OpenType

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OpenType
拡張子 .otf, .otc, .ttf, .ttc
MIMEタイプ font/otf, font/collection[注釈 1], application/font-sfnt[1]
タイプコード OTTO
UTI public.opentype-font
開発者 マイクロソフトアドビシステムズ
初版 1997年4月(20年前) (1997-04
最新版
1.8.2
(2017年7月21日(3か月前) (2017-07-21)
種別 アウトラインフォント
派生元 TrueTypePostScriptフォント
国際標準 ISO/IEC 14496-22:2015 Part 22[2]

OpenType(オープンタイプ)は、デジタルフォントの規格である。アップルが開発した TrueType の拡張版として、マイクロソフトアドビシステムズが共同で開発し、1997年4月にバージョン1.0が発表された[3][4]。なお、OpenType はマイクロソフトの登録商標である[5]

規格[編集]

ロシア語(上)と、マケドニア/セルビア語(下)のキリル文字。字形は異なるものの Unicode の同じコードポイントを共有しているため、OpenType の機能を利用して字形を適切に指定する必要がある。

OpenType は TrueType を発展させ、PostScript フォントの CFF/Type 2 形式のアウトラインデータも収録できるようにしたものである[6]

拡張子は、アウトラインデータが CFF(PostScript) 形式のものは「.OTF」(フォントコレクションは「.TTC」「.OTC」)、TrueType 形式のものは「.TTF」「.OTF」(フォントコレクションは「.TTC」)のいずれかとなる[注釈 2][注釈 3][7][8]

特徴[編集]

OpenType は下記の特徴を持つ。

  • Unicode に完全対応しており、異体字などを含む65536個までのグリフを収録した多言語フォントが実現できる。また、CID を使用できる。
  • 文字組版に関する多数の高度な機能(合字、字体切替、プロポーショナルメトリクス、ペアカーニング、ベースラインの指定など)が利用できる[6][9]
  • クロスプラットフォームである[6]。そのため、 WindowsmacOS の双方で同じフォントファイルが利用できる。また ATM フォント、低解像度プリンタフォント、高解像度プリンタフォントなどの区別なく、1つのフォントファイルのみで対応ができる。
  • アウトラインが CFF(PostScript) 形式の場合、TrueType 形式よりフォントファイルのサイズを小さくできる[注釈 4][10]
  • 2016年9月策定の OpenType 1.8 では、同じフォントファミリー内の複数のスタイルを一つのフォントファイルにまとめることのできる可変フォント (OpenType Variable Font) が追加された。これにより、対応したフォントであれば1つのフォントファイルのみでウェイトや字幅など文字のスタイルを自由自在に変更することが可能になる[11]

なお、Windows では OpenType フォントが使用できないアプリケーションもあり、GDI+ では標準で対応されないため .NET FrameworkWindows Forms などでは標準で使用できない。なお、WPF では大部分の機能に対応した。

和文 OpenType フォント[編集]

JIS X 0208 などの漢字コードでは、微小な字形差の多くが包摂規準により同じ符号位置に統合されているため、微小な字形差を表現し分けることができない。これに対し OpenType では、微小な字形差なども含めて対応できるのが特徴であり、日本ではグリフ集合として Adobe-Japan1 シリーズを用いることで、微小な字形差を分離していることが多い。

漢字の異体字切替については、フォントに内蔵されている GSUB テーブルを利用した切替が Adobe InDesign などで実装されていた。その後、Unicode 5.1 で異体字セレクタとして IVS(Ideographic Variation Sequences) が導入され、その組み合わせとして2007年12月に Adobe-Japan1 が IVD(Ideographic Variation Database)に登録された[12][13]。また Unicode 6.3 では、SVS(Standardized Variation Sequences)にCJK互換漢字の1002通りが追加された[14]。OpenType では2008年5月策定の OpenType 1.5 で Unicode の異体字セレクタに対応した[4]。これにより、対応したソフトウェアと対応したフォントであれば、異体字セレクタを利用してプレーンテキスト上で異体字を表現することができるようになる。

日本語のグリフ集合においては、Adobe-Japan1-3(Std) が9,354グリフ、Adobe-Japan1-4(Pro) が15,444グリフ、アップルが制定しMac OS X v10.1で採用した独自のグリフ集合である APGS (Apple Publishing Glyph Set) をサポートした Adobe-Japan1-5(Pr5) は20,317グリフ、そして使用頻度の低い漢字を多数収容した Adobe-Japan1-6(Pr6) で23,058グリフをサポートしている[15]

現在ではアドビシステムズやモリサワなどいくつかの和文フォントベンダーが Adobe-Japan1-6 に準拠した OpenType フォントを多数販売しているほか、アップルは macOSヒラギノ OpenType フォントを標準搭載、アドビシステムズは DTP ソフト Adobe InDesign で OpenType の文字組版機能に完全対応した。また Adobe Illustrator などのソフトや、マイクロソフトの Windows 2000 以降などでも対応ソフトで利用できる。ただし、OpenType の特徴である高度な文字組版の機能を利用するには対応アプリケーションが必要である。

出力における従来のフォントとの違い[編集]

従来のOCFフォントCIDフォントは、ともにダイナミックダウンロード出力はできない(不可能ではないが不安定)。日本語を含む2バイトフォントをDTP出力するためには、イメージセッタプリンタなど出力機側に専用のフォントをあらかじめインストールしておき、出力時には、文字コード情報やフォント(書体)名の情報のみを出力機に送り、文字の形の情報は出力機側で計算する、という方法を用いてきた。これは、コンピュータやネットワークの性能が低かった状況下では負荷を減らせる利点があったが、機能向上とともにその必要はなくなった。

OpenType は、TrueType 同様にダウンロード出力ができるため、コンピュータ側にフォントがインストールされていれば出力が可能である[16]

注釈[編集]

  1. ^ font/otfならびにfont/collectionともに RFC 8081 The "font" Top-Level Media Typeで規定されている。
  2. ^ フォントコレクション (Font Collection) は、かつては TrueType Collection の名称で TrueType 形式のアウトラインのみのサポートだったが、2015年3月に策定された OpenType 1.7 で CFF 形式のアウトラインのサポートが追加された。この仕様に準拠したフォントとして Source Han Sans(源ノ角ゴシック/Noto Sans CJK)の OTC 版などがある
  3. ^ ソフトウェアは拡張子だけを見て、アウトラインが CFF 形式か TrueType 形式かを判断してはならないとされている
  4. ^ CFF 形式のアウトラインは、3次ベジェ曲線で表現され、2次ベジェ曲線に比べ制御点の数を少なくできる。なお、3次ベジェ曲線を2次ベジェ曲線に無劣化で変換することはできない

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ application/font-sfnt” (英語). IANA (2013年3月29日). 2017年3月26日閲覧。
  2. ^ ISO/IEC 14496-22:2015 - Information technology -- Coding of audio-visual objects -- Part 22: Open Font Format” (英語). 国際標準化機構. 2017年3月25日閲覧。
  3. ^ What is OpenType? - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月21日閲覧。
  4. ^ a b OpenType specification change log - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月21日閲覧。
  5. ^ 商標公報4632036 特許情報プラットフォーム J-PlatPat”. 2017年9月26日閲覧。
  6. ^ a b c OpenType Overview - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月26日閲覧。
  7. ^ The OpenType Font File - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月21日閲覧。
  8. ^ Recommendations for OpenType Fonts - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月21日閲覧。
  9. ^ Advanced Typographic Extensions - OpenType Layout - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月26日閲覧。
  10. ^ The Benefits Of OpenType/CFF Over TrueType - Adobe Typekit Blog” (英語). 2017年9月21日閲覧。
  11. ^ OpenType Font Variations Overview - Microsoft Typography” (英語). マイクロソフト. 2017年9月21日閲覧。
  12. ^ Unicode 5.1.0” (英語). Unicode. 2017年10月3日閲覧。
  13. ^ Ideographic Variation Database” (英語). Unicode. 2017年10月3日閲覧。
  14. ^ Unicode 6.3.0” (英語). Unicode. 2017年10月3日閲覧。
  15. ^ The Adobe-Japan1-6 Character Collection - Adobe Technical Note #5078 (PDF)” (英語). アドビシステムズ. 2017年9月21日閲覧。
  16. ^ OpenTypeフォントとは?”. 株式会社モリサワ. 2017年9月21日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]