阪急9300系電車

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阪急9300系電車
阪急9300系9304F下り梅田行き特急(2013年7月30日 京都本線南茨木駅付近)
阪急9300系9304F下り梅田行き特急
(2013年7月30日 京都本線南茨木駅付近)
編成 8両(3M5T)
営業最高速度 115 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.6 (地上・70km/hまで)km/h/s
2.8 (地下) km/h/s
減速度 3.7 km/h/s(常用最大)
4.2 km/h/s(非常)
編成定員 657(立席)+368(座席)=1,020人
全長 18,900 mm
全幅 2,800 mm
全高 4,095 mm
車体材質 アルミニウム合金
編成質量 233.8t(9300F)
239.2t(9301F、9302F)
約250~252t(9303F~9310F)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式
編成出力 200kW×12=2,400kW
主電動機 三相交流かご式誘導電動機
形式:TDK6126-A
主電動機出力 200kW
駆動装置 TD平行カルダン駆動方式
制御装置 IGBT素子VVVFインバータ制御
形式:RG684-A-M
(1C2M、ベクトル制御)
台車 モノリンク式ダイレクトマウント空気ばね台車
M車:FS-565・T車:FS-065
制動方式 全電気指令式電磁直通空気ブレーキ
電力回生優先ブレーキ付き)
保安装置 AF軌道回路方式ATS(パターン式)
WS-ATC
デッドマン装置
製造メーカー 日立製作所
アルナ車両(9308F・艤装のみ)
9300系1次車(9300F)
9300系1次車(9300F)

阪急9300系電車(はんきゅう9300けいでんしゃ)は、阪急電鉄電車(用途については後述)。

2003年平成15年)10月14日鉄道の日)、梅田河原町行きの快速特急にて営業運転を開始。阪急京都線特急の主力となっている。

概要[編集]

2001年(平成13年)3月のダイヤ改正にて阪急京都線の特急の本数増加(従来の15 - 20分間隔から10分間隔へ)や停車駅の増加に伴い、一部の特急に8300系などのロングシート車運用が増えた事に対するクロスシート車比率の向上や、老朽化が進む2300系6300系の淘汰を兼ねて投入された。

1947年(昭和22年)の設立以来、京阪神急行電鉄→阪急電鉄のすべての車両建造を引き受けてきた子会社のアルナ工機が鉄道車両の建造から撤退し会社を解散したため、本系列は日立製作所で建造され、A-trainをベースとした車体構造となっている。ただし、第9編成(9308F)は構体のみ日立で製造し、アルナ車両で艤装を行っている[1]。また、3300系から6300系までの各系列や8300系といった従来の京都線仕様の車両よりも車体幅が狭く、現在の神宝線仕様よりは車体幅が若干大きいサイズで設計された。これは、大阪市交通局大阪市営地下鉄堺筋線神戸高速鉄道山陽電気鉄道の車両限界を考慮した設計で、将来神宝線の車両限界の拡幅が完了すれば転用も可能となるように考慮されたものである。7300系もこの規格で製造されたが、8300系は車体幅のみ従来の京都線仕様と同じ寸法に広げていた。 主電動機の出力増強に伴い本形式では3M5Tとした。編成両端に電動車を配し編成中間にはT車が5両連続する。

8200系の車体側面に採用されたLED式の行先表示器は本系列では第3編成(9302F)までは採用されず、幕式を使用している。さらに、第2編成(9301F)と第3編成では、前照灯のデザインや自動貫通路扉の連動化など、内外装が第1編成(9300F)と若干異なる。 なお 現在自動貫通扉については検査入場の際9301F以降と同様に連動化改造されている。 第4編成(9303F)以降は前面と側面の種別・行先表示装置に9000系と同じフルカラーLED表示機を搭載している。

足回り[編集]

台車:住友金属工業製で電動台車にはFS565,付随台車にはFS065を履く。 8000系、8300系では一部でボルスタレスが採用されたが、本系列では再びボルスタ付きの台車となった。基礎ブレーキ装置はユニットブレーキによる踏面片押し。神宝線用として2006年に登場した9000系も本形式。

制御装置:阪急京都線の慣例により東洋電機製造製のIGBT素子によるVVVFインバータを搭載する。IGBT素子やセンサレス制御は阪急では初採用である。また2005年(平成17年)に増備された9301Fからは、理論上0.3km/hまで回生ブレーキを使用することが可能な純電気ブレーキ(電気停止ブレーキ)が採用されている。第1編成の9300Fは従来、回生ブレーキが5km/hで失効する仕様となっていたが、2005年5月に増備車に合わせて純電気ブレーキ化改造が行われている。主電動機も東洋電機製造製で、このメーカー標準のサイクロン式集塵装置付で絶縁ベアリングも使用している。電動機定格出力は200kWである。また惰行制御も装備している。

ブレーキ装置はナブコ製のMTユニット制御・滑走防止装置内蔵のコントロールユニット(BCU)とEPR2電空変換中継弁の組み合わせによる京王9000系電車や、東急新5000系電車と同シリーズのもので、電動空気圧縮機もナブコ製で、東急新5000系のものをSIMモーターに変更したスクリュー式である。

補助電源装置の静止形インバータはIGBT素子の出力150kVAのものであるが、2バンクを並列に同期させながら運転しており故障時に対応できるようにしている。

内装[編集]

京都線の特急用車両は片側2扉、転換クロスシート装備が2800系からの伝統だったが、本系列は特急の停車駅増加に伴う乗降の増加に対応して片側3扉構造とされた。またクロスシート幅を900mmに、前後間隔を950mmに拡大し、ロングシートの一人あたりの幅も480mmに拡大するなど居住性の向上にも配慮している。転換クロスシートは6300系同様、終点での折返しの際に運転室のスイッチ操作による一斉転換が可能である。車端側のクロスシートの背面には補助席が組み込まれている。

また、車内案内表示装置に関しては第3編成まではLED式車内案内表示装置を、千鳥配置で設置。第4編成以降は、9000系と同じLCD表示装置を千鳥配置で設置している。

従来の阪急車両は内装パネルを小ブロックに分割しアルミジョイントを被せる工法であったが9300系では大型内装パネルを用いて各部品下側へ入れ込む工法でアルミジョイント部材を省略し省施工、イメージの一新を図っている。

運転台の機器配列の変更と新たに運転状態表示・各種設定用タッチパネル液晶モニタが加わっているが各種構成部品は新規開発品ではなく従来の8300系などと同様の物が引き続き採用されている。また運転室の艤装は従来の車両と同様の工法で行われているため運転台デスクと前面ガラスの角度を除くと他の系列とほぼ同じである。

間接照明

製造コストを下げるために座席の造りが簡略化されているほか、ドア脇の掴み棒の代わりに東武50000系電車などと同様のドア枠自体を掴める構造を採用、更に難燃性基準の改正により樹脂製の蛍光灯カバーが使えなくなった代わりに半間接照明を採用している。これは車内の上部側板と一体化する形で、蛍光灯下部は半透明の難燃性の樹脂による照明となっている。カバーを外さずに蛍光灯の交換ができるようになり保守性も向上している。また、室内高さを拡大しており、2,315mmとしている。近年の車両で高いものの例として、東京メトロ10000系電車は2,415mm、名鉄2200系電車の一般車が2,305mm、東急新5000系電車が2,290mm、阪神9000系電車が2,285mm、京王9000系電車JR東日本E231系電車は2,270mmである。

主な特徴[編集]

  • コンセプトは「すべてのお客様に快適な移動空間」。
  • 3扉車、扉間の座席は転換クロスシートで、扉横部分は転換式と同じ形状の座席を扉側から見て内側に固定して据え付けている。車端部は車椅子スペースのある側はロングシート、もう一方には転換クロスシート部分と同様の座席がボックス形に固定して設置され、扉側には補助椅子が設置されている。
  • 側窓の連続大型化や座席幅の拡大、半間接照明の採用などの居住性向上。
  • 座席の素材をリサイクル可能な素材に変更。
  • 貫通扉の自動化、ドアチャイム、車内案内表示器、ドアの開閉予告灯などバリアフリー設備を設置。
  • 車椅子スペースに折りたたみ式の座席を設置。
  • ロングシートの側部に仕切りを設置(第1編成を除く)、中間仕切を1カ所設置。

形式[編集]

  • 9300形Mc1・9300~9310、11両)
梅田方の先頭に連結される制御電動車(1号車)。シングルアーム形パンタグラフ二基とVVVF制御器二組、蓄電池を搭載。先頭部の連結器は密着連結器と電気連結器。
  • 9400形Mc2・9400~9410、11両)
河原町方の先頭に連結される制御電動車(8号車)。VVVF制御器二組、蓄電池を搭載。先頭部の連結器は密着連結器のみ。
  • 9800形M1・9800~9810、11両)
9400形の次位に連結される中間電動車(7号車)。シングルアーム形パンタグラフ二基とVVVF制御器二組、蓄電池を搭載。
  • 9850形T1・9850~9859・9950・9860~9869・9960、22両)
電動車の次位に連結される補機類を搭載した付随車。圧縮機静止型インバータ (SIV)二基 を搭載する。9850形が9300形の次位(2号車)に、9860形が9800形の次位(6号車)に連結される。
  • 9870形T2・9870~9879・9970・9880~9889・9980・9890~9899・9990、33両)
特別な機器は搭載しない付随車。9870形が3号車、9880形が4号車、9890形が5号車となる。9880形の床下には非常用はしごが搭載されている。

製造時期による違い[編集]

製造区分 製造年 ヘッドライト
ケースの形状
行先・種別表示装置 車内案内表示装置 側窓高さ ロングシート部の
背もたれ
ロングシート
側部仕切り
吊り広告の数
一次車
(9300F)
2003年 分割 方向幕 LED式(一行)
千鳥配置
高い 低い なし 4列
二次車
(9301F・9302F)
2005年 一体 あり
三次車以降
(9303F~)
2008年~2010年 フルカラーLED LCD(二面)
千鳥配置
やや低い
取り付け方式も変更
高い 6列

二次車までと三次車以降では表示装置の違いと側窓の大きさの違いから外観の印象がかなり異なる。この他荷棚の形状も一次車・二次車・三次車以降でそれぞれ異なっている。

用途について[編集]

本形式は3ドアセミクロスシートという点であれば近郊形、また6300系の後継車という観点から見れば特急形と見ることもできるが、前者については女性専用車両があること、後者については特急運用中心ではあるが必ずしも特急運用に限定されていないことから通勤形とすることもある。私鉄の車両は鉄道ファンの独断で接客設備や列車種別によって分類することがあるものの、本形式は日本国有鉄道JRの車両区分を明確に当てはめることは難しいが、製造元の日立グループのホームページには「特急車両」との記述がある[2]

運用[編集]

京都本線のみで運用され、昼間時は特急で、朝・夕ラッシュ時通勤特急快速急行快速(梅田行きのみ)や準急として運用されている。2008年7月6日までは特急より上位の種別(2007年現行ダイヤでは通勤特急)ではダイヤが乱れた場合などを除いて運用はなかったが、2008年7月7日以降は通勤特急にも運用されるようになり、6300系による運用を置き換えた。またラッシュ時間帯の前後には、一部普通(各駅停車)として運用されている。また、7300系・8300系との併結も可能であり、平日朝ラッシュにおける快速急行で7300系の増結編成を連結して10両編成で運転されたこともあった(現在は10両編成での快速急行の運用には充当されていない)。

在籍数[編集]

2010年(平成22年)2月現在、8両編成11本(88両)が在籍する[3]。特に2009年度には、安全報告書において40両を増備し、京都本線で運用されている6300系を全て置き換える計画が示され[4][5]、この計画通り全編成が9300系に置き換えられた。

編成[編集]

2010年(平成22年)2月現在。5号車(梅田方先頭から5両目)は女性専用車両(平日の通勤特急・特急運用時のみ)。

梅田
備考
9300
(Mc1)
9850
(T1)
9870
(T2)
9870
(T2)
9870
(T2)
9850
(T1)
9800
(M1)
9400
(Mc2)
 
9300 9850 9870 9880 9890 9860 9800 9400 方向幕装備 ヘッドライトケースは分割式
9301 9851 9871 9881 9891 9861 9801 9401 方向幕装備 本編成以降ヘッドライトケースは一体型
9302 9852 9872 9882 9892 9862 9802 9402 9301Fと同仕様
9303 9853 9873 9883 9893 9863 9803 9403 本編成以降フルカラーLED行先表示器・車内案内LCD装備、側窓縮小
元「カーボンニュートラルトレイン摂津市号」その他を参照
9304 9854 9874 9884 9894 9864 9804 9404  
9305 9855 9875 9885 9895 9865 9805 9405  
9306 9856 9876 9886 9896 9866 9806 9406  
9307 9857 9877 9887 9897 9867 9807 9407 前照灯改造車 「西山天王山駅開業記念号」ラッピング車
9308 9858 9878 9888 9898 9868 9808 9408 前照灯改造車
本編成のみアルナ車両で艤装
9309 9859 9879 9889 9899 9869 9809 9409  
9310 9950 9970 9980 9990 9960 9810 9410  

その他[編集]

カーボン・ニュートラル・トレイン摂津市駅号
(2010年5月30日 京都本線上新庄駅)

6300系で設定されている女性専用車両は、登場当初は設定されていなかったが、第4編成が営業開始[6]した2008年7月7日以降は平日ダイヤ運転日の特急・通勤特急で設定されるようになった。

同時に各案内では従来の2ドア車という表記から9300系を含めるようにするため「2人掛け座席のある車両の5号車」という表記に改められた。

また平日の場合、駅の列車到着案内などでは5号車は女性専用車両と詳細に案内されるため9300系であることが判別可能である(何も案内が無ければ7300系や8300系となる)

また9303Fは摂津市駅の開業を記念し、「カーボン・ニュートラル・トレイン摂津市駅号」としたラッピングで運用されていた[7]

9308Fは2013年10月に前照灯が白色LEDに変更されている[8]

2013年12月21日に西山天王山駅が開業したのに伴い、9307Fが「西山天王山駅開業記念号」としてラッピングされ営業運転されている。2014年5月末までの予定。[9]

脚注[編集]

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関連項目[編集]