ハナヤスリ目

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ハナヤスリ目
Ophioglossaceae spp Moore51.png
上:ヒメハナワラビ
下:ハナヤスリ2種
分類
: 植物界 Plantae
: シダ植物門 Pteridophyta
: マツバランPsilotopsida
: ハナヤスリ目 Ophioglossales
: ハナヤスリ科 Ophioglossaceae
下位分類群

ハナヤスリ目は、シダ植物の小群であるが、多くの特殊な点があり、一般的なシダ類とははっきりと異なる特徴を持つ。

特徴[編集]

ハナヤスリ類は、シダ植物門のハナヤスリなどに類する植物をまとめたものである。世界で70種ばかりの小さな群であるが、系統上は非常に特殊なものと考えられている。1目1科にまとめることが多い。

大部分は地上性の小型の植物であるが、着生植物になるものも知られている。形態はさまざまであるが、その基本的な体制は驚くほど共通している。栄養葉一枚に数本の根を持つのが基本的な植物体で、成長するにつれて葉の基部にある柄の部分(担葉体)から、より大きな葉を出す。葉が出る時に、蕨巻状でないのもシダ類では異例である。根は枝分かれが少なく、太いものが数本あるだけである。また、茎の維管束の配列が他のシダ類とは異なり、種子植物のそれに似た真正中心柱の形であることも独特である。

成体では葉の上の分枝として胞子葉をつける。胞子葉は栄養葉の基部かその近くから枝が出て、栄養葉の葉身の面から上向きに出るので、全体としては立体的な構造をとる。外見的には、広がった葉の間から穂が伸びているように見える。ハナヤスリやハナワラビの花という呼称は、この印象によるものであろう。胞子葉は葉身がなく、軸の両側に胞子嚢が並んだ状態である。なお、これらの葉や根などの各部分が他のシダ類の植物体のどこと対応しているのか、あるいは対応が取れるのかどうかについては定説がない。

前葉体は地下に発達し、固まり状になり、菌類と共生して菌根状になり、また他のシダ植物のそれより長期にわたって維持される。

分類[編集]

この類は、その姿からは大きく以下の四群に分けられる。すべてをハナヤスリ科とし、3属に分ける扱いが普通である。しかし、それらを独立科と見なし、さらにそれぞれを細分属に分ける説もある。

地上生、栄養葉はシダ的に羽状複葉に裂ける。胞子葉も羽状に枝を出す。フユノハナワラビ・ヒメハナワラビ・オオハナワラビなど。
  • ミヤコジマハナワラビ類 (ミヤコジマハナワラビ属 Helminthostachys
地上生、栄養葉は掌状複葉、胞子葉は分枝しない。ミヤコジマハナワラビ一種のみ。
地上生、葉は楕円形等の単葉、胞子葉は分枝しない。コヒロハハナヤスリ・ハマハナヤスリ・サクラジマハナヤスリ・トネハナヤスリなど。
  • コブラン類 (ハナヤスリ属に含めるか、Ophiodermaとする)
樹上に着生する。葉は小数回二又分枝し、細長い。胞子葉ははるかに小さく、分枝しない。コブランなど。

系統[編集]

分子系統解析から、マツバラン類に近縁であるという結果が出てきている。このことから、ハナヤスリ類はマツバラン綱に含めるという体系が主流派になってきている。ただし、それ以前にはマツバラン類はを発達させる以前の原始的な陸上植物の形質を残したものとの判断があったから、これはむしろ、マツバランの見かけ上原始的な特徴が二次的なものであるとの判断でもある。

参考文献[編集]

  • Smith et al.: A classification for extant ferns. Taxon 55(3) 705 (2006)[1]