アースバウンド

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アースバウンド
EARTHBOUND
キング・クリムゾンライブ・アルバム
リリース
録音 1972年2月11日、2月26日、2月27日、3月10日
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル イギリスの旗HELP / アイランド・レコード
プロデュース ロバート・フリップ
専門評論家によるレビュー
キング・クリムゾン 年表
アイランズ
(1971年)
アースバウンド
(1972年)
太陽と戦慄
(1973年)
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アースバウンド』(Earthbound)は、1972年6月9日に発表された、キング・クリムゾンライブ・アルバム

解説[編集]

デビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)発表後、一躍注目の的となったグループはすぐに続けてセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』(1970年)を発表したものの脱退者が相次ぎ、同年リリースの3作目『リザード』では、すでにオリジナル・メンバーは作詞やコンセプト作りを担当していたピート・シンフィールド以外、ロバート・フリップだけという状況になった。キース・ティペットを始め多くのゲストによって『リザード』は作られたが、アルバム発表直後にボーカル&ベースのゴードン・ハスケルが脱退してしまいライブやツアーを行うことが不可能となった。ライブによって産み出される力や想像力に対して特別な敬意を払うフリップは、改めてライブ可能なバンドを再編成することとし、セカンドから参加しているメル・コリンズに加えイアン・ウォーレス、そしてベースには最初リック・ケンプ(スティーライ・スパン)を予定していたが取りやめたため、ボーカルだけのつもりだったボズ・バレルに急遽ベースを教え込み、1971年4月からライブを行うようになった。新体制により『アイランズ』(1971年)を発表し1972年2月からアメリカ・ツアーにも出るが、もともとのミュージシャンとしての資質、求める方向性の違いからこの新体制は最初からかなり危ういものだった。演奏を重ねるうちに溝はさらに深まり短期間で決裂してしまうが、その分裂への決定的な事件は、1972年の年明けに行われた新作のためのリハーサルで起こった。コリンズの作品をフリップが拒否したことでコリンズ、バレル、ウォーレスの3人との間で決定的な対立が起こり、1972年1月の時点ですでに解散が決められるが、アメリカ・ツアーの契約の残りを遂行するためツアーが2月から始められ4月1日のアラバマ州バーミンガムのステージを最後にこのラインナップは解散となる。より感情を解放していく音作り、ある意味でロック・ミュージシャンらしい指向が根底にはあった3人はツアーに帯同していたジョン・メイオールと意気投合して新しいバンド“スネイプ”を結成することに決めたのだった[1]。アルバムの曲はそのアメリカ・ツアーの中から収録されているが、カセットで録られた音源を元にしており、劣悪な音質で知られる。そこでより鮮明になるのはフリップとウォーレスやバレルのリズム・セクションが持つ資質の根本的な違いで、フリップの求める構築性とインプロヴィゼーションが複雑な絡まり合いを繰り返しながら変幻多様な音空間を創出するという点では、彼ら二人は明らかにスタイルが合わない[1]。黒っぽいフィーリングで勝手に暴走する3人とフリップの間の亀裂があからさまに見える本作は、当時のバンド内人間関係の険悪さを思い出させる記録だからか、フリップはずっと嫌っていたと思われているが、他メンバーの反対を押し切ってこのカセット音源をリリースしたのはフリップだった[2]

アルバムは当初、アイランド・レコードの廉価盤レーベル“ヘルプ”からイギリスでのみ発売された。フリップは長年、本作のCD化を許可しなかったが、2002年に「30th Anniversary Edition」と銘打ったリマスターCDが発売された。

収録曲[編集]

SIDE ONE[編集]

  1. 21世紀の精神異常者 - 21st CENTURY SCHIZOID MAN (11:45)
    FRIPP, LAKE, McDONALD, GILES, SINFIELD
  2. ピオリア - PEORIA (7:30)
    FRIPP, COLLINS, BURRELL, WALLACE
  3. 船乗りの話 - THE SAILORS TALE (4:45)
    FRIPP

SIDE TWO[編集]

  1. アースバウンド - EARTHBOUND (7:08)
    FRIPP, COLLINS, BURRELL, WALLACE
  2. グルーン - GROON (15:30)
    FRIPP

レコーディング・データ[編集]

メンバー[編集]

クレジット[編集]

SCHIZOID MAN and GROON were recorded at
Willmington, Delaware on 11 February 1972;
PEORIA at Peoria on 10 March 1972; THE SAILORS
TALE at Jacksonville, Florida 26 February 1972;
EARTHBOUND at Orlando, Florida 27 February
1972; The recordings were captured live on an anpex
stereo cassette fed from a Kelsey Morris custom
built mixer operated by John Robson and Hunter
Macdonald on the Schizoid Man and Groon and Hunter
Macdonald on the other titles; at Jacksonville in the
rain from the back of a Volkswagon truck.
VCS3 operated by Hunter.

This is the fifth in the occasional series, The preceding albums were;—
In The Court Of The Crimson King
In The Wake Of Poseidon
Lizard
Islands

Personel;
Robert Fripp Electric Guitar
Mel Collins Alto, Tenor & Baritone Saxes; Mellotron
Boz Bass Guitar & Vocals
Ian Wallace Drums

All songs published by E.G. Music 1972 ©
Produced by Robert Fripp for E.G. Records.

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 大鷹俊一「特集 キング・クリムゾン『太陽と戦慄』 今も再生産され続ける“メタル・クリムゾン”を築き上げた2年間」、『レコード・コレクターズ』第31巻第12号、株式会社ミュージック・マガジン2012年12月1日、 49-54頁、 JANコード 4910196371227。
  2. ^ 松山晋也「特集 キング・クリムゾン『レッド』 トリオ編成での限界に挑戦し、ついにたどり着いた“鋼鉄の塊”」、『レコード・コレクターズ』第32巻第11号、株式会社ミュージック・マガジン、2013年11月1日、 45-48頁、 JANコード 4910196371135。