モスコー・ミュール

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モスコー・ミュール
Moscow Mule at Rye, San Francisco.jpg
基本情報
種別 ロングドリンク
作成技法 ビルド
スタイル バック
琥珀色透明
グラス 銅製マグカップ
アルコール度数
度数 Barometer 003.svg
10 - 16.6度[1]
国際バーテンダー協会のレシピ
ベース ウォッカ
装飾材料 ライム・スライス
材料
ウォッカ …… 45ml
ライム・ジュース …… 10ml
ジンジャービア …… 120ml
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モスコー・ミュール(Moscow Mule)とはオールデイカクテル(食前食後を問わず飲めるカクテル)として、非常にメジャーなスタンダードカクテルの一つ。モスコミュールと表記することもある[2]

概要[編集]

「モスコー・ミュール」は「モスクワラバ」という意味である[2][3][4]。ラバには後ろ足でキックする習性がある[3][4]。また、酒についてもアルコール分が高く、胃に刺激を与えるものを「キックがある」と表現する[3][4]。このことから「ミュール」の名が付けられた[3][4]。「モスクワ」はウォッカを使用していることから[4]

なお、名称に「クーラー」とは付いていないが、クーラーの一種である[5]またバックの一種でもあり、しばしば「ウォッカ・バック」とも呼ばれる。[要出典]

ジンジャービアを用いるのが原典のレシピであるが、日本ではジンジャービアの入手が容易でないため、ジンジャーエールを代わりに用いるレシピが普及している[3][6]

また、銅製マグカップで提供するのが、本来のスタイルである[4][6]

由来[編集]

1933年アメリカ合衆国における禁酒法が終わり、ウォッカも自由にアメリカ合衆国へ輸入できるようになった[7]。しかしながら、バーボンウイスキーライ・ウィスキーに押されてウォッカの市場はなかなか拡大しなかった[7]

1946年、ハリウッドに店を構えていたバーテンダーのジャック・モーガンが考案したとされる[3][4]。ジャック・モーガンはピムス・カップというイギリス産まれのカクテルをつくるためにジンジャービアを大量に仕入れた[3]。しかし、ピムス・カップはさっぱり売れず、ジンジャービアの大量在庫を抱えることになった[3]。そこでウォッカとジンジャービアを組み合わせたところ、これが人気となった[4]。銅製のマグカップはジャックの友人が仕入れたものの、こちらも売れずにいた。その友人の発案によって銅製マグカップで提供することになった[4]

別の説では、1940年代初頭にニューヨーク市のとあるバーでウォッカの輸入業者とジンジャービアの生産者が出会い、互いのプロモーションなるよう考案された[7]

この他にも、当時スミノフを製造販売していたヒューブライン英語版が「ニューヨークでモスコー・ミュールが流行っている」とアメリカ合衆国全土に広げて流行らせた[6]。という説もある。

バリエーション[編集]

ウォッカをテキーラに替えるとメキシカン・ミュールに、またラムに替えるとジャマイカン・ミュール(スージー・テーラー)に、スコッチ・ウイスキーに替えるとマミー・テーラー[8]によるとマミー・テーラーのレシピはスコッチ・ウイスキー45ml、ライム・ジュース15ml、ジンジャーエール適量となっており、モスコー・ミュールのベースをスコッチ・ウイスキーに替えてつくられるカクテルと考えられる。</ref>、ジンに替えるとマミーズ・シスター[9]アブサンに替えるとワイルド・ミュールとなる。

その他、ウォッカを他の酒類で置き換えたバリエーションと呼称に次のようなものがある。

ベース 名前
バーボン・ウイスキー ケンタッキー・ミュール または ホースファーザー
バーボン・ウイスキーとコーヒー・リキュール ニュー・オーリンズ・ミュール
ジン ジン・ミュールロンドン・ミュールミュンヘン・ミュール または フォッグホーン
バンダバーグ・ラム(en オージー・ミュール
アイリッシュ・ウイスキー アイリッシュ・ミュール
ブレンデッド・スコッチ・ウイスキーとサンジェルマン(en グラスゴー・ミュール
アブサン ボヘミアン・ミュール
アブサンとシナモンシュナップス デッドマンズ・ミュール
コニャックとアンゴスチュラ・ビターズ フレンチ・ミュール
洋梨リキュールとポワール・ウィリアム(en プリッキー・ペア・ミュール
サザンカンフォート サザン・ミュール
トゥアカ(en トスカーナ・ミュール
アクアビット オスロ・ミュール
付け合せにローズマリークランベリー ミスルトウ・ミュール

他のバリエーションとして、ジンジャー・ビアの代わりにジンジャー・シロップやジンジャー・エールを用いるものがある[10]

副材料としてニンジンのジュースやアンゴスチュラ・ビターズを追加するアレンジもある[11]

ラズベリーシロップまたはクレーム・ド・フランボワーズを加えるとモスコー・ミュールからフロラドラ(Floradora cocktail)になる。

ジンジャー・ビアの代わりにマウンテンデューを使うとモスコー・モールになる[12]

標準的なレシピ[編集]

ジンジャー・エールを用いたレシピ[編集]

飲み口はやや甘くアルコール度数も高くないカクテルになっている。日本ではジンジャー・ビアの入手が難しいため代用としてジンジャー・エールを使用したレシピが広まったと言われている。

作り方[編集]

  1. 材料をグラス(本来は銅のマグカップだが、タンブラーグラスでも可)に入れ、軽くステアする。
  2. ライム・スライスを飾り完成。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 桑名伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』日本文芸社、2006年、135-136頁。ISBN 978-4-537-20423-0 
  2. ^ a b 岡崎ユウ 『本格 家飲みカクテル教本 新装版 ルールをマスターして美味しく楽しむ120種』メイツ出版、2021年、33頁。ISBN 978-4780424928 
  3. ^ a b c d e f g h 福西英三 『カクテル教室』保育社、1996年、41頁。ISBN 978-4586508877 
  4. ^ a b c d e f g h i カクテルが飲みたくなる話「モスコミュール」”. 毎日放送 (2021年9月30日). 2022年9月2日閲覧。
  5. ^ 山本祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』成美堂出版、1994年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-415-07873-7 
  6. ^ a b c 今さら聞けない定番カクテル「モスコミュール」ってどんなお酒?”. 食楽Web (2019年10月16日). 2022年9月2日閲覧。
  7. ^ a b c 『カクテルをたしなむ人のレッスン&400レシピ』日本文芸社、2021年、129頁。ISBN 978-4537218695 
  8. ^ 北村聡 著 『定番から人気の焼酎カクテルまで 基本のカクテル』世界文化社、2005年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-418-05324-7 
  9. ^ 北村聡 著 『定番から人気の焼酎カクテルまで 基本のカクテル』世界文化社、2005年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-418-05324-7 
  10. ^ Graham, Colleen (2019年5月24日). “Stoli Alibi: A Soda Drink Where Vodka and Ginger Meet”. The Spruce Eats. 2020年6月22日閲覧。
  11. ^ Carrot Moscow Mule Cocktail” (2017年4月13日). 2020年6月22日閲覧。
  12. ^ Hines, recipe: Nick. “The Mountain Dew Moscow Mole”. VinePair. 2020年6月22日閲覧。

外部リンク[編集]