「フーコーの振り子」の版間の差分

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[[ファイル:Panthéon Pendule de Foucault2.JPG|thumb|[[フランス]][[パリ]]の[[パンテオン (パリ)|パンテオン]]のフーコーの振り子。[[1851年]]、初めて一般向けの公開実験が行われた場所である{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=67}}。[[1995年]]よりフーコーの振り子が再現されている{{sfn|The Geek Atlas|2009|p=43}}。]]
[[File:Foucault pendulum animated.gif|thumb|right|180px|フーコーの肖像と南半球における振り子の動作]]
'''フーコーの振り子'''(フーコーのふりこ、[[フランス語]]:Pendule de Foucault)は、長い[[振り子]](通常10m以上)底に[[質量]]の大きおもりつけたもので、[[地球]]が[[自転]]していることの証明に使用される。[[レオン・フーコー]]が[[1851年]][[1月8日]]に[[パリ]]の[[パンテオン (パリ)|パンテオン]]で公開実験を行い、地球の自転を証明した。
'''フーコーの振り子'''(フーコーのふりこ、{{lang-fr-short|Pendule de Foucault}}、{{lang-en-short|Foucault pendulum}})は、[[地球]]の[[地球の自転|自転現象]]を示す演示実験である。自転運動する物体上で、長をもつ周期長い[[振り子]]を長時間振動させると、次第に振動面変化することが観察できる。[[1851年]]、[[フランス]]の[[レオン・フーコー]]が考案し、[[パリ]]の[[パンテオン (パリ)|パンテオン]]で公開実験を行た。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[ファイル:FoucaultGlobusAnima.gif|thumb|北極点におけるフーコー振り子のシミュレーション]]
[[File:Foucault pendulum at north pole accurate.PNG|thumb|right|180px|フーコーの振り子が北極におかれた場合のイメージ。振り子に対して、1日で地面(地球)が1回転する。]]
フーコーの時代、地球の自転は常識となりつつあったが、それを物理的に証明する方法は開発されていなかった。フーコーは、振り子を振れさせると、[[赤道]]以外の場所では、地球の自転によって振り子の振動方向がみかけ上少しずつ回転するようにずれていく(北半球では右回りに、南半球では左回りに)はずだと考えた。[[1851年]]にまず自宅地下室で2mの振り子を用いて実験を行い、同年2月[[パリ天文台]]にて公開実験を行って、成功を収めた。さらに[[ナポレオン3世]]の厚意により、同年3月から12月にかけてパンテオンにて公開実験が行われた。このとき用いた振り子は、パンテオンの大[[ドーム]]から全長67mのワイヤーで28kgのおもりを吊るしたものであった。この振り子のオリジナルは、パリのメチエ博物館に保存されている。また公開実験が行われたパンテオン内でも振り子の展示を見ることができる。


振り子を長時間振動させつづけると、その振動面が少しずつ回転する{{sfn|日常の物理事典|1994|p=280}}。例えば、北極点の真上に振り子を置いて振動させると、振り子は一定方向に振動を続けるが、振動面は24時間で360度回転する{{sfn|日常の物理事典|1994|p=280}}。これは振り子の振動面が支点を通る鉛直軸まわりの回転から影響を受けないために起こる{{sfn|佐藤、フーコー振子の誤解|1966|p=76}}。振り子の錘は外力を受けなければ、いつまでも直線運動を続ける{{sfn|日常の物理事典|1994|p=280}}。これは[[慣性|慣性の法則]]から明らかである{{sfn|日常の物理事典|1994|p=280}}。振り子の錘は支点に向かって力を受けているが、これは振動面の面内に働く力であり振動面を変える効果はない{{sfn|日常の物理事典|1994|p=280}}。
フーコーの振り子は、[[コリオリの力]]が関係している。このため、この振り子の発明者はフーコーではなく[[ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ]]だと言われることがあるが、実際にはコリオリは自身の発見したコリオリの力が地球の自転の証明に使えるとは考えなかった。


振動面の変化は、振り子上面からみて北半球の場合は右回り、南半球では左回りとなる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=73}}。赤道上においては振動面の回転は発生しない{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=73}}。緯度<math>\theta</math>において、フーコーの振り子の振動面の回転は1日あたり<math>360^\circ \sin \theta</math>、1時間あたり<math>15^\circ \sin \theta</math>となる{{sfn|日常の物理事典|1994|p=281}}(参照:[[#フーコーの正弦則]])。この関係から逆算して、建物のなかで振り子を振動させて、振動面の回転速度を観測すると、振り子のある地点の緯度と北半球か南半球かがわかる{{sfn|日常の物理事典|1994|p=281}}。
フーコーは在野の研究者で、いわゆる職業科学者ではなかったため、公開実験を見た科学者たちは、このような簡単な実験は既に誰かが思いついて行っているはずだと考え、過去の記録をあたったが、そのようなものは存在しなかった。


例えば、東京を通る北緯35度で、減衰しない理想的な振り子を振動させたとき、振動面は1時間あたり8.6度、1日で206.5度回転する。つまり振り子の振動面は前日とは異なる位置になるが、夜空の星座の位置は24時間経過すると、ほぼ同じ位置に戻っている{{sfn|日常の物理事典|1994|p=281}}。この違いもフーコーの振り子を直感的に理解することを難しくする要因である{{sfn|日常の物理事典|1994|p=281}}。
フーコーの振り子が1周するのに必要な時間は、次の式で表される。この式もフーコーが発見した。


原理上、地球上で振動している振り子は、すべてフーコーの振り子といえる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=67}}。しかし、振り子によって地球の自転を観察するためには、振り子を長時間振動させる必要があり、錘の楕円運動など阻害要因を可能な限り除去する必要がある{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=44}}。このため、基本的に長い弦と質量の大きい錘が求められる{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=46}}{{sfn|村内・浅沼、国立科学博物館のフーコー振り子の構造と改良|1970|p=55}}。
: 1周に必要な時間(日) = 1日/sinθ(ここでθは振り子の場所の緯度)
:: 時間で計算するには、24時間/sinθ


一方でフーコーの振り子の装置は通常大型となり、また振り子による地球の自転の観測は時間がかかる。このため、[[チャールズ・ホイートストン]]が1851年に発表した装置([[#ホイートストンの装置]]を参照)をはじめとして{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=75}}、模型を使って簡易的に原理を説明する試みも多数発表されている。以下にフーコーの振り子の模型によるシミュレーションを撮影した動画を示す。
この式が正しいことは、後に他の科学者によって証明された。フーコー自身は式は提示したが証明は行っていない。


{{-}}
== フーコーの振り子が見られる場所 ==
{{multiple image
| image1 = Model of Foucault's pendulum 1.ogv
| caption1 = ターンテーブル上での振り子の動き
| image2 = Model of Foucault's pendulum 2.ogv
| caption2 = ターンテーブル上(回転座標系)で振り子を横方向から観察したもの
| image3 = Model of Foucault's pendulum 3.ogv
| caption3 = ターンテーブル上(回転座標系)で振り子を下から見上げて観察したもの
| header = '''フーコーの振り子の模型によるシミュレーション動画'''
| width = 200
| align = center
}}


== 理論 ==
<!-- 追記するときは、出典付きで -->
=== 単振り子の等時性 ===
弦の下端に錘を、上端を固定して吊るし、同一鉛直平面内で振動させたものを単振り子という。単振り子の弦の長さを<math>l</math>、重力加速度を<math>g</math>とすると、振り子の周期<math>T</math>は、次式で表現できる。


{{Indent|<math>T = 2 \pi \sqrt{\frac{l}{g}}</math><math>\qquad\cdots\ </math>(1-1)}}
;{{USA}}
:*{{仮リンク|フランクリン研究所|en|Franklin Institute}}<ref>[https://www.fi.edu/exhibit/foucault%E2%80%99s-pendulum Foucault's Pendulum ]</ref>([[ペンシルベニア州]][[フィラデルフィア]])
:* [[グリフィス天文台]]<ref>[http://griffithobservatory.org/exhibits/centralrotunda_foucaultpendulum.html Foucault Pendulum]</ref>
:
;{{JPN}}
:*[[札幌市青少年科学館]]([[北海道]][[札幌市]])<ref>[http://www.ssc.slp.or.jp/tenji/#000002 札幌市青少年科学館 展示案内]</ref>
:*[[弘前大学]]文京キャンパス([[青森県]][[弘前市]]) - 理工学部棟に日本最大<ref>[http://www.st.hirosaki-u.ac.jp/~takaf/Foucault.htm 弘前大学サイエンスパーク 「フーコー振り子」のページ]</ref>のフーコーの振り子が設置されている。
:*[[郡山女子大学]]([[福島県]][[郡山市]]) - 創学館ネーチャードーム内、見学には正門受付での手続きが必要<ref>[http://www.koriyama-kgc.ac.jp/institution/s-faculty 学園の施設 | 学校法人郡山開成学園]</ref>
:*[[国立科学博物館]]([[東京都]][[台東区]])<ref>[http://www.kahaku.go.jp/userguide/access/pamphlet/download/guide_jp_omote1.pdf 日本館B1に展示]</ref>
:*[[さいたま市青少年宇宙科学館]]([[埼玉県]][[さいたま市]])<ref>{{Cite web|title=無料で体験!常設展示のご案内---さいたま市青少年宇宙科学館|url=http://www.kagakukan.urawa.saitama.jp/tnj02.html|website=www.kagakukan.urawa.saitama.jp|accessdate=2019-08-31}}</ref>-1階ふしぎ広場にて常設展示
:*[[葛飾区郷土と天文の博物館]](東京都葛飾区) - おもり部分の直径約38センチメートル・吊り下げワイヤー長さ14メートル<ref>[http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/permanent/foucault/ 葛飾区郷土と天文の博物館 「フーコー振り子」のページ]</ref>のフーコーの振り子が設置されている。2018年6月16日におもり周辺の壁面をクリアーに改修することで観察しやすくなった
:*[[渋谷教育学園幕張中学校・高等学校]]([[千葉県]][[千葉市]][[美浜区]]) - 中学棟ホールに設置されている。<ref>[https://www.shibumaku.jp/outline/facilities/other/ 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 その他の施設]</ref>
:*[[新潟県立自然科学館]]([[新潟県]][[新潟市]][[中央区 (新潟市)|中央区]])螺旋階段の1階入り口に設置されており、天井から吊るされている。<ref>{{Cite web|url=http://1000enpark.com/park/niigata/niigata_tyuuou/sciencemuseum.html|title=新潟県立自然科学館(1000円もって公園へ行こう!)|accessdate=2018-04-29|website=1000enpark.com|language=ja}}</ref>
:*[[名古屋市科学館]]([[愛知県]][[名古屋市]]) - 生命館の吹き抜けに設置されている。<ref>[http://www.ncsm.city.nagoya.jp/cgi-bin/visit/exhibition_guide/exhibit.cgi?id=L101 名古屋市科学館 展示ガイド]</ref>
:*[[京都市青少年科学センター|京都市立青少年科学センター]]([[京都市]][[伏見区]])<ref>{{Cite web|title=京都市青少年科学センター {{!}} Kyoto Municipal Science Center For Youth|url=http://www.edu.city.kyoto.jp/science/about/1st.html|website=www.edu.city.kyoto.jp|accessdate=2019-02-05}}</ref>
:*[[大阪大学]]豊中キャンパス([[大阪府]][[豊中市]]) - 理学部H棟の玄関ホールに設置されている。[https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/wp-content/uploads/2014/02/%e7%89%a9%e7%90%86%e5%ad%a6%e7%a7%91.pdf]


これは単振り子の周期は、錘の質量の大小に関わらず弦の長さのみで周期がきまることを示している。また振れ幅の大小も、単振り子の周期とは無関係であり、これを「単振り子の等時性」という。
;{{FRA}}
:* [[パリ工芸博物館]]<ref>[https://www.arts-et-metiers.net/musee/demonstration-du-pendule-de-foucault Démonstration du pendule de Foucault]</ref>(パリ)
:* [[パンテオン (パリ)|パンテオン]]<ref>[https://www.monuments-nationaux.fr/Actualites/Apres-midi-d-avril-au-Pantheon.-science-et-reconnaissance.-avril-1791-avril-2009 Après-midi d’avril au Panthéon, science et reconnaissance, avril 1791 – avril 2009]</ref>(パリ)
<gallery>
File:Foucault pendulum in the Franklin Institute.jpg|thumb|{{仮リンク|フランクリン研究所|en|Franklin Institute}}のフーコーの振り子
File:Pendule de Foucault au musee des arts et metiers.jpg|[[パリ工芸博物館]]のフーコーの振り子
File:Foucaults pendulum pantheon.jpg|[[パンテオン (パリ)|パンテオン]]のフーコーの振り子
</gallery>


振り子の振動面の変化で地球の自転を目視するためには、振り子が長時間動作し、振動面の回転角度の変化が確認できる程度の振れ角が必要である。この条件を有利に働かせるために、弦の長さを長くする必要がある。
== 参考文献 ==

* {{Cite book|和書
=== フーコーの正弦則 ===
|author = アミール・D.アクゼル
[[ファイル:Foucault pendulum precession vs latitude.svg|thumb|300px|「フーコーの正弦則」による緯度と振動面の移動の関係を示したもの。赤実線:振り子の振動面が一周するのに要する時間。青点線:一日に振り子の振動面が回転する角度。]]
|translator = 水谷淳
[[ファイル:Foucault pendulum plane of swing semi3D.gif|thumb|北緯30度での振動面の変化を表したアニメーション。2日(48時間)で一周する。]]
|title = フーコーの振り子 <small>: 科学を勝利に導いた世紀の大実験</small>
「フーコーの正弦則」とは振り子の置かれた緯度と振動面の変化の関係式のことである。フーコーが1851年に「Démonstration physique du mouvement de rotation de la Terre au moyen du pendule(振り子による地球の回転運動の物理的実証)」と題して発表し{{sfn|Démonstration physique du mouvement de rotation de la Terre au moyen du pendule|1851}}、直後に[[ジョゼフ・リウヴィル]]が証明方法を発表している{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=97}}。
|edition =

|origyear =
地球の北半球上の緯度<math>\theta</math>に支点のある振り子が南北に振動していると考える。地球の半径を<math>R</math>、地球の自転による角速度を<math>\omega</math>、振り子の振幅を<math>r</math>とする。
|year = 2005

|publisher = [[早川書房]]
地球の中心点を原点とした座標系において、支点の直下での錘は自転により以下の速度で移動する{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=209}}。
|series =

|isbn = 4-15-208680-7
{{Indent|<math>\omega R \cos \theta</math>}}
|pages =

次に、振り子の錘が最も北にきたときの自転から受ける速度は以下の式になる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=209}}。

{{Indent|<math>\omega R \cos \theta - \omega r \sin \theta</math>}}

また、振り子の錘が最も南にきたときの点での自転から受ける速度は以下の式になる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=210}}。

{{Indent|<math>\omega R \cos \theta + \omega r \sin \theta</math>}}

つまり、振り子の錘は北側より南側に振れた点の方が速く移動していることになる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=209}}。振り子の支点直下からみて、両点が地球の自転から受ける速度は以下になる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=210}}。

{{Indent|<math> \omega r \sin \theta</math>}}

振り子の振動面が地球の自転の影響をうけて一周するとき、移動は円となりその円周は<math>2 \pi r</math>、一周に要する時間を<math>T_{rot}</math>とすると、上式をつかって以下のように表現できる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=210}}。

{{Indent|<math>T_{rot} = \frac{2 \pi r}{\omega r \sin \theta}</math>}}

地球の自転は約24時間であり、<math>\omega = 2 \pi / 24</math>となるので、振り子の振動面が一周するのに必要な時間<math>T_{rot}</math>は以下のようになる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=210}}。

{{Indent|<math>T_{rot} = \frac{24}{\sin \theta}</math><math>\qquad\cdots\ </math>(2-1)}}

この式を「フーコーの正弦則」と呼ぶ{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=94}}。また緯度<math>\theta</math>での1時間あたりの振動面の回転角度<math>\alpha_{rot}</math>は以下のようになる

{{Indent|<math>\alpha_{rot} = 15 \sin \theta</math><math>\qquad\cdots\ </math>(2-2)}}

=== 円錐を使った説明 ===
[[ファイル:Drehgeschwindigkeit der Erdoberfläche.gif|thumb|フーコーの正弦則について円錐を用いた説明(ドイツ語)]]
「フーコーの正弦則」の説明に円錐を使った方法も用いられることがある{{sfn|玉木、中緯度のフーコー振り子の振動面はなぜ24時間で1回転しないか|1981|p=38}}。

地球を真円と仮定し、地球の自転軸と共軸をとり緯度<math>\theta</math>で球面に1点で接する[[円錐]]を考える{{sfn|玉木、中緯度のフーコー振り子の振動面はなぜ24時間で1回転しないか|1981|p=38}}。円錐を展開すると側面は扇形となり、扇形の中心角<math>\alpha</math>は[[扇形]]の弧の長さと扇形の半径の比に等しい{{sfn|玉木、中緯度のフーコー振り子の振動面はなぜ24時間で1回転しないか|1981|p=39}}。扇形の弧の長さは円錐底面の円周と等しい。また円錐の軸と円錐の[[母線]](扇形の半径)のなす角は緯度<math>\theta</math>に等しく、さらに円錐底面の円の半径と扇形の半径の比は<math>\sin \theta</math>と等しい。従って、扇形の中心角<math>\alpha</math>との関係は以下の式となる{{sfn|玉木、中緯度のフーコー振り子の振動面はなぜ24時間で1回転しないか|1981|p=39}}。

{{Indent|<math>\alpha = 2 \pi \sin \theta = 360^{\circ} \sin \theta</math>}}

緯度<math>\theta</math>での振り子は、円錐の底面と側面の境界線を移動しながら、境界線と直交し常に頂点方向に振幅していると考えることができる。従って、地球が一回転したときの、緯度<math>\theta</math>での振り子の振動面の回転量は、円錐側面の扇形の中心角<math> 2 \pi \sin \theta</math>と等しくなる{{sfn|玉木、中緯度のフーコー振り子の振動面はなぜ24時間で1回転しないか|1981|p=39}}。これより振り子の振動面が一周するのに必要な時間<math>T_{rot}</math>は、以下のようになる。

{{Indent|<math>T_{rot} = 24 \times \frac{1}{\alpha \div 360^{\circ} } = \frac{24}{\sin \theta}</math><math>\qquad\cdots\ </math>(3-1)}}

=== コリオリの力による解説 ===
[[ファイル:FoucaultMultiAnima.gif|thumb|北極点、北緯50度、北緯30度、北緯15度、赤道、南緯15度の6地点でのフーコーの振り子の振動面の回転の違いを示したシミュレーション]]
[[コリオリの力]]を使ったフーコーの振り子のモデルを考える。緯度<math>\theta</math>にある振り子の運動を考える。錘の質量を<math>m</math>、弦の長さ<math>l</math>、弦に働く[[張力]]を<math>F</math>、地球の自転の角速度を<math>\omega</math>とする。また振り子の支点の真下に錘の質点がくる点を原点とした座標系を設定する。振り子の振動が弦の長さに比べて十分に小さく、振り子の錘の運動は<math>xy</math>平面内の運動としてみなす。すなわち、座標系の原点回りの回転による遠心力と、<math>z</math>軸成分を省略した錘の運動は以下の運動方程式となる{{sfn|佐伯、フーコーの振り子|1981|p=35}}。

{{Indent|<math>m \frac{d^2x}{dt^2} = - F \frac{x}{l} + 2 m \omega \sin \theta \frac{dy}{dt}</math><math>\qquad\cdots\ </math>(4-1)}}

{{Indent|<math>m \frac{d^2y}{dt^2} = - F \frac{y}{l} - 2 m \omega \sin \theta \frac{dx}{dt}</math><math>\qquad\cdots\ </math>(4-2)}}

ここで第2項が[[コリオリの力]]となる。yを乗じた式(4-1)からxを乗じた式(4-2)と差をとり、張力を除いた式は

{{Indent|<math> \frac{d}{dt} \left( x \frac{dy}{dt} - y \frac{dx}{dt}\right) = - \omega \sin \theta \frac{d}{dt}(x^2 + y^2)</math>}}

これを[[積分法|積分]]する。ただし錘が<math>(x,y,z) = (0, 0, 0)</math>を通過すると仮定すると、積分定数は0となる。

{{Indent|<math> x \frac{dy}{dt} - y \frac{dx}{dt} = - \omega \sin \theta (x^2 + y^2)</math>}}

ここで<math>xy</math>平面上に極座標<math>(r, \phi)</math>をとり、<math>x = r \cos \phi, y = r \sin \phi</math>を上式に代入すると

{{Indent|<math> \frac{d \phi}{dt} = \dot \phi= - \omega \sin \theta</math>}}

<math>\dot \phi</math>は、自転による振り子の振動面の回転角速度であり、[[絶対値]]をみると「フーコーの正弦則」と一致する。また符号から北半球(<math> \theta > 0</math>)では時計回り、南半球(<math> \theta < 0</math>)では反時計回りに回転し、赤道上(<math> \theta = 0</math>)では回転しないことを示している。

=== 錘の軌道 ===
{{see also|#オネスによるフーコーの振り子の研究}}
[[ファイル:Foucault-rotz.gif|250px|thumb|振り子の振動に比べて、座標系の回転を高速にしたフーコーの振り子のシミュレーション(北半球)。錘の進行方向に対して右側にそれる。また回転座標系からは軌道がサイクロイド曲線となる。[[ハーモノグラフ]]も参照。]]
振り子の錘の軌道を[[複素平面]]上において考える。複素数<math> \eta </math>を以下のように定義する。

{{Indent|<math> \eta = x + i \cdot y</math><math>\qquad\cdots\ </math>(5-1)}}

振り子の振幅が小さい場合、弦に働く張力<math>F = mg</math>に近似できる。式(4-2)に<math>i</math>を乗じて、式(4-1)と式(4-2)を複素数<math> \eta </math>で表すと以下のようになる。ただし<math>g</math>は重力加速度である。

{{Indent|<math> \frac{d^2 \eta}{dt^2} = - 2 i \omega \sin \theta \frac{d \eta}{dt} - \frac{g}{l} \eta</math>}}

ここで<math>\dot \phi = - \omega \sin \theta</math>、<math>\psi = \sqrt{g/l}</math>と置くと、

{{Indent|<math> \frac{d^2 \eta}{dt^2} + 2 i \dot \phi \frac{d \eta}{dt} + \psi^2 \eta = 0</math>}}

これは定数係数2階線形同次微分方程式であり、特性方程式を以下のように表現する{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=77}}。

{{Indent|<math> \lambda^2 + 2 i \dot \phi \lambda + \psi^2 = 0</math>}}

<math>\lambda</math>について解く。ここで<math>\dot \phi</math>は緯度<math>\theta</math>における自転による角速度であるため<math>\dot \phi^2 \simeq 0</math>と近似できる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=77}}。

{{Indent|<math> \lambda = -i \dot \phi \pm \sqrt{- \dot \phi^2 - \psi^2} \simeq - i (\dot \phi \mp \psi)</math>}}

この微分方程式の解として以下の式となる。ただし<math>A</math>、<math>B</math>は[[複素数]]の積分定数である{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=77}}。

{{Indent|<math>\eta = e^{- i \dot \phi t} \left( A e^{i \psi t} + B e^{- i \psi t} \right) = A e^{i (\psi - \dot \phi) t} + B e^{- i (\psi + \dot \phi) t}</math>}}

[[オイラーの公式]]を適用する。ただし<math>A = A_1 + i A_2</math>、<math>B = B_1 + i B_2</math>とし、式(5-1)より

{{Indent|<math> x(t) = A_1 \cos (\psi - \dot \phi) t - A_2 \sin (\psi - \dot \phi) t + B_1 \cos (\psi + \dot \phi) t + B_2 \sin (\psi + \dot \phi) t</math>}}
{{Indent|<math> y(t) = A_1 \sin (\psi - \dot \phi) t + A_2 \cos (\psi - \dot \phi) t - B_1 \sin (\psi + \dot \phi) t + B_2 \cos (\psi + \dot \phi) t</math>}}

ここで振り子の周期に対して地球の自転周期は無視できるほど小さい(<math>\psi \gg \dot \phi</math>)、つまり<math>\dot \phi \simeq 0</math>と考えると、

{{Indent|<math> x(t) = (A_1 + B_1) \cos \psi t - (A_2 + B_2) \sin \psi t</math>}}
{{Indent|<math> y(t) = (A_1 - B_1) \sin \psi t + (A_2 - B_2) \cos \psi t</math>}}

時刻<math>t = 0</math>のとき、<math>y(0) = 0</math>かつ<math>\dot x(0) = 0</math>とすると、<math>A_2 = B_2 = 0</math>であるので

{{Indent|<math> x(t) = (A_1 + B_1) \cos \psi t</math><math>\qquad\cdots\ </math>(5-2)}}
{{Indent|<math> y(t) = (A_1 - B_1) \sin \psi t</math><math>\qquad\cdots\ </math>(5-3)}}

<math>A_1 \ne B_1</math>のとき、<math>x</math>と<math>y</math>は以下の関係に整理することができる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=78}}。

{{Indent|<math> \frac{x^2}{(A_1 + B_1)^2} + \frac{y^2}{(A_1 - B_1)^2} = 1</math>}}

すなわち<math>A_1 \ne B_1</math>のとき振り子の錘の軌道が[[楕円]]になることを示している{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=78}}。また<math>A_1 = B_1</math>のとき直線となる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=78}}。

式(5-2)、式(5-3)を時間微分すると

{{Indent|<math> \dot x(t) = - \psi (A_1 + B_1 ) \sin \psi t</math><math>\qquad\cdots\ </math>(5-4)}}
{{Indent|<math> \dot y(t) = \psi (A_1 - B_1 ) \cos \psi t</math><math>\qquad\cdots\ </math>(5-5)}}

時刻<math>t = 0</math>のとき式(5-2)から式(5-5)より初期条件は以下のようになる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=78}}。

{{Indent|<math> x(0) = (A_1 + B_1 ) , y(0) = 0 </math>}}
{{Indent|<math> \dot x(0) = 0 , \dot y(0) = \psi (A_1 - B_1 ) </math>}}

つまり、<math>x</math>方向に錘を持ち上げてから振り下ろすことを意味し、一方で<math>y</math>方向に<math>\psi (A_1 - B_1)</math>の初期速度が生じるため、楕円運動になる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=78}}。従って楕円運動を避けるためには、<math>y</math>方向に速度が生じないようにする錘を振り下ろする必要がある{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=78}}。

ただし実際の振り子では、錘の振り下ろし以外にも「弦を固定する支持装置が<math>x</math>方向と<math>y</math>方向で異なる干渉が働く{{sfn|村内・浅沼、国立科学博物館のフーコー振り子の構造と改良|1970|p=53}}」「錘が完全な対称形状をしておらず、振動に伴って生じる空気抵抗が非対称に作用する{{sfn|村内・浅沼、国立科学博物館のフーコー振り子の構造と改良|1970|p=53}}」「振り子の周りの空気の流れ{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=79}}」などの原因によって、楕円運動が生じる。

== 装置 ==
フーコーの振り子は、振動面の回転を観察するためには長時間振動が継続する必要があり、振動の減衰率は可能な限り低いことが望ましい。振り子の振動の減衰は、支持装置の機械的な摩擦抵抗と、弦と錘に作用する空気抵抗が主要因である{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。また支持装置の構造や空気抵抗、振り子の特性、振り子の起動などにより錘の軌道が楕円運動するため、これを抑制する仕組みも必要となる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=79}}。

=== 弦と錘 ===
フーコーの振り子では、振動が長時間継続することが必要であり、基本的に長い弦と質量の大きい錘が求められる{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=46}}{{sfn|村内・浅沼、国立科学博物館のフーコー振り子の構造と改良|1970|p=55}}。

振り子の[[抗力|空気抵抗]]は、投影面積と速度の2乗の積に比例する。弦は、同じ長さの弦であれば径が小さい方が良い{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。また振り子の振幅長が同一で比較すると、弦が長いほど平均速度が小さくなり、空気抵抗を減らすことができる{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。しかし、長い弦による空気抵抗は無視できない{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。錘は、比重の大きな材質を使い、断面積が小さく質量が大きくなるように設計する{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。

=== 支持装置 ===
[[ファイル:Pendulum wire suspension for foucault pendulum, double knife edge.svg|thumb|フーコーの振り子用のダブルナイフエッジによる支持装置([[国立科学博物館]]で使用している装置の模式図)。上:振り子の弦と直接固定するナイフエッジ、中:中間リング、下:受け側のナイフエッジ]]
[[ファイル:Kamerlingh Onnes PD1879 Fig3.jpg|thumb|[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]が実験に使用したフーコーの振り子のダブルナイフエッジによる支持装置。板バネの押し付けの調整により、楕円軌道の研究を行った{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=50}}。]]
支持装置は振り子の弦を固定する部分であり、任意の方向に振り子を振動させることが必要がある{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。また横振動を抑止し、長時間振動を続けるために、隙間なく1点で固定し、かつ機械的摩擦抵抗が小さいことが望まれる{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。振り子の弦の支持装置として「固定型」、「やじろべえ型」、「ナイフエッジ型」、「[[自在継手]]」などが考えられる。

「固定型」による弦の支持は、弦を単純にボルトで締め付けたり{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}、チャックで固定することで{{sfn|伊多波、フーコー振子の特性とその改良に関する研究|1992|p=248}}、弦の弾性変形より振り子を振動させる方法である{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=78}}。構造が単純で1点支持のため減衰が少ない{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。しかし、弦をボルト留めする場合、弦にボルトを通す穴が必要となり、この穴の隙間の影響による楕円運動の発生の可能性がある{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=33}}。また弦に直接曲げ力が働くため疲労破壊の可能性もある{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=78}}{{sfn|伊多波、フーコー振子の特性とその改良に関する研究|1992}}{{sfn|伊多波、フーコー振子の特性とその改良に関する研究|1992|p=248}}。

「やじろべえ型」は振り子の弦をお椀型または円環型の器具に固定し、この器具
を上向きの針で1点固定する方法である{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=78}}。しかし「やじろべえ型」では、振り子の振動面が回転すると針を支える構造体と干渉を起こす{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=78}}。このためフーコーの振り子には不向きな支持構造である{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=78}}。

「ナイフエッジ」は弦の上端を三角柱の部材で固定し、この三角柱の角(ナイフエッジ)で、受け部材に載せて支持するものである。「ナイフエッジ」による支持装置は、機械的な摩擦抵抗が非常に小さいが、エッジや受け側の摩耗やそれらの間への塵の侵入などが問題となる{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=34}}。フーコーの振り子の場合は、振動面の回転方向へ働く抗力も減らす必要があるため、「ダブルナイフエッジ」を使用する{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=78}}。「ダブルナイフエッジ」とは、互いに向き合った2組のナイフエッジを直交させて中間リングで受けて、1点で回転中心になるようにしたものである{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=31}}。

[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]はフーコーの振り子の研究で博士号を取得しているが(後述)、使用したフーコーの振り子はダブルナイフエッジによる支持装置を採用している。ナイフエッジ側に板バネを取り付け、中間リングを両側から押し付けを調整できるようになっている{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=50}}。これを調整することにより、フーコーの振り子における楕円軌道の研究を行った{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=50}}。

国立科学博物館のフーコーの振り子も、機械摩擦低減のため「ダブルナイフエッジ」による支持装置に採用している{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=39}}。これは[[1934年]]に設置されたが、ドイツの機械工学雑誌に掲載されたものを参考に、東京計器製作所(現:[[東京計器]])が製作した{{sfn|鈴木、地球の自転とフーコー振子(完)|1934|p=10}}。

国際連合本部ビルにあるフーコーの振り子の支持装置は[[自在継手]]を採用している{{sfn| FOUCAULT PENDULUM: United Nation}}。

=== 減衰防止装置 ===
振り子の構造を工夫しても、振り子の振幅の減衰は避けることができない。科学館の展示などで、長時間にわたり振り子を動作させるためには、数時間おきに振り直す必要がある。この問題を回避するため、主に電磁石による減衰防止装置が設置されている場合がある。

レオン・フーコーは、[[1855年]]に、フランスで初めて開催された[[パリ万国博覧会 (1855年)|パリ万国博覧会]]の産業館において、フーコーの振り子の実験装置を用意した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}。ここで使用された振り子にはの減衰に対して、[[電磁石]]によるブースト装置を加えたものであった{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=71}}。

[[カリフォルニア科学アカデミー]]のフーコーの振り子には、弦の上端側(支持装置側)に電磁石を使った減衰防止装置が組み込まれている{{sfn|The Foucault Pendulum at the California Academy of Sciences|2010|p=3}}。これは、振り子の錘が振り下がり支点の真下に達するタイミング、すなわち床面に対して弦が垂直の状態になる直前のタイミングで電磁石を通電し、弦を微小量だけ上側に引っ張る{{sfn|The Foucault Pendulum at the California Academy of Sciences|2010|p=3}}。弦の上端側の片が電磁石に触れると通電が切れて、錘がわずかに落下することで加振する{{sfn|The Foucault Pendulum at the California Academy of Sciences|2010|p=3}}。

[[乃村工藝社]]や[[ソニー]]は、振り子の支点の真下の床面内に電磁石を設置する特許を出願している{{sfn|JP1996086887A|1996}}{{sfn|JP2002358001A|2002}}。これは床面内に振り子の錘の検出器があり、錘の通過に合わせて電磁石によって錘を吸引することで、振り子を加振する{{sfn|JP1996086887A|1996}}{{sfn|JP2002358001A|2002}}。

=== シャロン環 ===
「シャロン環({{lang-en-short|Charron ring}})」とは振り子の楕円運動を防止するための正円の[[トーラス]]状の部品である{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=87}}{{sfn|フーコーの振り子を教えるための振り子(特別企画)|1986|p=27}}。フランスの物理学者、シャロン(M. Charron)が[[1931年]]に発表した{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=87}}。

シャロン環は、弦の支点の直下の位置に設置し、環の直径は振り子の最大振幅より若干小さいサイズにする{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=87}}。振り子の錘を振動させると、弦が環の内側に軽く当たり、振り子の運動の振幅方向以外の成分を打ち消すことができる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=87}}。これによって振り子の楕円運動を防止できる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=87}}{{sfn|フーコーの振り子を教えるための振り子(特別企画)|1986|p=27}}。ただしシャロン環への衝突により振り子の振動の減衰がおきるため別途減衰防止の方法が必要となる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=87}}。

=== 観測装置 ===
[[ファイル:Barcelona Cosmocaixa Foucault's Pendulum.jpg|thumb|{{仮リンク|コスモカイシャ・バルセロナ|en|CosmoCaixa Barcelona}}のフーコーの振り子。錘の先によってブロックが倒れることで振動面の回転を示している。]]
[[ファイル:Foucault pendulum in the National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC07152.JPG|thumb|国立科学博物館のフーコーの振り子の目盛盤。振り子の振動面の変化により表示ランプが点灯する。]]
床面の振り子の可動域の円周上にピンやブロックを並べ、振り子の錘がこれらを倒すことで振動面の変位を示す方法が一般的である。

1851年、レオン・フーコーがパンテオンで実験したとき、錘の下部には鉄筆状のものが取り付けられた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=195}}。一方、床面の振り子の可動域の端に砂を盛った土手を設け、鉄筆がこの土手をかすめることで振り子の振動面の変位を示すようにした{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=196}}。

日本の[[国立科学博物館]]にあるフーコーの振り子には、直径150cmの目盛盤があり、振動方向を検知する赤外センサとそれを表示する表示ランプが48組並んでおり、振動面の位置を表示できるようになっている{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=34}}。赤外線センサは発光部と受光部が1対になっており、錘の下の反射によって錘の通過を検知する{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=34}}。

=== 起動装置 ===
フーコーの振り子を始動させるとき、錘を支持点の真下を通るように錘を正確に振り下ろす必要がある{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=45}}{{sfn|中尾、だから、機械はおもしろい!(第36回)|2013|p=79}}。わずかでも横方向に初速度が生じると振り子の振動面に横揺れが生じ、楕円運動の原因となるためである{{sfn|Seven Tales of the Pendulum|2018|p=45}}。

レオン・フーコーがパンテオンで公開実験したとき、振り子の錘をロープで固定し、実験開始時にこれを[[マッチ]]で火をつけ、焼き切ることで始動していた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=196}}{{efn|フーコーが振り子の実験をした1850年頃に、現在使われている形のマッチが登場した{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=196}}。}}。

国立科学博物館のフーコーの振り子は[[電磁石]]による始動を行っている{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=34}}。これは錘の鉄輪を電磁石で吸引し、電磁石への電流を切ることで錘を振り下ろすものである{{sfn|佐々木、国立科学博物館のフーコー振り子の改良について|1981|p=34}}。

== フーコーの振り子の小型化 ==
フーコーの振り子の性質上、精度の高い実験を行うためには長い弦と大きい質量の錘が必要となり、結果として装置が大型になる。

=== リチャード・クレインの振り子 ===
アメリカの物理学者の{{仮リンク|H・リチャード・クレイン|en|H. Richard Crane}}は、[[1981年]]に弦の長さが70cmのフーコーの振り子を発表した{{sfn|Short Foucault pendulum: a way to eliminate the precession due to ellipticity|1981|p=1004}}{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。

錘の下端に永久磁石を埋め込み、振り子の下側の床に固定された永久磁石と電磁石を設置した{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。錘の磁石を検知して位置を推定し、位置に応じて床の電磁石をオン・オフすることで錘の吸引と押出を行う{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。この磁石の作動にシャロン環を加えて楕円運動の発生を抑え、振動の減衰を防止した{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。

クレインの設計したフーコーの振り子の弦の長さは70cm{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。地球の自転による振り子の振動面の回転の誤差は2%以内{{sfn|Short Foucault pendulum: a way to eliminate the precession due to ellipticity|1981|p=1004}}。クレインは自身の設計したフーコーの振り子を時計として自宅とオフィスの2ヶ所で使用し、約10年間の連続稼働を行った{{sfn|A Foucault’s pendulum design|1995|p=33}}。

クレインはさらに、同様の改良によって弦の長さが15cm(5.9インチ)でもフーコーの振り子として動作したと報告している{{sfn|A Foucault’s pendulum design|1995|p=33}}{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=275}}。

=== 日本の事例 ===
[[和歌山県立粉河高等学校]]の教諭であった生地富雄により、弦の長さ:76cm、錘の質量:150gの小型の振り子での試作実験が、[[1963年]]に報告されている{{sfn|生地、フーコーの振子の実験|1963|pp=36-38}}。楕円運動の対策としてシャロン環を使用{{sfn|生地、フーコーの振子の実験|1963|pp=36-38}}。振動の減衰対策として振り子の支点の直下に電磁石を置いて、錘を電磁石で吸引する方法をとった{{sfn|生地、フーコーの振子の実験|1963|pp=36-38}}。振幅9cmで実験したところフーコーの正弦則から求めた理論値に対して誤差5.3%以内の結果が得られたと報告している{{sfn|生地、フーコーの振子の実験|1963|pp=36-38}}。この研究に対して[[日本学生科学賞]]地学クラブ総理大臣賞が送られている<ref name="学校概要(和歌山県立粉河高等学校)">{{Cite web |url = https://web.archive.org/web/20190825145004/https://www.kokawa-h.wakayama-c.ed.jp/sub5.html |title = 学校概要(和歌山県立粉河高等学校)|accessdate=2019-07-09}}</ref>。

福島県教育センターの渡辺専一は、小型の振り子として錘の先端に発光体を取り付け、床面に凹面鏡を置く構成を発表した{{sfn|渡辺、フーコー振り子による測定の新方法|1973|pp=91-92}}。振り子が振動すると光が凹面鏡に反射し、振幅が増幅されて天井に投影できる{{sfn|渡辺、フーコー振り子による測定の新方法|1973|pp=91-92}}。渡辺によれば一般的な天井高のある部屋で実験が可能な、弦の長さが1.7から1.8mの振り子でも振動面の回転が観測できるとしている{{sfn|渡辺、フーコー振り子による測定の新方法|1973|pp=91-92}}。

== 装置メーカー ==
[[ファイル:Foucault pendulum in Fujihashi Castle, 01.jpg|thumb|日本国内で市販されている小型のフーコーの振り子([[藤橋城]])]]
フーコーの振り子は世界各国の博物館、科学館、大学などの展示ディスプレイとして数多く設置されている{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=201}}。世界で100以上の導入実績があるのは[[カリフォルニア科学アカデミー]]の装置部門、およびその後継としてカリフォルニア科学アカデミーで装置製造に従事していたキャリー・ポンキオーネ(Cary Ponchione)が設立した'''Academy Pendulum Sales'''である{{sfn|Made On Earth — Pendulum Perfector(Make:)}}{{efn|[[ロマ・プリータ地震]]で施設の被害を受けた[[カリフォルニア科学アカデミー]]が新しい場所に移転する時に、装置部門が縮小することになった{{sfn|Made On Earth — Pendulum Perfector(Make:)}}。この時、フーコーの振り子の担当者であったキャリー・ポンキオーネが早期退職に応じ、独立してフーコーの振り子の製造を引き受けることになった{{sfn|Made On Earth — Pendulum Perfector(Make:)}}。}}。Academy Pendulum Salesでは、錘や電磁石ブースターなどをセットにした振り子キットを製造販売している{{sfn|Academy Pendulum Sales(Academy Pendulums)}}。日本では、[[葛飾区郷土と天文の博物館]]、[[姫路科学館]]などに導入した実績がある{{sfn|Academy Pendulum Sales(Academy Pendulums)}}。

日本では、[[乃村工藝社]]や木村製作所が展示ディスプレイ用途のフーコーの振り子を扱っている。また理科実験の目的で島津理科などから小型のフーコーの振り子が市販されている{{sfn|教育支援:フーコー振子(島津理科))}}。

{{-}}
== 歴史 ==
=== 前史 ===
{{see also|天動説|地動説}}
紀元前4世紀の[[プラトン]]や[[アリストテレス]]は地球は宇宙の中心にあるという信念をもち{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=18}}、[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]]が[[天動説]]として体系化した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=21}}。ローマカトリック教会は聖書の解釈にプトレマイオスの地動説を利用した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=23}}。

[[ニコラウス・コペルニクス]]はプトレマイオスの「[[アルマゲスト]]」を丹念に読み込み、自ら天体観測も行い、その修正を試みた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=24}}。[[1540年]]、コペルニクスは自身の死を前に「[[天球の回転について|天体の回転について]]」を出版し、その中で地球が他の惑星と同様に太陽の周りを公転するモデルを示した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=25}}。しかし、ローマカトリック教会は、地球が動いているというコペルニクスの説は聖書の解釈と相容れないと判断した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=18}}。

[[ガリレオ・ガリレイ]]は自身で望遠鏡をつくり、天体観測を行った{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=28}}。ガリレオは[[木星]]を周回する衛星を発見し、その運行を記録した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=28}}。木星を周回する衛星の発見は、ガリレオに太陽中心の地動説を確信へと導いた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=29}}。ガリレオは[[ローマ]]に呼び出され裁判にかけられることになったが、ガリレオは論破できると考えていた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=29}}。ガリレオは地動説を示す証拠として、海の潮汐現象を証拠として考えていた{{sfn|宇宙観5000年史|2011|p=99}}。しかし、1633年に有罪の判決を受け、地動説の破棄と自宅の幽閉などの内容であった{{sfn|宇宙観5000年史|2011|p=100}}。

一方、ガリレオは単振り子の周期が錘の質量の大小によらず弦の長さに依存する「振り子の等時性」を発見していた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=29}}。またガリレオの助手であった[[ヴィンチェンツォ・ヴィヴィアーニ]]は「単振り子の振動は、最初の垂直面から必ず同じ方向へずれていく」現象を1660年か1661年には記録していた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=30}}。

[[ファイル:Mersenne and Petit.png|thumb|[[マラン・メルセンヌ]]による、砲弾垂直打ち上げ実験を描いた絵。]]
[[ルネ・デカルト]]はガリレオの地動説を支持しつつも、教会からの異端審問を恐れ、[[オランダ]]で隠遁生活を送っていた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=33}}{{efn|[[1600年]]、[[ジョルダーノ・ブルーノ]]は[[地動説]]を捨てなかったため[[火刑]]に処せられた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=16}}。}}。デカルトは、[[大砲]]から放たれた砲弾の落下を観測すれば、地球の自転が証明できるはずだと考えた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=31}}。デカルトは、文通で数学や哲学の議論を深めていたフランスの修道士の[[マラン・メルセンヌ]]に大砲による実験を依頼した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=36}}{{efn|[[マラン・メルセンヌ]]は記録魔であり、デカルトを始め哲学者や数学者とやり取りした手紙1万通を残している{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=34}}。}}。

[[1638年]]の春、メルセンヌは助手と2人で大砲を使った実験に取り組んだ{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=31}}。大砲を垂直に向けて真上に砲弾を打ち上げた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=31}}。1発目は行方不明{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=216}}。2発目は西に600mの地点に、3発目は東に600mの地点にそれぞれ着地{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=216}}。自分たちの頭上に砲弾が落ちてくる可能性がでてきたため、実験は中止となった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=216}}{{efn|1902年、パンテオンでの再現実験での[[カミーユ・フラマリオン]]のスピーチによる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=216}}。}}。

[[アイザック・ニュートン]]は「落下するりんご」の話でシンボリックに語られる万有引力の発見で知られるが、またニュートンは地球の自転の証明に重力が使えるのではないかとも考えていた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=39}}。[[1679年]]、ニュートンは「物体の落下は地球の自転のために、落下地点が必ず東にずれるはずだ」というアイデアをロンドンの[[王立協会]]に手紙で送付した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=39}}{{efn|自由落下する物体が地球の自転の影響を受けて描く曲線経路を[[ナイルの放物線]]と呼ぶ。}}。ニュートン自身は実験を行わなかったが、[[ロバート・フック]]が提案に従って物体の落下実験を行った{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=40}}。フックの実験では「南東へのわずかなずれ」を観察したが、実験ごとの測定値のずれが大きく、地球の自転の証明とはならなかった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=40}}。

地動説の決定的な証拠として[[年周視差]]の検出が考えられた{{sfn|宇宙観5000年史|2011|p=111}}。[[イギリス]]の[[天文学者]]の[[ジェームズ・ブラッドリー]]は年周視差の検出を目的とし、1725年頃より[[りゅう座ガンマ星]]の観測を始めた{{sfn|宇宙観5000年史|2011|p=114}}。この観測で年周視差の予想とは異なる観測結果を得た{{sfn|宇宙観5000年史|2011|pp=114-115}}。ブラッドリーは熟考の末、観測結果から[[光行差|年周光行差]]を発見した{{sfn|宇宙観5000年史|2011|pp=114-115}}。この光行差の予期せぬ発見は、地動説の証明となった{{sfn|宇宙観5000年史|2011|pp=115-116}}{{efn|[[年周視差]]が観測されたのは、ブラッドリーの光行差の発見からさらに100年以上経過した1830年代後半で、ベッセル、[[フリードリッヒ・フォン・シュトルーベ]]、[[トーマス・ヘンダーソン]]がほぼ同時期に年周視差の観察を発表している{{sfn|宇宙観5000年史|2011|pp=117-118}}。}}。

=== フーコーの着想 ===
[[ファイル:Foucault.jpg|thumb|[[レオン・フーコー]]([[1819年]] - [[1868年]])]]
[[1819年]]、パリに生まれた[[レオン・フーコー]]は医者を志し医学校に通っていたが、次第に[[ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール|ルイ・ダゲール]]の写真技術「ダゲレオタイプ」に強い関心を持つようになった{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=188}}。やはり元医学生であった[[アルマン・フィゾー]]と協力してダゲレオタイプの改良を行った{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=188}}。[[1845年]]にはフーコーとフィゾーは鮮明な[[太陽]]の写真撮影に成功した{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=188}}。その後、光の速度の測定を2人で始めるが、装置の方針を巡って喧嘩別れとなり、フーコーは単独で研究を続けることになった{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=188}}{{efn|フィゾーは、1849年に±5%の誤差精度で光速度の実験測定に成功する(参照:[[フィゾーの実験]])。フーコーもその後、水中での光速度の測定に成功した。}}。

フーコーは理論家というより、自らの手で実験装置を作っていた技術者であった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=93}}。フーコーは、望遠鏡の制御に使用する振り子時計の改良を行っていた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=93}}。このとき、たまたま[[旋盤]]のチャックに装着されていた金属棒を振動させて、旋盤をゆっくり回しても振動面が変化しないことを見つけた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=189}}。次に、フーコーはピアノ線に錘をつけた振り子を[[ボール盤]]の台に取り付け、台をゆっくり回転させた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=189}}。やはり、振り子の振動面は変化しないことを確認した{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=189}}。

フーコーは、旋盤やボール盤の回転台を自転する地球に置き換えれば、自転の影響で振り子の振動面の変化が観測できるはずだと考えた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=190}}。ただし振り子の位置は平面上でなく球面上にあり、振り子が極点から赤道の間のどの位置にくるかによって振動面の運動は変化することに気がついた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=190}}。この関係について「フーコーの正弦則」と呼ぶが{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=191}}、フーコーは力学理論の素養なしに、直感的に導き出した{{sfn|宇宙観5000年史|2011|p=110}}。

=== 最初の実験 ===
[[ファイル:Plaque du pendule de Léon Foucault.jpg|thumb|かつてフーコーの自宅のあったパリ、ヴォージラール通りとアッサス通りとの交差点にある建物の側壁レリーフ(位置:{{coord|48|50|52.02|N|2|19|47.16|E}}){{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=51}}。フーコーの略歴が刻まれている{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=51}}{{efn|建物の反対側の壁には、振り子の彫刻のレリーフがある{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=51}}。}}]]
フーコーは本物の振り子を使って、正弦則を目で確認できないかと考えた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=191}}。長さ2mの鋼鉄製ワイヤーの一端を自宅の地下室の天井からつり下げ、しかも、ねじれることがないように工夫した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=14}}。錘として5kgの真鍮製のものが取り付けられた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=14}}。振り子がなんの干渉も受けずにあらゆる方向に揺れることができるようになるまで、およそ1ヶ月の試行錯誤が必要であった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=14}}。

[[1851年]][[1月3日]]、実験を開始したがすぐにワイヤーが切れた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=191}}。数日後、再び実験を行った{{efn|実験が成功した日付については、1月6日{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=15}}から1月8日{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=191}}の間で諸説ある。}}。フーコーは、実験開始から1時間後には「目に見えて位置の変化が起こる」こと、「振り子は天球の[[日周運動]]と同じ向きに回転する」ことを観察した{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=191}}。

=== パリ天文台での実験 ===
フーコーは、[[パリ天文台]]の台長であった[[フランソワ・アラゴ]]に公開実験を申し出た{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=84}}。アラゴは申し出を受けいれ、フーコーはただちに準備に取りかかった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=84}}。実験場所はパリ天文台の中央ホールである「子午線ホール」となった{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=192}}。錘は自宅での実験と同じもの(5kg)を、弦は長さ11mのワイヤーに変更した{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=192}}。

フーコーはパリ在住の科学者に以下の内容の招待状を送った{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=192}}。

{{Quotation|
Vous êtes invités à venir voir tourner la Terre, dans la salle méridienne de l Observatoire de Paris.

(地球の自転を見に来られたし、パリ天文台の子午線ホールにて{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=193}}。)
}}
}}


1851年[[2月3日]]、多くの科学者たちがパリ天文台に集まり、実験に立ち会った{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=91}}。またフーコーは同日、[[科学アカデミー (フランス)|科学アカデミー]]に対して、自宅の地下室で行った実験の結果と地球の自転の証明に関する論文を報告した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=94}}。この中で「フーコーの正弦則」を使い、振り子のある緯度と振り子の振動面の関係について明らかにした{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=94}}。
==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
<div class="references-small"><references/></div>


フーコーの実験は驚きをもって迎えられた一方で、招かれた科学者たちには「フーコーの正弦則」に目新しい点は無いという考え方が多数派であった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|pp=91-92}}。例えば、1851年3月16日、[[ジョヴァンニ・プラーナ]]は「(フーコーの正弦則は)[[1837年]]に[[シメオン・ドニ・ポアソン]]が発表した論文「投射物の運動について」において、「(フーコーの振り子の現象は)すでに予測された範囲である」との論文を投稿した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=100}}{{efn|フーコーが実験を成功させたとき、[[ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ]]の「回転座標系におけるの運動」は発表済みで、コリオリはすでに亡くなっていた。しかしフーコー自身、またフーコーの実験をみた物理学者たちも[[コリオリの力]]を使った説明に思い至っていなかったといわれる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=118}}。}}。ポアソンは大砲から打ち出された弾は、地球の自転により、わずかに横にずれるはずだと考え理論式を構築していた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=199}}{{efn|後年、大砲の砲弾の飛距離が伸びると、ポアソンの示した「ずれ」が無視できなくなった{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=73}}。このため、ポアソンの補正式が使われるようになった{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=193}}。[[第一次世界大戦]]で南半球の[[フォークランド諸島]]近くで[[海戦]]があったとき、イギリス軍の砲撃がドイツの船の左側に落ちるのをみて驚いたといわれる{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=193}}{{sfn|ハテ・なぜだろうの物理学|1979|pp=74-75}}。イギリス軍の砲手はポアソンの補正式に従って照準を定めていたが、南半球では補正式の符号を変える必要があった{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=73}}{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=193}}。また、やはり第一次世界大戦でドイツ軍が使用した[[パリ砲]]は射程が100kmを超えたが、コリオリの力の影響で1.5kmほど着弾点がずれたといわれている{{sfn|ハテ・なぜだろうの物理学|1979|pp=74-75}}。}}。またポワソンは地球の自転が振り子にも影響を及ぼすが、観察することは困難だと考えていた{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=73}}。
== 関連項目 ==
{{Commonscat|Foucault pendulums}}
* [[コリオリの力]]


=== パンテオンでの公開実験 ===
[[フランスの大統領]]であった[[ナポレオン3世|ルイ・ナポレオン]](のちに皇帝ナポレオン3世)はパリ天文台でのフーコーの実験を耳にし、[[パンテオン (パリ)|パンテオン]]での公開実験を命じた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=192}}{{efn|[[ナポレオン3世|ルイ・ナポレオン]]は[[アンリ・ド・サン=シモン]]の影響をうけ、投獄中に科学に関する書物を読み漁った。大統領になったルイ・ナポレオンはフランス科学アカデミーのメンバーと意見を交換し、政策に反映することもあった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=115}}。このやり取りの中で、パリ天文台の台長であったフランソワ・アラゴと知遇を得て、フーコーの実験が耳に入ったと考えられる{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=116}}。}}。フーコーは、新たに振り子を準備し、錘は真鍮製で28kg、直径38cmの球体のものを作らせた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=131}}。弦は、パンテオンのホールの天井の高さに合わせて、長さ67mのものを用意した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=131}}。また錘の下部には鉄筆状のものが取り付けられた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=195}}。この工夫により、振り子の可動域の端に砂を盛った土手を設け、鉄筆が土手をかすめることで振り子の位置の変位を示すようにした{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=196}}。

1851年[[3月27日]]、ルイ・ナポレオンの臨席のもと、パリ市民の前で、パンテオンでの公開実験が行われた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=137}}{{efn|パンテオンは、[[1898年]]に[[エッフェル塔]]との間で無線通信の公開実験が行われたこともある{{sfn|The Geek Atlas|2009|p=46}}。またパンテオンは著名人の霊廟ともなっており、科学者では[[ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ]]、[[ジャン・ペラン]]、[[ピエール・キュリー]]、[[マリ・キュリー]]などが埋葬されている{{sfn|The Geek Atlas|2009|p=46}}。}}。振り子の実験は完璧ではなく、時間経過すると軌道が8の字運動になり振幅も減衰を始めたが、数時間経過すると、目に見えて振動面が変化が観察できた{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=1971}}。ルイ・ナポレオンは実験に満足し、[[1854年]]にフーコーをパリ天文台付きの物理学者に任命した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=170}}{{efn|しかし、フランス科学アカデミーはその後もフーコーを無視しつづけ、レオン・フーコーがアカデミーの会員になったのは1865年のことである{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=183}}。このときもルイ・ナポレオンの強力な推薦があった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=189}}。}}。

その後、パンテオンでの実験は毎週木曜日に実施された{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=137}}。しかし、1851年12月1日、ルイ・ナポレオンは「パンテオンでの実験をただちに終了し、パンテオンを教会としての役目に戻せ」という大統領令を出し、公開実験は終了した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=146}}{{efn|翌12月2日、ナポレオン3世はクーデターを主導し、翌年に第二帝政のもとで皇帝に即位した。}}。

=== 各地での再現実験 ===
1851年5月8日、[[ランス (マルヌ県)|ランス]]の[[ノートルダム大聖堂 (ランス)|ノートルダム大聖堂]]で振り子の実験が行われた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=143}}。また同じ年に、イギリスの[[オックスフォード大学]][[ラドクリフ・カメラ]]{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}、[[ジュネーヴ]]{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}、[[ダブリン]]{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}、[[ニューヨーク]]{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}でも実験が行われた。

1851年の9月から10月にかけて、南半球の[[リオデジャネイロ]]で再現実験が行われた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}。振り子は弦の長さが4.37m、錘の質量が10.5kgで約2ヶ月間行われた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}。この実験結果は[[科学アカデミー (フランス)|フランス科学アカデミー]]に報告された{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}。

[[1855年]]、フランスで初めて開催された[[パリ万国博覧会 (1855年)|パリ万国博覧会]]の産業館において、フーコーの振り子の実験が行われた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=144}}。この振り子はフーコー自身が準備し、新たに振り子の振動の減衰に対して、[[電磁石]]によるブースト装置を加えたものであった{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=71}}。

=== 50年記念実験 ===
[[ファイル:Pendule de Foucault - L'expérience reconstituée en 1902 par Camille Flammarion et Berget.jpg|thumb|1902年、フーコーの実験をパンテオンで再現したときの写真。左が[[カミーユ・フラマリオン]]。]]
[[1902年]]、[[天文学者]]の[[カミーユ・フラマリオン]]は、最初のフーコーの振り子の実験から半世紀を記念し、{{仮リンク|フランス天文学協会|en|Société astronomique de France}}に対して再びパンテオンでの公開実験を提案した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=202}}。フランス天文学協会の会長は[[アンリ・ポアンカレ]]であり、フラマリオンの提案に同意した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=202}}。

1902年10月22日、パリのパンテオンに作曲家の[[カミーユ・サン=サーンス]]、彫刻家の[[オーギュスト・ロダン]]、同じく彫刻家で自由の女神像を製作した[[フレデリク・バルトルディ]]などの招待客を含め、観衆が2000人以上集まった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=204}}。午後2時、公共教育大臣の{{仮リンク|ジョセフ・ショーミエ|en|Joseph Chaumié}}が錘を固定しているロープを火で焼き切って、実験を開始した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=204}}。そして、フラマリオンが以下のようにスピーチを行った{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=204}}。

{{Quotation
|一般向けの天文学に関してこれまでになされた公開実験の中で最も壮大なものは、間違いなくレオン・フーコーが半世紀前にこの場所で行った印象に残る実験である。この実験は、この地球の自転運動を具体的に明快かつ壮麗に証明し、惑星すなわち「移動する星」という言葉がわれわれの住む世界にふさわしいことを、文字どおり断定したのである。
| [[カミーユ・フラマリオン]]{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=204}}
}}

=== 日本でのフーコーの振り子 ===
[[ファイル:TokyoYomiuri Newspaper19340422 Foucault Pendulum.jpg|thumb|東京科学博物館にフーコー振り子が設置されたことを報じる新聞記事(東京読売新聞1934年4月22日夕刊)。]]
「談天」は、漢籍本「譚天」に訓点を施した本で、西洋天文学を紹介したものである{{sfn|日本科學技術古典籍資料:天文學篇9|2015|pp=948-949}}。原著者は、候失勒([[ジョン・ハーシェル]]のこと{{sfn|日本科學技術古典籍資料:天文學篇9|2015|pp=948-949}}{{efn|[[ジョン・ハーシェル]]は、[[天王星]]の発見で知られる[[ウィリアム・ハーシェル]]の息子である{{sfn|日本科學技術古典籍資料:天文學篇9|2015|pp=948-949}}。}})で1851年に刊行された「Outlines of Astronomy(天文学概要)」を、英国人の偉烈亜力([[:en:Alexander Wylie (missionary)|Alexander Wylie]])が口語訳し、清国人の[[李善蘭]]が漢訳して、1859年に出版された{{sfn|日本科學技術古典籍資料:天文學篇9|2015|pp=948-949}}。これに[[福田理軒]]が訓点を施し、上中下の3冊が1861年(文久元年)に刊行された{{sfn|日本科學技術古典籍資料:天文學篇9|2015|pp=948-949}}。「談天」の二篇には、地球の自転に関する説明があり、その中でフーコーの振り子の実験の記述がある{{sfn|日本科學技術古典籍資料:天文學篇9|2015}}<ref name="展示資料 談天(2009年:日本の天文学の歩み)">{{Cite web |url = https://web.archive.org/web/20181116045219/https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/html/tenjikai/tenjikai2009/shiryo/kaisetsu27.html |title = 展示資料 談天(2009年:日本の天文学の歩み)|accessdate=2019-07-25}}</ref>。

「東洋学芸雑誌」第25号([[1883年]]10月発行)に掲載された[[菊池大麓]]が著した「地動說ノ証據」の中で、地球の自転に関する解説がある{{sfn|地動說ノ証據|1883|pp=158-161}}。この解説では、地球の自転を示す証拠としてフーコーの振り子とジャイロスコープが説明されている{{sfn|地動說ノ証據|1883|p=160}}。またこの解説に、[[東京大学]]でフーコーの振り子の実験を行ったことについて簡単な記述がある{{sfn|地動說ノ証據|1883|p=160}}<ref name="展示資料 菊池大麓「地動説の証拠」(2009年:日本の天文学の歩み)">{{Cite web |url = https://web.archive.org/web/20181116045244/https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/html/tenjikai/tenjikai2009/shiryo/kaisetsu42.html |title = 展示資料 菊池大麓「地動説の証拠」(2009年:日本の天文学の歩み)|accessdate=2019-07-25}}</ref>。このとき使用された振り子は、弦が長さ16から17尺(約4.8から約5.2m)の銅線、錘の重さが11貫目(約41kg)、錘の直径が7寸(約21cm)であった{{sfn|地動說ノ証據|1883|p=160}}<ref name="展示資料 菊池大麓「地動説の証拠」(2009年:日本の天文学の歩み)"/>。

[[1932年]]の天文学術誌「天界」に[[広島文理科大学 (旧制)|広島文理科大学]]の中村饒がフーコーの振り子の実験方法の改良について記事を投稿した{{sfn|中村、フーコーの振子を用ひて地球の自轉角の寫眞を撮る裝置|1932|pp=206-210}}。中村は、振り子の錘に豆電球を取り付け、これを発光させながら振り子を振動させ、下面から写真機で長時間露光することで振動面の回転を記録するというものであった{{sfn|中村、フーコーの振子を用ひて地球の自轉角の寫眞を撮る裝置|1932|pp=206-210}}。

[[1934年]][[4月21日]]に東京科学博物館上野新館(現:[[国立科学博物館]]日本館)に設置された{{sfn|鈴木、地球の自転とフーコー振子(完)|1934|p=8}}。常設展示としては日本初である{{sfn|鈴木、地球の自転とフーコー振子(完)|1934|p=8}}。
{{-}}
== 世界各地のフーコーの振り子 ==
[[ファイル:UN Pendule de Foucault.jpg|thumb|[[国際連合本部ビル]]のロビーにあるフーコーの振り子]]
{{main|フーコーの振り子のある施設の一覧}}

フーコーの振り子は、「地球の自転の証明」という科学教育の観点から、世界中の[[博物館]]、[[科学館]]、[[学校]]などに数多く設置されている{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=200}}。

[[ニューヨーク]]にある[[国際連合本部ビル]]のロビーの大階段には、弦長が約23m、錘の質量が約91kgのフーコーの振り子が存在する{{sfn| FOUCAULT PENDULUM: United Nation}}{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=202}}{{sfn|岡山、フーコーの振子が意味するもの|1959|p=22}}。1955年にオランダが寄贈したもので、[[ユリアナ (オランダ女王)|ユリアナ女王]]のメッセージが刻まれている{{sfn| FOUCAULT PENDULUM: United Nation}}。

日本では、[[1934年]][[4月21日]]に[[国立科学博物館]]に常設展示された{{sfn|鈴木、地球の自転とフーコー振子(完)|1934|p=8}}。また、[[東京ディズニーシー]]の[[フォートレス・エクスプロレーション]]の中にフーコーの振り子がある。

=== オリジナルのフーコーの振り子 ===
フーコーがパンテオンで1851年に実験した振り子の錘は、[[フランス国立工芸院]]附属の[[パリ工芸博物館]]に展示されている{{sfn|フーコーの振り子に魅せられて|2018|p=131}}{{sfn|廣瀬、星の都の物語(第2回)|2016|p=51}}。またフーコーが公開実験を行った[[パンテオン (パリ)|パンテオン]]のドームにはフーコーの振り子が取り付けられ、実際に動いている{{sfn|フーコーの振り子に魅せられて|2018|p=132}}。現在パンテオンの振り子の錘は、パリ工芸博物館の実物を複製したものである。

=== 世界最大・世界最長のフーコーの振り子 ===
[[ファイル:Saint Isaac's Cathedral - Foucault pendulum in 1985.jpg|thumb|[[聖イサアク大聖堂]]のドームに存在したフーコーの振り子([[1985年]])]]
[[アメリカ合衆国]][[オレゴン州]][[ポートランド (オレゴン州)|ポートランド]]の{{仮リンク|オレゴン・コンベンション・センター|en|Oregon Convention Center}} にあるフーコーの振り子は、弦の長さが約21m(70[[フィート]])、錘の質量が約340kg(750[[ポンド (質量)|ポンド]])であり、錘の質量では世界最大を自称している{{sfn|The world’s biggest Foucault pendulum}}。

[[ソビエト連邦]]時代、[[サンクトペテルブルク]]の[[聖イサアク大聖堂]]のドームにフーコーの振り子が設置されていた{{sfn|Dynamics : the analysis of motion|2006|p=184}}。当時、聖イサアク大聖堂は宗教利用を禁じられ[[博物館]]として利用されていた{{sfn|Dynamics : the analysis of motion|2006|p=184}}。大聖堂のドーム高は約100m{{sfn|Dynamics : the analysis of motion|2006|p=184}}。取り付けられた振り子の弦もドーム高に合わせて98mあり、恐らく世界で最も長い弦長をもつフーコーの振り子であった{{sfn|Dynamics : the analysis of motion|2006|p=184}}{{efn|世界最長の振り子は、1901年9月に{{仮リンク|タマラック鉱山|en|Tamarack mine}}の第4立坑で実験された振り子で、弦長1,353m(4,440フィート)であった{{sfn|Longest pendulum (Guinness World Records)}}。}}。

[[ラトビア]]の首都[[リガ]]にある[[リガラジオ&テレビタワー|リガ・ラジオ・アンド・テレビ・タワー]]は、再開発プロジェクトに合わせて2019年より改装工事を行っている {{sfn|TV torņa pārbūves projekts(LVRTC)}}{{sfn|Television tower to turn into major tourist attraction(lsm.lv)|2018}}。リニューアル時に、[[塔]]を支える脚の間に、弦の長さが70m以上、錘の重量500kgのフーコーの振り子が設置されることになっている{{sfn|TV torņa pārbūves projekts(LVRTC)}}{{sfn|Television tower to turn into major tourist attraction(lsm.lv)|2018}}。竣工予定は2023年から2024年頃で、「完成すれば世界最大で最長のフーコーの振り子となる予定{{sfn|TV torņa pārbūves projekts(LVRTC)}}{{sfn|Television tower to turn into major tourist attraction(lsm.lv)|2018}}」と主張している。

=== 南極点での実験 ===
「フーコーの正弦則」によると、極点でフーコーの振り子を実験すると振動面が1時間ごとに15度移動、24時間で1回転する{{efn|別の理由で、南極点にフーコーの振り子の建設が提案されたことがある。[[#レンズ・サーリング効果]]を参照。}}。これを実験に確認するために、2001年、ソノマ州立大学のA. ベイカーらが[[南極点]]にある[[アムンゼン・スコット基地]]でフーコーの振り子の実験を行った{{sfn|South Pole Foucault Pendulum|2001}}。実験場所は建設中の建物の階段の吹き抜けで、実験時の気温は-67度であった{{sfn|South Pole Foucault Pendulum|2001}}。また大気圧が660hPaで、海抜約3,350m相当の場所であった{{sfn|South Pole Foucault Pendulum|2001}}。

実験で使用した振り子は、弦の長さ33m、錘の質量が25kgを使用した{{sfn|South Pole Foucault Pendulum|2001}}。計測した振り子の周期は11.5秒であった{{sfn|South Pole Foucault Pendulum|2001}}。実験は20分間行い、計算通り振動面の5度の回転を観測した{{sfn|South Pole Foucault Pendulum|2001}}。
{{-}}
== レオン・フーコー以後の研究 ==
=== ホイートストンの装置 ===
[[ファイル:Wheatstone Foucault device 256x256.png|thumb|[[チャールズ・ホイートストン]]による「ばね」を使ったフーコーの振り子の原理を説明するための装置{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=75}}]]

イギリスの物理学者、[[チャールズ・ホイートストン]]は、レオン・フーコーによる振り子を使った地球の自転の証明方法についての補足を1851年に発表した{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。フーコーの振り子が地球の自転の証明であることへの根本的な疑い、および観察地点の緯度により振動面の回転速度が異なるという「フーコーの正弦則」の説明の難解な点に応えた内容であった{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。この論文の中でホイートストンは、「ばね」を使った装置を提示した{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。

装置は、円形のターンテーブルに、半円形のアーチ状のスライダーがターンテーブルの直径方向にままたぐように取り付けられている{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=75}}。ばねはスライダーとターンテーブルの中心点の間を接続するように取り付けられている{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=75}}。バネを横方向に引っ張ると振動し、振動面がターンテーブルを回したときの状況を観察できる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=75}}。

ばねがターンテーブルの面に対して垂直に立っているとき、ばねを横振動させてターンテーブルを回転させ、ターンテーブルの直上から観察すると、ターンテーブルが回っていても振動面は変化しない{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。ターンテーブル上にある視点から見ると、ばねの振動面はターンテーブルの回転速度と同じ速度で、ターンテーブルの向きとは逆の向きで回転しているように見える{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。これは極点でのフーコーの振り子の動作に一致する{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。

ばねとターンテーブルのなす角を任意の角度(ただし0度ではない)に設定し、ターンテーブルを回転させてターンテーブルの直上から見ると、ばねの振動面が回転することを観察できる{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。例えば、ばねを30度に設定すると、ターンテーブルを2回転させると振動面が1回転する{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。同様に、ばねを19.5度に設定してターンテーブルを3回転させると振動面が1回転、ばねを14.5度に設定してターンテーブルを4回転させると振動面が1回転する{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。つまり、ばねとターンテーブルのなす角度は、フーコーの振り子における実験地点の緯度に相当する{{sfn|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}}。

=== オネスによるフーコーの振り子の研究 ===
[[ファイル:Kamerlingh Onnes PD1879 Fig1,2,5.jpg|thumb|[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]が使用したフーコーの振り子の概念図(Fig.1)。全体を金属ケースで密封し、0.1気圧以下に減圧して実験を行った。]]
[[ファイル:Kamerlingh Onnes PD1879 Fig Trajectory of pendulum.jpg|thumb|ヘイケ・カメルリング・オネスの論文で示されたフーコーの振り子の軌道。[[リサジュー図形]]のように楕円軌道が変形している。]]
[[オランダ]]の[[物理学者]]、[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]は[[ヘリウム]]の液化や[[超伝導]]の発見など[[低温物理学]]の分野に業績があり、[[1913年]]には[[ノーベル物理学賞]]を受賞した人物である{{sfn|Heike Kamerlingh Onnes Facts(THE NOBEL PRIZE)}}。オネスは、[[フローニンゲン大学]]で[[1879年]]に博士号を取得したが、博士論文のタイトルは「{{lang-nl-short|Nieuwe bewijzen voor de aswenteling der aarde}}(地球の自転の新たな証拠)」で、フーコーの振り子の現象の一般化(レオン・フーコーが示した地球の自転による振り子の振動面の回転は特殊な振り子であること)を示した研究であった{{sfn|Heike Kamerlingh Onnes Facts(THE NOBEL PRIZE)}}。

オネスにフーコーの振り子の研究を勧めたのは[[グスタフ・キルヒホフ]]であった{{sfn|Foucault and the rotation of the Earth|2017|p=523}}{{sfn|長谷田、フーコーの振子とカマリン・オンネス|1987|p=46}}。キルヒホフはフーコーの振り子について、数学モデルと実験結果が示す差異に不満を持っていた{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=107}}。オネスは、[[1872年]]の秋からフーコーの振り子の実験に取り組み{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=107}}、一時中断した後、[[1876年]]の春に博士論文のテーマとした{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=106}}。

オネスが実験に使用した振り子は、弦が1.2mの細い銅管で、錘が質量15kgの鉛の球を使った{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=110}}。支持装置は板バネ付きのダブルナイフエッジを使用した{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=110}}。また空気抵抗を無視できるようにするため、振り子全体を金属ケースで囲み、減圧して0.1気圧以下で実験を行った{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=110}}。

また錘の軌道は、振り子に取り付けられた[[鏡]]と、[[プリズム]]と[[レンズ]]の組み合わせで光学的に観察するにようになっていた{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=110}}。振り子の鏡で反射された光は、金属ケースのガラス窓を通して装置外部に出力され、これを拡大レンズを通して観察した{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=110}}。接眼レンズには目盛が刻まれており、振り子の振動面の角度と振幅を正確に記録できた{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=110}}。

このように外乱を可能な限り排除し、地球の自転が振り子の軌道に与える影響を観察したが、時間が経過すると錘の運動が楕円になる現象が生じた{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=114}}。オネスは装置の改良と実験を重ね、2年の歳月を費やしたが、振り子の軌道が楕円になる現象は解消されなかった{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=114}}。オネスは実験結果と理論面を見直し、一般的な振り子がコリオリの力を受けると楕円軌道になると考え方を改めた{{sfn|Freezing Physics: Hieke Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold|2007|p=108}}。

理想的な振り子の弦の支点は、どの方向に錘を振動させても一点で固定されていると仮定する{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=79}}。しかし、現実には機械的制約により縦方向(便宜的に<math>x</math>軸方向)と横方向(<math>y</math>軸方向)の支点位置がわずかにずれ、<math>x</math>軸方向で振動している時の弦長<math>l_x</math>と<math>y</math>軸方向で振動している時の弦長<math>l_y</math>が異なることになる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}。従って、振り子の運動方程式は

{{Indent|<math>F_x \simeq - \frac{mgx}{l_x} </math>}}
{{Indent|<math>F_y \simeq - \frac{mgy}{l_y} </math>}}

<math>x</math>軸方向の振動周波数(<math>\psi_x</math>)と<math>y</math>軸方向の振動周波数(<math>\psi_y</math>)が異なる原因となる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}。

{{Indent|<math>\psi_x = \sqrt{\frac{g}{l_x}} </math>}}
{{Indent|<math>\psi_y = \sqrt{\frac{g}{l_y}} </math>}}

弦の長い振り子では<math>x</math>軸と<math>y</math>軸の振動周波数の違いは無視できるが、弦の短いフーコーの振り子では深刻な問題となる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}。オネスの数学モデルと実験結果から、<math>x</math>軸と<math>y</math>軸の振動周波数が違なる場合、地球の自転により振動面が回転すると、初動時に直線運動であっても、時間が経過すると楕円軌道となり、さらに円軌道に、再び楕円になることが示された{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}。つまり錘の軌跡は、周波数<math>\psi_x</math>と<math>\psi_y</math>の[[リサジュー図形]]になる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}([[ハーモノグラフ]]も参照)。

理想的なフーコーの振り子は、振動が直線のまま、長時間にわたり振動面の回転が観察できることである{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}。これを満たすためには、<math>x</math>軸と<math>y</math>軸の振動周波数が等しく、<math>x</math>軸と<math>y</math>軸の慣性モーメントも等しい、「完全対称」な振り子が必要である{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=80}}。

=== コンプトン・ジェネレーター ===
{{main|コンプトン・ジェネレーター}}
[[ファイル:Watching the Earth revolve, Fig-4.jpg|thumb|コンプトン・ジェネレーターを使い、地球の自転を観察している様子]]
[[アメリカ合衆国]]の物理学者である[[アーサー・コンプトン]]は[[コンプトン効果]]を発見し、[[1927年]]に[[ノーベル物理学賞]]を受賞した人物である。[[コンプトン・ジェネレーター]]とは、アーサー・コンプトンが[[ウースター大学]]の学生であった[[1913年]]に発表した地球の自転を観測する装置である{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=280}}。

装置の形状は、[[トーラス]]状の中空管になっている{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=280}}。リング管の内側は水で満たされていて、流速を計測できるようになっている{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=280}}。コンプトンは水に少量の油を混ぜて油球をつくり、これを顕微鏡を使って流速を測定した{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=281}}。またトーラスの管は、直径方向に回転軸がついておりリング面を反転することができる{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=281}}。

実験は、まずリング面を水平にして回転軸を東西方向になるように設置する{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=280}}。リング管の中の水が静止した状態から、ゆっくり(約3秒程度で)180度回転してリング面を反転させて、リング管の中の流速を測定する{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=281}}。

ここでリングの半径を<math>R</math>、地球の自転の角速度を<math>\omega</math>、リングの置かれた位置の緯度を<math>\theta</math>とし、リング面が水平で静止した状態から反転させたときの流速を<math>v_{th}</math>とすると、理論値は以下のように求めることができる{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=281}}。

{{Indent|<math>v_{th} = 2 \omega R \sin \theta</math>}}

この計算方法に従うと、[[東京]]で半径50cmのコンプトン・ジェネレーターを水平から180度反転させて流速を測定すると、0.04 mm/s(分速2.5mm)となる。コンプトンの実験結果は、理論値から3%以内の誤差に収まったことが報告されている{{sfn|Analytical Mechanics|1998|p=281}}。

=== レンズ・サーリング効果 ===
{{see also|慣性系の引きずり}}

「{{仮リンク|レンズ・サーリング効果|en|Lense–Thirring precession}}」とは、大質量物体(例えば地球)が回転するの近くにある慣性空間を引きずること現象のことである{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。例えば、広げた布の上にボールを置き、これを布の上で回転させると布が回転に引っ張られるが、同様に地球の自転によっても発生し、結果としてフーコーの振り子の振動面の回転に[[歳差|歳差運動]]が生じると考えられる{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。これは[[一般相対性理論]]により予言された{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。

[[1984年]]、ロシアの物理学者の{{仮リンク|ウラジーミル・ブラジンスキー|en|Vladimir Braginsky}}は、「レンズ・サーリング効果」の検出のため、南極点にフーコーの振り子の建設を提案した{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。これを受けてイギリスの物理学者の{{仮リンク|ブライアン・ピパード|en|Brian Pippard}}は、「レンズ・サーリング効果」の検出を目指したフーコーの振り子を製作したが{{sfn|Foucault pendulum at the South Pole: proposal for an experiment to detect the Earth's general relativistic gravitomagnetic field|1984|p=81}}、製作した振り子を極点に設置しても検出は困難であることを[[1988年]]に報告している{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。このとき、ピパードの作成したフーコーの振り子は、[[ロンドン]]の[[サイエンス・ミュージアム]]に展示されている{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=88}}。

=== アレ効果 ===
[[Image:litbourgeot.jpg|thumb|パラコニカル振り子による観測を行う[[モーリス・アレ]]。]]
[[1988年]]に[[ノーベル経済学賞]]を受賞した[[モーリス・アレ]]であるが、物理学にも強い関心を持っていた{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。「{{仮リンク|アレ効果|en|Allais effect}}」とはモーリス・アレが観測した、[[日食]]の際にフーコーの振り子の振動面の回転異常が生じる現象である{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。アレはこの現象を一般相対性理論では説明できないと主張したが{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}、現象の存在そのものを含めて未解決問題である{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。

[[1954年]]、アレが[[サン=ジェルマン=アン=レー]]で、[[6月9日]]から[[7月9日]]までの間、フーコーの振り子の連続観測を行っていた{{sfn|A memoir prepared for NASA|1999|p=16R}}。観測中の[[1954年6月30日の日食]]において日食の始まりと日食の終わりで、振り子の振動面の急激な回転を観察したと報告している{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。

アレは1959年、振り子の支点が平面に加えて弦の回転方向についても自由度を持つ3自由度の振り子である「{{仮リンク|パラコニカル振り子|en|Paraconical pendulum}}」を使った実験を行った{{sfn|A memoir prepared for NASA|1999|p=17R}}。[[1959年10月2日の日食]]においても、アレは振動面の回転異常を観察した{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。

[[1999年8月11日の日食]]はヨーロッパを横断する皆既日食であったが、[[マーシャル宇宙飛行センター|NASA]][[マーシャル宇宙飛行センター]]のD.NoeverとR.Koczorを中心に「アレ効果」を世界各地で観察を行った{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。[[アメリカ合衆国]]、[[オーストリア]]、[[ドイツ]]など7ヵ国でフーコーの振り子および重力計を使って測定が行われた{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。この観測の結果では、通常とは異なるデータが観測された所もあるが、何らかの測定誤差の範囲を出ないと否定的な結論となった{{sfn|French Nobel Laureate turns back clock(NASA)}}。このレポートについてモーリス・アレは、「実験時間が短い{{sfn|A memoir prepared for NASA|1999|p=65R}}」などの反論を行っている。

== 工学への影響 ==
=== ジャイロスコープ ===
[[ファイル:Foucault's gyroscope, Astronomie populaire.jpg|thumb|フーコーが製作したジャイロスコープ。右に観測用の顕微鏡。]]
レオン・フーコーは、振り子の実験ついて数学者の{{仮リンク|ルイ・ポワンソー|en|Louis Poinsot}}との議論し、その中で振り子の代わりに回転する物体を使えばより小型な装置で地球の自転を観測できることに考えが至った{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=148}}。回転体(ローター)として真鍮製の[[トーラス]]の中心に金属円盤を取り付け、軸を貫通させたものであった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=149}}。この回転体を[[ジンバル]]で固定した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=149}}。フーコーは「回転を見る」というラテン語から「[[ジャイロスコープ]]」と命名した{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=149}}。

ジャイロスコープは専用の起動装置を使って、回転体に高速の回転を与える必要があった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=149}}。起動時に特定の方向に回転体は姿勢を保つが、時間が経過すると地球の自転と共に回転体の向きが移動するように見えた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=151}}。フーコーの製作したジャイロスコープは、10分程度しかジンバルの回転が持続しなかった{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=149}}。このため、地球の自転の影響を観測するためには顕微鏡を用いた{{sfn|フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験|2005|p=149}}。

実際には、ドイツの数学者の{{仮リンク|ヨハン・ボーネンベルガー|en|Johann Gottlieb Friedrich von Bohnenberger}}が、[[1817年]]に回転体として球体を使ったジャイロスコープを論文とし投稿しており、ボーネンベルガーの作成した装置自体はそれ以前から存在していた{{sfn|The machine of Bohnenberger|2010|p=82}}{{efn|ボーネンベルガー自身は単に「機械」と呼んでいた{{sfn|The machine of Bohnenberger|2010|p=82}}。}}。フランスの数学者、[[ピエール=シモン・ラプラス]]や[[シメオン・ドニ・ポアソン]]はボーネンベルガーの装置について存在を知っていた{{sfn|The machine of Bohnenberger|2010|p=82}}。特にポアソンは[[1813年]]の回転体の動力学の解析に関する論文の中でボーネンベルガーの装置を使った説明を行っている{{sfn|The machine of Bohnenberger|2010|p=82}}。従って、フーコーのジャイロスコープはボーネンベルガーの装置をベースとして改良したものだと推定されている{{sfn|The machine of Bohnenberger|2010|p=82}}。

=== MEMSジャイロセンサー ===
[[ファイル:CoriolisForce on ProofMass.svg|thumb|プルーフマス({{lang-en-short|Proof mass}})の概念]]
[[スマートフォン]]や[[デジタルカメラ]]などに、本体の姿勢を検知するためにジャイロセンサーを内蔵した電子機器が数多く存在している{{efn|原理的には電子機器で使用されているジャイロセンサーでも地球の自転を観測することができる。例えば、[[PlayStation Move]]と[[ヘルムホルツコイル]]をつかって地球の自転速度を計測する方法が公開されている{{sfn|pabr.org}}{{sfn|How to track the Earth’s rotation with a PlayStation Move controller(WIRED)}}。}}。これらジャイロセンサーは[[振動型ジャイロスコープ]]と呼ばれる種類が一般的で、半導体集積回路の製造技術から発展した[[MEMS]]と呼ばれる技術によって作りだされた。MEMSジャイロスコープは、角速度を出力するため回転角を取得するためには出力信号を[[積分法|積分]]する必要がある{{sfn|チップ上にフーコー振子 高性能MEMSジャイロ(日経ものづくり)}}。しかし角速度信号は不安定で、これを積分すると経過時間と共に誤差が蓄積する現象(ドリフト現象)が発生することが知られている{{sfn|チップ上にフーコー振子 高性能MEMSジャイロ(日経ものづくり)}}。

一方、「フーコーの振り子」は、ゆっくりとした地球の回転を測定できる高性能な積分ジャイロセンサーとみなすこともできる{{sfn|チップ上にフーコー振子 高性能MEMSジャイロ(日経ものづくり)}}。フーコーの振り子を半導体チップ上に実現したデバイスを「全角度モード・ジャイロスコープ({{lang-en-short|Whole angle mode gyroscope}})」と呼ぶ{{sfn|チップ上にフーコー振子 高性能MEMSジャイロ(日経ものづくり)}}。例えば[[2011年]]に、[[カリフォルニア大学アーバイン校]]のマイクロシステム研究室は、MEMS技術を応用して半導体マイクロチップの上に「フーコーの振り子」を作ることに成功したと発表した{{sfn|Foucault pendulum on a chip|2011|p=77}}。

「全角度モード・ジャイロスコープ」には、弦と錘の単振り子が入っているわけではなく、「プルーフマス({{lang-en-short|Proof mass}}、試験質量)」と呼ばれるものが使われている{{sfn|Foucault pendulum on a chip|2011|p=68}}。これは試験質量を<math>x</math>軸、<math>y</math>軸に沿った方向にバネで支持して振動させ、各軸の変位を観測することで角速度を検出する{{sfn|Foucault pendulum on a chip|2011|p=68}}。「全角度モード・ジャイロスコープ」はさらに、<math>x</math>軸方向と<math>y</math>軸方向の振動を完全対称(周波数、振幅、[[Q値]]などを同一)にすると、試験質量にはコリオリ力が働き、フーコーの振り子と同じく直線振動する{{sfn|チップ上にフーコー振子 高性能MEMSジャイロ(日経ものづくり)}}。

カリフォルニア大学アーバイン校のマイクロシステム研究室が作成したものは、4つの「プルーフマス」を使用した全角度モード・ジャイロスコープである{{sfn|Foucault pendulum on a chip|2011|p=68}}。彼らの主張によると、事実上入力角度の範囲は無制限で、ドリフト現象も1時間あたり0.5度以下に抑えられたとしている{{sfn|Foucault pendulum on a chip|2011|p=75}}。

== その他の影響 ==
=== 小説 ===
イギリスの小説家の{{仮リンク|キャサリン・エアード|en|Catherine Aird}}が、[[1981年]]に発表したミステリー小説「His Burial too(邦題:そして死の鐘が鳴る)」では、フーコーの振り子が事件の重要な鍵となっている{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=85}}{{efn|[[早川書房]]よりハヤカワ・ミステリ文庫として1982年に翻訳版が刊行されている。}}。

[[イタリア]]の[[哲学者]]、[[ウンベルト・エーコ]]は[[1988年]]初出の小説に「[[フーコーの振り子 (小説)|フーコーの振り子]]」のタイトルをつけた{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=67}}。物語は、登場人物の一人がフーコーの振り子が展示された[[パリ工芸博物館]]で閉館後に出来事を振り返る形で語り始める{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=67}}。内容は物理学とは無関係であるが、主人公ら3人がでっち上げた架空の陰謀論と古代伝承が次第にリンクしていき、振り子のように揺れ動く物語となっている{{sfn|The Pendulum: A Case Study in Physics|2005|p=67}}。

=== 芸術作品 ===
[[ニューヨーク]][[ブロンクス区|ブロンクス]]の{{仮リンク|モンテフィオーレ・メディカル・センター|en|Montefiore Medical Center}}内の小児病院のロビーにあるフーコーの振り子は、パブリック・アーティストの{{仮リンク|トム・オターネス|en|Tom Otterness}}がデザインした「帽子を被った錘」になっている{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=201}}。

[[ドイツ]]の画家である[[ゲルハルト・リヒター]]は、[[2018年]]、[[ミュンスター]]にあるドミニカ教会にフーコーの振り子をつかった[[インスタレーション]]を寄贈した<ref name="GERHARD RICHTER TWO GRAY DOUBLE MIRRORS FOR A PENDULUM">{{Cite web |url = https://www.stadt-muenster.de/fileadmin//user_upload/stadt-muenster/00_rathaus/pdf/richter-pendulum_description.pdf |title = GERHARD RICHTER TWO GRAY DOUBLE MIRRORS FOR A PENDULUM|pubulisher = Stadt Münster|accessdate=2019-07-25}}</ref>。作品名は「Zwei Graue Doppelspiegel für ein Pendel(振り子のための2組の灰色の合わせ鏡)<ref name="GERHARD RICHTER TWO GRAY DOUBLE MIRRORS FOR A PENDULUM"/>」である。

日本の[[前衛美術|前衛美術家]]の[[風倉匠]]は、1962年の[[読売アンデパンダン展]]にフーコーの振り子によるインスタレーションを出品した{{sfn|時計の振子、風倉匠|1996|p=119}}。これは会場の天井から吊るした7つのフーコーの振り子を用いたもので、振り子は自転の作用でわずかに動く「ゼロ型のパフォーマンス」であった{{sfn|時計の振子、風倉匠|1996|p=32}}。また風倉は[[1971年]]に現代日本美術展へ「魔術によって宇宙の一部を証す道」と題したフーコーの振り子によるインスタレーションを出品した{{sfn|時計の振子、風倉匠|1996|p=126}}。振り子の振幅によって音色が変わる仕掛けであったが、会場の[[東京都美術館]]から振り子を吊るすことを拒否されたため、床に錘を置いたままの展示となった{{sfn|時計の振子、風倉匠|1996|p=126}}。

=== 展示物としてのフーコーの振り子 ===
世界各地の博物館などにフーコーの振り子が展示されているが、科学史を専門とする{{仮リンク|ロバート・クリース|en|Robert P. Crease}}は、自著で「フーコーの振り子」を「もっとも美しい10の科学実験(The Ten Most Beautiful Experiments in Science)」の1つに選び、これらの展示について以下のように述べている{{sfn|世界でもっとも美しい10の科学実験|2006|p=203}}。

{{Quotation
|フーコーの振り子は、博物館の他の展示物とはだいぶ趣が異なっている。(中略)振り子は、光が出るわけでも、音が鳴るわけでもなく、ただ静かに、厳粛に、荘重に動くだけだ。とりわけ重要なのは、振り子はただ単にインタラクティブではないというレベルを越えて、われわれを完全に無視し、人間的な経験から考えれば根本的に直感に反する事実を露わにしているように見えることだ。
| Robert P. Crease |世界でもっとも美しい10の科学実験
}}

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}

=== 出典 ===
{{Reflist|3}}

== 参考文献 ==
=== 論文・解説 ===
* {{cite wikisource|title = Démonstration physique du mouvement de rotation de la Terre au moyen du pendule|author = Léon Foucault||wslanguage=fr|year= 1851|ref = {{Harvid|Démonstration physique du mouvement de rotation de la Terre au moyen du pendule|1851}} }}
* {{cite wikisource|title = Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|author = Charles Wheatstone|en|year= 1851|ref = {{Harvid|Note relating to M. Foucault's new mechanical proof of the Rotation of the Earth|1851}} }}
* {{Cite journal |和書|author = 菊池大麓|title = 地動說ノ証據|date = 1883-10|publisher = 東洋學藝社|journal = 東洋學藝雜誌|volume = 25|id = {{全国書誌番号|00017007}}|pages = 157-161|ref = {{Harvid|地動說ノ証據|1883}} }}
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* {{Cite web|date = 2018-09-26 |url =https://eng.lsm.lv/article/society/society/television-tower-to-turn-into-major-tourist-attraction.a293739/ |title = Television tower to turn into major tourist attraction |publisher =lsm.lv|accessdate = 2019-09-15| ref = {{Harvid|Television tower to turn into major tourist attraction(lsm.lv)|2018}} }}(英語)
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* {{Cite web |url = https://web.archive.org/web/20190820032019/https://www.shimadzu-rika.co.jp/kyoiku/chigaku/146_482.html |title = 教育支援:フーコー振子(島津理科)|publisher = 島津理科 |accessdate = 2019-09-15| ref = {{Harvid|教育支援:フーコー振子(島津理科))}} }}(日本語)

== 外部サイト ==
=== 動画 ===
* {{YouTube|C3-uFao4dxQ|葛飾区郷土と天文の博物館にあるフーコーの振り子のタイムラプス撮影、約1000倍速で再生}}
* {{YouTube|F5evO0jX6Ug|フーコーの振り子を昼間8時間連続撮影、200倍速で再生}}
* {{YouTube|CJgOJbUpzQU|Miami University David Griggs Foucault Pendulum}}(英語)
* {{YouTube|us7r4Fk2AW4|A Full Day with The Franklin Institute's Pendulum}}(英語)

=== 解説 ===
* [https://www.unic.or.jp/untour/subfou.htm 国際連合ビルのフーコーの振り子](日本語)
* [https://web.archive.org/web/20180922181946/https://www.physics.uoguelph.ca/foucault/foucault1.html ゲルフ大学物理学科のフーコーの振り子](英語)

=== 販売 ===
* [https://www.academypendulums.com/index.html Academy Pendulum Sales](英語)
* [https://www.shimadzu-rika.co.jp/kyoiku/chigaku/146_482.html 教育支援:フーコー振子(島津理科)](日本語)

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2019年9月28日 (土) 16:13時点における版

フランスパリパンテオンのフーコーの振り子。1851年、初めて一般向けの公開実験が行われた場所である[1]1995年よりフーコーの振り子が再現されている[2]

フーコーの振り子(フーコーのふりこ、: Pendule de Foucault: Foucault pendulum)は、地球自転現象を示す演示実験である。自転運動する物体上で、長い弦をもつ周期の長い振り子を長時間振動させると、次第に振動面が変化することが観察できる。1851年フランスレオン・フーコーが考案し、パリパンテオンで公開実験を行った。

概要

北極点におけるフーコー振り子のシミュレーション

振り子を長時間振動させつづけると、その振動面が少しずつ回転する[3]。例えば、北極点の真上に振り子を置いて振動させると、振り子は一定方向に振動を続けるが、振動面は24時間で360度回転する[3]。これは振り子の振動面が支点を通る鉛直軸まわりの回転から影響を受けないために起こる[4]。振り子の錘は外力を受けなければ、いつまでも直線運動を続ける[3]。これは慣性の法則から明らかである[3]。振り子の錘は支点に向かって力を受けているが、これは振動面の面内に働く力であり振動面を変える効果はない[3]

振動面の変化は、振り子上面からみて北半球の場合は右回り、南半球では左回りとなる[5]。赤道上においては振動面の回転は発生しない[5]。緯度において、フーコーの振り子の振動面の回転は1日あたり、1時間あたりとなる[6](参照:#フーコーの正弦則)。この関係から逆算して、建物のなかで振り子を振動させて、振動面の回転速度を観測すると、振り子のある地点の緯度と北半球か南半球かがわかる[6]

例えば、東京を通る北緯35度で、減衰しない理想的な振り子を振動させたとき、振動面は1時間あたり8.6度、1日で206.5度回転する。つまり振り子の振動面は前日とは異なる位置になるが、夜空の星座の位置は24時間経過すると、ほぼ同じ位置に戻っている[6]。この違いもフーコーの振り子を直感的に理解することを難しくする要因である[6]

原理上、地球上で振動している振り子は、すべてフーコーの振り子といえる[1]。しかし、振り子によって地球の自転を観察するためには、振り子を長時間振動させる必要があり、錘の楕円運動など阻害要因を可能な限り除去する必要がある[7]。このため、基本的に長い弦と質量の大きい錘が求められる[8][9]

一方でフーコーの振り子の装置は通常大型となり、また振り子による地球の自転の観測は時間がかかる。このため、チャールズ・ホイートストンが1851年に発表した装置(#ホイートストンの装置を参照)をはじめとして[10]、模型を使って簡易的に原理を説明する試みも多数発表されている。以下にフーコーの振り子の模型によるシミュレーションを撮影した動画を示す。

フーコーの振り子の模型によるシミュレーション動画
ターンテーブル上での振り子の動き
ターンテーブル上(回転座標系)で振り子を横方向から観察したもの
ターンテーブル上(回転座標系)で振り子を下から見上げて観察したもの

理論

単振り子の等時性

弦の下端に錘を、上端を固定して吊るし、同一鉛直平面内で振動させたものを単振り子という。単振り子の弦の長さを、重力加速度をとすると、振り子の周期は、次式で表現できる。

(1-1)

これは単振り子の周期は、錘の質量の大小に関わらず弦の長さのみで周期がきまることを示している。また振れ幅の大小も、単振り子の周期とは無関係であり、これを「単振り子の等時性」という。

振り子の振動面の変化で地球の自転を目視するためには、振り子が長時間動作し、振動面の回転角度の変化が確認できる程度の振れ角が必要である。この条件を有利に働かせるために、弦の長さを長くする必要がある。

フーコーの正弦則

「フーコーの正弦則」による緯度と振動面の移動の関係を示したもの。赤実線:振り子の振動面が一周するのに要する時間。青点線:一日に振り子の振動面が回転する角度。
北緯30度での振動面の変化を表したアニメーション。2日(48時間)で一周する。

「フーコーの正弦則」とは振り子の置かれた緯度と振動面の変化の関係式のことである。フーコーが1851年に「Démonstration physique du mouvement de rotation de la Terre au moyen du pendule(振り子による地球の回転運動の物理的実証)」と題して発表し[11]、直後にジョゼフ・リウヴィルが証明方法を発表している[12]

地球の北半球上の緯度に支点のある振り子が南北に振動していると考える。地球の半径を、地球の自転による角速度を、振り子の振幅をとする。

地球の中心点を原点とした座標系において、支点の直下での錘は自転により以下の速度で移動する[13]

次に、振り子の錘が最も北にきたときの自転から受ける速度は以下の式になる[13]

また、振り子の錘が最も南にきたときの点での自転から受ける速度は以下の式になる[14]

つまり、振り子の錘は北側より南側に振れた点の方が速く移動していることになる[13]。振り子の支点直下からみて、両点が地球の自転から受ける速度は以下になる[14]

振り子の振動面が地球の自転の影響をうけて一周するとき、移動は円となりその円周は、一周に要する時間をとすると、上式をつかって以下のように表現できる[14]

地球の自転は約24時間であり、となるので、振り子の振動面が一周するのに必要な時間は以下のようになる[14]

(2-1)

この式を「フーコーの正弦則」と呼ぶ[15]。また緯度での1時間あたりの振動面の回転角度は以下のようになる

(2-2)

円錐を使った説明

フーコーの正弦則について円錐を用いた説明(ドイツ語)

「フーコーの正弦則」の説明に円錐を使った方法も用いられることがある[16]

地球を真円と仮定し、地球の自転軸と共軸をとり緯度で球面に1点で接する円錐を考える[16]。円錐を展開すると側面は扇形となり、扇形の中心角扇形の弧の長さと扇形の半径の比に等しい[17]。扇形の弧の長さは円錐底面の円周と等しい。また円錐の軸と円錐の母線(扇形の半径)のなす角は緯度に等しく、さらに円錐底面の円の半径と扇形の半径の比はと等しい。従って、扇形の中心角との関係は以下の式となる[17]

緯度での振り子は、円錐の底面と側面の境界線を移動しながら、境界線と直交し常に頂点方向に振幅していると考えることができる。従って、地球が一回転したときの、緯度での振り子の振動面の回転量は、円錐側面の扇形の中心角と等しくなる[17]。これより振り子の振動面が一周するのに必要な時間は、以下のようになる。

(3-1)

コリオリの力による解説

北極点、北緯50度、北緯30度、北緯15度、赤道、南緯15度の6地点でのフーコーの振り子の振動面の回転の違いを示したシミュレーション

コリオリの力を使ったフーコーの振り子のモデルを考える。緯度にある振り子の運動を考える。錘の質量を、弦の長さ、弦に働く張力、地球の自転の角速度をとする。また振り子の支点の真下に錘の質点がくる点を原点とした座標系を設定する。振り子の振動が弦の長さに比べて十分に小さく、振り子の錘の運動は平面内の運動としてみなす。すなわち、座標系の原点回りの回転による遠心力と、軸成分を省略した錘の運動は以下の運動方程式となる[18]

(4-1)

(4-2)

ここで第2項がコリオリの力となる。yを乗じた式(4-1)からxを乗じた式(4-2)と差をとり、張力を除いた式は

これを積分する。ただし錘がを通過すると仮定すると、積分定数は0となる。

ここで平面上に極座標をとり、を上式に代入すると

は、自転による振り子の振動面の回転角速度であり、絶対値をみると「フーコーの正弦則」と一致する。また符号から北半球()では時計回り、南半球()では反時計回りに回転し、赤道上()では回転しないことを示している。

錘の軌道

振り子の振動に比べて、座標系の回転を高速にしたフーコーの振り子のシミュレーション(北半球)。錘の進行方向に対して右側にそれる。また回転座標系からは軌道がサイクロイド曲線となる。ハーモノグラフも参照。

振り子の錘の軌道を複素平面上において考える。複素数を以下のように定義する。

(5-1)

振り子の振幅が小さい場合、弦に働く張力に近似できる。式(4-2)にを乗じて、式(4-1)と式(4-2)を複素数で表すと以下のようになる。ただしは重力加速度である。

ここでと置くと、

これは定数係数2階線形同次微分方程式であり、特性方程式を以下のように表現する[19]

について解く。ここでは緯度における自転による角速度であるためと近似できる[19]

この微分方程式の解として以下の式となる。ただし複素数の積分定数である[19]

オイラーの公式を適用する。ただしとし、式(5-1)より

ここで振り子の周期に対して地球の自転周期は無視できるほど小さい()、つまりと考えると、

時刻のとき、かつとすると、であるので

(5-2)

(5-3)

のとき、は以下の関係に整理することができる[20]

すなわちのとき振り子の錘の軌道が楕円になることを示している[20]。またのとき直線となる[20]

式(5-2)、式(5-3)を時間微分すると

(5-4)

(5-5)

時刻のとき式(5-2)から式(5-5)より初期条件は以下のようになる[20]

つまり、方向に錘を持ち上げてから振り下ろすことを意味し、一方で方向にの初期速度が生じるため、楕円運動になる[20]。従って楕円運動を避けるためには、方向に速度が生じないようにする錘を振り下ろする必要がある[20]

ただし実際の振り子では、錘の振り下ろし以外にも「弦を固定する支持装置が方向と方向で異なる干渉が働く[21]」「錘が完全な対称形状をしておらず、振動に伴って生じる空気抵抗が非対称に作用する[21]」「振り子の周りの空気の流れ[22]」などの原因によって、楕円運動が生じる。

装置

フーコーの振り子は、振動面の回転を観察するためには長時間振動が継続する必要があり、振動の減衰率は可能な限り低いことが望ましい。振り子の振動の減衰は、支持装置の機械的な摩擦抵抗と、弦と錘に作用する空気抵抗が主要因である[23]。また支持装置の構造や空気抵抗、振り子の特性、振り子の起動などにより錘の軌道が楕円運動するため、これを抑制する仕組みも必要となる[22]

弦と錘

フーコーの振り子では、振動が長時間継続することが必要であり、基本的に長い弦と質量の大きい錘が求められる[8][9]

振り子の空気抵抗は、投影面積と速度の2乗の積に比例する。弦は、同じ長さの弦であれば径が小さい方が良い[23]。また振り子の振幅長が同一で比較すると、弦が長いほど平均速度が小さくなり、空気抵抗を減らすことができる[23]。しかし、長い弦による空気抵抗は無視できない[23]。錘は、比重の大きな材質を使い、断面積が小さく質量が大きくなるように設計する[23]

支持装置

フーコーの振り子用のダブルナイフエッジによる支持装置(国立科学博物館で使用している装置の模式図)。上:振り子の弦と直接固定するナイフエッジ、中:中間リング、下:受け側のナイフエッジ
ヘイケ・カメルリング・オネスが実験に使用したフーコーの振り子のダブルナイフエッジによる支持装置。板バネの押し付けの調整により、楕円軌道の研究を行った[24]

支持装置は振り子の弦を固定する部分であり、任意の方向に振り子を振動させることが必要がある[23]。また横振動を抑止し、長時間振動を続けるために、隙間なく1点で固定し、かつ機械的摩擦抵抗が小さいことが望まれる[23]。振り子の弦の支持装置として「固定型」、「やじろべえ型」、「ナイフエッジ型」、「自在継手」などが考えられる。

「固定型」による弦の支持は、弦を単純にボルトで締め付けたり[23]、チャックで固定することで[25]、弦の弾性変形より振り子を振動させる方法である[26]。構造が単純で1点支持のため減衰が少ない[23]。しかし、弦をボルト留めする場合、弦にボルトを通す穴が必要となり、この穴の隙間の影響による楕円運動の発生の可能性がある[23]。また弦に直接曲げ力が働くため疲労破壊の可能性もある[26][27][25]

「やじろべえ型」は振り子の弦をお椀型または円環型の器具に固定し、この器具 を上向きの針で1点固定する方法である[26]。しかし「やじろべえ型」では、振り子の振動面が回転すると針を支える構造体と干渉を起こす[26]。このためフーコーの振り子には不向きな支持構造である[26]

「ナイフエッジ」は弦の上端を三角柱の部材で固定し、この三角柱の角(ナイフエッジ)で、受け部材に載せて支持するものである。「ナイフエッジ」による支持装置は、機械的な摩擦抵抗が非常に小さいが、エッジや受け側の摩耗やそれらの間への塵の侵入などが問題となる[28]。フーコーの振り子の場合は、振動面の回転方向へ働く抗力も減らす必要があるため、「ダブルナイフエッジ」を使用する[26]。「ダブルナイフエッジ」とは、互いに向き合った2組のナイフエッジを直交させて中間リングで受けて、1点で回転中心になるようにしたものである[29]

ヘイケ・カメルリング・オネスはフーコーの振り子の研究で博士号を取得しているが(後述)、使用したフーコーの振り子はダブルナイフエッジによる支持装置を採用している。ナイフエッジ側に板バネを取り付け、中間リングを両側から押し付けを調整できるようになっている[24]。これを調整することにより、フーコーの振り子における楕円軌道の研究を行った[24]

国立科学博物館のフーコーの振り子も、機械摩擦低減のため「ダブルナイフエッジ」による支持装置に採用している[30]。これは1934年に設置されたが、ドイツの機械工学雑誌に掲載されたものを参考に、東京計器製作所(現:東京計器)が製作した[31]

国際連合本部ビルにあるフーコーの振り子の支持装置は自在継手を採用している[32]

減衰防止装置

振り子の構造を工夫しても、振り子の振幅の減衰は避けることができない。科学館の展示などで、長時間にわたり振り子を動作させるためには、数時間おきに振り直す必要がある。この問題を回避するため、主に電磁石による減衰防止装置が設置されている場合がある。

レオン・フーコーは、1855年に、フランスで初めて開催されたパリ万国博覧会の産業館において、フーコーの振り子の実験装置を用意した[33]。ここで使用された振り子にはの減衰に対して、電磁石によるブースト装置を加えたものであった[34]

カリフォルニア科学アカデミーのフーコーの振り子には、弦の上端側(支持装置側)に電磁石を使った減衰防止装置が組み込まれている[35]。これは、振り子の錘が振り下がり支点の真下に達するタイミング、すなわち床面に対して弦が垂直の状態になる直前のタイミングで電磁石を通電し、弦を微小量だけ上側に引っ張る[35]。弦の上端側の片が電磁石に触れると通電が切れて、錘がわずかに落下することで加振する[35]

乃村工藝社ソニーは、振り子の支点の真下の床面内に電磁石を設置する特許を出願している[36][37]。これは床面内に振り子の錘の検出器があり、錘の通過に合わせて電磁石によって錘を吸引することで、振り子を加振する[36][37]

シャロン環

「シャロン環(: Charron ring)」とは振り子の楕円運動を防止するための正円のトーラス状の部品である[38][39]。フランスの物理学者、シャロン(M. Charron)が1931年に発表した[38]

シャロン環は、弦の支点の直下の位置に設置し、環の直径は振り子の最大振幅より若干小さいサイズにする[38]。振り子の錘を振動させると、弦が環の内側に軽く当たり、振り子の運動の振幅方向以外の成分を打ち消すことができる[38]。これによって振り子の楕円運動を防止できる[38][39]。ただしシャロン環への衝突により振り子の振動の減衰がおきるため別途減衰防止の方法が必要となる[38]

観測装置

コスモカイシャ・バルセロナ英語版のフーコーの振り子。錘の先によってブロックが倒れることで振動面の回転を示している。
国立科学博物館のフーコーの振り子の目盛盤。振り子の振動面の変化により表示ランプが点灯する。

床面の振り子の可動域の円周上にピンやブロックを並べ、振り子の錘がこれらを倒すことで振動面の変位を示す方法が一般的である。

1851年、レオン・フーコーがパンテオンで実験したとき、錘の下部には鉄筆状のものが取り付けられた[40]。一方、床面の振り子の可動域の端に砂を盛った土手を設け、鉄筆がこの土手をかすめることで振り子の振動面の変位を示すようにした[41]

日本の国立科学博物館にあるフーコーの振り子には、直径150cmの目盛盤があり、振動方向を検知する赤外センサとそれを表示する表示ランプが48組並んでおり、振動面の位置を表示できるようになっている[28]。赤外線センサは発光部と受光部が1対になっており、錘の下の反射によって錘の通過を検知する[28]

起動装置

フーコーの振り子を始動させるとき、錘を支持点の真下を通るように錘を正確に振り下ろす必要がある[42][43]。わずかでも横方向に初速度が生じると振り子の振動面に横揺れが生じ、楕円運動の原因となるためである[42]

レオン・フーコーがパンテオンで公開実験したとき、振り子の錘をロープで固定し、実験開始時にこれをマッチで火をつけ、焼き切ることで始動していた[41][注釈 1]

国立科学博物館のフーコーの振り子は電磁石による始動を行っている[28]。これは錘の鉄輪を電磁石で吸引し、電磁石への電流を切ることで錘を振り下ろすものである[28]

フーコーの振り子の小型化

フーコーの振り子の性質上、精度の高い実験を行うためには長い弦と大きい質量の錘が必要となり、結果として装置が大型になる。

リチャード・クレインの振り子

アメリカの物理学者のH・リチャード・クレイン英語版は、1981年に弦の長さが70cmのフーコーの振り子を発表した[44][45]

錘の下端に永久磁石を埋め込み、振り子の下側の床に固定された永久磁石と電磁石を設置した[45]。錘の磁石を検知して位置を推定し、位置に応じて床の電磁石をオン・オフすることで錘の吸引と押出を行う[45]。この磁石の作動にシャロン環を加えて楕円運動の発生を抑え、振動の減衰を防止した[45]

クレインの設計したフーコーの振り子の弦の長さは70cm[45]。地球の自転による振り子の振動面の回転の誤差は2%以内[44]。クレインは自身の設計したフーコーの振り子を時計として自宅とオフィスの2ヶ所で使用し、約10年間の連続稼働を行った[46]

クレインはさらに、同様の改良によって弦の長さが15cm(5.9インチ)でもフーコーの振り子として動作したと報告している[46][47]

日本の事例

和歌山県立粉河高等学校の教諭であった生地富雄により、弦の長さ:76cm、錘の質量:150gの小型の振り子での試作実験が、1963年に報告されている[48]。楕円運動の対策としてシャロン環を使用[48]。振動の減衰対策として振り子の支点の直下に電磁石を置いて、錘を電磁石で吸引する方法をとった[48]。振幅9cmで実験したところフーコーの正弦則から求めた理論値に対して誤差5.3%以内の結果が得られたと報告している[48]。この研究に対して日本学生科学賞地学クラブ総理大臣賞が送られている[49]

福島県教育センターの渡辺専一は、小型の振り子として錘の先端に発光体を取り付け、床面に凹面鏡を置く構成を発表した[50]。振り子が振動すると光が凹面鏡に反射し、振幅が増幅されて天井に投影できる[50]。渡辺によれば一般的な天井高のある部屋で実験が可能な、弦の長さが1.7から1.8mの振り子でも振動面の回転が観測できるとしている[50]

装置メーカー

日本国内で市販されている小型のフーコーの振り子(藤橋城

フーコーの振り子は世界各国の博物館、科学館、大学などの展示ディスプレイとして数多く設置されている[51]。世界で100以上の導入実績があるのはカリフォルニア科学アカデミーの装置部門、およびその後継としてカリフォルニア科学アカデミーで装置製造に従事していたキャリー・ポンキオーネ(Cary Ponchione)が設立したAcademy Pendulum Salesである[52][注釈 2]。Academy Pendulum Salesでは、錘や電磁石ブースターなどをセットにした振り子キットを製造販売している[53]。日本では、葛飾区郷土と天文の博物館姫路科学館などに導入した実績がある[53]

日本では、乃村工藝社や木村製作所が展示ディスプレイ用途のフーコーの振り子を扱っている。また理科実験の目的で島津理科などから小型のフーコーの振り子が市販されている[54]

歴史

前史

紀元前4世紀のプラトンアリストテレスは地球は宇宙の中心にあるという信念をもち[55]プトレマイオス天動説として体系化した[56]。ローマカトリック教会は聖書の解釈にプトレマイオスの地動説を利用した[57]

ニコラウス・コペルニクスはプトレマイオスの「アルマゲスト」を丹念に読み込み、自ら天体観測も行い、その修正を試みた[58]1540年、コペルニクスは自身の死を前に「天体の回転について」を出版し、その中で地球が他の惑星と同様に太陽の周りを公転するモデルを示した[59]。しかし、ローマカトリック教会は、地球が動いているというコペルニクスの説は聖書の解釈と相容れないと判断した[55]

ガリレオ・ガリレイは自身で望遠鏡をつくり、天体観測を行った[60]。ガリレオは木星を周回する衛星を発見し、その運行を記録した[60]。木星を周回する衛星の発見は、ガリレオに太陽中心の地動説を確信へと導いた[61]。ガリレオはローマに呼び出され裁判にかけられることになったが、ガリレオは論破できると考えていた[61]。ガリレオは地動説を示す証拠として、海の潮汐現象を証拠として考えていた[62]。しかし、1633年に有罪の判決を受け、地動説の破棄と自宅の幽閉などの内容であった[63]

一方、ガリレオは単振り子の周期が錘の質量の大小によらず弦の長さに依存する「振り子の等時性」を発見していた[61]。またガリレオの助手であったヴィンチェンツォ・ヴィヴィアーニは「単振り子の振動は、最初の垂直面から必ず同じ方向へずれていく」現象を1660年か1661年には記録していた[64]

マラン・メルセンヌによる、砲弾垂直打ち上げ実験を描いた絵。

ルネ・デカルトはガリレオの地動説を支持しつつも、教会からの異端審問を恐れ、オランダで隠遁生活を送っていた[65][注釈 3]。デカルトは、大砲から放たれた砲弾の落下を観測すれば、地球の自転が証明できるはずだと考えた[67]。デカルトは、文通で数学や哲学の議論を深めていたフランスの修道士のマラン・メルセンヌに大砲による実験を依頼した[68][注釈 4]

1638年の春、メルセンヌは助手と2人で大砲を使った実験に取り組んだ[67]。大砲を垂直に向けて真上に砲弾を打ち上げた[67]。1発目は行方不明[70]。2発目は西に600mの地点に、3発目は東に600mの地点にそれぞれ着地[70]。自分たちの頭上に砲弾が落ちてくる可能性がでてきたため、実験は中止となった[70][注釈 5]

アイザック・ニュートンは「落下するりんご」の話でシンボリックに語られる万有引力の発見で知られるが、またニュートンは地球の自転の証明に重力が使えるのではないかとも考えていた[71]1679年、ニュートンは「物体の落下は地球の自転のために、落下地点が必ず東にずれるはずだ」というアイデアをロンドンの王立協会に手紙で送付した[71][注釈 6]。ニュートン自身は実験を行わなかったが、ロバート・フックが提案に従って物体の落下実験を行った[72]。フックの実験では「南東へのわずかなずれ」を観察したが、実験ごとの測定値のずれが大きく、地球の自転の証明とはならなかった[72]

地動説の決定的な証拠として年周視差の検出が考えられた[73]イギリス天文学者ジェームズ・ブラッドリーは年周視差の検出を目的とし、1725年頃よりりゅう座ガンマ星の観測を始めた[74]。この観測で年周視差の予想とは異なる観測結果を得た[75]。ブラッドリーは熟考の末、観測結果から年周光行差を発見した[75]。この光行差の予期せぬ発見は、地動説の証明となった[76][注釈 7]

フーコーの着想

レオン・フーコー1819年 - 1868年

1819年、パリに生まれたレオン・フーコーは医者を志し医学校に通っていたが、次第にルイ・ダゲールの写真技術「ダゲレオタイプ」に強い関心を持つようになった[78]。やはり元医学生であったアルマン・フィゾーと協力してダゲレオタイプの改良を行った[78]1845年にはフーコーとフィゾーは鮮明な太陽の写真撮影に成功した[78]。その後、光の速度の測定を2人で始めるが、装置の方針を巡って喧嘩別れとなり、フーコーは単独で研究を続けることになった[78][注釈 8]

フーコーは理論家というより、自らの手で実験装置を作っていた技術者であった[79]。フーコーは、望遠鏡の制御に使用する振り子時計の改良を行っていた[79]。このとき、たまたま旋盤のチャックに装着されていた金属棒を振動させて、旋盤をゆっくり回しても振動面が変化しないことを見つけた[80]。次に、フーコーはピアノ線に錘をつけた振り子をボール盤の台に取り付け、台をゆっくり回転させた[80]。やはり、振り子の振動面は変化しないことを確認した[80]

フーコーは、旋盤やボール盤の回転台を自転する地球に置き換えれば、自転の影響で振り子の振動面の変化が観測できるはずだと考えた[81]。ただし振り子の位置は平面上でなく球面上にあり、振り子が極点から赤道の間のどの位置にくるかによって振動面の運動は変化することに気がついた[81]。この関係について「フーコーの正弦則」と呼ぶが[82]、フーコーは力学理論の素養なしに、直感的に導き出した[83]

最初の実験

かつてフーコーの自宅のあったパリ、ヴォージラール通りとアッサス通りとの交差点にある建物の側壁レリーフ(位置:北緯48度50分52.02秒 東経2度19分47.16秒 / 北緯48.8477833度 東経2.3297667度 / 48.8477833; 2.3297667[84]。フーコーの略歴が刻まれている[84][注釈 9]

フーコーは本物の振り子を使って、正弦則を目で確認できないかと考えた[82]。長さ2mの鋼鉄製ワイヤーの一端を自宅の地下室の天井からつり下げ、しかも、ねじれることがないように工夫した[85]。錘として5kgの真鍮製のものが取り付けられた[85]。振り子がなんの干渉も受けずにあらゆる方向に揺れることができるようになるまで、およそ1ヶ月の試行錯誤が必要であった[85]

1851年1月3日、実験を開始したがすぐにワイヤーが切れた[82]。数日後、再び実験を行った[注釈 10]。フーコーは、実験開始から1時間後には「目に見えて位置の変化が起こる」こと、「振り子は天球の日周運動と同じ向きに回転する」ことを観察した[82]

パリ天文台での実験

フーコーは、パリ天文台の台長であったフランソワ・アラゴに公開実験を申し出た[87]。アラゴは申し出を受けいれ、フーコーはただちに準備に取りかかった[87]。実験場所はパリ天文台の中央ホールである「子午線ホール」となった[88]。錘は自宅での実験と同じもの(5kg)を、弦は長さ11mのワイヤーに変更した[88]

フーコーはパリ在住の科学者に以下の内容の招待状を送った[88]

Vous êtes invités à venir voir tourner la Terre, dans la salle méridienne de l Observatoire de Paris.

(地球の自転を見に来られたし、パリ天文台の子午線ホールにて[89]。)

1851年2月3日、多くの科学者たちがパリ天文台に集まり、実験に立ち会った[90]。またフーコーは同日、科学アカデミーに対して、自宅の地下室で行った実験の結果と地球の自転の証明に関する論文を報告した[15]。この中で「フーコーの正弦則」を使い、振り子のある緯度と振り子の振動面の関係について明らかにした[15]

フーコーの実験は驚きをもって迎えられた一方で、招かれた科学者たちには「フーコーの正弦則」に目新しい点は無いという考え方が多数派であった[91]。例えば、1851年3月16日、ジョヴァンニ・プラーナは「(フーコーの正弦則は)1837年シメオン・ドニ・ポアソンが発表した論文「投射物の運動について」において、「(フーコーの振り子の現象は)すでに予測された範囲である」との論文を投稿した[92][注釈 11]。ポアソンは大砲から打ち出された弾は、地球の自転により、わずかに横にずれるはずだと考え理論式を構築していた[94][注釈 12]。またポワソンは地球の自転が振り子にも影響を及ぼすが、観察することは困難だと考えていた[5]

パンテオンでの公開実験

フランスの大統領であったルイ・ナポレオン(のちに皇帝ナポレオン3世)はパリ天文台でのフーコーの実験を耳にし、パンテオンでの公開実験を命じた[88][注釈 13]。フーコーは、新たに振り子を準備し、錘は真鍮製で28kg、直径38cmの球体のものを作らせた[98]。弦は、パンテオンのホールの天井の高さに合わせて、長さ67mのものを用意した[98]。また錘の下部には鉄筆状のものが取り付けられた[40]。この工夫により、振り子の可動域の端に砂を盛った土手を設け、鉄筆が土手をかすめることで振り子の位置の変位を示すようにした[41]

1851年3月27日、ルイ・ナポレオンの臨席のもと、パリ市民の前で、パンテオンでの公開実験が行われた[99][注釈 14]。振り子の実験は完璧ではなく、時間経過すると軌道が8の字運動になり振幅も減衰を始めたが、数時間経過すると、目に見えて振動面が変化が観察できた[101]。ルイ・ナポレオンは実験に満足し、1854年にフーコーをパリ天文台付きの物理学者に任命した[102][注釈 15]

その後、パンテオンでの実験は毎週木曜日に実施された[99]。しかし、1851年12月1日、ルイ・ナポレオンは「パンテオンでの実験をただちに終了し、パンテオンを教会としての役目に戻せ」という大統領令を出し、公開実験は終了した[105][注釈 16]

各地での再現実験

1851年5月8日、ランスノートルダム大聖堂で振り子の実験が行われた[106]。また同じ年に、イギリスのオックスフォード大学ラドクリフ・カメラ[33]ジュネーヴ[33]ダブリン[33]ニューヨーク[33]でも実験が行われた。

1851年の9月から10月にかけて、南半球のリオデジャネイロで再現実験が行われた[33]。振り子は弦の長さが4.37m、錘の質量が10.5kgで約2ヶ月間行われた[33]。この実験結果はフランス科学アカデミーに報告された[33]

1855年、フランスで初めて開催されたパリ万国博覧会の産業館において、フーコーの振り子の実験が行われた[33]。この振り子はフーコー自身が準備し、新たに振り子の振動の減衰に対して、電磁石によるブースト装置を加えたものであった[34]

50年記念実験

1902年、フーコーの実験をパンテオンで再現したときの写真。左がカミーユ・フラマリオン

1902年天文学者カミーユ・フラマリオンは、最初のフーコーの振り子の実験から半世紀を記念し、フランス天文学協会英語版に対して再びパンテオンでの公開実験を提案した[107]。フランス天文学協会の会長はアンリ・ポアンカレであり、フラマリオンの提案に同意した[107]

1902年10月22日、パリのパンテオンに作曲家のカミーユ・サン=サーンス、彫刻家のオーギュスト・ロダン、同じく彫刻家で自由の女神像を製作したフレデリク・バルトルディなどの招待客を含め、観衆が2000人以上集まった[108]。午後2時、公共教育大臣のジョセフ・ショーミエ英語版が錘を固定しているロープを火で焼き切って、実験を開始した[108]。そして、フラマリオンが以下のようにスピーチを行った[108]

一般向けの天文学に関してこれまでになされた公開実験の中で最も壮大なものは、間違いなくレオン・フーコーが半世紀前にこの場所で行った印象に残る実験である。この実験は、この地球の自転運動を具体的に明快かつ壮麗に証明し、惑星すなわち「移動する星」という言葉がわれわれの住む世界にふさわしいことを、文字どおり断定したのである。

—  カミーユ・フラマリオン[108]

日本でのフーコーの振り子

東京科学博物館にフーコー振り子が設置されたことを報じる新聞記事(東京読売新聞1934年4月22日夕刊)。

「談天」は、漢籍本「譚天」に訓点を施した本で、西洋天文学を紹介したものである[109]。原著者は、候失勒(ジョン・ハーシェルのこと[109][注釈 17])で1851年に刊行された「Outlines of Astronomy(天文学概要)」を、英国人の偉烈亜力(Alexander Wylie)が口語訳し、清国人の李善蘭が漢訳して、1859年に出版された[109]。これに福田理軒が訓点を施し、上中下の3冊が1861年(文久元年)に刊行された[109]。「談天」の二篇には、地球の自転に関する説明があり、その中でフーコーの振り子の実験の記述がある[110][111]

「東洋学芸雑誌」第25号(1883年10月発行)に掲載された菊池大麓が著した「地動說ノ証據」の中で、地球の自転に関する解説がある[112]。この解説では、地球の自転を示す証拠としてフーコーの振り子とジャイロスコープが説明されている[113]。またこの解説に、東京大学でフーコーの振り子の実験を行ったことについて簡単な記述がある[113][114]。このとき使用された振り子は、弦が長さ16から17尺(約4.8から約5.2m)の銅線、錘の重さが11貫目(約41kg)、錘の直径が7寸(約21cm)であった[113][114]

1932年の天文学術誌「天界」に広島文理科大学の中村饒がフーコーの振り子の実験方法の改良について記事を投稿した[115]。中村は、振り子の錘に豆電球を取り付け、これを発光させながら振り子を振動させ、下面から写真機で長時間露光することで振動面の回転を記録するというものであった[115]

1934年4月21日に東京科学博物館上野新館(現:国立科学博物館日本館)に設置された[116]。常設展示としては日本初である[116]

世界各地のフーコーの振り子

国際連合本部ビルのロビーにあるフーコーの振り子

フーコーの振り子は、「地球の自転の証明」という科学教育の観点から、世界中の博物館科学館学校などに数多く設置されている[117]

ニューヨークにある国際連合本部ビルのロビーの大階段には、弦長が約23m、錘の質量が約91kgのフーコーの振り子が存在する[32][118][119]。1955年にオランダが寄贈したもので、ユリアナ女王のメッセージが刻まれている[32]

日本では、1934年4月21日国立科学博物館に常設展示された[116]。また、東京ディズニーシーフォートレス・エクスプロレーションの中にフーコーの振り子がある。

オリジナルのフーコーの振り子

フーコーがパンテオンで1851年に実験した振り子の錘は、フランス国立工芸院附属のパリ工芸博物館に展示されている[120][121]。またフーコーが公開実験を行ったパンテオンのドームにはフーコーの振り子が取り付けられ、実際に動いている[122]。現在パンテオンの振り子の錘は、パリ工芸博物館の実物を複製したものである。

世界最大・世界最長のフーコーの振り子

聖イサアク大聖堂のドームに存在したフーコーの振り子(1985年

アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドオレゴン・コンベンション・センター英語版 にあるフーコーの振り子は、弦の長さが約21m(70フィート)、錘の質量が約340kg(750ポンド)であり、錘の質量では世界最大を自称している[123]

ソビエト連邦時代、サンクトペテルブルク聖イサアク大聖堂のドームにフーコーの振り子が設置されていた[124]。当時、聖イサアク大聖堂は宗教利用を禁じられ博物館として利用されていた[124]。大聖堂のドーム高は約100m[124]。取り付けられた振り子の弦もドーム高に合わせて98mあり、恐らく世界で最も長い弦長をもつフーコーの振り子であった[124][注釈 18]

ラトビアの首都リガにあるリガ・ラジオ・アンド・テレビ・タワーは、再開発プロジェクトに合わせて2019年より改装工事を行っている [126][127]。リニューアル時に、を支える脚の間に、弦の長さが70m以上、錘の重量500kgのフーコーの振り子が設置されることになっている[126][127]。竣工予定は2023年から2024年頃で、「完成すれば世界最大で最長のフーコーの振り子となる予定[126][127]」と主張している。

南極点での実験

「フーコーの正弦則」によると、極点でフーコーの振り子を実験すると振動面が1時間ごとに15度移動、24時間で1回転する[注釈 19]。これを実験に確認するために、2001年、ソノマ州立大学のA. ベイカーらが南極点にあるアムンゼン・スコット基地でフーコーの振り子の実験を行った[128]。実験場所は建設中の建物の階段の吹き抜けで、実験時の気温は-67度であった[128]。また大気圧が660hPaで、海抜約3,350m相当の場所であった[128]

実験で使用した振り子は、弦の長さ33m、錘の質量が25kgを使用した[128]。計測した振り子の周期は11.5秒であった[128]。実験は20分間行い、計算通り振動面の5度の回転を観測した[128]

レオン・フーコー以後の研究

ホイートストンの装置

チャールズ・ホイートストンによる「ばね」を使ったフーコーの振り子の原理を説明するための装置[10]

イギリスの物理学者、チャールズ・ホイートストンは、レオン・フーコーによる振り子を使った地球の自転の証明方法についての補足を1851年に発表した[129]。フーコーの振り子が地球の自転の証明であることへの根本的な疑い、および観察地点の緯度により振動面の回転速度が異なるという「フーコーの正弦則」の説明の難解な点に応えた内容であった[129]。この論文の中でホイートストンは、「ばね」を使った装置を提示した[129]

装置は、円形のターンテーブルに、半円形のアーチ状のスライダーがターンテーブルの直径方向にままたぐように取り付けられている[10]。ばねはスライダーとターンテーブルの中心点の間を接続するように取り付けられている[10]。バネを横方向に引っ張ると振動し、振動面がターンテーブルを回したときの状況を観察できる[10]

ばねがターンテーブルの面に対して垂直に立っているとき、ばねを横振動させてターンテーブルを回転させ、ターンテーブルの直上から観察すると、ターンテーブルが回っていても振動面は変化しない[129]。ターンテーブル上にある視点から見ると、ばねの振動面はターンテーブルの回転速度と同じ速度で、ターンテーブルの向きとは逆の向きで回転しているように見える[129]。これは極点でのフーコーの振り子の動作に一致する[129]

ばねとターンテーブルのなす角を任意の角度(ただし0度ではない)に設定し、ターンテーブルを回転させてターンテーブルの直上から見ると、ばねの振動面が回転することを観察できる[129]。例えば、ばねを30度に設定すると、ターンテーブルを2回転させると振動面が1回転する[129]。同様に、ばねを19.5度に設定してターンテーブルを3回転させると振動面が1回転、ばねを14.5度に設定してターンテーブルを4回転させると振動面が1回転する[129]。つまり、ばねとターンテーブルのなす角度は、フーコーの振り子における実験地点の緯度に相当する[129]

オネスによるフーコーの振り子の研究

ヘイケ・カメルリング・オネスが使用したフーコーの振り子の概念図(Fig.1)。全体を金属ケースで密封し、0.1気圧以下に減圧して実験を行った。
ヘイケ・カメルリング・オネスの論文で示されたフーコーの振り子の軌道。リサジュー図形のように楕円軌道が変形している。

オランダ物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスヘリウムの液化や超伝導の発見など低温物理学の分野に業績があり、1913年にはノーベル物理学賞を受賞した人物である[130]。オネスは、フローニンゲン大学1879年に博士号を取得したが、博士論文のタイトルは「: Nieuwe bewijzen voor de aswenteling der aarde(地球の自転の新たな証拠)」で、フーコーの振り子の現象の一般化(レオン・フーコーが示した地球の自転による振り子の振動面の回転は特殊な振り子であること)を示した研究であった[130]

オネスにフーコーの振り子の研究を勧めたのはグスタフ・キルヒホフであった[131][132]。キルヒホフはフーコーの振り子について、数学モデルと実験結果が示す差異に不満を持っていた[133]。オネスは、1872年の秋からフーコーの振り子の実験に取り組み[133]、一時中断した後、1876年の春に博士論文のテーマとした[134]

オネスが実験に使用した振り子は、弦が1.2mの細い銅管で、錘が質量15kgの鉛の球を使った[135]。支持装置は板バネ付きのダブルナイフエッジを使用した[135]。また空気抵抗を無視できるようにするため、振り子全体を金属ケースで囲み、減圧して0.1気圧以下で実験を行った[135]

また錘の軌道は、振り子に取り付けられたと、プリズムレンズの組み合わせで光学的に観察するにようになっていた[135]。振り子の鏡で反射された光は、金属ケースのガラス窓を通して装置外部に出力され、これを拡大レンズを通して観察した[135]。接眼レンズには目盛が刻まれており、振り子の振動面の角度と振幅を正確に記録できた[135]

このように外乱を可能な限り排除し、地球の自転が振り子の軌道に与える影響を観察したが、時間が経過すると錘の運動が楕円になる現象が生じた[136]。オネスは装置の改良と実験を重ね、2年の歳月を費やしたが、振り子の軌道が楕円になる現象は解消されなかった[136]。オネスは実験結果と理論面を見直し、一般的な振り子がコリオリの力を受けると楕円軌道になると考え方を改めた[137]

理想的な振り子の弦の支点は、どの方向に錘を振動させても一点で固定されていると仮定する[22]。しかし、現実には機械的制約により縦方向(便宜的に軸方向)と横方向(軸方向)の支点位置がわずかにずれ、軸方向で振動している時の弦長軸方向で振動している時の弦長が異なることになる[138]。従って、振り子の運動方程式は

軸方向の振動周波数()と軸方向の振動周波数()が異なる原因となる[138]

弦の長い振り子では軸と軸の振動周波数の違いは無視できるが、弦の短いフーコーの振り子では深刻な問題となる[138]。オネスの数学モデルと実験結果から、軸と軸の振動周波数が違なる場合、地球の自転により振動面が回転すると、初動時に直線運動であっても、時間が経過すると楕円軌道となり、さらに円軌道に、再び楕円になることが示された[138]。つまり錘の軌跡は、周波数リサジュー図形になる[138]ハーモノグラフも参照)。

理想的なフーコーの振り子は、振動が直線のまま、長時間にわたり振動面の回転が観察できることである[138]。これを満たすためには、軸と軸の振動周波数が等しく、軸と軸の慣性モーメントも等しい、「完全対称」な振り子が必要である[138]

コンプトン・ジェネレーター

コンプトン・ジェネレーターを使い、地球の自転を観察している様子

アメリカ合衆国の物理学者であるアーサー・コンプトンコンプトン効果を発見し、1927年ノーベル物理学賞を受賞した人物である。コンプトン・ジェネレーターとは、アーサー・コンプトンがウースター大学の学生であった1913年に発表した地球の自転を観測する装置である[139]

装置の形状は、トーラス状の中空管になっている[139]。リング管の内側は水で満たされていて、流速を計測できるようになっている[139]。コンプトンは水に少量の油を混ぜて油球をつくり、これを顕微鏡を使って流速を測定した[140]。またトーラスの管は、直径方向に回転軸がついておりリング面を反転することができる[140]

実験は、まずリング面を水平にして回転軸を東西方向になるように設置する[139]。リング管の中の水が静止した状態から、ゆっくり(約3秒程度で)180度回転してリング面を反転させて、リング管の中の流速を測定する[140]

ここでリングの半径を、地球の自転の角速度を、リングの置かれた位置の緯度をとし、リング面が水平で静止した状態から反転させたときの流速をとすると、理論値は以下のように求めることができる[140]

この計算方法に従うと、東京で半径50cmのコンプトン・ジェネレーターを水平から180度反転させて流速を測定すると、0.04 mm/s(分速2.5mm)となる。コンプトンの実験結果は、理論値から3%以内の誤差に収まったことが報告されている[140]

レンズ・サーリング効果

レンズ・サーリング効果英語版」とは、大質量物体(例えば地球)が回転するの近くにある慣性空間を引きずること現象のことである[45]。例えば、広げた布の上にボールを置き、これを布の上で回転させると布が回転に引っ張られるが、同様に地球の自転によっても発生し、結果としてフーコーの振り子の振動面の回転に歳差運動が生じると考えられる[45]。これは一般相対性理論により予言された[45]

1984年、ロシアの物理学者のウラジーミル・ブラジンスキー英語版は、「レンズ・サーリング効果」の検出のため、南極点にフーコーの振り子の建設を提案した[45]。これを受けてイギリスの物理学者のブライアン・ピパード英語版は、「レンズ・サーリング効果」の検出を目指したフーコーの振り子を製作したが[141]、製作した振り子を極点に設置しても検出は困難であることを1988年に報告している[45]。このとき、ピパードの作成したフーコーの振り子は、ロンドンサイエンス・ミュージアムに展示されている[45]

アレ効果

パラコニカル振り子による観測を行うモーリス・アレ

1988年ノーベル経済学賞を受賞したモーリス・アレであるが、物理学にも強い関心を持っていた[142]。「アレ効果英語版」とはモーリス・アレが観測した、日食の際にフーコーの振り子の振動面の回転異常が生じる現象である[142]。アレはこの現象を一般相対性理論では説明できないと主張したが[142]、現象の存在そのものを含めて未解決問題である[142]

1954年、アレがサン=ジェルマン=アン=レーで、6月9日から7月9日までの間、フーコーの振り子の連続観測を行っていた[143]。観測中の1954年6月30日の日食において日食の始まりと日食の終わりで、振り子の振動面の急激な回転を観察したと報告している[142]

アレは1959年、振り子の支点が平面に加えて弦の回転方向についても自由度を持つ3自由度の振り子である「パラコニカル振り子英語版」を使った実験を行った[144]1959年10月2日の日食においても、アレは振動面の回転異常を観察した[142]

1999年8月11日の日食はヨーロッパを横断する皆既日食であったが、NASAマーシャル宇宙飛行センターのD.NoeverとR.Koczorを中心に「アレ効果」を世界各地で観察を行った[142]アメリカ合衆国オーストリアドイツなど7ヵ国でフーコーの振り子および重力計を使って測定が行われた[142]。この観測の結果では、通常とは異なるデータが観測された所もあるが、何らかの測定誤差の範囲を出ないと否定的な結論となった[142]。このレポートについてモーリス・アレは、「実験時間が短い[145]」などの反論を行っている。

工学への影響

ジャイロスコープ

フーコーが製作したジャイロスコープ。右に観測用の顕微鏡。

レオン・フーコーは、振り子の実験ついて数学者のルイ・ポワンソー英語版との議論し、その中で振り子の代わりに回転する物体を使えばより小型な装置で地球の自転を観測できることに考えが至った[146]。回転体(ローター)として真鍮製のトーラスの中心に金属円盤を取り付け、軸を貫通させたものであった[147]。この回転体をジンバルで固定した[147]。フーコーは「回転を見る」というラテン語から「ジャイロスコープ」と命名した[147]

ジャイロスコープは専用の起動装置を使って、回転体に高速の回転を与える必要があった[147]。起動時に特定の方向に回転体は姿勢を保つが、時間が経過すると地球の自転と共に回転体の向きが移動するように見えた[148]。フーコーの製作したジャイロスコープは、10分程度しかジンバルの回転が持続しなかった[147]。このため、地球の自転の影響を観測するためには顕微鏡を用いた[147]

実際には、ドイツの数学者のヨハン・ボーネンベルガー英語版が、1817年に回転体として球体を使ったジャイロスコープを論文とし投稿しており、ボーネンベルガーの作成した装置自体はそれ以前から存在していた[149][注釈 20]。フランスの数学者、ピエール=シモン・ラプラスシメオン・ドニ・ポアソンはボーネンベルガーの装置について存在を知っていた[149]。特にポアソンは1813年の回転体の動力学の解析に関する論文の中でボーネンベルガーの装置を使った説明を行っている[149]。従って、フーコーのジャイロスコープはボーネンベルガーの装置をベースとして改良したものだと推定されている[149]

MEMSジャイロセンサー

プルーフマス(: Proof mass)の概念

スマートフォンデジタルカメラなどに、本体の姿勢を検知するためにジャイロセンサーを内蔵した電子機器が数多く存在している[注釈 21]。これらジャイロセンサーは振動型ジャイロスコープと呼ばれる種類が一般的で、半導体集積回路の製造技術から発展したMEMSと呼ばれる技術によって作りだされた。MEMSジャイロスコープは、角速度を出力するため回転角を取得するためには出力信号を積分する必要がある[152]。しかし角速度信号は不安定で、これを積分すると経過時間と共に誤差が蓄積する現象(ドリフト現象)が発生することが知られている[152]

一方、「フーコーの振り子」は、ゆっくりとした地球の回転を測定できる高性能な積分ジャイロセンサーとみなすこともできる[152]。フーコーの振り子を半導体チップ上に実現したデバイスを「全角度モード・ジャイロスコープ(: Whole angle mode gyroscope)」と呼ぶ[152]。例えば2011年に、カリフォルニア大学アーバイン校のマイクロシステム研究室は、MEMS技術を応用して半導体マイクロチップの上に「フーコーの振り子」を作ることに成功したと発表した[153]

「全角度モード・ジャイロスコープ」には、弦と錘の単振り子が入っているわけではなく、「プルーフマス(: Proof mass、試験質量)」と呼ばれるものが使われている[154]。これは試験質量を軸、軸に沿った方向にバネで支持して振動させ、各軸の変位を観測することで角速度を検出する[154]。「全角度モード・ジャイロスコープ」はさらに、軸方向と軸方向の振動を完全対称(周波数、振幅、Q値などを同一)にすると、試験質量にはコリオリ力が働き、フーコーの振り子と同じく直線振動する[152]

カリフォルニア大学アーバイン校のマイクロシステム研究室が作成したものは、4つの「プルーフマス」を使用した全角度モード・ジャイロスコープである[154]。彼らの主張によると、事実上入力角度の範囲は無制限で、ドリフト現象も1時間あたり0.5度以下に抑えられたとしている[155]

その他の影響

小説

イギリスの小説家のキャサリン・エアード英語版が、1981年に発表したミステリー小説「His Burial too(邦題:そして死の鐘が鳴る)」では、フーコーの振り子が事件の重要な鍵となっている[156][注釈 22]

イタリア哲学者ウンベルト・エーコ1988年初出の小説に「フーコーの振り子」のタイトルをつけた[1]。物語は、登場人物の一人がフーコーの振り子が展示されたパリ工芸博物館で閉館後に出来事を振り返る形で語り始める[1]。内容は物理学とは無関係であるが、主人公ら3人がでっち上げた架空の陰謀論と古代伝承が次第にリンクしていき、振り子のように揺れ動く物語となっている[1]

芸術作品

ニューヨークブロンクスモンテフィオーレ・メディカル・センター英語版内の小児病院のロビーにあるフーコーの振り子は、パブリック・アーティストのトム・オターネス英語版がデザインした「帽子を被った錘」になっている[51]

ドイツの画家であるゲルハルト・リヒターは、2018年ミュンスターにあるドミニカ教会にフーコーの振り子をつかったインスタレーションを寄贈した[157]。作品名は「Zwei Graue Doppelspiegel für ein Pendel(振り子のための2組の灰色の合わせ鏡)[157]」である。

日本の前衛美術家風倉匠は、1962年の読売アンデパンダン展にフーコーの振り子によるインスタレーションを出品した[158]。これは会場の天井から吊るした7つのフーコーの振り子を用いたもので、振り子は自転の作用でわずかに動く「ゼロ型のパフォーマンス」であった[159]。また風倉は1971年に現代日本美術展へ「魔術によって宇宙の一部を証す道」と題したフーコーの振り子によるインスタレーションを出品した[160]。振り子の振幅によって音色が変わる仕掛けであったが、会場の東京都美術館から振り子を吊るすことを拒否されたため、床に錘を置いたままの展示となった[160]

展示物としてのフーコーの振り子

世界各地の博物館などにフーコーの振り子が展示されているが、科学史を専門とするロバート・クリース英語版は、自著で「フーコーの振り子」を「もっとも美しい10の科学実験(The Ten Most Beautiful Experiments in Science)」の1つに選び、これらの展示について以下のように述べている[161]

フーコーの振り子は、博物館の他の展示物とはだいぶ趣が異なっている。(中略)振り子は、光が出るわけでも、音が鳴るわけでもなく、ただ静かに、厳粛に、荘重に動くだけだ。とりわけ重要なのは、振り子はただ単にインタラクティブではないというレベルを越えて、われわれを完全に無視し、人間的な経験から考えれば根本的に直感に反する事実を露わにしているように見えることだ。 —  Robert P. Crease 、世界でもっとも美しい10の科学実験

脚注

注釈

  1. ^ フーコーが振り子の実験をした1850年頃に、現在使われている形のマッチが登場した[41]
  2. ^ ロマ・プリータ地震で施設の被害を受けたカリフォルニア科学アカデミーが新しい場所に移転する時に、装置部門が縮小することになった[52]。この時、フーコーの振り子の担当者であったキャリー・ポンキオーネが早期退職に応じ、独立してフーコーの振り子の製造を引き受けることになった[52]
  3. ^ 1600年ジョルダーノ・ブルーノ地動説を捨てなかったため火刑に処せられた[66]
  4. ^ マラン・メルセンヌは記録魔であり、デカルトを始め哲学者や数学者とやり取りした手紙1万通を残している[69]
  5. ^ 1902年、パンテオンでの再現実験でのカミーユ・フラマリオンのスピーチによる[70]
  6. ^ 自由落下する物体が地球の自転の影響を受けて描く曲線経路をナイルの放物線と呼ぶ。
  7. ^ 年周視差が観測されたのは、ブラッドリーの光行差の発見からさらに100年以上経過した1830年代後半で、ベッセル、フリードリッヒ・フォン・シュトルーベトーマス・ヘンダーソンがほぼ同時期に年周視差の観察を発表している[77]
  8. ^ フィゾーは、1849年に±5%の誤差精度で光速度の実験測定に成功する(参照:フィゾーの実験)。フーコーもその後、水中での光速度の測定に成功した。
  9. ^ 建物の反対側の壁には、振り子の彫刻のレリーフがある[84]
  10. ^ 実験が成功した日付については、1月6日[86]から1月8日[82]の間で諸説ある。
  11. ^ フーコーが実験を成功させたとき、ガスパール=ギュスターヴ・コリオリの「回転座標系におけるの運動」は発表済みで、コリオリはすでに亡くなっていた。しかしフーコー自身、またフーコーの実験をみた物理学者たちもコリオリの力を使った説明に思い至っていなかったといわれる[93]
  12. ^ 後年、大砲の砲弾の飛距離が伸びると、ポアソンの示した「ずれ」が無視できなくなった[5]。このため、ポアソンの補正式が使われるようになった[89]第一次世界大戦で南半球のフォークランド諸島近くで海戦があったとき、イギリス軍の砲撃がドイツの船の左側に落ちるのをみて驚いたといわれる[89][95]。イギリス軍の砲手はポアソンの補正式に従って照準を定めていたが、南半球では補正式の符号を変える必要があった[5][89]。また、やはり第一次世界大戦でドイツ軍が使用したパリ砲は射程が100kmを超えたが、コリオリの力の影響で1.5kmほど着弾点がずれたといわれている[95]
  13. ^ ルイ・ナポレオンアンリ・ド・サン=シモンの影響をうけ、投獄中に科学に関する書物を読み漁った。大統領になったルイ・ナポレオンはフランス科学アカデミーのメンバーと意見を交換し、政策に反映することもあった[96]。このやり取りの中で、パリ天文台の台長であったフランソワ・アラゴと知遇を得て、フーコーの実験が耳に入ったと考えられる[97]
  14. ^ パンテオンは、1898年エッフェル塔との間で無線通信の公開実験が行われたこともある[100]。またパンテオンは著名人の霊廟ともなっており、科学者ではジョゼフ=ルイ・ラグランジュジャン・ペランピエール・キュリーマリ・キュリーなどが埋葬されている[100]
  15. ^ しかし、フランス科学アカデミーはその後もフーコーを無視しつづけ、レオン・フーコーがアカデミーの会員になったのは1865年のことである[103]。このときもルイ・ナポレオンの強力な推薦があった[104]
  16. ^ 翌12月2日、ナポレオン3世はクーデターを主導し、翌年に第二帝政のもとで皇帝に即位した。
  17. ^ ジョン・ハーシェルは、天王星の発見で知られるウィリアム・ハーシェルの息子である[109]
  18. ^ 世界最長の振り子は、1901年9月にタマラック鉱山英語版の第4立坑で実験された振り子で、弦長1,353m(4,440フィート)であった[125]
  19. ^ 別の理由で、南極点にフーコーの振り子の建設が提案されたことがある。#レンズ・サーリング効果を参照。
  20. ^ ボーネンベルガー自身は単に「機械」と呼んでいた[149]
  21. ^ 原理的には電子機器で使用されているジャイロセンサーでも地球の自転を観測することができる。例えば、PlayStation Moveヘルムホルツコイルをつかって地球の自転速度を計測する方法が公開されている[150][151]
  22. ^ 早川書房よりハヤカワ・ミステリ文庫として1982年に翻訳版が刊行されている。

出典

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特許

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WEBサイト

外部サイト

動画

解説

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