A・J・クィネル

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A・J・クィネル(A. J. Quinnell, 1940年6月25日 - 2005年7月10日)は、イギリスの作家で、本名はフィリップ・ニコルソン(Philip Nicholson)。バイオレンス小説を多く出版した。

人物[編集]

A・J・クィネルことフィリップ・ニコルソンは『燃える男』の出版の際に、ニコルソンは担当の著作権エージェントとパーで飲んでいた。この作品に本名とは別のペンネームを使用することを申し出ると、エージェントはラグビー選手のデレク・クィネルの名前を出し、そして、そのバーのバーテンダーの息子のイニシャル“A・J”をあわせることで“A・J・クィネル”の名前が誕生した。その後は、覆面作家として、フィリップ・ニコルソンの名を伏せて執筆していたが、1999年の『トレイル・オブ・ティアズ』の発表時、経歴その他を公開した。

3度の結婚をしており、最初の妻 Elsebeth Egholm は、デンマーク出身のミステリー作家であり、マルタゴゾ島の住居で、執筆活動をしていた。2005年に肺がんのため、亡くなる。

また、執筆した小説のいくつかは、彼の旅先で出会った実在の人物に基づいている。

日本での翻訳は、すべて大熊栄が担当している。

著作[編集]

元傭兵クリーシィ・シリーズ[編集]

ゴゾ島を根城にする元傭兵のクリーシーが活躍するアクション・シリーズ。

その他[編集]

  • 『メッカを撃て』 The Mahdi (1981) 集英社 のち文庫
  • 『スナップ・ショット』 Snap Shot (1982)新潮文庫 - イラク原子炉爆撃事件
  • 『血の絆』 Blood Ties (1984) 新潮文庫
  • 『サン・カルロの対決』 Siege of Silence (1986) 新潮文庫
  • 『ヴァチカンからの暗殺者』 In the Name of the Father (1987) 新潮文庫 - パウロ2世暗殺未遂事件
  • 『イローナの四人の父親』 The Shadow (1991) 新潮文庫
  • 『トレイル・オブ・ティアズ』 The Trail of Tears (1999) 集英社
  • The Scalpel (2001)

短編集[編集]

  • 『地獄の静かな夜』 A Quiet Night in Hell (2001) 集英社
  1. 「手錠」
  2. 「愛馬グラディエーター」 Gladiator
  3. 「バッファロー」 Buffalo
  4. 「ヴィーナス・カプセル」 The Venus Capsule
  5. 「六十四時間」
  6. 「ニューヨーク、ニューイヤー」
  7. 「地獄の静かな夜」 A Quiet Night in Hell