さっぽろテレビ塔
さっぽろテレビ塔 | |
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![]() さっぽろテレビ塔(2009年4月) | |
情報 | |
用途 | 電波塔、展望台 |
設計者 | 内藤多仲 |
構造形式 | 鉄骨造 |
高さ | 147.2m |
着工 | 1956年(昭和31年)6月1日 |
竣工 | 1957年(昭和32年) |
開館開所 | 1957年(昭和32年)8月24日[1] |
所在地 |
〒060-0042 札幌市中央区大通西1丁目 |
座標 | 北緯43度3分39.93秒 東経141度21分23.16秒 / 北緯43.0610917度 東経141.3564333度座標: 北緯43度3分39.93秒 東経141度21分23.16秒 / 北緯43.0610917度 東経141.3564333度 |
さっぽろテレビ塔(さっぽろテレビとう)は北海道札幌市中央区大通西1丁目の大通公園内にある電波塔である。札幌市の中央にあり、総工費1億7000万円で1957年(昭和32年)に完成し、同年8月24日に開業・電波の発射を開始した[1]。高さ147.2メートル。設計者は内藤多仲。
歴史[編集]
1957年(昭和32年)に完成した当初はNHK札幌放送局および札幌テレビ放送 (STV) の電波発信塔としての役割を担っていた。1956年(昭和31年)12月22日には開業に先駆けて完成した塔体からNHKがテレビ放送の電波を、開業後の1959年(昭和34年)4月1日にはSTVがテレビ放送の電波を発射し始めた。
しかし1956年(昭和31年)に北海道放送 (HBC) が手稲山を開拓して送信所を設置しテレビ塔より広いサービスエリアを構築してからはNHKが1962年(昭和37年)5月27日に、STVが1969年(昭和44年)1月19日に手稲山に移り、STVが移った時点で全てのテレビ送信所が手稲山に一本化された。現在はNHK-FM・AIR-G'・NORTH WAVEのFM各局の中継局施設(札幌大通中継局)とNHKの予備送信所(総合・Eテレ・FM放送)が残るのみとなった。2005年(平成17年)9月にはNHKの地上デジタル放送の手稲山送信所へ放送波を転送するためのSTLアンテナが設置された。
1961年(昭和36年)に松下電器産業(現・パナソニック)の寄贈により展望台の下、地上65メートルの四面に電光時計が取り付けられた。「時計を付ければ必ず見てくれる」という松下幸之助の発案だったという。電光時計は1998年(平成10年)と2006年(平成18年)の2度改修工事が行われ、現在は発光ダイオード製である。広告表示は当初「ナショナル」だったが英語表記の「National」になり、2006年(平成18年)の改修で「Panasonic」に変更された。節電のため、0:10-5:00の間は電光時計は消灯される。
鉄塔部分の色は、完成当初は銀色だったが、煤煙汚れが目立ち、また冬季の視認性の問題が指摘されたことなどから、1963年(昭和38年)に「コッパーローズ(薄朱色)」に塗り替えられた。さらに、1969年(昭和44年)にはさらに濃い「クラウディレッド」となった。[2]
2002年(平成14年)に内外装の大改修が実施され、2・3階部分の外壁の色が薄い緑色から現在の濃い緑色になった。
完成当初はまだ市内中心部も高層の建物が少なく、札幌市内を一望できる数少ない施設としてまたプラネタリウム(現在も3階屋根部分、南面に存在する灰色のドーム形状部屋)や映画館(どちらも現在は廃止)などの観光施設もあったことから多くの市民や観光客が訪れ、展望台に上るために1時間待つのが当たり前であったという。現在は雪まつり期間中を除き、長時間待つことは少なくなった。
今も大通の景観上重要な存在だが、近隣に40階建ての超高層マンションとなるシティタワー札幌大通が完成するなど周囲の建物の高層化が進み、かつての突出感はなくなった。
1961年(昭和36年)頃のさっぽろテレビ塔(左端)。札幌テレビ放送 (STV) の旧放送会館が近隣にあり、親局送信所として稼動していた。時計はまだ設置されていない。
現在のテレビ塔。広告表示が「Panasonic」になっている〔2008年(平成20年)12月〕
冬のさっぽろテレビ塔と大通公園〔2011年(平成23年)1月〕
夜のさっぽろテレビ塔と噴水〔2012年(平成24年)9月〕
さっぽろテレビ塔とNHK札幌放送局〔2015年(平成27年)9月〕
年表[編集]
- 1956年6月 - 札幌市大通西1丁目にテレビ塔建設着工[3]。
- 1956年11月16日 - 運営主体となる北海道観光事業株式会社設立[4]。
- 1956年12月 - 塔体完成。NHK札幌放送局が総合テレビの放送電波をがテレビ塔からの送信開始[4]。
- 1957年8月24日 - 塔体に付属する展望台などが完成し、展望台の営業開始[4]。
- 1957年12月 - 3階屋上にプラネタリウムオープン[3]。(1962年10月プラネタリウム業務廃止[3])
- 1959年4月 - 札幌テレビ放送がテレビ放送の放送電波をテレビ塔からの送信開始[4]。
- 1959年7月 - 「テレビ塔観光」(北海道観光事業株式会社の旅行事業部門)営業開始(邦人旅行斡旋業北海道知事登録第13号認可)[4]。
- 1961年10月 - テレビ塔の地上から60m(30階相当)の位置に日本初の「電光時計」設置[3]。
- 1962年6月 - NHK札幌放送局が総合テレビの放送電波の送信機能を手稲山山頂に移設[4]。
- 1962年10月 - 旅行部門の東京営業所を設置し営業開始[4]。
- 1965年4月 - 札幌テレビ放送がテレビ放送の電波送信機能を手稲山山頂に移設[4]。
- 1967年7月 - 旅行部門が、運輸大臣より一般旅行業認可取得(運輸大臣登録旅行業第100号認可)[4]。
- 1971年11月 - 札幌地下街オーロラタウンとテレビ塔地下西側が直結となる[3]。地下1階映画劇場廃止[3]。
- 1976年4月 - 大通公園特設売店でトウキビ販売開始 - 札幌観光協会からの委託業務[3]。
- 1976年6月 - 札幌市営地下鉄東西線開業に伴い、テレビ塔地下南側と地下鉄コンコースが直結となる[3]。
- 1977年8月 - 大通公園夏まつりの協賛行事として、テレビ塔ビアガーデンを始める[3]。
- 1984年12月 - AIR-G'(FM北海道)とNHKのFM放送の中継電波をテレビ塔からの送信開始[4]。
- 1991年2月 - 旅行部門が、地下街オーロラタウンに「ドリームプラザ」を開設[4]。
- 1993年8月 - FMノースウェーブのFM放送の中継電波をテレビ塔からの送信開始[4]。
- 1996年10月 - 通年夜間営業開始[4]。開始当初は21時まで。翌1997年から22時まで[4]。
- 2001年6月 - 飲食部門が、札幌ドーム1階に「ファンズカフェ」営業開始[4]。
- 2002年2月 - テレビ塔全面リニューアル工事により営業休止、同年4月リニューアルオープンし、翌月キャラクター「テレビ父さん」発表[3]。
- 2003年6月 - 社団法人日本照明学会からライトアップ優秀施設賞受賞[3]。
- 2006年11月 - 電光時計リニューアル、LED採用[3]。
- 2009年4月 - 旅行部で法人営業を担当していた男性社員が3年5ヶ月にわたり取引先からの集金約2,800万円着服していたと発表[5]。以降、内部調査により横領事件が相次いで発覚[6][7][8]していくことになる。
- 2010年8月 - 日本夜景遺産事務局より、日本夜景遺産に認定[3]。
- 2010年11月 - 展望台と3階をリニューアル[3]。
- 2011年5月 - 旅行部門の「ドリームプラザ」閉鎖[4]。同年9月、テレビ塔観光閉鎖[4]。翌年7月、旅行部門の東京営業所閉鎖[4]。
- 2012年10月 - 運営会社の社名「北海道観光事業株式会社」を「株式会社さっぽろテレビ塔」に変更[4]。
- 2013年3月 - テレビ塔全塗装工事、6月完了[3]。
構造[編集]
地下1階はさっぽろ地下街オーロラタウンと接続しており、「テレ地下グルメコート」と称する飲食店街になっている。地上1階は案内所やチケット売場などがあり2階は多目的ホールと管理事務所、3階には土産店とレストランが入居している。
地上90メートルの位置に展望台がある。3階までは無料(ただし3階の「テレビ父さんのほほんパーク」へは展望台チケット所持者のみ入場可能)だが展望台は有料で、3階よりエレベーターを利用する。展望台から西に大通公園を見おろし遠く円山や大倉山まで見通す眺めは季節ごとにさまざまな顔を見せ、札幌の代表的な景色となった。また、さっぽろ雪まつりなど公園で行われる催事ごとに様々な媒体にも登場する。なお展望台フロアのみ、フリーWi-Fiのアクセスポイントが設置されており無料で使用できる。
NHKのカメラは展望台部分に設置されている。
新テレビ塔構想の中止[編集]
2007年に50周年を迎えたさっぽろテレビ塔は老朽化が著しいことから最近では高さ650mの新しい塔への建て替えの構想が持ち上がっていたが、運営する北海道観光事業の売り上げ不振に加え同社社員による着服事件が続発[5][6][7][8]したことなどにより資金調達の目処が立たず、2009年8月7日には正式に中止が発表された。
キャラクター[編集]
- タワッキー
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- 公式キャラクター。大きい目玉が特徴である。しかし「テレビ父さん」の方が人気となってしまったため、目にする機会は少ない。さっぽろテレビ塔公式ウェブサイトにあるテレビ父さんオフィシャルサイトでは、「テレビ父さんの影に完全に埋もれていた悲劇の公式キャラクター」と紹介されている。また同サイトのゲームに「タワッキーたたき」がある。
- テレビ父さん
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- 非公式キャラクター。タワッキー登場から2ヶ月後に登場し、現在ではさっぽろテレビ塔の公式ウェブサイト内に「テレビ父さん家」という特設オフィシャルウェブサイトが設けられているほか、3階には「テレビ父さんのほほんパーク」が設けられ、さらにパンフレットや展望台入場券にもイラストが起用されており、非公式ながらほぼ公式キャラクターと同様の扱いとなっている。
札幌大通中継局[編集]
名称は「札幌大通超短波中継放送局」で、南西側に八木・宇田アンテナを2本横向きにして並んで設置している。
周波数 (MHz) |
放送局名 | 空中線 電力 |
ERP | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
偏波面 |
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77.2 | エフエム・ノースウェーブ (NORTH WAVE) |
15W | 18.5W | 北海道 | 不明 | 水平偏波 |
79.2 | エフエム北海道 (AIR-G') | |||||
81.6 | NHK札幌FM | 10W | 17.5W | 石狩 空知 (滝川市以南) 後志 (黒松内町以外) |
- 放送エリアは札幌市の一部で、大方は手稲山にある札幌送信所でカバーしている。
他のタワーとの比較[編集]
- 『名古屋テレビ塔』1954年竣工・180メートル
- 『さっぽろテレビ塔』1957年竣工・147.2メートル
- 『東京タワー』1958年竣工・332.6メートル
- 『JRタワー』2003年竣工・173メートル
- 『東京スカイツリー』2012年竣工・634メートル
さっぽろテレビ塔を舞台にした作品[編集]
パーティルームそして屋上から札幌の市街地を一望。
- 『ゴジラvsキングギドラ』 - 市街地に出現したゴジラが体当たりで突き崩してしまう。
- 『ゴジラvsスペースゴジラ』- すぐ近くをスペースゴジラが通過する。
- 『ガメラ2 レギオン襲来』- 付近に自衛隊が指揮所を設けた。撮影にも協力している。
- 『最終兵器彼女』- 札幌空襲においてミサイルの直撃を受けて大破する。
脚注[編集]
- ^ a b “24日から店開き”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1957年8月16日)
- ^ 「最初は赤くなかった「テレビ塔」(札幌・大通)」ブラサトル2011年(平成23年)12月18日
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o テレビ塔のあゆみ - さっぽろテレビ塔公式
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s テレビ塔のあゆみ - 会社のあゆみ - さっぽろテレビ塔公式
- ^ a b 2800円着服で解雇 さっぽろテレビ塔運営会社 - MSN産経ニュース 2009年8月10日 - WEB魚拓
- ^ a b 2009/07/28(火) さっぽろテレビ塔でまた不祥事、社員が7900万円横領 Archived 2016-08-04 at the Wayback Machine. - 財界さっぽろオンライン 日々刻々
- ^ a b テレビ塔三セク 着服新たに2250万円 内部調査、不正さらに10人 (09/18 16:02)- 北海道新聞 2009年9月18 - WEB魚拓
- ^ a b 北海道観光事業の元社員4人逮捕 1980万円着服容疑 2010/11/20 0:47 - 日本経済新聞
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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- さっぽろテレビ塔公式サイト
- さっぽろテレビ塔ライブカメラ - FRESH LIVE
- 【朝日新聞×HTB 北海道150年 あなたと選ぶ重大ニュース】シリーズ北海道150年「あなたの知らないテレビ塔の世界」 - YouTube
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