JOY (スターリンのアルバム)

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JOY
スターリンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1989年
STUDIO "A"
ジャンル ロック
ポストパンク
パンク・ロック
ニュー・ウェイヴ
時間
レーベル アルファレコード
プロデュース STALIN
チャート最高順位
スターリン アルバム 年表
JOY
(1989年)
STALIN
(891989年)
EANコード
遠藤ミチロウ関連のアルバム 年表
-1 (MINUS ONE)
1988年
JOY
(1989年)
STALIN
(1989年)
『JOY』収録のシングル
  1. 包丁とマンジュウ
    リリース: 1989年2月25日
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JOY』(ジョイ)は、日本ロックバンドスターリンの通算1枚目のオリジナルアルバム

1989年2月25日アルファレコードからリリースされた。全曲共に作詞および作曲は遠藤ミチロウ、編曲はSTALINと一部の曲で元PINKの逆井オサムが担当、プロデューサーはSTALINとなっている。

ザ・スターリンは1985年に解散し、後にボーカルの遠藤を中心にビデオのみをリリースするというコンセプトで結成したビデオ・スターリンは2本のビデオとアルバム『-1 (MINUS ONE)』をリリースした後に活動停止となった。その後、さらなる新たなメンバーによって結成された「ザ」のつかないスターリンによる復活第一弾のアルバムである。

レコーディングは同年にSTUDIO "A"にて行われた。先行シングルはなく、本作と同日にシングルカットとしてリリースされた「包丁とマンジュウ」が収録されている他、ドーピングによるベン・ジョンソンの金メダル剥奪を主題とした曲などが収録されている。音楽性は歌詞こそ遠藤による捻りの利いた独特の語感は擁していたものの、サウンドはザ・スターリン時代とは一線を画すもので、ギタリスト、ベーシスト、ドラマーともすでにベテランの域に入っており、テクニカルな演奏で仕上げられた。

オリコンチャートでは最高位32位となった。

背景[編集]

1985年2月21日大映スタジオにて行われた解散記念ライブ「I was THE STALIN〜絶賛解散中〜」を最後にザ・スターリンは解散。ボーカルの遠藤はその後Michiro, Get the Help!名義でアルバム『オデッセイ・1985・SEX』(1985年)、ゲイノー・ブラザーズ名義でアルバム『破産』(1986年)、パラノイア・スター名義でアルバム『TERMINAL』(1987年)をそれぞれ発表した[1]。また、パラノイア・スターと同時期にはビデオのみをリリースするというコンセプトでビデオ・スターリンを結成し、2本のビデオと1枚のアルバムを発表したが、1988年8月4日の宮城県唐桑臨海劇場でのライブを最後に活動停止となった[2]

同年、遠藤は新たなメンバーとして元ルースターズの三原重夫、THE LIPSの山盛愛彦、パラノイア・スターにも参加していた西村雄介を迎え、「ザ」の付かない「スターリン」として再結成した。本作リリース前の1月21日には、遠藤の友人である大学教授の粉川哲夫が在籍する和光大学において、「スターリンのライブを見てレポート書く」という期末試験が企画され、そこで初のライブが行われた[3]

音楽性[編集]

実験的に作詞をしてた。既存の文章や新聞を歌詞にしたのも"何でも歌詞になり得るんだ"という実験の見本。
遠藤ミチロウ,
遠藤ミチロウ全歌詞集完全版「お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました。」1980 - 2006より[4]

ザ・スターリン時代のパンク・ロックサウンドとは一線を画す内容となっている。芸術総合誌『ユリイカ9月臨時増刊号 総特集*遠藤ミチロウ1950-2019』においてライターの行川和彦は、遠藤のソングライティングに関して「ザ・スターリン解散以降の音楽活動を踏まえたユーモラスなポップ感が曲にも音にも歌詞にも表れている」と表記した他、ザ・スターリン在籍時の遠藤からは想像もつかないアルバムタイトルであり皮肉にも思えると指摘したが、「サウンドは正直でポジティヴな響きが迫ってきて当時のミチロウの意気込みが伝わってくる」と表記している[5]

1曲目の「誰だ!」に関して、いぬん堂こと赤牛戸圭一は「(復活の一曲目という事が)何か暗示的な気がする」と語り、マガジン・ファイブ代表の菅野邦明は未来志向的であり好奇心を示すエネルギーのある曲であると発言、遠藤は電気グルーヴのシングル「誰だ! (Radio Edit)」よりも先にリリースされた事を指摘している[6]。ライターの行川は当時の遠藤の覚悟が叩き込まれた曲であると指摘し、「パーカッシヴかつグルーヴィなアップ・テンポ」の曲であると表記している[5]

2曲目の「包丁とマンジュウ」のタイトルの意味は、男性器と女性器の比喩であると遠藤は述べている[6]。また、「マンジュウ」は鹿児島県では実際に女性器を指す言葉である事から放送禁止歌にされたという[6]。さらに遠藤は料理好きであり饅頭好きのため「単純に俺の好きなものを二つ並べたんだけどね」とも語っている[6]。ライターの行川は「曲調もコミカル」と表記している[5]

4曲目の「インターナショナル」は、1988年ソウルオリンピックにて発生したドーピングによるベン・ジョンソンの金メダル剥奪を報じた新聞記事をそのまま歌詞にしている[3]。これはザ・スターリン時代の曲「先天性労働者」がカール・マルクスによる共産党宣言を歌詞にした事と同様であり、遠藤によると「なんでも歌詞になり得るんだ」という実験であったという[7]。また、吉本隆明の「作品がなくても批評できるんだ」という言葉に影響された部分もあると語っている[7]。ライターの行川は遠藤も学生運動に参加した際に歌ったとされる社会主義共産主義労働歌を思わせると指摘した上で「痛快だ」と表記した[5]。冒頭のナレーションは当時日本テレビ所属アナウンサーであった小倉淳が担当している[3]

リリース[編集]

1989年2月25日アルファレコードからLPCDの2形態でリリースされた。

同年4月には渋谷公会堂にてライブが行われ、その模様を収録したライブ&ミュージック・ビデオ『P.』が7月25日にリリースされた[1]。このビデオに収録されている1曲目の「ミチ子ちゃんのデート」はアルバムには未収録となっている。

収録曲[編集]

全作詞・作曲: 遠藤ミチロウ

A面
#タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
1.誰だ!(DA・RE・DA!)  STALIN
2.包丁とマンジュウ(HOCHO & MAN-JYU)  STALIN
3.NO.1(ナンバー・ワン)  STALIN
4.インターナショナル(INTERNATIONAL)  STALIN、逆井オサム
5.A・B・C・D・E・F・G  STALIN
合計時間:
B面
#タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
6.INSIDE LOVE  STALIN、逆井オサム
7.タイムトンネル(TIME TUNNEL)  STALIN
8.チャンティック(CANTIK)  STALIN、逆井オサム
9.Y  STALIN
合計時間:

スタッフ・クレジット[編集]

STALIN[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • スターリン - プロデューサー
  • 寺田康彦 - レコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニア
  • 上原キコウ(スタジオA) - アシスタント・エニジニア
  • 土田真康 - ディレクター
  • 原神一 - アート・ディレクター
  • RICE - デザイン
  • 和田茂 - 写真撮影
  • 渡辺ノブハル - ヘアー・メイク・アップ
  • 山本康一郎 - スタイリスト
  • 安江みいな - マネージメント
  • B.Q. CO.,LTD. - マネージメント
  • HIROKO MARU - スペシャル・サンクス
  • TOM 永島 - スペシャル・サンクス
  • 成沢正三 - スペシャル・サンクス
  • 渋谷陽一 - スペシャル・サンクス
  • 秋谷悦弘 - スペシャル・サンクス
  • ヨロシタ・ミュージック - スペシャル・サンクス

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 遠藤ミチロウ 2007, p. 322- 「MICHIRO's History」より
  2. ^ いぬん堂 ライナーノーツ「VIDEO-SATLIN/MINUS ONE -LEGACY EDITIONによせて」 『-1 (MINUS ONE)-LEGACY EDITION-』、いぬん堂 、2012年。
  3. ^ a b c いぬん堂 ライナーノーツ「当然だけど、全部ミチロウが歌っています!」 『飢餓々々帰郷』、いぬん堂 、2007年。
  4. ^ 遠藤ミチロウ 2007, p. 307- 「あとがき」より
  5. ^ a b c d ユリイカ 2019, p. 75- 行川和彦「ザ・スターリン解散からスターリン解散まで」より
  6. ^ a b c d 遠藤ミチロウ 2007, p. 309- 「あとがき」より
  7. ^ a b 遠藤ミチロウ 2007, p. 308- 「あとがき」より
  8. ^ クラウンレコード所属。
  9. ^ MOON RECORDS所属。

参考文献[編集]

  • 遠藤ミチロウ『遠藤ミチロウ全歌詞集完全版「お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました。」1980 - 2006』マガジン・ファイブ、2007年3月6日、307 - 322頁。ISBN 9784434102165
  • ユリイカ9月臨時増刊号 総特集*遠藤ミチロウ1950-2019』第51巻第15号、青土社、2019年8月31日、 75頁、 ISBN 9784791703739

外部リンク[編集]