ロル・クレーム

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ロル・クレーム
Lol Creme
10ccでの演奏中(1976年
基本情報
出生名 Laurence Neil Creme
生誕 1947年9月19日
出身地 イングランドの旗 イングランドマンチェスター、プレストウィッチ
学歴 Ashton-Under-Lyme College of Art、Birmingham College of Art
ジャンル ロック (音楽)ポップ・ロックアヴァン・ポップ実験音楽
職業 ミュージシャン、ミュージック・ビデオ監督
担当楽器 ボーカルギターベースキーボードヴァイオリン
活動期間 1965年 -
共同作業者 10ccホットレッグスゴドレイ&クレームアート・オブ・ノイズ、プロデューサーズ、トレヴァー・ホーン

ロル・クレーム(Laurence Neil "Lol" Creme、1947年9月19日 - )は、イギリスのロックミュージシャンでギタリスト、またミュージック・ビデオのディレクターである。元10cc、元ゴドレイ&クレームで再結成アート・オブ・ノイズのメンバーでもあった。2006年にはプロデューサーズに参加、現在はトレヴァー・ホーン・バンドに所属。なお、日本では「クレーム」の表記が定着しているが、「クリーム」の方が原音に近い。

経歴・概要[編集]

イギリス・マンチェスターにて街の市場で働く商売人の父と母とのあいだに生まれた。7歳年下の妹がいる。絵を描くことを好んでいた彼の幼い頃の夢は漫画家であった。音楽に目覚めたきっかけはリック・ネルソンコニー・フランシスで、エルヴィス・プレスリーにも「ロック教育」を受けたという彼は、ビートルズ、とりわけジョン・レノンの信奉者となる。13歳頃ギターを始め、地元の仲間とバンド活動を開始する。

1960年頃幼なじみのケヴィン・ゴドレイと共に"The Sabres"というビートバンドに参加、地元のユダヤ人集会所などで演奏活動を行う。1964年同郷のグレアム・グールドマンのバンド"The Whirlwinds"のレコードデビューに際し、B面曲として"Baby Not Like You"を提供する。1965年、ケヴィンがグレアムの新しいバンド"The Mockingbirds"に引き抜かれたことから、ロルは"The Sabres"を脱退、アートスクールに進学する。1966年に"The Mockingbirds"が解散しフリーになったケヴィンと再びコンビを組む。グレアムのマネージメントで二人は1967年"Yellow Bellow Room Boom"名義でシングルをリリース。その後グレアムが元マインドベンダーズのエリック・スチュワートとレコーディング・スタジオ"ストロベリースタジオ"の共同出資者となったことから、スタジオミュージシャンとして出入りを始め、やがてエリック、グレアム、ロル、ケヴィンの4人でバンド活動を開始する。

1969年ヤードバーズのマネージャー、ジョルジオ・ゴメルスキーの設立したレーベル "Marmalade"より、"Frabjoy & Runcible Spoon"名義でシングルをリリース。アルバムも企画されるがレーベルの資金繰り悪化に伴いキャンセルとなる。1970年にロル、エリック、ケヴィンの3人でレコーディングした「ネアンデルタール・マン」が"ホットレッグス"名義でリリース。全世界で200万枚以上を売り上げるヒットを記録するも以降不発に終わる。その後も4人は"Doctor Father""Fighter Squadron""Amazon Trust""The New Wave Band"などとバンド名を変えながらシングルを次々とリリースし次のヒットを狙っていく。その前後スタジオミュージシャンとして、ニール・セダカ、オハイオ・エキスプレス、ラマセスなど数多くのアーティストのレコーディングを行った。

1972年4人は、ジョナサン・キングのUKレコードから"10cc"名義でシングル「ドナ」をリリース。これが全英2位の大ヒットとなり以降バンドの活動は10cc名義が中心となっていく(74年以降は10ccに固定)。3枚目のシングル「ラバー・ブレッツ」で全英チャート1位を獲得、次々とヒットを飛ばす。1975年にマーキュリー・レコードに移籍、「アイム・ノット・イン・ラヴ」等を発表するも、1976年に音楽性の違いから(公式にはギターアタッチメント"ギズモ"の開発のため)10ccを脱退。以降ゴドレイ&クレームとしてレコードをリリースする。

1980年自分たちのシングル曲「ニューヨークのイギリス人」でミュージック・ビデオを監督。その後ポリスデュラン・デュラン他のアーティスト達のビデオを手がけ、高い評価を受ける。1985年のMTV Video Music Awardsでは"Video Vangard Award"を受賞した。またCM演出も手がけ始め、カンヌ国際広告祭では銀賞を受賞。1981年には画集"The Fun Starts Here - Outakes from A Rock Memoir"を出版するなどマルチアーティストとしての評価を固める。一方音楽活動では1985年のシングル「クライ」がプロモビデオの高評価も伴い彼らの代表曲となった。

1989年にコンビを解消。ロサンゼルス移住後の1991年にアンソニー・C・ウィンクラーの小説を原作とした劇場長編映画"The Lunatic"を監督している。イギリス帰国後は元バグルストレヴァー・ホーンの片腕としてロッド・スチュワートティナ・ターナーら、数多くのアーティストのレコーディングに参加。1999年に再結成アート・オブ・ノイズに正式参加した。トレヴァー・ホーンとは2006年にザ・プロデューサーズというバンド(後に「プロデューサーズ」に変更)を結成、2007年にシングルを、2012年にアルバムを発表した。2012年と2017年にはトレヴァー・ホーン・バンドの一員として来日公演を行っている。

息子のレイロ・クレームの所属するバンド"アーカーナ (Arkarna)"がアルバムを2枚出している。

ディスコグラフィー[編集]

アルバム(オリジナル/ライヴ)[編集]

ホットレッグス

  • シンクス~スクール・スティンクス - Thinks: School Stinks (1971)

10cc

  • 10cc - 10cc (1972)
  • シート・ミュージック - Sheet Music (1974)
  • オリジナル・サウンドトラック - The Original Soundtrack (1975)
  • びっくり電話:ハウ・デア・ユー - How Dare You ! (1976)
  • キング・ビスケット・ライヴ - In Concert (1995)

ゴドレイ&クレーム

  • ギズモ・ファンタジア - Consequences (1977)
  • L - L (1978)
  • ミュージック・フロム・ギズモ・ファンタジア - Music From Consequences (1979)
  • フリーズ・フレーム - Freeze Frame (1980)
  • イズミズム - Ismism (1981)
  • バーズ・オブ・プレイ - Birds Of Prey (1983)
  • ヒストリー・ミックス Vol.1 - The History Mix Volume 1 (1985)
  • グッドバイ・ブルー・スカイ - Goodbye Blue Sky (1988)

アート・オブ・ノイズ

  • ドビュッシーの誘惑 - The Seduction Of Claude Debussy (1999)
  • Reconstructed...for your listening pleasure (2003)

ザ・プロデューサーズ

  • Made in Basing Street (2012)

ビデオグラフィー[編集]

ゴドレイ&クレーム[編集]

1980年

  • Godley & Creme/An Englishman In New York (デレク・バービッジと共同監督)
  • Godley & Creme/Wide Boy

1981年

  • Visage/Fade To Grey
  • Visage/Mind Of Toy
  • Duran Duran/Girls On Film
  • Ringo Starr/The Cooler (短編映画)
  • Status Quo/Something 'Bout You Baby I Like
  • Toyah/I Want To Be Free

1982年

  • Asia/Heat Of The Moment
  • Asia/Only Time Will Tell
  • Godley & Creme/Wedding Bells
  • Graham Parker/Temporary Beauty
  • Joan Armatrading/The Weakness In Me
  • Joan Armatrading/When I Get It Right
  • Toyah/Thunder In The Mountains

1983年

  • 10cc/Feel The Love
  • Any Trouble/Touch And Go
  • Culture Club/Victims
  • David Sylvian & Ryuichi Sakamoto/Forbidden Colours
  • Elton John/Kiss The Bride
  • Godley & Creme/Save A Mountain For Me
  • Herbie Hancock/Rock It
  • Herbie Hancock/Autodrive
  • The Police/Every Breath You Take
  • The Police/Wrapped Around Your Finger
  • The Police/Synchronicity II
  • The Police/Synchronicity Concert (ライヴビデオ)
  • The Police/The Synchronicity Show - Montreal "Le Spectrum" (ライヴTV番組)
  • Yes/Leave It

1984年

  • Frankie Goes To Hollywood/Two Tribes
  • Frankie Goes To Hollywood/Power Of Love
  • Godley & Creme/Golden Boy
  • Paul Young/Everything Must Change (US Version)
  • Rebellious Jukebox (音楽とコメディーを融合させたTV番組)

1985年

  • Artists United Against Apartheid/Sun City (ジョナサン・デミ、ハート・ペリーと共同監督)
  • Duran Duran/View To A Kill
  • Eric Clapton/Forever Man
  • Go West/We Close Our Eyes
  • Godley & Creme/Cry
  • Godley & Creme/History Mix Vol.1
  • Graham Parker & The Shots/Wake Up (Next To You)
  • Howard Jones/Life In One Day (編集担当)
  • INXS/This Time (プロデューサー担当)
  • Rush/Mystic Rhythms (スタッフ参加)
  • Sting/If You Love Somebody Set Them Free
  • Thompson Twins/Don't Mess With Doctor Dream

1986年

1987年

  • George Harrison/When We Was Fab
  • Go West/I Want To Hear It From You
  • Godley & Creme/A Little Piece Of Heaven
  • Godley & Creme/10,000 Angels
  • Peter Gabriel/Biko

1988年

ソロ[編集]

1986年

  • Tim Simenon & Stacy Peralta/Attack (企画・編集担当)

1990年

  • Various Artists/Knebworth The Silver Clef Award Winners (ライヴビデオ)

1991年

  • The Lunatic (劇場長編映画)
  • Tina Turner/The Best

1994年

  • Limboland (コメディ番組)
  • Seal/Newborn Friend
  • Tom Jones/If I Only Knew

1996年

  • Sting/I'm So Happy I Can't Stop Crying

2002年

  • Art Of Noise/Into Vision (ライヴビデオ)

2007年

  • The Producers/Barking Up The Right Tree (レイロ・クレームと共同監督)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]