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{{PPG I相関図}}
{{PPG I相関図}}
'''PPG I分類体系'''{{Sfn|海老原|2017|p=3}}{{Sfn|海老原|2018}} (PPG いち ぶんるいたいけい、{{lang|en|PPG I classification}})は、現生[[シダ植物]]の包括的な分類体系である{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。現代的で包括的な分類を行うために設立された、[[#著者|シダ植物を専門とする研究者]]からなる団体である'''{{lang|en|The [[:en:Pteridophyte Phylogeny Group|Pteridophyte Phylogeny Group]] (PPG)}}'''{{Efn|「シダ系統グループ」{{Sfn|海老原|2018}}}} (2016) によって発表された{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。[[胞子]]生殖を行う[[維管束植物]]はまとめて[[シダ植物]]と呼ばれてきたが、現在では2つの明確に異なった[[単系統群]]である'''[[小葉植物]]''' ({{lang|en|lycophytes}})と'''[[大葉シダ植物]]''' ({{lang|en|monilophytes}})を含む[[側系統群]]であることが分かっている{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。'''PPG I体系'''とも呼ばれる{{Sfn|海老原|2017|p=3}}。
'''PPG I分類体系'''{{Sfn|海老原|2017|p=3}}{{Sfn|海老原|2018}} (PPG いち ぶんるいたいけい、{{lang|en|PPG I classification}})は、現生[[シダ植物]]の包括的な分類体系である{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。現代的で包括的な分類を行うために設立された、[[#著者|シダ植物を専門とする研究者]]からなる団体である'''{{lang|en|The [[:en:Pteridophyte Phylogeny Group|Pteridophyte Phylogeny Group]] (PPG)}}'''{{Efn|「シダ系統グループ」{{Sfn|海老原|2018}}}} (2016) によって発表された{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}{{Sfn|Christenhusz ''et al.''|2018|p=1}}。[[胞子]]生殖を行う[[維管束植物]]はまとめて[[シダ植物]]と呼ばれてきたが、現在では2つの明確に異なった[[単系統群]]である'''[[小葉植物]]''' ({{lang|en|lycophytes}})と'''[[大葉シダ植物]]''' ({{lang|en|monilophytes}})を含む[[側系統群]]であることが分かっている{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。'''PPG I体系'''とも呼ばれる{{Sfn|海老原|2017|p=3}}。


古くから[[系統学]]によりシダ植物の分類が行われてきた{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。近年では[[進化系統樹]]を推定する能力が向上し、より[[自然分類]]に近づいてきた{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。[[被子植物]]では古く[[1998年]]から[[APG体系|包括的な分類体系]]を築く試みがなされており{{Efn|APG 1998; [[APG II]] 2003; [[APG III]] 2009; [[APG IV]] 2016}}、本分類体系はそれを大まかに踏襲したものとなっている{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。PPG I (2016)では、小葉植物および大葉シダ植物について、研究者コミュニティによる ({{lang|en|community-based}}) アプローチを用いて、[[属 (分類学)|属]]レベルまでの最新の包括的な分類体系を構築した{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。[[単系統]]性を第一の基準として分類を行うが、シダ植物の系統の理解のため広く受けられている既存の分類を保存することも目的としている{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。この分類体系では、小葉植物および大葉シダ植物を合わせて2[[綱 (分類学)|綱]]、14[[目 (分類学)|目]]、51[[科 (分類学)|科]]、337[[属 (分類学)|属]]、11,916[[種 (分類学)|種]]に分類した{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。まだシダ植物の系統において未解明な点もあり、今後もさらなる改善が行われる{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。
古くから[[系統学]]によりシダ植物の分類が行われてきた{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。近年では[[進化系統樹]]を推定する能力が向上し、より[[自然分類]]に近づいてきた{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。[[被子植物]]では古く[[1998年]]から[[APG体系|包括的な分類体系]]を築く試みがなされており{{Efn|APG 1998; [[APG II]] 2003; [[APG III]] 2009; [[APG IV]] 2016}}、本分類体系はそれを大まかに踏襲したものとなっている{{Sfn|PPG I|2016|p=565}}。[[被子植物]]では[[花]]の形質が主要な[[科 (分類学)|科]]や[[属 (分類学)|属]]を分類する根拠となっているが、シダ植物ではどの形態形質が分類上最も重要であるか合意が得られていないため、科や属の分類は大きく変化してきた{{Sfn|Christenhusz|Chase|2018|p=481-487}}。
PPG I (2016)では、小葉植物および大葉シダ植物について、研究者コミュニティによる ({{lang|en|community-based}}) アプローチを用いて、[[属 (分類学)|属]]レベルまでの最新の包括的な分類体系を構築した{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。[[単系統]]性を第一の基準として分類を行うが、シダ植物の系統の理解のため広く受けられている既存の分類を保存することも目的としている{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。この分類体系では、小葉植物および大葉シダ植物を合わせて2[[綱 (分類学)|綱]]、14[[目 (分類学)|目]]、51[[科 (分類学)|科]]、337[[属 (分類学)|属]]、11,916[[種 (分類学)|種]]に分類した{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。まだシダ植物の系統において未解明な点もあり、今後もさらなる改善が行われる{{Sfn|PPG I|2016|p=564}}。


== 理念 ==
== 理念 ==
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== 既存の分類体系との比較 ==
== 既存の分類体系との比較 ==
{{See also|シダ植物#分子系統解析による分類体系}}
{{See also|シダ植物#分子系統解析による分類体系}}
本分類体系は分子系統解析以前の分類体系における[[科 (分類学)|科]]と[[属 (分類学)|属]]の連続性を可能な限り維持している{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。これは分子系統解析を反映したPPG I 以前の Smith ''et al.'' (2006){{Sfn|Smith ''et al.''|2006|pp=705-731}}、Christenhusz ''et al.'' (2011)、Rothfels ''et al.'' (2012){{Sfn|Rothfels ''et al.''|2012|pp=490–509}}などを引き継いでいるのに対し、Christenhusz & Chase (2014){{Sfn|Christenhusz|Chase|2014|pp=571-594}}などの認める分類群を減らした分類体系とは異なっている{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。
本分類体系は分子系統解析以前の分類体系における[[科 (分類学)|科]]と[[属 (分類学)|属]]の連続性を可能な限り維持している{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。これは分子系統解析を反映したPPG I 以前の {{Harvtxt|Smith ''et al.''|2006}}、Christenhusz ''et al.'' (2011)、Rothfels ''et al.'' (2012){{Sfn|Rothfels ''et al.''|2012|pp=490–509}}などを引き継いでいるのに対し、{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2014}}などの認める分類群を減らした分類体系とは異なっている{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2014}}では、属間雑種を回避するために、差異より類似性に注目し、姉妹群となっている属をより広い属に吸収して分類していた{{Sfn|Christenhusz ''et al.''|2018|p=1}}。


また、最上位の[[階級 (生物学)|階級]]に関して、Ruggiero ''et al.'' (2015) では[[小葉植物]]と[[大葉シダ植物]]をそれぞれ[[門 (分類学)|亜門]]（{{sname||Lycopodiphytina}}, {{sname||Polipodiophytina}}）として扱い、その下にそれぞれ単一の綱（{{sname||Lycopodipsida}}, {{sname||Polipodiopsida}}）を置いた{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}{{Sfn|Ruggiero ''et al.''|2015}}。本分類体系では最上位を綱とし、それより上位の階級を置くことを推薦していない{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。また、Ruggiero ''et al.'' (2015) {{Sfn|Ruggiero ''et al.''|2015}}と本研究は大葉シダ綱 {{sname||Polipodiopsida}} の下位に4つの亜綱を置くことで一致している{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。これはSmith ''et al.'' (2006){{Sfn|Smith ''et al.''|2006|pp=705-731}}や Chase & Reveal (2009)のようなそれぞれを綱とした分類体系と異なっており、逆に [[Tree of Life Web Project]] (Pryer ''et al.'', 2009)を踏襲している{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。分子系統解析からも、形態における解析においても大葉シダ植物が単系統群であることは確実であり、これを1つの綱とすることで問題はないという立場をとっている{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。
また、最上位の[[階級 (生物学)|階級]]に関して、Ruggiero ''et al.'' (2015) では[[小葉植物]]と[[大葉シダ植物]]をそれぞれ[[門 (分類学)|亜門]]（{{sname||Lycopodiphytina}}, {{sname||Polipodiophytina}}）として扱い、その下にそれぞれ単一の綱（{{sname||Lycopodipsida}}, {{sname||Polipodiopsida}}）を置いた{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}{{Sfn|Ruggiero ''et al.''|2015}}。本分類体系では最上位を綱とし、それより上位の階級を置くことを推薦していない{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。また、Ruggiero ''et al.'' (2015) {{Sfn|Ruggiero ''et al.''|2015}}と本研究は大葉シダ綱 {{sname||Polipodiopsida}} の下位に4つの亜綱を置くことで一致している{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。これはSmith ''et al.'' (2006){{Sfn|Smith ''et al.''|2006|pp=705-731}}や Chase & Reveal (2009)のようなそれぞれを綱とした分類体系と異なっており、逆に [[Tree of Life Web Project]] (Pryer ''et al.'', 2009)を踏襲している{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。分子系統解析からも、形態における解析においても大葉シダ植物が単系統群であることは確実であり、これを1つの綱とすることで問題はないという立場をとっている{{Sfn|PPG I|2016|p=568}}。
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**** [[シケシダ属]]{{Sfn|海老原|2017|p=296}} {{snamei||Deparia}} {{small|{{AU|Hook.}} & {{AU|Grev.}}}}：約70種{{Efn|{{snamei||×Depazium}} {{small|{{AU|Nakaike}}}}; {{snamei||Lunathyrium}} {{small|{{AU|Koidz.}}}}; {{snamei||Dryoathyrium}} {{small|{{AU|Ching}}}}; {{snamei||Parathyrium}} {{small|{{AU|Holttum}}}}; {{snamei||Athyriopsis}} {{small|{{AU|Ching}}}}; {{snamei||Dictyodroma}} {{small|{{AU|Ching}}}}; {{snamei||Triblemma}} {{small|({{AU|J.Sm.}}) {{AU|Ching.}}}} を内包する。}}
**** [[シケシダ属]]{{Sfn|海老原|2017|p=296}} {{snamei||Deparia}} {{small|{{AU|Hook.}} & {{AU|Grev.}}}}：約70種{{Efn|{{snamei||×Depazium}} {{small|{{AU|Nakaike}}}}; {{snamei||Lunathyrium}} {{small|{{AU|Koidz.}}}}; {{snamei||Dryoathyrium}} {{small|{{AU|Ching}}}}; {{snamei||Parathyrium}} {{small|{{AU|Holttum}}}}; {{snamei||Athyriopsis}} {{small|{{AU|Ching}}}}; {{snamei||Dictyodroma}} {{small|{{AU|Ching}}}}; {{snamei||Triblemma}} {{small|({{AU|J.Sm.}}) {{AU|Ching.}}}} を内包する。}}
**** [[ノコギリシダ属]]{{Sfn|海老原|2017|p=324}} {{snamei||Diplazium}} {{small|{{AU|Sw.}}}}：約350種{{Efn|{{snamei||Allantodia}} {{small|{{AU|R.Br.}}}}; {{snamei||Anisogonium}} {{small|{{AU|C.Presl}}}}; {{snamei||Callipteris}} {{small|{{AU|Bory}}}}; {{snamei||Monomelangium}} {{small|{{AU|Hayata}}}} を内包する。}}{{Efn|かつては[[ヘラシダ属]]と呼ばれたが、ヘラシダはシケシダ属 {{snamei||Deparia}} に属することが明らかになり、和名がノコギリシダ属に改称された{{Sfn|海老原|2017|p=324}}。}}
**** [[ノコギリシダ属]]{{Sfn|海老原|2017|p=324}} {{snamei||Diplazium}} {{small|{{AU|Sw.}}}}：約350種{{Efn|{{snamei||Allantodia}} {{small|{{AU|R.Br.}}}}; {{snamei||Anisogonium}} {{small|{{AU|C.Presl}}}}; {{snamei||Callipteris}} {{small|{{AU|Bory}}}}; {{snamei||Monomelangium}} {{small|{{AU|Hayata}}}} を内包する。}}{{Efn|かつては[[ヘラシダ属]]と呼ばれたが、ヘラシダはシケシダ属 {{snamei||Deparia}} に属することが明らかになり、和名がノコギリシダ属に改称された{{Sfn|海老原|2017|p=324}}。}}
*** [[ヒメシダ科]]{{Sfn|海老原・嶋村・田村|2012|p=318}}{{Sfn|巌佐ほか|2013|p=1643}}{{Sfn|海老原|2016|p=430}} {{sname||Thelypteridaceae}} {{small|{{AU|Ching}} ex {{AU|Pic.Serm.}}}}：2亜科30属、推定1,034種[[File:Thelypteris palustris 5498125.jpg|thumb|300px|ヒメシダ属のタイプ種、[[ヒメシダ]] {{snamei||Thelypteris palustris}} {{small|({{AU|Salisb.}}) {{AU|Schott}}}}。Christenhusz & Chase (2014)では本分類体系における {{sname|Thelypteridoideae}} 亜科が全てヒメシダ属に含まれ、約900種を含む大きな属となっていたが、本分類体系では2種のみが含まれ、そのうちの1種である{{Sfn|Christenhusz|Chase|2014|pp=571-594}}{{Sfn|PPG I|2016|p=586}}{{Sfn|海老原|2016|p=430}}。]]
*** [[ヒメシダ科]]{{Sfn|海老原・嶋村・田村|2012|p=318}}{{Sfn|巌佐ほか|2013|p=1643}}{{Sfn|海老原|2016|p=430}} {{sname||Thelypteridaceae}} {{small|{{AU|Ching}} ex {{AU|Pic.Serm.}}}}：2亜科30属、推定1,034種{{Efn|ただし、特に日本の種に関して、{{Harvtxt|PPG I|2016}}の30属を認めると、[[雑種属]] {{snamei|''×'' Chrinephrium}} を認める必要がでてきたり、引用されている He & Zhang (2012) やAlmeida ''et al.'' (2016) の系統解析で用いられた中国産 "{{snamei|Parathelypteris nipponica}}" の材料は同定が疑わしいためかつて {{snamei|Parathelypteris}} に含まれていた種の所属が不確かであったりするなど問題点が多い{{Sfn|Ebihara|Nitta|2019|pp=723–738}}。逆に、{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2014}}による][[ヒメワラビ属]] {{snamei||Macrothelypteris}}、[[ミヤマワラビ属]] {{snamei||Phegopteris}}、[[ヒメシダ属]] {{snamei||Thelypteris}} の3属に分ける分類体系では形態に基づいた属の定義も可能で、日本産種については学名の新組合せも必要でないなど、問題が少ない{{Sfn|海老原|2016|p=430}}。}}[[File:Thelypteris palustris 5498125.jpg|thumb|300px|ヒメシダ属のタイプ種、[[ヒメシダ]] {{snamei||Thelypteris palustris}} {{small|({{AU|Salisb.}}) {{AU|Schott}}}}。{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2014}}では本分類体系における {{sname|Thelypteridoideae}} 亜科が全てヒメシダ属に含まれ、約900種を含む大きな属となっていたが、本分類体系では2種のみが含まれ、そのうちの1種である{{Sfn|Christenhusz|Chase|2014|pp=571-594}}{{Sfn|PPG I|2016|p=586}}{{Sfn|海老原|2016|p=430}}。]]
**** {{lang|en|subfamily}} {{sname||Phegopteridoideae}} {{small|{{AU|Salino}}, {{AU|A.R.Sm.}} & {{AU|T.E.Almeida}}}}：3属、推定34種
**** {{lang|en|subfamily}} {{sname||Phegopteridoideae}} {{small|{{AU|Salino}}, {{AU|A.R.Sm.}} & {{AU|T.E.Almeida}}}}：3属、推定34種
***** [[ヒメワラビ属]]{{Sfn|海老原|2016|p=431}} {{snamei||Macrothelypteris}} {{small|({{AU|H.Ito}}) {{AU|Ching}}}}：10種
***** [[ヒメワラビ属]]{{Sfn|海老原|2016|p=431}} {{snamei||Macrothelypteris}} {{small|({{AU|H.Ito}}) {{AU|Ching}}}}：10種
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; {{sname||Saccolomatineae}} {{small|{{AU|Hovenkamp}}, subord. nov.}}
; {{sname||Saccolomatineae}} {{small|{{AU|Hovenkamp}}, subord. nov.}}
: [[サッコロマ亜目]]{{Sfn|海老原|2018}}。タイプ属は {{snamei||Saccoloma}} {{small|{{AU|Kaulf.}} (1820)}}{{Sfn|PPG I|2016|p=594}}。[[サッコロマ科]]を含む新亜目{{Sfn|PPG I|2016|p=594}}{{Efn|判別文：Rhizome erect, covered with multistratose, non-clathrate scales, in cross-section with two concentric rings of meristeles, sori cup-shaped, spores trilete, tetrahedral.{{Sfn|PPG I|2016|p=594}}}}。
: [[サッコロマ亜目]]{{Sfn|海老原|2018}}。タイプ属は {{snamei||Saccoloma}} {{small|{{AU|Kaulf.}} (1820)}}{{Sfn|PPG I|2016|p=594}}。[[サッコロマ科]]を含む新亜目{{Sfn|PPG I|2016|p=594}}{{Efn|判別文：Rhizome erect, covered with multistratose, non-clathrate scales, in cross-section with two concentric rings of meristeles, sori cup-shaped, spores trilete, tetrahedral.{{Sfn|PPG I|2016|p=594}}}}。

== その後の批評 ==
{{Harvtxt|Christenhusz ''et al.''|2018}}では、最近のシダ植物の分類はジェネラリストとスペシャリストの間で意見の食い違いがあり、論争の的になっていると述べた{{Sfn|Christenhusz ''et al.''|2018|p=1}}。そこで彼らは、PPG I分類体系は[[APG IV]]のようにコミュニティにより作られたにも拘らず、APGの手法とは異なり、[[同定]]が難しい多くの[[属 (分類学)|属]]に細分化しすぎたと論じた{{Sfn|Christenhusz ''et al.''|2018|p=1}}。そしてそのような細分化された属は、種を同定してから分子系統解析による結果のみにより認識できるため、属の[[階級 (生物学)|階級]]としての意味をほとんど果たさないと主張した{{Sfn|Christenhusz ''et al.''|2018|p=2}}。

その後、{{Harvtxt|PPG I|2016}}の運営メンバーを含む{{Harvtxt|Schuettpelz ''et al.''|2018}}では、{{Harvtxt|PPG I|2016}}分類体系で認められた属の数は、多すぎではなく歴史的な過程を引き継いでおり、むしろまだ少ないと主張した{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。{{Harvtxt|Christenhusz ''et al.''|2018}}に反論し、「最近のシダ植物の分類が論争の的になっている」というのはあくまでその著者らのみが問題としているのであって、{{Harvtxt|Smith ''et al.''|2006}}から始まったシダ類の分類は着実に合意に向かって進んでおり、{{Harvtxt|PPG I|2016}}はあくまで国際的なシダ植物学者たちのコンセンサスを明示したに過ぎないとした{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2014}}と{{Harvtxt|Schuettpelz ''et al.''|2018}}では、308種が{{snamei|Grammitis}} {{small|{{AU|Sw.}}}}に、468種が{{snamei|Hemionitis}} {{small|{{AU|L.}}}} に、388種が{{snamei|Thelypteris}} {{small|{{AU|Schmidel}}}} に移され、これらの1164種の移動だけで、シダ種の11％に新しい学名が付けられた{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。{{Harvtxt|Schuettpelz ''et al.''|2018}}はこの濫造を「1世紀以上にわたる知的進歩をほとんど無視している」と表現し批判した{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。学名の出発点である[[カール・フォン・リンネ]] ([[1753年]]) の『[[植物種誌]]』以降、小葉植物と大葉シダ植物の種数は短期間的には逆転することがあるもののほぼ毎年増加しており、これは（自然界から）蒐集された標本の数が増え続けているためだと考えられる{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。そして種数の増加に加え、シダ植物以外の分類群では種に対する属の割合がもっと低いことを指摘し、{{Harvtxt|Christenhusz ''et al.''|2018}}のように属を広い概念として扱うことは「足並みを乱している ({{lang|en|out of step}})」と主張した{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。分類には様々な目的があって何れも主観的であるが、系統学に基づいてより精密なレベルの系統関係を反映し、利用可能なデータと分類学的見解を総合した分類体系は、ジェネラリストにもスペシャリストにも最も役立つというのが、ほとんどの分類学者の意見であるとしている{{Sfn|Schuettpelz ''et al.''|2018|pp=473-480}}。

それに対し、{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2018}} は改めて、多くの属に細分化しすぎであるとして{{Harvtxt|PPG I|2016}}に対する批判的な論文を発表した{{Sfn|Christenhusz|Chase|2018|p=481-487}}。そして、{{Harvtxt|Schuettpelz ''et al.''|2018}}が{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2014}}を「足並みを乱している」と批判したことに対し、反論した{{Sfn|Christenhusz|Chase|2018|p=481-487}}。{{Harvtxt|Christenhusz|Chase|2018}}では、「{{Harvtxt|Schuettpelz ''et al.''|2018}}の主張は、{{Harvtxt|PPG I|2016}}の支持者が批判者を反知性的だと思わせて黙らせようとしているに過ぎず、属の数が多いことが“知的進歩”と等しいと演繹的に仮定したでっち上げである」と厳しく批判した{{Sfn|Christenhusz|Chase|2018|p=481-487}}。そして、{{Harvtxt|Christenhusz ''et al.''|2017}}の24科212属の安定的な分類体系と、{{Harvtxt|PPG I|2016}}の今後変化があるだろう不必要に複雑な51科337属の分類体系では、どちらがより多く利用されるかは時間が解決してくれるだろうとした{{Sfn|Christenhusz|Chase|2018|p=481-487}}。{{Harvtxt|PPG I|2016}}による単系統である属の分割は「系統情報をより反映するため」望ましいというメッセージを与えているため、そのような考えでは分類の激変は大きな属がなくなるまで終わらないとし、その不安定さゆえ、シダ植物の分類体系において{{Harvtxt|PPG I|2016}}を論理的な次の段階として必要であると自動的にみなすべきでないと締めくくった{{Sfn|Christenhusz|Chase|2018|p=481-487}}。

また[[ヒメシダ科]] {{sname||Thelypteridaceae}}については、特に日本の種に関して、{{Harvtxt|PPG I|2016}}の30属を認めると、[[雑種属]] {{snamei|''×'' Chrinephrium}} を認める必要がでてきたり、He & Zhang (2012) やAlmeida ''et al.'' (2016) の系統解析で用いられた中国産 "{{snamei|Parathelypteris nipponica}}" の材料は同定が疑わしいためかつて {{snamei|Parathelypteris}} に含まれていた種の所属が不確かであったりするなど問題点が多いことが指摘されている{{Sfn|Ebihara|Nitta|2019|pp=723–738}}。そのため、今後予定されている "[[PPG II]]" で[[東アジア]]の資料を正確に同定して公表することが重要であるとされる{{Sfn|Ebihara|Nitta|2019|pp=723–738}}。


== 著者 ==
== 著者 ==
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=== 他の文献 ===
=== 他の文献 ===
* {{cite journal|last1=Christenhusz|first1=Maarten J. M.|last2=Chase|first2=Mark W.|date=2014|title=Trends and concepts in fern classification|journal=Annals of Botany|volume=113|pages=571-594|ref={{SfnRef|Christenhusz|Chase|2014}} }}
* {{cite journal|last1=Christenhusz|first1=Maarten J. M.|last2=Chase|first2=Mark W.|date=2014|title=Trends and concepts in fern classification|journal=Annals of Botany|volume=113|pages=571-594|doi=10.1093/aob/mct299|ref={{SfnRef|Christenhusz|Chase|2014}} }}
* {{cite journal|last1=Rothfels|first1=C.J.|last2=Larsson|first2=A|last3=Kuo|first3=L-Y|last4=Korall|first4=P|last5=Chiou|first5=W-L|last6=Pryer|first6=Kathleen M.|date=2012|title=Overcoming deep roots, fast rates, and short internodes to resolve the ancient rapid radiation of eupolypod II ferns|journal=Systematic Biology|volume=16|pages=490–509|ref={{SfnRef|Rothfels ''et al.''|2012}} }}
* {{cite journal|last1=Christenhusz|first1=Maarten J. M.|last2=Chase|first2=Mark W.|date=2018|title=PPG recognises too many fern genera|journal=Taxon|volume=67|issue=3|pages=481-487|doi=10.12705/673.2|ref={{SfnRef|Christenhusz|Chase|2018}} }}
* {{cite journal|last1=Christenhusz|first1=Maarten J. M.|last2=Fay |first2=M.F. |last3=Chase |first3=Mark W.|date=2017-11-13|title=Plants of the world: An illustrated encyclopedia of vascular plants|publisher=Richmond: Kew Publishing; Chicago: Chicago University Press|asin=B084TMRBMY|ref={{SfnRef|Christenhusz ''et al.''|2017}} }}
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2022年3月13日 (日) 15:36時点における版

PPG I

PPG I分類体系[1][2] (PPG いち ぶんるいたいけい、PPG I classification)は、現生シダ植物の包括的な分類体系である[3]。現代的で包括的な分類を行うために設立された、シダ植物を専門とする研究者からなる団体であるThe Pteridophyte Phylogeny Group (PPG)[注釈 1] (2016) によって発表された[3][4]。胞子生殖を行う維管束植物はまとめてシダ植物と呼ばれてきたが、現在では2つの明確に異なった単系統群である小葉植物 (lycophytes)と大葉シダ植物 (monilophytes)を含む側系統群であることが分かっている[3]。PPG I体系とも呼ばれる[1]。

古くから系統学によりシダ植物の分類が行われてきた[5]。近年では進化系統樹を推定する能力が向上し、より自然分類に近づいてきた[5]。被子植物では古く1998年から包括的な分類体系を築く試みがなされており[注釈 2]、本分類体系はそれを大まかに踏襲したものとなっている[3]。被子植物では花の形質が主要な科や属を分類する根拠となっているが、シダ植物ではどの形態形質が分類上最も重要であるか合意が得られていないため、科や属の分類は大きく変化してきた[6]。

PPG I (2016)では、小葉植物および大葉シダ植物について、研究者コミュニティによる (community-based) アプローチを用いて、属レベルまでの最新の包括的な分類体系を構築した[5]。単系統性を第一の基準として分類を行うが、シダ植物の系統の理解のため広く受けられている既存の分類を保存することも目的としている[5]。この分類体系では、小葉植物および大葉シダ植物を合わせて2綱、14目、51科、337属、11,916種に分類した[5]。まだシダ植物の系統において未解明な点もあり、今後もさらなる改善が行われる[5]。

理念

生物の分類において、学名の安定性は非常に重要であり、分類と階級を決定する際には、既存の分類を考慮することが重要である[3]。かつ、自然分類群に基づくことも同様に重要で、進化を反映し結果的に安定性が増すことになる[3]。側系統群を維持することも有用ではあるが、属レベル以上では単系統のみからなる分類体系を構築することを目指した[3]。種レベルでは単系統群のみで分類を行うのは難しく、特にシダ植物では倍数体形成による種分化 (polyploid speciation) が多く行われ、3分の1近くが倍数体の増加によると推定されている[3][7][8]。

進化系統樹をリンネ式階層分類に反映させることは困難であるものの、歴史的にそうした分類は長く行われ、現在も広く使われている[3]。そのためPhyloCodeで推奨されているようなアプローチは安定性の観点から破壊的であるため行わない[3]。また、化石分類群を組み込むのにも多くの課題があるため、現生の小葉植物および大葉シダ植物のみ取り扱う[3]。一部の化石植物は容易に組み込むことができるが、ほとんどの絶滅植物の系統関係はかなり不明確である[3]。多くの化石分類群は明確な進化的系統を表しており、それらを本分類体系に含めるには、範囲の修正に加え、ほぼ確実に新科、新目、新綱を認める必要が生じる[3]。一般に本分類体系では、広く受け入れられている既存の分類と、小葉植物と大葉シダ植物の系統に関する理解と矛盾しないような分類を維持している[3]。単系統であることが分類群を認識する第一基準であるが、安定した単系統と判断されるグループの範囲を定義するデータが不十分な場合は、名前の変更を最小限にとどめる保守的なアプローチを採用している[3]。つまり現在認められている分類群の中には最終的に非単系統であることが明らかになるもの含まれている[3]。第二基準として形態学的な判別の可能性と相同性、年代と多様性の両方における階層的な同等性を考慮し、決定している[3]。

この分類体系は完成したものではなく、現在までに分かった最良のデータから導き出され、その分類群に最も精通している人々によって形成された仮のものである[3]。PPG I (2016)はシダ植物とその系統分類に関する最近の文献を参照するための資料として、また将来の研究の指針となる枠組みとして、さらに議論を深める助けとなることをその理念とする[3]。

分類体系構築の方法

PPG の設立は、2015年次世代シダ植物学会議 (2015 Next Generation Pteridology conference)を含む国際会議でのコンセプトの宣伝、アメリカシダ学会（American Fern Society; AFS）や国際シダ植物学会（International Association of Pteridologists; IAP）を含む学会ウェブサイトやメーリングリストへの投稿を通じて始まった[9]。初期参加者の間で非公式な議論が繰り返された後、コミュニティの関与を強化し、議論を促進するためにメーリングリストが作られた。プロジェクトが進行するにつれコミュニティは拡大し、2016年にはPPG は94名のシダ植物学者からなる国際的なコミュニティとなった[9]。本分類体系は、コミュニティ由来 (community-derived) で、過半数の支持を得たものである[9]。

議論に参加する意思のある専門家からなる小委員会 (subcommittee) のメンバーによる最初の話し合い、小委員会による草案の作成、PPG コミュニティの全メンバーによる草案の議論、修正案の作成、そして正式投票 (formal vote) または賛成 (simple acclamation) による修正案の承認、という手順で行われた[9]。最高次の分類群については、PPG 全体で対話が開始され、様々な選択肢の長短について議論した結果、綱と亜綱を用いる体系が認められることとなった[9]。後に、主要な単系統群に適用される通俗名の決定も同様の手法で行われた[9]。

目、亜目、科の決定について、初めに組織小委員会が最初の提案を作成した[9]。この提案は、電子的にすべてのメンバーと共有され、アンケートを実施することで、その妥当性を評価し、さらなる議論が必要な分野を明らかにした[9]。その結果を受けて、メンバー全員で議論を行い、その後意見が一致しない部分について代替案を提示した修正投票が作成され、全ての目、亜目、科で過半数の支持が得られた[9]。上位分類が決まった後、PPG のメンバーに特定の単系統群の属の分類の検討が必要かをオンライン調査し、全会一致の合意が存在する場合、属の分類を検討した[9]。注意を要すると判断されたクレードについては、その系統の専門家によって構成される小委員会が設置され、小委員会長のもと代替となる属の分類について議論し、合意を得て、PPG全体による承認を得るための提案を行った[9]。綱、亜綱、目、亜目、科、属の体系が決まったのち、小委員会長は、各分類群について、以下の内容をまとめた[9]。

既存の分類体系との比較

「シダ植物#分子系統解析による分類体系」も参照

本分類体系は分子系統解析以前の分類体系における科と属の連続性を可能な限り維持している[10]。これは分子系統解析を反映したPPG I 以前の Smith et al. (2006)、Christenhusz et al. (2011)、Rothfels et al. (2012)[11]などを引き継いでいるのに対し、Christenhusz & Chase (2014)などの認める分類群を減らした分類体系とは異なっている[10]。Christenhusz & Chase (2014)では、属間雑種を回避するために、差異より類似性に注目し、姉妹群となっている属をより広い属に吸収して分類していた[4]。

また、最上位の階級に関して、Ruggiero et al. (2015) では小葉植物と大葉シダ植物をそれぞれ亜門（Lycopodiphytina, Polipodiophytina）として扱い、その下にそれぞれ単一の綱（Lycopodipsida, Polipodiopsida）を置いた[10][12]。本分類体系では最上位を綱とし、それより上位の階級を置くことを推薦していない[10]。また、Ruggiero et al. (2015) [12]と本研究は大葉シダ綱 Polipodiopsida の下位に4つの亜綱を置くことで一致している[10]。これはSmith et al. (2006)[13]や Chase & Reveal (2009)のようなそれぞれを綱とした分類体系と異なっており、逆に Tree of Life Web Project (Pryer et al., 2009)を踏襲している[10]。分子系統解析からも、形態における解析においても大葉シダ植物が単系統群であることは確実であり、これを1つの綱とすることで問題はないという立場をとっている[10]。

概要

小葉植物の各群[注釈 3]
大葉植物の各群[注釈 4]

シダ植物に2つの綱、ヒカゲノカズラ綱 Lycopodiopsida と 大葉シダ綱 Polypodiopsida を認める[9]。後者は現生種子植物の姉妹群となる[9]。

ヒカゲノカズラ綱には3つの目、ヒカゲノカズラ目 Lycopodiales、ミズニラ目 Isoëtales、イワヒバ目 Selaginellales を認めている[9]。ヒカゲノカズラ目には1科16属が含まれ、ミズニラ目とイワヒバ目はそれぞれ1科1属である[9]。

大葉シダ綱には4亜綱、トクサ亜綱 Equisetidae、ハナヤスリ亜綱 Ophioglossidae、リュウビンタイ亜綱 Marattiidae、薄嚢シダ亜綱 Polypodiidaeが含められる[9]。現生のトクサ亜綱は1目1科1属（トクサ属 Equisetum L.）である[9]。ハナヤスリ亜綱は2目2科12属、リュウビンタイ亜綱は1目1科6属からなる[9]。

薄嚢シダ亜綱は現存するシダ類の大多数を占め、ゼンマイ目 Osmundales、コケシノブ目 Hymenophyllales、ウラジロ目 Gleicheniales、フサシダ目 Schizaeales、サンショウモ目 Salviniales、ヘゴ目 Cyatheales、ウラボシ目 Polypodialesの7目を認めた[9]。このうちウラボシ目は6亜目 (サッコロマ亜目 Saccolomatineae、ホングウシダ亜目 Lindsaeineae、イノモトソウ亜目 Pteridineae、コバノイシカグマ亜目 Dennstaedtiineae、チャセンシダ亜目 Aspleniineae、ウラボシ亜目 Polypodiineae)に細分された[9][注釈 5]。 ゼンマイ目には1科6属、コケシノブ目には1科9属が含まれる[9]。ウラジロ目とフサシダ目はそれぞれ比較的小さい3科が含まれ、それぞれ10属、4属からなる[9]。サンショウモ目は2科5属、へゴ目には小さい7科10属に加え、3属からなる大きなヘゴ科 Cyatheaceae が含まれる[9]。

ウラボシ目の各亜目の構成について、サッコロマ亜目は1つの小さな科に1属が含まれる[14]。ホングウシダ亜目はそれぞれ1属からなる2科と7属を含むホングウシダ科 Lindsaeaceaeからなる[14]。イノモトソウ亜目は52属からなる大きな1科からなる[14]。コバノイシカグマ亜目は1科に10属を含む[14]。残りの2つの亜目、チャセンシダ亜目とウラボシ亜目は非常に多様性が高く、合わせて現生シダ植物の半分以上を占めている[14]。前者（チャセンシダ亜目）には、59属からなる4つの大きな科と、14属からなる100種に満たない7つの小さい科が含まれる[14]。後者（ウラボシ亜目）には、合計で98属からなる3つの大きな科に加え、10属が含まれる6つの小さな科が含まれる[14]。

上記をまとめると、2綱、14目、51科、337属、11,916種が扱われる[10]。

以下、分類の詳細を示す。各群は系統的に整理され、一般に種の多様性が高くなる順に並べられている[10]。属は各群の中でアルファベット順に並べられている[10]。学名や種数などの情報はPPG I (2016)に従い[15]、和名は適宜出典を付した。

ヒカゲノカズラ綱

ヒカゲノカズラ科の植物[注釈 6]
1.スギカズラ Spinulum annotinum[注釈 7]
2. マンネンスギ Dendrolycopodium dendroideum
3. タカネヒカゲノカズラ Diphasiastrum nikoense[注釈 8]
4. ヒカゲノカズラ Lycopodium clavatum[注釈 9]
5. トウゲシバ Huperzia serrata[注釈 10]
6. コスギラン Huperzia selago
7. ヒメスギラン Huperzia miyoshiana
ヒカゲノカズラ綱[17] Lycopodiopsida Bartl.
3目18属、推定1,338種からなる。単系統群。

ヒカゲノカズラ目

ミズニラ目

ミズニラ属のタイプ種、Isoëtes lacustris L.
イワヒバ属のタイプ種、コケスギラン Selaginella selaginoides (L.) P.Beauv. ex Schrank & Mart.

イワヒバ目

大葉シダ綱

大葉シダ綱[注釈 12] Polypodiopsida Cronquist, Takht. & W.Zimm.
4亜綱11目48科319属からなり、推定10,578種と見積もられており、単系統[16]。学名に関しては大葉シダ植物を参照。

トクサ亜綱

トクサ属のタイプ種、ミズドクサ Equisetum fluviatile L.
トクサ亜綱[18] Equisetidae Warm.：単型

ハナヤスリ亜綱

イヌナンカクラン属のタイプ種、Tmesipteris tannensis (Spreng.) Bernh.
ミヤコジマハナワラビ属唯一の種、ミヤコジマハナワラビ Helminthostachys zeylanica (L.) Hook.
ハナヤスリ亜綱[18] Ophioglossidae：2目2科12属、推定129種

リュウビンタイ亜綱

リュウビンタイ属のタイプ種[43]、アンギオプテリス・エウェクタ[44] Angiopteris evecta (G.Forst.) Hoffm.
リュウビンタイ亜綱[18] Marattiidae Klinge

薄嚢シダ亜綱

薄嚢シダ亜綱[18]（ウラボシ亜綱[2]）Polypodiidae Cronquist, Takht. & W.Zimm.
7目44科300属からなり、推定10,323種と見積もられている[43]。

ゼンマイ目

ゼンマイ属のタイプ種（レクトタイプ）、レガリスゼンマイ Osmunda regalis L.

コケシノブ目

ウラジロ目

ヤブレガサウラボシ属のタイプ種、ヤブレガサウラボシ Dipteris conjugata Reinw.

フサシダ目

カニクサ属のタイプ種、Lygodium scandens (L.) Sw.

サンショウモ目

サンショウモ属のタイプ種、サンショウモ Salvinia natans (L.) All.

ヘゴ目

ロクソマ属唯一の種、ロクソマ・クンニングハミイ[77] Loxsoma cunninghamii R.Br. ex Hook.（ロクソマ科）
ヘゴ属のタイプ種、Cyathea arborea (L.) Sm.

ウラボシ目

命名法上の新提案

本分類体系に伴い学名を整理するにあたって、以下の命名法上の新提案が行われた[171]。

Aspleniineae H.Schneid. & C.J.Rothf., stat. nov.
チャセンシダ亜目[2]。Aspleniaceae Newman[nomenclature 9]と同義[171]で、新しい階級に移動。タイプ属はAsplenium L. (1753)、ウラボシ目の1亜目[171]。
Claytosmunda (Y.Yatabe, N.Murak. & K.Iwats.) Metzgar & Rouhan, stat. nov.
Osmunda subg. Claytosmunda Y.Yatabe, N.Murak. & K.Iwats.[nomenclature 10]（オニゼンマイ亜属）と同義（亜属の属への格上げ）[171]。タイプ種はオニゼンマイ Claytosmunda claytoniana (L.) Metzgar & Rouhan [注釈 115][171]。
Claytosmunda claytoniana (L.) Metzgar & Rouhan, comb. nov.
オニゼンマイ Osmunda claytoniana L.[nomenclature 11]（バシオニム）の新組合せで、上記の亜属の属への格上げによる[171]。
Dennstaedtiineae Schwartsb. & Hovenkamp, subord. nov.
コバノイシカグマ亜目[2]。タイプ属 Dennstaedtia Bernh. (1801) [1800]、タイプ科 Dennstaedtiaceae。ウラボシ目の新亜目[注釈 116]。
Grammitidoideae Parris & Sundue, stat. nov.
Grammitidaceae Newman, Hist. Brit. Ferns: 7. 1840と同義[171]で、亜科への階級の移動。タイプ属は Grammitis Sw. (1801) [1800]。ウラボシ目に属し、階級の移動が行われた[171]。
Lindsaeineae Lehtonen & Tuomisto, subord. nov.
ホングウシダ亜目[2]。タイプ属は Lindsaea Dryand. ex J.Sm. (1793)、 ウラボシ目の新亜目でホングウシダ科を含む[171][注釈 117]。
Mankyuoideae J.R.Grant & B.Dauphin, subfam. nov.
タイプ属は Mankyua B.Y.Sun, M.H.Kim & C.H.Kim[171]。ハナヤスリ科に属する新亜科[171][注釈 118]。
Phegopteridoideae Salino, A.R.Sm. & T.E.Almeida, subfam. nov.
タイプ属は Phegopteris (C.Presl) Fée (1852)[171]。ヒメシダ科に属する新亜科[171][注釈 119]。
Pteridineae J.Prado & Schuettp., stat. nov.
イノモトソウ亜目[2]。Pteridaceae E.D.M.Kirchn.[nomenclature 13]と同義[171]。タイプ属は Pteris L. (1753)[171]。ウラボシ目に属し、階級の移動が行われた[171]。
Saccolomatineae Hovenkamp, subord. nov.
サッコロマ亜目[2]。タイプ属は Saccoloma Kaulf. (1820)[171]。サッコロマ科を含む新亜目[171][注釈 120]。

その後の批評

Christenhusz et al. (2018)では、最近のシダ植物の分類はジェネラリストとスペシャリストの間で意見の食い違いがあり、論争の的になっていると述べた[4]。そこで彼らは、PPG I分類体系はAPG IVのようにコミュニティにより作られたにも拘らず、APGの手法とは異なり、同定が難しい多くの属に細分化しすぎたと論じた[4]。そしてそのような細分化された属は、種を同定してから分子系統解析による結果のみにより認識できるため、属の階級としての意味をほとんど果たさないと主張した[172]。

その後、PPG I (2016)の運営メンバーを含むSchuettpelz et al. (2018)では、PPG I (2016)分類体系で認められた属の数は、多すぎではなく歴史的な過程を引き継いでおり、むしろまだ少ないと主張した[173]。Christenhusz et al. (2018)に反論し、「最近のシダ植物の分類が論争の的になっている」というのはあくまでその著者らのみが問題としているのであって、Smith et al. (2006)から始まったシダ類の分類は着実に合意に向かって進んでおり、PPG I (2016)はあくまで国際的なシダ植物学者たちのコンセンサスを明示したに過ぎないとした[173]。Christenhusz & Chase (2014)とSchuettpelz et al. (2018)では、308種がGrammitis Sw.に、468種がHemionitis L. に、388種がThelypteris Schmidel に移され、これらの1164種の移動だけで、シダ種の11％に新しい学名が付けられた[173]。Schuettpelz et al. (2018)はこの濫造を「1世紀以上にわたる知的進歩をほとんど無視している」と表現し批判した[173]。学名の出発点であるカール・フォン・リンネ (1753年) の『植物種誌』以降、小葉植物と大葉シダ植物の種数は短期間的には逆転することがあるもののほぼ毎年増加しており、これは（自然界から）蒐集された標本の数が増え続けているためだと考えられる[173]。そして種数の増加に加え、シダ植物以外の分類群では種に対する属の割合がもっと低いことを指摘し、Christenhusz et al. (2018)のように属を広い概念として扱うことは「足並みを乱している (out of step)」と主張した[173]。分類には様々な目的があって何れも主観的であるが、系統学に基づいてより精密なレベルの系統関係を反映し、利用可能なデータと分類学的見解を総合した分類体系は、ジェネラリストにもスペシャリストにも最も役立つというのが、ほとんどの分類学者の意見であるとしている[173]。

それに対し、Christenhusz & Chase (2018) は改めて、多くの属に細分化しすぎであるとしてPPG I (2016)に対する批判的な論文を発表した[6]。そして、Schuettpelz et al. (2018)がChristenhusz & Chase (2014)を「足並みを乱している」と批判したことに対し、反論した[6]。Christenhusz & Chase (2018)では、「Schuettpelz et al. (2018)の主張は、PPG I (2016)の支持者が批判者を反知性的だと思わせて黙らせようとしているに過ぎず、属の数が多いことが“知的進歩”と等しいと演繹的に仮定したでっち上げである」と厳しく批判した[6]。そして、Christenhusz et al. (2017)の24科212属の安定的な分類体系と、PPG I (2016)の今後変化があるだろう不必要に複雑な51科337属の分類体系では、どちらがより多く利用されるかは時間が解決してくれるだろうとした[6]。PPG I (2016)による単系統である属の分割は「系統情報をより反映するため」望ましいというメッセージを与えているため、そのような考えでは分類の激変は大きな属がなくなるまで終わらないとし、その不安定さゆえ、シダ植物の分類体系においてPPG I (2016)を論理的な次の段階として必要であると自動的にみなすべきでないと締めくくった[6]。

またヒメシダ科 Thelypteridaceaeについては、特に日本の種に関して、PPG I (2016)の30属を認めると、雑種属 × Chrinephrium を認める必要がでてきたり、He & Zhang (2012) やAlmeida et al. (2016) の系統解析で用いられた中国産 "Parathelypteris nipponica" の材料は同定が疑わしいためかつて Parathelypteris に含まれていた種の所属が不確かであったりするなど問題点が多いことが指摘されている[131]。そのため、今後予定されている "PPG II" で東アジアの資料を正確に同定して公表することが重要であるとされる[131]。

著者

PPG I (2016)に挙げられている、このプロジェクトの運営メンバーは以下の通りである[174]。

その他の参加者は以下の通りである[174]。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 「シダ系統グループ」[2]
  2. ^ APG 1998; APG II 2003; APG III 2009; APG IV 2016
  3. ^ 左上：エゾヒカゲノカズラ Lycopodium clavatum var. asiaticum（ヒカゲノカズラ科）、左下：トウゲシバ Huperzia serrata（ヒカゲノカズラ科）、右上：ミズニラ Isoëtes japonica（ミズニラ科）、右中：イワヒバ Selaginella tamariscina （イワヒバ科）、右下：クラマゴケ Selaginella remotifolia （イワヒバ科）
  4. ^ a: ホウライシダ Adiantum capillus-veneris（イノモトソウ科）、b: オオハナワラビ Sceptridium japonicum（ハナヤスリ科）、c: イワヒメワラビ Hypolepis punctata（コバノイシカグマ科)、d: カニクサ Lygodium japonicum（カニクサ科）、e: トクサ Equisetum hyemale（トクサ科）、f: コモチシダ Woodwardia orientalis（シシガシラ科）、g: ニシノオオアカウキクサ Azolla filiculoides（上）とサンショウモ Salvinia natans（下、ともにサンショウモ科）、h: ベニシダ Dryopteris erythrosora（オシダ科）、I: シケシダ Deparia japonica（メシダ科）、j: マツバラン Psilotum nudum（マツバラン科）、k: ホラシノブ Odontosoria chinensis（ホングウシダ科）、l: コシダ Dicranopteris linearis（ウラジロ科）、m: ゲジゲジシダ Phegopteris decursivepinnata（ヒメシダ科）、n: シマオオタニワタリ Asplenium nidus（チャセンシダ科）、o: ゼンマイ Osmunda japonica（ゼンマイ科）、p: シノブ Davallia mariesii（シノブ科）、q: コケシノブ属の一種 Hymenophyllum sp.（コケシノブ科）、r: クサソテツ Matteuccia struthiopteris（コウヤワラビ科）、s: マメヅタ Lemmaphyllum microphyllum（ウラボシ科）、t: リュウビンタイ Angiopteris lygodiifolia（リュウビンタイ科）、u: デンジソウ Marsilea quadrifolia（デンジソウ科）
  5. ^ 和名は海老原 (2018)による[2]。
  6. ^ このうち、スギカズラ Spinulum annotinumはスギカズラ属 Spinulumのタイプ種、ヒカゲノカズラ Lycopodium clavatumはヒカゲノカズラ属 Lycopodium のタイプ種、コスギラン Huperzia selagoはコスギラン属 Huperziaのタイプ種である[16]。
  7. ^ a: 胞子嚢穂 ; b: 匍匐茎
  8. ^ a: 胞子嚢穂 ; b: 匍匐茎
  9. ^ a, b: 根の均等な二又分枝；c, d: 根の不等二又分枝；e: 胞子嚢穂；f: 匍匐茎；g: シュートの均等な二又分枝；h: シュートの不等二又分枝
  10. ^ a: 胞子嚢 ; b: 無性芽のついたシュートを上から見た図; c: 胞子嚢のついたシュートを横から見た図、均等な二又分枝を行う
  11. ^ Stylites Amstutzを内包する
  12. ^ 海老原 (2016) ではMonilopsida の和名として[17]
  13. ^ Hauke (1978)[nomenclature 1]がEquisetum fluviatile L.をレクトタイプ指定
  14. ^ Ophiala Desv.と同義。
  15. ^ Botrychium subg. Cheiroglossaと亜属の階級に置かれたとき、ケイログロッサ亜属と呼ばれる[36]。
  16. ^ Botrychium subg. Ophiodermaと亜属の階級に置かれたとき、コブラン亜属と呼ばれる[36]。
  17. ^ 2020年にSahashia 属が分離され、それぞれ1種ずつを含む単系統の属となった[38]。
  18. ^ Botrychium subg. Japanobotrychiumと亜属の階級に置かれたとき、アリサンハナワラビ亜属と呼ばれる[40]。日本には分布しない[40]。なお、Hassler (2022)では2種[41]。
  19. ^ Botrychium subg. Sceptridiumと亜属の階級に置かれたとき、オオハナワラビ亜属と呼ばれる[40]。
  20. ^ 範囲は sensu Smith et al. (2006b)、単系統 (Pryer et al., 2004)[43]
  21. ^ ムカシリュウビンタイ属[45] Archangiopteris Christ & Giesenh.; Clementea Cav.; Macroglossum Copel.; Protangiopteris Hayata; Protomarattia Hayata; Psilodochea C.Presl.を内包する。
  22. ^ Kaulfussia Blume.; Macrostoma Griff.を内包する。
  23. ^ Heterodanaea C.Presl.を内包する。
  24. ^ Gymnotheca C.Presl; Stibasia C.Presl.を内包する。
  25. ^ PtisanaがMarattiaから分離される以前はMarattiaがリュウビンタイモドキ属と呼ばれていた[45][34][46]。
  26. ^ Osmunda subg. Claytosmundaと亜属の階級に置かれたとき、オニゼンマイ亜属と呼ばれる[48]。
  27. ^ Osmunda subg. Plenasiumと亜属の階級に置かれたとき、シロヤマゼンマイ亜属と呼ばれる[48]。
  28. ^ a b ウラジロ Diplopterygium glaucum が Gleichenia に含まれていた岩槻 (1992)では Gleichenia がウラジロ属と呼ばれていた[66][67][34]。
  29. ^ かつてはSchizae 1属のみが認められ、その場合は Actinostachys ではなく Schizae がフサシダ属と呼ばれていた[73]。
  30. ^ モーリア属[70] Mohria Sw.、Colina Greene.を内包する。
  31. ^ Panicularia Collaと同義
  32. ^ タカワラビ属 Cibotium が Dicksoniaceae 科に含まれていた岩槻 (1992)ではDicksoniaceae 科がタカワラビ科と呼ばれていた[82]。
  33. ^ Pinonia Gaudichを内包する。
  34. ^ Amphidesmium J.Sm.、および Amphidesmium Schott ex Kunzeを内包する。
  35. ^ Amphicosmia Gardner; Dichorexia C.Presl; Gymnosphaera Blume; Nephelea R.M.Tryon; Thysanobotrya Alderw.を内包する。
  36. ^ かつては Cyathea 属に内包された[86]。
  37. ^ Actinophlebia C.Presl; Chnoophora Kaulf.; Cnemidaria C.Presl; Cnemidopteris Reichenb.; Cormophyllum Newm.; Disphenia C.Presl; Hemitelia R.Br.; Hemistegia C.Presl; Hymenophyllopsis K.I.Goebel;Microstegnus C.Presl; Trichopteris C.Presl; ×Cyathidaria Caluff.を内包する。
  38. ^ Eatoniopteris Bomm.; Fourniera Bomm.; Schizocaena J.Sm.を内包する。
  39. ^ Cyathea subg. Sphaeropterisと亜属の階級に置かれたとき、ヒカゲヘゴ亜属と呼ばれる[86]。
  40. ^ Lindsayopsis Kuhnを内包する。
  41. ^ Protolindsaya Copel.を内包する。
  42. ^ ただし海老原 (2016)では同じ範囲の群、ミズワラビ亜科に対し Ceratopteridoideae という学名が用いられている[91]。
  43. ^ Eriosorus Fée; Nephopteris Lellingerを内包する。
  44. ^ Trismeria Féeを内包する。
  45. ^ Afropteris Alston; Anopteris Prantl ex Diels; Ochropteris J.Sm.; Neurocallis Fée; Platyzoma R.Br.を内包する。
  46. ^ Schuettpelz et al. (2007)で"adiantoids"と呼ばれた群に相当する。
  47. ^ Pleurofossa Nakai ex H.Ito; イトスゲシダ属[91] Monogramma Comm. ex Schkuhr を内包する；Monogramma ではなく Haplopteris を保存名とすることが提案されているが、保留中である。
  48. ^ かつては日本産の Haplopteris 属の種が Vittaria 属に含まれていたため Vittaria 属がシシラン属と呼ばれたが、新世界の Vittaria と系統的にはなれていることが明らかになった[99]。
  49. ^ Anetium Splitg を内包する。
  50. ^ Diclidopteris Brack. を内包する。
  51. ^ Leptolepidium K.H.Shing & S.K.Wu; Sinopteris C.Chr. & Ching. を内包する。
  52. ^ Oeosporangium De Visianiを内包する。
  53. ^ Cheilosoria Trevis.; Negripteris Pic.Serm.; Neurosoria Mett. ex Kuhn を内包する。
  54. ^ Bakeriopteris C.Chr.; Cassebeera Kaulf.; Heteropteris Fée; Tryonella Pic.Serm.を内包する。
  55. ^ Gymnopteris Bernh.; Gymnogramma Desv.; Neurogramma Link. を内包する。
  56. ^ Pomatophytum M.E.Jones. を内包する。
  57. ^ Chrysochosma (J.Sm.) Kümmerle を内包する。
  58. ^ Choristosoria Mett. ex Kuhn; Paraceterach Copel.; Pellaeopsis J.Sm.; Platyloma J.Sm.; Pteridella Kuhn を内包する。
  59. ^ Saffordia Maxon を内包する。
  60. ^ Pterinodes Siegesb. ex Kuntze; Calypterium Bernh.; Ragiopteris C.Presl; Riedlea Mirbを内包する。
  61. ^ Pentarhizidium という名前は1927年、早田文藏によってP. orientale の茎の形態形質が記載された際に初めて用いられたが、属の記載文を欠いていたため、この名は裸名 (nomina nuda) であり、1928年の早田文藏による P. japonicum の記載によってはじめて属名として正式発表されたと考えられる[120]。
  62. ^ Lorinseria C.Presl は Lorinsera Opiz のホモニム（後続異名）であるため、新名または学名の保存が必要である[124]。
  63. ^ Chieniopteris Ching を内包する。
  64. ^ syn. Blechnum orientale L.
  65. ^ かつてはヒリュウシダが含まれ、ヒリュウシダ属と呼ばれた[126]。
  66. ^ Pteridoblechnum Hennipman; Steenisioblechnum Hennipman を内包する。
  67. ^ Doodia 属のシダはヤスリシダと呼ばれる[123]。
  68. ^ Stegania R.Br. を内包する。
  69. ^ Spicantopsis Nakai を内包する。
  70. ^ ウラボシノコギリシダ属[105] Anisocampium C.Presl; Kuniwatsukia Pic.Serm.; カラフトミヤマシダ属[128] Pseudocystopteris Ching; Neoathyrium Ching & Z.R.Wang; ×Cornoathyrium Nakaike; シケチシダ属[105] Cornopteris Nakai を内包する。
  71. ^ ×Depazium Nakaike; Lunathyrium Koidz.; Dryoathyrium Ching; Parathyrium Holttum; Athyriopsis Ching; Dictyodroma Ching; Triblemma (J.Sm.) Ching. を内包する。
  72. ^ Allantodia R.Br.; Anisogonium C.Presl; Callipteris Bory; Monomelangium Hayata を内包する。
  73. ^ かつてはヘラシダ属と呼ばれたが、ヘラシダはシケシダ属 Deparia に属することが明らかになり、和名がノコギリシダ属に改称された[129]。
  74. ^ ただし、特に日本の種に関して、PPG I (2016)の30属を認めると、雑種属 × Chrinephrium を認める必要がでてきたり、引用されている He & Zhang (2012) やAlmeida et al. (2016) の系統解析で用いられた中国産 "Parathelypteris nipponica" の材料は同定が疑わしいためかつて Parathelypteris に含まれていた種の所属が不確かであったりするなど問題点が多い[131]。逆に、Christenhusz & Chase (2014)による]ヒメワラビ属 Macrothelypteris、ミヤマワラビ属 Phegopteris、ヒメシダ属 Thelypteris の3属に分ける分類体系では形態に基づいた属の定義も可能で、日本産種については学名の新組合せも必要でないなど、問題が少ない[130]。
  75. ^ Parathelypteris Ching (pro parte)を内包する。
  76. ^ 旧コウモリシダ属[138] Abacopteris Fée; Dimorphopteris Tagawa & K.Iwats.を内包する。
  77. ^ Glaphyropteris Féeを内包する。
  78. ^ 2020年、2021年にも記載され、Hassler (2022)では12種[142]
  79. ^ Campium C.Presl; Cyrtogonium J.Sm.; Edanyoa Copel.; Egenolfia Schott; Heteroneuron Fée; Jenkinsia Hook.; Poecilopteris C.Presl を内包する。
  80. ^ Aconiopteris C.Presl; Dictyoglossum Sm.; Hymenodium Fée; Microstaphyla C.Presl; Peltapteris Link ;Rhipidopteris Schott ex Fée を内包する。
  81. ^ Coveniella Tindale を内包する。
  82. ^ Cheilolepton Fée. を内包する。
  83. ^ Byrsopteris C.V.Morton; Leptorumohra (H.Ito) H.Ito; Lithostegia Ching; Phanerophlebiopsis Ching を内包する。
  84. ^ サツマシダ属[144] Ataxipteris Holttum; Pseudotectaria Tardieu を内包する。
  85. ^ タイワンヒメワラビ属[138] Acrophorus C.Presl; Acrorumohra (H.Ito) H.Ito; Adenoderris J.Sm の一部; Arthrobotrys (C.Presl) Lindl.; Diacalpe Blume; Dichasium (A.Braun) Fée; Diclisodon T.Moore; キヨスミヒメワラビ属[144][145] Dryopsis Holttum & P.J.Edwards; Filix Ség.; Lophodium Newman; Nephrodium Marthe ex Michx.; Nothoperanema (Tagawa) Ching; Peranema D.Don; Pycnopteris T.Moore; Revwattsia D.L.Jones; Stenolepia Alderw. を内包する。
  86. ^ Amblia C.Presl を内包する。
  87. ^ Acropelta T.Nakai; Adenoderris J.Sm の一部; Cyrtogonellum Ching; Cyrtomidictyum Ching; Hemesteum H.Lév.; Hypopeltis Michx.; Papuapteris C.Chr.; Plecosorus Fée; Ptilopteris Hance; Sorolepidium Christ を内包する。
  88. ^ Psammiosorus C.Chr. を内包する。
  89. ^ Amphiblestra C.Presl; Aspidium Sw.; Bathmium C.Presl ex Link; Camptodium Fée; Chlamydogramme Holttum; Cionidium T.Moore; Ctenitopsis Ching exTardieu & C.Chr.; Dictyoxiphium Hook.; Dryomenis Fée ex J.Sm.; Fadyenia Hook.; Grammatosorus Regel; ハルランシダ属[150] Hemigramma Christ; Heterogonium C.Presl; Lenda Koidz.; Luerssenia Kuhn ex Luerssen ; Microbrochis C.Presl; Phlebiogonium Fée; Podopeltis Fée; Polydictyum C.Presl; Psomiocarpa C.Presl; Quercifilix Copel.; Sagenia C.Presl; Stenosemia C.Presl; Tectaridium Copelを内包する。このうち Amphiblestra, Camptodium, Chlamydogramme, Dryomenis, Grammatosorus, Lenda, Luerssenia, Microbrochis, Phlebiogonium, Polydictyum の分子データはないが、形態から暫定的にこの属に含められている。
  90. ^ ホソバシノブ属[151] Araiostegia Copel.; Araiostegiella M.Kato & Tsutsumi; ダウァロデス属[152] Davallodes (Copel.) Copel.; キクシノブ科[151] Humata Cav.; スキフララ属[153] Scyphularia Fée; Wibelia Bernh. を内包する。
  91. ^ Drymoglossum C.Preslを内包する。
  92. ^ Christiopteris Copel., ハカマウラボシ属[158] Drynaria J.Sm., Dryostachyum J.Sm., Merinthosorus Copel., Photinopteris J.Sm., Pseudodrynaria C.Chr., Thayeria Copel.を内包する。
  93. ^ 旧ミツデウラボシ属[144] Crypsinus C.Presl; Himalayopteris W.Shao & S.G.Lu; Phymatopsis J.Sm.; Pichisermollodes Fraser-Jenk. & Challis.を内包する。
  94. ^ Metapolypodium Ching; Polypodiastrum Ching; Polypodiodes Chingを内包する。
  95. ^ Caobangia A.R.Sm. & X.C.Zhang; オニマメヅタ属[160] Lepidogrammitis Ching; Weatherbya Copel.を内包する。
  96. ^ キリガタシダ属[162] Belvisia Mirb.; クラガリシダ属[162] Drymotaenium Makinoを内包する。
  97. ^ イワヒトデ属[163] Colysis C.Presl; Kontumia S.K.Wu & K.L.Phanを内包する。
  98. ^ Dendroconche Copel.; Kaulinia B.K.Nayar; Phymatosorus Pic.Serm.を内包する。
  99. ^ Microsorum は Lecanopteris, Leptochilus, Neocheiropteris, Neolepisorus, Tricholepidium に対し側系統に位置すると考えられているが、さらなる研究が必要である。
  100. ^ かつてはクリハランは Neocheiropteris 属に含まれ、Neocheiropteris がクリハラン属と呼ばれていたが、中国南西部に固有の属であることが分かっている[164]。
  101. ^ 分子データはタイプ種である Paragramma longifolia (Blume) T.Mooreしか得られておらず、もう1種はかなり形態が異なる
  102. ^ Hyalotricha Copel.; Hyalotrichopteris W.H.Wagnerを内包する。
  103. ^ Solanopteris Copel.を内包する。
  104. ^ Cheilogramma Maxon; Dicranoglossum J.Sm.; Eschatogramme Trevis.; Lepicystis (J.Sm.) J.Sm.; Marginaria Bory; Marginariopsis C.Chr.; Microphlebodium L.D.Gómez; Neurodium Fée; Paltonium C.Presl; Pseudocolysis L.D.Gómez. を内包する。
  105. ^ Amphoradenium Desv.を内包する。
  106. ^ Plectopteris Féeを内包する。
  107. ^ a b Grammitis s.s. は Cochlidium の側系統群であるが、Grammitis のタイプ種である G. marginella はまだ分子データが得られていないため、再定義が必要である。
  108. ^ Xiphopteris Kaulf.; Micropteris Desv.; Pleurogramme Blume.を内包する。
  109. ^ a b Zygophlebia は Enterosora の側系統群である。Zygophlebia をシノニムとすればこれは解消されるが、Enterosora のタイプ種の分子データはまだ得られておらず、地位が不確実である[168]。
  110. ^ 以前はヒメウラボシが含まれ、ヒメウラボシ属と呼ばれた[166]。
  111. ^ a b c Themelium 属は単系統群であるが、多系統である Oreogrammitis および Radiogrammitis の2つの属を含むクレードの中に位置する[169]。Oreogrammitis および Themelium のタイプ種はまだ分子データが得られておらず、これらの属を整理するためにはさらなる研究が必要である[169]。
  112. ^ Ctenopteris Blume ex Kunze; Cryptosorus Féeを内包する。
  113. ^ Nematopteris Alderw.を内包する。
  114. ^ かつてはキレハオオクボシダ属 は Ctenopterisの学名が与えられていたが、現在では Ctenopteris のタイプ種がチョクミシダ属 Prosaptia に内包されるため、用いられない[170]。
  115. ^ syn. Osmunda claytoniana L.
  116. ^ 判別文：Rhizome generally dorsiventral and long-creeping, covered with hairs or proto-scales (true scales absent); sori marginal or sub-marginal, generally protected by marginal pseudo-indusia or by laminar true indusia (sometimes both are present), rarely fully exindusiate.[171]
  117. ^ 判別文：Rhizome short- to long-creeping (rarely ascending), covered with non-clathrate scales or rarely hairs; petioles with one or rarely two (or several fusing into two in the upper part of stipe) vascular bundles; sori marginal to sub-marginal, generally protected by laminar true indusia or rarely by marginal pseudo-indusia or both.[171]
  118. ^ 判別文はMankyua B.Y.Sun, M.H.Kim & C.H.Kim[nomenclature 12]に準ずる[171]。
  119. ^ 判別文：Laminae bipinnate-pinnatifid or more divided, or laminae bipinnatifid or tripinnatifid; costae adaxially lacking grooves; veins free, not reaching the margins; chromosome base numbers x ＝ 30 or 31[171]
  120. ^ 判別文：Rhizome erect, covered with multistratose, non-clathrate scales, in cross-section with two concentric rings of meristeles, sori cup-shaped, spores trilete, tetrahedral.[171]

出典

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参考文献

PPG I

本論文を引用する際は PPG I (2016) と表記することが推奨されている。

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他の文献

関連項目

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