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[[Image:Teddy bear.JPG|thumb|200px| [[テディ・ベア]]のぬいぐるみ]] |
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'''玩具'''(がんぐ、おもちゃ)は、[[遊び]]に用いる[[道具]]のことである。'''翫具'''とも書く。 |
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[[Image:Rubiks cube scrambled.jpg|thumb|right|200px|1980年代に流行した立体パズル、[[ルービックキューブ]]。]] |
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[[Image:Wooden toys.JPG|thumb|200px| [[インド]]のチャンナパトナ[[:en:Channapatna|(en)]]。木製玩具で有名な町<ref>{{cite web|url=http://www.channapatnacity.gov.in/index1.html |title= Channapatna City|publisher=City Municipal Council Channapatna |language=英語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。]] |
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'''玩具'''(がんぐ、'''おもちゃ'''<ref name=weblio>{{cite web|url=http://thesaurus.weblio.jp/content/%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A1%E3%82%83 |title=【玩具(おもちゃ)】|publisher=weblio類語辞典|language=日本語|date=2008-03|accessdate=2011-01-30}}</ref>、{{lang-en-short|toy}})は、[[遊び]]に用いる対象物・[[道具]]のことであり、'''遊び道具'''とも呼称される<ref name=weblio />。'''翫具'''とも書く<ref name=googa>{{cite web|url=http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/47852/m0u/ |title=がんぐ【玩具/翫具】の意味|publisher=Goo辞書|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。おもちゃの[[語源]]は[[平安時代]]の「手に持って遊ぶ」行為である「もて(もち)あそぶもの」であり、これが[[室町時代]]に省略と接頭語の添付を経て生まれた。漢字の「玩具」も同じ意味を表現して成り立った<ref name=whatis>{{cite web|url=http://www.toyculture.org/whatis.html |title=おもちゃとは|publisher=日本玩具文化財団|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref><ref group="2-">斉藤良輔『おもちゃ博物誌』、1989年、ISBN 978-4882900054</ref>。英語の「toy」という単語の発祥はわかっていないが、少なくとも14世紀頃には用いられていた<ref name=etymonline>{{cite web|url= http://www.etymonline.com/index.php?term=toy |title= Definition of "toy" |publisher= etymonline.com|language=英語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。 |
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数多い種類の玩具がデザインされているが、他の用途向けの道具などが玩具に適さないというわけではなく、[[子供]]が[[文房具]]や道具でさえない木切れを手に持って遊べばそれは玩具として機能する<ref name=Kura1 />。子供にとって遊びは[[余暇]]ではなく[[生活]][[行動]]そのものであり、その中で玩具は活動の方向性を作り出す<ref name=Kura5>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.5-8、玩具教育篇 第一篇第一章第二節 子供の遊びの特性]]</ref>。遊戯の目的である、[[自然法則]]を[[理解]]するための準備や[[文化]]・[[社会]]生活へ[[適応]]するための[[訓練]]は、玩具の意義にもそのまま当てはめることができる<ref name=Kura8>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.8-13、玩具教育篇 第一篇第一章第三節 子供の遊びの本質]]</ref>。 |
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==概要== |
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玩具は[[娯楽]]に供する道具のことであるが、娯楽用品のうち、普通は持ち運びできるサイズのもので、それ自体を興味や[[遊び]]の対象として完結して取り扱われるようなもの、と特徴づけられる。広義には娯楽に供する物品全般を指し、例えば[[オートバイ]]や[[自動車]]でも[[趣味]]に使うようなものを指して「玩具」という場合も見られ、専ら[[利益]]を求めない[[遊び]]に利用される道具である。 |
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玩具は通常子供や[[ペット]]向けの道具と捉えがちだが、[[大人]]<ref name=Kura1>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.1-5、玩具教育篇 第一篇第一章第一節 子供の遊びと玩具]]</ref>や[[野生動物]]<ref>{{cite web|url=http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/hope/reports/19-044-j.html |title=ゴリラの遊び行動における環境的・社会的影響に関する研究|author=松原幹|publisher=[[京都大学]]霊長類研究所|language=日本語|date=2008-03|accessdate=2011-01-14}}</ref>が玩具を使うことは決して珍しくない。例えば、呼気で空気の輪を通って遊ぶ[[イルカ]]などがこれに当たる<ref>{{cite web|url=http://www.earthtrust.org/delrings.html |title=Mystery of the Silver Rings |author=Don White |publisher=Earthtrust |language=英語|accessdate=2011-01-14}}</ref>。 |
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狭義には、玩具の中でも構成および用法が単純または原始的で、特に対象層を子供向けに設定しているものを「おもちゃ」と呼ぶ傾向がある。子供のための「おもちゃ」の中には、一定の[[教育]]的な要素を付加したものもあり、それらは[[知育玩具]]と呼ばれる。そのような特別な意味合いや位置付けを持つ玩具類は多い。 |
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玩具の[[起源]]は非常に古く、[[先史時代]]まで遡る<ref name=Kura1 />。ただしそれらは当初から子供向けに製作されたものではなく、大人が用いていた[[宗教]]の[[祭祀]]や[[生活]]における様々な道具が子供に下げ与えられたことに発すると考えられる<ref name=Ta272-2>[[#多田1990|多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.272-278、玩具文化小史]]</ref>。[[テレビゲーム]]や[[ロボット]]<ref name=Saka>{{cite web|url=http://www.hss.ocha.ac.jp/psych/socpsy/akira/media/robot.files/robot.htm |title=玩具としてのロボットと子供の社会的発達‐来るべき悪影響論に対して‐|author=坂元章|publisher=[[お茶の水女子大学]]大学院人間文化研究科、日本ロボット学会誌,18(2), 167-172, 2000|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>などのデジタル機器も玩具に入れることが出来る上、[[蒐集家]]向けに飾っておく事だけを目的とするような玩具も存在する。 |
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なお、玩具のうち子供に与えられるものは、特に教育が十分ではない幼児や児童が触っても安全なように配慮される。日本では安全な玩具には[[STマーク]](セーフティ・トイ)が付けられる。これらは構造上の安全性や[[機械要素]]のもつ耐久性のほか、素材や塗装などが[[毒|毒性]]がないことも勿論だが、想定される・あるいは想定外の用法によっても負傷することのないような配慮がその認定において考慮される。 |
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== 玩具の歴史 == |
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[[人間]]はその成熟過程や成熟後も遊ぶ動物であるが、[[動物]]一般もその成長過程で本能的に[[狩猟|狩り]]や様々な技能習得のために遊ぶこともあり、こと[[ペット]]として飼育されている動物では、専用の玩具があてがわれる場合もある。[[ネコ]]には[[エノコログサ]]を模した猫じゃらしが、[[イヌ]]には[[ボール]]や棒切れなどがしばしば与えられる。人間の場合では、その年齢層や性別、趣味嗜好によっても関心を引く物品には様々な系統が存在し、そのための玩具も多岐に渡る。弄り回して楽しむものから眺めて楽しむもの、あるいは何らかの操作を行って所定の動作をさせるなど、玩具と呼ばれる[[工業製品]]は多種多様である。 |
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[[File:Little horse on wheels (Ancient greek child's Toy).jpg|thumb|200px|right|[[古代ギリシア]]の子供用馬の玩具。紀元前950-900年頃の墓地から発掘された。[[アテネ]]の[[ケラメイコス]]考古学博物館所蔵]] |
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=== 古代 === |
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古代文明の[[遺跡]]からは、玩具や[[ゲーム]]が発掘されており、それは[[文字]]の発明よりも古い時代に遡る。紀元前3000-1500年前の[[インダス文明]]跡からは、小さな[[荷車]]や鳥の形をした[[笛]]、張った糸を滑り下りる[[猿]]のおもちゃなども見つかった<ref name=Indialife>{{cite web|url=http://india.mrdonn.org/indus.html |title= Daily Life in Ancient India, including the mysterious Indus Valley Civilization|publisher= MrDonn.org |language=英語|accessdate=2011-01-15}}</ref>。数千年前の[[古代エジプト]]には、手足を動かせる上にかつらをつけた[[石]]・[[粘土]]・[[木]]製の人形<ref name=Maspero>{{cite book|author=[[ガストン・マスペロ]]|title=Manual of Egyptian Archaeology and Guide to the Study of Antiquities in Egypt|publisher=Project Gutenberg|url=http://www.gutenberg.org/etext/14400}}</ref>や、[[貝殻]]製の[[ガラガラ]]<ref name=Kura1 />があった。[[墳墓]]からも、[[兵士]]や[[奴隷]]の[[人形]]のほかに[[ボール]]が[[副葬品]]として発見された<ref name=Ta272-2 />。 |
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[[Image:Roman-toys.jpg|thumb|left|200px|ローマ時代の玩具の展示。[[人形]]、[[サイコロ]]、[[ガラガラ]]、[[皿]]など現代の子供にも馴染み深いものが多く含まれる。]] |
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なお余禄とはなるが、しばしば無為に弄ることを「玩具にする」という。例えば食卓に上がった[[料理]]を[[食器]]でつついているだけでいつまでも食べない場合は「食べ物を玩具にする」と表現する。ただ、この場合は「本来の扱いではない」というネガティブな暗喩を含み、[[マナー]]や[[道徳]]に反しているとして批判される。ただし玩具そのものを玩具として、遊べる時間の間に利用している場合は、批判されうるところではない。 |
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[[古代ギリシア]]や[[古代ローマ]]では子供たちは[[蝋]]や[[焼物]]で作られた人形や棒、[[弓矢]]、[[ヨーヨー]]などで遊んでいた。大人になると、特に女性は子供時代に遊んだこれら玩具を神に供えることが恒例となっていた。14歳頃の少女が[[結婚]]の前日に、成人になる通過儀礼として人形を[[寺院]]に奉納していた<ref name=Powell>{{cite book| last =Powell| first =Barry B.| title =Classical Myth; Third Edition| publisher =Prentice Hall| year =2001| location =Upper Saddle River, NJ| pages =33–34 | isbn =0-13-088442-1 }}</ref><ref name=Oliver>{{cite web|last=Oliver|first=Valerie|title=History Of The Yo-Yo|publisher=Spintastics Skill Toys, Inc.|year=1996|url=http://www.spintastics.com/HistoryOfYoYo.asp|accessdate=2011-01-14}}</ref>。 |
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しかし、これらは必ずしも子供に与えるものとして製作されたものばかりではない。古代ギリシア・ローマの遺跡から見つかる人形類、[[鈴]]や[[鳴子 (楽器)|鳴子]]などは元々[[呪術]]や祭事などで使われた器具類と考えられる。これは遊びそのものにも当てはまるが、古代または素朴な社会での玩具は大人が何らかの目的を持って使用した道具が、その意味を喪失したりまたは変化した結果、子供に与えられるようになったと考えられる。子供の側から見れば、大人が執り行った様々な行事や行動を[[模倣]]する遊びにおいてこれらの道具を用い、これが玩具となったと考えられ<ref name=Ta272-2 />、その意味では玩具は子供が発明したとも言える<ref name=Kura1 />。この例には、[[日本]]において特別な日に屋外で食事をする「盆飯」や「辻飯」が変化した[[ままごと]]、[[アメリカ先住民族]]では本来[[鹿]]の[[狩猟]]道具だった[[ボール]]、[[東南アジア]]では宗教儀礼として発した[[ブランコ]]などもある<ref name=Ta272-2 />。 |
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== 玩具のジャンル == |
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* おもちゃ(cf. [[こどもの文化]]) |
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* [[パズル]] |
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* [[ゲーム]] - [[ボードゲーム]]、[[カードゲーム]]、[[電子ゲーム]]、[[テレビゲーム]]等 |
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* [[知育玩具]] - [[電話玩具]] |
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* [[郷土玩具]] - [[独楽]]、[[凧]]等 |
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* [[自然玩具]] |
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* [[キャラクター|キャラクター玩具]] - マスコミ玩具([[テレビ番組]]・[[雑誌]]・[[映画]]・[[漫画]]・[[小説]]・[[演劇]]など、メディアに登場するキャラクターを起用した玩具)<ref>[http://www.amazon.co.jp/dp/4763620525 マスコミ玩具 (おもちゃ博物館) 多田 敏捷]、Amazon.co.jp。</ref> |
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* [[戦争玩具]] - [[鉄砲玩具]] |
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* [[有害玩具]] |
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* [[人形]] |
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* [[模型]] - [[ミニカー]]、[[プラレール]]等 |
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* スペーストイ - 宇宙教育用模型、観賞用レプリカ |
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* [[クッキングトイ]](調理玩具) |
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[[Image:Reif Spielzeug.jpg|thumb|right|150px|輪ころがしの輪[[:en:Hoop rolling|(en)]]と少年。この輪ころがしは多くの文化圏で古くからよく知られている玩具である。]] |
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==派生したジャンル、言葉== |
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=== 中世 === |
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*[[大人のおもちゃ]]('''性具'''、'''愛のおもちゃ''') |
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玩具が[[商業]]製品となるのは11世紀頃の[[イギリス]]に見られ、[[手工業]]で生産された玩具が[[市場]]や[[城]]などに持ち込まれて販売されていた。その後[[行商人]]が取り扱うようになり、商業地での流通や[[貿易]]も行われるようになった<ref name=Ta272-2 />。 |
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*[[食玩]] |
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*女玩 |
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古くから玩具の典型のひとつである人形も、伝統的で素朴なものだけでなく、高価なものも作られるようになった<ref name=Ta272-2 />。[[ロシア皇帝]][[ピョートル1世]]は[[ヨーロッパ]]化を推進する一環として[[ドールハウス]]を購入しているが、これも文化財としての側面を重視した決定だった<ref name=Ta272-2 />。16世紀は、[[ドイツ]]の[[ニュールンベルク]]で[[錫]]製兵隊人形の大量生産が始まり、また[[ぜんまいばね]]を用いた初期のおもちゃが開発されるなど、玩具が普及を迎えた時代でもあった。[[クリスマス]]のときに[[クリスマスツリー|ツリー]]に吊るしたりする習慣や、[[サンタクロース]]から贈られるという寓話もこの頃に生まれた<ref name=Ta272-2 />。 |
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=== 近代 === |
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18世紀から19世紀にかけて起こった[[産業革命]]を通じて安価で大量生産が可能になると玩具はさらに普及した<ref name=Ta272-2 />。[[切り絵]]や[[工作]]用または[[着せ替え人形]]の服など玩具の材料に[[紙]]が使われるのもこの頃である<ref name=Ta272-2 />。 |
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日本でも庶民の間で広く玩具が広がったのは[[江戸時代]]中期以降であり、それまでは宮中の行事用や上流階級の遊び用であった様々な道具に起源をもつ玩具が一般層に広がった<ref name=Ta272-2 />。『[[日本永代蔵]]』では[[風車]]職人の話があり、[[元禄文化]]時代には[[家内制手工業]]による生産と[[露天商]]や行商等の販売、そして庶民文化と生活の発展による[[消費]]が成り立った<ref name=Saito20>[[#斎藤1997|斎藤 (1997)、日本の郷土玩具‐その歩みと系譜‐、pp.20-22、庶民玩具]]</ref>。 |
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19世紀に玩具は大きな発展を見せた。「ママ」としゃべる人形が登場し<ref>{{cite web|url= http://news.google.com/newspapers?nid=1955&dat=20010320&id=uvkhAAAAIBAJ&sjid=-qIFAAAAIBAJ&pg=5122,4172687 |title=The first doll who talked was created in early 1800s|publisher=Reading Eagle/Reading Times|date=2001-03-22 |language=英語|accessdate=2011-01-14}}</ref>、ぜんまい仕掛けの玩具も精巧になり<ref name=Ta272-2 />、1851年に開催された[[ロンドン万国博覧会 (1851年)|ロンドン万国博覧会]]では当時最先端の玩具が多数出品された<ref name=Ta272-2 />。また、[[幼児教育]]と玩具の関係が重要視され始めたのもこの時期である<ref name=Ta272-2 />。 |
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[[File:Videogameretaildisplay.jpg|right|thumb|200px|テレビゲームは現代の玩具市場で大きな地位を占めている。]] |
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=== 現代 === |
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20世紀に入ると、玩具にも様々な[[技術革新]]が導入された。経済の安定的成長と[[テレビ]]の普及など大量消費社会では、玩具市場も急速な拡大を見せた。1960年代には[[合成樹脂]]などの新たな素材が普及し、これをさらに加速させた。1970年代からは[[半導体]]を使用する[[ハイテク]]おもちゃが現れ始め、1979年の[[インベーダーゲーム]]のブームに端を発するテレビゲームが普及し、玩具の有り様に大きな変化をもたらした<ref name=JTCF>{{cite web|url=http://www.toyculture.org/toy.html |title=おもちゃの歴史|publisher=日本玩具文化財団|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。さらに[[メディアミックス]]を用いて[[漫画]]や[[アニメーション]]、[[インターネット]]などと関連させ市場への訴求力を高めた玩具が販売されている<ref>[http://www.amazon.co.jp/dp/4763620525 マスコミ玩具 (おもちゃ博物館) 多田敏捷]、Amazon.co.jp。</ref><ref>{{cite web|url=http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/klib/kiyo/hum/h21/h2109.pdf|format=PDF |title=子どものメディア文化の回|author=角田巌|publisher=[[文教大学]]|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref><ref>{{cite web|url=http://libweb.nagoya-wu.ac.jp/kiyo/kiyo51/jinbun/kojin/10arakawa.pdf |format=PDF |title=子ども世界への情報化社会の影響|author=荒川志津代|publisher=[[名古屋女子大学]]|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。伝統的な玩具を製造販売する企業には、ハイテクおもちゃに長年の市場を奪われていることに対抗し、昔からの玩具をテレビゲーム化してインターネットで対戦できるような分野に進出してその販売力を高めている企業もある<ref name = "Ibisworld">{{cite news | last = | first = | authorlink = | coauthors = | url = http://www.theage.com.au/news/technology/world-in-their-hands/2007/03/24/1174597945762.html?page=fullpage#contentSwap2| title = World in their hands | work = | publisher = The Age| location=Melbourne| date=2007-03-26}}</ref>。 |
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[[Image:Playdoh.jpg|left|thumb|150px|プレイ・ドー[[:en:Play-Doh|(en)]]は壁紙掃除用の素材を使用している。]] |
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偶然の[[発明]]が新しいタイプの玩具を生むことがある。例えば、[[第二次世界大戦]]時にアール・ウィリックが合成ゴム代替に発明した「nutty putty(愚かなパテ)」が、後にピーター・ホジソンによって幼児用の玩具として見出され「[[:en:Silly Putty|Silly Putty]](おかしなパテ)」として商品化された。また、プレイ・ドー[[:en:Play-Doh|(en)]]は、元々壁紙の清掃用に開発されたものである<ref name=mit>{{cite web|url= http://web.mit.edu/Invent/iow/sillyputty.html |title= On the invention of silly putty |publisher=[[マサチューセッツ工科大学]] |language=英語|accessdate=2011-01-14}}</ref>。 |
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2007年の[[ニュルンベルク国際玩具見本市]]にて、ジェーン・ツイミーは世界の玩具市場は年間670億ドルと推計した。これは前年比5.2%の伸びであり、日本を除くアジアやアフリカ、ラテンアメリカそしてロシアでは今後も伸びが期待されると解説を加えた<ref>{{cite web|url=http://www.gantsu.co.jp/npd.html |title=世界と日本の玩具市場を語る|author=ジェーン・ツイミー|publisher=週間玩具通信|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。この市場を前に玩具を大量生産で提供する多くの企業が、コスト削減のために低賃金の地区に工場を構えた。例えばアメリカで流通する玩具の75%が中国製である<ref name=Tsuruoka/>。 |
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== 子供の発育用玩具 == |
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===理論と普及の経緯=== |
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[[Image:Kylpyankka.jpg|thumb|left|[[ラバー・ダッキー]]は小さな子供向けのお風呂で遊べる、よく知られた玩具である。]] |
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遊びは子供の成長に大きな影響を与える。数々の玩具は、発育や様々な機能の発達に刺激を与える重要な道具である<ref name=JTAkodomo>{{cite web|url= http://www.toys.or.jp/toukei_ko.htm |title=こどもの成長とおもちゃ|publisher=社団法人日本玩具協会|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。ドイツの[[フリードリッヒ・フレーベル]](1782年-1852年)は人間形成において玩具の重要性を初めて主張し、1831年に世界初の[[幼稚園]]を創設した。彼は「恩物の理論」の中で、玩具とは自然の法則を理解するために神が与えた道具と定義づけ、幼児の成長段階において必要な種類の玩具を分類した。これによると、最初には毛糸を巻きつけた小さめのボールを与えるべきであり、次は木製の球と立方体、続けて(3)分割された立方体、(4)八面体、(5)立方体の面を二回ずつ切断した27片、(6)棒や水晶型など複雑な27個の積み木という段階を設定した。この積み木は「恩物」という名がつけられた。フレーベルは1837年に[[ブランケンブルク]]で「子供の労働意欲を育てる会」を作り、ボールやさいころなど様々な玩具を製作した<ref name=Ta272-2 />。 |
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[[イタリア]]の[[マリア・モンテッソーリ]](1870年-1952年)は、独自の教育法([[モンテッソーリ教育]])を実践するために200種類もの教育玩具(教具)を開発した。これらは、[[感覚]]教育、[[言語]]教育、[[算数]]教育などそれぞれに目的を持つが、子供が自ら遊ぶ中でこれらの主題を発見し、身につけることで社会への適応性を育て、人格を形成するための補助となるように考えられていた<ref name=Ta272-2 />。 |
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[[日本]]では、1871年(明治4年)に[[学校法人慶應義塾|慶應義塾]]が[[遊具]]を設置し、1873年(明治6年)には[[内務省]]が教育玩具の普及を目的に製造業界に製品の販売を促した。[[文部省]]も乗り出し、『小学読本』でボール遊びのひとつとして[[野球]]の記事を載せたり、『童女筌』で[[けん玉]]遊びを奨励するなどの活動を行った。1879年(明治12年)にはフレーベルの理論を紹介した『幼稚園法二○遊嬉』を発行した。1914年(大正7年)には幼稚園・小学校の教材に[[折り紙]]が加えられた。[[第二次世界大戦]]中には模型飛行機などの[[軍事]]色が強い玩具が学校教育に導入されたが、戦後にはこのような[[戦争玩具]]は教室から排除された<ref name=Ta272-2 />。 |
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[[File:Hitting the Ball in the Shadow of the Banana Leaves.jpg|thumb|200px|二児がパドルボール[[:en:paddle ball|(en)]]で遊ぶ光景を描いた絵画。[[中国]]、[[宋 (王朝)|宋]]代の画家・苏汉臣(1130-1160年頃に活躍)が描いた。]] |
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=== 現状 === |
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最も単純な玩具のひとつである木製の[[積み木]]は、心の育成において最良の玩具とも言われる。メガ・ブランズ社[[:en:Mega Brands|(en)]]マーケッティング担当役員のアンドリュー・ウィットキンは、情報誌『Investor's Business Daily』で「それ(積み木)は、眼と手指の共同作業を発達させ、数学や科学の技能、そして想像力を子供に芽生えさせる」と話した。[[おはじき]]や[[お手玉]]、[[ボール]]遊びなども同様に、心身を駆使して空間認識や原因と結果の繋がりなど様々な能力を育てる有効な教材になるとウィットキンは述べている<ref name=Tsuruoka>{{cite journal | last =Tsuruoka | first =Doug | title =Toys: Not All Fun And Games | journal =Investor's Business Daily | volume = | issue = | pages = | publisher = | date =January 5, 2007}}</ref>。 |
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児童の成長に影響を与えるめざましい玩具のひとつに、プレイ・ドーやシリーパティおよび家庭で作れる同じような成形用粘土類がある。[[ウェルズリー大学]]幼児学習センターの教育担当メアリー・アッチーは、このような種類の玩具がなぜ子供の身体的発達、認知力向上、情緒教育の有効性および社会性の発達に影響を与えるのかを説明した<ref name=Ucci>{{cite journal | last =Ucci | first =Mary | title =Playdough: 50 Years' Old, And Still Gooey, Fun, And Educational | journal =Child Health Alert | volume =24 | issue = | pages = | publisher = | month =April | year =2006}}</ref>。 |
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=== 知育玩具 === |
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{{main|知育玩具}} |
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特に幼児や児童向けに[[思考]]や創造性を重視して開発された玩具の一種[[知育玩具]]では、[[認知心理学]]や[[感性]]工学および人間工学などの考え方を組み入れ、またこれを用いて一緒に遊ぶ親子の[[行動分析]]を通じて、知能や情緒の形成、認知的発達の仕組みを知り、玩具の設計にフィードバックされている<ref>{{cite web|url=http://www.kri.sfc.keio.ac.jp/kris-yp/cgi/view_page.cgi?research_id=212&otype=print |title=認知科学と知育のデザイン‐乳幼児の行動から学ぶ、知能的発達のメカニズムの解明と応用‐|author=石崎俊|year=2010年|publisher=[[慶応義塾大学]]環境情報学部|language=日本語|accessdate=2011-01-14}}</ref>。これらには、ブロックや積み木からプレスクール用玩具、幼児用玩具類、楽器や絵本から幼児用[[キャラクター]]製品などが含まれる<ref>{{cite web|url= http://www.toys.or.jp/2008sijyoukibo_10bunya.htm |title=2008年度玩具市場規模調査結果データ(主要10分野)テレビゲーム関連を除く|publisher=社団法人日本玩具協会|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。 |
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子供の玩具に対する好みは、[[視覚]]的には[[暖色]]で[[光]]を発するものを、[[聴覚]]は特に幼少時に反応する律音から成長に応じて[[調音]]が、[[触覚]]では先ず[[掌]]で掴めるものから徐々に身体全体で感じられるものへと変化する<ref name=Kura16>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.16-26、玩具教育篇 第一篇第二章第二節 子供の遊びの真相 1.感覚器官の遊戯的活動]]</ref>。[[嗅覚]]に訴える効果は充分な成長を経ないと関心を引き起こしがたい<ref name=Kura16 />。玩具そのものの運動についても強い関心を持ち、それは成長に伴って細かな動きに目を向けるようになる<ref name=Kura16 />。 |
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また、痴呆性の[[高齢者]]への[[治療]]のひとつに玩具を用いる例もある。[[心理療法]]の手段のひとつ[[回想法]] (Reminiscence) の手段として懐かしい玩具などを用いた記憶発想への刺激を行ったり<ref>{{cite web|url=http://ir.lib.fukushima-u.ac.jp/dspace/bitstream/10270/1637/1/1-642.pdf |format=PDF |title=痴呆性高齢者に対する回想法的アプローチ|author=坂本敦史、中野明徳|year=2002年|publisher=[[福島大学]]学術機関リポジトリ|language=日本語|accessdate=2011-01-14}}</ref>、幼児向け知育玩具のゲームを通じて感覚を刺激する試みも行われている<ref>{{cite web|url=http://www.tmd.ac.jp/med/mtec/wakamatsu/games/121.pdf |format=PDF |title=軽度の地方性老人の精神機能回復訓練とその評価‐幼児用コンピュータゲームを用いて‐|author=若松秀俊、大久保順司、高原健爾、小宮山実、兎東俊成、一瀬邦弘、田中邦明、横田則夫、東郷清児|publisher=[[東京医科歯科大学]]生体機能支援システム学|language=日本語|accessdate=2011-01-14}}</ref>。 |
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== 性差 == |
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[[Image:Tank toy radio.JPG|thumb|left|180px|[[戦車]]の玩具。[[男児]]向け玩具の典型。]] |
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[[Image: Pride roma 2008 torta nuziale gay cropped.JPG |thumb|right|150px|[[人形]]。主に[[女児]]向け玩具に分けられる。]] |
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ある種の玩具、例えば[[バービー]]の人形や[[GIジョー]]などは、[[女の子]]向けまたは[[男の子]]向けという風に分けられる。研究によると、18ヶ月未満の乳児でも[[性別]]によって玩具の選択が分かれるという結果がある<ref name=Caldera>{{cite journal|last=Caldera|first=Yvonne M.|coauthors=Aletha C. Huston, Marion O'Brien|title=Social Interactions and Play Patterns of Parents and Toddlers with Feminine, Masculine, and Neutral Toys|journal=Child Development|volume=60|issue=1|pages=70–76|date=February 1989|url=http://links.jstor.org/sici?sici=0009-3920(198902)60%3A1%3C70%3ASIAPPO%3E2.0.CO%3B2-F#abstract|year=1989|doi=10.2307/1131072|accessdate=2006-10-25|month=Feb|pmid=2702876}}</ref>。 |
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日本でも、業界分類等で「男児玩具」と「女児玩具」はそれぞれ別に分類されており、前者には模型玩具や乗り物など、後者には人形とその周辺道具類などがある。キャラクター人形やごっこ遊びの玩具類も男児向けと女児向けがそれぞれ区分される<ref>{{cite web|url=http://www.toys.or.jp/st/pdf/bunrui_book.pdf|format=PDF |title=玩具業界統一商品分類コードハンドブック|publisher=社団法人日本玩具協会|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref><ref>{{cite web|url= http://www.shirayuri.ac.jp/syllabus/gakubu/syllabus/detail/lesson_44515001.html |title=児童文化講義・おもちゃ論|author=森下みさ子|publisher=[[白百合女子大学]] |language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。 |
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== 種類 == |
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{{main|:Category:玩具}} |
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=== 乳児用玩具 === |
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生後、赤ちゃんに最初に与えられる玩具が、未発達の聴覚や視覚に働きかける「ながめ玩具」と呼ばれる種類である。これらは手に取って遊ばせるものではなく、乳児をあやすことを目的とする。赤など暖色が多く用いられながら刺激は弱められ、澄んだ音を連続的または間歇的に発すものが好まれる。生後一ヶ月を過ぎた頃になると緩やかな動きがあるものが好ましい<ref name=Kura57>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.57-63、玩具教育篇 第二篇一 ながめ玩具]]</ref>。[[ガラガラ]]は普遍的な乳児用玩具であり、[[メキシコ]]民族が用いた[[さとうきび]]の茎製、[[エスキモー]]の[[アザラシ]]の皮製など多様な素材から作られたものがあり、これらは乳児期に音が大切な発達要素であったことを各民族が認識していた傍証になる<ref name=Ta281>[[#多田1990|多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.281-282、古代から息づく音の玩具-ガラガラ]]</ref>。 |
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[[天井]]に吊るしたり[[棚]]などに置いたりして[[回転]]する玩具(メリー、ベビーメリー、オルゴールメリーなど<ref>暫定出典[[http://item.rakuten.co.jp/saikosha/c/0000000285/ 楽天市場:赤ちゃんのおもちゃ]]</ref>)も多く、また[[風車]]やガラガラなどを親が手に持って見せる限りはこれらもながめ玩具の範疇に入り<ref name=Kura57 />、日本の[[でんでん太鼓]]は乳児には扱えるものではないため、この用途専用のものだった<ref name=Ta281 />。これらを持って遊ぶ様子は生後三ヶ月頃から見られ始め、手に持つための適度な大きさや、口に含むことを念頭に置いた安全性などを考慮した製品が設計される<ref name=JTAkodomo /><ref name=Kura63>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.63-67、玩具教育篇 第二篇二 がらがら]]</ref>。乳児が這って動ける頃には、全身運動の興味に答える[[おきあがり]]などが与えられる<ref name=Kura67>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.67-、玩具教育篇 第二篇三 おきあがり]]</ref>。 |
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=== 人形やぬいぐるみなど === |
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{{main|人形|ぬいぐるみ}} |
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[[Image:Child and Doll.jpg|left|thumb|150px|[[人形]]を持つ女の子の写真。1900年代]] |
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長い歴史を持つ人形には多様な種類がある。幼児向けには人間や動物を象った単純な人形や[[ぬいぐるみ]]が与えられ、これが概念の初期形成に寄与する<ref name=Kura83>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.83-91、玩具教育篇 第二篇七 動物玩具及人形]]</ref>。当初こそ幼児はただ触って遊ぶに過ぎないが、やがて仮の人格を与え、食事や排泄など[[生命]]があるようにみなし、遊び相手や[[友人]]として扱うようになる。これは動物のぬいぐるみなどにも当てはまる<ref name=Kura83 />。 |
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人間の成長を通して、人形が玩具である期間は長い。幼児から成長すると、ままごとなど遊びが高度化するに伴い、人形にもさまざまな機能を求めるようになる<ref name=Kura83 />。これに対応し、手足が可動なものからぜんまいなど動力を備えて動く人形<ref name=Kura69>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.69-73、玩具教育篇 第二篇四 ぜんまいもの]]</ref>、泣いたり眼をつむったりするものが作られている<ref name=Kura83 />。さらに、人形用の[[衣類]]や[[家具]]などのお道具類等も整備された<ref name=Kura92>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.92-108、玩具教育篇 第二篇八 人形の種々相]]</ref>。 |
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人形の起源は[[民間信仰]]の道具だったと考えられる。被災や罹病などの身代わり、豊作などの祈りの対象、そして権力者の墓に埋葬される品であったりした。日本で人形が子供用玩具となるのは8世紀頃に始まり、江戸時代に広まった。そして芸術的・工芸的な要素が加えられ、地域の特色を帯びる[[郷土玩具]]の一体系となった<ref name=Ta268>[[#多田1990|多田 (1990)、生活に根差す玩具、pp.268-269、人形の玩具]]</ref>。衣服をつけた人形も8世紀のヨーロッパで作られ始め、14世紀に華やかさを増した<ref name=Ta268 />。 |
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[[Image:Knatterboot.jpg|thumb|200px| right|おもちゃのボート]] |
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=== 模型 === |
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古くから子供は様々な乗り物の[[模型]]を玩具にして遊んでおり、[[古代ギリシアの陶芸]]品から二輪のカートで遊ぶ子供の図柄が発見されている<ref name=Hils/>。[[自動車]]や[[電車]]または[[飛行機]]など乗り物の模型は、所有欲を満たす玩具である。子供の場合は、実体験で見聞した乗り物を再現する性質が強く、結果的に荒く扱って壊されやすい<ref name=Kura108>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.108-132、玩具教育篇 第二篇九 自動車・電車・汽車・飛行機]]</ref>。10代以上になると科学的な興味を満たす傾向が強まり、玩具へ精巧さを求めるようになって材質や実際に駆動することなどにも目を向ける。さらに電車ならばゲージなど様々な周辺部品を加え、飛行機ならば実際に飛ばせるものなどへと、高度かつ高価なものとなってゆく<ref name=Kura108 />。 |
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=== 音響玩具 === |
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子供の聴覚に訴えかける玩具の種類がある<ref name=JTAkodomo />。乳児期のガラガラなども該当するが、手を使う遊びの延長として[[太鼓]]や[[タンバリン]]、口に含む行動から[[笛]]などの玩具がこれらに相当する。さらに、成長に伴い使われる子供向けの[[楽器]]類なども玩具に相当する<ref name=Kura73>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.73-80、玩具教育篇 第二篇五 音響玩具]]</ref>。 |
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[[Image:Kendama seperat.JPG|thumb|right|200px|[[けん玉]]]] |
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=== 練習玩具 === |
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玩具を用いて行う遊びのうち、目標を上手く達成することに楽しさを感じ、その技能を上達させる目的で遊ぶものを練習玩具という。これを複数の人間で比較競争すればゲームとなるが、[[ヨーヨー]]や[[けん玉]]または[[独楽]]、[[縄跳び]]や[[紙風船]]などを一人単位で遊ぶことが該当する。[[紐]]を玩具に使う様々な遊びも多くこれに当たり、[[リリアン]]のようなものから複数で遊ぶ[[あやとり]]、[[縄飛び]]、[[ゴムとび]]などが例示される<ref name=Kura164>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.164-169、玩具教育篇 第二篇一四 練習玩具]]</ref>。 |
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木の実に軸を挿した原始的な独楽は世界中で見られ、それぞれの文化圏の様式に沿って自然発生した。独楽は子供に限らない玩具の典型であり、古代エジプトの頃から美しい装飾が施されたり、回し方にも様々な工夫が発展した。『[[和名類聚抄]]』では、日本の独楽は宮廷の儀式道具として独楽廻しの専門職がいたことが記されている。江戸時代には[[賭場]]の道具になり、また[[曲芸]]としても大成した<ref name=Ta282>[[#多田1990|多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.282-284、庶民と宮廷文化で回り続けた独楽]]</ref>。ヨーロッパでは16世紀イギリスで多様な種類と形状が発達し、18-19世紀には特に鉄製の独楽が流行した。この中には、氷上でも遊べる工夫が施されたものもあった<ref name=Ta282 />。 |
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===パズル=== |
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[[Image:PuzzleByAltekruse.jpg|thumb|left|150px|[[メカニカルパズル]]。1890年W. アルテクルーズ作。]] |
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{{main|パズル}} |
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考える玩具の代表が[[パズル]]であり、[[智慧]]と工夫をこらして目的を達する。到達点はさまざまであり、単純な[[知恵の輪]]から[[ジグゾーパズル]]・[[メカニカルパズル]]など、また何かしら目的のものを作り上げるという意味で[[ブロック]]もまた立体的なパズルの範疇に入る<ref name=Kura169>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.169-、玩具教育篇 第二篇一五 工夫遊び]]</ref>。 |
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=== 競争するゲーム === |
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[[生物]]の[[生存競争]]は[[本能]]に根ざした行動であり、これを背景に[[競争]]・勝負がつけられる玩具もある。これには運動を伴うものもあれば、基本的に知的作業のみで行われるものもある。貝殻や土器に発し紙が使われるようになった[[めんこ]]、独楽を戦わせる[[ベーゴマ]]、他にも[[ビー玉]]や[[おはじき]]なども[[ルール]]に即した[[ゲーム]]として使われる<ref name=Kura140>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.140-152、玩具教育篇 第二篇一一 勝負ごと]]</ref>。 |
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ゲームには、より高度かつ複雑なものも無数に存在する。[[かるた]]や[[トランプ]]など[[カードゲーム]]類、[[将棋]]や[[囲碁]]および[[チェス]]類、[[野球盤]]など数々の[[ボードゲーム]]類、[[ビリヤード]]などから、これらが拡張された[[スポーツ]]全般で使われる用具類も、広義の玩具に入れることができる<ref name=Kura140 />。 |
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最古の盤ゲームは紀元前4000-3500年頃の古代エジプト墳墓から発見されている。これは[[暦]]や[[占い]]または死霊信仰の道具であった。紀元前1400年頃には初期の[[マンカラ]]が登場して[[アフリカ]]に伝播した。これは[[奴隷貿易]]とともに[[アメリカ大陸]]にも伝わり、[[ハイチ]]では[[ブードゥー教]]とも関連づいた。一方インドには[[ギャンブル]]のひとつとして流行した<ref name=Ta287>[[#多田1990|多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.287-290、裸でつきあえる盤ゲーム]]</ref>。 |
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[[Image:Jakarta old football.jpg|thumb|200px|ボールを持つ[[ジャカルタ]]の少年。ボール遊びは好ましい運動や身体活動であり、世界中で楽しまれている。]] |
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=== ボール === |
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[[ボール]]や[[鞠]]の発祥は非常に古く定かでないが、多くの地域や文化圏および各歴史の段階を通じた普遍的な玩具である<ref name=Ta278>[[#多田1990|多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.278-279、人類始まって以来の素材史-ボール]]</ref>。その発生は、木の実や石などを本能的に投げる人間の行動にあると思われる<ref name=Kura152>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.152-156、玩具教育篇 第二篇十二 ボール・ゲーム]]</ref>。 |
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ボールの発展段階を追うことで、それぞれの地域で調達できた[[材料]]や[[加工]]などの技術史を追うことができる。さらに、手に入れたボールの[[硬さ]]や[[重さ]]、または[[弾力性]]などが遊び方を決定づけ、様々なスポーツを生み出す母体ともなった<ref name=Ta278 />。ボール遊びは[[ゴム]]の利用によって大きく広がり、運動や競技において征服欲の充足を目的にした様々なゲームやスポーツの発案を助長した<ref name=Kura152 />。 |
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=== 乗り物 === |
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子供が乗る、または乗る模倣をする玩具は、[[ソクラテス]]の家に[[棒馬]]があった事や[[古代中国]]にも存在した事、さらに中世ヨーロッパの版画や彫刻に頻繁に現れる点からも広く普及したと考えられる。人が乗って遊ぶ[[木馬]]も、中世[[ロシア]]には満1歳の男児に贈る習慣があり、17世紀中ごろにイギリスでロッキングホースが発明されたように、広い歴史を持つ<ref name=Ta279>[[#多田1990|多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.279-281、男の子の健康のシンボル-木馬]]</ref>。 |
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[[Image:Lincoln Logs sawmill.jpg|150px|thumb|right|リンカーンログ[[:en:Lincoln Logs|(en)]]は1920年代から続くアメリカで一般的な工事セットの玩具である。]] |
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=== ごっこ遊びの玩具 === |
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子供が何らかの人物や職業になりきる[[ごっこ遊び]]用の玩具も存在する。これには訓練的な意味を持つ場合もあり、[[プラトン]]は「将来の建築家は子供の頃から家を建てる遊びをするべし」と記した<ref name=Hils>Karl Hils, ''The Toy - Its Value, Construction and Use'', Edmund Ward Ltd., London, 1959.</ref>。それらは仕事に使う道具の模造品であったり、衣装や[[お面]]なども含まれる<ref name=Kura156>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.156-、玩具教育篇 第二篇十三 模倣遊び玩具]]</ref>。[[戦争玩具]]に分類されるものでも、[[戦車]]や[[戦闘機]]および[[砲台]]等は模型に相当するが、[[軍刀]]や[[勲章]]など身につける類のものはこの一種になる<ref name=Kura132>[[#倉橋1935|倉橋 (1935)、pp.132-140、玩具教育篇 第二篇一〇 戦争玩具]]</ref>。 |
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== 大人が楽しむ玩具 == |
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=== 大人向け製品 === |
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[[アントニア・フレイザー]]は著作『おもちゃの文化史』 (ISBN 978-4472073311) にて、玩具を「成長後も子供時代を懐かしく思う」ものと述べ、大人でも蒐集や歴史家が着目するものと記した<ref name=whatis />。現代では、子供向けに限定されない玩具、大人向けの玩具が豊富に溢れている。パズルやゲーム類は大人が遊ぶに充分なものであり、また人形やロボットなども一種の癒しを与える玩具として重宝される。[[バウリンガル]]などは、ペットと飼い主の双方に働きかける玩具とも定義できる。テレビゲームや高度なラジコンなど、高年齢層までも購買層に狙った玩具が数多く販売されている<ref name=Asean>{{cite web|url= http://www.asean.or.jp/ja/trade/lookfor/top/market/pdf/b8.pdf/at_download/file |format=PDF |title=玩具・ゲーム類|publisher=日本アセアンセンター|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。 |
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=== 蒐集 === |
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蒐集の対象としての玩具の歴史は中世で多く見られる。16世紀に始まったと言われる[[ドールハウス]]はあくまで貴族階級の大人が楽しむ[[鑑賞|鑑賞品]]であり、贅を尽くした[[工芸品]]を子供が触ることは許されなかった。[[フランス人形]]も当初は新しいデザインの[[服飾品]]を[[宣伝]]する媒体であった<ref name=Ta272-2 />。 |
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日本でも江戸時代には物見遊山や寺社仏閣参拝のみやげ物、縁起物とした玩具が発達した。これらや本来子供向けの玩具を蒐集する趣味や遊びが発展し、骨董や嬉遊と並んだ大人の遊楽のひとつとなった<ref name=Saito22>[[#斎藤1997|斎藤 (1997)、日本の郷土玩具‐その歩みと系譜‐、pp.22-24、おとなの玩具]]</ref>。[[明治時代]]には人形蒐集家の集まりが「大供会」を結成し機関紙の発行も行われた。この「大供」とは「子供」と対を成す造語である。玩具全般も広く愛され、「おもちゃ番付」の作成や選集の編纂などの盛り上がりを見せた<ref name=Saito24>[[#斎藤1997|斎藤 (1997)、日本の郷土玩具‐その歩みと系譜‐、pp.24-26、「大供玩具」趣味]]</ref>。 |
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現在でもビーニーベイビー[[:en:Beanie Baby|(en)]]やボイズベアー[[:en:Boyds Bears|(en)]]のように、玩具の中には収集の対象となり、大人を含む熱狂的な蒐集家(コレクター)が存在するものもある。中には多額の費用が掛けられるような場合もあり、[[PEZ]]の稼働式ケース1個がオークションにて1,100ドルで落札された例もある<ref name=Brown>{{cite news|last=Brown|first=Patricia Leigh|title=New Auction Gems: Common Folks; Venerable Houses Woo Unstuffy Buyers With Unstuffy Stuff|work=The New York Times|page=37|date=April 23, 1995|url=http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F6061EF93B5D0C708EDDAD0894DD494D81|accessdate=2006-10-11}}</ref>。 |
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== 童謡 == |
== 童謡 == |
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* [[シャボン玉]] 作詞:[[野口雨情]] 作曲:[[中山晋平]] |
* [[シャボン玉]] 作詞:[[野口雨情]] 作曲:[[中山晋平]] |
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== 取り扱い == |
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[[Image:LEGO-01.jpg|thumb|200px|[[レゴ]]のような小片を含む玩具について、小児が誤って飲み込まないように警告するように複数の国で法律が定められている。]] |
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*[[日本玩具博物館]] |
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=== 法令等 === |
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*[[有馬玩具博物館]] |
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多くの国で販売される玩具に対する安全基準が設定されている。日本の場合、乳幼児玩具は[[食品衛生法]]が適用され、[[毒性]]が指摘されている[[重金属]]や[[砒素]]の溶出が検査される<ref name=Asean />。また、電気を使う玩具には[[電気用品安全法]]に則したPSEマークの表示が義務づけられ、花火には[[火薬類取締法]]の規制がかかる<ref name=Asean />。業界の自主規制では、[[SGマーク]]<ref>{{cite web|url=http://www.sg-mark.org/sgzhidu_1.html |title=SG制度のねらい|publisher=製品安全協会|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>や[[STマーク]]<ref>{{cite web|url=http://www.toys.or.jp/st/stpbc/st.htm |title=STマークについて|publisher=日本玩具協会|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>などがある<ref name=Asean />。 |
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*[[トイ・ストーリー]] - [[トイ・ストーリー2|同2作目]] |
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: 玩具を題材としたフル3DCGアニメーション映画。 |
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[[欧州委員会]]では2008年12月18日に「玩具の安全性に関する指令」 (88/378/EEC) の改訂が提案された。これでは、玩具に含有する物質の規制が強化され、[[REACH]]規制に基づくCMR物質([[発癌性]]物質、[[変異原性]]物質、[[生殖毒性]]物質)や[[アレルギー]]物質、芳香物質の一部に対する使用禁止や規制、使用時のリスクに対する注意の表示義務、誤飲等のリスク規制、食玩と食品の接触禁止などを盛り込んだ。これは2009年上旬に発効された<ref>{{cite web|url=http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/23802/02380203.pdf |format=PDF |title=【EU】玩具の安全性に関する新しい指令の採択|author=萩原愛一|publisher=[[国立国会図書館]]及び立法考査局 |language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref>。 |
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*[[日本のおもちゃ情報]] |
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玩具企業には、数量が多くなる製品を確保するために実体がはっきりしない外注を利用し、しばしば外国の工場で製造をすることがある。近年、アメリカでは中国製玩具で受取り拒否に踏み切った事態が発生した。監視が行き届かない下請け企業は、時に不適切な製造方法をとることがある。大規模な市場を持つアメリカ合衆国政府は、玩具製造企業に対して販売する前に製品評価を義務づける準備を行っている<ref>{{cite news| url=http://www.nytimes.com/2007/09/11/business/worldbusiness/11lead.html | work=The New York Times | title=Why Lead in Toy Paint? It's Cheaper | first=David | last=Barboza | date=2007-09-11 | accessdate=2010-03-28}}</ref>。 |
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[[名称]]や図柄を使うキャラクター玩具などには[[著作権]]や[[商標登録]]の権者の許諾が必要になる<ref name=Asean />。また、日本では青少年の健全な育成に好ましくないと判断される「[[有害玩具]]」を[[都道府県]]の[[条例]]で販売や貸与などに規制をかけている自治体もある<ref name=Asean />。 |
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[[Image:LR44 Button Cell Battery.jpg|thumb|LR44[[:en:LR44 battery|(en)]][[ボタン型電池]](別称:AG13)。多くの玩具で使用されている。]] |
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=== リサイクルやリユース === |
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子供が成長したり、または興味をなくしたりしたような際、玩具は[[リユース]]を検討される。[[グッドウィル・インダストリーズ]]や[[救世軍]]などチャリテシーへの寄付やガレージセールへの出展、[[オークション]]または[[美術館]]への寄贈など、その方法は様々である。壊れた玩具や何かしらの理由で不具合を生じたものは、廃棄する際に注意を払う必要がある。寄付や販売する際には丁寧に扱い、きれいにしておくべきであり、また部品が揃っていることも必須である<ref name=Goodwilldonationguidelines>{{cite web|url= http://www.goodwill.org/page/guest/about/howweoperate/donations/dosanddonts |title= Goodwill donation guidelines |publisher=[[グッドウィル・インダストリーズ]] |language=英語|accessdate=2011-01-14}}</ref>。 |
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2007年に発生した[[中国製品の安全性問題]]によって、アメリカ国内で玩具を扱った数多くのチャリティーが中断したり取り消されたりする事態が起きた。グッドウィル・インダストリーズはぬいぐるみを除く全玩具の寄付受取りを停止し、他のチャリティーも政府が発行したチェックリストに基づいて玩具類に対する確認を実施した<ref name=Recall>{{cite news | last =Eckelbecker | first =Lisa | coauthors = | title =Santa helpers deal with toy recalls; Charities must scrutinize gifts | work = Worcester Telegram & Gazette | pages = | publisher = | date =November 15, 2007 | url =http://www.telegram.com/article/20071115/NEWS/711150727/1116 |language=英語 |accessdate =2011-01-14}}</ref>。 |
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電気製品の[[3R]]促進を目標に制定された[[WEEE指令]]([[電気電子機器廃棄物]]に関する[[欧州連合]]指令)では、2007年1月2日より[[イギリス]]における玩具へ適用させる運用が始まった<ref>{{cite web|url= http://web.archive.org/web/20070623125558/http://www.dti.gov.uk/innovation/sustainability/weee/page30269.html|title= Information about the Weee Directive|publisher=Internet Archive Wayback Machine |language=英語|accessdate=2011-01-14}}</ref>。 |
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== 美術館・博物館・関連する地域等 == |
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{{main|:en:Category:Toy museums}} |
|||
*[[日本玩具博物館]]<ref>[http://www.japan-toy-museum.org/ 日本玩具博物館]</ref> |
|||
*[[有馬玩具博物館]]<ref>[http://www.arima-toys.jp/ 有馬玩具博物館]</ref> |
|||
*[[壬生町おもちゃ博物館]]<ref>[http://www.mibutoymuseum.com/ 壬生町おもちゃ博物館]</ref> |
|||
*[[和倉昭和博物館とおもちゃ館]]<ref>[http://toymuseum.jp/ 和倉昭和博物館とおもちゃ館]</ref> |
|||
*[[東京おもちゃ美術館]]<ref>[http://goodtoy.org/ttm/ 東京おもちゃ美術館]</ref> |
|||
*[[おもちゃのまち]] - [[おもちゃのまち駅]]([[栃木県]][[壬生町]]) |
*[[おもちゃのまち]] - [[おもちゃのまち駅]]([[栃木県]][[壬生町]]) |
||
*[[おもちゃのまちバンダイミュージアム]] |
*[[おもちゃのまちバンダイミュージアム]]<ref>[http://www.bandai-museum.jp/museum/ おもちゃのまちバンダイミュージアム]</ref> |
||
*他<ref>{{cite web|url= http://www.toys.or.jp/sisetsu/sisetsu.htm |title=玩具関連施設リンク|publisher=日本玩具協会|language=日本語|accessdate=2011-01-30}}</ref> |
|||
*[[壬生町おもちゃ博物館]] |
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* [[日本おもちゃショー]] - 毎年[[東京国際展示場]]で6月若しくは7月に開催される。 |
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== 関連項目 == |
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* [[和倉昭和博物館とおもちゃ館]] |
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* [[自然玩具]] |
|||
* [[おまけ]] |
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== 参考文献 == |
|||
*{{cite book|和書|title=世界の玩具事典|author=多田信作、多田千尋|publisher=岩崎美術社|edition=第2刷| origyear=1989年|year=1990年|ref=多田1990}} |
|||
*{{cite book|和書|title=玩具叢書|author=倉橋惣三|publisher=雄山閣|year=1935年|url=http://books.google.co.jp/books?id=O3eDGc2TrdsC&printsec=frontcover&dq=%E7%8E%A9%E5%85%B7&hl=ja#v=onepage&q&f=false|ref=倉橋1935}} |
|||
*{{cite book|和書|title=郷土玩具辞典|author=斎藤良輔|publisher=[[東京堂出版]]|year=1997年|edition=初版|isbn=4-490-10478-2|ref=斎藤1997}} |
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== 脚注 == |
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=== 注釈 === |
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{{脚注ヘルプ}} |
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{{Reflist|group="注"}} |
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=== 脚注 === |
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{{Reflist|2}} |
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=== 脚注2 === |
|||
本脚注は、出典・脚注内で提示されている「出典」を示しています。 |
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{{Reflist|group="2-"}} |
|||
== |
==読書案内== |
||
{{Commonscat|Toys}} |
|||
<references /> |
|||
*{{cite book|author=Kline, Stephen|year=1995| title=Out of the Garden: Toys, TV, and Children's Culture in the Age of Marketing|publisher=Verso Books|isbn=1-85984-059-0}} |
|||
*{{cite book|author=Walsh, Tim|year=2005|title=Timeless Toys: Classic Toys and the Playmakers Who Created Them|publisher=Andrews McMeel Publishing|isbn=0-7407-5571-4}} |
|||
*{{cite book|author=Wulffson, Don L.|title=Toys!|publisher=Henry Holt and Company|isbn=0-8050-6196-7}} |
|||
==外部リンク== |
==外部リンク== |
||
*[http://www.toys.or.jp/ 日本玩具協会] |
*[http://www.toys.or.jp/ 日本玩具協会] |
||
*[http:// |
*[http://www.toynes.jp/ 日本のおもちゃ情報] |
||
*[http://www.japan-toy-museum.org/ 日本玩具博物館] |
|||
*[http://www.arima-toys.jp/ 有馬玩具博物館] |
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{{DEFAULTSORT:かんく}} |
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2011年2月4日 (金) 12:36時点における版
玩具(がんぐ、おもちゃ[2]、英: toy)は、遊びに用いる対象物・道具のことであり、遊び道具とも呼称される[2]。翫具とも書く[3]。おもちゃの語源は平安時代の「手に持って遊ぶ」行為である「もて(もち)あそぶもの」であり、これが室町時代に省略と接頭語の添付を経て生まれた。漢字の「玩具」も同じ意味を表現して成り立った[4][2- 1]。英語の「toy」という単語の発祥はわかっていないが、少なくとも14世紀頃には用いられていた[5]。
数多い種類の玩具がデザインされているが、他の用途向けの道具などが玩具に適さないというわけではなく、子供が文房具や道具でさえない木切れを手に持って遊べばそれは玩具として機能する[6]。子供にとって遊びは余暇ではなく生活行動そのものであり、その中で玩具は活動の方向性を作り出す[7]。遊戯の目的である、自然法則を理解するための準備や文化・社会生活へ適応するための訓練は、玩具の意義にもそのまま当てはめることができる[8]。
玩具は通常子供やペット向けの道具と捉えがちだが、大人[6]や野生動物[9]が玩具を使うことは決して珍しくない。例えば、呼気で空気の輪を通って遊ぶイルカなどがこれに当たる[10]。
玩具の起源は非常に古く、先史時代まで遡る[6]。ただしそれらは当初から子供向けに製作されたものではなく、大人が用いていた宗教の祭祀や生活における様々な道具が子供に下げ与えられたことに発すると考えられる[11]。テレビゲームやロボット[12]などのデジタル機器も玩具に入れることが出来る上、蒐集家向けに飾っておく事だけを目的とするような玩具も存在する。
玩具の歴史
古代
古代文明の遺跡からは、玩具やゲームが発掘されており、それは文字の発明よりも古い時代に遡る。紀元前3000-1500年前のインダス文明跡からは、小さな荷車や鳥の形をした笛、張った糸を滑り下りる猿のおもちゃなども見つかった[13]。数千年前の古代エジプトには、手足を動かせる上にかつらをつけた石・粘土・木製の人形[14]や、貝殻製のガラガラ[6]があった。墳墓からも、兵士や奴隷の人形のほかにボールが副葬品として発見された[11]。
古代ギリシアや古代ローマでは子供たちは蝋や焼物で作られた人形や棒、弓矢、ヨーヨーなどで遊んでいた。大人になると、特に女性は子供時代に遊んだこれら玩具を神に供えることが恒例となっていた。14歳頃の少女が結婚の前日に、成人になる通過儀礼として人形を寺院に奉納していた[15][16]。
しかし、これらは必ずしも子供に与えるものとして製作されたものばかりではない。古代ギリシア・ローマの遺跡から見つかる人形類、鈴や鳴子などは元々呪術や祭事などで使われた器具類と考えられる。これは遊びそのものにも当てはまるが、古代または素朴な社会での玩具は大人が何らかの目的を持って使用した道具が、その意味を喪失したりまたは変化した結果、子供に与えられるようになったと考えられる。子供の側から見れば、大人が執り行った様々な行事や行動を模倣する遊びにおいてこれらの道具を用い、これが玩具となったと考えられ[11]、その意味では玩具は子供が発明したとも言える[6]。この例には、日本において特別な日に屋外で食事をする「盆飯」や「辻飯」が変化したままごと、アメリカ先住民族では本来鹿の狩猟道具だったボール、東南アジアでは宗教儀礼として発したブランコなどもある[11]。
中世
玩具が商業製品となるのは11世紀頃のイギリスに見られ、手工業で生産された玩具が市場や城などに持ち込まれて販売されていた。その後行商人が取り扱うようになり、商業地での流通や貿易も行われるようになった[11]。
古くから玩具の典型のひとつである人形も、伝統的で素朴なものだけでなく、高価なものも作られるようになった[11]。ロシア皇帝ピョートル1世はヨーロッパ化を推進する一環としてドールハウスを購入しているが、これも文化財としての側面を重視した決定だった[11]。16世紀は、ドイツのニュールンベルクで錫製兵隊人形の大量生産が始まり、またぜんまいばねを用いた初期のおもちゃが開発されるなど、玩具が普及を迎えた時代でもあった。クリスマスのときにツリーに吊るしたりする習慣や、サンタクロースから贈られるという寓話もこの頃に生まれた[11]。
近代
18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命を通じて安価で大量生産が可能になると玩具はさらに普及した[11]。切り絵や工作用または着せ替え人形の服など玩具の材料に紙が使われるのもこの頃である[11]。
日本でも庶民の間で広く玩具が広がったのは江戸時代中期以降であり、それまでは宮中の行事用や上流階級の遊び用であった様々な道具に起源をもつ玩具が一般層に広がった[11]。『日本永代蔵』では風車職人の話があり、元禄文化時代には家内制手工業による生産と露天商や行商等の販売、そして庶民文化と生活の発展による消費が成り立った[17]。
19世紀に玩具は大きな発展を見せた。「ママ」としゃべる人形が登場し[18]、ぜんまい仕掛けの玩具も精巧になり[11]、1851年に開催されたロンドン万国博覧会では当時最先端の玩具が多数出品された[11]。また、幼児教育と玩具の関係が重要視され始めたのもこの時期である[11]。
現代
20世紀に入ると、玩具にも様々な技術革新が導入された。経済の安定的成長とテレビの普及など大量消費社会では、玩具市場も急速な拡大を見せた。1960年代には合成樹脂などの新たな素材が普及し、これをさらに加速させた。1970年代からは半導体を使用するハイテクおもちゃが現れ始め、1979年のインベーダーゲームのブームに端を発するテレビゲームが普及し、玩具の有り様に大きな変化をもたらした[19]。さらにメディアミックスを用いて漫画やアニメーション、インターネットなどと関連させ市場への訴求力を高めた玩具が販売されている[20][21][22]。伝統的な玩具を製造販売する企業には、ハイテクおもちゃに長年の市場を奪われていることに対抗し、昔からの玩具をテレビゲーム化してインターネットで対戦できるような分野に進出してその販売力を高めている企業もある[23]。
偶然の発明が新しいタイプの玩具を生むことがある。例えば、第二次世界大戦時にアール・ウィリックが合成ゴム代替に発明した「nutty putty(愚かなパテ)」が、後にピーター・ホジソンによって幼児用の玩具として見出され「Silly Putty(おかしなパテ)」として商品化された。また、プレイ・ドー(en)は、元々壁紙の清掃用に開発されたものである[24]。
2007年のニュルンベルク国際玩具見本市にて、ジェーン・ツイミーは世界の玩具市場は年間670億ドルと推計した。これは前年比5.2%の伸びであり、日本を除くアジアやアフリカ、ラテンアメリカそしてロシアでは今後も伸びが期待されると解説を加えた[25]。この市場を前に玩具を大量生産で提供する多くの企業が、コスト削減のために低賃金の地区に工場を構えた。例えばアメリカで流通する玩具の75%が中国製である[26]。
子供の発育用玩具
理論と普及の経緯
遊びは子供の成長に大きな影響を与える。数々の玩具は、発育や様々な機能の発達に刺激を与える重要な道具である[27]。ドイツのフリードリッヒ・フレーベル(1782年-1852年)は人間形成において玩具の重要性を初めて主張し、1831年に世界初の幼稚園を創設した。彼は「恩物の理論」の中で、玩具とは自然の法則を理解するために神が与えた道具と定義づけ、幼児の成長段階において必要な種類の玩具を分類した。これによると、最初には毛糸を巻きつけた小さめのボールを与えるべきであり、次は木製の球と立方体、続けて(3)分割された立方体、(4)八面体、(5)立方体の面を二回ずつ切断した27片、(6)棒や水晶型など複雑な27個の積み木という段階を設定した。この積み木は「恩物」という名がつけられた。フレーベルは1837年にブランケンブルクで「子供の労働意欲を育てる会」を作り、ボールやさいころなど様々な玩具を製作した[11]。
イタリアのマリア・モンテッソーリ(1870年-1952年)は、独自の教育法(モンテッソーリ教育)を実践するために200種類もの教育玩具(教具)を開発した。これらは、感覚教育、言語教育、算数教育などそれぞれに目的を持つが、子供が自ら遊ぶ中でこれらの主題を発見し、身につけることで社会への適応性を育て、人格を形成するための補助となるように考えられていた[11]。
日本では、1871年(明治4年)に慶應義塾が遊具を設置し、1873年(明治6年)には内務省が教育玩具の普及を目的に製造業界に製品の販売を促した。文部省も乗り出し、『小学読本』でボール遊びのひとつとして野球の記事を載せたり、『童女筌』でけん玉遊びを奨励するなどの活動を行った。1879年(明治12年)にはフレーベルの理論を紹介した『幼稚園法二○遊嬉』を発行した。1914年(大正7年)には幼稚園・小学校の教材に折り紙が加えられた。第二次世界大戦中には模型飛行機などの軍事色が強い玩具が学校教育に導入されたが、戦後にはこのような戦争玩具は教室から排除された[11]。
現状
最も単純な玩具のひとつである木製の積み木は、心の育成において最良の玩具とも言われる。メガ・ブランズ社(en)マーケッティング担当役員のアンドリュー・ウィットキンは、情報誌『Investor's Business Daily』で「それ(積み木)は、眼と手指の共同作業を発達させ、数学や科学の技能、そして想像力を子供に芽生えさせる」と話した。おはじきやお手玉、ボール遊びなども同様に、心身を駆使して空間認識や原因と結果の繋がりなど様々な能力を育てる有効な教材になるとウィットキンは述べている[26]。
児童の成長に影響を与えるめざましい玩具のひとつに、プレイ・ドーやシリーパティおよび家庭で作れる同じような成形用粘土類がある。ウェルズリー大学幼児学習センターの教育担当メアリー・アッチーは、このような種類の玩具がなぜ子供の身体的発達、認知力向上、情緒教育の有効性および社会性の発達に影響を与えるのかを説明した[28]。
知育玩具
特に幼児や児童向けに思考や創造性を重視して開発された玩具の一種知育玩具では、認知心理学や感性工学および人間工学などの考え方を組み入れ、またこれを用いて一緒に遊ぶ親子の行動分析を通じて、知能や情緒の形成、認知的発達の仕組みを知り、玩具の設計にフィードバックされている[29]。これらには、ブロックや積み木からプレスクール用玩具、幼児用玩具類、楽器や絵本から幼児用キャラクター製品などが含まれる[30]。
子供の玩具に対する好みは、視覚的には暖色で光を発するものを、聴覚は特に幼少時に反応する律音から成長に応じて調音が、触覚では先ず掌で掴めるものから徐々に身体全体で感じられるものへと変化する[31]。嗅覚に訴える効果は充分な成長を経ないと関心を引き起こしがたい[31]。玩具そのものの運動についても強い関心を持ち、それは成長に伴って細かな動きに目を向けるようになる[31]。
また、痴呆性の高齢者への治療のひとつに玩具を用いる例もある。心理療法の手段のひとつ回想法 (Reminiscence) の手段として懐かしい玩具などを用いた記憶発想への刺激を行ったり[32]、幼児向け知育玩具のゲームを通じて感覚を刺激する試みも行われている[33]。
性差
ある種の玩具、例えばバービーの人形やGIジョーなどは、女の子向けまたは男の子向けという風に分けられる。研究によると、18ヶ月未満の乳児でも性別によって玩具の選択が分かれるという結果がある[34]。
日本でも、業界分類等で「男児玩具」と「女児玩具」はそれぞれ別に分類されており、前者には模型玩具や乗り物など、後者には人形とその周辺道具類などがある。キャラクター人形やごっこ遊びの玩具類も男児向けと女児向けがそれぞれ区分される[35][36]。
種類
乳児用玩具
生後、赤ちゃんに最初に与えられる玩具が、未発達の聴覚や視覚に働きかける「ながめ玩具」と呼ばれる種類である。これらは手に取って遊ばせるものではなく、乳児をあやすことを目的とする。赤など暖色が多く用いられながら刺激は弱められ、澄んだ音を連続的または間歇的に発すものが好まれる。生後一ヶ月を過ぎた頃になると緩やかな動きがあるものが好ましい[37]。ガラガラは普遍的な乳児用玩具であり、メキシコ民族が用いたさとうきびの茎製、エスキモーのアザラシの皮製など多様な素材から作られたものがあり、これらは乳児期に音が大切な発達要素であったことを各民族が認識していた傍証になる[38]。
天井に吊るしたり棚などに置いたりして回転する玩具(メリー、ベビーメリー、オルゴールメリーなど[39])も多く、また風車やガラガラなどを親が手に持って見せる限りはこれらもながめ玩具の範疇に入り[37]、日本のでんでん太鼓は乳児には扱えるものではないため、この用途専用のものだった[38]。これらを持って遊ぶ様子は生後三ヶ月頃から見られ始め、手に持つための適度な大きさや、口に含むことを念頭に置いた安全性などを考慮した製品が設計される[27][40]。乳児が這って動ける頃には、全身運動の興味に答えるおきあがりなどが与えられる[41]。
人形やぬいぐるみなど
長い歴史を持つ人形には多様な種類がある。幼児向けには人間や動物を象った単純な人形やぬいぐるみが与えられ、これが概念の初期形成に寄与する[42]。当初こそ幼児はただ触って遊ぶに過ぎないが、やがて仮の人格を与え、食事や排泄など生命があるようにみなし、遊び相手や友人として扱うようになる。これは動物のぬいぐるみなどにも当てはまる[42]。
人間の成長を通して、人形が玩具である期間は長い。幼児から成長すると、ままごとなど遊びが高度化するに伴い、人形にもさまざまな機能を求めるようになる[42]。これに対応し、手足が可動なものからぜんまいなど動力を備えて動く人形[43]、泣いたり眼をつむったりするものが作られている[42]。さらに、人形用の衣類や家具などのお道具類等も整備された[44]。
人形の起源は民間信仰の道具だったと考えられる。被災や罹病などの身代わり、豊作などの祈りの対象、そして権力者の墓に埋葬される品であったりした。日本で人形が子供用玩具となるのは8世紀頃に始まり、江戸時代に広まった。そして芸術的・工芸的な要素が加えられ、地域の特色を帯びる郷土玩具の一体系となった[45]。衣服をつけた人形も8世紀のヨーロッパで作られ始め、14世紀に華やかさを増した[45]。
模型
古くから子供は様々な乗り物の模型を玩具にして遊んでおり、古代ギリシアの陶芸品から二輪のカートで遊ぶ子供の図柄が発見されている[46]。自動車や電車または飛行機など乗り物の模型は、所有欲を満たす玩具である。子供の場合は、実体験で見聞した乗り物を再現する性質が強く、結果的に荒く扱って壊されやすい[47]。10代以上になると科学的な興味を満たす傾向が強まり、玩具へ精巧さを求めるようになって材質や実際に駆動することなどにも目を向ける。さらに電車ならばゲージなど様々な周辺部品を加え、飛行機ならば実際に飛ばせるものなどへと、高度かつ高価なものとなってゆく[47]。
音響玩具
子供の聴覚に訴えかける玩具の種類がある[27]。乳児期のガラガラなども該当するが、手を使う遊びの延長として太鼓やタンバリン、口に含む行動から笛などの玩具がこれらに相当する。さらに、成長に伴い使われる子供向けの楽器類なども玩具に相当する[48]。
練習玩具
玩具を用いて行う遊びのうち、目標を上手く達成することに楽しさを感じ、その技能を上達させる目的で遊ぶものを練習玩具という。これを複数の人間で比較競争すればゲームとなるが、ヨーヨーやけん玉または独楽、縄跳びや紙風船などを一人単位で遊ぶことが該当する。紐を玩具に使う様々な遊びも多くこれに当たり、リリアンのようなものから複数で遊ぶあやとり、縄飛び、ゴムとびなどが例示される[49]。
木の実に軸を挿した原始的な独楽は世界中で見られ、それぞれの文化圏の様式に沿って自然発生した。独楽は子供に限らない玩具の典型であり、古代エジプトの頃から美しい装飾が施されたり、回し方にも様々な工夫が発展した。『和名類聚抄』では、日本の独楽は宮廷の儀式道具として独楽廻しの専門職がいたことが記されている。江戸時代には賭場の道具になり、また曲芸としても大成した[50]。ヨーロッパでは16世紀イギリスで多様な種類と形状が発達し、18-19世紀には特に鉄製の独楽が流行した。この中には、氷上でも遊べる工夫が施されたものもあった[50]。
パズル
考える玩具の代表がパズルであり、智慧と工夫をこらして目的を達する。到達点はさまざまであり、単純な知恵の輪からジグゾーパズル・メカニカルパズルなど、また何かしら目的のものを作り上げるという意味でブロックもまた立体的なパズルの範疇に入る[51]。
競争するゲーム
生物の生存競争は本能に根ざした行動であり、これを背景に競争・勝負がつけられる玩具もある。これには運動を伴うものもあれば、基本的に知的作業のみで行われるものもある。貝殻や土器に発し紙が使われるようになっためんこ、独楽を戦わせるベーゴマ、他にもビー玉やおはじきなどもルールに即したゲームとして使われる[52]。
ゲームには、より高度かつ複雑なものも無数に存在する。かるたやトランプなどカードゲーム類、将棋や囲碁およびチェス類、野球盤など数々のボードゲーム類、ビリヤードなどから、これらが拡張されたスポーツ全般で使われる用具類も、広義の玩具に入れることができる[52]。
最古の盤ゲームは紀元前4000-3500年頃の古代エジプト墳墓から発見されている。これは暦や占いまたは死霊信仰の道具であった。紀元前1400年頃には初期のマンカラが登場してアフリカに伝播した。これは奴隷貿易とともにアメリカ大陸にも伝わり、ハイチではブードゥー教とも関連づいた。一方インドにはギャンブルのひとつとして流行した[53]。
ボール
ボールや鞠の発祥は非常に古く定かでないが、多くの地域や文化圏および各歴史の段階を通じた普遍的な玩具である[54]。その発生は、木の実や石などを本能的に投げる人間の行動にあると思われる[55]。
ボールの発展段階を追うことで、それぞれの地域で調達できた材料や加工などの技術史を追うことができる。さらに、手に入れたボールの硬さや重さ、または弾力性などが遊び方を決定づけ、様々なスポーツを生み出す母体ともなった[54]。ボール遊びはゴムの利用によって大きく広がり、運動や競技において征服欲の充足を目的にした様々なゲームやスポーツの発案を助長した[55]。
乗り物
子供が乗る、または乗る模倣をする玩具は、ソクラテスの家に棒馬があった事や古代中国にも存在した事、さらに中世ヨーロッパの版画や彫刻に頻繁に現れる点からも広く普及したと考えられる。人が乗って遊ぶ木馬も、中世ロシアには満1歳の男児に贈る習慣があり、17世紀中ごろにイギリスでロッキングホースが発明されたように、広い歴史を持つ[56]。
ごっこ遊びの玩具
子供が何らかの人物や職業になりきるごっこ遊び用の玩具も存在する。これには訓練的な意味を持つ場合もあり、プラトンは「将来の建築家は子供の頃から家を建てる遊びをするべし」と記した[46]。それらは仕事に使う道具の模造品であったり、衣装やお面なども含まれる[57]。戦争玩具に分類されるものでも、戦車や戦闘機および砲台等は模型に相当するが、軍刀や勲章など身につける類のものはこの一種になる[58]。
大人が楽しむ玩具
大人向け製品
アントニア・フレイザーは著作『おもちゃの文化史』 (ISBN 978-4472073311) にて、玩具を「成長後も子供時代を懐かしく思う」ものと述べ、大人でも蒐集や歴史家が着目するものと記した[4]。現代では、子供向けに限定されない玩具、大人向けの玩具が豊富に溢れている。パズルやゲーム類は大人が遊ぶに充分なものであり、また人形やロボットなども一種の癒しを与える玩具として重宝される。バウリンガルなどは、ペットと飼い主の双方に働きかける玩具とも定義できる。テレビゲームや高度なラジコンなど、高年齢層までも購買層に狙った玩具が数多く販売されている[59]。
蒐集
蒐集の対象としての玩具の歴史は中世で多く見られる。16世紀に始まったと言われるドールハウスはあくまで貴族階級の大人が楽しむ鑑賞品であり、贅を尽くした工芸品を子供が触ることは許されなかった。フランス人形も当初は新しいデザインの服飾品を宣伝する媒体であった[11]。
日本でも江戸時代には物見遊山や寺社仏閣参拝のみやげ物、縁起物とした玩具が発達した。これらや本来子供向けの玩具を蒐集する趣味や遊びが発展し、骨董や嬉遊と並んだ大人の遊楽のひとつとなった[60]。明治時代には人形蒐集家の集まりが「大供会」を結成し機関紙の発行も行われた。この「大供」とは「子供」と対を成す造語である。玩具全般も広く愛され、「おもちゃ番付」の作成や選集の編纂などの盛り上がりを見せた[61]。
現在でもビーニーベイビー(en)やボイズベアー(en)のように、玩具の中には収集の対象となり、大人を含む熱狂的な蒐集家(コレクター)が存在するものもある。中には多額の費用が掛けられるような場合もあり、PEZの稼働式ケース1個がオークションにて1,100ドルで落札された例もある[62]。
童謡
取り扱い
法令等
多くの国で販売される玩具に対する安全基準が設定されている。日本の場合、乳幼児玩具は食品衛生法が適用され、毒性が指摘されている重金属や砒素の溶出が検査される[59]。また、電気を使う玩具には電気用品安全法に則したPSEマークの表示が義務づけられ、花火には火薬類取締法の規制がかかる[59]。業界の自主規制では、SGマーク[63]やSTマーク[64]などがある[59]。
欧州委員会では2008年12月18日に「玩具の安全性に関する指令」 (88/378/EEC) の改訂が提案された。これでは、玩具に含有する物質の規制が強化され、REACH規制に基づくCMR物質(発癌性物質、変異原性物質、生殖毒性物質)やアレルギー物質、芳香物質の一部に対する使用禁止や規制、使用時のリスクに対する注意の表示義務、誤飲等のリスク規制、食玩と食品の接触禁止などを盛り込んだ。これは2009年上旬に発効された[65]。
玩具企業には、数量が多くなる製品を確保するために実体がはっきりしない外注を利用し、しばしば外国の工場で製造をすることがある。近年、アメリカでは中国製玩具で受取り拒否に踏み切った事態が発生した。監視が行き届かない下請け企業は、時に不適切な製造方法をとることがある。大規模な市場を持つアメリカ合衆国政府は、玩具製造企業に対して販売する前に製品評価を義務づける準備を行っている[66]。
名称や図柄を使うキャラクター玩具などには著作権や商標登録の権者の許諾が必要になる[59]。また、日本では青少年の健全な育成に好ましくないと判断される「有害玩具」を都道府県の条例で販売や貸与などに規制をかけている自治体もある[59]。
リサイクルやリユース
子供が成長したり、または興味をなくしたりしたような際、玩具はリユースを検討される。グッドウィル・インダストリーズや救世軍などチャリテシーへの寄付やガレージセールへの出展、オークションまたは美術館への寄贈など、その方法は様々である。壊れた玩具や何かしらの理由で不具合を生じたものは、廃棄する際に注意を払う必要がある。寄付や販売する際には丁寧に扱い、きれいにしておくべきであり、また部品が揃っていることも必須である[67]。
2007年に発生した中国製品の安全性問題によって、アメリカ国内で玩具を扱った数多くのチャリティーが中断したり取り消されたりする事態が起きた。グッドウィル・インダストリーズはぬいぐるみを除く全玩具の寄付受取りを停止し、他のチャリティーも政府が発行したチェックリストに基づいて玩具類に対する確認を実施した[68]。
電気製品の3R促進を目標に制定されたWEEE指令(電気電子機器廃棄物に関する欧州連合指令)では、2007年1月2日よりイギリスにおける玩具へ適用させる運用が始まった[69]。
美術館・博物館・関連する地域等
- 日本玩具博物館[70]
- 有馬玩具博物館[71]
- 壬生町おもちゃ博物館[72]
- 和倉昭和博物館とおもちゃ館[73]
- 東京おもちゃ美術館[74]
- おもちゃのまち - おもちゃのまち駅(栃木県壬生町)
- おもちゃのまちバンダイミュージアム[75]
- 他[76]
関連項目
参考文献
- 多田信作、多田千尋『世界の玩具事典』(第2刷)岩崎美術社、1990(原著1989年)。
- 倉橋惣三『玩具叢書』雄山閣、1935 。
- 斎藤良輔『郷土玩具辞典』(初版)東京堂出版、1997。ISBN 4-490-10478-2。
脚注
注釈
脚注
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- ^ 倉橋 (1935)、pp.67-、玩具教育篇 第二篇三 おきあがり
- ^ a b c d 倉橋 (1935)、pp.83-91、玩具教育篇 第二篇七 動物玩具及人形
- ^ 倉橋 (1935)、pp.69-73、玩具教育篇 第二篇四 ぜんまいもの
- ^ 倉橋 (1935)、pp.92-108、玩具教育篇 第二篇八 人形の種々相
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- ^ a b 倉橋 (1935)、pp.108-132、玩具教育篇 第二篇九 自動車・電車・汽車・飛行機
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- ^ 多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.287-290、裸でつきあえる盤ゲーム
- ^ a b 多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.278-279、人類始まって以来の素材史-ボール
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- ^ 多田 (1990)、世界の玩具文化史、pp.279-281、男の子の健康のシンボル-木馬
- ^ 倉橋 (1935)、pp.156-、玩具教育篇 第二篇十三 模倣遊び玩具
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- ^ “玩具関連施設リンク”. 日本玩具協会. 2011年1月30日閲覧。
脚注2
本脚注は、出典・脚注内で提示されている「出典」を示しています。
- ^ 斉藤良輔『おもちゃ博物誌』、1989年、ISBN 978-4882900054
読書案内
- Kline, Stephen (1995). Out of the Garden: Toys, TV, and Children's Culture in the Age of Marketing. Verso Books. ISBN 1-85984-059-0
- Walsh, Tim (2005). Timeless Toys: Classic Toys and the Playmakers Who Created Them. Andrews McMeel Publishing. ISBN 0-7407-5571-4
- Wulffson, Don L.. Toys!. Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-6196-7