レッド (キング・クリムゾンのアルバム)

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レッド
キング・クリムゾンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1974年7月-8月
オリンピック・サウンド・スタジオ(ロンドン
ジャンル ロック
時間
レーベル アイランド・レコード
プロデュース キング・クリムゾン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 45位(イギリス)
  • 66位(アメリカ)
キング・クリムゾン 年表
暗黒の世界
1974年
レッド
(1974年)
USA
1975年
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レッド』(Red)は、1974年9月27日に発表されたキング・クリムゾンアルバム1973年の『太陽と戦慄』以来、リーダーのロバート・フリップジョン・ウェットンビル・ブルーフォードの3人が核となって活動した時期の最終作にあたる。

解説[編集]

1974年3月に6枚目のアルバム『暗黒の世界』発表後、キング・クリムゾンは3月19日から4月2日までヨーロッパ・ツアーを行い、そして4月11日から北米ツアーを敢行した。5月に一時帰国したものの、6月4日からは再びツアーに戻り、7月1日ニューヨークセントラル・パークまで精力的なステージが繰り広げられた。しかし、会場の音響的な不備やロックならではの大音量などがクラシックをルーツに持つデヴィッド・クロスを疲弊させ、ツアー終了後、脱退してしまった[注 1]。しかし、ロバート・フリップビル・ブルーフォードジョン・ウェットンの3人体制でアメリカから帰国直後の7月上旬から8月にかけてイアン・マクドナルドマイケル・ジャイルズら元メンバーを加えたりしながら、ロンドンのオリンピック・サウンド・スタジオでレコーディングは行われ、9月27日に本作『レッド』はリリースされた。そして、その直前に、キング・クリムゾン自体の解散がフリップから宣言された[1]。これにより、本作を以て第2期キング・クリムゾンは解散となった。

本作の表題曲「レッド」はディストーション・ギターのハードなリフを前面に押し出した重厚な曲で、従来のキング・クリムゾンの音楽性とは趣向の変化を見せている。即興曲の「神の導き」はプロビデンス (ロードアイランド州)のパレスシアターで行なわれた1974年6月30日のライブ録音[注 2]。「スターレス」は初期の「エピタフ」や「クリムゾン・キングの宮殿」を彷彿とさせるメロディアスで叙情的な前半部と、サックスギターによる激しい即興演奏の応酬を聴かせる後半部からなる大作である。

アートワーク[編集]

アルバム・カバー・デザインはデザイナーのジョン・コッシュが手掛け、表ジャケットの3人及び裏ジャケットにあるタコメーターの写真はフォトグラファーのゲレッド・マンコウィッツが1974年に撮影した。マンコウィッツによれば、このときメンバーの関係は冷え切っていて、一緒に撮影することは難しいという話になっていたという。そのため、コッシュとマンコウィッツが出した結論は、メンバーを別々に撮影し、それを組み合わせてグループ・ポートレイトを作るという方法がとられることになった。コッシュはすでにタイトルに合わせて、赤色を使うことを決めていて、その色を生かすにはモノクロ写真が最適だという判断だった。デジタル写真とコンピューター処理が全盛でなかった当時は、想像もできない困難とそれを乗り越える楽しさがあったという。裏ジャケットは古い録音デッキについていた旧式の音量メーター。針は音が制限を超えて振り切れていて、これにより、アルバム・タイトルの『レッド』と作品の激しさ、そして解散前の危機的状態を象徴しているらしいという[2]

収録曲[編集]

Side One[編集]

  1. レッド - Red (6:20)
    Fripp
  2. 堕落天使 - Fallen Angel (6:00)
    Fripp, Wetton, Palmer-James
  3. 再び赤い悪夢 - One More Red Nightmare (7:07)
    Fripp, Wetton

Side Two[編集]

  1. 神の導き - Providence (8:08)
    Cross, Fripp, Wetton, Bruford
  2. スターレス - Starless (12:18)
    Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Palmer-James

レコーディング・メンバー[編集]

ゲスト参加[編集]

クレジット[編集]

  • George Chkiantz - Engineer
  • Rod Thear - Assistant Engineer
  • Equipment by : Chris, Tex, Harvey and Peter Walmsley
  • Cover by : John Kosh
  • Photography : Gered Mankowitz
  • Produced by King Crimson for E.G. Records at Olympic Sound Studios,
    London, England. July and August 1974

『レッド 40thアニバーサリー・ボックス: The Road To Red』[編集]

解説[編集]

アルバム・リリースから40周年にあたる2013年にリリースされたボックス・セット。第2期キング・クリムゾン最終作『レッド』制作へと至る過程の1974年4月から7月のUSツアー音源、『レッド』2013ステレオ・ミックスにサラウンド音源、ライブ・アルバムUSA』の複数音源を収録。1974年のライブ音源を収録した20枚を含む21枚のCDと、1枚のDVDオーディオ盤、そして2枚のBlu-rayオーディオ盤で構成[3]。日本では、輸入ボックスに特典を追加した日本アセンブル仕様にて1000セット限定でリリースされた。

収録曲[編集]

備考[編集]

  • ジョン・ウェットンによれば「スターレス」という曲は元々「Starless and Bible Black」という名前で、前作の『暗黒の世界』(原題は『Starless and Bible Black』)に収録するつもりで作ったが、なぜかロバート・フリップによってボツにされた。その後、またしてもウェットンには不明な理由でフリップが『レッド』に収録することを決めた。
  • ミステリー作家の法月綸太郎に「One More Red Nightmare」の直訳である『ふたたび赤い悪夢』という作品がある。
  • ニルヴァーナカート・コバーンは『レッド』を最も影響されたレコードの一枚として挙げている。

カヴァー[編集]

レッド

スターレス

  • 高嶋政宏 シングル「こわれるくらい抱きしめたい」C/W収録(1993年)
  • 柴田直人 アルバム『STAND PROUD! II』収録(1999年)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ バンド側から脱退を勧告されたという話しもある。
  2. ^ この日の模様は、他の演奏曲も含め『ザ・グレイト・ディシーヴァー〜ライヴ1973-1974』(1992年発表)に収録されている。

出典[編集]

  1. ^ 大鷹俊一「特集 キング・クリムゾン『レッド』 “ヌオヴォ・メタル”の出発点となった狂気の74年北米公演と、迫り来る終焉」、『レコード・コレクターズ』第32巻第11号、株式会社ミュージック・マガジン2013年11月1日、 41-44頁、 JANコード 4910196371135。
  2. ^ 佐藤信夫「写真家ゲレッド・マンコウィッツが語る英国ロックの伝説「第24回 キング・クリムゾン」」、『レコード・コレクターズ』第34巻第6号、株式会社ミュージック・マガジン、2015年6月1日、 18-23頁、 JANコード 4910196370657。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 坂本理「特集 キング・クリムゾン『レッド』 『レッド 40thアニバーサリー・ボックス』徹底解説」、『レコード・コレクターズ』第32巻第11号、株式会社ミュージック・マガジン、2013年11月1日、 62-70頁、 JANコード 4910196371135。