クリーンコンピュータ
クリーンコンピューター(Clean computer)とは、シャープがMZシリーズやX1シリーズといった自社製パソコンで採用した設計思想である。名前の由来はメモリー領域上にROM-BASIC用のROMが存在せず、綺麗な状態にあると言うことから来ている。
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[編集] 解説
当時のパソコンではROM-BASICのROMを搭載するのが一般的であった。しかし、ライバルである日本電気が半導体事業を持ちROMを原価のみで自己調達できるのに対し、シャープは外部調達のため、ROMに納めたプログラムにバグが発覚すれば多大な損害が発生する。このリスクを回避するため採られた苦肉の策がシステム全体をROMとして持つのではなく、最低限のモニタのみを本体にROMで搭載し、比較的規模の大きなBASICなどの基本プログラムはカセットテープなどのメディアで供給するという方式であった[1]。現実にはそれほど致命的なバグが露見することはなかったが、システムプログラムの一部は比較的頻繁な改版が行われており、雑誌などを介して提供されるバイナリパッチではアドレスがずれているなど、そのまま利用できない情報もあった。
当時のライバル機であるPC-8001では64Kbytesのメモリー空間のうち24KbytesがROM-BASIC用のROMに占拠されており、後継機ではそのサイズは32Kbytesに拡大した。そのためRAMの最大増設が32Kbytesまでという制限がついた。また、メモリーマップ上でCP/Mを配置する部分に丁度ROMが配置されることとなり、CP/M上で高級言語を使用する際には多大な支障があった。だが、クリーンコンピューターではそうした制約がなかった。
クリーンコンピューターはコストダウンにも効果があった。クリーンコンピューターはプログラム用のROMチップを搭載せず、その分コストダウンにつながっていた。
クリーンコンピューターはシステムをカセットテープから読み込むため、必然的に起動に時間がかかるという欠点が存在する。その欠点を解消する為に開発されたのが高性能な内蔵式のカセットデッキである。同時期に流通していたPC-8001が600bpsなのに対し、MZ-80K/Cで1200bps、MZ-80Bで2000bps、後に発売されるX1で2700bpsである。これはつまりPC-8001で30分かかって読み込んでいたデータが、MZ-80K/Cでは15分、MZ-80Bでは9分、X1では6分で読み込めるという計算になる。MZ-80BやX1などに搭載された電磁メカカセットデッキは、早送り・巻き戻し、頭出し、デッキオープンなどの操作がソフトウェアによって制御でき、読み書き自体もソフトウェア側で制御可能であった。 また技術革新が進み、より高速なデータ読み書きを可能とする装置(フロッピーディスクやクイックディスク)が普及していくようになると、相対的に起動時間の問題は小さいものになっていった。
メモリーよりも、二次記憶装置の方が大きな容量を確保でき、安価であるため、システムが大きくなった昨今では、システムそのものは二次記憶装置の方に記録されている。構造的にはクリーンコンピューターに似た構成になっている。
[編集] クリーンコンピューターの変遷
一言にクリーンコンピューターといっても時代に合わせて変化をしている。初期のMZでは、最小限の入出力機能を持つモニターのみがROMに実装され、コマンドによってBASICないし他の言語をロードするように設計されていた。その後、80B系では本体ROMにはIPLのみをバンク切り替えで持つ様になり、X1ではリード時はROM、書き込み時はRAM空間にアクセスするようにし、IPLが直接読み込める空間を増やすなど、実装には変化が見られる。 また、高機能化によってBIOS、IOCS等をROMに搭載する様になり、必ずしもIPLのみがROMに書き込まれているわけではない。