インキトラップ
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インキトラップ(英: ink trap)は、書体(フォント)に対して施される工夫である。小さなサイズのフォントにおいて、字体の角の内側を削り込んで幅を細くし、印刷する際のインキのしみ出しを防止する。ただし今日では、印刷技術の向上に伴って本来の目的はほとんどが失われ、装飾としての役割しかもたない[1]。
日本語では、「墨とり」・「隅切り」・「切り込み」などと呼ばれ、定着した名称は存在しない[2]。
仕組み
[編集]インキトラップによって字体の角や細部は細くなるが、文字が印刷されると、細くなった部分にインキが自然に染み出る。インキトラップを施さないと、過剰なインキが字体外へと染み出し、字体の縁をだめにしてしまう[3]。
適用範囲
[編集]多くの場合、インキトラップが施された書体は、新聞の紙面でしか見ることができない。また、紙質の悪い電話帳やクラシファイド広告でも使うことができる[4]。インキトラップは印刷用の工夫なので、ディスプレイでは意味がないが、デザインとして用いられることがある。
フォント
[編集]インキトラップは、小さいサイズのフォントだけに施す。インキトラップが施されたフォントには、KurierやBell Centennial、Tangなどがある[5]。
出典
[編集]- ^ Rian Hughes. Typodiscography. Lulu.com. p. 294. ISBN 9781910870044
- ^ “サラマ・プレス倶楽部の皆さんのための活版印刷用語集”. 朗文堂 サラマ・プレス倶楽部. 2016年8月5日閲覧。
- ^ Heller, Steven; Pettit, Elinor (1998). Design dialogues. Allworth Communications, Inc. p. 32. ISBN 978-1-58115-007-0
- ^ John L Walters (2013-09-02) (英語). Fifty Typefaces That Changed the World: Design Museum Fifty. Hachette UK. p. 1984. ISBN 978-1840916492
- ^ “This is Tang!”. http://www.type.fi/. Suomi Type Foundry (2004年). 11 July 2013閲覧。