1921年のメジャーリーグベースボール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1921年の野球から転送)
移動先: 案内検索

以下は、メジャーリーグベースボール(MLB)における1921年のできごとを記す。1921年4月13日に開幕し10月13日に全日程を終え、ナショナルリーグニューヨーク・ジャイアンツが4年ぶり9度目の優勝で、アメリカンリーグニューヨーク・ヤンキースがアメリカン・リーグに加盟以来初の優勝を飾った。ワールドシリーズはニューヨーク・ジャイアンツがニューヨーク・ヤンキースを5勝3敗で制し、1905年以来16年ぶりに2度目のシリーズ制覇であった。

できごと[編集]

アメリカン・リーグでは、ヤンキースがベーブ・ルースが本塁打記録を伸ばし59本で4年連続本塁打王となり、投手では前年チャップマンを死なせたカール・メイズが27勝、ウェイト・ホイトが19勝、ショーキーが18勝した。一方ナショナル・リーグではジャイアンツが3割打者を6人揃え、エースのアート・ネフが20勝した。

同じニューヨークをフランチャイズとしているため後に地下鉄シリーズとも呼ばれたが、同じポロ・グラウンズを本拠地として使い、ワールドシリーズは全試合をポロ・グラウンズで開催された。ジョン・マグロー監督はベーブ・ルース対策として四球攻めを行い、これにルースは調子を狂わされて、本塁打はわずか1本で、後半では故障して欠場するなど精彩を欠き、ジャイアンツがヤンキースを破った。

無罪判決と永久追放[編集]

1919年のワールドシリーズでの八百長疑惑について、前年秋に法廷に持ち込まれたが、これに反発したメジャーリーグ12球団のオーナーが野球界の問題は野球界で解決するとしてケネソー・マウンテン・ランディス判事に要請し、判事はこれを受け入れて前年12月にナショナルコミッションのトップに就任することが決まった。しかしランディスは就任依頼を承諾する前に条件を付けた。それは①自分を野球機構で唯一無二の存在であること。②実際に無限の権力を自分に委ねること、③自分の決定を覆す権利をリーグ会長も球団オーナーも与えないこと、であった。ランディスを推薦した12球団のオーナーは野球に対する信頼を回復するためには如何なる譲歩も辞さぬ覚悟でいたためこの条件を全てのみ、1月12日にケネソー・マウンテン・ランディス判事を初代コミッショナーに推戴した。

そして起訴されたシカゴ・ホワイトソックスの8人について、それまでに大陪審での供述で八百長行為を認める証言をしていたが、1921年8月2日にシカゴ高等裁判所は被告らに無罪の判決を下した。八百長の立証が難しく、この審理でも検察側の証拠が不十分とされ、真相の究明に限界があることが明らかになった。しかしランディス・コミッショナーはその翌日8月3日に次のような声明を出した。

・・・陪審員の評決に関わりなく、八百長を働く選手、八百長を請け負う選手、不正な選手、ギャンブラーが八百長を話し合う会合に出席しながら直ちにその事実を球団に報告しない選手は二度とプロ野球でプレーすることはできない。・・・・

こうしてホワイトソックスの8人の選手は無罪判決を受けながら永久追放となり、失意のうちに球界を去った。追放処分となった選手は以下の通りである。

主犯格はチック・ガンディル一塁手で彼は1万5000ドルを受け取り、他の選手にも1万ドル以下の金を渡していた(大半は5000ドル以下であったという)。シューレス・ジョー・ジャクソンはお金は受け取ったが試合で敗退行為はしていないと証言し、実際彼のシリーズの打率は.375であった。この事件の背景にはシカゴ・ホワイトソックスのオーナーであるチャールズ・コミスキーの球団運営に問題があり、余りに吝嗇なやり方に問題があった。選手の年俸も抑えられて、ジャクソンは6000ドルに抑えられて、当時一流選手は1万ドルの年俸が珍しく無かった時代である。しかも球団の財政が赤字であればともかく、本拠地コミスキーパークに年間60万人を集めて16球団の中で高収益を得ていたにもかかわらず、であった。こうした冷遇にチック・ガンディル一塁手が反発してボストンの賭博師に八百長を持ちかけたことがブラックソックス事件の発端であった。哀れだったのはバック・ウィーバー三塁手で、彼は会合には出ても金は受け取っていないのだがランディスは報告義務を怠ったことで厳罰に処した。後に彼は何度も復帰を請願したがランディスは認めなかった。

  • この永久追放の決定は結果としてアメリカの野球に威信を回復させたが、ランディス判事の評価も一気に不動のものとなった。そしてそのコミッショナーの権威をさらに強く印象づけた事件がブラックスソックス事件が決着した直後に起こった。この年のワールドシリーズ終了後に大リーグ選抜チームで世界一周旅行が計画されて、当然ジャイアンツやヤンキースの選手たちもそのメンバーに予定されていた。しかし野球憲章にその年のワールドシリーズに出場したチームの選手はシリーズ終了後にポストシーズンゲームへの参加を禁止する条項があり、例外としてコミッショナーが許可した場合は可能とするものであった。ランディス判事はワールドシリーズに参加したジャイアンツとヤンキースの選手の参加を認めず、ベーブ・ルースにも直接電話で参加できない旨の連絡をしたが、ルースは納得せず拒否したため、ランディス判事は翌年のシーズン開始後40日間の出場停止処分をヤンキースから参加しようとした3人の選手に課した。これにヤンキースのオーナーは激しく抗議したがランデイスは自説を曲げることは無かった。この世界旅行は結局中止となったが翌年ヤンキースは主力選手3人を欠いたままペナントレースに臨まざるを得なくなった。そしてベーブ・ルースは打撃タイトルを逃し、4年連続で獲得した本塁打王も手放すこととなった。

規則の改訂[編集]

  • 前年からスピット・ボールは原則禁止されたが、例外規定を設けてナショナルリーグで8人、アメリカンリーグで9人の投手が、現役終了までスピットボールを使うことを認められた。

最終成績[編集]

レギュラーシーズン[編集]

アメリカンリーグ[編集]

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
1 ニューヨーク・ヤンキース 98 55 .641 --
2 クリーブランド・インディアンス 94 60 .610 4.5
3 セントルイス・ブラウンズ 81 73 .526 17.5
4 ワシントン・セネタース 80 73 .523 18.0
5 ボストン・レッドソックス 75 79 .487 23.5
6 デトロイト・タイガース 71 82 .464 27.0
7 シカゴ・ホワイトソックス 62 92 .403 36.5
8 フィラデルフィア・アスレチックス 53 100 .346 45.0

ナショナルリーグ[編集]

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
1 ニューヨーク・ジャイアンツ 94 59 .614 --
2 ピッツバーグ・パイレーツ 90 63 .588 4.0
3 セントルイス・カージナルス 87 66 .569 7.0
4 ボストン・ブレーブス 79 74 .516 15.0
5 ブルックリン・ロビンス 77 75 .507 16.5
6 シンシナティ・レッズ 70 83 .458 24.0
7 シカゴ・カブス 64 89 .418 30.0
8 フィラデルフィア・フィリーズ 51 103 .331 43.5

ワールドシリーズ[編集]

  • ジャイアンツ 5 - 3 ヤンキース
10/ 5 – ヤンキース 3 - 0 ジャイアンツ
10/ 6 – ジャイアンツ 0 - 3 ヤンキース
10/ 7 – ヤンキース 5 - 13 ジャイアンツ
10/ 9 – ジャイアンツ 4 - 2 ヤンキース
10/10 – ヤンキース 3 - 1 ジャイアンツ
10/11 – ジャイアンツ 8 - 0 ヤンキース
10/12 – ヤンキース 1 - 2 ジャイアンツ
10/13 – ジャイアンツ 1 - 0 ヤンキース

個人タイトル[編集]

アメリカンリーグ[編集]

打者成績[編集]

項目 選手 記録
打率 ハリー・ハイルマン (DET) .394
本塁打 ベーブ・ルース (NYY) 59
打点 ベーブ・ルース (NYY) 171
得点 ベーブ・ルース (NYY) 177
安打 ハリー・ハイルマン (DET) 237
盗塁 ジョージ・シスラー (SLA) 35

投手成績[編集]

項目 選手 記録
勝利 カール・メイズ (NYY) 27
アーバン・ショッカー (SLA)
敗戦 エディ・ロンメル (PHA) 23
防御率 レッド・フェイバー (CWS) 2.48
奪三振 ウォルター・ジョンソン (WS1) 143
投球回 カール・メイズ (NYY) 336⅔
セーブ カール・メイズ (NYY) 7
ジム・ミドルトン (DET)

ナショナルリーグ[編集]

打者成績[編集]

項目 選手 記録
打率 ロジャース・ホーンスビー (STL) .397
本塁打 ジョージ・ケリー (NYG) 23
打点 ロジャース・ホーンスビー (STL) 126
得点 ロジャース・ホーンスビー (STL) 131
安打 ロジャース・ホーンスビー (STL) 235
盗塁 フランキー・フリッシュ (NYG) 49

投手成績[編集]

項目 選手 記録
勝利 ウィルバー・クーパー (PIT) 22
バーリー・グライムス (BRO)
敗戦 ジョージ・スミス (PHI) 20
防御率 ビル・ドーク (STL) 2.59
奪三振 バーリー・グライムス (BRO) 136
投球回 ウィルバー・クーパー (PIT) 327
セーブ ルー・ノース (STL) 7

外部リンク[編集]