21日). 2019年9月25日閲覧。
  27. ^ a b c d 台風第15号による大雨等に係る被害状況等について(9月8日10:00現在)”. 内閣府 (2015年9月8日). 2015年9月8日閲覧。
  28. ^ 気象庁”. 気象庁. 2015年8月24日閲覧。
  29. ^ 気象庁”. 気象庁. 2015年8月24日閲覧。
  30. ^ 気象庁”. 気象庁. 2015年8月24日閲覧。
  31. ^ 気象庁”. 気象庁. 2015年8月24日閲覧。
  32. ^ 気象庁”. 気象庁. 2015年8月24日閲覧。

外部リンク[編集]