阪急1000系電車 (2代)

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阪急1000系電車 (2代)
導入記念ヘッドマークを付けた1000F(十三駅)。
導入記念ヘッドマークを付けた1000F(十三駅)。
編成 8両
営業最高速度 宝塚線:100km/h
神戸線:115 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.6 km/h/s
減速度 3.7 km/h/s(常用最大)
4.2 km/h/s(非常)
編成定員 1022
車両定員 121(先頭車)
130(中間車)
全長 19,000 mm
全幅 2,770 mm
全高 4,095 mm
車体材質 アルミニウム合金
車両質量 Tc車:29.8t
M車:36.7t
M'車:33.3t
T車:25.9t
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
編成出力 190kW×16=3,040kW
主電動機 全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)
主電動機出力 190kW
駆動装置 WNドライブ
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御
台車 ボルスタ付モノリンク式ダイレクトマウント空気ばね台車
M車:FS-579M・T車:FS-579T
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
直通予備空気ブレーキ
保安装置 AF軌道回路方式ATS
パターン式ATS
デッドマン装置
製造メーカー 日立製作所
阪急1300系電車 (2代)
準急運用につく1300系(南茨木駅)
準急運用につく1300系(南茨木駅
編成 8両
営業最高速度 115 km/h
編成定員 1044
車両定員 123(先頭車)
133(中間車)
全長 18,900 mm
全幅 2,825 mm
全高 4,095 mm
主電動機 全閉内扇式かご形三相誘導電動機
以下1000系と共通

阪急1000系電車(はんきゅう1000けいでんしゃ)は、阪急電鉄2013年平成25年)より製造を開始した、神戸線宝塚線(総称神宝線)向けの通勤形電車である。本項目では、1000系と共通の設計思想を持ち、京都線に導入された阪急1300系電車(はんきゅう1300けいでんしゃ)についても扱う。

2013年11月28日に神戸線で、翌月25日に宝塚線で営業運転を開始した[1]。1300系は2014年3月30日に京都線で営業運転を開始した[1]

概要[編集]

開発コンセプトとして、9000系9300系の開発コンセプトである「すべてのお客様に快適な移動空間」を継承しながらも、「さらなる環境性能の向上」を新たなコンセプトとした。

デザインは、マルーンとアイボリーを組み合わせた車体色、木目調の化粧板、ゴールデンオリーブ色の座席など伝統的な「阪急車両」の特徴を踏襲しながらも、前照灯を一体的に見せ、標識灯下部を前面ガラス上部のカーブの曲率と同率とすることで、スマートで新しさを感じるデザインとしている。また2000系以来、正面貫通扉を囲っていた銀色の幌枠が廃された。

9000系で採用されていた屋上機器カバーや2連窓を廃したことで、外観はより従来の車両に近似したものとなっている。しかしながら、機器類には最新技術を積極的に導入し、さらなる省エネと走行時の騒音の低減を実現している。消費エネルギーは既存の抵抗制御車と比較して約50%削減、騒音は9000系と比較して約4dB低減している[1]

客室照明や前照灯、標識灯などすべての照明装置にLEDが採用された。視認性向上のために、行先案内表示器は9000系と異なり、行先・種別を一体表示するものとなった。

1300系は、外観・内装を1000系と共通のものとするが、他の京都線車両と同様に車体寸法や主電動機が異なる。また、神宝線の建築限界の拡張が再び見送られたためか、8300系と同様、車体幅が再び大きくなっている。

1000系は能勢電鉄線へ、1300系は大阪市営地下鉄堺筋線への乗り入れに対応している。

車体[編集]

軽量かつリサイクルのしやすいアルミダブルスキン構造を採用し、振動の抑制と遮音性の向上を図っている。また、ホームとの段差を縮小するため低床台車を採用し、客室床面高さを1,150mmに抑えている。

内装[編集]

阪急電車の伝統を踏襲し、マホガニー木目の化粧板とゴールデンオリーブ色のアンゴラヤギの毛織物の座席表地を採用している。天井部は淡いベージュ系の化粧板とし、照明はLEDの直接照明を採用している。このLED照明は、停電時などの非常時には全体数の25%が点灯するよう制御される。また、万一の急ブレーキ時に乗客と車内設備または乗客同士の二次的衝突を防止するため、阪急電鉄の車両で初めて座席端部に大型の袖仕切りと縦方向の手すりが設置されている。側窓は3連窓および2連窓となり、いずれも側扉寄りの窓が開閉可能である。8000系から継続して採用されてきた空気式のパワーウインドーの設置は見送られた。側窓にはUVカット複層ガラスが、前面窓にはIRカットガラスが採用されている。

座席は、ロングシート配置で座席1人あたりの幅を約480mmとし、中間仕切りを設けることで座席定員を明確にしている。日よけは9000系で採用された引き下げ式のフリーストップカーテンを基本に、カーテン上部には外部が透視できる生地が採用されているほか、床には全面に滑り止めのエンボス加工が施されている。また、阪急電車は伝統的に車内にスタンションポールを設けていなかったが、本形式からは各シート端にスタンションポールが設置されているため、車内の印象に変化が見られる。

車内案内表示器は、東芝製の32インチハーフサイズのフルハイビジョン対応の大型液晶ディスプレイを採用し、1両に3か所側扉上に千鳥配置で設置している。行先、種別、停車駅案内のほか、画面を2分割しニュースや天気予報、広告の動画も表示することができる。旅客案内はインバウンド対応として4か国語で表示し、日本語(漢字・ひらがな)、英語、中国語、韓国語での表示を行う。フォントにはユニバーサルデザイン対応フォントが採用されている。

なお、9000系で採用された車内貫通自動扉は、この形式では採用されず手動扉に戻っている。

運転台[編集]

運転台は9000系とは形状が異なり、8000系、7000系の運転台の形状に近い。速度計は9000系以前と同様でデジタル式となっている。

阪急1000系運転台

中央に速度計・圧力計があり、左側にはモニターがある。右側にはATS表示器があり、右にはスタフを置くスペースがある。モニターでは、車両情報や故障情報、駅間消費電力の表示、種別・行先表示装置や車内案内情報装置、空調の設定が行える。

ハンドルはワンハンドルで力行5段、ブレーキ6段、非常ブレーキとなっている。ハンドルには在来のワンハンドル車同様、デッドマン装置が装備され、運転士が急病などの際に握れなくなった場合に非常ブレーキが作動する。

主要機器[編集]

主電動機は、1000系が定格出力190kWの全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)を採用した。高効率化により全閉自冷構造となり、消費電力量と騒音の低減を実現した。また、回転子と固定子を分解することなく軸受及びグリース交換が可能な構造とし保守性が向上した。1300系は定格出力190kWの全閉内扇式かご形誘導電動機を、量産車として全国で初めて採用した。高効率化および油潤滑方式により冷却方式を全閉内扇式とすることで消費電力量と騒音の低減を実現した。また、潤滑油の交換のみを行うことで分解整備を不要とし、保守性が向上した。

1000系に採用された、回転子に永久磁石を使うPMSM方式主電動機では回転中は常に誘起電圧が発生するので、通常の惰行時は電動機の回転力がゼロとなるようにVVVFインバーターが制御を続けており、これを惰行制御と呼んでいる。また、高速走行時は主電動機の誘起電圧が供給電圧を上回り、それ以上は加速できなくなるので回転子の磁束を打ち消すため弱め磁束制御を行う。これは直流電動機の弱め界磁と同様の考え方である。また、1000系のPMSM方式は高効率で発熱も少ないので1300系に採用された誘導電動機と異なり、冷却フィンが設けられていない。双方とも密閉型で出力は同一だが外見が異なり、1300系の主電動機のフレームには多数の冷却フィンが設けられている。

制御装置は、1000系・1300系ともに主回路素子にIGBTを用いたスナバレス2レベル方式のベクトル制御VVVFインバータ制御装置を採用した。1000系はPMSMの採用に伴い各主電動機の個別制御となったが、4in1(1群4個モータ駆動)×2群制御インバータ駆動とすることで2群8個モータ制御ながら装置を小型軽量化している。1300系はパワーユニットを1C4M×2群とし、2群8個モータ制御ながら装置を小型化している。

台車は、乗り心地の良さとメンテナンス性にすぐれたボルスタ付きモノリンク式空気ばね台車を採用している。基礎ブレーキは効率と応答性に優れ、部品点数が少なく保守の効率化が図れるユニットブレーキ装置を採用、駆動装置は小型歯車継手を使用し、歯車装置の歯面形状を最適化した低騒音駆動装置を採用している。

ブレーキ装置は、回生優先ブレーキ併用全電気指令式電磁直通ブレーキを採用し、「非常ブレーキ」「常用ブレーキ」「保安ブレーキ」「ATSブレーキ」の4機能を有したブレーキ制御装置を各台車に設けている。ブレーキ力演算は台車単位で行い、よりきめ細やかなブレーキ制御が可能になるとともに、ブレーキ保安度が向上している。

空調装置は、1両当たり40,000kcal/h(46.51kW)の除湿・急速暖房機能付き空調装置を搭載している。季節による着衣量、温度、湿度、乗車率、扉の開閉などの様々な条件を考慮するPMV(熱的快適性評価指数)演算により、最適な目標温度を設定し、空調装置を制御する。

1000系の補助電源装置は容量150kVA、出力AC440V、主回路構成がIGBT素子による2レベルインバータ制御のものを採用している。一方、1300系の補助電源装置は、容量160kVA、出力AC440V、主回路構成がIGBT素子による3レベルインバータ制御のものを採用している。

1000系・1300系では新たに車両情報システムを採用し、従来別々に構成していたモニタリングシステムと車内案内情報システムが統合された。これにより装置・伝送路を共通化し、搭載機器・艤装配線を削減している。先頭車に設置されたモニタ中央装置と中間車に設置されたモニタ端末装置はそれぞれ100Mbpsイーサネット伝送路で接続されている。

形式[編集]

  • 1000形 (Tc)
  • 1100形 (Tc)
  • 1500形・1550形 (M)
    • VVVFインバータ2組、蓄電池とシングルアーム式パンタグラフを搭載する中間電動車。1500形は梅田駅寄りから2両目、1550形は新開地駅・宝塚駅寄りから3両目に連結される。
  • 1600形 (M')
  • 1650形 (M')
    • 1550形とユニットを組む中間電動車。補助電源装置として静止形インバータを搭載。
  • 1050形・1150形 (T)
    • 特別な機器は搭載しない中間付随車。1050形は梅田方から4両目、1150形は梅田方から5両目に連結。


編成[編集]

1000系[編集]

梅田
所属 備考
1000
(Tc)
1500
(M)
1600
(M')
1050
(T)
1150
(T)
1550
(M)
1650
(M')
1100
(Tc)
 
1000 1500 1600 1050 1150 1550 1650 1100 神戸線
1001 1501 1601 1051 1151 1551 1651 1101 宝塚線
1002 1502 1602 1052 1152 1552 1652 1102 神戸線 [1]

1300系[編集]

梅田
所属 備考
1300
(Tc)
1800
(M)
1900
(M')
1350
(T)
1450
(T)
1850
(M)
1950
(M')
1400
(Tc)
 
1300 1800 1900 1350 1450 1850 1950 1400 京都線 [2]
1301 1801 1901 1351 1451 1851 1951 1401 京都線 [3]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 阪急電鉄1000系スペシャルサイト”. 阪急電鉄. 2013年11月30日閲覧。

参考文献[編集]

  • 「新車ガイド 阪急電鉄1000・1300系」・「鉄道ファン乗車インプレッション 阪急1000系試乗記」、『鉄道ファン』2014年2月号、交友社、69 - 77p。
  • 「阪急電鉄新型通勤車両1000系・1300系」、『鉄道ジャーナル』2014年2月号、鉄道ジャーナル社、82 - 87p。
  • 「永久磁石同期電動機PMSMとは」・『鉄道ジャーナル』2014年3月号、鉄道ジャーナル社、64-65p。
  • 『阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報第68号』、1-9p。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]