INSEAD
INSEAD(インシアード、インシアッド、インシアド)は、フランスのフォンテンブローおよびシンガポールにキャンパスを持つ世界トップクラスのビジネススクール・大学院である。MBA、EMBA (Executive MBA)、Ph.D.のプログラムがある。両キャンパスを合わせ、2010年時点でMBAへ80か国余りから約900名、Ph.D.へ30余国から60名強の学生が在籍する[1]。
INSEADのビジネススクールとしての特色としては、1年制MBAプログラムであること、言語・国籍の多様性があること、キャンパスがヨーロッパ・アジアという二箇所に別れていること、などがあげられる。また、そのバリュー・ステートメントの中でも言及されているが[2]、政府・大学・企業から独立した機関であることも特徴である。
INSEADのMBAプログラムは、ビジネスウィーク および QS Global 200 Business Schools Reportによって、世界第1位にランクされている。また、フィナンシャル・タイムズは、INSEADを、スタンフォードと並び世界第4位にランクしている。
なお、INSEADは、企業求人データベースに関して、ハーバード、ケロッグ、スタンフォードと提携を結んでおり、これら4校の在学生・卒業生はお互いの求人データベースにアクセスができる。[3]
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[編集] 校名
INSEADとは、もともと「Institut Européen d'Administration des Affaires (European Institute of Business Administration)」、すなわち「欧州経営大学院」の意であった。しかしながら、アジアへの展開を始めとするグローバル化志向から、「欧州」という特定の地名を含んだ旧称は避けられるようになり、現在では「INSEAD」のみを正式名称として認めるに至っている[4]。
[編集] MBA
[編集] プログラム概要
各学期2ヶ月、5学期制の正味10ヶ月プログラムである。入学時期が1月と8月にあり、修了時期はそれぞれ12月と7月である。 INSEADのMBAプログラムでは、1、2、および3学期の一部で必修科目として、経営学の一般科目である会計学、金融・財務、経営戦略論、マーケティング論、統計学、経済学、オペレーション、組織論、IT、国際関係論の基礎科目が提供され、3、4、5学期に選択科目としてそれら各分野の発展・応用講座が開かれる。 また入学時において英語ともう1ヶ国語(英語以外の母語でも可)の二言語に精通していること、卒業時までにさらにもう1ヶ国語が基礎レベルに達することが要求される[5]。 授業は全て英語で行われる。
[編集] 入学者選考
INSEADの選考過程は厳しく、入学選考委員会が、出願者の過去の学業成績、言語・数学基礎能力(GMAT)、職務・職業履歴、国際経験、リーダーとしての素質等を考慮して出願者の合否を判断する。 出願者は、学士レベル以上の学歴が必要とされ、エッセイ、推薦状、GMAT得点、英語(TOEFL)ともう1ヶ国語の語学能力証明書、過去に在籍した大学・大学院の成績表をアプリケーションとして、入学選考委員会に提出する。2010年卒業予定の学生の平均GMAT得点は704点であった。[6]
入学選考委員会によるアプリケーションの一時審査を通過すると、世界中に散らばる卒業生による個人面接が2回行われ、その結果および一時審査の評価を総合し、委員会が合否を決定する。入学者選考の際にキャンパスを訪れる必要はない。
[編集] 国際性
INSEADの特色の1つがその国際性である。学校側が公式にも、「我々はフランスの学校でも、シンガポールの学校でもない。グローバル・スクールである」[7]と述べており、学生の出身国は70カ国以上におよぶ。ただし全学生が多言語話者であり多数が国境・文化を越えたバックグラウンドを持つため、単一出身国が定義しづらく、出身国の特定自体にあまり意味がない場合も多い。教授陣は30カ国あまりから140名強がフルタイムとして在籍している。また学校の特徴が現れている文化・現象であるが、学内においては、民族的なマジョリティ・マイノリティ、国内学生・留学生といった概念がない。全員がマイノリティおよび留学生であるともいえる。2007年卒業予定のMBAプログラム学生の第一言語は、英語17%、フランス語13%、ヒンディー語8%、スペイン語6%、中国語(普通話)5%、ポルトガル語5%、ドイツ語5%、その他41%である。[8]
[編集] キャンパス
INSEADのキャンパスはフランスのフォンテンブローおよびシンガポールにある。公式には、国名を避け「ヨーロッパ・キャンパス」、「アジア・キャンパス」と呼ばれる。本校・分校の区別はなく、両者がメインキャンパスである。またそれら2つ合わせて1つのスクールであり、入学審査もキャンパスとは無関係に行われるため、難易度は全く同じである。学生は、入学時に最初の2学期を過ごす校舎をどちらか希望選択し、3学期から5学期まではまたそれぞれ学期ごとに希望するキャンパスに移ることができる。2006年は7割以上の学生が1年の間に両キャンパスに在籍した[9]。また多くの教授陣も1年を通して両校舎を行き来する。キャンパス間で必修科目に差はないが、選択科目において多少の差があるため、学生は、授業・教授陣も考慮に入れて3-5学期の希望キャンパスを決める。 またペンシルベニア大学 ウォートン・スクールおよび、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院と提携しており、各校間での交換学生も在籍する[10]。学生によっては1年の間に3つのキャンパスを移動する者もいる。
[編集] 卒業後
2010年卒業生(885名)の主な進路は、マッキンゼー・アンド・カンパニー127名、ボストン・コンサルティング・グループ60名、ベイン・アンド・カンパニー48名、ブーズ・アレン・ハミルトン40名、ローランド・ベルガー15名、A.T. カーニー14名、グーグル13名、ジョンソン・エンド・ジョンソン10名、スタンダードチャータード銀行9名、アクセンチュア8名、LVMH8名、グルーポン8名、バークレイズ・グループ8名、イーライリリー7名、ロレアル7名、サムスン7名、ゴールドマンサックス6名、HSBC6名、UBS6名、モルガンスタンレー5名、クレディ・スイス5名であった。[11]
[編集] 主な日本人卒業生
- 明日香壽川 - 東北大学教授、経済学・環境科学者
- 櫻井本篤 在ニューヨーク総領事(大使)
- 河合美宏 保険監督者国際機構(IAIS)事務局長
- 上田良一 三菱商事株式会社常務執行役員米州統括(兼)北米CRO(兼)米国三菱商事会社社長
- 中山恒博 メリルリンチ日本証券株式会社代表取締役会長
- 三宅伊智朗 アリアンツ生命保険株式会社代表取締役社長
- 野宮博 株式会社RHJインターナショナル・ジャパン代表取締役
- 松田一敬 北海道ベンチャーキャピタル株式会社代表取締役社長
- 若林拓朗 先端科学技術エンタープライズ株式会社代表取締役
- 石川真一郎 株式会社ゴンゾ代表取締役副社長
- 吉田直樹 株式会社T・Zoneホールディングス代表取締役社長
- 浅井克仁 フットワークエクスプレス株式会社代表取締役社長
- 小山順子 ヴーヴ・クリコ ジャパン株式会社代表取締役社長
- 三谷宏治 元アクセンチュア株式会社 戦略グループ エグゼクティブ・パートナー,
現金沢工業大学大学院知的創造システム専攻ビジネスアーキテクチャーコース教授
- 荒木和夫 元アーンスト・アンド・ヤングドイツおよび日本 パートナー、名古屋経済大学大学院会計学研究科教授
- 鈴木一功 中央大学専門大学院国際会計研究科(アカウンティングスクール)教授
- 浅川和宏 慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
- 階戸照雄 日本大学大学院 総合社会情報研究科教授
- 宮崎久美子 東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授(技術経営専攻)
- 吉森賢 MBA1965、横浜国立大学名誉教授
- 河本尚之 SMBC日興証券代表取締役副社長
- 阿部直之 三菱東京UFJ投信代表取締役専務
- 安部義彦 株式会社価値革新機構代表取締役
[編集] 著名な教授
- W・チャン・キム、The Boston Consulting Group Bruce D. Henderson Chair Professor of Strategy and International Management、「ブルー・オーシャン戦略」著者
- レネ・モボルニュ、Distinguished Fellow and Affiliate Professor of Strategy and Management、「ブルー・オーシャン戦略」共著者
- マンフレッド・ケッツ ド・ブリース、Raoul de Vitry d'Avaucourt Professor in Human Resource Management、「会社の中の「困った人たち」―上司と部下の精神分析」著者
- Luk van Wassenhove, The Henry Ford Chaired Professor of Manufacturing, world expert in operations management
- ハーミニア・イバーラ, Chaired Professor of Organisational Behaviour, 「ハーバード流 キャリアチェンジ術」著者
- ジェームス・トゥボール, Emeritus Professor of Operations Management, 「サービス・ストラテジー」著者
- マウリツィオ・ゾロ, Shell Fellow in Business and the Environment, Associate Professor of Strategy, 「ポストM&A リーダーの役割」共著者
[編集] 略史
INSEADの歴史は"INSEAD: From Intuition to Institution" Jean-Louis Barsoux著に詳しい
- 1957年 - ローマ条約に基づき創設
- 1961年 - 校友組織が発足
- 1969年 - フォンテンブローキャンパスを開設
- 1974年 - アジア・ビジネス・プログラムを開始
- 1989年 - 博士課程を開設
- 2000年 - シンガポールでMBAプログラムを開設、26ヶ国から53人が入学
- 2001年 - ペンシルベニア大学ウォートン・スクールとの提携成立
- 2003年 - EMBAプログラムを開始
INSEADの歴代学長
- 1959年 - 1964年 オリヴィエ・ジスカール・デスタン (Director)
- 1964年 - 1971年 ロジェ・ゴディノ (Part time Dean of Faculty)
- 1971年 - 1976年 ディーン・ベリー
- 1976年 - 1979年 ウベ・キッツィンゲン
- 1979年 - 1980年 クロード・ラモー (Dy Director General)
- 1980年 - 1982年 ハインツ・ザンヘザー
- 1982年 - 1986年 クロード・ラモーとハインツ・ザンヘザー
- 1986年 - 1990年 フィリップ・ナエールとクロード・ラモー
- 1990年 - 1993年 クロード・ラモーとルド・ヴァン・デル・ハイデン
- 1993年 - 1995年 アントニオ・ボルゲスとルド・ヴァン・デル・ハイデン
- 1995年 - 2000年 アントニオ・ボルゲス
- 2000年 - 2006年 ガブリエル・ハワウィニ
- 2006年 - 2011年 フランク・ブラウン
- 2011年 - 現職 ディパック C. ジェイン
(出展: INSEAD From Intuition to Institution JL Barsoux 2000)
[編集] 関係者
- 横山禎徳 - INSEADナショナル・カウンシル・メンバー、言論NPO理事、元マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィス代表
- 野田智義 - インスティテュート・オブ・ストラテジック・リーダーシップ(ISL)代表理事、元INSEAD助教授
- 伊丹敬之 - 一橋大学COEプログラム・日本企業研究センター長、元INSEAD客員教授(1996年)
- 藤本隆宏 - 東京大学経済学研究科ものづくり経営研究センター センター長、元INSEAD客員研究員(1996年)
- 原田勉 - 神戸大学大学院経営学研究科教授、元INSEAD客員研究員(2003-2004年)
- 吉森賢 横浜国立大学名誉教授、元INSEAD准教授(Associate Professor,1995-1998)、元国際大学教授、元放送大学教授、医療科学研究所理事
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ INSEAD公式ウェブサイト QuickFactsページ
- ^ INSEAD公式ウェブサイト 我々のミッションと価値
- ^ INSEAD公式ウェブサイト 卒業生向けのキャリア・サービスについて
- ^ "...over the years, the school has extended its European roots to Asia, and has become increasing[ly] known as INSEAD (pronounced IN-SEE-ADD). It is no longer known as, nor is the name European Institute for Business Administration, used. Like Harvard is Harvard and Wharton is Wharton, INSEAD is INSEAD" "Is INSEAD an acronym? What does it mean?"への回答。INSEAD公式FAQページ
- ^ INSEAD公式ウェブサイト 必修言語について
- ^ INSEAD公式ウェブサイト 学生プロファイルページ
- ^ "Why aren't you considered to be a French or Singaporean business school?" INSEAD 公式FAQページ
- ^ INSEAD公式ウェブサイト 学生プロファイルページ
- ^ INSEAD公式ウェブサイト MBA 2007 Brochure
- ^ INSEAD公式ウェブサイト ウォートン・スクールとの提携について
- ^ INSEAD公式ウェブサイト 進路についての統計