カメラ

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写真機から転送)
一眼レフカメラ、ニコンF。
カメラ店に並ぶさまざまなカメラ(一眼レフカメラ、レンジファインダーカメラなど)。
2020年代に、写真に熱心な人々やプロによく売れるようになってきているミラーレス一眼カメラの一例。
映像撮影用(映画などの撮影用)のカメラの一例。

カメラ: camera: Kamera)は、写真(や映像)を撮影するための光学的な機械や装置[1]写真機(しゃしんき、寫眞機)ともいう。なお、ドイツ語に近い形でカメラと呼ぶ場合が多いが、英語風にキャメラと呼ぶ場合もある。スチール写真(静止画)だけを撮影するものも、映像(動画)を撮影するためのものも、兼用のものもある。

概説[編集]

光学的に像を結ぶための光学系(レンズ等)を持ち、スチール写真(静止画)や映像(2010年代以降の若者言葉では「動画[2])を撮影するための装置である。高機能なスマートフォン(携帯電話)などに搭載されている静止画・動画撮影兼用の「カメラモジュール」等を「カメラ」と呼ぶことも増えている。

語源

もともとの語源であるラテン語のcameraは「小さな部屋」を意味し、これはのちに政治財政を司る「部屋」(官房国庫)などと意味が拡大した(官房学参照)。カメラの由来である「カメラ・オブスクラ」の「オブスクラ」(やはりラテン語で、obscura)は「暗い」という意味で、画家が風景画を描く際に用いた暗室に由来する(#歴史参照)。

構造[編集]

カメラは基本的に、遮光されたボディ(暗箱)に、

  1. レンズ
  2. シャッター
  3. ファインダー
  4. 焦点調節装置(ヘリコイド)
  5. 撮像素子

を取り付けた物であり、レンズには通常、絞りが組み込まれている。

レンズ[編集]

被写体からの光を集めて一点に像を結ぶようにするもので、カメラの基本的な要素部品である[3]

絞り[編集]

レンズからの光量を調節するための機構を絞りという[3]

ファインダー[編集]

カメラで写る範囲を確認するための窓をファインダーという[3]

撮影範囲を知るためのビュー・ファインダー(ファインダー)を、撮影用レンズと独立させて取り付けたものをビュー・ファインダー・カメラという。構造が簡単なため、安価なカメラに使用される。ファインダーには簡単なレンズが使用されることが多いが、ライカMシリーズのように、距離計と組み合わせて精密な焦点調節を可能にしているものもある。これらは距離計連動式カメラ(レンジファインダーカメラ)と呼ばれる。また、フィルムカメラにおいては、一眼レフカメラ・二眼レフカメラに対しコンパクトカメラと呼ぶ。

この形式の不可避の欠点として、撮影用レンズとファインダーが独立していることによるパララックス(視野の誤差)が生じるが、ほとんどの距離計連動式カメラにはパララックス補正装置が組み込まれている。またビュー・ファインダー・カメラは、その視差の為に極端な近接撮影には向かない。

出荷統計[編集]

2019年1~12月期のデジカメ世界出荷台数に関して、カメラ映像機器工業会(CIPA)の発表によると(前年同期比21.7%減の)1521万台だったとされた。(アジア向けが26.3%減と落ち込んだが、これはスマートフォンの撮影性能が向上したのと競合したことで、入門機を中心に台数が落ち込んだとみられる。)種類別の内訳では、コンパクト型が(22%減の)675万台、一眼レフが(32%減の)450万台だった。2019年時点でミラーレスカメラの出荷台数が395万台でデジタルカメラ全体の26%を占め、存在感が高まってきていた。[4]

2020年は、カメラ映像機器工業会(CIPA)の発表によると、(スマホの影響に加えて)コロナ禍によるイベント中止や外出自粛がデジタルカメラの出荷台数にも大きく影響してしまい、世界出荷台数が(19年比42%減の)888万台だった。機種別では(どの機種も減少してはいたが)ミラーレスが293万台(26%減)、一眼レフは237万台(前年比47%減)で、つまり年間ベースでミラーレスが一眼レスを(初めて)抜いた。[5] つまり写真に熱心な人々やプロを対象とした市場ではミラーレス一眼カメラが一番の売れ筋になってきている。

歴史[編集]

レンズと鏡を用いた携帯式カメラ・オブスクラ。これがのちの写真機の原型になった

カメラの原理は、写真術の発明以前から知られていた。16世紀、画家が風景画を描く際、壁面に小さなを空け、反対側の壁面に外の景色が映し出されるという暗室(カメラ・オブスクラ)が利用された[3]。のちにカメラ・オブスクラには小穴の代わりにレンズが取り付けられ、より鮮明な像が得られるようになった[3]。さらに反射鏡によって箱の上面に像を結ばせるようにした小型のカメラ・オブスクラが作られた。これは絵画における遠近画法の確立に寄与したと言われている。

1824年ニセフォール・ニエプスが世界初の写真である「ヘリオグラフィ」を発明、携帯型カメラ・オブスキュラの画像が定着できるようになった。1839年8月19日にはルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが初の実用的写真術「ダゲレオタイプ」を発表。その後のカメラは、写真とともに発展していった。

19世紀末までに、記録媒体として写真フィルムが普及し、コンパクトで手軽に写真が撮影できるカメラが大衆化する。1950年代まではイギリスドイツアメリカ合衆国が世界市場を牽引していたが、1970年代以降は、日本製のカメラが世界市場を席巻する。1963年昭和38年)には、露出を自動化したAEカメラが現れた。さらに1977年(昭和52年)には、オートフォーカス機構が実用化され、構図を決めてシャッターを押すだけで写真が撮れるのが当たり前の時代になった。

2000年平成12年)ごろから、従来の銀塩フィルム上の化学反応による撮影画像の記録ではなく、撮像素子(CCDなど)からの電気信号をデジタルデータ化して記録するデジタルカメラが普及し始める。その後デジタルカメラは勢力を伸ばし、ついには従来のフィルムカメラを駆逐する勢いとなって、それに伴いフィルムカメラ関連の事業は縮小していった。

種類[編集]

銀塩式とデジタル式[編集]

銀塩カメラ[編集]

フィルム印画紙などの感光材料を利用したカメラで、フィルム式カメラやインスタントカメラなどデジタルカメラ以外のほとんどのカメラが銀塩カメラにあたる[6]。銀塩は感光材料の主たる原料に銀や塩素の化合物が用いられていることに由来する[6]

銀塩写真では撮影時に光を銀や塩素の化学反応として記録し、それを別の化学反応によって目に見える形に変化させる現像の処理が必要なため画像が出来上がるまでに時間がかかる[6]。また、銀塩写真では撮影するたびにフィルムを消費するためコストが比較的高くなる[6]

一方で銀塩写真は化学反応の強弱に応じた細かい諧調表現が可能なことや現像のプロセスを楽しむ目的などから未だに人気がある[6]

デジタルカメラ[編集]

デジタルカメラは、銀塩などの化学的な感光材料のかわりに、感光を電気信号に変換する部品(撮像素子)を用いたカメラである[6]。いわゆる電子ガジェット類に機能の一つとして付属している場合もある。

デジタルカメラはモニター画面を通して撮影後すぐに結果を見ることができ、色や画像のデジタル処理も容易に行うことができる[6]。また、デジタルカメラは撮影のみの場合にはほとんどコストがかからないなどの利点もある[6]。コストを気にせず桁違いに多数撮影することができ、撮影したものは原則的に紙にはプリントせず、(コンピュータのHDDや外付けHDDなどに転送・蓄積させ)コンピュータの大きめで高精細のディスプレイで鑑賞するということが一般化している。

スチルカメラとムービーカメラ[編集]

スチルカメラ[編集]

静止した写真の撮影用のカメラをスチルカメラという[注釈 1][6]

ムービーカメラ[編集]

動画の撮影用のカメラをムービーカメラ(シネマカメラ、シネカメラ)という[6]

銀塩式(フィルム式)のムービーカメラの場合は小さいコマにフィルムを連続的に供給して記録する必要がある[6]

デジタル式の場合はスチールとよく似た仕組みでムービーの機能も実現できることから、多くのデジタルカメラは短時間の動画を撮影する機能を持つ[6]

コンパクトカメラとレフカメラ[編集]

コンパクトカメラ[編集]

コンパクトタイプのカメラは撮影の機能はシンプルに抑え持ち運びに便利なようにしたカメラである[6]

一眼レフカメラ[編集]

一眼レフカメラとは、フィルムに写る画像を鏡を使って反射(レフレックス)し、それをスクリーンに投影してそのままファインダー像とするカメラ[3]。撮影用レンズとフイルムとの間に45°の反射鏡(レフレクター)を配し、フィルム上と同等の画像を上方(一部のカメラにあっては側方)のピントグラス上に結像させ、確認できるようにしたカメラである。シャッターを開く際は、反射鏡が移動されてフィルム面へと光路が切り替わる。

二眼レフカメラ[編集]

撮影レンズと同じ焦点距離のレンズによるレフレックス型ファインダーのカメラ[3]。一眼レフカメラと同様に45°の反射鏡を使って、本体上部のピントグラス上にファインダー像を得る方式だが、撮影用レンズと同等のファインダー用レンズが別に存在するカメラである。ファインダーに映る像は左右が反転する[3]。ビュー・ファインダー式と同様に視差を生じる。

フィルムの大きさによる分類[編集]

製造者・使用者双方の利便性の為にフィルムの種類は規格化されており、規格ごとに概ね以下のように分類できる(なお、例えば以下では110を「超小型」に分類しているが、「小型」に分類されることも多いと思われるように、厳密な分類があるわけではない)。

小型カメラ[編集]

多くは35mmフィルムを使うカメラ。画面フォーマットとしてはライカ判(24×36mm判)が主流だが、一コマ分を長手方向に半分にして使用する35mmハーフ判もある。また、126カートリッジ・フィルムAPSフィルム(IX240)を使うカメラも小型カメラに分類される。

中型カメラ[編集]

中型カメラに分類される中判カメラは、120フィルムまたは220フィルム(ブローニーフィルム)を使うカメラ。画面フォーマットとしては、6×4.5cm判、6×6cm判、6×7cm判、6×8cm判、6×9cm判、6×12cm判、6×17cm判などがあるが、実際の画面サイズはカメラによって違う事もある。

大型カメラ[編集]

大型カメラに分類される大判カメラは、4×5インチ以上で、一般に、ロールフィルムではなくいわゆるシートフィルムである。4×5in判、5×7in判、8×10in判など。

超小型カメラ[編集]

16mmフィルムミノックス・サイズのフィルムを使うカメラ。戦前から戦後に流行した豆カメラや、110カートリッジ・フィルムを使うカメラ(ポケットカメラと呼ばれていた)等。ギネスブック等で「一般市販された世界最小の(フィルム)カメラ」とされるのは、1948年から日本の「聖ペテロ光学」により少数が製造された円形カメラ「ペタル」(Petal 直径29mm・厚さ16mm・重量60g。専用24mm円形フィルム6枚撮り)。

その他の分類[編集]

以下は、撮影方式・用途、その他による分類である。

三脚・一脚[編集]

三脚は、重量のあるカメラ・レンズやスローシャッターの使用、長時間露光(夜景・花火天体写真など)、セルフタイマーで撮影者も写る場合などに使われる。三脚や一脚は、手ブレを防ぐのにも有効だが、使用の手間もかかるので、35ミリなどの小型カメラでは限られた場合にのみ用いられる。最近は、各社メーカーから、軽量のものが出され、大型のものは主流がカーボンファイバーを使用したものに移行してきている。

カメラに固定するねじは、主にインチねじであるUNC1/4が使われ、まれにUNC3/8が使われる。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ still camerastill=静止した、動かない、の意。

出典[編集]

  1. ^ 『日本大百科全書』【カメラ】
  2. ^ 注 - もともと静止した写真を「写真」と呼び、"動く写真"は「映像」と言うのが正しい言い方。NHKでは2020年時点でも、「写真 / 映像」という言い方、使い分けをしており、「動画」とは(2020年時点でも)呼んでいなかった。「動画」という用語は、2000年ころまで、「日本動画協会」や「東映動画」という組織名でも分かるように、「動画」はあくまでアニメーション(写真ではない絵を連続して動かすもの)だけを指すために使われていた(もともと「画」という字は、あくまで人が描いたものだけを指すために使われている)。それが曖昧になりはじめたのは、コンピュータ上でGIFというイラストを動かすアニメーション方式のファイル形式が登場し、その技術の延長上で(コンピュータの処理能力が向上したおかげで)スチール写真もGIFファイル形式で連続的に動かせるようになった段階で、(日本語の「動画」はアニメーションしか指しておらず、写真を動かすものは「映像」と呼び分けているという伝統があることも知らない、勉強不足で語彙力が不足した若いコンピュータエンジニアが)コンピュータのマニュアルなどで写真を連続して動かすものまで(うっかり)「動画」と呼びはじめ、それが頻発するようになった段階で、各用語の境界線、用語の「使い分け」が曖昧になってしまった。だが、もともとは(2000年ころまで、少なくとも1995年ころまでは)日本語での「写真」「映像」「動画(すなわちアニメーション)」という3用語の使い分け、「線引き」はかなりはっきりしていた。現在でもNHKでは、基本的に「写真 / 映像 / アニメーション」と使いわけている。
  3. ^ a b c d e f g h カメラと写真がわかる本”. RICOH. 2020年7月2日閲覧。
  4. ^ 日本経済新聞「2019年のデジカメ出荷、22%減の1521万台に」
  5. ^ [https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ303W20Q1A130C2000000/ 日本経済新聞「デジカメ、20年世界出荷42%減 一眼をミラーレスが抜く」
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m カメラにはいろいろある”. CANON. 2020年7月2日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]