曖昧

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言語学言語哲学論理学の用語としての曖昧(あいまい)、または曖昧さ曖昧性は、主に二通りの意味があり、

多義性[編集]

一つの言葉に複数の意味を読み取れる状態、すなわち言葉が「多義性」をもつ状態を「曖昧」 (英語: ambiguous) という。

哲学論理学の歴史において「多義性」は古くから言及されており、例えばアリストテレスソフィスト的論駁について』では、論理的誤謬に関する文脈で言及されている[2]

近代以降では、文芸批評家ウィリアム・エンプソンが、著書『曖昧の七つの型』(Seven Types of Ambiguity)において書名通り「曖昧」(多義性)を7つに分類し、多義性に積極的な価値を見い出し、ニュー・クリティシズムの先駆となった。なお、彼は同書で多義性が生まれる理由をそれによって意味がより直接的に伝えられると思うからではないかと推察している。

  1. あるいはの構造が同時に多様に働く場合
  2. 2つ以上の意味が融け合い一つの意味になる場合
  3. 2つ以上の意味を持つ語の各意味が、ともに適切である場合(すなわち地口)
  4. 文章にある2つ以上の意味が、それぞれの意味が他と一致せず複雑な心理を明らかにする場合
  5. その観念が生成過程であるため比喩が正確にあてはまる対象がない場合
  6. 文章が類語の反復矛盾を引き起こし、何も意味していない場合
  7. 語の2つの意味が、2つの対立する意味をなし、主体分裂を示している場合

ファジィ[編集]

境界が不明瞭であるという意味の「曖昧」(英語: fuzzy)もある。こちらの「曖昧」には多義性という意味はない。

哲学・論理学においては、「砂山のパラドックス」でいう「曖昧」がこれにあたる。

近代以降では特に「ファジィ理論」として言及され、制御工学における「ファジィ制御」などとして応用されている。

ファジィ集合[編集]

ファジィ集合では、通常の集合における「ある集合に属している、または、属していない」という考え方を拡張し、「ある集合にどの程度属しているか」という曖昧さをもって、その集合(ファジィ集合)に属しているかいないかを定義する。たとえば「温帯」という集合があって、それに「日本」という要素が属するかということを例にあげる。日本の領域のうちのほとんどの地域は温帯といわれているが、一部の地域はそうではない。そのようなときに「どの程度温帯なのか」を(何パーセントというように)定量化し、それを温帯という集合に属する度合いとする。ある要素がある集合に属しているのかが曖昧ということは、ある集合自体の境界もまた曖昧になる。

ファジィ論理[編集]

その他[編集]

  • 曖昧模糊(あいまいもこ):ぼんやりとしており、はっきりしない様。模糊は曖昧と同義の言葉である。
  • 日本語の「曖昧」は「いかがわしい」という意味も持っている。例えば「曖昧屋」と言えば、密かに売春させる店を指す。「曖昧屋 (ウィクショナリー)」も参照のこと。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注または引用文献[編集]

  1. ^ 小学館プログレッシブ英和中辞典 第5版 (2012). "ambiguity とは". goo辞書. 2018年11月12日閲覧
  2. ^ Sennet, Adam (2016). Zalta, Edward N.. ed. Ambiguity (Spring 2016 ed.). スタンフォード哲学百科事典. https://plato.stanford.edu/archives/spr2016/entries/ambiguity/