在外公館警備対策官

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在外公館警備対策官(ざいがいこうかんけいびたいさくかん)は、在外公館に勤務し、主として在外公館の警備に関する事務に従事する外交官官職、及びその外交官が公に用いる官名のこと[1]。所管は外務省大臣官房総務課警備対策室。なお同室は在外公館警備の他、外務省本省及び在外公館防諜についても管掌している。

概要

在外公館警備対策官に任用されるのは主に自衛官警察官海上保安官入国警備官公安調査官で、本来の所属官公庁から外務省へ出向して任命される。階級がそれぞれ概ね1尉(自衛官)、警部(警察官)、二等海上保安正(海上保安官)、警備士又は警備士補(入国警備官)級の者が外務事務官に併任される形を採っている。また、日本の民間警備会社から外務省へ出向して警備対策官に任じられる例もある。

任務は名称通り在外公館の警備対策であるが、実際の警備は現地の民間警備会社警備員)等に委託し警備対策官は企画立案を行っている場合が多い。

警備対策官は、通常、職階に応じて「在外公館警備対策官」という外務職員が公に用いる名称の他に、「二等書記官」「三等理事官」「副領事」等の公の名称を併せて用いる。

自衛官、警察官、入国警備官、海上保安官からの出向者は世界各地に赴任する。公安調査庁からの出向者は近年、中東に赴任することが多くなっている。海上保安庁からの出向者は北京上海香港ウラジオストックソウル釜山等の日本近隣諸国の在外公館で海上関係の治安情報を在外公館警備の事務とともに担当していることが多い。

従来、警備対策官は防衛省あるいは警察庁海上保安庁としての身分を一旦離れて、外務事務官として赴任していた為、制服階級章の着用が認められていなかったが、2000年から出向元の身分を併有したまま警備対策官に任じられるように運用が改まり、制服等の着用が認められることとなった。然し、依然武器の携行は認められず派遣人員も1・2名程度であり、自ら警備の実働を行うものではなく、警備対策の立案に従事するものである。

アメリカ合衆国では武装した海兵隊隊員を在外公館に派遣しており、また日本でも戦前は海軍陸戦隊や外務省に属する警察官(領事館警察)を在外公館に派遣して、自らの手で警備に当たっていたことを勘案すると、在外公館警備対策官制度は万全の体制とは言えず、2002年瀋陽総領事館事件をきっかけに在外公館の警備体制を見直すべきとの議論が起こり、国会の場でも審議された。

脚注

関連項目