北青山D.CLINIC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
北青山Dクリニックから転送)

北青山D.CLINIC(北青山Dクリニック)は、東京大学医学部附属病院第一外科出身の阿保義久が同門の複数の医師達の協力の下で2000年7月に東京都渋谷区に開設した診療所で、2004年からは医療法人社団DAP(理事長 阿保義久)の管理下にある。

同クリニックは、血管外科腫瘍外科・脳神経外科循環器内科消化器内科消化器外科呼吸器内科婦人科皮膚科形成外科の各専門医を擁し、各専門科の診療に加えて日帰り手術・癌診療・再生医療(幹細胞を用いた治療)・予防医療などを手掛けている。

沿革[編集]

北青山Dクリニック

  • 2000年8月22日 「北青山Dクリニック」を医療機関として登録、診療開始。
  • 2002年3月29日 「株式会社アークワイズ」(MS法人)設立。
  • 2003年7月15日 「Dクリニック フォーラム」開設。
  • 2004年2月17日 「医療法人社団DAP」を設立、「北青山Dクリニック」と「Dクリニックフォーラム」を統括。
  • 2007年9月12日 「NPO法人ドクターズネットワーク(臨床・医学研究において機能する医師陣が自ら信頼する医師のネットワーク)」を設立。 
  • 2010年7月05日 「Dクリニック アケラ」設立、手術やドックのユニットを拡張。
  • 2018年2月01日 「北青山Dクリニック特定認定再生医療等委員会」設立。
  • 2019年2月04日 「Dクリニック フォーラム」、「Dクリニック アケラ」を「北青山Dクリニック」に統合。
  • 2021年9月   「北青山Dクリニック」診療スペース拡張。ARK WISE BLDG. の1~6Fを医療機関として活用。

設立の経緯[編集]

  • 北青山D.CLINIC(ディークリニック)命名の由来は、Day Surgery(日帰り手術)のDから来ている。そもそも阿保義久は自らの専門領域(血管外科腫瘍外科)の経験を生かして先端医療技術である日帰り手術を主軸とした医療機関の開設を考えていた。そこでクリニック名を「デイサージェリークリニック」とすることを保健所に打診した所、2000年当時、クリニック名には診療内容を用いることはできず、①開設者の名前 ②地域名 ③入居施設名称 のいずれかに基づく必要があるとのことで、「デイサージェリー」を冠とした名称の登録は却下された(現在、地域差はあるようだが名称登録における自由度は大幅に増大している)。それで諦めることなく、少しでも斬新かつ象徴的なクリニック名を意図して、地名とデイサージェリーの頭文字を組み合わせた「北青山Dクリニック」として再申請したところ、今度はすんなりと受領された。ただし、届出書面上、英字登録は認められず、「北青山ディークリニック」として登録された。一般の方々が理解しやすいように「北青山Dクリニック」という表示は許可された。
  • 北青山に開業することには多くの関係者から否定された。参考までにと複数の医療コンサルタントの意見を聞いたが、皆が皆口をそろえて「都心での開業はハイリスクであり、せめて関東近郊の競合が少ないところでの開業が安全」だと。阿保の考えは、「当初競合が少ない診療圏で優位に立っても長期的には新参者の影響などから尻すぼみになる可能性がある。将来の発展性を考えて、利便性が高く診療圏も大きい都心部でチャレンジしたい。競争の激しい地で1年でも生き残れたら乗り越えられるのではないだろうか。」であった。しかし、まず立ちはだかったのは開業資金の確保。バブル崩壊の直後の時期でもあり開業融資には極めて難渋したが、地元青森の地銀「みちのく銀行東京支店」が門戸を開けてくれた。どうにか開業できたものの、親族に医師はおらず、強いコネも綿密なプランもないまま開業にこぎつけた後は、まさに茨の道だった。威勢よく都心部に開業したものの集患が思うように進まない。そこで、阿保はインターネットによる診療情報開示に取り組んだ。今でこそホームページのない医療機関は存在しないと言ってよいが、2000年当時はインターネット検索の対象はアダルト情報を主とした怪しい内容がほとんど。医療機関がホームページを持つ例は極めて少なかった。そのような中、開業当初の主たる仕事はホームページのテキスト作成であったと、当時を阿保は振り返っている。その後、徐々に診療規模を拡大し、2004年に医療法人社団DAPを設立。以降、北青山Dクリニックはその管理下にある。
  • 2019年、「Dクリニック」が商標登録され、それを冠とする複数のクリニックが登場した。多くの患者さん方から誤解を招くと指摘されたことから、保健所に「患者さんが混乱しないように医療機関名は重複することがないように厳重に行政管理しているとのことではなかったか」と問い合わせたところ、「管轄が異なると完全にチェックできない」との回答。やむを得ず、最近では「北青山Dクリニック」に加えて「北青山D.CLINIC」と表現する機会も増えている。2019年に別法人から誕生した「Dクリニック」と2000年に開設された「北青山Dクリニック」とは、管理母体・診療コンセプト・医療スタッフ等、全く異なる医療機関である。

特徴[編集]

信頼できる医師陣が診療を担当

  • 北青山D.CLINIC所属の医師達は原則として、東京大学医学部、慶應義塾大学医学部及びその医局出身者で構成される。クリニック開設の2000年当時、医師達は皆30代で、現在も同クリニックの診療を皆継続している。多くは現在、東大教授をはじめとする各大学病院の要職や総合病院等の部長職に就きつつ、北青山D.CLINICの診療も兼務[1]している。

専門性の高い総合診療を提供

患者さん視点の医療を尊重

  • サイトで診療内容などに関する質問を受け付け、検査の不安や苦痛をなくすために覚醒の早い静脈麻酔を用いた苦しくない内視鏡検査を導入し、拘束時間が短く体へのダメージが少ない日帰り手術(外来手術)の開拓及び提供に努める、など患者さんがストレスなく医療機関を利用できるよう随所に配慮をしている。

先端医療技術を駆使

  • 胃・食道・大腸の細かな病変を描出できるレーザー内視鏡検査や早期膵臓がん発見のためのEUS(超音波内視鏡)検査を外来で導入している(国内では希少)。下肢静脈瘤椎間板ヘルニアに対しては、いち早くレーザー機器を導入して低侵襲治療を開業以来継続し海外から治療を受けに来られる患者さんにも対応している。再生医療(幹細胞治療)や遺伝子治療など保険適用外だが革新的医療技術の開拓にも余念がない。これらの先端医療は「患者さんのニーズや思いに真摯に応えて尊厳のある医療を提供したい。医療を受けることで患者さんの人生を豊かなものにしたい。」という信念に基づいている。

再生医療(幹細胞を用いた治療)について[編集]

厚生労働省報告数より

  • 慢性疼痛症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(経血管的に投与)を用いた治療

(2019年3月~2020年3月) 20例50件
(2020年3月〜2021年3月) 20例37件
(2021年3月〜2022年3月) 33例74件
(2022年3月〜2023年3月) 21例44件

  • 慢性疼痛症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(局所注射による投与)を用いた治療

(2020年3月〜2021年3月) 20例50件
(2021年3月〜2022年3月) 1例1件
(2022年3月〜2023年3月) 22例61件

  • 動脈硬化症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(経血管的に投与)を用いた治療

(2019年3月~2020年3月) 17例39件
(2020年3月〜2021年3月) 19例39件
(2021年3月〜2022年3月) 18例36件
(2022年3月〜2023年3月) 24例48件

  • 動脈硬化症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(局所注射投与)を用いた治療

(2020年3月〜2021年3月) 1例3件

  • 認知機能障害(認知症)に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(経血管的投与)を用いた治療

(2019年3月~2020年3月) 21例48件
(2020年3月〜2021年3月) 18例42件
(2021年3月〜2022年3月) 10例15件
(2022年3月〜2023年3月) 11例23件

  • 神経変性疾患に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(経血管)

(2020年3月〜2021年3月) 2例2件
(2021年3月〜2022年3月) 6例11件
(2022年3月〜2023年3月) 14例27件

  • 神経変性疾患に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(髄腔内)

(2020年3月〜2021年3月) 11例30件
(2021年3月〜2022年3月) 15例58件
(2022年3月〜2023年3月) 30例73件

  • 心不全に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療

(2020年3月〜2021年3月) 1例4件
(2021年3月〜2022年3月) 3例8件
(2022年3月〜2023年3月) 5例14件

  • 慢性腎臓病(CKD)に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療

(2020年3月〜2021年3月) 2例7件
(2021年3月〜2022年3月) 4例16件
(2022年3月〜2023年3月) 8例28件

  • 慢性肺疾患に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療

(2020年3月〜 2021年3月) 2例7件
(2021年3月〜2022年3月) 2例4件
(2022年3月〜2023年3月) 4例15件

  • スポーツ外傷、加齢等による運動器障害に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(局所投与)

(2022年3月〜2023年3月) 4例10件

  • スポーツ外傷、加齢等による運動器障害に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(経血管的投与)

(2021年3月〜2022年3月) 5例11件
(2022年3月〜2023年3月) 5例7件

  • 肝硬変、肝線維症等の肝機能障害に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療

(2022年3月〜2023年3月) 1例1件

  • 加齢による身体的生理的機能低下に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(経血管的投与)

(2022年6月〜2023年6月) 18例48件

  • 加齢による身体的生理的機能低下に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(局所投与)

(2022年6月〜2023年6月) 4例5件

  • 糖尿病に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療

(2022年6月〜2023年6月) 5例9件

  • 動脈瘤に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療

(2022年6月〜2023年6月) 1例1件

  • 不妊症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(局所投与)

(2022年6月〜2023年6月) 1例2件

  • 不妊症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(経血管的投与)

(2022年6月〜2023年6月) 1例2件

  • 炎症性腸疾患に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(経血管的投与)
  • 脱毛症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(局所投与)
  • 脱毛症に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(経血管的投与)

がん遺伝子治療(CDC6 RNAi療法) [編集]

治療件数 2786件 (2023年7月1日現在)

下肢静脈瘤[編集]

治療件数 NCD [3] (National Clinical Database)血管外科部門(Vx/2000、1470、RF、980)の症例登録件数より

  • 2013年 731件
  • 2014年 839件
  • 2015年 659件
  • 2016年 742年
  • 2017年 416件
  • 2018年 300件
  • 2019年 269件
  • 2020年 143件
  • 2021年 104件
  • 2022年 135件

メディア情報[編集]

テレビ[編集]

新聞[編集]

  • 日経新聞 交遊抄「もう一人の兄貴 木村次郎」(2022年10月24日日経新聞) 
  • (体とこころの通信簿)足のむくみ 立ち仕事・同じ姿勢、血流悪化(2015年11月09日朝日新聞) 
  • 足の静脈瘤の治療――レーザー・高周波で負担減、新手法、相次ぎ認可(元気ナビ)(2014年11月14日日本経済新聞
  • どうすれば安全安心:痛み少ない下肢静脈瘤治療 最新の2方法に保険適用(2014年09月18日毎日新聞)
  • 足の冷え・むくみ、血管障害の恐れ――加齢・体質と勘違い怖い(元気ナビ)(2013年11月08日日本経済新聞)
  • 腓返り、脹脛に痛みと痙攣――よく起こる人ご用心(元気ナビ)(2012年07月13日日本経済新聞) 
  • (患者を生きる:1906)血管の病気 読者編:3 手術後も戻らない日常 (2012年06月14日朝日新聞) 
  • (患者を生きる:1861)血管の病気 下肢静脈瘤:6 情報編 「脇道」に原因あり(2012年04月22日朝日新聞) 
  • (患者を生きる:1860)血管の病気 下肢静脈瘤:5 手術後、立ち仕事も平気(2012年04月21日朝日新聞) 
  • (患者を生きる:1859)血管の病気 下肢静脈瘤:4 35年間、ついに限界(2012年04月20日朝日新聞)
  • (患者を生きる:1858)血管の病気 下肢静脈瘤:3 レーザー治療ですっきり(2012年04月19日朝日新聞)
  • (患者を生きる:1857)血管の病気 下肢静脈瘤:2 術後20年、再び症状(2012年04月18日朝日新聞) 
  • (患者を生きる:1856)血管の病気 下肢静脈瘤:1 足にこぶ、手術したが(2012年04月17日朝日新聞) 
  • (体とこころの通信簿)足のむくみ 10分足上げ・自転車こぎで改善(2011年08月01日朝日新聞) 
  • 連載 治療&予防の第1選択肢(96)根治には血管外科で手術を(2009年09月09日日刊スポーツ)
  • 連載 治療&予防の第1選択肢(95)血管引き抜く手術が主流(2009年09月08日日刊スポーツ)
  • 連載 治療&予防の第1選択肢(94)リスク高い立ち仕事 (2009年09月07日 日刊スポーツ)
  • 医療ナビ:下肢静脈瘤 どんな治療法があるの(2009年06月09日毎日新聞) 
  • 血管から漏れた水分がたまる足のむくみ、適度な運動や靴下で解消(元気ナビ)(2009年05月22日日本経済新聞) 
  • 医療ナビ:下肢静脈瘤 症状と予防法は(2008年10月28日毎日新聞)
  • むくみ:足動かし、解消 長時間同じ姿勢・女性・高齢者……要注意(2008年07月04日毎日新聞) 
  • (体とこころの通信簿)下肢静脈瘤=脚のこぶ 血管除去やレーザー手術も(2008年06月30日朝日新聞) 
  • 健康ナビ:下肢静脈瘤の治療法を教えて(2007年07月20日毎日新聞) 
  • 連載 この病気にこの名医(60)下肢静脈瘤(4)軽度は入院なし(2007年04月07日日刊スポーツ)
  • 連載 この病気にこの名医(59)下肢静脈瘤(3)超音波か造影検査(2007年04月06日日刊スポーツ)
  • 連載 この病気にこの名医(58)下肢静脈瘤(2)エコノミー症候群(2007年04月05日日刊スポーツ)
  • 傷口見えぬ下肢静脈瘤治療が注目(2007年01月19日読売新聞)
  • 連載 この病気になる理由(84)下肢静脈瘤(下)安全、簡単な硬化療法期待(2004年06月27日日刊スポーツ)
  • 連載 この病気になる理由(83)下肢静脈瘤(中)エコノミークラス症候群も(2004年06月26日日刊スポーツ)
  • 連載 この病気になる理由(82)下肢静脈瘤(上)女性、立ち仕事の人は危険(2004年06月25日日刊スポーツ)
  • 下肢静脈瘤、その原因は? 立ち仕事の人、妊娠経験者に多く…手術か薬剤注入で(2001年10月13日毎日新聞) 
  • 日帰り手術、リスク把握を――専門の部門や病院も登場(タウン・ビート)(2001年08月07日日本経済新聞) 
  • 連載「知っておきたい 気になる現代病」(29)下肢静脈瘤(2000年12月06日日刊スポーツ)
  • 広がる「日帰り手術」、対象の病気も30種以上に――時間節約(タウン・ビート)(2000年06月12日日本経済新聞) 
  • <図表>日帰り手術の対象となる病気(タウン・ビート)(2000年06月12日日本経済新聞) 
  • ひと―北青山Dクリニック院長阿保義久氏(最前線)(2009年8月9日日本経済新聞) 

雑誌・WEB等[編集]

関連書籍[編集]

  • 『コロナの時代のアンチエイジング』(株式会社アークワイズ、2022年2月)阿保義久著 ISBN 978-4991252204
  • 『尊厳あるがん治療 CDC6 RNAi療法』(医学舎、2018年1月)阿保義久著 ISBN 978-4434240577
  • 『がん細胞を正常細胞に戻すCDC6 shRNA治療』(アイシーアイ出版、2011年9月)阿保義久著 ISBN 9784434159251
  • 『下肢静脈瘤が消えていく食事 足の血管のコブを防ぎ治す特効レシピ』(マキノ出版、2011年9月)阿保義久著 ISBN 9784837613060
  • 『下肢静脈瘤治療―日帰り・レーザー・根治』(医学舎、2015年2月)阿保義久著 ISBN 978-4434201721
  • 『脚と血管のアンチエイジング―下肢静脈瘤最先端レーザー治療とキレーション療法』(本の泉社、2006年年7月)阿保義久著 ISBN 978-4880239545
  • 『アンチ・エイジング革命』(講談社、2011年9月)阿保義久著 ISBN 978-4-06-213762-1
  • 『「老け手」解消!手・腕に浮き出る血管はこうして改善する』(PHP研究所、2020年2月)阿保義久著 ISBN 978-4569846293
  • 『若さを保つ〈からだ〉のバイブル』(SBクリエイティブ、2018年1月)阿保義久著 ISBN 4-7973-3499-1
  • 『切らずに日帰りで治す椎間板ヘルニア』(医学舎、2016年5月)泉雅文著 ISBN 978-4434219238

脚注[編集]

出典[編集]

外部リンク[編集]

公式YouTube[編集]

公式YouTube[編集]