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メジャーリーグベースボールのポストシーズン

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メジャーリーグベースボールポストシーズンは、レギュラーシーズンの終了後の10月に開催されており、最終的にアメリカンリーグ(AL) とナショナルリーグ(NL)の優勝チームがワールドシリーズで対戦してチャンピオンを決定する。

概要

10月にアメリカンリーグナショナルリーグそれぞれ5チームずつ、合計10チームがプレーオフへ進出する。レギュラーシーズンにおいて東地区、中地区、西地区で1位の成績で地区優勝した3チームと、ワイルドカードの2チームとなっている。ワイルドカードは地区優勝を除いたリーグ12チームの内で、最も勝率の高いチームと2番目のチームに与えられる。一試合限りのワイルドカードゲームにおいて、ワイルドカードの2チームが対戦する。一試合決着で、ディビジョンシリーズへ進出するチームを決定する。この時、地区1位やワイルドカード2位のチームが複数出た場合は、当該球団によるプレイオフでポストシーズン進出チームを決定する。

ディビジョンシリーズは両リーグ2カードずつ組まれる。ワイルドカードゲームの勝者と地区優勝3チームの中で最も勝率の高いチームが対戦し、もう1カードは残りの地区優勝2チームが戦う。試合は最大5戦の予定で行われ、先に3勝した勝者2チームがリーグチャンピオンシップシリーズへ進むことになる。

リーグチャンピオンシップシリーズは7戦制で行われ、先に4勝したチームが出た時点でリーグ優勝となり、ワールドシリーズへの出場権を獲得する。

ワールドシリーズはアメリカンリーグ、ナショナルリーグの優勝チームが対戦する。7戦制で行われ、4勝したチームがワールドシリーズチャンピオンとなる。1903年1919年1920年1921年は9戦5勝制で行われている。

歴史

1902年以前

メジャーリーグベースボール初の年間王者決定シリーズは1884年に実施された。ナショナルリーグと当時あったアメリカン・アソシエーションの各優勝チーム同士で行われ、1890年まで続いた。

アメリカン・アソシエーション解体後も、1892年には2シーズン制、1894年から1897年まではテンプル・カップ(Temple Cup)、1900年にはクロニクル=テレグラフ・カップ(Chronicle-Telegraph Cup)が開催された。

1903-1968年の1ラウンド制

1903年にメジャーリーグベースボールの2つのリーグ、アメリカンリーグとナショナルリーグは第1回ワールドシリーズを開催している。しかし、翌1904年にナショナルリーグ優勝チームのニューヨーク・ジャイアンツがアメリカンリーグ優勝チームのボストン・アメリカンズとの対戦を拒否したために第2回ワールドシリーズは中止となった。ジャイアンツへの批判が集中したために1905年以降は毎年ワールドシリーズが開催されることになった。この時代はナショナルリーグに限り同率首位が出た場合は3戦2勝制の優勝決定戦を行っていた(アメリカンリーグは現行と同じ1試合決着)。

1969-1993年の2ラウンド制

リーグ優勝決定戦
(5戦3勝制→7戦4勝制)
ワールドシリーズ
(7戦4勝制)
アメリカンリーグ
 東地区1位
0
 西地区1位
 アメリカンリーグ優勝
ナショナルリーグ
 ナショナルリーグ優勝
 東地区1位
 西地区1位  
    
    

1969年には、両リーグ12チームにまで拡大した。この拡張に伴い、各球団のフランチャイズの地理的条件に基づいて地区制を導入し、両リーグともに東西6球団ずつに分かれた。これにより、前年までの公式戦優勝がそのままワールドシリーズ出場権を得る形ではなくなり、東西両地区の優勝チームがリーグ制覇を決めるリーグチャンピオンシップシリーズが導入され、プレーオフ制度が成立した。当初は5戦3勝制で行われていた。またこれに伴いナショナルリーグは同率首位が出た場合のプレーオフを1試合決着に変更した。ニューヨーク・メッツ1962年の創設以来、最高9位の弱小球団だったが、この1969年に驚異的な快進撃を見せて地区優勝。リーグチャンピオンシップシリーズでもアトランタ・ブレーブスに3連勝、ワールドシリーズでもボルチモア・オリオールズを4勝1敗で下し、その奇跡的な勝利からミラクル・メッツと呼ばれた。1981年50日間に及ぶストライキでシーズンが長期中断したために、前期と後期の最高勝率チームによる地区優勝決定シリーズを戦い、その後にリーグチャンピオンシップシリーズを行った。

1985年からはリーグチャンピオンシップシリーズもワールドシリーズと同じ7戦4勝制に移行した。ピーター・ユベロスコミッショナーがテレビの放映権収入を増やすことを目的として変更したものであった。この年のカンザスシティ・ロイヤルズが早くも新システムの恩恵を享受した。リーグチャンピオンシップシリーズトロント・ブルージェイズに4試合で1勝3敗と苦戦しており、前年のシステムであればこの時点で敗退していた。ここから一気に3連勝してリーグ制覇。ワールドシリーズでもセントルイス・カージナルスに1勝3敗から3連勝でワールドシリーズチャンピオンに輝いた。

1994-2011年の3ラウンド制

(下記トーナメント表は基本形(1998-2011年)。1994-1997年及びワイルドカードと地区1位中の勝率1位が同じ地区の場合は組み合わせが変わる。後述)

ディビジョンシリーズ
(5戦3勝制)
リーグチャンピオンシップ
(7戦4勝制)
ワールドシリーズ
(7戦4勝制)
                   
アメリカンリーグA
 地区1位中の勝率1位
アメリカンリーグC
 ワイルドカード
 アメリカンリーグAの勝者
アメリカンリーグB
 アメリカンリーグBの勝者
 地区1位中の勝率2位
0
 地区1位中の勝率3位
 アメリカンリーグCの勝者
ナショナルリーグA
 ナショナルリーグCの勝者
 地区1位中の勝率1位
ナショナルリーグC
 ワイルドカード
 ナショナルリーグAの勝者
ナショナルリーグB  
 ナショナルリーグBの勝者
 地区1位中の勝率2位     
 地区1位中の勝率3位     

人気低迷や選手の年俸高騰によって財政難に陥るチームが出てきた。そこでシーズン終盤戦の観客動員数やテレビ放映権料の増大を目的として1994年から両リーグともに従来の東部・西部の2地区制から東部・中部・西部の3地区制に再編された。それに伴い、NFLを参考にして3つの地区優勝チームのみではなく、3地区の2位のうち最も勝率の高いチーム(ワイルドカード)も含めたディビジョンシリーズ(地区シリーズ)が新たに導入された。勝率1位のチームがワイルドカードと、勝率2位のチームと勝率3位のチームが5回戦制を行うものだが、最高勝率チームとワイルドカードが同一地区の場合に限り、勝率2位のチームがワイルドカードと対戦するようになっていた。このディビジョンシリーズの勝者2チームがリーグ優勝を決める7戦4勝制のリーグチャンピオンシップシリーズへ進出する。尚1994-1997年は勝率順位は考慮されず、「勝率1位対勝率2位、勝率3位対ワイルドカード」の組み合わせになることもあった。

導入初年は、この年に発生した232日間に及ぶ長期ストライキの影響でワールドシリーズ含めてポストシーズンゲームは行われなかった。1997年フロリダ・マーリンズはこのワイルドカードでディビジョンシリーズへの進出を果たし、ディビジョンシリーズリーグチャンピオンシップシリーズを勝ち進み、ワールドシリーズクリーブランド・インディアンスを4勝3敗で下して球団創設からわずか5年でワールドシリーズチャンピオンに輝いた。一方で、1996年ナショナルリーグ西地区におけるロサンゼルス・ドジャースサンディエゴ・パドレスのように、リーグ史上88年ぶりに最終日に優勝を決める直接対決になったが、既に両チームとも勝敗関係無しにディビジョンシリーズへの進出が決まっていたので、緊張感の欠ける試合展開になってしまうというマイナス面もあった。

2012年-現在の4ラウンド制

ワイルドカードゲーム
(1戦制)
ディビジョンシリーズ
(5戦3勝制)
リーグチャンピオンシップ
(7戦4勝制)
ワールドシリーズ
(7戦4勝制)
アメリカンリーグA
 地区2位以下の勝率1位
アメリカンリーグB
 地区2位以下の勝率2位
 アメリカンリーグA勝者
 地区1位中の勝率1位
 
アメリカンリーグD
 
 アメリカンリーグB勝者
 アメリカンリーグC勝者
 
アメリカンリーグC
 
 地区1位中の勝率2位
 地区1位中の勝率3位
 
0
 
 アメリカンリーグD勝者
ナショナルリーグA
 ナショナルリーグD勝者
 地区2位以下の勝率1位
ナショナルリーグB
 地区2位以下の勝率2位
 ナショナルリーグA勝者
 地区1位中の勝率1位
 
ナショナルリーグD
 
 ナショナルリーグB勝者
 ナショナルリーグC勝者
 
ナショナルリーグC
 
 地区1位中の勝率2位
 
 地区1位中の勝率3位
      
      

バド・セリグコミッショナーが2011年11月に2年以内に新たなプレーオフシステムを開始すると発表した。このシステムは翌2012年シーズンから1試合限りのワイルドカードゲーム形式で導入された。プレーオフ進出チームを各リーグ5チームに拡大し、レギュラーシーズン終了後に地区優勝チーム3チームを除いた各リーグ12チームの中で勝利数の上位2チームが1試合限りのワイルドカードゲームを行う。その勝者がディビジョンシリーズに進出する。以降は1994-2011年のシステムと同じだが、ワイルドカードと地区1位中の勝率1位が同じ地区であっても組み分けは変更されない。

ホームフィールド・アドバンテージ

ワイルドカードゲーム

当該2チームのうち成績の良かったチームのホーム開催で、(同率の場合は、当該チーム同士の対戦成績で勝ち越しているチームのホーム)1試合決着で行われる。

ディビジョンシリーズ

ホーム開催は2試合-2試合-1試合と割り振られ、ワイルドカードゲームの勝者と地区優勝最高勝率チームの対戦の場合は地区優勝チーム、それ以外の地区優勝2チームの対戦の場合は2チームのうち勝率の高い方にホームゲームを先に開催する、ホームフィールド・アドバンテージが与えられる。このために早期に優勝が決まっても残りを消化試合に出来ずに最終的な勝率によって対戦カードが決まるという見所も出てきた。

1995年~1997年はホーム開催は2試合-3試合と割り振られ、ホームゲームを先に開催する権利があるチームもあらかじめ決められていた。1998年~2011年はワイルドカードチームがそれより勝率が低い地区優勝チームと対戦することもあったが、その場合でもアドバンテージは地区優勝チームに与えられた。

2012年はワイルドカードゲームの新設が日程発表後に決定したため、地区シリーズの日程に影響が出ないようにこの年のみホーム開催が2試合-3試合に戻された。また、このシーズンからディビジョンシリーズでは同じ地区に所属している球団同士では対戦しないという決まりは廃止された。

リーグチャンピオンシップシリーズ

2試合-3試合-2試合のアドバンテージは勝率の高いチームにある。同勝率の場合の決め方はワイルドカードゲームやディビジョンシリーズと同じだが、ワイルドカードのチームは勝率にかかわらずアドバンテージを得られない。1969年1984年は5戦3勝制で行われ、ホーム開催も2試合-3試合と割り振られていた。

ディビジョンシリーズとリーグ優勝決定シリーズでは、シーズン勝率が高い方(同じ場合は直接対決で勝ち越した方)にシリーズ開幕権が与えられる。ただし、ワイルドカードのチームは勝率・対戦成績にかかわらずアドバンテージは持てない。1997年頃まではこの制度は存在せず、シーズン勝率が低いほうにシリーズ開幕権が与えられたケースもあった。

ワールドシリーズ

ホーム開催の割り振りは2試合-3試合-2試合となっており、アドバンテージは2002年までは毎年交代でアドバンテージが与えられていたが、2003年から2016年まではその年のオールスターゲームの勝利リーグに与えられることになり、真剣度の高い大事な試合へと変わっていった。また、アリーグのチームの球場で行う試合では指名打者制があり、ナリーグの球場では指名打者制が採用されない。

2020年度シーズンの特例

新型コロナウィルス感染拡大防止対策を理由として、

  • 出場チームを各リーグ・各地区2位までの6チームと、ワイルドカードへのノミネートチームとして3位以下の残り9チームから勝率順に上位2チームの8チームに拡大する。
  • シード順位は、地区優勝3チームを第1-3シード、同2位の3チームを第4-6シード、ワイルドカードは第7・8シードとし、トーナメント方式もたすき掛け方式となっている。
    • 第1シード(地区1位)対第8シード(ワイルドカード)
    • 第2シード(地区1位)対第7シード(ワイルドカード)
    • 第3シード(地区1位)対第6シード(地区2位)
    • 第4シード(地区2位)対第5シード(地区2位)
  • ワイルドカードゲームは上位シードにノミネートされた側(地区優勝3チームと、2位の内輪で最高勝率だったチーム)の本拠地にて3戦2勝方式で行う。
  • ディビジョンシリーズ以後は従来の試合方式を維持しつつ中立地開催とし、
  • ワールドシリーズは従来通り休養日を設けるが、リーグチャンピオンシップまでは休養日なしの連戦で行われる。[1]

脚注