ルカ・ヨヴィッチ

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ルカ・ヨヴィッチ
名前
ラテン文字 Luka Jović
セルビア語 Лука Јовић
基本情報
国籍 セルビアの旗 セルビア
ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ
生年月日 (1997-12-23) 1997年12月23日(26歳)
出身地 ビイェリナ
身長 181cm
体重 79kg
選手情報
在籍チーム イタリアの旗 ACミラン
ポジション FW
背番号 15
利き足 右足
ユース
2005-2014 セルビアの旗 レッドスター・ベオグラード
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
2014-2016 セルビアの旗 レッドスター・ベオグラード 42 (12)
2016-2019 ポルトガルの旗 ベンフィカ 2 (0)
2016-2017 ポルトガルの旗 ベンフィカB (loan) 18 (4)
2017-2019 ドイツの旗 フランクフルト (loan) 54 (25)
2019 ドイツの旗 フランクフルト 5 (0)
2019-2022 スペインの旗 レアル・マドリード 36 (3)
2021 ドイツの旗 フランクフルト (loan) 18 (4)
2022-2023 イタリアの旗 フィオレンティーナ 31 (6)
2023- イタリアの旗 ミラン
代表歴2
2012-2013  セルビア U-16 12 (10)
2013-2014  セルビア U-17 19 (16)
2015  セルビア U-18 1 (1)
2014-2016  セルビア U-19 13 (10)
2015-2019  セルビア U-21 17 (7)
2018- セルビアの旗 セルビア 30 (10)
1. 国内リーグ戦に限る。2023年9月2日現在。
2. 2023年9月2日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

ルカ・ヨヴィッチセルビア語キリル: Лука Јовић、1997年12月23日 - )は、ボスニア・ヘルツェゴビナビイェリナ出身のサッカー選手ACミラン所属。セルビア代表。ポジションはFW

クラブ経歴[編集]

レッドスター[編集]

クロアチアセルビアの国境に近いビイェリナにて誕生。セルビア人の父親、ミラン・ヨヴィッチもパルチザン・ベオグラードなどでプレー経験のある元プロサッカー選手であった。幼少期に父親の母国セルビアロズニツァに移住、2005年にレッドスター・ベオグラードのスカウトを受け、同クラブの下部組織に入団。2014年5月のリーグ優勝を賭けた最終節の大一番、FKヴォイヴォディナ・ノヴィサド戦で、同クラブの最年少記録保持者であったデヤン・スタンコビッチを上回る16歳5ヶ月5日でプロデビューを果たしたばかりか、途中出場から3分後にはプロ初ゴールを挙げ、史上最年少得点記録も塗り替えた。さらにこのゴールは値千金の同点弾となり、レッドスターは最終節を引き分けに持ち込み、勝ち点1差でライバルのパルチザンをかわしてリーグ優勝を飾った[1][2]。実質プロ1年目の2014-15シーズンもリーグ戦6ゴールを挙げ、世代別セルビア代表でも順調にゴールを重ね、レッドスターのズヴェズダン・テルジッチSDはヨヴィッチを「セルビアのファルカオ」と絶賛した[3][4]

ベンフィカ[編集]

その活躍を受け、ポルトガルの強豪クラブ、SLベンフィカが獲得に動き始め、当時18歳であったヨヴィッチは国外移籍は時期尚早と残留を希望していたが、当時のレッドスターは深刻な財政難に陥っており、2016年2月に移籍金600万ユーロ(当時のレートで約8億円)という高額なオファーを受け入れてクラブ間合意、ヨヴィッチはベンフィカと5年契約を結んだ[5]。後にこの移籍は、分割払いを提示したベンフィカ側に対してレッドスターは一括での支払いを求め、ベンフィカ側は大物代理人、ピニ・ザハビに仲介を依頼してキプロスアポロン・リマソールを迂回しての移籍(ヨヴィッチ自身はアポロンではプレーしていない)であったことが報じられている。しかしベンフィカではジョナスラウル・ヒメネスコンスタンティノス・ミトログルという攻撃陣の分厚い選手層に阻まれ、さらにヨヴィッチ自身も適応に苦しんだこともあり、Bチームへの降格を命じられた。ベンフィカBのエウデル・クリストヴァン監督はヨヴィッチを高く評価していたが、トップチームでの出場はわずか2試合に留まり、ヨヴィッチは移籍を志願する。

フランクフルト[編集]

2017年6月、アイントラハト・フランクフルトにレンタル移籍することが発表された。契約期間は2年間で移籍金700万ユーロでの完全移籍オプション付[6][7]。周囲は懐疑的であったが、この移籍は転機となり、同じ旧ユーゴスラビア出身の元プロサッカー選手であるフレディ・ボビッチ取締役のサポートや恩師となるニコ・コヴァチ監督の指導を受け、急成長を遂げ、2017年9月16日のリーグ戦第4節のFCアウクスブルク戦でフランクフルトでの初ゴールを挙げ、2017-18シーズンはリーグ戦22試合に出場して8ゴールを記録、特にDFBポカールの準決勝のシャルケ04戦では決勝進出を決める値千金の決勝点を挙げ、決勝でもフランクフルトはFCバイエルン・ミュンヘンを破り、DFBポカール優勝に貢献した。

2年目の2018-19シーズンは、恩師のコヴァチは退任したが、後任のアドルフ・ヒュッター監督からも信頼を受け、本格的に才能を開花させる。2018年10月19日の第8節のフォルトゥナ・デュッセルドルフ戦では5ゴールを挙げる大活躍を見せ、1試合5ゴールの最年少記録を塗り替えた。2019年4月、フランクフルトは完全移籍オプションを行使し、2023年6月までの契約を結んだことを発表した[8]

レアル・マドリード[編集]

2019年6月4日、レアル・マドリード移籍が発表。契約期間は6年間で移籍金は6000万ユーロ+ボーナス500万ユーロ(当時のレートで最大で約78億円)、この内の30%はベンフィカ側に支払われると報じられている[9][10][11][12]。リーガ第11節のレガネス戦で後半ロスタイムに移籍後初ゴールを決めた[13]。2020年3月にセルビアに帰国した際に、新型コロナウイルス蔓延を阻止するため、感染が広がっている国から帰国した場合は最大28日間自主的な隔離が義務付けられているのにもかかわらず、交際中の女性の誕生日パーティーに参加したとして批判された[14]。更に11月にはウイルスに感染し、チームから一時離脱。相次ぐ素行不良ジネディーヌ・ジダン監督も見切りを付けたと言われ、2021年1月にはシーズン終了まで古巣フランクフルトへレンタルで移籍することとなった[15][16][17]

フランクフルトでは移籍後初戦となった対シャルケ04戦でいきなり2ゴールを挙げる大活躍を見せ、移籍後の3試合で3ゴールとレアル時代の鬱憤晴らす活躍を見せるかに思われたが、その後の9試合は無得点と結果を出せず、既にアンドレ・シウヴァが新エースに君臨していたこともあって最終的に18試合に出場して4ゴール2アシストに留まった。またこの時、レアルでの苦戦の理由についてチーム戦術や言語面で適応出来なかったことを明かしている[18]

2021年7月、レアル・マドリードに復帰。イングランドやイタリアの複数のクラブへの移籍も報じられたが、残留して2021-2022シーズンを迎えた。しかしポジションを争うカリム・ベンゼマが全盛期と思わせる好調を維持していたこともあって再び控えに甘んじることとなった。しかし第16節の対レアル・ソシエダ戦ではベンゼマの負傷交代で巡ってきたチャンスで1ゴール1アシストの活躍を見せて勝利の立役者となった。しかし、このゴールがシーズン最初で最後のゴールとなり、2021-2022シーズンはリーグ戦で15試合出場1ゴールという結果に終わった。

フィオレンティーナ[編集]

2022年7月8日、ACFフィオレンティーナと契約したことが発表された[19]。契約期間は2年間で移籍金はフリー。移籍金が発生しなかった背景には、戦力外のヨヴィッチの高額なサラリーの削減を望んでいたレアル・マドリードはヨヴィッチとの契約を解消、フィオレンティーナ側は移籍金を支払わない代わりに次回の移籍時の移籍金の50%をレアル・マドリード側が得るという契約を結んだと報じられている[20]

ミラン[編集]

2023年9月1日、ACミランと2024年6月30日までの契約を結んだことが発表された[21][22]。2023年9月16日、第4節インテル戦にて後半77分、タイアニ・ラインデルスと交代で出場を果たしミランデビューを果たす[23]。12月2日、第14節フロジノーネ・カルチョ戦にて前半43分、相手のクリアボールに反応しダイレクトで左足を振り抜くボレーシュートを決め、待望のミラン初ゴールをマークした[24][25]

代表経歴[編集]

各年代でセルビア代表に選出されている。2013年12月のクロアチア戦ではハットトリックを達成した[26]。主要大会ではUEFA U-19欧州選手権2014に参加、ゴールも挙げた[27]

2018年5月、フル代表0キャップながら2018 FIFAワールドカップ参加メンバーに選出された[28]。大会直前に開催されたチリ代表戦でフル代表デビュー[29]。ワールドカップ本戦ではブラジル戦に出場した[30]

2019年3月、ドイツ代表との親善試合で代表初ゴールを挙げた[31]

個人成績[編集]

クラブ[編集]

クラブ シーズン リーグ リーグ戦 カップ戦 国際大会 その他 合計
出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点
レッドスター 2013-14 スーペルリーガ 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1
2014-15 22 6 2 0 0 0 0 0 24 6
2015-16 19 5 2 1 2 0 0 0 23 6
通算 42 12 4 1 2 0 0 0 48 13
ベンフィカ 2015-16 プリメイラ 1 0 0 0 1 0 0 0 2 0
2016-17 1 0 0 0 0 0 1 0 2 0
通算 2 0 0 0 1 0 1 0 4 0
フランクフルト 2017-18 ブンデスリーガ 22 8 5 1 - 0 0 27 9
2018-19 32 17 1 0 14 10 1 0 48 27
2020-21 18 4 0 0 - 0 0 18 4
通算 72 29 6 1 14 10 1 0 93 40
レアル・マドリード 2019-20 プリメーラ 17 2 3 0 5 0 2 0 27 2
2020-21 4 0 0 0 1 0 0 0 5 0
2021-22 15 1 1 0 3 0 0 0 19 1
通算 36 3 4 0 9 0 2 0 51 3
フィオレンティーナ 2022-23 セリエA 31 6 4 1 15 6 0 0 50 13
総通算 183 50 18 3 41 16 4 0 246 69
クラブ シーズン リーグ リーグ戦 合計
出場 得点 出場 得点
ベンフィカB 2015-16 リーガプロ 7 2 7 2
2016-17 11 2 11 2
総通算 18 4 18 4

代表[編集]

  • 国際Aマッチ 30試合 10得点(2018年 - )


セルビア代表国際Aマッチ
出場得点
2018 3 0
2019 4 2
2020 4 3
2021 9 2
2022 10 3
通算 30 10

タイトル[編集]

クラブ[編集]

レッドスター・ベオグラード
ベンフィカ
フランクフルト
レアル・マドリード
個人

脚注[編集]

  1. ^ Todorović, N. (2014年5月28日). “Zvezda je rođena: Luka Jović srušio rekord Dekija Stankovića” (Serbian). 2014年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  2. ^ "Luka Jović neće otići dok ne napuni 18"”. Mondo Portal. 2016年3月20日閲覧。
  3. ^ 1試合5発の20歳、ルカ・ヨヴィッチとは何者か…セルビアの神童からブンデス屈指のゴールハンターに”. Goal.com (2018年11月24日). 2019年6月5日閲覧。
  4. ^ ビッグクラブが熱視線を送る21歳の大器…ルカ・ヨヴィッチとは何者なのか?”. Goal.com (2019年4月25日). 2019年6月5日閲覧。
  5. ^ Jović: "Aprender e melhorar todos os dias"” [Jović: "To learn and improve everyday"] (Portuguese). S.L. Benfica (2016年2月2日). 2016年2月2日閲覧。
  6. ^ “Fix: Eintracht leiht Jovic von Benfica aus” (German). kicker Online. (2017年6月27日). http://www.kicker.de/news/fussball/bundesliga/startseite/700477/artikel_fix_eintracht-leiht-jovic-von-benfica-aus.html 2017年6月27日閲覧。 
  7. ^ “Luka Jovic no Eintracht Frankfurt [Luka Jovic at Eintracht Frankfurt]” (Portuguese). (2017年6月27日). http://www.slbenfica.pt/30/news/info/Nan6iq1DhUCZJ-LoPcyJbg 2017年7月4日閲覧。 
  8. ^ “Eintracht Frankfurt exercise option to purchase Luka Jović”. Eintracht Frankfurt. (2019年4月17日). https://www.eintracht.de/en/news/article/eintracht-frankfurt-exercise-option-to-purchase-luka-jovic-72250/ 2019年4月18日閲覧。 
  9. ^ 公式声明:ルカ・ヨビッチ選手について”. レアル・マドリードCF (2019年6月4日). 2019年6月4日閲覧。
  10. ^ マドリーがヨビッチ移籍でフランクフルトとクラブ間合意公式発表!”. 超ワールドサッカー (2019年6月4日). 2019年6月4日閲覧。
  11. ^ マドリーが長谷部の同僚FWヨビッチと正式契約!移籍金は78億円と現地紙報じる”. サッカーダイジェスト (2019年6月4日). 2019年6月4日閲覧。
  12. ^ レアル、フランクフルトの21歳FWヨヴィッチを獲得…今季27得点で大ブレイク”. サッカーキング (2019年6月4日). 2019年6月4日閲覧。
  13. ^ Real Madrid vs. Leganes - 30 October 2019”. Soccerway.com. 2019年11月1日閲覧。
  14. ^ ヨヴィッチ、法律違反で逮捕の可能性も「自分が招いた結果を受け入れる」”. サッカーキング. 2020年3月22日閲覧。
  15. ^ 公式声明:ヨビッチ選手について”. レアル・マドリード (2021年1月14日). 2021年1月15日閲覧。
  16. ^ フランクフルトがレアルFWヨヴィッチの復帰を発表…今季末までのレンタル移籍”. サッカーキング (2020年1月14日). 2020年1月15日閲覧。
  17. ^ ヨビッチがEフランクフルト復帰共同通信 2021年1月15日(2021年1月15日閲覧)
  18. ^ 「ジダンと会話できるほど…」フランクフルト復帰で大活躍のヨビッチがマドリー時代を回想!本人が語る“失敗”の原因は?”. Goal.com (2021年1月27日). 2021年12月18日閲覧。
  19. ^ 公式声明:ヨビッチ選手に関して”. レアル・マドリード (2022年7月8日). 2022年7月9日閲覧。
  20. ^ ルカ・ヨヴィッチ、レアルからフィオレンティーナに移籍”. KicKer日本語版 (2022年7月9日). 2022年7月9日閲覧。
  21. ^ OFFICIAL STATEMENT: LUKA JOVIĆ” (英語). AC Milan (2023年9月1日). 2023年9月2日閲覧。
  22. ^ ミラン、移籍市場最終日に元レアル・マドリーFWヨヴィッチ獲得!今夏10人目の補強に”. Goal.com (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
  23. ^ Inter Milan - AC Milan, Sep 16, 2023 - Serie A - Match sheet”. transfermarket.com. 2023年10月8日閲覧。
  24. ^ AC Milan - Frosinone Calcio 3:1 (Serie A 2023/2024, 14. Round)” (英語). worldfootball.net (2023年12月2日). 2023年12月3日閲覧。
  25. ^ ヨヴィッチが今季初ゴール! ミランがフロジノーネ撃破で2連勝…ベナセルが長期離脱から復帰” (jp). soccer-king.jp (2023年12月3日). 2023年12月3日閲覧。
  26. ^ Mozzart Sport (author name unknown) (2013年12月11日). “Luka Jović terorisao Hrvate u Pazovi!” (Serbian). 2015年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  27. ^ [1] Novosti: Na Paunovićevom spisku po četiri igrača Zvezde, Vojvodine i OFK Beograda, tri Partizana... (Serbian) 8 July 2014
  28. ^ “Један тим, срцем свим – Младен Крстајић одабрао [One team, with all their hearts – Mladen Krstajić selects]” (Serbian). Football Association of Serbia. (2018年5月24日). http://www.fss.rs/index.php?id=2021&aid=13898 2018年5月24日閲覧。 
  29. ^ Serbia vs. Chile - 4 June 2018”. 2018年6月4日閲覧。
  30. ^ Andrew Das (2018年6月27日). “World Cup: Brazil cruises into next round with easy victory”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2018/06/27/sports/world-cup/brazil-vs-serbia.html 2018年6月27日閲覧。 
  31. ^ Germany 1 Serbia 1”. BBC Sport (2019年3月20日). 2019年3月28日閲覧。

外部リンク[編集]