レッキングクルー'98

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レッキングクルー'98
ジャンル アクションパズル
対応機種 スーパーファミコン (SFC)
開発元 パックスソフトニカ
発売元 任天堂
プロデューサー 菱田達也
ディレクター 高橋英子
デザイナー 高橋英子
えのきのりゆき
渡辺直樹
こやまたかし
かじがやれいこ
プログラマー なかしまなるみ
荒木泰介
かとうひろたか
音楽 田中宏和
人数 1 - 2人
メディア SFC(ニンテンドウパワー書き換え)
SFメモリカセット Fブロック4 + Bブロック4
SFC(ロムカセット)
バッテリーバックアップ機能付きロムカセット
発売日 SFCニンテンドウパワー書き換え
日本の旗 1998年1月1日
SFC(ロムカセット)
日本の旗 1998年5月23日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
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レッキングクルー'98』(WRECKING CREW'98)は、任天堂より発売されたアクションパズルゲーム。開発元はパックスソフトニカ。1980年代のゲーム『レッキングクルー』の内容を1998年バージョンとして大幅にリニューアルしたもので、原作とは大きく異なり対戦型パズルゲームに近い内容となっている。

ローソンにて1997年より開始されたゲーム書き換えサービスニンテンドウパワーで、過去に発売された名作ゲームをアレンジし新作として投入する一環として1998年1月1日、スーパーファミコン向けに発売された。1998年5月23日には同内容のロムカセット版も発売[1]。日本国内のみで発売され、日本国外未発売[2]

ファミリーコンピュータ版に準拠した内容の移植版も同時収録されている[3]

概要[編集]

キャラクターを操り、配置されている「パネル」を崩したり移動させたりしながら同じ色のパネルを3個以上揃えて消していく対戦型落ち物パズル。3個消しても何も起こらないが、4個以上つなげて消すと相手への攻撃になる。パネルが消え、その上にあったパネルが落ちた先で再び3個以上そろうと「連鎖」となり、攻撃の効果が上がるうえ、連鎖中は3個消しでも攻撃になる。また、一定時間ごとに画面上からブロックが降ってくるが、これを1回削るとパネルになる。また、パネルは追加することもでき、Xボタンを1回押すごとに1列ずつ、何度でも追加可能。色はランダム。

フィールドの画面最上段の線より上までパネルが積み上げられた状態になり、それから3秒以内にその線より下にパネルを収められなければゲームオーバーとなる[3]

モード[編集]

タイトル画面で「レッキングクルー'98」と「レッキングクルー(ファミコン版の移植)」の2つから選択する[4]

レッキングクルー'98
ストーリーモード・対戦モード・トーナメントモード3つのゲームが楽しめる。いずれも他のプレイヤーもしくはコンピュータとの対戦という形式を取る。得点の概念は無く、1人のみで高得点を目指すようなゲームモードは存在しない。
レッキングクルー
一人用アクションパズル。ファミコン版の移植で、ディスクシステム版と同様にデザインモードで作成した面のセーブが可能である。グラフィックはファミコン版を再現しているが、音楽は少しアレンジされたものに変わっている。

ストーリーモードではヘルメットハンマーを再び身に着けたマリオを操り、島のどこかにあるというアジトを探してクッパを倒すのが目的[3]。『スーパーマリオブラザーズ3』以降のスーパーマリオシリーズのようにマップ画面が用意され、一度クリアした面は何度もプレイ可。対戦相手にはナスビ仮面・スパナゴン・ブラッキーなどの旧作のキャラクターのほか、新キャラクターとしてオニギリ・オンナノコ・オヤジ・ドグウが登場する。新キャラは初めから対戦できる相手を一定時間内に倒すと登場する。マリオ作品には珍しく、エンディングにノーマル(バッド)エンドとトゥルー(グッド)エンドの2種類がある。

さらに好みのキャラクターを使用して他のプレイヤーやコンピュータと試合ができる対戦モード、最大8人までの参加者間で優勝を競うトーナメントモードではストーリーモードに登場するキャラクターの他、エンディング後はルイージピーチ姫などのキャラクターも使用できる[3]

パネル[編集]

攻撃パネルは以下の4色あり、色ごとに攻撃の役割がある[4]

赤パネル
4個以上消すと相手へ「モンスター」を送り込むことができる。モンスターは画面上部にある土管から登場する。パネルをたくさん消すほどモンスターが大きくなり、動きも遅くなる。さらにパネルを奇数個消したときに送れるモンスターはまれに一時停止をし、8個消したときのモンスターは弾を撃って攻撃してくることもある。送れるモンスター数は連鎖数と同じであり、相手フィールドに4匹いる状態で5匹目を送ろうとするとその5匹目が通常と違う隠しモンスターになる。モンスターは上からなら踏めるが、当たるとしばらく操作不能になる。なお、通常のモンスターはフォークリフトブルドーザーなど工事現場でよく見かけられる車両が、隠しモンスターは車両ではなく誘導棒、ポールなど工事現場で見かけられる器具がモチーフとなっている。
青パネル
4個以上消すと相手にパネルを送ることができ、パネルが下からせり上がるようなっている。せり上がる位置は画面中央の境界を対称軸としたときに自分がパネルを消した場所と対称の位置にある相手側の列であり、せり上がる数は「その列で消したパネル数×(連鎖数+1)」となっている。つまり、1P側(左)が左から2番目の列で縦に青パネルを4つ消すと、2P側(右)の右から2番目の列に8個せり上がり、1P側が左から1 - 4列目で横に青パネルを消すと2P側の右から1 - 4番目の列に2個ずつせり上がる。なお、せり上がってくる残りのパネル数はその列の一番下に表示されるが、10以上の数は表示されず、10個以上せり上がる場合は表示が絵文字や記号に変わる。残りパネル数が10個を切ると通常の数字表示に戻る。
緑パネル
4個以上消すと自分がそのパネルを消した段と同じ段の相手側のパネルをすべてブロックに戻し、各パネルの中身もランダムに変えられる。消される段数は「(消したパネル数-2)×連鎖数」となる。フィールドには8段しかないので、9段分以上の効果がある場合、全段をブロックにされた後に残りの効果が出るが、残りの効果が出るのは全段が消された直後なので9段以上の効果は実質8段分と同じになる。
黄パネル
4個以上消すと相手に鉄板(後述)を送ることができる。

また、以下の特殊なパネルもある。

鉄板
黄パネルにより相手に送られる黒いパネル。他のパネルのように壊すことはできず、緑パネルでブロックに戻されることもない。爆弾パネル(後述)によってしか壊せない。なお、対戦モードでハンデを設定した際にも、初期に配置されているパネルの一部が鉄板になっている。
爆弾パネル
爆弾のマークが描かれたパネル。Xボタンによるパネル追加で、2回につき1個登場する。このパネルを壊すと、その位置の縦・横方向に隣接するパネルが2個先まで巻き込まれて壊される(ブロックの場合はパネルになる)。鉄板と違い、緑パネルでブロックに戻される。また、爆弾パネルの爆発は1連鎖目とみなされ、パネルが壊されたことによって新たに3個以上の同色パネルが並ぶと2連鎖目になる。

また、どの色のパネルであっても9個以上消すと相手フィールドにクッパが描かれた巨大看板が落下し、相手は強制的に負けになってゲームが終了する。なお、フィールド上からパネル・ブロック・モンスターなどのすべてのものをなくすと「NICE!」な状態になる。この状態になると画面上部のモンスターが登場する土管の部分にキノコが出現し、この状態になってから最初の攻撃の威力が少し高くなる。

主なキャラクター[編集]

マリオ
旅から帰ってきたマリオはクッパの悪事を見かね、自宅の奥にしまっているハンマーを取り出しヘルメットをかぶり、久々に解体屋としてアジトを破壊する冒険に出る。
クッパ
クッパ軍団の大魔王。マリオの留守中にその勢力を伸ばさんと、キノコ王国各地にアジト支部を建設する。結果日陰が多くなり王国の住民や植物は迷惑していた。ハンマーは使わず、得意のファイアブレスで壁を破壊する。
ピーチ姫
エンディングに登場するのみで物語には直接関わらないが、その他のモードでは使用することも出来る。トーナメントモードは彼女主催の大会の模様。対戦のときは王冠の代わりにヘルメットをかぶる。
ブラッキー
アジトの1つを守っているマリオのライバル。ヒゲなどのデザインがワリオに近いものに変更されている。今作ではクッパと組んでいる。
ノコノコ
クッパの部下でアジトの1つを任されている。今作唯一のクッパ軍団兵士で、今回のクッパは自らの軍団にあまり頼っていない。
ナスビ仮面
スパナゴン
今作では彼らもアジトを守護している。ナスビ仮面のデザインは変更されている。なお、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のフィギュアのナスビ仮面は旧作のデザインで登場している。

ロムカセット版[編集]

ニンテンドウパワーによる書き換え開始から約6か月後となる1998年5月23日には、ゲームショップや玩具店などの一般店舗にてロムカセット版が発売された。ロムカセット版は日本のスーパーファミコン用ロムカセット最後のマリオシリーズであった。同じくニンテンドウパワー書き換え専用ソフトとして供給が行われていた『平成 新・鬼ヶ島』前編・後編のロムカセット版2作と同時発売ソフト。いずれの作品もローソンのみに限定される書き換え以外の供給方法が求められていたため、任天堂がそれに応じる形で発売した。

他のスーパーファミコンソフトと同様に化粧箱へ入れられた状態で販売され、冊子形の説明書も付属した。しかし『レッキングクルー'98』の箱やカセットラベルはゲームの画面写真を大きく据えたのみのデザインで、説明書の内容もニンテンドウパワーの書き換え時に配布または販売された遊び方シートの引き写しであるため、簡素な印象を与えている。

移植版[編集]

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 備考 出典
1 レッキングクルー'98 日本 201609282016年9月28日
Wii U パックスソフトニカ 任天堂 ダウンロード
バーチャルコンソール
2024年3月28日販売終了[5] [6]
2 スーパーファミコン
Nintendo Switch Online
アメリカ合衆国 202404122024年4月12日
日本 202404122024年4月12日
Nintendo Switch 任天堂 任天堂 ダウンロード - [7][8][9][10]

スタッフ[編集]

  • ディレクター:高橋英子
  • プログラマー:なかしまなるみ、荒木泰介、かとうひろたか
  • デザイナー:高橋英子、えのきのりゆき、渡辺直樹、こやまたかし、かじがやれいこ
  • サウンド・ディレクター:田中宏和
  • サウンド・コンポーザー:大久保高嶺
  • プランナー:わかばやしかつひこ
  • スペシャル・サンクス:小田部羊一、立本正博、すみともゆき、むらかみかつのり、ふじのきけいこ、やましたともみ、スーパーマリオクラブ
  • プロデューサー:菱田達也
  • エグゼクティブ・プロデューサー:川口孝司、山内溥

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ レッキングクルー'98”. 任天堂. 2022年2月18日閲覧。
  2. ^ Joseph Knoop (2021年8月9日). “New Super Mario Movie Could Bring Back One Of Nintendo's Most Obscure Characters” (英語). IGN. https://www.ign.com/articles/mario-bros-movie-spike 2022年2月18日閲覧。 
  3. ^ a b c d ゲイムマン (2008年11月17日). “マリオVSブラッキー! 「レッキングクルー'98」”. ねとらぼ. ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」. アイティメディア. p. 2. 2022年2月18日閲覧。
  4. ^ a b 取扱説明書” (PDF). 任天堂. 2022年2月18日閲覧。
  5. ^ ニンテンドー3DSシリーズおよびWii Uの「ニンテンドーeショップ」サービス終了時期に関するお知らせ”. 任天堂 (2024年3月12日). 2024年4月14日閲覧。
  6. ^ “Wii U向けVC『スターフォックス コマンド』『シュビビンマン3』『レッキングクルー'98』9月28日配信”. インサイド (イード). (2016年9月21日). https://www.inside-games.jp/article/2016/09/21/102123.html 2022年2月18日閲覧。 
  7. ^ 【4月12日追加】「ファミリーコンピュータ&スーパーファミコン&ゲームボーイ Nintendo Switch Online」追加タイトルが配信開始。”. 任天堂 (2024年4月12日). 2024年4月12日閲覧。
  8. ^ 『SUPER R-TYPE』『レッキングクルー'98』『バトルトード イン バトルマニアック』『マーヴェラス ~もうひとつの宝島~』がNintendo Switch Onlineで配信”. ファミ通.com. KADOKAWA (2024年4月12日). 2024年4月12日閲覧。
  9. ^ ルネ (2024年4月12日). “「SUPER R-TYPE」「レッキングクルー'98」など往年の名作4タイトルが「Nintendo Switch Online」に本日追加”. 4Gamer.net. Aetas. 2024年4月12日閲覧。
  10. ^ 徳永浩貴 (2024年4月12日). “「SUPER R-TYPE」や「レッキングクルー'98」など4タイトルがNintendo Switch Onlineにて配信開始!”. GAME Watch. インプレス. 2024年4月12日閲覧。

外部リンク[編集]