限韓令

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限韓令(げんかんれい、朝鮮語: 한한령)、ないし、禁韓令(きんかんれい、朝鮮語: 금한령)は、2016年大韓民国THAADミサイルの配備決定を公表して以降に、中華人民共和国がとった様々な報復措置とされる方策のうち、特に韓流文化への規制を指して、おもに韓国のメディアが用いる表現[1][2][3][4]韓流禁止令と称されることもある[5]。また、中国人観光旅行客の韓国への渡航を規制する方策が、この表現で言及されることもある[6]

このような措置は、2017年秋の段階でも継続していると考えられているが[4]、具体的に何らかの包括的な法令なり命令が公にされているわけではなく、中国側は、報復措置として行なわれた行為とは認めていない[2][7]

テレビ・ドラマの放送中止[編集]

中国でも韓流テレビ・ドラマは人気であったが、THAAD配備計画の発表後、放送の中止などが広がり、ほとんど放送されなくなったという[7][8]

韓国のテレビドラマ『鬼(トッケビ)(도깨비)』は、放送中止とされた作品のひとつである[5]

韓国芸能人のメディアへの露出の制限[編集]

2016年秋以降、中国は韓国芸能人のメディアへの露出の制限したとされ、中国での活動のためにビザの申請をした韓国人芸能人へのビザ発給が拒まれて活動ができなくなるなどの事例が起こった[9]。韓国では、2016年11月以降、北京市のステージに立った韓国人ミュージシャンはいないとも報道された[9]

その後も、地方都市で小規模なライブが認められた例はあるものの、EXOが2017年1月に南京市で予定していた1万人規模のコンサートが延期とされるなど、大規模なコンサートは抑制されているものとみられている[5]

韓国内における訴訟[編集]

中国における韓国芸能人の活動が事実上規制されたことを受け、韓国では、中国におけるプロモーション活動をめぐって芸能プロダクションの間で訴訟が起こった[3]2017年1月30日に下された判決の中で、ソウル中央地裁は、「この事実と原告の証拠だけでは、戦争や自然災害など当事者らの合理的な支配を超える事件の発生や、法令・政府の規制で該当グループの中国での芸能活動が不可能になったとは認められない」とする判断を示した[3]

影響[編集]

限韓令が取りざたされるほどの中韓関係の悪化、文化交流の後退の結果、韓国の芸能産業が中国市場に代わって日本市場をより強く意識するようになっている、という見方もある[10]

他方では中国では、韓国ドラマなど韓流コンテンツの流通が大幅に減少した後を受けて、日本のアニメの人気が高まったとも報じられた[8][11]

脚注[編集]

  1. ^ “中国 韓国に「報復」 THAAD配備反発”. 読売新聞・東京朝刊: p. 7. (2017年1月16日). "中国が「報復」を始めたのは、昨年秋頃から。中国で人気が高い韓国ドラマの放送などが突然中止となり、韓国メディアは「韓流文化」を中国から排除するための「限韓令」が出たと報じた。"  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  2. ^ a b 金承範 (2016年8月13日). “THAAD:韓国政府、中国に貿易報復懸念を表明” (日本語). 朝鮮日報. 2017年11月29日閲覧。
  3. ^ a b c 中国の“禁韓令”はまるで戦争!韓国芸能事務所の訴えに下された判決は?=韓国ネット「脅迫に屈するな」「なんで反中デモはしないの?」” (日本語). Record China (2017年1月31日). 2017年11月29日閲覧。
  4. ^ a b 続く「禁韓令」・・・中国人を尊重しないなら「韓流スターも出ていってくれ」=中国” (日本語). サーチナ/モーニングスター (2017年9月5日). 2017年11月29日閲覧。
  5. ^ a b c “韓流追い出し”「限韓令」ますます拡大中、韓国メディアは「制限しきれない」と自画自賛も―中国”. Record China (2017年1月31日). 2017年11月30日閲覧。
  6. ^ 「限韓令」解除? 中国当局「日本旅行の制限を」” (日本語). 中央日報 (2017年5月26日). 2017年11月29日閲覧。
  7. ^ a b 牧野愛博; 延与光貞 (2017年2月28日). “THAAD敷地、ロッテ系が同意 中国側は反発 ゴルフ場提供”. 朝日新聞・朝刊: p. 12. "THAADをめぐっては、これまでも中国側が韓国ドラマや韓国製品を国内から締め出す「限韓令」を出していると、韓国メディアが報じてきた。中国外務省は「聞いたことがない」と存在を否定している。"  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  8. ^ a b 小高航; 張勇祥 (2017年5月2日). “中国、アニメ愛2兆円、現地発のコンテンツ、日本らしさ人気、日中合作「初音ミク」制作”. 日本経済新聞・朝刊: p. 11. "若者に人気だった韓国ドラマは中国政府が暗に締め出したことで、ほとんど流通しなくなった。韓国の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備に伴う中韓関係の悪化が影響したとみられる。日本のアニメが人気になったのは韓国コンテンツの締め出しの影響もありそう。" 
  9. ^ a b 限韓令の範囲が拡大か、韓国「さらなる報復の前に解決を」=中国報道” (日本語). サーチナ/モーニングスター (2017年1月23日). 2017年11月30日閲覧。 “中国は韓流スターの露出を制限しているとされるが、... 韓国の音楽家にビザが発給されず、中国国内でのコンサートが開催できない可能性が高まっていると伝えたほか、すでにビザ発給を拒絶された音楽家もいると紹介。16年11月以降、韓国の演奏家は1人として北京市内の舞台に立てていないと伝えた。”
  10. ^ 前田かおり (2017年4月1日). “韓国映画、気を吐く日本人――國村隼、映画賞受賞の快挙(オフナビ)”. 日本経済新聞・夕刊: p. 5. "...、中国政府は韓流コンテンツを締め出す「禁韓令」を出している。「これまで韓国のエンタテインメント界にとって、中国は頼みの綱でしたが、今後の行方は不透明です。...韓国映画界は一層、日本寄りの様相を深めるのではないかと思います」(土田氏)"  - 「『日経エンタテインメント!』4月号から再構成」と注記されている記事:引用文中の「土田氏」は映画プロデューサー・土田真樹
  11. ^ 中国で日本アニメの快進撃支える「禁韓令」 コンテンツ締め出し” (日本語). IZA (2016年12月8日). 2018年1月2日閲覧。