SA 330 (航空機)
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SA 330 ピューマ
SA 330 ピューマ(英語: SA 330 Puma)は、フランスのシュド・アビアシオンおよび、その後身アエロスパシアル製の汎用ヘリコプター。イギリスのウエストランドでもピューマ HC Mk.1として製造された。
概要
[編集]フランス陸軍向けにS-58とH-21を更新する、兵士20人か担架6台を積載可能な全天候型汎用ヘリコプターとして発注され、当初は「アルエットIV」として計画が進行した。
1967年にはイギリス空軍が採用し、SA 341 ガゼルおよびリンクスと共にイギリス・フランス両国の共同計画となった。
1968年9月に生産型が初飛行。その後も改良が続けられた結果、1978年4月25日にはソ連製ヘリコプター以外では初の氷雪気候下を含む全天候型ヘリコプターとなった。
1987年、8種の派生型による697機をもって生産を完了。後継のAS 332 シュペルピューマに引き継がれた。南アフリカ・ルーマニア(IAR-330)・インドネシアでライセンス生産が行われた。
派生型
[編集]- SA 330A
- 試作型。通称アルエットIV。
- SA 330B
- フランス陸軍向けの最初の生産型。
- SA 330C
- 最初の輸出型。
- SA 330E
- イギリス向け生産型。ピューマ HC Mk.1の名称で生産された。
- SA 330F
- タルモ III C4 エンジンを搭載した、最初の民間向け輸出型。
- SA 330G
- タルモ VIC エンジンを搭載し、ローターを改良した、民間向け輸出型。
- SA 330H
- SA 330Gに準ずる近代化改修型。フランス空軍ではSA 330Baの名称で使用される。
- SA 330J
- 民間向け近代化改修型。
- SA 330L
- 高地・高温環境型。
- SA 330S
- ポルトガルの近代化改修型。
- SA 330Z
- フェネストロン(埋め込み式テイルローター)試験型。
- SA 330 オーキデ
- オーキデ捜索システムを搭載した、フランス陸軍向け改造型。
- オリックス
- 南アフリカの性能向上型。
- IAR-330
- ルーマニアのライセンス生産型。SA 330Lに相当。
- NAS 330
- インドネシアの生産型。11機生産。SA 330Jに相当。
採用国
[編集]軍用型
[編集]民間型
[編集]- ドイツ
- 南アフリカ共和国
- アメリカ合衆国
- 日本
- 東京消防庁航空隊がSA330F(JA9512 ゆりかもめ、航空科学博物館屋外に展示)、東北エアサービスがSA330J(JA330T おたかぽっぽ)をそれぞれ1機導入した。
性能・主要諸元
[編集]出典: Jane's All The World's Aircraft 1976-77 [2]
諸元
- 乗員: 3名
- 定員: 16名
- 全長: 18.15m (59ft 61⁄2in)
- 全高: 5.14m (16ft 101⁄2in)
- ローター直径: 15.00m (49ft 21⁄2in)
- 空虚重量: 3,536kg (7,795lb)
- 最大離陸重量: 7,000kg (15,430lb)
- 動力: チュルボメカ テュルモ IVC ターボシャフト、1,175kW (1,575hp) × 2
性能
- 超過禁止速度: 273km/h=M0.22 (147knots, 169mph)
- 最大速度: 257km/h=M0.21 (138knots, 159mph)
- 巡航速度: 248km/h=M0.20 (134knots, 154mph)
- 航続距離: 580km (313nm, 360mi)
- 実用上昇限度: 4,800m (15,750ft)
- 上昇率: 7.1m/s (1,400ft/min)
登場作品
[編集]映画・テレビドラマ
[編集]- 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
- 統合防衛軍の輸送ヘリコプターとして登場。主人公のウィリアム・ケイジ少佐が、移動する際に搭乗する。
- 『救急戦隊ゴーゴーファイブ』
- 第6話に首都消防局の消防防災ヘリコプターとしてJ型が登場。首都消防局航空隊本部の格納庫内に駐機されている。
- 『若き勇者たち』
- ソ連軍のヘリコプターとして本機を改造した機体が登場している。
- 『ランボーシリーズ』
-
- 『ランボー/怒りの脱出』
- 北ベトナム軍の攻撃ヘリコプターとして、本機を改造したMi-24 ハインドもどきが登場。主人公のジョン・ランボーらが乗るベル 212と空中戦を繰り広げる。
- 『ランボー3/怒りのアフガン』
- 『怒りの脱出』と同様のMi-24 ハインドもどきが、ソ連軍所属機として登場。ドアガンが前作ではベトナムだったためDShKだったのに対して、今作はアフガニスタンが舞台なので砂や泥に強いFN MAGに変更されている。
漫画
[編集]- 『ヨルムンガンド』
- アフリカ海賊が所有するヘリコプターとして、オリックスが登場。26mm ロケット弾ポッドを搭載している。
- 『リトルコップ』
- 私設軍隊「影の軍隊」の装備として登場。警視庁の調査員が盗撮した写真内に物資を吊り下げ輸送任務にあたっている姿が写されている。
小説
[編集]- 『樹海戦線』
- ソ連から派遣された「ヴイソートニキ」(特殊部隊)チームをカナダの森林地帯に運び込む「民間」ヘリコプターとして登場。同チームを森林内の湖に展開させる際、脚を収納したままホバリングしながら湖面に着水する「フランスの技術」を披露する。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 91. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ Taylor 1976, pp. 41—42.
関連項目
[編集]- 汎用ヘリコプター
- AS 332 シュペルピューマ - 本機を発展させて開発された大型ヘリコプター。