「Portable Document Format」の版間の差分

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'''Portable Document Format'''(ポータブル・ドキュメント・フォーマット、略称'''PDF''')は、[[アドビシステムズ]]が開発および提唱する、電子上の[[文書]]に関する[[ファイルフォーマット]]である。[[1993年]]に発売された[[Adobe Acrobat]]で採用された。
'''Portable Document Format'''(ポータブル・ドキュメント・フォーマット、略称'''PDF''')は、[[アドビシステムズ]]が開発および提唱する、電子上の[[文書]]に関する[[ファイルフォーマット]]である。[[1993年]]に発売された[[Adobe Acrobat]]で採用された。


特定の環境に左右されずに全ての環境でほぼ同様の状態で文章や画像等を閲覧できる特性を持ってり、[[2008年]][[7月]]には[[国際標準化機構]]によってISO 32000-1として標準化された<ref>{{Cite web|author=Yoichi Yamashita(マイコミジャーナル)|date=2008-07-03|url=http://journal.mycom.co.jp/news/2008/07/03/004/|title=PDF 1.7がISO 32000-1として国際標準化|publisher=株式会社毎日コミュニケーションズ |accessdate=2008年7月17日 }}</ref><ref name="iso-standard">{{cite web|url=http://www.iso.org/iso/iso_catalogue/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=51502 |title=ISO 32000-1:2008 - Document management – Portable document format – Part 1: PDF 1.7 |publisher=Iso.org |date=2008-07-01 |accessdate=2010-02-21}}</ref>。
特定の環境に左右されずに全ての環境でほぼ同様の状態で文章や画像等を閲覧できる特性を持っている。
[[アドビシステムズ]]はPDF仕様を1993年よ無償で公開していたがそれでもPDF規格はAdobeが策定する[[プロプライエタリ]]なフォーマットであった。
[[2008年]][[7月]]には[[国際標準化機構]]によってISO 32000-1として標準化された<ref>{{Cite web|author=Yoichi Yamashita(マイコミジャーナル)|date=2008-07-03|url=http://journal.mycom.co.jp/news/2008/07/03/004/|title=PDF 1.7がISO 32000-1として国際標準化|publisher=株式会社毎日コミュニケーションズ |accessdate=2008年7月17日 }}</ref><ref name="iso-standard">{{cite web|url=http://www.iso.org/iso/iso_catalogue/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=51502 |title=ISO 32000-1:2008 - Document management – Portable document format – Part 1: PDF 1.7 |publisher=Iso.org |date=2008-07-01 |accessdate=2010-02-21}}</ref>。アドビはISO 32000-1 についての特許を無償で利用できるようにしたが、XFA(Adobe XML Forms Architecture)やAdobe JavaScript などはアドビの[[プロプライエタリ]]な部分として残っている


なお、「PDF」自身に「フォーマット」という単語が含まれているので、「PDFフォーマット」と呼ぶのは[[RAS症候群|冗長]]である。
なお、「PDF」自身に「フォーマット」という単語が含まれているので、「PDFフォーマット」と呼ぶのは[[RAS症候群|冗長]]である。


== 概要 ==
== PDFの歴史 ==
PDFは 1990 年代初めに、文書共有を目的として開発された。文書の書式とインラインの図表を保持し、異なるプラットフォームのコンピューターのユーザー間で文書を閲覧するために互換性のある[[アプリケーション]]を利用できない場合にも文書を共有できる。<ref>{{cite web|url=http://www.planetpdf.com/planetpdf/pdfs/warnock_camelot.pdf|title=The Camelot Project}}</ref> 競合として [[DjVu]] (開発続行中), [[Envoy (WordPerfect)|Envoy]], [[Common Ground Digital Paper]], [[Farallon Replica]] のほかに[[Adobe Systems|Adobe]]自身が推進する [[PostScript]] format (.ps)がある。初期、 [[World Wide Web]] と [[HTML]] が興隆する以前は、PDF の主要な用途は [[デスクトップパブリッシング]]の[[ワークフロー]]であった。
PDFドキュメントは1以上のページで構成され、各ページには[[テキスト]]・[[画像]]・[[図形]]が含まれる。


PDFの初期の普及の足取りはゆっくりしたものであった。<ref>{{cite web |url= http://www.prepressure.com/pdf/basics/history |title=The history of PDF|author=Laurens Leurs|accessdate=2007-09-19}}</ref> AdobeのPDF閲覧・作成ソフト[[Adobe Acrobat]] は無償ではなく、また初代バージョンのPDFは文書外部へのハイパーリンクを提供しないためインターネットの特長を活かしていなかった。またプレーンテキストと比べてサイズは大きいため[[モデム]]によるダウンロードは時間がかかり、また当時ハイスペックだったPCでも表示は遅かった。
PDFファイルは [[印刷]]可能なあらゆるドキュメントから生成でき、表示や印刷はアドビシステムズが無料で配布している [[Adobe Acrobat|Adobe Reader]](旧Acrobat Reader)またはサードパーティ製品を利用する。


バージョン 2.0 より、Adobeは Acrobat Reader (現在は Adobe Reader) を無償配布するようになった。<ref>{{citation | url = http://knowledge.wharton.upenn.edu/article.cfm?articleid=2038 | first = Charles | last = Geschke | publisher = The Wharton School of the [[University of Pennsylvania]] | title = Driving Adobe: Co-founder Charles Geschke on Challenges, Change and Values }}</ref> 初代バージョンとの互換性は保たれており次第に書式を固定した電子文書の[[デファクトスタンダード]] の地位を確立した。<ref>{{cite web |url= http://duff-johnson.com/2014/02/17/the-8-most-popular-document-formats-on-the-web |title=The 8 most popular document formats on the web|author=Duff Johnson|accessdate=2014-03-02}}</ref>
PDFの特長は、PDFファイル作成元と異なるコンピュータ環境において、作成元ドキュメントのレイアウトや書式を忠実に再現した表示・[[印刷]]ができることにある。その性質を好んで、Webページ上のドキュメントやソフトウエアの説明書などの広く公開・頒布する形態で多く利用される。また、同様の理由から、将来のコンピュータの環境変化を想定した長期保存向け文書 ([[PDF/A]]) や、 [[DTP]] の過程でPDFファイルを作成・利用する ([[PDF/X]]) 用途も多くなっている。


2008年 にAdobeの PDF Reference 1.7 は ISO 32000:1:2008 として策定された。以後の PDF (PDF 2.0を含む) 開発は ISO の TC 171 SC 2 WG 8 においてAdobeと専門家らの協力により進められている。
PDFファイルを生成には、アドビシステムズ社純正の「Adobe Acrobat」や[[サードパーティ]]製品を利用することがもっとも基礎的な方法である。さらに、[[クラウドコンピューティング|クラウド]]形態などによりサーバサイドでPDFファイルを作成するシステムや、PDFファイル生成とは異なる主目的をもつソフトウエアが PDFファイルを生成する補助機能を搭載している場合もある。


PDFファイルの表示や印刷は、Adobe Reader などがインストールされた環境であれば、一般の[[HyperText Markup Language|HTML]]ファイルと同様に[[ウェブブラウザ|Webブラウザ]]上でPDFファイルを閲覧できるが、Adobe Reader の起動処理のために一般的なHTMLコンテンツと比較して表示完了まで時間が長くかかることがある。

PDFの仕様は、ISOで標準化される以前からアドビシステムズから公開されてきている<ref>[http://partners.adobe.com/public/developer/pdf/index_reference.html Adobe PDF Specifications] PDF仕様書の一覧ページ(英語)</ref>。そのため、アドビシステムズ以外のさまざまな企業・団体や有志が、[[PDFソフトウェアの一覧|PDF関連のソフトウェア]]を開発・公開しており、[[オープンソース]][[ソフトウェア]]、[[フリーウェア]]も数多い。

== PDFの特長 ==
PDFには、次の特長がある。

* 作成したドキュメントを異なる環境のコンピュータで元のレイアウトどおりに表示・印刷できる
* ドキュメントのセキュリティを設定できる
* [[データ圧縮|圧縮]]してデータを格納することで、ファイルサイズを小さくできる
* しおり・リンク・コメント・注釈といった、ドキュメントを画面に表示するときに便利な機能を設定できる
* [[フォーム]]機能を使って、利用者の入力欄を受け取るような書式設定済み文書を作成できる
* 音声化など[[アクセシビリティ]]に配慮したドキュメントを作成できる
* [[マルチメディア]]に対応している

=== レイアウトの保持 ===
PDFのドキュメントは、Adobe Readerがインストールされているコンピュータであれば元のレイアウトどおりに表示・印刷できる。Adobe Readerは[[Microsoft Windows|Windows]]・[[OS X|Mac OS X]]・[[Linux]]など各種[[オペレーティングシステム]] (OS) に対応したものが無償で配布されており、他のPDF閲覧ソフトも数多く存在するため、PDFファイルは多くの環境で閲覧・印刷できる。

PDF以外の電子ドキュメントは、ほかのコンピュータ上で元のレイアウトを保持したまま表示・印刷するのは難しい。例えば、[[Microsoft Word|Word]]や[[Microsoft Excel|Excel]]など[[Microsoft Office]]のドキュメントは、対応するソフトウェアもしくは無料のビューワーをインストールすれば閲覧することは可能だが、バージョンや設定が違っていたり、フォントの有無が原因で編集者が意図した通りのレイアウトを保てない場合がある。[[HyperText Markup Language|HTML]] のドキュメントは多くのコンピュータで閲覧できる。しかし、レイアウトの制限が大きい上、OSや[[ウェブブラウザ|Webブラウザ]]([[HTMLレンダリングエンジン]])の種類・設定でレイアウトが変わりやすい。

そのため、厳密にレイアウトを保持する必要のあるドキュメントはPDF化することが多い。ただし、[[フォント]]の設定によっては、PDFでも元のレイアウトを保持できない場合がある。この問題は、フォントを埋め込むことで回避できる。

==== フォントの埋め込み ====
電子ドキュメントを正しく表示するためには、フォントが正しく設定されている必要がある。一般に、ドキュメント作成時に使用されているフォントがインストールされていないコンピュータでは、ドキュメントを正しく表示・印刷できない。例えば[[ヒラギノ]]フォントを使って作成したドキュメントは、このフォントがインストールされていないコンピュータでは代替の日本語フォントで表示する必要がある。さらに、日本語フォントがインストールされていないコンピュータではエラーや文字化けが発生し、正しく表示できない。

PDFのドキュメントでは、使用しているフォントを埋め込むことで、そのフォントがインストールされていないコンピュータでも正しく表示・印刷できる。フォントを埋め込む方法は2つあり、当該フォントに含まれているすべてのグリフ(字形)を埋め込む方法と、文章に使用されているグリフのみを埋め込む方法である。これらの選択は、PDFを作成する際に行う。フォントを埋め込んで作成したPDFの日本語ドキュメントは、日本語フォントがインストールされていないコンピュータでも正しく表示できる。

ただし、フォントを埋め込んだ PDF ファイルはファイルサイズが大きくなるという問題がある。また、フォントを埋め込む場合は、フォントの[[ライセンス]]にも注意する必要がある。

=== セキュリティの設定 ===
PDFファイルには、情報の機密性を保つために、閲覧パスワード(ユーザパスワード)と編集パスワード(オーナーパスワード)を設定することができる。

閲覧パスワードが設定されていると、利用者は正しい閲覧パスワードを入力しないとPDFファイルを開けない。編集パスワードが設定されている場合、閲覧だけならパスワード入力は不要であるが、次の作業をするには正しい編集パスワードを入力して設定を解除しなければならない。
* 編集
* 印刷
* テキストや画像などのコピー
この機能を使うことにより、ユーザの画面上では表示できるものの、コンテンツ内の文章を[[コピー・アンド・ペースト]]できないようしたり、文書内の写真の印刷ができないよう設定した文書を配布したりできる。

また、[[電子署名]]を付け、ドキュメントの[[改竄]]を防止する機能も持つ。

=== マルチメディアへの対応 ===
PDFファイルには、[[音楽]]、[[動画]]などのマルチメディアファイルを含めることができる。
そのためPDFファイルは、コンピュータを使ったプレゼンテーション用に使うこともできる。

また、[[2005年]]にアドビシステムズが [[Adobe Flash|Flash]] の開発・推進を進めてきた[[マクロメディア]]を買収しており、それ以降アドビシステムズによる Flash と PDF との統合が進められている。

== PDFファイルの表示と印刷 ==
Windows環境におけるPDFファイルの表示や印刷には、アドビシステムズから無料で配布されているAdobe Readerを使うのが一般的である。Acrobatがインストールされている場合は、AcrobatでPDFの表示や印刷ができる。Mac OS XではOSに標準で付属する「プレビュー」を利用できる。その他のOSについても、PDF閲覧ソフトに付属している印刷機能や、OSの印刷機能を利用して印刷できる場合が多い。

=== PDFファイルの検索 ===
Web上のPDFファイルは、[[Google]]などで検索できる。また、コンピュータ内のPDFファイルは、AcrobatとAdobe Readerによる[[全文検索]]が可能だが、検索用インデックスを作成した高速全文検索を利用するためにはAcrobatのProfessionalバージョン(6.0以降)や[[Googleデスクトップ]]、Mac OS X Tiger以降に付属する[[Spotlight]]などが必要となる。

== PDFファイルの作成 ==
PDFファイルの作成には、アドビシステムズの[[Adobe Acrobat|Acrobat]]を利用するのが一般的である。Mac OS Xでは、OSの標準機能で各種ドキュメントをPDFファイルに変換できる。Linuxなど[[Unix系]]OSの印刷システムである[[Common Unix Printing System]]にはPDFファイルの出力機能がある。そのほかにも、[[#OfficeドキュメントのPDF化|後述]]する[[OpenOffice.org]]など[[オープンソース]]のものも含めて、数多くの[[PDFソフトウェアの一覧|PDF作成ツール]]がある<ref>[http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?PDF%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9 TeX Wiki PDFの作り方(奥村晴彦(Haruhiko Okumura)のサイト)]</ref><ref>[http://www.antenna.co.jp/PDF/reference/CreatePDF.htm さまざまなPDFの作成技術の概観]</ref>。

=== Acrobat ===
Acrobatでは、データを各種ソフトウェアから「Adobe PDFプリンタ」へ印刷することでPDFファイルを作成できる。この操作の場合、Acrobatに含まれるDistillerでPDFファイルを作成することになる。また、[[Microsoft Office]]ではAcrobatに含まれるPDFMakerでドキュメントをPDFに変換できる。PDFMakerはDistillerを呼び出すとともに、しおり・ハイパーリンク・注釈などを自動的に作成する。

Adobe PDFプリンタによる方法以外としては以下のような作成手法を備えている。
* Acrobat から直接、単数もしくは複数の画像ファイルを指定して、PDF化することが出来る。市販のデジタル写真集などでも利用されている。
* Web Capture機能によりウェブページを直接PDF変換する。階層を指定することでハイパーリンク構造も再現できる。
* [[イメージスキャナー]]から直接画像を読み取り、PDFに変換できる。

== PDFの歴史 ==
{|class=wikitable
{|class=wikitable
!時||出来事
!時||出来事
132行目: 71行目:
|}
|}


=== PDFとPostScript ===
=== Adobeによる仕様定義 ===
1993-2006 年にかけてAdobe Systems は PDF の仕様を数回改訂して新機能を追加している。PDF 1.7(ISO 32000-1)が制定された2006年以降にAdobeが定義した拡張(Extension Levels)は ISO 32000-2 (PDF 2.0)のドラフトにも一部取り込まれているものもあるが、開発者はAdobeの拡張部分がPDFの標準でないことに注意する必要がある。<ref>{{citation | url = http://www.acrobatusers.com/blogs/leonardr/history-of-pdf-openness/ | last = R | first = Leonard | publisher = Acrobat users | archiveurl = http://web.archive.org/web/20071014010805/http://www.acrobatusers.com/blogs/leonardr/history-of-pdf-openness/ | archivedate = 2007-10-14 | title = History of PDF Openness}}</ref>
PDFは、アドビシステムズが開発し印刷業界の標準として普及していた[[ページ記述言語]] [[PostScript]]を元に策定された。PDFでは、コンピュータ上でのデータ交換のために次の機能が追加されている。

* ファイルに含まれる各ページへの[[ランダムアクセス]]に対応。この機能により、必要なページをすばやく表示できる
* フォントの埋め込み
* 文書情報など、本文以外の情報を入力できる。PDFではしおり・リンク・注釈なども本文とは別の情報として扱われる
* 透明の概念(後に追加)

PDFには、PostScriptの持っているプログラミング言語としての機能はなく、HTMLなどと同様の[[データ記述言語]]となっている。これはファイルを開いた場合にエラーが発生する可能性を小さくし信頼性を高めるためという事と同時に、PostScriptが持つ特徴の一つである、インタープリタによる実行環境への依存性を極力排除していく方向性からである。

このように元々PDFはPostScriptから発展・派生したという経緯を持つため、PostScriptとPDFは似た特性を持っており、相互の変換は比較的容易である。実際、Acrobatに含まれるDistillerでは、各種アプリケーションのデータをいったんPostScriptファイルに変換(WindowsやMacintoshではプリンタードライバを経由する形で行われる)し、それを元にPDFを生成している。しかし、PDFを作成するには、必ずしもPostScriptを経由する必要はなく、例えば[[Graphics Device Interface|GDI]]経由で直接PDFを作成することも可能であり、実際にそういった形で動作(GDI→PDF)する製品は多数存在する(「いきなりPDF」もこのタイプである)。

== PDFのバージョン ==
国際標準化機構 (ISO) による PDF 1.7 の標準化以降、仕様の改訂はISOが預かるところとなった。Adobe独自のバージョンアップは、ベースとなるバージョン(1.7)に対する "Adobe Extensions" という形で行われている<ref>{{citation|url=http://wwwimages.adobe.com/www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/adobe_supplement_iso32000_1.pdf|title=Adobe Supplement to ISO 32000-1, BaseVersion: 1.7 ExtensionLevel: 5|publisher=Adobe Systems Incorporated|date=2009-06|page=5}}</ref><ref name="pdf-ref">{{cite web |url=http://www.adobe.com/devnet/pdf/pdf_reference.html |title=Adobe Developer Connection: PDF Reference and Adobe Extensions to the PDF Specification |publisher=Adobe Systems |accessdate=2010-12-13}}</ref>。


{|class="wikitable" style="width: 100%"
{|class="wikitable" style="width: 100%"
256行目: 183行目:
|| X (10) , XI (11)
|| X (10) , XI (11)
|}
|}

=== ISO規格化 ===
国際標準化機構 (ISO) による PDF 1.7 の標準化以降、仕様の改訂はISOが預かるところとなった。Adobe独自のバージョンアップは、ベースとなるバージョン(1.7)に対する "Adobe Extensions" という形で行われている<ref>{{citation|url=http://wwwimages.adobe.com/www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/adobe_supplement_iso32000_1.pdf|title=Adobe Supplement to ISO 32000-1, BaseVersion: 1.7 ExtensionLevel: 5|publisher=Adobe Systems Incorporated|date=2009-06|page=5}}</ref><ref name="pdf-ref">{{cite web |url=http://www.adobe.com/devnet/pdf/pdf_reference.html |title=Adobe Developer Connection: PDF Reference and Adobe Extensions to the PDF Specification |publisher=Adobe Systems |accessdate=2010-12-13}}</ref>。


==== PDFの関連規格 ====
; [[PDF/X]] : PDFを元に策定された、印刷用途を目的としたファイル形式。印刷時のデータ交換をスムーズにするため、通常のPDFで使える機能を一部制限している。[[国際標準化機構|ISO]]15930として標準規格化されている。
; [[PDF/A]] : PDFを元に策定された、電子ドキュメントの長期保存を目的としたファイル形式。ISO19005として標準規格化されている。主に印刷目的として利用されていたPDFを、長期保存用に特化させたもの。PDF/Aは特に欧州を中心に使われており、対応するソフトウェアも欧州製のものが多い。現在、PDF/A-1(ISO19005-1)が主流だが、PDF/A-2もISOで策定中である。
; [[PDF/E]] : PDFを元に策定された、エンジニアリング[[ワークフロー]]における使用を目的としたファイル形式。ISO24517として標準規格化されている。知的権利の安全な配布や[[CAD]]データなどの複雑な3次元データなどをPDFに組み込むことを目標にしている。
; [[PDF/H]] :ISO未策定。[[ヘルスケア]]に関するデータを交換、保存するのを目的としたファイル。
; [[PDF/UA]] :ISO未策定。[[ユニバーサルアクセス]]への対応を目的としたファイル形式。視力や運動能力に障害のある人にも利用できるように特化させたもの。
; [[PDF/VT]] :ISO未策定。可変データや[[トランザクション]]文書を扱うのを目的としたファイル。
; [[PAdES]] :ISO32000-2に含まれる予定。PDF文書の長期保管を目的としたPDFの拡張。[[欧州電気通信標準化機構|欧州電気通信標準化機構(ETSI)]]により策定ならびに公開され、ISO32000-2に反映される予定。

<!--==== PDF 1.7 ====

==== PDF 2.0 ====

====ISO TC 171 SC 2 WG 8 ====
-->


== 概要 ==
PDFドキュメントは1以上のページで構成され、各ページには[[テキスト]]・[[画像]]・[[図形]]が含まれる。

PDFファイルは [[印刷]]可能なあらゆるドキュメントから生成でき、表示や印刷はアドビシステムズが無料で配布している [[Adobe Acrobat|Adobe Reader]](旧Acrobat Reader)またはサードパーティ製品を利用する。

PDFの特長は、PDFファイル作成元と異なるコンピュータ環境において、作成元ドキュメントのレイアウトや書式を忠実に再現した表示・[[印刷]]ができることにある。その性質を好んで、Webページ上のドキュメントやソフトウエアの説明書などの広く公開・頒布する形態で多く利用される。また、同様の理由から、将来のコンピュータの環境変化を想定した長期保存向け文書 ([[PDF/A]]) や、 [[DTP]] の過程でPDFファイルを作成・利用する ([[PDF/X]]) 用途も多くなっている。

PDFファイルを生成には、アドビシステムズ社純正の「Adobe Acrobat」や[[サードパーティ]]製品を利用することがもっとも基礎的な方法である。さらに、[[クラウドコンピューティング|クラウド]]形態などによりサーバサイドでPDFファイルを作成するシステムや、PDFファイル生成とは異なる主目的をもつソフトウエアが PDFファイルを生成する補助機能を搭載している場合もある。

PDFファイルの表示や印刷は、Adobe Reader などがインストールされた環境であれば、一般の[[HyperText Markup Language|HTML]]ファイルと同様に[[ウェブブラウザ|Webブラウザ]]上でPDFファイルを閲覧できるが、Adobe Reader の起動処理のために一般的なHTMLコンテンツと比較して表示完了まで時間が長くかかることがある。

PDFの仕様は、ISOで標準化される以前からアドビシステムズから公開されてきている<ref>[http://partners.adobe.com/public/developer/pdf/index_reference.html Adobe PDF Specifications] PDF仕様書の一覧ページ(英語)</ref>。そのため、アドビシステムズ以外のさまざまな企業・団体や有志が、[[PDFソフトウェアの一覧|PDF関連のソフトウェア]]を開発・公開しており、[[オープンソース]][[ソフトウェア]]、[[フリーウェア]]も数多い。

== PDFの特長 ==
PDFには、次の特長がある。

* 作成したドキュメントを異なる環境のコンピュータで元のレイアウトどおりに表示・印刷できる
* ドキュメントのセキュリティを設定できる
* [[データ圧縮|圧縮]]してデータを格納することで、ファイルサイズを小さくできる
* しおり・リンク・コメント・注釈といった、ドキュメントを画面に表示するときに便利な機能を設定できる
* [[フォーム]]機能を使って、利用者の入力欄を受け取るような書式設定済み文書を作成できる
* 音声化など[[アクセシビリティ]]に配慮したドキュメントを作成できる
* [[マルチメディア]]に対応している

=== レイアウトの保持 ===
PDFのドキュメントは、Adobe Readerがインストールされているコンピュータであれば元のレイアウトどおりに表示・印刷できる。Adobe Readerは[[Microsoft Windows|Windows]]・[[OS X|Mac OS X]]・[[Linux]]など各種[[オペレーティングシステム]] (OS) に対応したものが無償で配布されており、他のPDF閲覧ソフトも数多く存在するため、PDFファイルは多くの環境で閲覧・印刷できる。

PDF以外の電子ドキュメントは、ほかのコンピュータ上で元のレイアウトを保持したまま表示・印刷するのは難しい。例えば、[[Microsoft Word|Word]]や[[Microsoft Excel|Excel]]など[[Microsoft Office]]のドキュメントは、対応するソフトウェアもしくは無料のビューワーをインストールすれば閲覧することは可能だが、バージョンや設定が違っていたり、フォントの有無が原因で編集者が意図した通りのレイアウトを保てない場合がある。[[HyperText Markup Language|HTML]] のドキュメントは多くのコンピュータで閲覧できる。しかし、レイアウトの制限が大きい上、OSや[[ウェブブラウザ|Webブラウザ]]([[HTMLレンダリングエンジン]])の種類・設定でレイアウトが変わりやすい。

そのため、厳密にレイアウトを保持する必要のあるドキュメントはPDF化することが多い。ただし、[[フォント]]の設定によっては、PDFでも元のレイアウトを保持できない場合がある。この問題は、フォントを埋め込むことで回避できる。

==== フォントの埋め込み ====
電子ドキュメントを正しく表示するためには、フォントが正しく設定されている必要がある。一般に、ドキュメント作成時に使用されているフォントがインストールされていないコンピュータでは、ドキュメントを正しく表示・印刷できない。例えば[[ヒラギノ]]フォントを使って作成したドキュメントは、このフォントがインストールされていないコンピュータでは代替の日本語フォントで表示する必要がある。さらに、日本語フォントがインストールされていないコンピュータではエラーや文字化けが発生し、正しく表示できない。

PDFのドキュメントでは、使用しているフォントを埋め込むことで、そのフォントがインストールされていないコンピュータでも正しく表示・印刷できる。フォントを埋め込む方法は2つあり、当該フォントに含まれているすべてのグリフ(字形)を埋め込む方法と、文章に使用されているグリフのみを埋め込む方法である。これらの選択は、PDFを作成する際に行う。フォントを埋め込んで作成したPDFの日本語ドキュメントは、日本語フォントがインストールされていないコンピュータでも正しく表示できる。

ただし、フォントを埋め込んだ PDF ファイルはファイルサイズが大きくなるという問題がある。また、フォントを埋め込む場合は、フォントの[[ライセンス]]にも注意する必要がある。

=== セキュリティの設定 ===
PDFファイルには、情報の機密性を保つために、閲覧パスワード(ユーザパスワード)と編集パスワード(オーナーパスワード)を設定することができる。

閲覧パスワードが設定されていると、利用者は正しい閲覧パスワードを入力しないとPDFファイルを開けない。編集パスワードが設定されている場合、閲覧だけならパスワード入力は不要であるが、次の作業をするには正しい編集パスワードを入力して設定を解除しなければならない。
* 編集
* 印刷
* テキストや画像などのコピー
この機能を使うことにより、ユーザの画面上では表示できるものの、コンテンツ内の文章を[[コピー・アンド・ペースト]]できないようしたり、文書内の写真の印刷ができないよう設定した文書を配布したりできる。

また、[[電子署名]]を付け、ドキュメントの[[改竄]]を防止する機能も持つ。

=== マルチメディアへの対応 ===
PDFファイルには、[[音楽]]、[[動画]]などのマルチメディアファイルを含めることができる。
そのためPDFファイルは、コンピュータを使ったプレゼンテーション用に使うこともできる。

また、[[2005年]]にアドビシステムズが [[Adobe Flash|Flash]] の開発・推進を進めてきた[[マクロメディア]]を買収しており、それ以降アドビシステムズによる Flash と PDF との統合が進められている。

== PDFファイルの表示と印刷 ==
Windows環境におけるPDFファイルの表示や印刷には、アドビシステムズから無料で配布されているAdobe Readerを使うのが一般的である。Acrobatがインストールされている場合は、AcrobatでPDFの表示や印刷ができる。Mac OS XではOSに標準で付属する「プレビュー」を利用できる。その他のOSについても、PDF閲覧ソフトに付属している印刷機能や、OSの印刷機能を利用して印刷できる場合が多い。

=== PDFファイルの検索 ===
Web上のPDFファイルは、[[Google]]などで検索できる。また、コンピュータ内のPDFファイルは、AcrobatとAdobe Readerによる[[全文検索]]が可能だが、検索用インデックスを作成した高速全文検索を利用するためにはAcrobatのProfessionalバージョン(6.0以降)や[[Googleデスクトップ]]、Mac OS X Tiger以降に付属する[[Spotlight]]などが必要となる。

== PDFファイルの作成 ==
PDFファイルの作成には、アドビシステムズの[[Adobe Acrobat|Acrobat]]を利用するのが一般的である。Mac OS Xでは、OSの標準機能で各種ドキュメントをPDFファイルに変換できる。Linuxなど[[Unix系]]OSの印刷システムである[[Common Unix Printing System]]にはPDFファイルの出力機能がある。そのほかにも、[[#OfficeドキュメントのPDF化|後述]]する[[OpenOffice.org]]など[[オープンソース]]のものも含めて、数多くの[[PDFソフトウェアの一覧|PDF作成ツール]]がある<ref>[http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?PDF%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9 TeX Wiki PDFの作り方(奥村晴彦(Haruhiko Okumura)のサイト)]</ref><ref>[http://www.antenna.co.jp/PDF/reference/CreatePDF.htm さまざまなPDFの作成技術の概観]</ref>。

=== Acrobat ===
Acrobatでは、データを各種ソフトウェアから「Adobe PDFプリンタ」へ印刷することでPDFファイルを作成できる。この操作の場合、Acrobatに含まれるDistillerでPDFファイルを作成することになる。また、[[Microsoft Office]]ではAcrobatに含まれるPDFMakerでドキュメントをPDFに変換できる。PDFMakerはDistillerを呼び出すとともに、しおり・ハイパーリンク・注釈などを自動的に作成する。

Adobe PDFプリンタによる方法以外としては以下のような作成手法を備えている。
* Acrobat から直接、単数もしくは複数の画像ファイルを指定して、PDF化することが出来る。市販のデジタル写真集などでも利用されている。
* Web Capture機能によりウェブページを直接PDF変換する。階層を指定することでハイパーリンク構造も再現できる。
* [[イメージスキャナー]]から直接画像を読み取り、PDFに変換できる。


=== PDFとPostScript ===
PDFは、アドビシステムズが開発し印刷業界の標準として普及していた[[ページ記述言語]] [[PostScript]]を元に策定された。PDFでは、コンピュータ上でのデータ交換のために次の機能が追加されている。

* ファイルに含まれる各ページへの[[ランダムアクセス]]に対応。この機能により、必要なページをすばやく表示できる
* フォントの埋め込み
* 文書情報など、本文以外の情報を入力できる。PDFではしおり・リンク・注釈なども本文とは別の情報として扱われる
* 透明の概念(後に追加)

PDFには、PostScriptの持っているプログラミング言語としての機能はなく、HTMLなどと同様の[[データ記述言語]]となっている。これはファイルを開いた場合にエラーが発生する可能性を小さくし信頼性を高めるためという事と同時に、PostScriptが持つ特徴の一つである、インタープリタによる実行環境への依存性を極力排除していく方向性からである。

このように元々PDFはPostScriptから発展・派生したという経緯を持つため、PostScriptとPDFは似た特性を持っており、相互の変換は比較的容易である。実際、Acrobatに含まれるDistillerでは、各種アプリケーションのデータをいったんPostScriptファイルに変換(WindowsやMacintoshではプリンタードライバを経由する形で行われる)し、それを元にPDFを生成している。しかし、PDFを作成するには、必ずしもPostScriptを経由する必要はなく、例えば[[Graphics Device Interface|GDI]]経由で直接PDFを作成することも可能であり、実際にそういった形で動作(GDI→PDF)する製品は多数存在する(「いきなりPDF」もこのタイプである)。



== PDFの利用場面 ==
== PDFの利用場面 ==
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=== PDFソフトウェアの一覧 ===
=== PDFソフトウェアの一覧 ===
{{main|PDFソフトウェアの一覧}}
{{main|PDFソフトウェアの一覧}}

=== PDFの関連規格 ===
; [[PDF/X]] : PDFを元に策定された、印刷用途を目的としたファイル形式。印刷時のデータ交換をスムーズにするため、通常のPDFで使える機能を一部制限している。[[国際標準化機構|ISO]]15930として標準規格化されている。
; [[PDF/A]] : PDFを元に策定された、電子ドキュメントの長期保存を目的としたファイル形式。ISO19005として標準規格化されている。主に印刷目的として利用されていたPDFを、長期保存用に特化させたもの。PDF/Aは特に欧州を中心に使われており、対応するソフトウェアも欧州製のものが多い。現在、PDF/A-1(ISO19005-1)が主流だが、PDF/A-2もISOで策定中である。
; [[PDF/E]] : PDFを元に策定された、エンジニアリング[[ワークフロー]]における使用を目的としたファイル形式。ISO24517として標準規格化されている。知的権利の安全な配布や[[CAD]]データなどの複雑な3次元データなどをPDFに組み込むことを目標にしている。
; [[PDF/H]] :ISO未策定。[[ヘルスケア]]に関するデータを交換、保存するのを目的としたファイル。
; [[PDF/UA]] :ISO未策定。[[ユニバーサルアクセス]]への対応を目的としたファイル形式。視力や運動能力に障害のある人にも利用できるように特化させたもの。
; [[PDF/VT]] :ISO未策定。可変データや[[トランザクション]]文書を扱うのを目的としたファイル。
; [[PAdES]] :ISO32000-2に含まれる予定。PDF文書の長期保管を目的としたPDFの拡張。[[欧州電気通信標準化機構|欧州電気通信標準化機構(ETSI)]]により策定ならびに公開され、ISO32000-2に反映される予定。


=== PDFの競合規格 ===
=== PDFの競合規格 ===

2014年5月9日 (金) 05:05時点における版

Portable Document Format
拡張子.pdf
MIMEタイプapplication/pdf
タイプコード'PDF '(半角空白を含む)
UTIcom.adobe.pdf
マジック
ナンバー
%PDF-
開発者アドビシステムズ
初版1993年 (1993)
最新版
1.7, Adobe Extensions Level 8
(2010年11月)
種別ページ記述言語
派生元PostScript
拡張PDF/X, PDF/A, PAdES など
国際標準ISO 32000-1
ウェブサイトPDF Reference and Adobe Extensions to the PDF Specification

Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット、略称PDF)は、アドビシステムズが開発および提唱する、電子上の文書に関するファイルフォーマットである。1993年に発売されたAdobe Acrobatで採用された。

特定の環境に左右されずに全ての環境でほぼ同様の状態で文章や画像等を閲覧できる特性を持っている。

アドビシステムズはPDF仕様を1993年より無償で公開していたが、それでもPDF規格はAdobeが策定するプロプライエタリなフォーマットであった。 2008年7月には国際標準化機構によってISO 32000-1として標準化された[1][2]。アドビはISO 32000-1 についての特許を無償で利用できるようにしたが、XFA(Adobe XML Forms Architecture)やAdobe JavaScript などはアドビのプロプライエタリな部分として残っている。

なお、「PDF」自身に「フォーマット」という単語が含まれているので、「PDFフォーマット」と呼ぶのは冗長である。

PDFの歴史

PDFは 1990 年代初めに、文書共有を目的として開発された。文書の書式とインラインの図表を保持し、異なるプラットフォームのコンピューターのユーザー間で文書を閲覧するために互換性のあるアプリケーションを利用できない場合にも文書を共有できる。[3] 競合として DjVu (開発続行中), Envoy, Common Ground Digital Paper, Farallon Replica のほかにAdobe自身が推進する PostScript format (.ps)がある。初期、 World Wide WebHTML が興隆する以前は、PDF の主要な用途は デスクトップパブリッシングワークフローであった。

PDFの初期の普及の足取りはゆっくりしたものであった。[4] AdobeのPDF閲覧・作成ソフトAdobe Acrobat は無償ではなく、また初代バージョンのPDFは文書外部へのハイパーリンクを提供しないためインターネットの特長を活かしていなかった。またプレーンテキストと比べてサイズは大きいためモデムによるダウンロードは時間がかかり、また当時ハイスペックだったPCでも表示は遅かった。

バージョン 2.0 より、Adobeは Acrobat Reader (現在は Adobe Reader) を無償配布するようになった。[5] 初代バージョンとの互換性は保たれており次第に書式を固定した電子文書のデファクトスタンダード の地位を確立した。[6]

2008年 にAdobeの PDF Reference 1.7 は ISO 32000:1:2008 として策定された。以後の PDF (PDF 2.0を含む) 開発は ISO の TC 171 SC 2 WG 8 においてAdobeと専門家らの協力により進められている。

出来事
1993年 アドビシステムズ、PDF1.0とAcrobat 1.0をリリース。
1994年 アドビシステムズ、Acrobat Readerの無償配布開始。この無償配布が、PDF普及の大きな要因となった。
1995年 アドビシステムズ、Netscape Navigator用のAcrobatプラグインを公開。Web上でのPDF利用を促進した。
1996年 アドビシステムズ、PDF 1.2とAcrobat 3.0をリリース。このバージョンからPDFとAcrobatが日本語に対応。
1999年 アップルMac OS Xをリリース。Quartzを採用し、OSレベルでPDFへ対応。
アドビシステムズ、PDF 1.3とAcrobat 4.0をリリース。
2001年 アドビシステムズ、PDF 1.4とAcrobat 5.0をリリース。
2003年 アドビシステムズ、PDF 1.5とAcrobat 6.0をリリース。
2004年 ソースネクスト、日本国内で「いきなりPDF」シリーズを発売開始。低価格のPDF作成ソフトということで注目を集めた。
アドビシステムズ、PDF 1.6とAcrobat 7.0をリリース。
2005年 アドビシステムズ、マクロメディアを買収。PDFとFlashの統合が開始された。
2006年 アドビシステムズ、PDF 1.7とAcrobat 8.0をリリース。
2008年7月2日 ISOの管理規格となる。ISO 32000-1。
2008年 アドビシステムズ、PDF 1.7, Adobe Extension Level 3とAcrobat 9.0をリリース。
2010年 アドビシステムズ、PDF 1.7, Adobe Extension Level 8とAcrobat X(10.0)をリリース。

Adobeによる仕様定義

1993-2006 年にかけてAdobe Systems は PDF の仕様を数回改訂して新機能を追加している。PDF 1.7(ISO 32000-1)が制定された2006年以降にAdobeが定義した拡張(Extension Levels)は ISO 32000-2 (PDF 2.0)のドラフトにも一部取り込まれているものもあるが、開発者はAdobeの拡張部分がPDFの標準でないことに注意する必要がある。[7]

PDFのバージョンと仕様書(2014年4月現在)
バージョン 仕様書 発行年 新機能 Acrobat, Reader のバージョン
1.0 First 1993 Carousel
1.1 First, revised 1996 パスワード, 暗号化 (MD5, RC4 40bit), device-independent color, スレッドおよびリンク[8] 2.0
1.2 First, revised[8] 1996 インタラクティブなページ部品 (radio buttons, checkboxes &c)

インタラクティブ, 記入フォーム (AcroForm)
Forms Data Format (FDF) により記入内容のインポート、エクスポートをWeb経由で行えるようになった
マウスのイベント
外部ムービーの再生
外部または添付の音声の再生
zlib/deflate によるテキストと画像の圧縮
Unicode対応
色管理と代替画像のサポート[8] || 3.0

1.3 Second
PDFリファレンス第2版 ISBN 4-89471-338-1
2000

日本語フォントの埋め込み
電子署名
ICC and DeviceN 色空間
JavaScript
各種ファイルストリームの添付 (ファイル添付)
注釈種類の追加
Adobe PostScript Language Level 3 imaging model で追加された機能のサポート
イメージのマスク
代替イメージ
スムージング
ページ番号付けの強化
Web キャプチャ
表示順以外に論理構造表現のサポート
CIDフォントのサポート強化
data structures for mapping strings and numbers to PDF objects
プリプレス分野のワークフローのサポート
new functions for several function object types that represent parameterized classes of functions [9][10] Acrobat JavaScript Object Specification Version 4.05

4.0
1.4 Third 2001 JBIG2画像圧縮

透明効果
OpenTypeフォント対応
RC4 暗号化のキー長が40bitから128bitまでに拡張
入力フォームのインタラクティブ性の強化 (FDF), XML フォーム投稿, FDF ファイルの添付, エクスポート時のUnicode対応, FDF ファイルの共同編集と署名の追加
障碍者向けアクセシビリティ機能
Extensible Metadata Platform (XMP)によるメタデータストリーム
タグ付きPDF
inclusion of printer’s marks
編集時のページ境界の表示
CMaps(フォント対応表)の拡充
alternate presentations
PDFファイル間のインポート
データ添付のディクショナリのサポート[10][11]
Acrobat JavaScript Object Specification Version 5.1[12]

5.0
1.5 Fourth 2003 JPEG 2000画像圧縮

マルチメディアの添付と再生の強化
object streams
cross reference streams
フォーム入力の XML Forms Data Format (XFDF)対応 (PDF 1.4 のXML対応を代替)
フォーム、リッチテキスト、属性を XML Forms Architecture (XFA) 2.02 で記述できるようになった (静的 XFA フォームのみ対応)
PKCS#7 公開鍵のサポート (PDF 1.3 で追加されたが 1.5のリファレンスに初めて記載された), 公開鍵による暗号化, アクセス許可, ユーザー権限の署名 (本文を暗号化する必要がなくなった), SHA-1, RSA 鍵の4096ビットサポート
独自の暗号化、復号を実装できるようになった
ドキュメントの一部を可視、不可視にする (CAD , layered 図画, 地図,多言語文書などに対応)
JavaScript で実装するスライドショー表示をサポート (Adobe Reader はSVG 1.0のみ対応)[10][13][14]
Acrobat JavaScript Scripting Reference, Version 6.0 [15]
MS Windows 98 サポートの廃止

6.0
1.6 Fifth 2004 3D アートワーク( [Universal 3D] ファイル形式)のサポート

OpenTypeフォントの埋め込み
XFA 2.2 によるリッチテキストと属性のサポート (XFA 2.1 および 2.2 では以下のような分野向けに定義されている: 動的な XFA フォーム, XFA 用の W3C XML 電子署名, Web サービス, XFA 'doc-literal' HTTP 経由のSOAP対応, SOAPによるWebサービスのための WSDL 定義, 等)
AES 暗号化
PKCS#7 電子署名の SHA256対応,4096ビットまでの DSA 対応
Nチャンネルの色空間サポート
ファイル添付の強化, 添付ファイルとの間の相互参照
電子署名による権利管理と改竄検出 [10]
Acrobat JavaScript Scripting Reference, Version 7.0[16]

7.0
1.7
(ISO 32000-1:2008
[2][17])
Sixth (ISO first) 2006 (ISO 2008)

3Dアートワークへの対応強化
XFA 2.4 によるリッチテキストと属性のサポート
複数ファイルの添付 (portable collections)
document requirements for a PDF consumer application
新しい文字列形式: PDFDocEncoded 文字列, ASCII 文字列, byte 文字列
PKCS#7 電子署名の SHA384, SHA512, RIPEMD160 対応
JavaScript for Acrobat API Reference Version 8.0 (the documentation of the objects, properties and methods of the JavaScript extensions for Adobe Acrobat Professional, Acrobat Standard and Adobe Reader)[18]

8
1.7 Adobe Extension Level 1[19] 2008 XFA 2.5 (Extensions Level 1) および XFA 2.6 (Extensions Level 2)サポート (XFA 2.6 は以下のような分野向けに定義されている: XFA のセキュアな投稿, XFA Foreground (XFAF) 形式のサポート[20] 8.1
1.7 Adobe Extension Level 3 Adobe Supplement to the ISO 32000, BaseVersion 1.7, ExtensionLevel 3 2008 256-bit AES 暗号化

PDF/A-2 向けXFA データセットの取り込み
Adobe Flash アプリ (SWF), ビデオ (H.264 形式Flashを含む)の再生, 音声その他マルチメディア埋め込みの改良。 Flash playerとの双方向スクリプティングの実装により、ナビゲーターSWF ファイルはAdobe Flex2 モジュールから普通のSWFとして認識されるようになった。
XFA 2.5 および 2.6 によるリッチテキスト対応,[20] XFA 2.7 および 2.8対応[21] (XFA 2.7 および 2.8 は以下のような分野向けに定義されている: Webサービスの認証ポリシー設定, WSDL/SOAP 経由での投稿, タイプフェースの各国ロケール対応 等)

9
1.7 Adobe Extension Level 5[22] Adobe Supplement to ISO 32000-1, BaseVersion: 1.7 ExtensionLevel: 5 2009 XFA 3.0 9.1
1.7 Adobe Extension Level 6[23] 2009 XFA 3.1 9.1
1.7 Adobe Extension Level 8[24] 2011 XFA 3.3 (Flash/SWF と XFA の統合),[25]

AES-256 によるパスワード暗号化方式を Extension Level 3 から変更。チェックのアルゴリズムに弱点が見つかったことへの対応。[26][27]
仕様書は 2014年4月現在公開されていない。[17]

X (10) , XI (11)

ISO規格化

国際標準化機構 (ISO) による PDF 1.7 の標準化以降、仕様の改訂はISOが預かるところとなった。Adobe独自のバージョンアップは、ベースとなるバージョン(1.7)に対する "Adobe Extensions" という形で行われている[28][17]


PDFの関連規格

PDF/X
PDFを元に策定された、印刷用途を目的としたファイル形式。印刷時のデータ交換をスムーズにするため、通常のPDFで使える機能を一部制限している。ISO15930として標準規格化されている。
PDF/A
PDFを元に策定された、電子ドキュメントの長期保存を目的としたファイル形式。ISO19005として標準規格化されている。主に印刷目的として利用されていたPDFを、長期保存用に特化させたもの。PDF/Aは特に欧州を中心に使われており、対応するソフトウェアも欧州製のものが多い。現在、PDF/A-1(ISO19005-1)が主流だが、PDF/A-2もISOで策定中である。
PDF/E
PDFを元に策定された、エンジニアリングワークフローにおける使用を目的としたファイル形式。ISO24517として標準規格化されている。知的権利の安全な配布やCADデータなどの複雑な3次元データなどをPDFに組み込むことを目標にしている。
PDF/H
ISO未策定。ヘルスケアに関するデータを交換、保存するのを目的としたファイル。
PDF/UA
ISO未策定。ユニバーサルアクセスへの対応を目的としたファイル形式。視力や運動能力に障害のある人にも利用できるように特化させたもの。
PDF/VT
ISO未策定。可変データやトランザクション文書を扱うのを目的としたファイル。
PAdES
ISO32000-2に含まれる予定。PDF文書の長期保管を目的としたPDFの拡張。欧州電気通信標準化機構(ETSI)により策定ならびに公開され、ISO32000-2に反映される予定。


概要

PDFドキュメントは1以上のページで構成され、各ページにはテキスト画像図形が含まれる。

PDFファイルは 印刷可能なあらゆるドキュメントから生成でき、表示や印刷はアドビシステムズが無料で配布している Adobe Reader(旧Acrobat Reader)またはサードパーティ製品を利用する。

PDFの特長は、PDFファイル作成元と異なるコンピュータ環境において、作成元ドキュメントのレイアウトや書式を忠実に再現した表示・印刷ができることにある。その性質を好んで、Webページ上のドキュメントやソフトウエアの説明書などの広く公開・頒布する形態で多く利用される。また、同様の理由から、将来のコンピュータの環境変化を想定した長期保存向け文書 (PDF/A) や、 DTP の過程でPDFファイルを作成・利用する (PDF/X) 用途も多くなっている。

PDFファイルを生成には、アドビシステムズ社純正の「Adobe Acrobat」やサードパーティ製品を利用することがもっとも基礎的な方法である。さらに、クラウド形態などによりサーバサイドでPDFファイルを作成するシステムや、PDFファイル生成とは異なる主目的をもつソフトウエアが PDFファイルを生成する補助機能を搭載している場合もある。

PDFファイルの表示や印刷は、Adobe Reader などがインストールされた環境であれば、一般のHTMLファイルと同様にWebブラウザ上でPDFファイルを閲覧できるが、Adobe Reader の起動処理のために一般的なHTMLコンテンツと比較して表示完了まで時間が長くかかることがある。

PDFの仕様は、ISOで標準化される以前からアドビシステムズから公開されてきている[29]。そのため、アドビシステムズ以外のさまざまな企業・団体や有志が、PDF関連のソフトウェアを開発・公開しており、オープンソースソフトウェアフリーウェアも数多い。

PDFの特長

PDFには、次の特長がある。

  • 作成したドキュメントを異なる環境のコンピュータで元のレイアウトどおりに表示・印刷できる
  • ドキュメントのセキュリティを設定できる
  • 圧縮してデータを格納することで、ファイルサイズを小さくできる
  • しおり・リンク・コメント・注釈といった、ドキュメントを画面に表示するときに便利な機能を設定できる
  • フォーム機能を使って、利用者の入力欄を受け取るような書式設定済み文書を作成できる
  • 音声化などアクセシビリティに配慮したドキュメントを作成できる
  • マルチメディアに対応している

レイアウトの保持

PDFのドキュメントは、Adobe Readerがインストールされているコンピュータであれば元のレイアウトどおりに表示・印刷できる。Adobe ReaderはWindowsMac OS XLinuxなど各種オペレーティングシステム (OS) に対応したものが無償で配布されており、他のPDF閲覧ソフトも数多く存在するため、PDFファイルは多くの環境で閲覧・印刷できる。

PDF以外の電子ドキュメントは、ほかのコンピュータ上で元のレイアウトを保持したまま表示・印刷するのは難しい。例えば、WordExcelなどMicrosoft Officeのドキュメントは、対応するソフトウェアもしくは無料のビューワーをインストールすれば閲覧することは可能だが、バージョンや設定が違っていたり、フォントの有無が原因で編集者が意図した通りのレイアウトを保てない場合がある。HTML のドキュメントは多くのコンピュータで閲覧できる。しかし、レイアウトの制限が大きい上、OSやWebブラウザHTMLレンダリングエンジン)の種類・設定でレイアウトが変わりやすい。

そのため、厳密にレイアウトを保持する必要のあるドキュメントはPDF化することが多い。ただし、フォントの設定によっては、PDFでも元のレイアウトを保持できない場合がある。この問題は、フォントを埋め込むことで回避できる。

フォントの埋め込み

電子ドキュメントを正しく表示するためには、フォントが正しく設定されている必要がある。一般に、ドキュメント作成時に使用されているフォントがインストールされていないコンピュータでは、ドキュメントを正しく表示・印刷できない。例えばヒラギノフォントを使って作成したドキュメントは、このフォントがインストールされていないコンピュータでは代替の日本語フォントで表示する必要がある。さらに、日本語フォントがインストールされていないコンピュータではエラーや文字化けが発生し、正しく表示できない。

PDFのドキュメントでは、使用しているフォントを埋め込むことで、そのフォントがインストールされていないコンピュータでも正しく表示・印刷できる。フォントを埋め込む方法は2つあり、当該フォントに含まれているすべてのグリフ(字形)を埋め込む方法と、文章に使用されているグリフのみを埋め込む方法である。これらの選択は、PDFを作成する際に行う。フォントを埋め込んで作成したPDFの日本語ドキュメントは、日本語フォントがインストールされていないコンピュータでも正しく表示できる。

ただし、フォントを埋め込んだ PDF ファイルはファイルサイズが大きくなるという問題がある。また、フォントを埋め込む場合は、フォントのライセンスにも注意する必要がある。

セキュリティの設定

PDFファイルには、情報の機密性を保つために、閲覧パスワード(ユーザパスワード)と編集パスワード(オーナーパスワード)を設定することができる。

閲覧パスワードが設定されていると、利用者は正しい閲覧パスワードを入力しないとPDFファイルを開けない。編集パスワードが設定されている場合、閲覧だけならパスワード入力は不要であるが、次の作業をするには正しい編集パスワードを入力して設定を解除しなければならない。

  • 編集
  • 印刷
  • テキストや画像などのコピー

この機能を使うことにより、ユーザの画面上では表示できるものの、コンテンツ内の文章をコピー・アンド・ペーストできないようしたり、文書内の写真の印刷ができないよう設定した文書を配布したりできる。

また、電子署名を付け、ドキュメントの改竄を防止する機能も持つ。

マルチメディアへの対応

PDFファイルには、音楽動画などのマルチメディアファイルを含めることができる。 そのためPDFファイルは、コンピュータを使ったプレゼンテーション用に使うこともできる。

また、2005年にアドビシステムズが Flash の開発・推進を進めてきたマクロメディアを買収しており、それ以降アドビシステムズによる Flash と PDF との統合が進められている。

PDFファイルの表示と印刷

Windows環境におけるPDFファイルの表示や印刷には、アドビシステムズから無料で配布されているAdobe Readerを使うのが一般的である。Acrobatがインストールされている場合は、AcrobatでPDFの表示や印刷ができる。Mac OS XではOSに標準で付属する「プレビュー」を利用できる。その他のOSについても、PDF閲覧ソフトに付属している印刷機能や、OSの印刷機能を利用して印刷できる場合が多い。

PDFファイルの検索

Web上のPDFファイルは、Googleなどで検索できる。また、コンピュータ内のPDFファイルは、AcrobatとAdobe Readerによる全文検索が可能だが、検索用インデックスを作成した高速全文検索を利用するためにはAcrobatのProfessionalバージョン(6.0以降)やGoogleデスクトップ、Mac OS X Tiger以降に付属するSpotlightなどが必要となる。

PDFファイルの作成

PDFファイルの作成には、アドビシステムズのAcrobatを利用するのが一般的である。Mac OS Xでは、OSの標準機能で各種ドキュメントをPDFファイルに変換できる。LinuxなどUnix系OSの印刷システムであるCommon Unix Printing SystemにはPDFファイルの出力機能がある。そのほかにも、後述するOpenOffice.orgなどオープンソースのものも含めて、数多くのPDF作成ツールがある[30][31]

Acrobat

Acrobatでは、データを各種ソフトウェアから「Adobe PDFプリンタ」へ印刷することでPDFファイルを作成できる。この操作の場合、Acrobatに含まれるDistillerでPDFファイルを作成することになる。また、Microsoft OfficeではAcrobatに含まれるPDFMakerでドキュメントをPDFに変換できる。PDFMakerはDistillerを呼び出すとともに、しおり・ハイパーリンク・注釈などを自動的に作成する。

Adobe PDFプリンタによる方法以外としては以下のような作成手法を備えている。

  • Acrobat から直接、単数もしくは複数の画像ファイルを指定して、PDF化することが出来る。市販のデジタル写真集などでも利用されている。
  • Web Capture機能によりウェブページを直接PDF変換する。階層を指定することでハイパーリンク構造も再現できる。
  • イメージスキャナーから直接画像を読み取り、PDFに変換できる。


PDFとPostScript

PDFは、アドビシステムズが開発し印刷業界の標準として普及していたページ記述言語 PostScriptを元に策定された。PDFでは、コンピュータ上でのデータ交換のために次の機能が追加されている。

  • ファイルに含まれる各ページへのランダムアクセスに対応。この機能により、必要なページをすばやく表示できる
  • フォントの埋め込み
  • 文書情報など、本文以外の情報を入力できる。PDFではしおり・リンク・注釈なども本文とは別の情報として扱われる
  • 透明の概念(後に追加)

PDFには、PostScriptの持っているプログラミング言語としての機能はなく、HTMLなどと同様のデータ記述言語となっている。これはファイルを開いた場合にエラーが発生する可能性を小さくし信頼性を高めるためという事と同時に、PostScriptが持つ特徴の一つである、インタープリタによる実行環境への依存性を極力排除していく方向性からである。

このように元々PDFはPostScriptから発展・派生したという経緯を持つため、PostScriptとPDFは似た特性を持っており、相互の変換は比較的容易である。実際、Acrobatに含まれるDistillerでは、各種アプリケーションのデータをいったんPostScriptファイルに変換(WindowsやMacintoshではプリンタードライバを経由する形で行われる)し、それを元にPDFを生成している。しかし、PDFを作成するには、必ずしもPostScriptを経由する必要はなく、例えばGDI経由で直接PDFを作成することも可能であり、実際にそういった形で動作(GDI→PDF)する製品は多数存在する(「いきなりPDF」もこのタイプである)。


PDFの利用場面

電子ドキュメントの公開・配布

印刷物として制作したドキュメントのPDF化

Quark XPressAdobe InDesignなどのDTPソフトウェアで組版した結果のデータは、しばしばPDFファイルとして出力される。こうして作成されたPDFファイルは、印刷物と同じレイアウトの電子ドキュメントとなる。一般に、PDFファイルの公開・配布は印刷物を配布するのに比べて低コストである。

そのためPDFを利用して例えば、カタログやパンフレットなどをインターネット上で公開したり、マニュアルや雑誌の収録記事をCD-ROMで配布することが多くなっている。

旧バージョンのQuark XPressなどからPDFファイルを作成するには、PostScriptファイルを生成したうえで"Distiller"というAdobe Acrobatに添付のソフトを使ってPDFファイルに変換するのが一般的である。また、Adobe InDesign、Illustrator、PhotoshopやQuark XPress(バージョン6以降)を使うと、Acrobatなどは使わずに直接PDFファイルを作成できる。

OfficeドキュメントのPDF化

Microsoft Office一太郎などで作成したドキュメントも、PDF化されることが多い。PDFのドキュメントは、Microsoft Officeなどドキュメント作成時に使ったソフトウェアをインストールしていないコンピュータでも表示・印刷でき、コンピュータの環境によってレイアウトが変わる可能性も小さくなる。

Microsoft OfficeのドキュメントはPDF化しなくても、マイクロソフトから無償配布されている表示専用ソフトウェア(Word ViewerやExcel Viewerなど)で表示させることができる。しかしこうしたソフトウェアは、Adobe ReaderなどのPDF表示用ソフトウェアと比べると、対応しているOSが限られていることもあり、インストールされていない、またはできない場合が多い。そのため、不特定多数の人を対象にしたドキュメントはPDF化することで正しく表示される可能性が高くなる。

PDFの作成には、Microsoft Officeからはプリンタとしてインストールされる「Adobe PDF」や「Acrobat Distiller」を利用してPDFを作成することができる。なお、32bit版Officeについては、Acrobatに含まれるマクロの「PDF Maker」を利用し、より簡単なPDFの作成が可能になっている。

2007 Microsoft Office System (Microsoft Office 2007)では追加アドインを加えることでPDFを出力する機能が追加された。また、Microsoft Office 2007 サービスパック 2 では標準機能として追加され、別アプリを利用することなしにPDFを作成することができる。このPDF作成機能は Microsoft Office 2010 (x86 / x64)にも引き継がれている。

また一太郎の「2011 創」以降のバージョンでは、一太郎文書から直接PDFを作成することもできる。

フリーソフトウェアOpenOffice.orgLibreOfficeでは、標準でPDF出力機能を備えている。

LaTeXとPDF

LaTeXで作成したドキュメントをPDFに変換する機能も持つツールも開発されている。

  • PDFLaTeXはLaTeXソース文書を読み取り、そのままPDF形式に出力できる(日本語を含んだLaTeXソース文書は扱えない)。
  • dvipdfm(x)はLaTeX標準の中間形式であるdvi形式のファイルをPDFに変換できる。
  • これらPDFを直接扱う方法ではなく、LaTeX標準のdvipskなどの伝統的なPostScript出力用ツールでいったんPostScript形式に落とし、それをAdobe Distiller(またはフリーソフトであるGhostscript)といった標準的なPostScript→PDF変換ツールを使ってPDF出力させるといったやり方も一般的である
  • ProsperなどのLaTeX形式ファイルからプレゼンテーション用PDFファイルを生成できるツールも存在する。

XMLドキュメントのPDF化

マークアップ言語XMLの応用技術であるXSL-FOを利用すると、Apache FOPXSL Formatterなどのソフトウェアを利用してPDFファイルに変換できる。XSL-FOはXSLTなどを利用して各種XMLドキュメントから生成できるため、XSL-FOを利用することで各種XMLドキュメントからPDFファイルを作成できる。

紙資料のPDF化

紙資料をイメージスキャナなどを使って電子ドキュメントにする場合も、PDFが利用されることが多い。

紙資料を電子ドキュメント化するとき、PDFを利用しない場合には、TIFFなどの画像ファイルとして保存する方法と、OCRソフトウェアを使ってテキストとして保存する方法がある。画像ファイルとして保存された電子ドキュメントは画面上で見る場合には紙資料と同じ内容が再現できるものの、文章や文字をコピーすることができないなどテキストの再利用に大きな制限がある。また、OCRソフトウェアを使って作成したテキストファイルではテキストの再利用は可能となるが、OCRソフトウェアの精度の問題もあり、元の内容を完全に再現できない場合が多い。

PDFを利用すれば、紙資料をスキャンした画像の上にOCRソフトウェアで変換して作成した透明テキストを重ね、1つのファイルとして保存することができる。こうしたPDFのドキュメントでは、画面上で見る場合には紙資料の内容を完全に再現でき、不完全ではあるがテキストの再利用もできる。例えば、Acrobatにはバージョン6.0以降のStandard版以上でOCR機能が標準で搭載されるようになった。

PDF入稿

印刷物制作時の入稿をPDFですることも増えてきている。従来は、QuarkXPress などで組版した結果のデータをそのまま入稿することが多かった。

PDF入稿には、

  • 原稿作成方法の制限が小さくなる
  • 画像ファイルの添付し忘れやエラーの発生を少なくできる
  • データサイズをコンパクトにすることができる

などといった利点がある。

ただし作成方法によっては、商業印刷には使えないPDFファイルが生成されることもある。たとえば、紙資料をスキャンして作成したPDFファイルから商業印刷に要求される結果を得るのは難しい。目的とする印刷品質を得るためには、フォントの埋め込みや印刷時に使用する色の情報、画像解像度などをPDFファイル作成時に適切に設定する必要がある。この設定を行うにはコンピュータの操作方法ならびに印刷物とその製造工程を的確に理解していることが必須であるため、誰でも確実に行うことができるとは言い難い。PDF/Xは、こうした問題を回避するために用いられる[32]

PDFの短所

PDFの短所として、次のような点が指摘されている。

仕様が複雑

PDFは、元にしていたPostScriptの仕様が複雑だったため、簡略化したとはいえやはり複雑な仕様である。また、PDFのバージョンアップとともにさまざまな機能が追加されたため、仕様はますます複雑になっている。

このため、PDFのドキュメントおよびソフトウェアはサイズが肥大化する傾向にあり、ソフトウェアの動作が重く、メモリの使用量が増大しがちである。

例えば、Acrobat6ではソフトウェアのサイズが大きく、起動に時間がかかるなど動作が重いため、敬遠する人も多かった。Acrobat7になって起動時間は短縮したが、ソフトウェアのサイズは相変わらず大きく、動作の重さを感じる場面もある。その配慮として、PDF以外の形式によるドキュメント(Word文書、Excelワークシートなど)も公開しているサイトもある。

また、仕様が公開されているとはいえ、PDFの複雑な仕様に完全に対応するソフトウェアを作成するのは難しい。

画面で見るには不向き

PDFは画面で見るには、ユーザビリティが不十分なために不向きである。

ドキュメントの読みやすさという点では、PDFを画面上で見るよりも印刷物の方が優れていると感じる人が多い。ただし、この視認性の問題の多くはHTMLなどコンピュータの画面で見るフォーマット全てにいえることなので、PDFだけの問題ではない。 理由としては、

  • 人間の目は光を受け取って物体を視認する。コンピュータなどのディスプレイは直接光を出すため、印刷物の反射光に比べ眼球に対する負担が大きくなり、目が疲れやすい。
  • ディスプレイは印刷物に比べて解像度が低いため、寸法の小さいパーツは見えにくい。
  • ほとんどのPDF文書がA4縦長で作られているが、PC画面は横長であることが多く、A4縦長ドキュメントを等倍で表示させにくい(HTMLは、ブラウザがウィンドウのサイズに合わせて再整形するのでこのような問題は少ない)。

といったことが考えられる。

ユーザビリティに十分配慮して作成されたHTMLドキュメントと比べると、PDFは扱いにくい面がある。PDFはWeb表示用に最適化(リニアライズ)されていないと、ドキュメントの一部分だけを参照したい場合でも、最初から最後まですべてのデータを閲覧端末に読み込む必要がある。Acrobatなど既定値でWeb最適化したPDFを作成するソフトも多いが、廉価・無償のPDF作成ソフトではWeb表示用に最適化する機能がないものがある。このようなPDF作成ソフトで作成されたPDFをWeb上で表示すると、表示開始までの待ち時間が長くなる。

ナビゲーションのために、しおり、PDFのページ間(内部)リンクやPDF外部へのリンクをドキュメントの任意の箇所に設定することも可能である。これを利用するには、PDF作成時に素材データの中で設定するか、(Readerでない)Acrobatなどのしおり・リンク編集機能をもつソフトで追加する必要がある。この点は、ソースに参照したい箇所をテキスト情報として付記するだけで済むHTMLに比べれば煩雑である。

アクセシビリティの観点からも、PDFではドキュメントの作成時にタグ付きPDFとしなければならない点などを考えると、HTMLや単純なテキスト形式の方が扱いやすい。

ユーザビリティに関して、ヤコブ・ニールセンはPDFについて、「オンラインの閲覧用に使ってはならない」と結論づけている[33]

閲覧に使用したコンピュータのウイルス感染

PDFはセキュリティが考慮されていない古い時代のフォーマットである。脆弱性のあるAdobe Readerで有害なJavaScriptを含むPDFファイルを開くと、コードが実行され、パソコンがウイルスに感染する。同時に、ダミーのPDFファイルを表示させて、ユーザーがウイルス感染を気付かないようにする。その脆弱性を悪用した攻撃があり、2009年12月以降、日本で話題になっている「Gumblar」もPDFを媒介としている。

対策として、リーダの最新版へのプログラムアップデートがあるが、新たな脆弱性が発見されてからアップデートまでに時間が必要である。ユーザーによる不要な機能の無効化(例えばAcrobat ReaderにおけるJavaScriptエンジンの無効化)を併用することが推奨される。

関連項目

PDFソフトウェアの一覧

PDFの競合規格

DocuWorks(XDW・XBD)
富士ゼロックス製の、電子文書と紙文書を一元管理するオフィス向け文書管理アプリケーション。DocuWorks(6.0以降)のドキュメントからPDFの作成も標準(「Adobe Acrobat」または(Production Premium以外の)「Adobe Creative Suite」の入っているPCではそれを、入っていないPCには、6.xでは付属の「Acrobat Elements 7.0」を、7.xでは付属の「Adobe PDF Creation Add-On」をそれぞれ利用)でできる。競合規格という側面もあるが、共栄共存規格という側面も持ち合わせている。
FlashPaper
Macromedia社が策定。PDFと同様に各種ドキュメントから「印刷」して作成でき、作成されたドキュメントはレイアウトを保持したまま表示・印刷できる。Macromedia社がAdobeに買収されたことで、CS3世代ではFlashPaperは作成できなくなり実質的にPDFに一本化された。
XML Paper Specification(XPS)
マイクロソフトが策定し、Windows Vistaや次期Microsoft Officeで採用される印刷用のプラットフォーム。PDFとよく似た機能をもち、「PDFキラー」を標榜している。
Scalable Vector Graphics(SVG)
各種図形を表すファイル形式であるSVGは、PDFと同じくドキュメントのレイアウトを保持したまま表示・印刷する用途に利用できる。現状では、SVGが普及していないが、IE(8以前)を除いて、ほとんどのブラウザで利用できる。そうした中で、XSL FormatterはXMLドキュメントからPDFと同等のレイアウト結果をSVGで出力できる。
DjVu(デジャヴ)
米国AT&T研究所が開発した、PDF同様にドキュメント公開用に使われるファイルフォーマット。特に画像データの圧縮率が高く、PDFやJPGよりもサイズが小さい割に画像の劣化が少ない特徴を持つとされ、2005年頃から一部で使用されはじめている。

脚注

  1. ^ Yoichi Yamashita(マイコミジャーナル) (2008年7月3日). “PDF 1.7がISO 32000-1として国際標準化”. 株式会社毎日コミュニケーションズ. 2008年7月17日閲覧。
  2. ^ a b ISO 32000-1:2008 - Document management – Portable document format – Part 1: PDF 1.7”. Iso.org (2008年7月1日). 2010年2月21日閲覧。
  3. ^ The Camelot Project”. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  4. ^ Laurens Leurs. “The history of PDF”. 2007年9月19日閲覧。
  5. ^ Geschke, Charles, Driving Adobe: Co-founder Charles Geschke on Challenges, Change and Values, The Wharton School of the University of Pennsylvania, http://knowledge.wharton.upenn.edu/article.cfm?articleid=2038 
  6. ^ Duff Johnson. “The 8 most popular document formats on the web”. 2014年3月2日閲覧。
  7. ^ R, Leonard, History of PDF Openness, Acrobat users, オリジナルの2007-10-14時点におけるアーカイブ。, http://web.archive.org/web/20071014010805/http://www.acrobatusers.com/blogs/leonardr/history-of-pdf-openness/ 
  8. ^ a b c Adobe Systems Incorporated (1996-11-12) (PDF), Portable Document Format Reference Manual Version 1.2, http://www.pdf-tools.com/public/downloads/pdf-reference/pdfreference12.pdf 2010年2月23日閲覧。 
  9. ^ Adobe Systems (2000) (PDF), PDF Reference second edition – Adobe Portable Document Format Version 1.3, http://partners.adobe.com/public/developer/en/pdf/PDFReference13.pdf 2010年2月23日閲覧。 
  10. ^ a b c d Adobe Systems. “Adobe PDF Reference Archives”. 2010年2月23日閲覧。
  11. ^ Adobe Systems (2001) (PDF), PDF Reference third edition – Adobe Portable Document Format Version 1.4, http://www.adobe.com/devnet/pdf/pdfs/PDFReference.pdf 2010年2月23日閲覧。 
  12. ^ Technical Note # 5186 Acrobat JavaScript Object Specification Version 5.1, (2003), http://partners.adobe.com/public/developer/en/acrobat/sdk/5186AcroJS.pdf 
  13. ^ Adobe Systems (2003) (PDF), PDF Reference fourth edition – Adobe Portable Document Format Version 1.5, https://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_archives/PDFReference15_v6.pdf 2010年2月23日閲覧。 
  14. ^ PDF compatibility levels”. 2010年4月1日閲覧。
  15. ^ Acrobat JavaScript Scripting Guide, Technical Note #5430, Version: Acrobat 6.0, (May 2003), http://www.pdfill.com/download/Acro6JSGuide.pdf 
  16. ^ Acrobat JavaScript Scripting Reference, (2005-06-27), http://partners.adobe.com/public/developer/en/acrobat/sdk/AcroJS.pdf 
  17. ^ a b c Adobe Developer Connection: PDF Reference and Adobe Extensions to the PDF Specification”. Adobe Systems. 2010年12月13日閲覧。
  18. ^ JavaScript for Acrobat API Reference, Version 8, (April 2007), http://wwwimages.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/acrobat/pdfs/js_api_reference.pdf 
  19. ^ XML Forms Architecture (XFA) Specification Version 2.6, (2008-01-25), http://partners.adobe.com/public/developer/en/xml/xfa_spec_2_6.pdf 2014年4月9日閲覧。 
  20. ^ a b Adobe Supplement to the ISO 32000 BaseVersion: 1.7 ExtensionLevel: 3, (2008-06), http://wwwimages.adobe.com/www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/acrobat/pdfs/adobe_supplement_iso32000.pdf 2014年4月9日閲覧。 
  21. ^ XML Forms Architecture (XFA) Specification Version 2.8, (2008-10-23), http://partners.adobe.com/public/developer/en/xml/xfa_spec_2_8.pdf 2014年4月9日閲覧。 
  22. ^ XML Forms Architecture (XFA) Specification Version 3.0, (2009-03-12), http://partners.adobe.com/public/developer/en/xml/xfa_spec_3_0.pdf 2014年4月9日閲覧。 
  23. ^ XML Forms Architecture (XFA) Specification Version 3.1, (2009-11-16), http://partners.adobe.com/public/developer/en/xml/xfa_spec_3_1.pdf 2014年4月9日閲覧。 
  24. ^ (PDF) PDFlib API Reference 8.0.2, http://www.pdflib.com/fileadmin/pdflib/pdf/manuals/PDFlib-8.0.2-API-reference-Windows.pdf 2011年3月7日閲覧, "1.7ext8 – PDF 1.7 extension level 8 requires Acrobat X" 
  25. ^ XML Forms Architecture (XFA) Specification Version 3.3, (2012-01-09), http://partners.adobe.com/public/developer/en/xml/xfa_spec_3_3.pdf 2014年4月9日閲覧。 
  26. ^ PDFlib - PDF Security - Encryption Algorithms and Key Length, http://www.pdflib.com/knowledge-base/pdf-security/encryption/ 2012年9月26日閲覧。 
  27. ^ PDFlib - PDF Security - Security Recommendations, http://www.pdflib.com/knowledge-base/pdf-security/recommendations/ 2012年9月26日閲覧, "AES-256 according to PDF 1.7 Adobe Extension Level 3 (Acrobat 9) should be avoided because it contains a weakness in the password checking algorithm which facilitates brute-force attacks against the password. For this reason Acrobat X no longer offers Acrobat 9 encryption for protecting new documents (only for decrypting existing documents). In summary, AES-256 according to PDF 1.7 Adobe Extension Level 8/PDF 2.0 or AES-128 according to PDF 1.6/1.7 should be used, depending on whether or not Acrobat X is available. Passwords should be longer than 6 characters and should contain non-alphabetic characters." 
  28. ^ Adobe Supplement to ISO 32000-1, BaseVersion: 1.7 ExtensionLevel: 5, Adobe Systems Incorporated, (2009-06), p. 5, http://wwwimages.adobe.com/www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/adobe_supplement_iso32000_1.pdf 
  29. ^ Adobe PDF Specifications PDF仕様書の一覧ページ(英語)
  30. ^ TeX Wiki PDFの作り方(奥村晴彦(Haruhiko Okumura)のサイト)
  31. ^ さまざまなPDFの作成技術の概観
  32. ^ PDF形式の7つのメリット なぜPDFなのでしょうか?(特売プレス+吉田印刷所 DTPサポート情報Blog)
  33. ^ PDF:人間が消費するには不向き(Jakob Nielsen博士のAlertbox)

参考文献

  • 赤羽紀久生『PDFプロフェッショナルブック』玄光社、2007年8月。ISBN 978-4-7683-0250-7
  • Professional DTP編集部『ビジネスで活用するAcrobat 7.0入門―用途に合ったPDFの「作成」「編集」「管理」』工学社、2005年1月。ISBN 4-7775-1098-0
  • トップスタジオ『WindowsユーザーのためのPDF&Acrobat7.0入門』オーム社、2005年4月。ISBN 4-274-50020-9
  • 大沢文孝『はじめてのAcrobat7.0―PDFファイルの「作り方」から「使い方」まで、詳しく解説!』工学社、2005年6月。ISBN 4-7775-1141-3
  • 川上恭子『Acrobat7+PDFスパテク315 7/6対応』翔泳社、2006年1月。ISBN 4-7981-1016-7
  • PDF研究会『PDFを使えば 業務文書はすべてうまくいく』技術評論社、2006年2月。ISBN 4-7741-2503-2
  • 『PDF Hacks―文書作成、管理、活用のための達人テクニック』オライリー・ジャパン / オーム社、2005年3月。ISBN 4-87311-222-2
  • 『PDFリファレンス第2版』アドビシステムズ / ピアソンエデュケーション、2001年9月。ISBN 4-89471-338-1
  • トーマス・マーツ 著、広田健一郎 訳『PostScript & Acrobat/PDF』東京電機大学出版局、1998年11月。ISBN 4-501-52890-7
  • トーマス・マーツ 著、広田健一郎 訳『インターネットのためのAcrobat/PDF―Acrobat4技術詳述』東京電機大学出版局、1998年11月。ISBN 4-501-53020-0
  • さまざまなPDFの作成技術の概観』アンテナハウス、2006年5月5日http://www.antenna.co.jp/PDF/reference/CreatePDF.htm 

外部リンク