太陽と戦慄

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太陽と戦慄
Larks' Tongues in Aspic
キング・クリムゾンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1973年1月 - 2月
コマンド・スタジオ(ロンドン
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル イギリスの旗アイランド・レコード
アメリカ合衆国の旗アトランティック・レコード
プロデュース キング・クリムゾン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 20位(イギリス)
  • 61位(アメリカ)
キング・クリムゾン 年表
アースバウンド
1972年
太陽と戦慄
(1973年)
暗黒の世界
1974年
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太陽と戦慄』(たいようとせんりつ、Larks' Tongues in Aspic)は、1973年に発表されたキング・クリムゾンアルバム。原題の直訳は「雲雀の舌のゼリー寄せ」となる。全英20位・全米61位を記録。

解説[編集]

リーダーのロバート・フリップはメンバーとの音楽性の相違から来るバンドの内紛に嫌気がさし、契約の残っていた1972年アイランド・ツアー終了の4月、キング・クリムゾンの解散を宣言する。しかし、フリップは当時イエスドラマーだったビル・ブルーフォードの演奏をライブで見て感銘を受け、イエスから彼を引き抜き、旧友ジョン・ウェットンらの新メンバーを集めてキング・クリムゾンを再結成し、1973年に本作を発表した。作詞は、ジョン・ウェットンの友人リチャード・パーマー=ジェイムズが担当。

1969年のデビュー以来、キング・クリムゾンは作品ごとに音楽性を変化させてきたが、本作の表題曲では「静と動」で構成された即興演奏を披露している。その意欲の高さと高度な演奏、前衛的ながらロックの枠からははみ出さない音楽性は高い評価を獲得し、のちにはキング・クリムゾンの代表作のひとつに数えられた。収録曲の「太陽と戦慄 パートII」は現在でもキング・クリムゾンの人気レパートリーの一つである。

ジェイミー・ミューアのパーカッション演奏も話題となったが、ミューアは2月10日のライヴ(アルバム発表前)を最後に仏教修行の為脱退。ミューアから相談を受けていたEG首脳部は「けがのために脱退した」と発表したが、事実ではないと後年本人がインタビューで述べている。そのため、このラインナップは本作だけで終わり、次作『暗黒の世界』は4人編成で制作された。

「トーキング・ドラム」の曲名の由来は、曲中にミューアが使用しているブードゥー・ミュージック系打楽器の名称から。上下2面のドラム皮を互いにひもで張り合わせた形状で、ひもの締めつけかたを変えて音程を自在に操るミューアの妙技が披露されている。

収録曲[編集]

Side One[編集]

  1. 太陽と戦慄 パートI - Larks' Tongues in Aspic, Part One (13:36)
    Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir
  2. 土曜日の本 - Book of Saturday (2:49)
    Fripp, Wetton, Palmer-James
  3. 放浪者 - Exiles (7:40)
    Cross, Fripp, Palmer-James

Side Two[編集]

  1. イージー・マネー - Easy Money (7:54)
    Fripp, Wetton, Palmer-James
  2. トーキング・ドラム - The Talking Drum (7:26)
    Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir
  3. 太陽と戦慄 パートII - Larks' Tongues in Aspic, Part Two (7:12)
    Fripp

レコーディング・メンバー[編集]

クレジット[編集]

  • Engineer: Nick Ryan
  • Cover Design by Tantra Designs, London
  • Equipment by Kettle, Simmons & Walmsley
  • Recorded at Command Studios, London - Jan & Feb 1973
  • A King Crimson Production
    for E.G. Records (David & Mark)
  • All songs published by E.G. Music Ltd ©1973

備考[編集]

  • 映画エマニエル夫人』(1974年)の公開後かなり時間がたってから、劇中で使用されている音楽が「太陽と戦慄パート2」の盗作だとしてロバート・フリップが訴訟を起こし、最終的には示談で解決した。
  • 2007年の日本で、「イージー・マネー」がトヨタ・istCMソングに使われた[1]
  • 原題の“Larks' Tongues in Aspic”(「雲雀の舌のゼリー寄せ」)は中国の古い宮廷料理の名前[要出典]で、ジェイミー・ミューアが同題の曲のイメージとして語った物を、ロバート・フリップが音の並びが面白いとして曲名として採用した。アルバム発表以後、何かの暗喩ではないかとして、様々な解釈がなされたが、フリップ曰く、特別な意味は無いとのこと。ビル・ブルーフォードはこの題名について、“aspic”には毒のイメージがあり(aspicには「毒蛇」という古い意味がある)、“Larks' Tongues”には繊細なイメージがあり、言い得て妙だと思った、と当時の感想を述べている。
  • “太陽と戦慄”は日本盤独自の邦題であり[† 1]、後年、2002年に日本の音楽雑誌「クロスビート」の編集者がロバート・フリップにインタビューした際、“太陽と戦慄”を英語に直訳したタイトルを言ったらフリップには通じず、初めてフリップに日本の邦題が全く違うものとして浸透していることが発覚してしまった。“ポセイドンのめざめ (In The Wake Of Poseidon)”も誤訳したタイトルが日本では浸透していることを伝えたら、フリップはとても苦い顔をしたという。
  • 2012年、40周年記念としてライヴ音源などを追加した限定盤のボックス・セットが発売された。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ “太陽と戦慄”という邦題の名付け親はワーナー・パイオニア(当時)の担当ディレクターだった外山恵一。タイトルをつけるにあたって、外山は原タイトルは見たものの、何が何だかわからなかったという。最初は四文字熟語や“裕福な豚より貧乏な狼になれ”といった格言の類なのかと思ったが、辞書を引いても“ひばりの舌”や“ゼリーの寄せ集め”といったことしか出てこなかった。これでは原タイトルに忠実に邦題を付けるのは無理だと。例えば『ポセイドンのめざめ』のような、原タイトルよりも“ポセイドンの…”という印象があるくらいの邦題が以前にあり、だからなおさら“ひばりの舌…”ではタイトルにならないと思ったという。外山は「でも、とにかくタイトルとキャッチフレーズと発売日だけは何が何でも死守せよってことで、そのデッドラインが近づいてるしどうしようかなと悩んでいるうちに、モノクロのアートワークが向こうから届いたわけ。それを見て、あれ? ひばりがいない! 太陽と月か、でも『太陽と月』ってタイトルもなんだしなぁ…と。クリムゾンがポップになっているわけないから相変わらずの音はしてるんだろうけど…、ってじーっと見てたら“戦慄”という言葉が浮かんできて、よし、『太陽と戦慄』でいこうってなったんですよ」[2]と、後にインタビューで答えている。

出典[編集]

  1. ^ CDjournal.com リサーチ
  2. ^ レコード・コレクターズ編集部「特集 キング・クリムゾン『太陽と戦慄』 〜日本盤『太陽と戦慄』リリースの舞台裏」、『レコード・コレクターズ』第31巻第12号、株式会社ミュージック・マガジン2012年12月1日、 56-57頁、 JANコード 4910196371227。