ゲティ家の身代金

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ゲティ家の身代金
All the Money in the World
監督 リドリー・スコット
脚本 デヴィッド・スカルパ
原作 ジョン・ピアースン「ゲティ家の身代金」(Painfully Rich: The Outrageous Fortunes and Misfortunes of the Heirs of J. Paul Getty)
製作 リドリー・スコット
クリス・クラーク
クエンティン・カーティス
ダン・フリードキン
ブラッドリー・トーマス
マーク・ハッファム
ケヴィン・J・ウォルシュ
出演者 ミシェル・ウィリアムズ
クリストファー・プラマー
マーク・ウォールバーグ
チャーリー・プラマー英語版
ティモシー・ハットン
ロマン・デュリス
音楽 ダニエル・ペンバートン
撮影 ダリウス・ウォルスキー
編集 クレア・シンプソン
製作会社 スコット・フリー・プロダクションズ
インペラティヴ・エンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗トライスター・ピクチャーズ
イギリスの旗ソニー・ピクチャーズ・リリーシング
日本の旗KADOKAWA
公開 アメリカ合衆国の旗2017年12月25日
イギリスの旗2018年1月5日
日本の旗2018年5月25日
上映時間 133分[1]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 5000万ドル[2]
興行収入 世界の旗$29,628,596[3]
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ゲティ家の身代金』(原題:All the Money in the World)は2017年アメリカ合衆国イギリスで製作されたスリラー映画である。監督はリドリー・スコット、主演はミシェル・ウィリアムズ。そのほか、クリストファー・プラマーマーク・ウォルバーグらが出演。本作はジョン・ピアースンが1995年に発表したノンフィクションPainfully Rich: The Outrageous Fortunes and Misfortunes of the Heirs of J. Paul Getty』(原作邦題:「ゲティ家の身代金」(ハーパーコリンズ刊))を原作とし、1973年に実際にローマで起きたゲティ3世誘拐事件を描く。日本ではR15+指定で公開される。

第75回ゴールデングローブ賞の監督賞(リドリー・スコット)、主演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)、助演男優賞(クリストファー・プラマー)にノミネート、第71回英国アカデミー賞の助演男優賞(クリストファー・プラマー)にノミネート、第90回アカデミー賞助演男優賞(クリストファー・プラマー)にノミネートされた。プラマーはアカデミー賞演技部門での最年長ノミネート記録を更新した[4]

概略[編集]

1973年7月のローマ。犯罪者たちの用意周到な計画に基づいてジョン・ポール・ゲティ3世が誘拐されるという事件が発生した。犯人たちは、当時フォーチュン誌によって”世界一の大富豪”に認定されたゲティオイル社社長の石油王のジャン・ポール・ゲティに孫の身代金1,700万ドルを要求したが、彼は支払いを断固拒否する。表向きは「もしここで身代金を支払ったら、他の14人の孫たちも金目当てに誘拐されるかもしれん」という理由ではあったが、総資産50億ドルとも言われるゲティは極端な吝嗇家としても知られていた。その裏で元CIAの交渉人チェイスを呼び寄せ、孫の奪還作戦を指示する。

余裕飄々としているゲティとは対照的に、3世の母親であるアビゲイル(ゲイル)は息子が殺されるかもしれないと怯えていた。ジョン・ポール・ゲティ2世との離婚で既にゲティ家を離れていたゲイルには身代金の支払いは不可能であった。一方で警察やチェイスはゲティ3世もしくはゲイルによる狂言誘拐を疑い始める。ゲイルの一挙手一投足を報道しようとマスコミが付きまとい、事件は世界中を巻き込んで加熱していく中、ゲティ3世の切り取られた耳が新聞社に送り付けられるという事態が発生する。

キャスト[編集]

製作[編集]

構想[編集]

2017年3月13日、リドリー・スコットがデヴィッド・スカルパの脚本の映画化に着手していると報じられた。スコットはスカルパの脚本に関して「スカルパの脚本に夢中になりました。ゲティ3世の誘拐事件に関しては知っていたのですが、脚本はとても刺激的でした。ゲイル・ハリスは際だったキャラクターで、ジャン・ゲティという男の種々の側面は彼を偉人たらしめているものでしょう。脚本には素晴らしいダイナミズムがありました。映画というよりも、むしろ戯曲ですね。」と語っている[5]

キャスティング[編集]

2017年3月13日、ゲイル・ハリス役にナタリー・ポートマンの起用が検討されていると報じられたが、このキャスティングは実現しなかった[6]。31日、ミシェル・ウィリアムズとケヴィン・スペイシーが本作に出演することになったと報じられた。また、マーク・ウォルバーグに本作への出演オファーが出ているとも報じられた[7]。スコットはスペイシーの起用に関して「脚本を読み終えた後、誰がジャン・ゲティを演じるのに相応しいかと考え始めました。頭の中に浮かんできたのはケヴィン・スペイシーでした。ケヴィンが優れた俳優であることは周知の通りですが、私はそれまでに彼と一緒に仕事をしたことがありませんでした。それでもなお、私は彼にジャン・ゲティを演じてもらわねばならないと思いました。」と語っている。ウィリアムズに関しては「ミシェルは第1候補ではありませんでした。」と前置きした上で「ミシェルは特別な女優です。私はそれまで彼女と一緒に仕事をしたことはありませんでした。(中略)。ゲティ家はプライベートをしっかり守る家だったので、ゲイルに関する情報はほんの少ししか残ってしませんでした。しかし、誘拐事件に関しては話が別です。ゲイルの長大なインタビュー記事がありました。ミシェルはそれを熟読しました。記事を見る限り、ゲイル・ゲティは非常に知的で、個を確立した女性だったということが分かります。」と語っている[8]。5月2日、チャーリー・プラマーの出演が決まった[9]。6月16日、ティモシー・ハットンが本作に出演するという報道があった[10]

撮影[編集]

2017年5月31日、本作の主要撮影がイギリスのサフォークで始まった[11]モロッコの宮殿での回想シーンの撮影には、現地にある貴族が建てた住居が使用された[12]。8月には撮影が全て完了した[13]

スペイシーの降板・再撮影[編集]

10月29日、ケヴィン・スペイシーが当時14歳の俳優にセクハラを行っていたとの報道が出た[14]。その後、スペイシーは謝罪文を公表したが[15][16]、その文章が原因でさらに厳しく批判されることとなった[17]。こうした事態を受けて、トライスター・ピクチャーズは本作のプロモーション戦略の見直しを進めていると報じられた[18]。また、当初予定されていたスペイシーをアカデミー助演男優賞にノミネートさせるためのキャンペーンもキャンセルとなった[19]。11月8日、公開まで1ヶ月しかないにも拘わらず、スコット監督がスペイシーの出演シーンを全て撮影し直す決断を下した。興行収入や賞レースでの悪影響を回避し、それと同時に映画製作者としての道義的責任を果たすための決断であったと報じられている。スペイシーの代役にはクリストファー・プラマーが起用された[20]

ハリウッド・レポーター』の報道によると、スコットは最初からプラマーをジャン・ゲティ役に起用する予定だったが、スタジオが大物俳優の起用を望んだため、スペイシーにオファーが出たのだという[21]

再撮影は11月20日から29日にかけて行われたが、ローマヨルダンでのシーンはセットで撮影された映像をスペイシー版の映像と合成することで撮影された[2]。新しい予告編が公開されたのは撮影最終日となった29日のことであった[22]。なお、再撮影には1000万ドルが費やされた[2]。再編集は夜を徹して行われ、劇場公開版が完成したのは12月7日のことであった[23]

プラマーは出演オファーから約1か月後にはゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネート、約2か月後にはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされることとなった。

公開[編集]

2017年11月16日、本作はAFIフェストでプレミア上映される予定であったが[24]、前述のセクハラ騒動が原因で取りやめとなった。当初、本作は2017年12月22日に全米公開される予定だったが、『グレイテスト・ショーマン』との競合を避けるため、公開日が同年12月25日に延期されることとなった[25]

騒動[編集]

スコット監督は「俳優の皆さんはただ同然で再撮影に協力してくれました」という主旨の発言をしていた[26]。しかし、2018年1月10日、ウォルバーグが再撮影に際し150万ドルのギャラを受け取っていたのに対し、ウィリアムズが1000ドル以下のギャラしか受け取っていないと報じられた[27]。その報道の3日前に開催された第75回ゴールデングローブ賞の授賞式で、Time's Up運動(男女間の不平等の是正を訴える運動)が盛り上がったこともあって、この問題は男女の間の賃金格差を象徴する一件として大きな注目を集めた[28]。2人のギャラに1000倍以上の相違が生じたのは、「米国外の配給会社が自分の興行実績を宣伝に利用する」と考えたウォルバーグが独自にギャラの値上げを交渉したためであった。公開日が間近に迫っていたこともあって、製作サイドはウォルバーグの要求を呑まざるを得なかったのだという[29]。報道で事実を知ったスコット監督は激怒したと伝えられている[30][31]。また、ウォルバーグの出演契約には、共演者を拒否する権限が盛り込まれていた。ウォルバーグ側がそれを活用してギャラの値上げ交渉を行ったことも非難を浴びた[32]

ジェシカ・チャステインジャド・アパトーらが自身のTwitterでこの問題に苦言を呈した[33][34][35]。また、事態を重く見た全米映画俳優組合は協定違反の有無を調査すると発表した[36]

13日、ウォルバーグと彼のマネジメントを担当するWMEは「ミシェル・ウィリアムズの名義で、再撮影で得たギャラ150万ドルをTime's Up運動の基金に寄付する」という主旨のコメントを発表した[37]。3月に配信されたインタビュー記事で、ウォルバーグは「賃金格差に関するニュースが話題になるまで、自分が状況を把握していなかった」という主旨の釈明をした[38][39]

興行収入[編集]

本作は公開初週末に300万ドル強を稼ぎ出すと予想されていたが[40]、実際の数字はそれを上回るものであった。2017年12月25日、本作は全米2074館で封切られ、公開初週末に558万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場7位となった[41]

評価[編集]

本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには201件のレビューがあり、批評家支持率は77%、平均点は10点満点で6.9点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ゲティ家の身代金』は実話を魅力的に描写している。それに生命力を吹き込んでいるのが、クリストファー・プラマーの名演技である。」となっている[42]。また、Metacriticには47件のレビューがあり、加重平均値は72/100となっている[43]。なお、本作のシネマスコアはB+となっている[44]

TVシリーズ"TRUST"[編集]

同じくジョン・ポール・ゲティ3世誘拐事件を描いたTVシリーズ「トラスト」が、2018年3月よりアメリカのケーブルテレビFXにて放送開始。監督はダニー・ボイルジャン・ポール・ゲティドナルド・サザーランド、アビゲイル・ハリスはヒラリー・スワンク、フレッチャー・チェイスはブレンダン・フレイザーが演じる。

その他[編集]

ゲティ3世誘拐事件に着想を得たA・J・クィネルは小説『燃える男』(Man on Fire)を発表、二度映画化される。スコット・グレン主演「Man on Fire (1987)」(日本未公開)と、デンゼル・ワシントン主演『マイ・ボディガード』である。『マイ・ボディガード』はリドリー・スコットの弟トニー・スコット監督作品。

出典[編集]

  1. ^ ALL THE MONEY IN THE WORLD”. 2018年1月13日閲覧。
  2. ^ a b c Ridley Scott Reveals How Kevin Spacey Was Erased From 'All the Money in the World'”. 2017年12月20日閲覧。
  3. ^ All the Money in the World”. 2018年1月13日閲覧。
  4. ^ Christopher Plummer Becomes Oldest Actor to Be Nominated for an Oscar”. 2018年1月24日閲覧。
  5. ^ Ridley Scott talks casting Kevin Spacey, Michelle Williams in Getty kidnapping thriller”. 2017年10月30日閲覧。
  6. ^ Ridley Scott To Next Helm Getty Kidnap Drama; Natalie Portman Courted”. 2017年10月30日閲覧。
  7. ^ Michelle Williams, Kevin Spacey, Mark Wahlberg Circling Ridley Scott’s Getty Kidnap Film”. 2017年10月30日閲覧。
  8. ^ Ridley Scott talks casting Kevin Spacey, Michelle Williams in Getty kidnapping thriller”. 2017年10月30日閲覧。
  9. ^ Ridley Scott’s Getty Drama Casts Charlie Plummer as Kidnapped Grandson (EXCLUSIVE)”. 2017年10月30日閲覧。
  10. ^ Timothy Hutton Joins Ridley Scott’s Getty Kidnap Thriller ‘All The Money In The World’”. 2017年10月30日閲覧。
  11. ^ Michelle Williams Joins Amy Schumer In ‘I Feel Pretty’”. 2017年10月30日閲覧。
  12. ^ Ridley Scott brings latest blockbuster All the Money in the World to film in Suffolk”. 2017年10月30日閲覧。
  13. ^ Oscars: Clint Eastwood, Steven Spielberg, Ridley Scott Race to the Finish”. 2017年12月20日閲覧。
  14. ^ Kevin Spacey Accused of Sexual Misconduct by ‘Star Trek: Discovery’ Actor”. 2017年10月30日閲覧。
  15. ^ ケヴィン・スペイシー、過去の行動を謝罪…ゲイであることをカミングアウト”. 2017年10月30日閲覧。
  16. ^ 13:00 - 2017年10月30日 by@KevinSpacey”. 2017年10月30日閲覧。
  17. ^ LGBT Celebrities Slam Kevin Spacey For His Response To Sexual Misconduct Allegations”. 2017年10月30日閲覧。
  18. ^ Kevin Spacey Claims Will Likely Impact Sony's 'All the Money in the World' Promo Plans”. 2017年10月30日閲覧。
  19. ^ Kevin Spacey’s ‘All the Money in the World’ Oscar Push Axed (EXCLUSIVE)”. 2017年11月10日閲覧。
  20. ^ Shocker: Kevin Spacey Dropped From ‘All The Money In The World;’ J Paul Getty Role Recast With Christopher Plummer”. 2017年11月10日閲覧。
  21. ^ Christopher Plummer to Replace Kevin Spacey in 'All the Money in the World'”. 2017年12月20日閲覧。
  22. ^ Ridley Scott Explains How He Pulled Off Those ‘All the Money in the World’ Reshoots”. 2017年12月20日閲覧。
  23. ^ Sarah Vilkomerson. Entertainment Weekly. "Erasing Kevin Spacey". December 8, 2017. Page 30.
  24. ^ Ridley Scott’s ‘All The Money In The World’ To Premiere At AFI Fest In Closing-Night Slot”. 2017年10月30日閲覧。
  25. ^ Ridley Scott’s ‘All The Money In The World’ Moves To Christmas Day”. 2017年12月8日閲覧。
  26. ^ Michelle Williams, Mark Wahlberg reshot Kevin Spacey's 'All the Money' scenes for free”. 2018年1月11日閲覧。
  27. ^ Exclusive: Wahlberg got $1.5M for 'All the Money' reshoot, Williams paid less than $1,000”. 2018年1月11日閲覧。
  28. ^ 女優と男優のギャラに1500倍の差 ハリウッドセレブの怒り爆発 「結局、これがビジネスの世界かよ」”. 2018年1月11日閲覧。
  29. ^ Purge of Kevin Spacey Gives ‘All the Money in the World’ a Pay Problem”. 2018年1月11日閲覧。
  30. ^ 男優に女優の1,500倍出演料…知らなかったリドリー・スコット激怒”. 2018年1月12日閲覧。
  31. ^ Mark Wahlberg's Rep Tells 'All the Money in the World' Financiers 'He Doesn't Work for Free'”. 2018年1月12日閲覧。
  32. ^ Exclusive: Mark Wahlberg refused to approve Christopher Plummer unless he was paid”. 2018年1月14日閲覧。
  33. ^ 10:58 - 2018年1月10日 by@jes_chastain”. 2018年1月11日閲覧。
  34. ^ 11:29 - 2018年1月10日 by@JuddApatow”. 2018年1月11日閲覧。
  35. ^ Outrage Erupts Over Report That Mark Wahlberg Made Over 1,000 Times More Than Michelle Williams”. 2018年1月11日閲覧。
  36. ^ Actors Union Investigating Michelle Williams–Mark Wahlberg All the Money Pay Disparity”. 2018年1月11日閲覧。
  37. ^ Mark Wahlberg donates All the Money in the World reshoots salary to Time’s Up after backlash”. 2018年1月14日閲覧。
  38. ^ M.ウォールバーグ、矢面に立ったギャラ格差問題に対し「とても気まずかった」と…”. 2018年3月4日閲覧。
  39. ^ Mark Wahlberg Describes 'All The Money In The World' Pay Gap As An 'Awkward Situation'”. 2018年3月4日閲覧。
  40. ^ Look for 'The Last Jedi' to Become 2017's Highest Grossing Release Over New Year's Frame”. 2018年2月2日閲覧。
  41. ^ December 29-31, 2017”. 2018年2月2日閲覧。
  42. ^ All the Money in the World”. 2018年2月28日閲覧。
  43. ^ All the Money in the World”. 2018年2月28日閲覧。
  44. ^ ‘Last Jedi’ Now At $99M, ‘Jumanji’ Huge At $72M+; ‘All The Money In The World’ Opens To $2.6M – Christmas Weekend”. 2018年2月28日閲覧。

外部リンク[編集]