Over Drive (漫画)
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『Over Drive』(オーバードライヴ)は安田剛士による漫画作品。『週刊少年マガジン』で2005年24号から2008年24号まで連載。自転車ロードレースを舞台としている。タイトルの由来はJUDY AND MARYの同名の曲から。略称はオバドラ。単行本はマガジンKC(少年マガジンコミックス)レーベルから全17巻が刊行されている。テレビアニメ化されたほか、原作漫画の後日談に当たるストーリーの小説化もされた。
目次 |
[編集] あらすじ
「自転車部に入らない?」大好きな深澤さんからそう言われた自転車に乗れない高校生篠崎ミコト。
「自転車部」がなんなのか分からないまま夢中で練習を始め、苦難の末に自転車で疾走したとき、15年間くすぶりっぱなしのミコトの心の中で何かがはじけた!
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
[編集] 登場人物
[編集] 桜ヶ丘高等学校(神奈川)
- 篠崎ミコト(しのざき みこと)
- 声:梶裕貴
- 160cm、50kg、高校1年生、脚質:スプリンター トルク型
- 主人公。内気で運動音痴。苦手なものはニンジン、ピーマン、水泳とかなり子供っぽく、天然ボケの気がある。小さい頃はよく自転車に乗っていたが、事故にあってから乗らなくなった(本人は忘れている)。
- 高校生になって中学時代から憧れていたゆきに誘われたことがきっかけで、再び自転車に乗れるようになり、自転車部に入部。使用するロードバイクはトレック1200(ちなみに、このロードバイクは遥輔と寺尾がアルバイトで貯めたお金で買ったもの)。
- 登りにおいて、重いギアを使った強烈な加速で相手を振り切る走りを武器とする。小さな体と強靭な筋力、長い手足、柔軟な筋肉、高い視力を併せ持つため、寺尾に完璧な選手になりうると思われている節がある。
- 遥輔や寺尾、大和、ゆきといった面々から指導・刺激を受けながらトレーニングを重ね、初めて出た桜ヶ丘ロードレースで山岳賞を獲得するが、トップとの時間差がつきすぎたため失格となる。
- 大好きなゆきのアドバイスは忠実に守るが、それ故に壁にぶつかっていた。だが、新たにゆきに指導され、更なる進化を遂げた。その際、ゆきに一番になることを約束する。
- 高校選抜では嘉穂が決めた出走順では第3走者を務める予定であったが、ゆきの策略によってアンカーを任されることになる。
- 高校選抜にて、出走前に自分の自転車の置き忘れに気付き、そこへ自転車を運んできてくれたゆきに、「ありがとう」と言おうとして、誤って「好きです」と告白をしてしまう。大和は「凄い現場に遭遇してしまった」と鼻血を流し、ゆきは「もう一度ここにくるまで考えさせて」と、返事を保留した。
- 平柳とは話しているうちに仲良くなり、走行中に北原が使用していた深層心理上の会話により親友と確かめ合う。
- モズクアイスが好物。
- 深澤遥輔(ふかざわ ようすけ)
- 声:保村真/子供時代:愛河里花子
- 188cm、80kg、高校3年生、脚質:スプリンターに近い 回転型 得意分野:ダウンヒル
- 自転車部のキャプテン。傍若無人、傲岸不遜。幼少期はかなり病弱な体質だったが、現在その面影は全くない。
- 実力はあるのだがその性格からチームメイトに恵まれず、勝てたことは数えるほどしかない。ついたあだ名は「無冠の帝王」「万年2位(エターナルセカンド)」。
- ダウンヒルではノーブレーキのままペダルを高速回転させて、猛スピードで疾走しその走りはまさに芸術。さらに高校選抜レースではブレーキを使わず、上体をあげ空気抵抗により減速するという神技の走りをしてみせた。
- 医者からはまもなく失明する恐れがあるので、自転車に乗ることをやめるように言われているが、それを隠して高校選抜のレースに出場している。本来はアンカーを務めるはずだったが、第3走者となる。大和からたすきを受け取る際、自分たちはチームであるという旨を大和に伝えてスタート。しかし、奇しくも鷹田が第1走者を務めた陸崎東以外はエースが集い何故か兵藤まで加わった第3走者で激闘を繰り広げる。レースでは前半のハイペースがたたり竜宮峠でのヒルクライムで2位集団に1分半もの差をつけられるが、同峠での下りでなんと一気に北原、雲飛、兵藤をぶち抜きトップの綾瀬にせまった。しかし下り終えた直後から目がかすみはじめ4回目の下り坂では4者横並びのまま下り終える。そして最後の1キロほどの登りで逃げを成功させなんと1位でゴール。タイムも鷹田大地のタイムを大幅に更新するという驚異的なタイムだった。弱点は体が大きいことと肺活量。
- 寺尾晃一(てらお こういち)
- 声:野島健児
- 175cm、65kg、高校3年生、脚質:オールラウンダー
- 遥輔の幼馴染で自転車部の副キャプテン。自転車部の実務はもっぱら彼の仕事。深澤兄妹にしょっちゅういじり回されている苦労人だが、遥輔の走りを生かせるのは自分しかいないと思っており、遥輔のために桜ヶ丘高校に自転車部を作った。家は自転車屋。両親は離婚しており、母親は家を出て再婚して子供も産んでいる(ただし、寺尾のことも大事に思っている)。
- レース前の徹底的な研究と冷静な走りが持ち味で、「精密機械」と呼ばれる。仲間のサポートにも秀でていたが、相手選手やコースの研究、自チームのサポートを一手に引き受けてくれる嘉穂の入部によって、寺尾自身の負担がかなり軽減された。合宿前、遥輔以上の実力があると見た、高校レース界の皇帝・鷹田大地から引き抜きを受けたが、鷹田より自分の方が実力が上であるという旨の挑発をして断るなど、自分の実力にはそれなりの自信を持っている。
- 根っからのアシストタイプのレーサー。レースではエースの保護をしたり戦況を確認するために下がったりといった守備的な走りをしていたが、本来の素質は相手チームをかき回す攻撃的な走りであり、高校選抜のレースでは、第一走者として鷹田と熾烈な争いを繰り広げた。しかし、残り2kmというところで落車。ケガをした足で中継地点まで歩いてきたため再起不能がささやかれている。
- 大和武(やまと たけし、クロスケ)
- 声:谷山紀章
- 172cm、58kg、高校1年生、脚質:クライマー 回転型
- 幼少期フランスに住んでいた影響でロードレースに出会う。ミコトとはクラスメイトで、友人でありライバルでもある。他人を寄せつけない孤高の雰囲気を漂わせるが、部室にある遥輔のエロ本を発見して、思わず見入るなど、ムッツリスケベな一面も。14歳になるまでフランスに住んでおり、そこでプロチームからの誘いを受けていたほどの実力を持つ。
- 母親は静岡の旧家の娘である大和アコ(故人)、父親はスペイン人でロードレースにおけるクラシックレースの王者であるパトリック・アンナだが、アコがアンナに知らせることなく、生んだ私生児である。あと「さや」という妹が一人いるが、彼女は血縁上は従姉妹であり、家庭環境に恵まれなかった彼女を同様な状態だった大和が妹として引き取ってもらったという経緯があるため、本当の兄妹ではない。
- 真っ黒なウェアを愛用することからクロスケと呼ばれている(高校選抜レースでは途中で暑さのためにそのウェアを脱いだのだが、下にチームジャージを着込んでおり、本人が意図せぬところでパフォーマンスとなって、観客を沸かせた)。愛車はLOOKだが、高校選抜ではカレラを使用。真黒な自転車とウェアを好んで使うことからクロスケと呼ばれるようになっている。
- ふだんはわざわざ重いフレームに乗っており、レースにおける登りでは鬼の様な強さで他を圧倒する一方、大和のことを知って、その存在を憎む父親に脚を折られた過去を持つせいで、下りではスピードを出すことができなかった。
- だが、高校選抜レース中に母と過ごした貧しくも輝いていた日々と「あんたはロードレーサーになるの」という言葉を思い出し、スピード中毒と言われるほど速かった本来の走りを徐々に取り戻していくと共に信頼できる仲間の大切さを認識する。
- 第二走者を務める高校選抜レースでは、寺尾の思いを受け取り、18分の差を埋めるべく激走。ついにトップに追いつき、チャモや磯崎と激戦を繰り広げたが、ラストの十国峠を下った所で力尽き、最後は和歌野にも交わされ、4位でゴール。総合タイムでは鷹田に3秒差、たすきを渡す前の遥輔とのやり取りが無ければ実質トップという凄まじいタイムだった。
- 深澤ゆき(ふかざわ ゆき)
- 声:名塚佳織
- 165cm、?kg、高校1年生、ママチャリライダー
- ヒロイン。深澤遥輔の妹。ミコトと同じ中学出身で、高校でもクラスメイト。
- 美人だがルールに従うことを嫌い、毎朝わざと遅刻してくるなど、非常に自分勝手な理屈で動く。
- また、かなりルーズな性格で自転車部のマネージャーだが、実際には仕事をほとんどしておらず、勝手に部費を使ってジュースを買うなどあまりやる気が見られない。最初にミコトを誘ったのも遥輔に「新入部員を連れて来たら小遣いをやる」と言われたためだった。
- だが、自転車に夢中になるミコトの姿を見て、ゆき自身の姿勢も変化し、ミコトに惹かれ始める。ペダルを回すコツを教えたり、合宿で特訓に付き合うなどして、少しずつミコトをサポートするようになり、ミコトに一番になるよう約束させる。このミコトの熱い気持ちを汲んで、高校選抜では、嘉穂の書いた出走順を勝手に書きかえ、ミコトをアンカーにした。
- レースでは第2補給ポイントで給水係を務めたが、寺尾にボトルを渡した後、寺尾が落車してしまい心配になり給水どころではなくなったので、サポートカーに乗ってスタート地点まで戻ってきた。
- 朝日嘉穂(あさひ かほ)
- 声:矢作紗友里
- 高校1年生 ???cm ??kg 脚質:不明
- ミコトたちのクラスメイトでメガネっ娘。社長令嬢で過保護に育てられたため、友達付き合いが苦手。ゆきの容姿と性格に憧れを抱いている。
- 父の会社がスポンサーを務める桜ヶ丘ロードレースを見に行き、「私と似ている」と思っていたミコトの壮絶な走りを目撃し、これに触発され「自分も変わりたい」という思いから自転車部に入部した。愛車はコルナゴ (CF-4?)。
- ただ、ゆきがマネージャーらしいことをしてないせいで、実質的には選手とマネージャーを兼任している。
- 部員のことを信頼しており、高校選抜では寝ずに相手チームを研究し、自チームの出走順を決める(後に無断でゆきに一部変えられるが)等、懸命にチームをサポートしている。レースでは第一補給ポイントで給水係を務め、祈りを込めて部員一人一人にボトルを渡している。
[編集] 陸崎東高等学校(愛知)
- 鷹田大地(たかだ だいち)
- 174cm 62kg 高校3年生 脚質:オールラウンダー
- 自転車の名門校である陸崎東高校の主将でエース。無表情。左頬に傷がある。高校レース界ではNO.1と言われ、圧倒的な実力を誇り、「皇帝」と呼ばれる。愛車はInter Max。モデルはInter Max創業者の今中大介(コミックス12巻より)。
- 「自転車に無駄がないのならば、乗り手も無駄をなくすべきだ」というのを信条とし、鍛え上げられた肉体の体脂肪率はなんと9%(ただ実業団クラスなら6~7%、トッププロなら4~5%が標準なので、あくまでも高校生レベルの肉体である。ちなみに、コミックスでは7%に修正されている)。
- 自転車に限らず、ふだんの生活においても徹底的に無駄をなくそうとしており、会話をする際には、漢字二文字だけで話すことをポリシーとしているほど。
- 元は登りを得意とするクライマータイプだったが、レースを重ねるたびに変化・進化していき、現在はオールラウンダーとなった。
- 高校選抜では先手必勝で第一走者を務め周囲を動揺させ、寺尾が落車するまでトップ争いの死闘を演じた。トップタイムで磯崎にたすきをつなぐ。
- 綾瀬太郎(あやせ たろう)
- 165cm ??kg 高校2年生 脚質:スプリンター
- 規律や統制を嫌うため陸崎東というチームはあわないが、鷹田大地と一緒にいると居心地がいいと感じている。高校選抜レースでは龍、兵藤、遥輔、北原、という各チームのエースやトップレーサーに追われながらも必死の走りを見せて、鷹田と磯崎のリードを守り、逃げ続けたが最後に追いつかれてしまった。たすきを渡すときには1秒でもタイムを稼ぐためジョニーの自転車を押しロケットスタートさせた。高1の頃、試合中にパンクした鷹田に、チームの勝利のためには自分ではなく鷹田が走った方が良いと言い、自分のタイヤをわたしたことがある。ちなみに試合前の嘉穂のノートにはスピードマンと書かれていた。
- 磯崎宅(いそざき すぐる)
- 170cm ??kg 高校3年生 脚質:クライマー
- 過去のレースで鷹田と一度だけ並走していたことがある。入学式の日に以前から尊敬する鷹田が隣に座っており、自分のことを覚えていないだろうと思ったが話しかけようかどうか迷っていたところ、鷹田が自分のことを覚えており、鷹田の方から名前を呼んでもらったことがきっかけで、彼についていくことを決意。ふだんから漢字二文字でしか話さない鷹田の意図をくんで周囲に伝える役目も務めている(ただし彼を介さないと鷹田と話せない人が多いのを良いことに、都合の悪いことは伝えなかったり、あることないこと付け加えたりして結構腹黒い)。
- 高校生としては日本一のクライマーと言われており、高校選抜レースでは、猛追してくる大和とチャモをつぶすべく、あえて途中でペースダウン。わざと二人に追いつかせてから、水中で3分間息を止めていられるほどの肺活量(無酸素性持久力のことだと思われる)を利用して、延々と続くダンシングの勝負に引きずり込んだが、大和の粘りに予想以上の苦戦を強いられた(心の中で大和のことを「強者」の2文字で片付けた鷹田に「怪獣」だと突っ込んだ)。しかし、1位は死守して綾瀬にたすきをつなぐ。
- ジョニー
- ???cm ??kg 高校1年生 脚質:クライマー
- 自称、名門陸崎東の「高速流れ星」。ミコトを遥輔と勘違いし、ロードレースでのタイマンの勝負を申し込む。
- 周囲の人から疎外され、暴力に明け暮れて夜の街で育つが、ある日鷹田と衝撃的な出会いをし、鷹田に一生ついていくことを決める。その出会いに深く関係している「肉饅」という名称を鷹田につけられる。サドルを極端に高く上げているのが特徴。マルコ・パンターニを崇拝しており、山以外は切り捨てたスタイルをとっている。
[編集] 日帝大附属高等学校(北海道)
- 北原ヨシト(きたはら ヨシト)
- ???cm ??kg 高校2年生 脚質:???
- “北の戦闘集団”日帝大附属高校の絶対的エース。「最果ての巨人」の異名を持つ。他人の脚質(おそらく走り方のこと)を盗むとされ、遥輔の走りを完璧にトレースするほどの実力の持ち主。
- 孤児である自分たちを引き取り、育ててくれた老夫婦の借金返済のためにレースに出て賞金を稼ごうと考えている。
- 過去に世界ジュニア選手権で優勝したが、ドーピング疑惑により優勝を剥奪。北原自身ドーピングは1度もしていないが、生まれつきヘマトクリット値(血液中赤血球濃度を示す数値)が高い(つまり、ヘモグロビンの量が多い)特異体質のため、ドーピングをしたという誤った判断をされた。黒鉄観音が検査した場面で52%という表示が出ているが1999年ジロ・デ・イタリアでのマルコ・パンターニの大会最終日前日の検査の数値と同じである。
- 重度のアニメオタクであり、いつもアニメグッズを持ち歩いているほか、自転車に乗っているときに好きなアニメ『魔法少女リリアン』のポーズを決めたりもしている。
- 高校選抜では周囲も驚きの第3走者を務め、落胆しつつも懸命に走り切った和歌野を労い、たすきを受け取り遥輔らと死闘を繰り広げる。またなんと足を負傷している要(ケン)の代わりに第4走者としても走っている。
- なお、高校選抜に出ている4人は非常に仲が良い。
- 沖田清司(おきた せいじ)
- ???cm ??kg 高校2年生 脚質:クライマー
- 北原の幼馴染で同級生。
- 高校選抜のレースでは先行する寺尾と鷹田をサラとともに必死に追撃。あと一歩まで迫ったが、結局2人に引き離されてしまった。最終的にはサラを交わし、寺尾の落車もあり、2位でゴール。第2走者の和歌野が自信がなくて怖気づいていたが、チーム一の根性で鍛錬を積んでいた和歌野を励まし、たすきを渡す。
- 和歌野敬(わかの たかし)
- ???cm ??kg 高校2年生 脚質:クライマー
- 登りは苦手だったが、北原から「クライムは才能より根性だ」と命令され、「根性なら誰にも負けないだろ」と説得されてクライマーとなった。チーム一の根性で、夏でも厚着をして減量したり、コツコツとトレーニングに励んできた努力家。
- 第二走者を務めた高校選抜レースでは、沖田に激励され満を持してスタート。しかし、すさまじいスピードで差を詰め、抜き去っていった大和とチャモに根性では埋められない才能の差を見せつけられ愕然とする。大和とチャモの走りに驚愕したときの心理状態を引きずり、「ヨシトさん」とうわ言でつぶやきながらヘトヘトで北原にたすきをつなぐも、持ち前の根性で集中力は切らさずに最後は地力を発揮し3位でゴールする。結果、タイムは磯崎より速く、たすきを渡す際、北原に「クライマーにしてよかった」「一番良い走りだった」と賞賛され、歓喜の涙を浮かべた。
[編集] 城寶学院高校(静岡)
- 龍雲飛(ロン ウンフェイ)
- ???cm ??kg 高校?年生 脚質:オールラウンダー(パワーライダー?)
- 在日中国人の3世、自分の居場所は中国でも日本でもなくサドルの上のみと考えている。圧倒的な肺活量を誇り、それ故に巨体でありながらもヒルクライムも可能である。また色盲であり、自分と同じく特殊な目を持っている遥輔を特別視している。体脂肪率5%を切っている。
- サラ・グールヴィッチ
- 191cm 80kg 高校?年生 脚質:スプリンター
- ウクライナ出身。恵まれた体格を活かし、ロビー・マキュアンのように単独でも他人を利用して、巧みに勝利を奪うタイプのスプリンター。だが、その勝ち方から「ハイエナ」と呼ばれて嫌われ、失意のうちに日本へ留学。龍に誘われて再びレースに参戦することを決意し、自転車部に入部する。
- 高校選抜のレースでは先行する寺尾と鷹田を、沖田とともに必死に追撃。あと一歩まで迫るが、結局2人に引き離され、沖田にも競り負け、チャモにたすきを渡す際、罵倒されてしまった。
- レイチ・リベイロ・チャモ
- 156cm ?kg 高校1年生 脚質:クライマー
- 極貧のなかで成長。生きるためにロードレースで走って金を稼ぐことを選択した。そうした背景があるため仲間というものを嫌い、自分だけしか信用せず、敗れた相手にも容赦しない。悪意が人の姿をとったような男で、勝つためなら手段を選ばない気がある。
- しかし、かつて大和と一度戦って破っているほど登りに強く、その実力はまぎれもない本物。外国生まれだが、日本語はペラペラ。喫煙と不気味な笑い方が特徴。
- 大和のことを自分と同じタイプの人間と見なしてライバル視しており、高校選抜レースでは、第2走者で偶然にも同走の大和に「運命」と皮肉を言い、あえてアドバンテージを捨てて待ち、バトルを開始。それでも先行する集団をごぼう抜きにして、トップに追いつく驚異的な走りを見せた。しかし、大和の粘りの走りと磯崎のダンシングを目の当たりにし、精神的に追い込まれフラフラでゴールする。2位でたすきをつないだが、それまでの愚行もあり、龍にたすきを渡す際、「故郷に帰りなさい」と言われてしまった。平柳とミコトの接戦の時に、沿道から飛び出て応援し、サラに意外がられている。好きなタバコはラッキーストライク。
- 平柳純(ひらやなぎ じゅん)
- ??cm ??kg 高校1年生 脚質:スプリンター?
- 合宿先にある神社でミコトと出会う。ミコトとは話しているうちに仲良くなり、走行中に北原が使用していた深層心理上の会話により親友と確かめ合う。父は北海道、母は沖縄出身。幼いころ入退院を繰り返していたため、無意識のうちに相手の深層心理を読む癖がついた。ミコトと同じく、高校に入学してからロードレースの世界に入った。ミコトに対して、「深澤遥輔は僕が唯一勝てる見込みのある選手なんだ。」と発言していることから、遥輔のことについて何らかの情報を得ていることがうかがえる。手首にはリストカットの痕がある。
[編集] その他
- 兵藤直人(ひょうどう なおと)
- 声:置鮎龍太郎
- 180cm、70kg、24歳、脚質:スピードマン
- 日本人の若手レーサーの中では最強の存在。オランダのクラブチームを抜けて、現在フリーで走っている。競輪出身で元スプリンターだが、限界を感じて肉体改造を行った。かなりの女好き。関西弁。体の柔らかさとスピードマンの脚質が無限の回転力を生み出している。高校選抜レースでは何故か第三走者と一緒に走っており、北原や遥輔、龍らと死闘を繰り広げるが、竜宮峠を下りおえて少ししたところで自ら自転車を降りる。ただしこれには練習用のピンディングシューズ、自転車や自分のコンディションの調整をしていない、吸水性が悪い衣服、そしてすでにコースの三分の一を走っているなど様々な理由があり決して兵藤直人がほかの選手に劣っているわけではない。
- パトリック・アンナ (Patrick Anna)
- 大和の父親。スペイン人でロードレースのクラシックレースで活躍するクライマー。母国では英雄であり、それゆえなにか事件を起こしても警察が容易に手が出せないほどの存在。
- 母親であるアコとの馴れ初めや別れるまでの経緯は不明だが、勝手に彼女が大和を産んだこと、自分の血を分けた存在がいることに対しては憎しみに近い感情を抱いており、大和のふくらはぎにナイフでバツ印を切りつけるという行動に出ている。
- 大和アコ(やまと アコ)
- 大和武の母親。どんな状況でも明るく前向きだが、独断や決めつけで物事を進めることが非常に多く、結果として周囲が迷惑をこうむることが多い。家は静岡の旧家。
- アンナと知り合って武を妊娠したが、そのことを知らせず帰国して一人で産むことを決意。実家を追い出され、道路工事のアルバイト等で生活しながら武を出産。その後、再びフランスに渡った。
- 貧しい生活でもロードバイク関係への出費は惜しまず、幼い武にロードレーサーになるように命じ続けたのも彼女。各種レースで入賞する武の姿にいつも大喜びしていた。だが、武が14歳の時に体が病気に蝕まれていることが判明し、武に引きずられるようにして帰国。そのまま検査・入院となった(だが、そこでも医師の指示を無視して薬を捨てたり、ケーキをドカ食いしたりとわがままぶりは相変わらずだった)。
- その後、病状の悪化に伴い生命維持装置なしでは生きられない体となり、意識不明のまま寝たきりになっていたが、武があるレースに出場した時に突然姿を現し、仲間を信じることの大切さを説いた後、その場に倒れて帰らぬ人となった。
- 倉田真紀(くらた まき)
- 声:久嶋志帆
- 鈴木雪子(すずき ゆきこ)
- 声:本多陽子
[編集] 作品誕生のきっかけ
漫画情報誌『ぱふ』(雑草社)の2007年6月号で、作者本人と担当編集者が読み切りから始まり、連載に至るまでの経緯を語っているが、これによると、
- 担当との打ち合わせで、スポーツ漫画の隙間を狙った
- 読みきりを描くときに、たまたま自転車が記載された雑誌が横にあったから自転車漫画にした
- ほかのスポーツ漫画を描くと、納得できなく、自転車漫画を描くとなぜか納得のいく出来だから、自転車漫画を描いている。
とのこと。また、この記事のなかで作者は「自転車に興味はないが、自転車に乗っている人には興味がある」と発言しており、「自転車」や「ロードレース」に対する思い入れや興味はそれほど無く、興味があるのはあくまで「人」であることを告白している。
- 作者の格闘好きのため[要出典]か登場人物に格闘家の名前が捩られていると噂されている。
ミコト=ミルコ・クロコップ 遥輔=西島洋介山 寺尾=寺尾常史 兵藤=エメリヤーエンコ・ヒョードルなど。実在の人物からではないが、大和は『愛の戦士レインボーマン』の主人公、ヤマトタケシをもじっている。
[編集] 作品の傾向
上記の「作品誕生のきっかけ」で述べられているように、作者は一般的なスポーツ漫画のように競技の魅力や苛酷さ、あるいは駆け引きといったものを描くことにはこだわっておらず、そのため自転車やロードレースをベースにししつも、人間ドラマを描くことに重点をおいた作品となっている。
その傾向は高校選抜レースの頃から強まっており、レース展開よりも登場人物たちの過去のエピソードを優先して描くことが多くなっているため「回想漫画」と評されることもある[要出典]。
なお、こうした作者の姿勢や演出的な表現のために、作品では現実と大きくかけ離れた要素が多々描かれているほか、設定の矛盾、用語の誤用、描写の間違いなどが見られるのだが、それらは単行本でも未訂正のままのものが多く、修正されている場合も、若干の文字や数字の変更程度に留まっている。
[編集] 作中における諸問題
作者自身もエンターテインメント性を求めるために作品に非現実的な部分があることは承知しており、そのため人物像に力を入れているとコミックス内で語っている。それを踏まえたうえで無視できない矛盾や現実ではありえない(認められない)事柄については「作中と現実の相違点・矛盾」に、自転車やロードレースなどに関する用語や描写の重大な間違い、一般に認められない造語については「用語・描写の間違い」に記した。詳細は以下を参照。
[編集] 作中と現実の相違点・矛盾
- ヘルメットをかぶらないでレースに出場
- 通常のレースではJCF(日本自転車競技連盟)の規定により、ヘルメット無しでの出走は不可能(ちなみに現実では、安全の面からレース以外の走行時にもヘルメットをかぶることが推奨されている)。作品ではキャラクターの描き分けなど、作者の表現力の理由から、あえて被らせていない(コミックスに作者が記載)。
- 軽い練習で150kmを3時間で走行
- 時速50kmで3時間も走り続けるというのは、世界のトッププロが全力で走っても容易に達成できないスピードである(ただし追い風などスピードの出る条件が整っていた場合は別である)。単行本では120kmを3時間に訂正されたが、それでも経験を積んでいない高校生にしては驚異的であり、「軽く」走れるスピードではない。尚、2007年3月1日発行の第3刷では、3時間で100kmなっている。
- 空気抵抗
- 練習で走っていたミコトがドラフティング(前を走る人の後ろにくっついて空気抵抗を軽減する行為)の列から外れた瞬間、空気抵抗を受けて後ろに吹き飛ぶ描写がある。(無風状態の中を)時速50kmで走行していたとしても、相対的に向かい風は風速14m弱である。バランスを崩して転倒はあるだろうが、吹き飛ぶのは難しい。
- ロードレースでの服装
- 作品ではミコトが襟のあるダボダボのジャージ、大和がフード付きのジャージを着ている(高校選抜ではレース用のジャージになっていた)が、これはあくまでも作品上の演出であり、現実のロードレースでは空気抵抗を減らすことが重要視されるため、こうした服装で走ることは絶対にありえない。
- ギア比の制限
- 現在、JCFやJCF加盟団体、あるいは都道府県連盟が主催するレースでは学生の肉体に与える影響上の問題からギヤ比については、17歳未満は7.01m(17~18歳なら7.93m)、ギヤ比で言えば52×16ないし50×15程度を上限としており、高校生の参加者については、レースの事前なり事後なりにチェックが行われる(もっとも高校選抜レースに限っては非公式レースのため、この制限を適用せずとも罰則はないので、それ以上のギヤ比で走ることも可能である)。
- もちろん制限があるとはいえ、このギヤ比は決して軽いものではないのだが(ケイデンス90で回すと37.7km/h)、トルク型の選手であるミコトのケイデンスは通常時で60という記述がある。すると平地での平均巡航速度は25.2km/hとなってしまい、一般的なレースにおける速度よりもずっと遅いということになってしまう。
- ベルトコンベアを使った特訓
- ペダル回転の技術を向上させるため、コンベア上にピストを乗せて強制的にペダリングさせるシーンがあるが、実際にこのような状態でコンベアを動かすと、加速度の違いからニュートン力学に則って自転車は後方へ飛んでしまう(電車や車が急発進した時の状態を想像するといい)。
- 心拍数の計測
- 心拍計をつけているにもかかわらず、医者が手首で脈拍を計らせるシーンがある。
- ボンキング
- 血液中のブドウ糖(グルコース)が枯渇して、運動に必要なエネルギーが供給されなくなり、力が出なくなる、あるいは活動不能に陥ることであり、ランス・アームストロングとクリス・カーマイケルの共著である『ミラクルトレーニング7週間完璧プログラム』から引用したと思われるが(実際、作品内ではこの本に記載されている解説がほぼそのまま転用されている)、日本ではこの状態を表す語として「ハンガーノック」の表記が一般化しており、「ボンキング」はほとんど認知・使用されていない(Google検索では「ハンガーノック」の43,600件に対して「ボンキング」は72件)ため、一般向けの漫画雑誌で使うには不適当な語である。
- 骨折した足で2km歩く
- レース中に落車して足首を骨折した寺尾が中継地点までの2kmを歩いてくるが、中継地点に到着した時、トップから18分しか離されていない。これはロードレースのスピードから計算すると、小走りに近いペースで歩いてきたことになってしまうため(レースの平均スピードが30km/hとしたら5.5km/h)、通常では考えにくい状況である。
- 大会運営について
- 寺尾のように骨折した参加者は、実際のレースならば即座にリタイアさせられる。これは、レースの主催者には円滑かつ安全に競技を進行する義務が課せられており、骨折した重傷者を放置するようなことは許されないためである(最低でも医師による診断がなされ、続行の許可が出される必要がある)。
- また、北原のタトゥーやチャモの喫煙は、明確な法律違反であり、通常は失格の対象となるほか、遥輔の金髪やジョニーのパンチパーマも現実においては十分に出場停止の要件となりうる。中味が入ったままの缶ビールを選手に投げつける観客もいたが、このような危険行為をした場合は、レースを妨害したとして最悪、警察に引き渡されることになる。
- 大会運営について2
- 同一条件のもとで競いあうというのは順位を競う競技が成立する必要最低条件である(公式、非公式に関わらず)。仮にこれを崩した場合、最終的な結果が公平なものであるという共通認識の確立ができなくなるため、競技は成立しない。
- しかし、作中では高校選抜レースで北原が2周することを認めているため、この時点でレースは成立しなくなっている(北原が負けた場合は1周して疲労していたから当然であり、もし4人目が走っていれば結果はわからなかったという理由で、勝った場合は北原個人がすごいだけでチームの実力ではないという理由によって、チーム全体の力を正しく評価できなくなる)。
- 体格の問題
- 0.1秒を競うスプリントで勝利するために必要なのは多大なパワーであり、そのためスプリンターには恵まれた体格と瞬発力に優れた速筋が求められるが、この筋肉は肥大しやすい(=筋肉量が増える)性質がある。そのため一流のスプリンターは大柄でがっしりした体格の選手で大半が占められる。
- 一方、クライマーは重量に逆らって何キロも坂を駆け上がるため、身の軽さに加えて持久力に優れた遅筋が求められる。
- 実際のロードレースにおいてこの区分けは絶対的であり、これからすると160cm・50kgという体格のミコトはクライマータイプなのだが、脚質が登りでのスプリント(=ヒルスプリント)を武器とする重いギアをぐいぐい踏むトルク型のスプリンターという正反対の設定になっている(そもそもヒルスプリントは、スプリンターでなく、クライマーやオールラウンダーの十八番)。
- もちろんパオロ・ベッティーニのように小柄 (169cm・58kg) でもスプリンターに負けないくらいのスプリントを見せる選手もいるため、おかしくはないという説明もできるが、その場合、ベッティーニはトルク型の選手ではないうえ(そもそも高速化が著しい現在のレースにおけるスプリント勝負では重いギアを踏むパワーがあってもペダルの回転技術なしでは勝てない)、彼はタイムトライアルが得意でなく(タイムトライアルのステージでタイムトライアル用のロードバイクでなく、通常のロードバイクで走ったことさえあるほど)、総合優勝のためにはタイムトライアルが重要視されるツール・ド・フランスなどのグランツールでエースになることはないため、第一話のようにミコトがマイヨ・ジョーヌを着ることはありえなくなる、という別の矛盾が発生する。
- プロとしての姿勢
- 作中で兵藤がポジション調整をしないロードバイクでレースに参加しているが、練習、レースを問わずポジションを決めないまま走れば正しく実力が発揮できないうえ、最悪故障する危険もあるため、常に調整しておくのはロードバイクに乗る場合、基本中の基本行為である(この点は陸上や水泳のフォームを想像すると分かりやすい。練習におけるフォームで本番も走るのが当たり前であり、本番だけ違うポジションで走ることは絶対にありえないのと同じ)。
- また仮に調整するにしても初心者ならともかくプロならば自分の乗車ポジションは頭に入っているのが当然であり、それをもとにコースにあわせた微調整をすればよく、調整自体は数分で終わるため、それさえやらないようではプロ失格である。
- また、そもそもロードレースの世界はドーピングをはじめとした倫理規定が厳しく、あきらかに違法と思われるような非公式の大会に参加したことがわかればプロとしてあるまじき行為として非難され、今後の活動に大きな支障が出るため、現実ではプロ選手が顔を出すことは絶対にありえない。
- レースと脚質の関係
- 大和の父親は、もとはクラシックレースを得意とするクライマーという設定だが、1日で勝負がつき、かつコースが平地主体で、パリ~ツールのようにほとんど登りが無いレースさえあるクラシックレースでは、平均スピードも上がりやすく、登りで差がつきにくい。もちろんクライマーズ・クラシックと言われるジロ・ディ・ロンバルディアのようなレースもあるが、これはむしろ例外であるため、クラシックレースにおいてクライマーが活躍できる場は、ほとんど無い(クライマーが活躍するのはツール・ド・フランスのように複数日にわたって行われるステージレース)。
- そのため、現実のクラシックレースにおいて各チームはスプリンターかワンデイレースを得意とするオールラウンダー(例えばパオロ・ベッティーニやジョージ・ヒンカピー、ダビデ・レベリンなど)をエースに据えてゴール数キロ手前~直前の勝負に持ち込むか、先行逃げ切りを得意とするスピードマンを序盤から逃げさせて番狂わせを狙うのが常であり、大和の父親の実力がどの程度なのかは不明だが、クラシックレースではクライマーはエースのアシストに回るのが普通である。
- ちなみにスプリンターやスピードマンにもそうそう負けないというなら、クライマーでなくオールラウンダーに該当するため、いずれにしても矛盾が生まれる。
- レースタイムの扱い
- 作中では、しばしばどれくらい速く(どれくらいのタイムで)走ったかが選手のすごさを表す指標になっているが、現実のレースでは、タイムトライアル競技などの特殊な状況でないかぎり、タイムはいっさい評価の対象にならない。
- これは仮にスピードだったとしても、一人で走るのと集団で走るのでは圧倒的に後者の方が楽に走れるうえ、脚質とコースレイアウトの相性により有利不利が大きく変わる(体重が重いスプリンターは上りが多いコースでは不利だし、クライマーは平地主体のレースでは不利になるなど)など、単純なタイムの比較では実力を正確に図れないというロードレースの特性によるものである。
- 道路の使用における問題点
- 高校選抜レースでは竜宮峠の上りに401という番号が入った道路標識「都道府県道番号(118の2)」と思われるものが設置されているなど公道を走っていると思われる場面が多く見られるが、この大会は「非公式」という設定のため、中継地点でリレーのために止まっていたり、路上に鉄柵やテント、放送機材などを設置するといった行為は、現実では道路法(第32条 道路の占用の許可)ないし道路交通法(第77条 道路の使用の許可)に抵触してしまう可能性が非常に高い。
- 私道を使用している可能性もあるが、一周80kmにもなるコースをカバーするだけの土地となれば、単純な正方形の面積換算で4万ha(13億2000万坪)、東京23区の6割にもなる広さが必要になるうえ(もちろんまっすぐ走るわけではないため、もっと面積は小さくなるが、それでも十分に広大なものになることが推察される)、しかもそこにロードレースが開催できるだけの道路が整備されている、ということは現実においてはきわめて想定しづらい。
[編集] 用語・描写の間違い
- 序列一位
- マガジン掲載時、第一話で使われた語。ツール・ド・フランスなどのロードレースにおける正しい表記は「総合」一位。
- 単行本では修正されている。
- スプリンターヒル
- 主人公ミコトの脚質(得意分野)を表した語。登りでのスプリントを得意とするの意味で使われているが、「スプリンターヒル」という言葉は、ランス・アームストロングとクリス・カーマイケルの共著である『ミラクルトレーニング7週間完璧プログラム』の中で短く急な登りの呼称として使われているだけで、こうした脚質は存在しない。
- また作中で篠崎が、スプリンターから、スプリンターの進化型である「ヒルスプリンター」へと成長を遂げた、という描写があるが、これは完全な造語であり、上記で述べたように、そもそもヒルスプリントは、上りでアタックを仕掛ける行為であるうえ、ロードレースにおいて、トレーニングを積むことで脚質が変化することはあるが、突然進化するということはない(筋肉の性質や心肺機能、体重などは一瞬で変化するようなものではないため)。仮に正しく説明するならば「スプリンターと思われていたが、実はスプリント及びヒルスプリントを得意とするオールラウンダータイプだった」となる。
- フルアウター
- もっとも重いギアの組み合わせである「アウター×トップ」の意味で使われている(もっともスピードが出せるが、多大なパワーを必要とするので、主に下りやゴール前のスプリントなどで使う)が、本来はインナーワイヤーがレバーからディレイラーまですべてアウターで被われていることを指し、作中のような意味合いは存在しない。
- 3時で踏む
- ペダルを速く上手く回すための脚の動きについて、クランクを時計に見立てて説明した語だが、通常は「12時から3時の位置まで踏むイメージで」といった感じで表記される。「3時の位置で踏む」ようなペダリングは、パワーロスが大きいので推奨されない。
- トレイン
- 2名以上で走行している時(同じチームかどうかは問わない)、十数秒~数分間隔で定期的に先頭交代をして一人一人の空気抵抗を減らしスピードアップ・維持を図る意味で使われているが、この行為は「ローテーション」と呼ばれる。
- これに対して「トレイン」とは同じチームのメンバーが、ゴール前でスプリンターやエースを優勝させるため、あるいは先行して逃げている選手を追撃するため、さもなくば集団内での優位・安全を確保するためなどの理由で一直線に並んで走行・加速している状態を指し、ローテーションとの最大の違いは、1人が先頭になってメンバーたちを引き続け、力を使い果たした時点で後方に下がっていくことである(ただし追撃中の場合はチームメンバー2~3人でローテーションしつつ、走ることがある)。
- 機材の間違い
- クイックリリースレバー(車輪を自転車に取り付ける道具)や、クランクが左右逆に取り付けられている描写がある。また前のギアを切り替えるはずの左のSTI(手元で変速を行う装置)で、後ろのギアが切り替わる描写もある。
- シューズの間違い1
- ロードバイクのシューズは、ペダルを漕ぐ力を逃さないように靴底に「クリート」と呼ばれるパーツを取り付け、これをペダルにはめることでシューズを固定する。しかし作中ではこのクリートが付いていない描写があるほか、寺尾が落車した時にシューズが脱げるという不可解なシーンもある(パワーロスを防ぐため、ベルクロなどでしっかり足にフィットさせるので、転倒しても脱げることはない)。
- シューズの間違い2
- ミコトが「ビンディングシューズで歩いてはいけない。歩くとカツカツ鳴る」と言ってユキに履いているシューズを見せるシーンがあるが、このシューズは普通に歩行できるようにしたMTBシューズであるため、多少の音はするが歩いても一向に構わない。
- ちなみに音が鳴っておかしな歩き方(通称:ペンギン歩き)になるのはシューズに付けたクリートがむき出し状態になっているロードシューズである(クリートを固定するネジ穴の数が例えばSPD-SLは三つ、SPDは二つなので、そこで見分けがつく)。
- SPD-SLとSPDの使い分け
- 上記のシューズの間違いでも触れたが、高校選抜レースでミコトがSPDシューズを履いているシーンがあるが、一般的には、SPD-SLは固定力とパワーの伝達力に優れることからロードレースで使用され、SPDは着脱が容易で、歩行に支障がないことからMTBレースや街乗りあるいはふだんのトレーニングで使用される、といった具合に使い分けられる。
- 重要なレースならばSPD-SLが使用されるのが普通であり、わざわざSPDを使用する必然性はない(このため、上記の描写は二重の間違いをしていることになる)。
- 有酸素運動と無酸素運動の定義
- 「シッティングは呼吸をしながら行う有酸素運動、ダンシングは呼吸をしないで行う無酸素運動」というニュアンスの記述があるが、有酸素運動と無酸素運動の違いは体内でのエネルギー生産に酸素を用いるか否かである。
- そして、これを決めるのは体にかかる負荷の大きさであって、呼吸の有無は直接的には関係しない(わかりやすく言えば、息を止めてのんびり走っても無酸素運動にはならないということ)。
- そのため、シッティングでも無酸素運動になりえるし、逆もまた然りである。
- ダンシング解説の間違い
- 「ダンシングは大きな力を出すので乳酸がたまる」という記述の直後に「ダンシングは疲労物質の乳酸を除去できる」という正反対の記述がある。
- これは一見間違いのようだが、ダンシングは「全身の筋肉を利用して大きな力を出す」無酸素運動的な動作だけでなく、脚の筋肉を中心に使うシッティングに対して「より多くの筋肉や体重を使って、脚や心肺にかかる負担を一時的に減らす」有酸素的な動作にもなりうる(結果として脚の乳酸は除去される)。
- そのため、この記述はダンシングの役割説明としては正しい。
- だが上記のように、その前で「ダンシングは無酸素運動」と定義してしまっているため、結果として矛盾した記述になっている。
- 人物名の間違い
- 大和の父親は「パトリック・アンナ (Patrick Anna)」という名前のスペイン人だが、これはオランダ系やスウェーデン系の名前であり、スペイン人なら「パトリシオ・アナ (Patricio Ana)」と表記・発音されるのが正しい(ただし、彼が移民ないし移住者の可能性は低いながらもある)。また、パトリックもアンナも名前としての使用が一般的であり、かつアンナは女性名である(そのため、この名前を日本名にするならイメージ的には「花子大助」というのが近い)。
- また、龍雲飛の名前が、ロンとフェイは中国音でウンが日本語の音読みという、ありえない組み合わせになっている(中国音なら「ロン・ユンフェイ」が正しい発音になる)。
[編集] テレビアニメ
2007年4月3日火曜日から同年9月25日まで、テレビ東京系にて深夜放映されていた。
[編集] スタッフ
- 原作:安田剛士(講談社刊『週刊少年マガジン』連載)
- シリーズ構成:小出克彦
- キャラクターデザイン:岡勇一
- プロップデザイン:北田勝彦
- 美術監督:わたなべけいと
- 色彩設定:伴夏代
- 撮影監督:黒澤豊
- 音楽:大谷幸
- 音響監督:高寺たけし
- プロデューサー:高畑裕一郎、千野孝敏、西沢正智、熊谷拓登
- 監督:加戸誉夫
- アニメーション制作:XEBEC
- 製作:桜ヶ丘市民ロードレース実行委員会
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ「WINDER〜ボクハココニイル〜」
- 作詞・作曲:和教、歌:少年カミカゼ
- エンディングテーマ1「最果てのパレード」(#1-13)
- 作詞:ガラ、作曲:健一、歌:メリー
- エンディングテーマ2「恋涼み」(#14-)
- 作詞・作曲:井手コウジ、編曲:鎌田雅人、歌:DEL
[編集] 各話リスト
| 話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Boy meets bicycle. (Part.1) | 小出克彦 | つるやまおさむ | 筑紫大介 | 石川健朝 |
| 2 | Boy meets bicycle. (Part.2) | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 | |
| 3 | Cross the Rubicon. | 平尾みほ | 孫承希 | 竹谷今日子 高見明男 |
|
| 4 | Every dog can be a lion. | 福島一三 | 田中一 | 澤田謙治 | |
| 5 | Funky monkey baby. | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 | |
| 6 | Give the devil his due. | ながはまのりひこ | 渡辺るりこ | ||
| 7 | Hunger is the Best. | 西はじめ | 石川健朝 | 近岡直 | |
| 8 | Know your enemy as well as yourself. | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 | |
| 9 | Little wings fly high. | 根元歳三 | 安藤貴史 | 澤田謙治 | |
| 10 | Nobody knows. | 小出克彦 | 平尾みほ | 石川健朝 高見明男 |
|
| 11 | Once a chicken, always a chicken. | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 | |
| 12 | Rules are made to be broken. | 千葉克彦 | ながはまのりひこ | 渡辺るりこ | |
| 13 | Silent men are deep and dangerous. | 根元歳三 | 大庭秀明 | 加戸誉夫 | 近岡直 |
| 14 | The devil's children. | 小出克彦 | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 |
| 15 | All good things come to an end. | 福島一三 | 高橋秀弥 | 高見明男 | |
| 16 | We are going to climbing. | 千葉克彦 | つるやまおさむ | 石川健朝 | |
| 17 | Zeal is runaway horse. | 根元歳三 | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 |
| 18 | Deeds, not words. | 小出克彦 | 加戸誉夫 | 高橋秀弥 | 石川健朝 高見明男 |
| 19 | Men are blind in their own cause. | 根元歳三 | 平尾みほ | 岡勇一 北田勝彦 |
|
| 20 | Prosperity makes friends, adversity tries them. | 千葉克彦 | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 |
| 21 | Vision without action is a daydream. | 根元歳三 | 大庭秀明 | ながはまのりひこ | 渡辺るりこ |
| 22 | Uneasy lies the head that wears a crown. | 小出克彦 | つるやまおさむ | 安藤貴史 | 鳥宏明 川島勝 都竹隆治 |
| 23 | Quick resentments are often fatal. | 千葉克彦 | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 |
| 24 | It's dogged that does it. | 根元歳三 | 加戸誉夫 | 高橋秀弥 | 高見明男 |
| 25 | Joy and sorrow are next door neighbors. | 千葉克彦 | DOJAG-A-GEN | 黒田幸生 | 清水泰夫 |
| 26 | You never know what you can do till you try. | 小出克彦 | 大庭秀明 | 石川健朝 | |
※第3話のタイトルはTV放送時のものだが、TV東京のサイトでは「Boy Cross the Rubicon」となっている。
[編集] 書誌情報
- 安田剛士『OverDrive』講談社〈マガジンKC〉
- 泉優二・安田剛士『OverDrive : ツール・ド・フランスへの道』 ISBN 9784063733037(小説)
- 泉優二・安田剛士『OverDrive 2 : シャンゼリゼを!ツールを目指せ!!』ISBN 9784063733228(小説)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
| テレビ東京 火曜25:30枠 | ||
|---|---|---|
| 前番組 | 番組名 | 次番組 |
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Over Drive
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