クローバー・クラブ
クローバー・クラブ
- カクテルの一種。本稿で記述。
- ゆうゆ feat.初音ミクの楽曲。
クローバー・クラブ | |
---|---|
![]() | |
基本情報 | |
種別 | ショートドリンク |
作成技法 | シェーク |
グラス |
![]() シャンパン・グラス、カクテル・グラス |
アルコール度数 | |
レシピの一例 | |
ベース | ジン |
備考 | ピンク・レディーと混同されることがあるが、ピンク・レディーではレモン・ジュースは用いない。 |
クローバー・クラブとは、ジンをベースとするカクテルであり、ショートドリンク(ショートカクテル)に分類される。具体的にいつ頃できたカクテルなのかは不明。使用するグレナデン・シロップの量やメーカーにもよるが、仕上がりの色は基本的にピンクとなる。この仕上がり色がピンク・レディとの混同の一因となっている[1]。味はライム・ジュースを使うか、レモン・ジュースを使うかで変わってくるので、どちらを使うのかを指定するのが望ましい。
作り方[編集]
一般的な作り方[編集]
ドライ・ジン、グレナデン・シロップ、ライムかレモンのジュース、卵白を強くシェークして、大型のカクテル・グラス(容量90ml以上)に注げば完成である。ここで、もしもミントの葉を飾ると、カクテルの名称が変わってしまう(詳細は「バリエーション」の節を参照)。なお、ライム・ジュース、またはレモン・ジュースは、その場でライム、またはレモンを絞ったものを使用するのがベストであるが、市販のジュースを用いても良い。
- レシピ
- 注意点
- 卵白は混ざりにくいため、通常よりも強くシェークする必要がある。
- 卵白が入っているので、よくシェークすることで泡立ち、口当たりを良くする効果もあるとされる[2]。
- グラスは、ソーサー型のシャンパン・グラス(容量120ml以上)で代用しても良い。
- 使用するグラスの容量を小さく(容量90ml未満のカクテル・グラスを)想定している場合、卵白を、鶏卵2分の1個分とするレシピもある[3][4][5]。
ベルモットを使用する作り方[編集]
クローバー・クラブには、ベルモットが使用されるレシピも存在する[6][7]。ドライ・ジン、スイート・ベルモット、グレナデン・シロップ、レモンジュース、卵白を強くシェークして、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。なお、レモンジュースは、その場でレモンを絞ったものを使用するのがベストであるが、市販のジュースを用いても良い。このレシピで作ってもジンを一番多く使用するため、ジンベースのカクテルであると考えることができる。なお、こちらもショートドリンクに分類されるカクテルである。
- レシピ
- ドライ・ジン = 30ml
- スイート・ベルモット = 10ml (2tsp)
- グレナデン・シロップ = 1〜2tsp
- レモン・ジュース = 1drop〜1tsp
- 卵白(鶏卵) = 2分の1個分
この節の参考文献[編集]
- 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
- 杉田 米三 『最新カクテルブック』 柴田書店 1969年12月20日発行
ピンク・レディとの混同[編集]
クローバー・クラブと同じくジンをベースとするカクテルに、ピンク・レディというカクテルがある。本来ならば、クローバー・クラブと呼ばれるべきカクテルが、ピンク・レディとして作られるという現象が起きているのだ。なお、過去にドライ・ジン : ブランデー = 2:1 というレシピで作るピンク・レディがあり[8]、さらにグレナデン・シロップを加えるというレシピも存在する(グレナデン・シロップも使用するのは、ジンとブランデーだけでピンク色を出すのが困難なため)[9]が、現在そのようなレシピで作られることは特別に注文でもされない限りなくなった。よってここでは、この2種のレシピのピンク・レディについては考えないものとする。
クローバー・クラブとピンク・レディの比較[編集]
ピンク・レディには、レモン・ジュースやライム・ジュースが使われることは、本来ならばない。したがって、もしもピンク・レディにレモン・ジュースが使われた場合、それはピンク・レディではなく、クローバー・クラブである[10]。レモン・ジュースが使われるか否かが、2つのカクテルの大きな違いなのである。
参考までに、クローバー・クラブと、本来のピンク・レディ(ただし、ブランデーを使用しないレシピのピンク・レディ)の材料の比較をしておく。
クローバー・クラブ | ピンク・レディ | |
---|---|---|
ベース | ドライ・ジン | ドライ・ジン |
甘味 | グレナデン・シロップ | グレナデン・シロップ (+砂糖類も使用の場合あり) |
酸味 | レモン・ジュース または、ライム・ジュース |
なし |
卵 | 鶏卵の卵白 | 鶏卵の卵白 |
現状[編集]
ピンク・レディにレモン・ジュースが使用されるという、クローバー・クラブと混同されたレシピは、かなり広まってしまった[1]。比較的新しいカクテルに関する文献を見ると、レモン・ジュースを使うピンク・レディを、しばしば見かける[11][12][13][14][15][16][17] 。本来レモン・ジュースを使用するピンク・レディーは誤りであり、同時期に発行されたカクテルに関する文献にも、ピンク・レディーにレモン・ジュースは使わないレシピを載せているケースも、しばしば見られる[18][19][20][21][22][23] [24][25][26][27][28][29]。 つまり、レモン・ジュースを使ったジンベースのカクテルをピンク・レディーと呼ぶ文献と、それを認めない(クローバー・クラブとピンク・レディーを厳格に区別する)文献とに分かれているのが現状である。
混同の原因[編集]
クローバー・クラブは、ピンク・レディとレシピが似ていること。また、グレナデン・シロップと鶏卵の卵白を使用するため、仕上がりがピンク色となることが原因として指摘されている。その他、ピンク・レディの方が魅力的な名称であったから、ピンク・レディという名称の方が広まったのではないかとの分析もある[1]。つまり、レモン・ジュースを使用するクローバー・クラブの方が、レモン・ジュースを使用しない本来のピンク・レディよりも口当たりが良かったので、ピンク・レディのレシピにレモン・ジュースを加えてしまった。しかし、名称はピンク・レディの方が良いので、クローバー・クラブという名称が使用されなくなってしまったとの分析である。
この節の主な参考文献[編集]
- 今井 清 『たのしむカクテル』 梧桐書院 1988年1月改訂版 ISBN 4-340-01204-1
バリエーション[編集]
- ロイヤル・クローバー・クラブ
- 鶏卵の卵白の代わりに、卵黄を用いたもの。作り方は、クローバー・クラブと全く同じである。卵黄の場合も混ざりにくいので、卵白の場合と同様に、通常よりも強くシェークする必要がある。
- なお、同じく使用する鶏卵の部位によって名称が変わる、 ジンベースのフィズの場合と混同しないよう注意が必要だ。ジンベースのフィズの場合は、卵白のみを使うとシルバー・フィズ、卵黄のみを使うとゴールデン・フィズであり、全卵を使って初めてロイヤル・フィズである。しかし、ロイヤル・クローバー・クラブは、ロイヤル・フィズとは違い、全卵ではなく、卵黄のみを使用する。
- クローバー・ロイヤルと呼ぶこともあるが、一般的ではない。
- クローバー・リーフ
- まずクローバー・クラブを作り、最後にミントの葉を飾ったもの。なお、ロイヤル・クローバー・クラブにミントを飾ったものには、特に名前がついていない。
クラブ・カクテル[編集]
クラブ・カクテルとしてのクローバー・クラブ[編集]
カクテルには、クラブ・カクテルというジャンルが存在する。クラブ・カクテルとは、正式な晩餐会の時、オードブルやスープの代用として出されるカクテルであった[30][31] 。 クローバー・クラブやそのバリエーションであるロイヤル・クローバー・クラブもこのクラブ・カクテルに分類される。しかし、このジャンルに分類されるからと言って、正式な晩餐会以外で飲んではならないという決まりはない。
クラブ・カクテルというカクテル[編集]
なお、クラブ・カクテルという名称のカクテルも存在し、これもショートドリンクである。しかし、このクラブ・カクテルが、カクテルのジャンルの1つである、クラブ・カクテルに分類されるのかは不明。 このカクテルは以下のように作られる。
- 標準的なレシピ
- ドライ・ジン : スイート・ベルモット = 2:1
- シャルトリューズ・ジョーヌ = 1drop〜1dash
- レモンの果皮 (香り付け用)
- 作り方
ドライ・ジン、スイート・ベルモット、シャルトリューズ・ジョーヌをシェークして、カクテル・グラス(容量75〜90ml)に注げば完成である。
- 備考
ジンをベースとするクラブ・カクテルが一般的だが、ウィスキーをベースとするクラブ・カクテルも見られる。作り方は、カナディアン・ウィスキー55ml、グレナデン・シロップ1tsp、アンゴスチュラ・ビターズ1dropをシェークして、カクテル・グラス(容量75〜90ml)に注ぎ、そこにマラスキーノ・チェリーを飾ってから、レモンの果皮より、精油を飛ばしかければ完成である。
この節の主な参考文献[編集]
- 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
- 稲 保幸 『洋酒とカクテル入門』 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9
発祥[編集]
「クローバー・クラブ」のカクテル名は、米国のフィラデルフィアにあったクラブの名称に由来する。このカクテルの正確な発祥の時期は不明だが、米国では禁酒法時代以前から飲まれているカクテルであり、1911年にワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズの新聞広告で Clover Club がカクテルとして紹介されている[32][33]。
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ a b c 今井 清 『たのしむカクテル』 p.141 梧桐書院 1988年1月改訂版 ISBN 4-340-01204-1
- ^ 今井 清 『たのしむカクテル』 p.138 梧桐書院 1988年1月改訂版 ISBN 4-340-01204-1
- ^ 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 p.38、p.65 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
- ^ 杉田 米三 『最新カクテルブック』 p.9、p.65 柴田書店 1969年12月20日発行
- ^ 今井 清 『たのしむカクテル』 p.61、p.138 梧桐書院 1988年1月改訂版 ISBN 4-340-01204-1
- ^ 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 p.65 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
- ^ 杉田 米三 『最新カクテルブック』 p.65 柴田書店 1969年12月20日発行
- ^ 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 p.77 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
- ^ 高井 久 監修 『絵でわかるカクテル入門』 p.76 日東書院 1989年7月20日発行 ISBN 4-528-00362-7
- ^ ちなみに、クローバー・クラブにはレモン・ジュースではなくライム・ジュースが使用されるレシピがあるものの、ピンク・レディにライム・ジュースが使用されるレシピは、混同されたレシピにも存在しない。よって以下この節でクローバー・クラブとはレモン・ジュースを使用したクローバー・クラブを指すものとする。
- ^ 後藤 新一 監修 『カクテル123』 p.16 日本文芸社 1998年12月15日発行 ISBN 4-537-07610-0
- ^ 後藤 新一 監修 『カクテル・ベストセレクション100』 p.35 日本文芸社 1996年5月20日発行 ISBN 4-537-01747-3
- ^ 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 p.109 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
- ^ 若松 誠志 監修 『ベストカクテル』 p.203 大泉書店 1997年9月5日発行 ISBN 4-278-03727-9
- ^ 伊東 正之 監修 『スタンダード・カクテル』 p.90 創元社 1989年12月10日発行 ISBN 4-422-74024-5
- ^ YYTproject 編集 『おうちでカクテル』 p.139 池田書店 2004年10月20日発行 ISBN 4-262-12918-7
- ^ 桑名 伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』 p.39 日本文芸社 2006年2月25日発行 ISBN 978-4-537-20423-0
- ^ 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 p.54 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
- ^ 稲 保幸 『洋酒とカクテル入門』 p.155 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9
- ^ 稲 保幸 『カクテルガイド』 p.75 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
- ^ 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 p.76 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
- ^ 花崎 一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 p.70 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
- ^ 花崎 一夫 監修 『カクテルハンドブック』(ニューセレクション132) p.60 永岡書店 1997年11月10日発行 ISBN 4-522-31073-0
- ^ 上田 和男 監修 『カクテル・ブック』 p.80 西東社 1988年12月30日発行 ISBN 4-7916-0926-3
- ^ 上田 和男 監修 『カクテル・ハンドブック』 p.30 池田書店 1997年7月31日発行 ISBN 4-262-12007-4
- ^ 岡 純一郎 監修 『カクテルベスト100』 p.84 西東社 1991年7月30日発行 ISBN 4-7916-0927-1
- ^ オキ・シロー 『カクテル・コレクション』 p.95 ナツメ社 1990年3月24日発行 ISBN 4-8163-0857-1
- ^ アンテナハウス 編集 『カクテル物語』 p.24 同文書院 1991年12月18日発行 ISBN 4-8103-7043-7
- ^ 山本 祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』 p.43 成美堂出版 1994年12月10日発行 ISBN 4-415-07873-7
- ^ 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 p.14 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
- ^ 後藤 新一 監修 『カクテル・ベストセレクション100』 p.8 日本文芸社 1996年5月20日発行 ISBN 4-537-01747-3
- ^ The Washington Post. Washington, D.C.: Jan 9, 1911. p. 3.
- ^ New York Times. New York, N.Y.: Jul 4, 1911. p. 1.
参考文献[編集]
- 今井 清 『たのしむカクテル』 梧桐書院 1988年1月改訂版 ISBN 4-340-01204-1
- 稲 保幸 『洋酒とカクテル入門』 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9
- 岡 純一郎 監修 『カクテルベスト100』 西東社 1991年7月30日発行 ISBN 4-7916-0927-1
- 杉田 米三 『最新カクテルブック』 柴田書店 1969年12月20日発行
- 高井 久 監修 『絵でわかるカクテル入門』 日東書院 1989年7月20日発行 ISBN 4-528-00362-7
- 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4