ヴァレリアン 千の惑星の救世主

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ヴァレリアン 千の惑星の救世主
Valerian and the City of a Thousand Planets
Cara Delevingne, Dane DeHaan and Luc Besson.jpg
サンディエゴ・コミコン2016に参加するデルヴィーニュ、デハーン、ベッソン
監督 リュック・ベッソン
脚本 リュック・ベッソン
原作 ピエール・クリスタン英語版
ジャン=クロード・メジエール
ヴァレリアンとローレリーヌ』(漫画)
製作 リュック・ベッソン
ヴィルジニー・ベッソン=シラ英語版
製作総指揮 マーク・ギャオ
ジン・ドン
グレゴリー・ウェノン
JC・チェン
出演者 デイン・デハーン
カーラ・デルヴィーニュ
クライヴ・オーウェン
リアーナ
イーサン・ホーク
ハービー・ハンコック
クリス・ウー
ルトガー・ハウアー
音楽 アレクサンドル・デスプラ
撮影 ティエリー・アルボガスト
編集 ジュリアン・レイ
製作会社 ヨーロッパ・コープ
TF1フィルムズ・プロダクション英語版
ファンダメンタル・フィルムズ英語版
BNPパリバ
オレンジ・スタジオ
ノヴォ・ピクチャーズ
リヴァー・ロード・エンターテインメント
ベルガ・フィルムズ・ファンド
配給 フランスの旗ヨーロッパ・コープ
アメリカ合衆国の旗STXフィルムズ英語版
日本の旗キノフィルムズ
公開 アメリカ合衆国の旗2017年7月21日
フランスの旗2017年7月26日
日本の旗2018年3月30日
上映時間 137分[1]
製作国 フランスの旗 フランス
中華人民共和国の旗 中国
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
ドイツの旗 ドイツ
言語 英語
製作費 $177,200,000[1]
興行収入 世界の旗$225,874,228[1]
アメリカ合衆国の旗$41,189,488[1]
フランスの旗$36,781,160[1]
中華人民共和国の旗$62,073,823[1]
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ヴァレリアン 千の惑星の救世主』(原題:Valerian and the City of a Thousand Planets、仏題:Valérian et la Cité des mille planètes)は、2017年に公開されたフランス中国アメリカ合衆国アラブ首長国連邦ドイツの共同製作によるSFアクション映画。ピエール・クリスタンとジャン=クロード・メジエールによるフランスの漫画シリーズ『ヴァレリアンとローレリーヌ』(Valérian et Laureline)を原作としており、リュック・ベッソンが監督・製作・脚本を手掛けた。

日本では、2018年3月30日に公開された。

あらすじ[編集]

西暦2740年。全宇宙の平和を守るべく銀河をパトロールしている連邦捜査官のヴァレリアンとその相棒ローレリーヌは、とある任務を遂行すべく"千の惑星の都市"として知られる「アルファ宇宙ステーション」へと向かう。そこは長い年月を経て拡張を続け、あらゆる種族が共存する場所だったが、その内部では邪悪な陰謀と秘密が隠されていた[2][3]

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替[4][5]

製作[編集]

企画[編集]

リュック・ベッソンは青年期からヴァレリアンシリーズを愛読していたが、彼がそれらを映画化しようと思い立ったのは『フィフス・エレメント』(1997年)製作中のことであった。同作の製作中、ベッソンはメジエールから「なぜ君はこんなどうしようもない映画を作っているのかね。どうしてヴァレリアンを映画化しないのかね。」と言われた。しかし、当時のベッソンは「人間よりもモンスターが多く登場する映画を製作するなんて不可能だ」と思ったのだという[9]。そんなベッソンにとって、2009年に公開された『アバター』はヴァレリアン映画化への道を切り開くものであったが、大きなプレッシャーを課すものでもあった。ベッソンは「技術的な面において、私は今なら全てが可能だと思いました。『アバター』は思い通りの映画を作れるか否かは想像力次第だということを証明しました。」「ジェームズ・キャメロン氏は映画に求められる水準の全てを一気に押し上げました。」と語っている。同作鑑賞後、ベッソンは本作の脚本のリライトに注力することとなった[9]。その作業には7ヶ月を費やすことになった[10]

本作の製作が公式に始まったのは2012年のことであった[11]2015年5月、デイン・デハーンとカーラ・デルヴィーニュが本作の主演に起用されたと報じられた[12]。8月19日、クライヴ・オーウェンの出演が決まった[13]

本作の製作費は1億9700万ユーロとなったが、これはフランス映画史上最高の製作費となった。本作以前の最高記録が『アステリックスと仲間たち オリンピック大奮闘』(7800万ユーロ)、『フィフス・エレメント』(7500万ユーロ)であったことを考えると、本作には破格の製作費が投じられたと言える[14]。製作費が高騰した原因の一つには、本作が英語作品であったことが挙げられる。英語で製作されたが故に、本作はフランスで1200人分の雇用を生み出したにも拘わらず、税の減免措置が受けられなかったのだという[15]。2015年5月には、ファンダメンタル・フィルムズが本作の製作に5000万ドルを出資すると発表した[16]

撮影・ポストプロダクション[編集]

本作の主要撮影2016年1月5日にパリ北部のサン=ドニで行われた[17]。シーンの大部分はブルーバックで撮影され、追加でモーションキャプチャー撮影がニュージーランドウェリントンで行われた[18]

VFXインダストリアル・ライト&マジック(以下ILM)、WETAデジタルロデオFXといった大手スタジオが主担当を務めた[18][19]。ILM社とWETAデジタル社は、本作に登場する主要な生物や宇宙人のキャラクター制作を手掛け、ロデオFX社は劇中に登場する「アルファ宇宙ステーション」および主人公たちが乗る宇宙船、そして宇宙空間での戦闘シーンの制作を手掛けた[18][19]。本作でVFXを使用したシーンは2734シーンにも及んだ[20]

コラボレーション[編集]

ベッソンら製作陣は、トヨタ自動車の高級車ブランド・レクサスのデザインチームと協力し、本作に登場する小型宇宙船「スカイジェット」を生み出した[21][22][23][24]。この宇宙船のエクステリアには、フロント部分にレクサスのデザインアイコンである「スピンドルグリル」や三眼ヘッドランプ(ランプ自体のデザインは、同ブランドの販売しているレクサス・LCにインスパイアされたものである)が採用され、随所にレクサスの意匠が施されたものとなっている[25][26]

今回のコラボレーションでレクサスと協力した理由について、ベッソンは同ブランドが「未来を見据えた革新的なテクノロジーの先駆け」であることを述べており[22]、レクサスのグローバルブランディング室長であるデイヴィッド・ノードストロームも「今回のプロジェクトにレクサスのデザイン哲学と技術革新をもたらすというチャレンジを楽しませていただいた。今後もヨーロッパ・コープとのパートナーシップを発展させることを楽しみにしている」と語っている[22][23]

公開・マーケティング[編集]

2016年11月8日、本作の宣材が公開された[27]。2017年1月3日、本作の全米配給権をSTXエンターテインメントが購入したという報道があった[28]。5月14日、『フィフス・エレメント』の4Kリマスター版の公開に先駆けて、本作の特別上映が行われた[29][30]

興行収入[編集]

本作は『ダンケルク』や『Girls Trip』と同じ週に全米公開され、公開初週末に2000万ドルから2500万ドルを稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを下回るものとなった[31]。2017年7月21日、本作は全米3553館で封切られ、公開初週末に1700万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場5位となった[32]。この結果を受けて、Deadline.comは本作を興行的失敗作と評した[33]。また、本作を製作したヨーロッパ・コープの株価が月曜日に8.31%も下落するという事態を招いた[34]

2017年7月26日にはフランスでの公開が始まった。本作は970館で封切られ、公開初週末に1220万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場1位となった[35]。なお、本作は中国市場において北米市場を上回る興行収入を記録した[36]

しかし、全体的な興行は大失敗で1憶3500万ドルの損失を計上したとして、ヨーロッパ・コープのCEOが2017年をもって退任という事態を招き、新たなCEOとしてリュック・ベッソンが就任することとなった[37]

評価[編集]

本作に対する批評家の評価は芳しいものではない。特殊効果に対しては賛辞が送られているが、ストーリーとミスキャストが批判されている[38]。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには235件のレビューがあり、批評家支持率は50%、平均点は10点満点で5.5点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』はストーリーという欠陥を乗り越えるために、躍動感と視覚効果によるスリルを使っている。その映画体験は表層的な快楽がその欠点を上回るものとなっている。」となっている[39]。また、Metacriticには45件のレビューがあり、加重平均値は51/100となっている[40]。なお、本作のシネマスコアはB-となっている[41]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f Valerian and the City of a Thousand PlanetsBox Office Mojo、2017年11月3日閲覧。
  2. ^ リュック・ベッソンSF大作「ヴァレリアン」18年3月公開!鬼気迫る場面カットお披露目”. 映画.com (2017年10月26日). 2017年11月3日閲覧。
  3. ^ ヴァレリアン 千の惑星の救世主”. Filmarks. 2017年11月3日閲覧。
  4. ^ ヴァレリアン 千の惑星の救世主”. ふきカエル大作戦!! (2018年3月30日). 2018年3月31日閲覧。
  5. ^ 「ヴァレリアン」吹替版に日野聡や沢城みゆき参加、ゆりやんレトリィバァも”. 映画ナタリー. 2018年1月16日閲覧。
  6. ^ John Goodman Joins Luc Besson’s Sci-Fi Film ‘Valerian’”. Variety (2015年12月7日). 2017年11月3日閲覧。
  7. ^ リュック・ベッソン新作、エイリアンの声にジョン・グッドマン”. 映画.com (2016年1月4日). 2017年11月3日閲覧。
  8. ^ ‘Valerian’ Adds ‘Guardians of the Galaxy’s’ Elizabeth Debicki in Voice-Over Rol”. Variety (2017年6月1日). 2017年11月3日閲覧。
  9. ^ a b Luc Besson Lays It On The Line For Passion Pic ‘Valerian’”. 2017年11月4日閲覧。
  10. ^ Luc Besson Tests the Outer Limits With Sci-Fi Epic Valerian”. 2017年11月4日閲覧。
  11. ^ Luc Besson to write-direct ‘Valerian’ adaptation”. 2017年11月4日閲覧。
  12. ^ Luc Besson To Direct ‘Valerian’ In Return To Sci-Fi, Sets 2017 Release Date – Update”. 2017年11月4日閲覧。
  13. ^ Clive Owen Set By Luc Besson For ‘Valerian’”. 2017年11月4日閲覧。
  14. ^ Luc Besson threatens to film ‘Valerian’ abroad over French tax credits”. 2017年11月4日閲覧。
  15. ^ Luc Besson's Sci-Fi Epic 'Valerian' to Shoot in France After Incentives Tweak (Report)”. 2017年11月4日閲覧。
  16. ^ Fundamental & EuropaCorp Extend Output Deal For 5 More Years, Includes $50 Million Investment In ‘Valerian’- Cannes”. 2017年11月4日閲覧。
  17. ^ Cara Delevingne Photo from the Set of Luc Besson’s Valerian”. 2017年11月4日閲覧。
  18. ^ a b c VFX: Valerian and the City of a Thousand Planets”. IBC (2017年7月28日). 2017年12月17日閲覧。
  19. ^ a b 'Valerian' Behind-the-Scenes Look Kicks Off VFX Confab FMX”. The Hollywood Reporter (2017年5月2日). 2017年12月17日閲覧。
  20. ^ Luc Besson Says Making ‘The Fifth Element’ Was a ‘Nightmare’ Compared To ‘Valerian’”. 2017年11月4日閲覧。
  21. ^ Luc Besson's‘Valerian Draws Visual Effects Heavyweights (EXCLUSIVE)”. Variety (2015年10月15日). 2017年12月17日閲覧。
  22. ^ a b c Luc Besson, Lexus Co-Pilot Design on‘Valerian Spacecraft”. Variety (2016年11月10日). 2017年12月17日閲覧。
  23. ^ a b LEXUS、映画制作会社EuropaCorpとのクリエイティブパートナーシップを締結”. lexus.jp (2016年11月11日). 2017年12月17日閲覧。
  24. ^ Making of the Lexus Skyjet, for 'Valerian and the City of a Thousand Planets'”. Luxury Insider (2017年6月27日). 2017年12月17日閲覧。
  25. ^ リュック・ベッソン監督によるSF超大作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』が3月に公開。LEXUS初のコラボデザインとなる宇宙船「スカイジェット」が登場。”. PR TIMES (2017年11月30日). 2017年12月17日閲覧。
  26. ^ SKYJET|グローバルブランド広告lexus.jp、2017年12月17日閲覧。
  27. ^ The 'Valerian and the City of a Thousand Planets' Trailer Will Blow Your Mind”. 2017年11月4日閲覧。
  28. ^ STX Lands Luc Besson’s ‘Valerian’ And Other EuropaCorp Titles In 3-Year Pact; RED Hit With Massive Layoffs”. 2017年11月4日閲覧。
  29. ^ The Fifth Element heading back to theaters with Valerian preview”. 2017年11月4日閲覧。
  30. ^ The Fifth Element”. 2017年11月4日閲覧。
  31. ^ Can ‘War For The Planet Of The Apes’ Conquer The Summertime Franchise Blues? – Advance B.O. Forecast”. 2017年11月4日閲覧。
  32. ^ July 21-23, 2017”. 2017年11月4日閲覧。
  33. ^ ‘Dunkirk’ Takes Warner Bros Past $1B; ‘Girls Trip’ Record Opening For Malcolm D. Lee; Reasons Why ‘Valerian’ Crashed”. 2017年11月4日閲覧。
  34. ^ EuropaCorp Stock Falls After 'Valerian' Bombs”. 2017年11月4日閲覧。
  35. ^ France Box Office July 26–30, 2017”. 2017年11月4日閲覧。
  36. ^ China”. 2017年11月4日閲覧。
  37. ^ EuropaCorp's Marc Shmuger to Step Down as CEO, Luc Besson Taking Over”. ハリウッド・リポーター (2017年11月10日). 2017年11月11日閲覧。
  38. ^ 'Dunkirk' likely to win rare box-office battle of original big-budget movies”. 2017年11月4日閲覧。
  39. ^ Valerian and the City of a Thousand Planets”. 2017年11月4日閲覧。
  40. ^ Valerian and the City of a Thousand Planets (2017)”. 2017年11月4日閲覧。
  41. ^ 'Dunkirk' Delivers $50.5M Debut, 'Girls Trip' Opens with $30M and 'Valerian' Stumbles”. 2017年11月4日閲覧。

外部リンク[編集]