ガラスの林檎/SWEET MEMORIES

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ガラスの林檎/SWEET MEMORIES
松田聖子シングル
初出アルバム『Seiko・plaza
A面 ガラスの林檎(#1)
SWEET MEMORIES(#2)
リリース
ジャンル アイドル歌謡曲
レーベル CBS・ソニー
(8cmCD含む)
ソニー・ミュージックレコーズ
(12cmCDのみ)
作詞・作曲 松本隆(作詞)
細野晴臣(作曲 #1)
大村雅朗(作曲 #2)
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間1位オリコン
  • 1983年8月度月間1位(オリコン)
  • 1983年9月度月間6位[1](オリコン)
  • 1983年10月・11月度月間3位(オリコン)
  • 1983年12月度月間5位(オリコン)
  • 1983年度年間7位(オリコン)
  • 1984年度年間84位(オリコン)
  • 1位ザ・ベストテン・#1)
  • 1983年度年間13位(ザ・ベストテン・#1)
  • 8位ザ・ベストテン・#2)
  • 1983年度年間63位(ザ・ベストテン・#2)
  • 1位ザ・トップテン・#1)
  • 3位(ザ・トップテン・#2)
  • 松田聖子 シングル 年表
    天国のキッス
    (1983年)
    ガラスの林檎 / SWEET MEMORIES
    (1983年)
    瞳はダイアモンド/蒼いフォトグラフ
    (1983年)
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    ガラスの林檎/SWEET MEMORIES』(ガラスのりんご / スウィート・メモリーズ)は、1983年8月1日にリリースされた松田聖子の14枚目のシングルである。

    解説[編集]

    収録曲[編集]

    1. ガラスの林檎(3:57)
      (作詞:松本隆/作曲:細野晴臣/編曲:細野晴臣・大村雅朗
      作曲の細野は制作に当たり、ディレクターからサイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』のような曲を作って欲しいと依頼された[3]
      作詞の松本は、同年に聖子に提供した楽曲『秘密の花園』『天国のキッス』とあわせて、「たまたま、ある種宗教的な世界、シュプリーム(至上)のもの(がテーマだった)」「花園とか天国とか林檎とか…そういうものは、性的であって、同時に聖なるものだと思う」と語っている[4]
      松本と細野の共作の場合、通常は松本の詞先で制作されていたが、マンネリ化を懸念した細野が曲先で作ろうと提案していた。しかし、いざ作り始めると作業が行き詰まったため、結局、松本がスタジオの廊下にあるソファーの上で急遽、詞を書き上げたという逸話を後に語っている。
      歌番組での歌唱時、当初はイントロやAメロ部分にも振り付けがあったが、次第にほとんどなくなった。
      この曲で1983年の『第25回日本レコード大賞』金賞、『FNS歌謡祭』最優秀歌唱賞など、多くの賞レース番組で各賞を受賞した。
      当年の『第34回NHK紅白歌合戦』披露曲。
    2. SWEET MEMORIES(4:35)
      (作詞:松本隆/作曲・編曲:大村雅朗
      それまで聖子の楽曲のアレンジを多く担当しており、アルバム曲の書下ろしも担当していた大村が、シングルの作曲に初めて起用された[5]
      発売当初からファンの間では名曲と評価が高かったが、サントリーCANビールCMソングになったことで評判となり(後述)、急遽両A面として同年10月に再発売するに至った[6]。元々B面であったにも関わらず非常に人気の高い曲となり、聖子自身も好きな曲として挙げる事が多く、コンサートやディナーショーのセットリストに組まれる事の多い一曲である。また、カバーの定番として数多くのアーティストがカバーを行っている。
      作曲の大村はサビのメロディーが浮かんでから作業が滞ってしまったが、その様子を察したプロデューサーの若松宗雄が一緒にスタジオにこもり、そこから約1時間で完成させた。作詞の松本は初めてデモテープを聴いた時に「完全にジャズだった」とコメントしている(FBS開局50周年記念特番「風の譜~福岡が生んだ伝説の編曲家大村雅朗」より)。
      松本は後年、「聖子さんの歌を作る時は、その時点の彼女のキャパ(力量)の2-3歩先を行く歌を作る。ほとんどの歌い手はそれに対応できないが、彼女は見事に付いてくる。そして、『SWEET MEMORIES』に関しては10歩くらい先を行っており、作曲の大村と『今回は付いて来られないかな? 難しすぎたかな?』とも話したが、彼女は見事に歌い上げた」と賞賛した[7]
      イントロは松武秀樹シンセサイザーで創ったものである。松武によると、大村から「口では表現できない、雪がシャーっという感じで、聴いてて気持ちいい音にしてくれ」と依頼され、「逆回転の音みたいなヒヤっとする冬」をイメージしたイントロを創作したとのことである。
      2番の前半部分は聖子の楽曲で初めての英語詞であった。聖子は最初に楽曲を受け取った時、「こんな大人っぽい歌を私が歌うんですか」と驚いたという[8]。また、レコーディングはCMスポンサーであるサントリーはじめ多くの関係者が見守る中行われ、「緊張した」と語っている。
      リミックス・リレコーディングで幾度もリリースされており、「Re-Mix Version」「Cinema Version」「New Version」「English New Version」「〜甘い記憶〜」がある。
      1996年、教育出版が発行した高等学校の音楽教科書に掲載された[9]
      1999年、『第50回NHK紅白歌合戦』披露曲。
      2020年、マクドナルド「ごはんバーガー」のCM曲に『SWEET MEMORIES~甘い記憶~』が起用された。[10]

    タイアップCMの影響[編集]

    「SWEET MEMORIES」のタイアップとなったサントリービールのCMは、ペンギンパピプペンギンズ)のキャラクターが登場するアニメーションで、ジャズバーで女性歌手が本曲を歌い、それを聴いた客が感動して涙するというものであった。放送当初は歌手名のクレジットが表記されていなかったため[11]、歌っている歌手は誰なのかと話題になったが、それまでの松田聖子の歌唱と印象が違っていたこともあり、当初はレコードを買った人にしか認知されていなかった。聖子の母親すらも本人から知らされるまで気づかなかったほどで、別のレコード会社2社から「歌っている新人歌手を自社で使いたい」と引き合いの電話が来たこともあった[12]。しばらく後に“唄/松田聖子”のクレジットが表示されるようになり、本作レコードの売り上げ再浮上へと繋がった。この経緯から、聖子の歌唱力を世間に認知させる契機になったと評される曲である[13]

    本作は「ガラスの林檎」としてリリースされて3週間目でオリコンシングルチャートの1位を獲得(1983年8月15日付)した後、一旦ベスト10外まで順位を下げるが、CMで繰り返し流れるB面の「SWEET MEMORIES」の反響で再びじわじわと順位を上げていった。両A面シングルとして新しいジャケットのものが発売され(83年10月20日発売。なお、オリコンシングルチャートでは9月26日付から両A面表記になっている)、10月31日付の同チャートで11週ぶりに1位に返り咲いた。さらに、翌11月7日付では次作のシングル「瞳はダイアモンド/蒼いフォトグラフ」が1位に入り、本作とあわせてシングルチャートの1位と2位を独占、9週間にわたり同時にベスト10入りしていた。

    最終的に本作は1位は合計2週、ベスト10以内は「ガラスの林檎」として8週、両A面で10週であった。レコード総売り上げはオリコンの集計で85万枚を超え、聖子のシングルとしては1996年の「あなたに逢いたくて〜Missing You〜/明日へと駆け出してゆこう」に次ぐセールスを記録している。CBS・ソニーの発表ではミリオンセラーとなっている[14]

    なお、タイアップのCM自体も大きな話題となり、ペンギンのキャラクターも人気を呼んだためシリーズ化され、後に東宝劇場用アニメペンギンズ・メモリー 幸福物語』が製作された。2010年10月23日からオンエアされたサントリーの缶コーヒーBOSS ホットシルキーブラック」のCM「ペンギン回想編」では、聖子自らが実写で出演して「SWEET MEMORIES」を歌唱し、かつてのペンギンアニメのCMを回想させる内容となっている。

    カバー[編集]

    ガラスの林檎
    • Deniece Williams(1991年、アルバム『ROMANTIQUE』収録)
    • 井上昌己(2009年、アルバム『the covers of my color』収録)
    • 沢知恵(2010年、アルバム『ライブ・アット・ラカーニャ秋』収録)
    • アン・サリー(2012年、アルバム『fo:rest』収録)
    • 野宮真貴(2015年、アルバム『世界は愛を求めてる。What The World Needs Now Is Love 〜野宮真貴、渋谷系を歌う。〜』収録)
    • 野島健児(2020年、アルバム『VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング〜 Male Edition』収録)
    SWEET MEMORIES

    関連作品[編集]

    脚注[編集]

    [脚注の使い方]
    1. ^ 別冊宝島2611『80年代アイドルcollection』p.38.
    2. ^ 株式会社オリコン『1968-1997 ORICON CHART BOOK』(1997年)
    3. ^ 1983年の今日、松田聖子14th Single「ガラスの林檎」」がオリコンチャート1位を獲得。B面は「SWEET MEMORIES」。 【大人のMusic Calendar】”. ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93 (2016年8月14日). 2018年7月15日閲覧。
    4. ^ 中川, p. 224.
    5. ^ 中川, pp. 231–232.
    6. ^ 中川, pp. 232–233.
    7. ^ 加藤みのり「あの日に帰る名曲物語 1983年」『女性セブン』第50巻第11号(3月22日号)、小学館、2012年3月、 131頁、 NCID AA11771074
    8. ^ 中川, p. 232.
    9. ^ 『歌い継がれる名曲案内 音楽教科書掲載作品10000』日本アソシエイツ、2011年、215頁、703頁。ISBN 978-4816922916
    10. ^ 松田聖子「SWEET MEMORIES」新バージョンがマクドナルドCM曲に”. ORICON NEWS (2020年5月8日). 2021年5月15日閲覧。
    11. ^ 聖子が当時所属していたサンミュージック側の意向かサントリー側の意向かは諸説ある。
    12. ^ 相澤秀禎 『人気づくりの法則』(東洋経済新報社 1988年4月23日) ISBN 978-4492553091
    13. ^ 中川, p. 233.
    14. ^ 日経流通新聞・編『昭和60年感覚 このビジネス・チャンスをのがすな』光文社(カッパ・ビジネス)、1985年、202-203頁。ISBN 4334011764
    15. ^ 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の新アルバムは松田聖子カバー含む『桜富士山』”. CINRA.NET (2012年6月8日). 2020年1月18日閲覧。
    16. ^ 松本隆トリビュートに細野晴臣、YUKI、マサムネ、小山田壮平ら参加”. 音楽ナタリー (2015年5月4日). 2015年5月26日閲覧。
    17. ^ 関ジャニ∞渋谷すばる初ソロアルバムで宇多田、サザンらカバー”. 音楽ナタリー (2015年12月7日). 2015年12月7日閲覧。
    18. ^ May J.カバーアルバム第3弾で日本の名曲歌う”. 音楽ナタリー (2016年1月5日). 2016年1月5日閲覧。
    19. ^ “原田知世カバー集「恋愛小説」第2弾発売、レコ発イベントも決定”. 音楽ナタリー. (2016年4月4日). https://natalie.mu/music/news/182205 2016年7月5日閲覧。 
    20. ^ “松本隆トリビュート収録曲決定、宮本浩次「SEPTEMBER」や三浦大知「キャンディ」など10曲”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2021年6月1日). https://natalie.mu/music/news/430603 2021年6月12日閲覧。 
    21. ^ 雨宮天、初の歌謡曲カバーアルバムリリース”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2021年9月5日). 2021年10月3日閲覧。

    参考文献[編集]