フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド
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フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(Frankie Goes To Hollywood)は、イギリスのバンド。1980年代半ばにセンセーショナルなヒットを放った。
略歴[編集]
1980年にニュー・ウェイヴ・バンドとして結成。グループ名は、フランク・シナトラが音楽界から映画界に進出することを伝える新聞記事の見出しから派生した「都へ出てきて堕落する」というニュアンスの慣用句的隠語に由来する。プロデューサーのトレヴァー・ホーンに見出され、1983年にZTTレーベルからデビューした。メンバーはホリー・ジョンソン(ボーカル)、ポール・ラザフォード(ボーカル、キーボード)、ブライアン・ナッシュ(ギター)、ピーター・ギル(ドラム)、マーク・オトゥール(ベース)。
ボーカルのホリー・ジョンソンとポール・ラザフォードはゲイであることを公言している。
デビュー曲の「リラックス」はSM行為を描写した歌詞内容や排尿音などが問題となり、BBCのほか、多くの国の放送局(NHKも含む)で放送禁止となったが、大ヒットを記録する。バックに使われる強い音は、ホーンが最も強い音と思ったというレッド・ツェッペリンのドラマー、ジョン・ボーナムのドラム音をサンプリングしたものと言われていたが、この噂は本人が後に否定、リンドラムであるとのこと[1]。 「リラックス」は1980年代を代表するヒット曲としてディスコ系や80's系のコンピレーションCDに収録されていることが多いほか、日本のCMでも使用されたことがある(ヤクルト「レモリア」のCMソングとして使用された際、同社は英国で放送禁止になった曲であることを承知の上、サビの部分だけなら問題ないという判断の下で使用した)。また「水10!ココリコミラクルタイプ」のオープニング曲のほか、映画『ボディ・ダブル』ではこのバンドの出演と共に一シーンのBGMとして使われ、映画『ズーランダー』では重要なモチーフとして使われている。ゲーム「Saints Row: The Third」にも使用されている。2017年には日本のアイドルグループ・9nineによって「Why don't you RELAX?」という題名でカバーされている[2]。
次のシングル「トゥ・トライブス」は当時の米ソ冷戦と核戦争の危機を歌った曲で、全英で9週連続1位を記録した。またロナルド・レーガン大統領とコンスタンティン・チェルネンコ書記長のそっくりさんが土俵上で取っ組み合いをするミュージック・ビデオが話題を呼んだ。
ホーンが作り出す時代の先端を行く刺激的なサウンド、話題性の高い歌詞、ゲイであることをアピールしたセンセーショナルなイメージ戦略によってバンドは一躍時の人となったが、それゆえに「トレヴァー・ホーンの操り人形」「ライブではテープを流すだけで演奏もできない」と皮肉られていた。ミック・ジャガーからは「イギリスのヴィレッジ・ピープルだ」と評された。 人気は長続きせず、1987年にジョンソンがグループを離れ、バンドは活動を停止した。
2003年、音楽番組の企画にて5人が顔を合わせたもののバンドの再結成までには至らず。
2004年11月に行われたトレヴァー・ホーンの25周年記念コンサートにて「プレジャードーム」「トゥ・トライブス」「リラックス」を演奏。ホリー・ジョンソンとブライアン・ナッシュは参加せず、代わりにかつてのメンバーのジェド・オトゥール、そしてミュージカルの舞台などで活躍している若いシンガー、ライアン・モロイが参加した。
2005年、バンドはそのままのメンバーでベルギー、アイルランド、イギリス、オランダ等いくつかのフェスティバルでライブを披露する。
2006年、「Forbidden Hollywood(禁じられたハリウッド)」という嫌味たっぷりのバンド名を採用して20年ぶりのレコーディングに突入するとアナウンスしたポール、マーク、ペッド、ジェド、ライアンの5人だったが、ライアンが抜けてしまい結局プロジェクトは頓挫した。
2023年5月7日、地元イギリス・リバプールで行われた『ユーロビジョン・ソング・コンテスト2023』の開幕式にて、ホリー・ジョンソン(ボーカル)、ブライアン・ナッシュ(ギター)、ポール・ラザフォード(ボーカル・キーボード)、マーク・オトゥール(ベース)、ピーター・ギル(ドラムス)が37年ぶりに集い「Welcome To The Pleasuredome」を披露した[3]。
メンバー[編集]
- ホリー・ジョンソン (Holly Johnson) - リード・ボーカル
- ポール・ラザフォード (Paul Rutherford) - バック・ボーカル
- ブライアン・ナッシュ (Brian Nash) - ギター
- マーク・オトゥール (Mark O'Toole) - ベース
- ピーター・ギル (Peter Gill) - ドラムス
- ジェド・オトゥール (Gerard O'Toole) - ギター (2004年 - )
- ライアン・モロイ (Ryan Molloy) - リード・ボーカル (2004年 - )
来日公演[編集]
- 1985年6月28日 - 30日 東京・厚生年金会館、7月2日 大阪・フェスティバルホール、3日 名古屋市公会堂、4日 東京・サンプラザホール
ディスコグラフィ[編集]
スタジオ・アルバム[編集]
- 『ウェルカム・トゥ・ザ・プレジャードーム』 - Welcome To The Pleasuredome (1984年)
- 『リヴァプール』 - Liverpool (1986年)
シングル[編集]
- 「リラックス」 - "Relax" (1983年)
- 「トゥ・トライブス」 - "Two Tribes" (1984年) ※旧邦題「トゥ・トライブス - フランキーの地球最後の日」
- 「パワー・オブ・ラヴ(愛の救世主)」 - "The Power Of Love" (1984年)
- 「プレジャードーム」 - "Welcome To The Pleasuredome" (1985年)
- 「レイジ・ハード」 - "Rage Hard" (1986年)
- 「ウォリアーズ/ウェイストランド」 - "Warriors (Of The Wasteland)" (1986年)
- 「ウォッチング・ザ・ワイルドライフ」 - "Watching The Wildlife" (1987年)
脚注[編集]
- ^ ベストヒットUSA(BS朝日2017年9月27日放送)「トレヴァー・ホーン後編」にて本人談。アート・オブ・ノイズのBeat Boxはイエスのアラン・ホワイトのサンプリングでそれが勘違いされたのではないか、レッド・ツェッペリンのサンプリングは使用したことがないと語った。
- ^ ただし、本作においては過激な性的描写などは一切排除され、内容は「様々なストレスが溢れる現代社会の中で"リラックス"を提唱する」というマイルドなものに改められている。
- ^ “フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、36年ぶりに再結成するもパフォーマンスは1曲のみ”. BARKS. 2023年5月9日閲覧。