オーバー・ザ・トップ

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オーバー・ザ・トップ
Over the Top
監督 メナハム・ゴーラン
脚本 シルヴェスター・スタローン
スターリング・シリファント
製作 メナハム・ゴーラン
ヨーラム・グローバス
製作総指揮 ジェームズ・D・ブルベイカー
出演者 シルヴェスター・スタローン
デビッド・メンデンホール
ロバート・ロッジア
スーザン・ブレイクリー
音楽 ジョルジオ・モロダー
撮影 ニック・マクリーン
編集 ジェームズ・R・サイモンズ
ドン・ジマーマン
製作会社 キャノン・フィルムズ
配給 アメリカ合衆国の旗 ワーナー・ブラザース
日本の旗 東宝東和
公開 アメリカ合衆国の旗 1987年2月13日
日本の旗 1987年2月14日
上映時間 94分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $16,057,580[1] アメリカ合衆国の旗カナダの旗
配給収入 12億4100万円[2] 日本の旗
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オーバー・ザ・トップ』(Over the Top)は、1987年に公開されたシルヴェスター・スタローン主演のアメリカ合衆国の映画

ストーリー[編集]

ニューヨーク、陸軍幼年学校の卒業式。寮生活を終えた少年たちが家族と再会し帰路につく中、卒業生のマイケル・カトラーの迎えに見知らぬ男が現れた。彼リンカーン・ホークは10年前に家を出たマイケルの実父であり、病床にいるマイケルの母クリスティーナが、父子の絆を取り戻させるために仕組んだのだった。父について祖父(母の父)ジェイソン・カトラーから「お前を捨てて逃げた」と聞かされていたマイケルは、実際にずっと音信不通だった父を受け入れられず「あんたなんか嫌いだ!」と声を荒らげるが、ホークは「嫌いか。そこからスタートしよう」と答えると、マイケルを自分の駆る大型トラックに乗せ、カリフォルニア州の病院に居る母に向けて出発、父子2人での旅が始まる。

一方、祖父ジェイソンは自分の部下を迎えに行かせたにもかかわらず、ホークとクリスティーナに出し抜かれ激怒。上流階級のカトラー家は、娘がホークのような野蛮な労働者階級の男と結婚する事を受け入れず、ホークを毛嫌いし、10年前に追い出したのであった。その上流階級育ちのマイケルにとって、トラッカー生活は度肝を抜かれる事の連続。車中泊や肉中心の大雑把な食事、極めつけはドライブインで行なわれる賭け腕相撲だった。荒くれ者同士が力比べをする荒々しい世界に馴染めないマイケルは、電話でクリスティーナに助けを求めるが、最愛の母から「その旅で得るものが必ずあるから」と諭され、仕方なく旅を続けるのだった。共に時間を過ごし、徐々に心を開き始めるマイケル。コロラド州で立ち寄ったドライブインで、ホークは不良っぽい少年を呼び止めマイケルに引き合わせると、強引にアームレスリングの試合をセッティングする。突然の展開に困惑するマイケルは、3本勝負の1本目に負けると泣きながら逃げ出してしまう。しかしホークに「欲しい物は自分で戦って掴むんだ!きっと勝てる、万が一負けても堂々と闘った結果なら恥じゃない」と激励され覚悟を決めると2連勝で逆転勝利する。一緒に勝利を成し遂げた事で、ホークとマイケルは心を通わせることが出来た。

ところが数日の旅を終え病院に到着すると、そこで二人を待っていたのは、クリスティーナが急死したという残酷な現実だった。もしホークと旅をせずジェイソンの迎えと一緒に帰っていれば、死ぬ前の母に会えたはず。マイケルは母に会えなかった事をホークのせいだと感じ、再び心を閉ざし、ホークを振り払ってタクシーで祖父の屋敷に帰ってしまう。ホークはもう1度息子と話そうとカトラー邸を訪ねるが門前払いを喰らうと、トラックで門を突き破り強引に侵入。マイケルに一緒に来るよう説得を試みるが、ジェイソンに引き離され、とうとう逮捕されてしまう。

留置場のホークの前にジェイソンの弁護士が現れ「マイケルの親権を手放して州を去るならば、告訴も賠償請求も取り下げる」と取り引きを持ち掛ける。同席したマイケルからも「父さんとは行けない」と告げられ、仕方なく取り引きを受け入れる。釈放されたホークはラスベガスに向かう。そこで開催される世界アームレスリング選手権大会にエントリーするためだ。いまやマイケルのために出来るのは、ただ全力で闘う姿を見せることだけ。しかし大会には5年間無敗の最強王者ブルー・ハーリーを始め、多くの力自慢の大男たちがひしめいている。ホークは息子への愛だけを胸に、人生最大の大勝負に挑む。

登場人物[編集]

リンカーン・ホーク
演 - シルヴェスター・スタローン
トラックの運転手。訳あって離れていたが10年ぶりに妻子に再会する。妻からはリンクと呼ばれており現在でも関係は良好で電話で話したりしていたが亡くなってしまったことで10年ぶりの対面を果たすことはなかった。
マイケル・カトラー
演 - デヴィッド・メンデンホール
リンカーンの息子。愛称はマイク。大人びいているが根は寂しがり屋。理知的だが子供特有の好奇心も持っており少しの間で決して人に迷惑のかからない規模であったとはいえ、トラックを運転して楽しんだりしていた。暴力的ではないが陸軍幼年学校出身なだけに腕力は強い。
ジェイソン・カトラー
演 - ロバート・ロッジア
マイケルの祖父。クリスティーナの父。リンカーンを認めておらず妻と孫に関わらないように妨害していた。妻と孫に対する愛情は本物だが、その二人にさえも先述のリンカーンのことで手段を択ばない措置をすることもある。
クリスティーナ・カトラー
演 - スーザン・ブレイクリー
ホークの妻。マイケルの母。息子のことはもちろん、リンカーンの事も今でも愛している。病床の身で自分の最期を感じており、このことがリンカーンとマイケルが父子らしく一緒にしようと画策する切っ掛けともなった。リンカーンとは電話などで会話したりするなど良好な関係であり対面も望んでいたが手術中に容態が急変して亡くなった。
ボブ・“ブル”・ハーリー
演 - リック・ザムウォルト
アームレスリングの世界王者。
マーサ
リンカーンの行きつけの店の女性店員。
ランディ
スラッシャーと一緒にいた男。
スマッシャー
演 - マジック・シュワルツ
リンカーンにアームレスリングの勝負を仕掛けるが負ける。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
フジテレビ TBS テレビ朝日
リンカーン・ホーク シルヴェスター・スタローン 玄田哲章 羽佐間道夫 安原義人
マイケル・カトラー デヴィッド・メンデンホール 神藤一弘 井上大輔 藪下博文
ジェイソン・カトラー ロバート・ロッジア 鈴木瑞穂 小林勝彦 坂口芳貞
クリスティーナ・カトラー スーザン・ブレイクリー 榊原良子 土井美加 高島雅羅
ボブ・“ブル”・ハーリー リック・ザムウォルト 坂口芳貞 郷里大輔 麦人
ティム・サランガー クリス・マッカーティ 富山敬 大塚芳忠
ルーカー テリー・ファンク 仁内建之 辻親八
アナウンサー ボブ・ビーティー 小川真司 谷口節
コリンズ アラン・グラフ 仁内建之 小島敏彦
スマッシャー マジック・シュワルツ 藤本譲 大塚明夫
ジョン・グリズリー ブルース・ウェイ 飯塚昭三 池田勝
ビッグ・ボーイ(リッチー) ジミー・キーガン 菊地英博
デイヴィス大佐 ジョン・ブレイデン 加藤精三 吉水慶
トニー トニー・ムナフォ 仲木隆司 池田勝
マッド・ドック・マディソン ランディー・ラニー 藤本譲 島香裕
カール・アダムズ ポール・サリヴァン 加藤精三 麦人
ビッグ・ビル・ラーソン ジャック・ライト
ハリー・ボスコ サム・スカーバー 大山高男 大塚明夫
その他 杉元直樹
椙本泰史
さとうあい
菅原淳一
色川京子
叶木翔子
吉田美保
桜井敏治
北村弘一
火野カチコ
石森達幸
峰恵研
嶋俊介
西村知道
徳丸完

火野カチコ
桜井敏治
紗ゆり
叶木翔子
塚田正昭
稲葉実
幹本雄之
四沢康志
石川匡
阪脩
山野史人
田原アルノ
西村知道
田中康郎
島香裕
郷里大輔
飯塚昭三
西尾徳
幹本雄之
片岡富枝
中多和宏
成田剣
朝倉佐知
紗ゆり
菅谷恵子
中澤やよい
井上大輔
徳永浩之
江原和哉
演出 蕨南勝之 松川陸
翻訳 進藤光太(字幕翻訳) 鈴木導 たかしまちせこ 入江敦子
調整 近藤勝之 桑原邦男
選曲 佐藤良介
効果 佐藤良介
担当 山形淳二 上田正人 山田ゆみ子
制作 ニュージャパンフィルム ニュージャパンフィルム
TBS
ニュージャパンフィルム
解説 高島忠夫 淀川長治
初回放送 1989年4月8日
ゴールデン洋画劇場
1991年5月1日
水曜ロードショー
1992年5月31日
日曜洋画劇場
  • HDニューマスター版DVDにはTBS版の吹き替えが収録され、HDニューマスター版BDにはTBS版も含めフジテレビ版も収録された。テレビ朝日版も収録予定だったが、諸事情により見送られた。

サウンドトラック[編集]

サウンドトラック盤は日本ではオリコン洋楽アルバムチャートで1987年3月9日付から5週連続1位を獲得した[3]

その他[編集]

  • サウンドトラックに収録されている、『イン・ディス・カントリー』は、1991年、1992年にフジテレビで放送されたF1グランプリのエンディング曲として採用された。
  • 出演者には後にプロレスラーとなるスコット・ノートンや、元プロレスラー(後にカムバック)のテリー・ファンク、日本のアームレスリング第一人者の南波勝夫もおり、史上最強のアームレスラーとして知られるジョン・ブルザンクも出演している。
  • この映画でスタローンとの腕相撲を演じた男性のその後についての話が『ステロイド合衆国 (Bigger, Stronger, Faster*という2008年のドキュメンタリーに出てくる。その取材によると、彼は50歳を過ぎてもいまだに身体を鍛え続けており、定職も持たず、家も持たず、自動車に寝泊りしつつ、たまにジムでボディビルの指導をして収入を得るも、その全てがステロイド剤の購入代金に消えてゆく、という生活を送っているという。

参考文献[編集]

  1. ^ Over the Top”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年5月23日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)460頁
  3. ^ オリコンのデータ協力による “全曲、80年代の週間オリコンチャートNo.1” の洋楽コンピが登場!、ソニーミュージック、2017年8月8日。

外部リンク[編集]