天守物語
『天守物語』(てんしゅものがたり)は、1917年に泉鏡花によって書かれた戯曲。文芸誌『新小説』に発表された。鏡花は「この戯曲を上演してもらえたら、こちらが費用を負担してもよい」という主旨の発言をしているが、生前には舞台化されなかった。第二次大戦後(1951年)に、新派の花柳章太郎(富姫)、水谷八重子 (初代)(亀姫)らによって初演された(演出は千田是也)。[1][2]
澁澤龍彦が『夜叉ヶ池 天守物語』(岩波文庫)解説を執筆しており、前者より「天守物語」を高く評価している。
坂東玉三郎監督・主演、宮沢りえ共演で1995年に映画化されている。2006年にフジテレビ系列のTVアニメ『怪 〜ayakashi〜』において『四谷怪談』『化猫』と並ぶ3つの怪談の一つとしてアニメーション化された。製作は東映アニメーション。
2011年に文化庁芸術祭主催公演として、白井晃演出で舞台化された。また2012年にスタジオライフが上演している。[3][4][5][6]
目次
あらすじ[編集]
姫路城の天守から、妖しい夫人が地上を高みの見物のように見下ろしている。地方(猪苗代)から亀姫が遊びに来訪したりする。夫人が、地上での鷹狩の最中に不思議な力で鷹を武士らから奪い取ると、若い美男の鷹匠、図書之助が鷹を追って天守に上ってくる。恋に落ちる夫人と図書之助。そして事態は思わぬ方向へ……。
派生作品[編集]
- 『天守物語』金子國義・画、津原泰水・監修 (キノブックス、2015年)[7]
- 『天守物語』戯曲の出版100周年記念の画文集、宇野亞喜良、山本タカト・画(河出書房新社、2016年)[8]
- 『鏡花夢幻 波津彬子選集 第1巻』朝日新聞出版、2017年。「天守物語」、「夜叉ヶ池」、「海神別荘」を漫画化した作品(新版)
映画版[編集]
1995年(平成7年)製作、9月9日公開。松竹創業百年の記念作品。[9][10][11]
- 監督、主演:坂東玉三郎 (5代目)
- 出演:宮沢りえ、宍戸開他
舞台(1977年)[編集]
坂東玉三郎の主演で日生劇場で公演。音楽:冨田勲(シンセサイザー演奏の録音)
舞台(1999年)[編集]
1999年2月13日18:30と2月14日15:00に新国立劇場・オペラ劇場て全2回公演。[12]
キャスト[編集]
- 天守夫人・富姫:大川隆子/佐藤ひさら
- 姫川図書之助:小栗純一/黒田博
- 猪苗代亀の城・亀姫:斉田正子/天羽明惠
- 奥女中薄:永田直美/森山京子
- 朱の盤坊:築地利三郎/大澤建
- 舌長姥:丹波勝海/浦野りせ子
- 侍女・女郎花:小川明子
- 萩:腰越満美
- 葛:三角枝里佳
- 撫子:高橋知子
- 桔梗:津久井明子
- 山隈九平:峰茂樹
- 小田原修理:小宮一浩
- 武田播磨守:久保和範
- 近江之丞桃六:平野忠彦
スタッフ[編集]
- 公演監督:大賀寛
- 台本:金窪周作
- 補作:まえだ純
- 作曲:水野修孝
- 指揮:星出豊
- 演出:栗山昌良
- 舞台美術:石黒紀夫
- 衣裳:緒方規矩子
- 照明:沢田祐二
- 合唱指揮:坂本和彦
- 舞台監督:中村眞理
- 演出助手:小須田紀子/十川稔
- 副指揮:樋本英一/須藤桂司
- 芸術監督:畑中良輔
- 合唱:新国立劇場合唱団/杉並児童合唱団
- 管弦楽:東京交響楽団
舞台(2011年)[編集]
2011年11月5日から20日まで新国立劇場・中劇場にて上演。[13][14][15][16]
「演劇特集 舞台 泉鏡花『天守物語』」は2012年1月15日15:00 - 17:00にNHK Eテレて放送、2017年1月22日0:00 - 1:55にNHK Eテレて再放送。[17][18]
キャスト[編集]
- 富姫:篠井英介
- 姫川図書之助:平岡祐太
- 亀姫:奥村佳恵
- 薄:江波杏子
- 舌長姥:田根楽子
- 近江之丞桃六:小林勝也
- 小田原修理:関戸将志
- 山隅九平:関秀人
- 朱の盤坊:坂元健児
- 桔梗:村岡希美
- 葛:粟田麗
- 撫子:鳴海由子
- 萩:小見美幸
- 女郎花:岡野真那美
- 女の童:冠野智美、浅場万矢、飛鳥井みや
- 討手:津村雅之、今國雅彦、稲葉俊一、早川友博、関佑太、遠藤広太、平良あきら
スタッフ[編集]
- 演出:白井晃
- 音楽:三宅純
- 演奏:山田貴之
- 美術:小竹信節
- 照明:斎藤茂男
- 音響:井上正弘
- 衣装:太田雅公
- 振付:康本雅子
- 殺陣:渥美博
- ヘアメイク:川端富生
- 演出助手:河合範子
- 舞台監督:藤崎遊
- 芸術監督:宮田慶子
- 主催:文化庁芸術祭執行委員会、新国立劇場
- 共催:TBS
- 後援:TBSラジオ
舞台(2014年)[編集]
能楽師の梅若六郎玄祥が総合監修を担当。題名は、『新版 天守物語』。
フェスティバルホールとBunkamura オーチャードホールにて2014年4月に上演。[19][20][21][22]
キャスト[編集]
スタッフ[編集]
- 演出:高橋正徳
オペラ[編集]
1979年初演。(1977年にテレビオペラとしてNHKの委嘱により作曲・放送され、そののち舞台作品として改訂・上演された。)[23][24]
関連項目[編集]
- 怪 〜ayakashi〜
- ACT泉鏡花#第六景 天守物語
- 夜想曲 (ドビュッシー)- 初演時に「雲」が伴奏に使われた。[25]
脚注[編集]
- ^ 天守物語(てんしゅものがたり)とは - コトバンク
- ^ 須永朝彦バックナンバー03泉鏡花
- ^ スタジオライフ×ロック×鏡花!?omoshii(2012/4/26)
- ^ 宇野亞喜良&BUCK-TICK今井寿も登場 Studio Life『天守物語』公演記念イベントが開催演劇ポータルサイト/シアターガイド(2012/4/27)
- ^ SPECIAL! BUCK-TICK今井寿×宇野亞喜良×スタジオライフ 奇跡のコラボ!omoshii(2012/6/17)
- ^ お祭り気分で愉快に スタジオライフ「天守物語」朝日新聞デジタル(2012年7月6日)
- ^ 天守物語 Tenshu Monogatari - KINOBOOKS(キノブックス)
- ^ 天守物語-泉鏡花 宇野亜喜良 山本タカト - 河出書房新社
- ^ 天守物語 : 作品情報 - 映画.com
- ^ 天守物語|一般社団法人日本映画製作者連盟
- ^ 天守物語 | 映画の動画・DVD - TSUTAYA/ツタヤ
- ^ [ID:147] 天守物語 : 資料情報 | 所蔵品検索 | 新国立劇場 情報センター
- ^ 妖怪は人間より美しい!? 『天守物語』稽古場レポートチケットぴあ(2011/11/2 18:20)
- ^ 平岡祐太の“熱演”に篠井英介が大絶賛「劇世界を背負って立つ大ヒーロー」 ORICON NEWS(2011-11-03 18:05)
- ^ 篠井英介が平岡祐太の演技を大絶賛!!「平岡祐太は見かけによらずすごい!」ザテレビジョン(2011/11/04 14:18)
- ^ 篠井英介、平岡祐太が語る泉鏡花の世界『天守物語』演劇情報サイト・ステージウェブ(2011年11月 7日)
- ^ 演劇公演「天守物語」中継放送のお知らせ新国立劇場(2012年1月13日)
- ^ 演劇「天守物語」(2011年11月公演)アンコール放送のお知らせ新国立劇場(2017年1月13日)
- ^ 大空祐飛、三上博史ら出演 梅若六郎玄祥総合監修『新版 天守物語』製作発表会(シアターガイド、2014/2/4)
- ^ 「私なりの花を」大空祐飛が泉鏡花の舞台に挑むチケットぴあ(2014/2/4 17:13)
- ^ 大空、三上…さまざまなジャンルのコラボでみせるスターファイル - 朝日新聞社(2014年2月17日)
- ^ 恋をした女の愛らしさ、大空が熱演スターファイル - 朝日新聞社(2014年5月14日)
- ^ 2016年 日本オペラ協会「天守物語」上演パンフレット
- ^ 白鷺城の天守にうごめく魔性のものたち———泉鏡花の幽玄な世界《天守物語》公演レポート オペラ・エクスプレス
- ^ 中央公論社版 日本の文学4『尾崎紅葉・泉鏡花』への三島由紀夫による解説