ペンギンズ・メモリー 幸福物語

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ペンギンズ・メモリー 幸福物語
監督 木村俊士
脚本 河野洋
川崎良
久野麗
音楽 松任谷正隆(音楽監督)
主題歌 松田聖子
撮影 八巻磐
製作会社 サントリー
博報堂
CMランド
配給 東宝東和
公開 日本の旗 1985年6月22日
上映時間 101分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 5.1億円[1]
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ペンギンズ・メモリー 幸福物語』(ペンギンズ・メモリー しあわせものがたり)は、1985年に公開された日本のアニメーション映画1983年に放送されたサントリーCANビールのテレビCMにてイメージキャラクターとして登場したペンギン(パピプペンギンズ)が人気を博し、制作されたアメリカン・ニューシネマ風の劇場用アニメーション作品。

概要[編集]

  • 元となったサントリーテレビCMはペンギンのキャラクターを起用したアニメーションとなっており、静かなバーでスローテンポのジャズを唄う女性シンガーの姿を見て、客の男性が感極まって涙を流す。そして所ジョージの「泣かせる味じゃん」というナレーションで終わるというものであった。当初はこのペンギンが歌っていた曲の詳細が明かされず、歌手と楽曲名のクレジットも表示されていなかったため、誰が歌っている何と言う曲なのかという謎が広り、大きな話題となった。程なくして、それが当時のトップアイドルであった松田聖子が歌う『SWEET MEMORIES』(『ガラスの林檎』のB面)という曲である事が知られ、そのシングルレコードのヒットと共にこのペンギンのキャラクターにも注目が集まった。この状況を見たサントリーがペンギンを使った長編アニメーションの制作を決定し[2]、CMでアニメを担当していたCMランドのスタッフに依頼をかけた。
  • 原作者の長沢岳夫によると、缶ビールのコピーライターである渡辺裕一の「若い頃に放浪の旅をした」、「図書館員になりたかった」という発言が、物語を作る上でのインスピレーションになったという[2]
  • 監督の木村俊士はそれまでテレビCMの分野で活動しており、ペンギン達を起用した缶ビールの一連のシリーズを始め、キユーピーマヨネーズバドワイザーなどのCMを手がけていたが、長編アニメーションの監督は今回が初めてだった。
  • かつて今作のVHSビデオが発売されていたが、現在は絶版となっており、DVD化もされていない。

あらすじ[編集]

過酷な戦況であったデルタ戦争から一人帰還したペンギンのマイク。今でも(戦場での過酷な日々により生じた)戦闘ストレス反応に思い悩まされることがあり、故郷では英雄と称されるも、マイクはその歓迎を受け入れられなかった。

故郷を後にし放浪の旅に出たマイクは、離れた街の図書館の司書となる。その街で子供たちに歌を教えていた歌手志望のジルに出会い、互いに惹かれあう。ジルは順調に歌手の道を進み、本格的に都会でデビューすることが決定する。ジルはマイクを連れて一緒に暮らしたいと告げる。

しかしマイクは、一緒になることで彼女の夢を壊すことと、静かな街で暮らしたいという理由から、一人街を出ようとするが…。

登場キャラクター[編集]

マイク・デイビス
本作の主人公。詩を読むのが趣味で、特にランドール・ジェームスの詩を好み、詩集を持ち歩いている。デルタ戦争で陸軍に従事し、激戦地のイーストリバーで戦っていたが、戦友を2人失い、自身も機銃で腕を撃たれて負傷しながら無事に帰還。過酷な戦場生活で心を悩まされ、家族や故郷の人々からは英雄と歓迎されてもその傷は癒えきれず、静かな生活を求めて放浪の旅に出る。流れ着いたレイクシティの図書館の司書となってアパートで新しい生活を始め、ジルと出会い、彼女とデートを重ねていくにつれて心を通わせ合うようになる。ジルのセントラルシティで一緒に暮らしたいという誘いに対して、当初は過去のトラウマもあって静かに暮らしたいという思いから拒み、彼女の歌手になる夢を優先してレイクシティを去ろうとするが、歌手を諦めてでもついて行こうとするジルに説得されて思い留まる。直後、ボブとチンピラ2人組の襲撃の際、チコを傷つけられたことによる憎しみと戦争の記憶のフラッシュバックで暴走状態になって抵抗し、ジルが止めに入って我に返るまでボブを殴り続けた。その後、暴行及び障害の罪で起訴、有罪判決を受けるが、情状酌量により執行猶予3年が認められて釈放される。獄中でジルに別れの手紙を書いて贈った後、再び旅立ってレイクシティを去るが、サンセットビーチとマウントジェフリーの分岐点でジルと再会し、共に旅立つようになる。
ジル
本作のヒロイン。レイクシティの住人で、病院の院長の娘。歌を歌うことが趣味で子供たちに歌を教えており、プロの歌手になることを夢見ているが、父ドクター・モウにジャックとの結婚を勧められ、自分の夢を打ち明けられずにいた。図書館で詩集を借りに行った際にマイクと出会い、町の案内を兼ねてデートを重ねるうちに惹かれるようになる。マダム・オハラの紹介の元、ボブのスカウトで歌手のオーディションを受けて念願の歌手デビューを果たし、行方不明の母親を探しに行くと同時にマイクに一緒にセントラルシティで暮らすことを懇願するも、一度は断られて落胆。しかし、マダム・オハラに自身の母親だと告げられてからはマイクとの愛を忘れられない思いから、歌手を断念しても歌を歌い続け、彼に一生ついて行く事を夢にする。
ジャック
外科医。ドクター・モウの経営する病院に勤めている。デルタ戦争では軍医としてイースリバーの南側に負傷兵たちの看病を務めていた。秋の季節が嫌いで「落ち葉の季節は詩人にはいいけど、医者には似合わない」と述べている。ジルの婚約者で、父親からも認められているが、正式に決まったわけではない。ジルと通わせ合うマイクを疎ましく思いつつも、愛から逃げてはいけないことを諭し、彼女の幸せを託して自身は身を引く決意をする。
ドクター・モウ
レイクシティのとある大病院の院長でジルの父親。自身の病院に勤めているジャックを目にかけており、彼をジルと結婚させることを考えている。若い頃は自身の生まれ育った町に病院を建てる事を自分の夢としており、故に妻だったマダム・オハラのセントラルシティへ一緒に行ってほしいという誘いを断って別れたが、その後もカフェで顔を合わせる等、仲は安定している。マイクを良い青年と評しつつも、ジルが彼と離れ離れになって将来幸せになる可能性については「色々なケースがある」と述べている。
マダム・オハラ
レストラン「オハラ」のオーナー。ジルとは顔見知りでよく彼女と会話をする。マイクと初めて会った際、彼のジルを見つめる目を過去に自分に向けられた目を懐かしみ、またマイクを見つめるジルの目を自分と同じ目してたことを重ね合わせている。実はセントラルシティへ行ったジルの母親でドクター・モウの妻である。かつては歌手を志望しており、レコード化の依頼が来た際には一緒にセントラルシティへ行ってくれと頼んだが、1人で行けと言われて別れざるを得なかった。夫には自身が母親だという素性はジルに言わない約束をしていたが、マイクとの愛と歌手への夢の板挟みに悩むジルに自身の二の舞になる事を恐れて告白、ジルにマイクを離さないようにと母として初めてお願いする。
ボブ・アダムス
PVCレコードのプロデューサー。新人の歌手をスカウトして周っていたところをジルに目を留め、彼女をプロの歌手に育てようとする。陽気な性格であるが金銭への執着心が強く、ジルの人気を利用して莫大な富を得ることを考えており、彼女が歌手を諦めるという話を聞いた際にはマイクに別れるように説得たり、チンピラ2人を雇って拉致してでも引き留めようとした。しかし、マイクの抵抗に遭って気を失い、その後の消息は不明。
チンピラ
ボブが雇った2人組のチンピラ。細目で前歯が一つ欠けて拳銃を携帯している小柄のオスとサングラスをかけた力自慢の大柄のオスがいる。前者はチコを手で圧死するがマイクに銃を向けて撃つ間もなく椅子で殴り倒され、後者はマイクとジルを拘束するもマイクの抵抗で逃がした上、背負い投げで窓を突き破って転落した。
チコ
マイクが飼っている小鳥。ある雨の日に地面に倒れ込んで弱っているところをマイクに拾われ、彼の看病とエサやりで回復したが、マイクが自然に返してもすぐに戻ってくるため、そのまま留まるようになる。ボブに雇われたチンピラに両手で圧死され、マイクがレイクシティを去る際に墓を作って別れを告げた。

スタッフ[編集]

松田聖子ボーイの季節』/『Musical Life』/『SWEET MEMORIES
沢田富美子『青空 On My Mind』

キャスト[編集]

関連作品[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 「邦画フリーブッキング配収ベスト作品」、『キネマ旬報1986年昭和61年)2月下旬号、キネマ旬報社1986年、 127頁。
  2. ^ a b 劇場公開時のパンフレットの記述より。

外部リンク[編集]