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2011年9月26日 (月) 07:59時点における版

集合論、及び数学におけるその応用上でのクラスとは、集合(または、しばしば別の数学的対象)の集まりで、 全ての要素が持つ共通性質によって漠然と定義されるものである。

クラスの正確な定義は、使っている文脈・理論による。 ZF集合論ではクラスは非公式な存在であるが、NBG集合論ではクラスの概念は 公理化(例えば、「別の実体の要素でないような実体のこと」である。など)されている。 基礎となる理論をどうとるかに依らず、全ての集合はクラスである。 クラスのうち、集合でないもの(これは、ZFでは公式には存在しないものである。)を真のクラスと呼ぶ。 そしてクラスのうち、集合であるものを小さいクラスと呼ぶこともある。 例えば、全ての順序数の集まり、全ての集合の集まりは、多くの形式的体系の下で真のクラスである。

集合論の外で、"クラス"は"集合"と同様に使われることがある。 この用法はクラスと集合が近代の集合論の専門用語として区別されていなかった時代からある。 19世紀以前の多くの"クラス"に関する議論は集合のことを指していた、もしくはもっと曖昧な概念をさしていた。

与えられたタイプの代数的対象全ての集まりは、たいてい真のクラスをなす。 例えば、全ての群によるクラス、全てのベクトル空間によるクラス、など。 圏論では、対象の集まりで真クラスをなすもの(または射の集まりで真クラスをなすもの) をlarge categoryという。

超実数全体は、体の公理を満たす対象による真クラスである。

集合論では、集合の集まりの多くは真クラスになってしまう。例えば、全ての集合によるクラス、 全ての順序数によるクラス、全ての基数によるクラスなど。

クラスが真クラスであることを証明する方法に、 全ての順序数によるクラスとの間に全単射を与えるというものがある。 この方法は、自由な完備束が存在しないことの証明で使われたりする。

パラドックス

素朴集合論のパラドックスは「全てのクラスが集合である」という正しくない仮定によって説明される。 厳格な基礎付けの下、これらのパラドックスは、対象となっているクラスが真クラスであることの証明の ヒントになる。例えばラッセルのパラドックスは「自分自身に属する集合」全体が真クラスになることを示唆するし、 ブラリ-フォルティのパラドックスは全ての順序数によるクラスが真クラスであることを示唆している。

正式な集合論におけるクラス

ZFではクラスを公式には扱っていない。クラスはメタ言語による同値な言明に置き換えられる。 例えば、 を、ZFを解釈する構造として、 メタ言語での表現 における解釈は、Aをドメインとする要素全ての集まりによってなされる。 つまり、 の要素である集合全てである。全ての集合によるクラスというのは、 x=xという述語、またはそれに同値な述語によって一意的に定められる。

なので、クラスというのはZFの理論下でいかなる正式なステータスも持たないし、 クラスに直ちに定義できる公理も存在しない。 しかしながら、到達不能基数κの存在を仮定すると、 κ未満のランクの集合がZFのモデル(グロタンディーク宇宙)を構成し その部分集合が"クラス"として考えられる。

別のアプローチで、ノイマン-ベルナイス-ゲーデル公理系(NBG)を使うものがある。 この理論ではクラスは基本的なオブジェクトで、 集合は別のクラスの要素であるクラスとして定義される。 しかしながら、NBGの集合の存在公理は、クラスの上を走る量化ではなく、 集合の上を走る量化のみに制限されている。 これにより、NBGはZFの保守拡大である。

モース-ケリーの集合論(MK)は真クラスを基礎的な対象としてNBGのように認める、 しかし、集合の存在公理の中で全ての真クラスを走る量化をも許す。 これにより、MKは真にZFやNBGより強い。

参考文献

  • Jech, Thomas (2003), Set Theory, Springer Monographs in Mathematics (third millennium ed.), Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-3-540-44085-7 
  • Levy, A. (1979), Basic Set Theory, Berlin, New York: Springer-Verlag