ゾディアック事件
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ゾディアック事件 Zodiac Killer | |
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![]() 目撃者の証言をもとに描かれたゾディアックの想像図。「身長5フィート8インチ、体重170から200パウンド、1969年の時点で30代後半から40代後半、がっしりした体格、足を引きずりながら歩く眼鏡着用の白人成人男性」と考えられている | |
場所 |
![]() カリフォルニア州 サンフランシスコ |
日付 | 1968年 - 1974年 |
概要 | サンフランシスコで発生した連続殺人事件 |
死亡者 | 5人(自称37人) |
負傷者 | 2人 |
犯人 | 不明(犯人の親族を名乗る人物有) |

犯行声明文の末尾に書かれていたゾディアックのシンボルマーク。ケルト十字に酷似している。
ゾディアック事件(ゾディアックじけん、英: Zodiac Killer)は、アメリカ合衆国で発生した連続殺人事件。現在も継続捜査中の未解決事件である。
「ゾディアック」とは英語で黄道帯を意味する語だが、犯人が声明文の中で「私はゾディアックだ(This is the Zodiac speaking.)」の一節を頻繁に用いたことでその名称として知られるようになった。
概要[編集]
1968年から1974年にかけて、カリフォルニア州サンフランシスコ市内で若いカップルを中心に少なくとも5名が殺害された。犯行後に警察やマスコミへ多量の犯行声明文を送りつけたことから、「劇場型犯罪」の一つとして有名である。
アメリカでも特に有名な未解決殺人事件として知られ、現在に至るまで真犯人についての証言や主張が多く寄せられている。1986年、ロバート・グレイスミスが事件について独自の調査を行った『Zodiac』という本を出版した。彼はサンフランシスコ・クロニクル(犯行声明文が送られた新聞社の一つ)に風刺漫画家として在籍しているときに、事件に遭遇し、関心を持っていたためである。
一連の事件[編集]
- 1969年7月4日 - 19歳男性と22歳女性がヴァレーホの駐車場(the parking lot of Blue Rock Springs Park)で銃撃され、男性は瀕死の重傷を負い、女性は搬送先の病院で死亡した。翌5日、ヴァレーホ市警に男性の声で「前述の2件とそれ以前に行われた殺人、そのいずれも自分が実行した」と、犯人しか知り得ない情報を含む電話がかかって来た。その後すぐに指定した場所に駆けつけると、被害者である2人が発見された。また翌月にかけて、ゾディアックを称する人物からサンフランシスコ湾域警察、『タイムズ・ヘラルド』とサンフランシスコの2紙、著名人らへ一部暗号化されたものを含み多量の手紙が送付された。
- 8月8日 - カリフォルニアの高校教師とその妻が、新聞社に送られてきた408個の記号からなるいわゆる「408暗号文」の解読に成功。「森で動物を殺すよりも遥かに楽しいので、人間を殺すのが好きだ」などと書かれていた。
- 9月27日 - 20歳男性と22歳女性のカップルが、ベリエッサ(Berryessa)湖畔で覆面の男にナイフで襲われる。ナパ警察はゾディアックからの電話を受けて新たな犠牲者カップルを発見し、男性は生存するも女性は同月29日に死亡した。
- 10月11日 - 29歳のタクシー運転手が、サンフランシスコ近郊のプレシディオハイツ(the Presidio Heights)で射殺され、財布を奪われた。10日後、ゾディアックは運転手の血が付いたシャツ断片を地元新聞社へ送り、警察署へ電話、「弁護に就いてくれるなら自首する」と名指しで伝え「テレビ番組で電話出演する」旨の発言をした。その後、テレビ番組で指名された弁護士出演のもと、ゾディアックからの連絡を待ち、本人と思われる人物から電話が実際にかかって来たものの、結局ゾディアックが自首することはなかった。
- 1974年 - ゾディアックから「今まで37人を殺害し、事件を新聞で一層大きく取り扱わないと「何かすさまじいこと」をやる」と記された2通の手紙がサンフランシスコ市警察へ届くも、新たな殺人事件は発生せず、これを最後にゾディアックからの連絡が途絶する。
- 1981年 - 連続殺人容疑者が逮捕され、ゾディアック事件も彼の仕業と目されるが、手口や物証に食い違いが多く別人と判明する。
- 2020年12月 - オーストラリアの暗号解読者、アメリカの数学者及びベルギーのプログラマーからなるアマチュアの暗号解読チームが、自分たちで開発した暗号解読プログラムを使い、340個の記号からなる、いわゆる「340暗号文」の解読に成功した。解読された暗号には「私を捕まえるのを大いに楽しんでほしい」「テレビ番組に電話したのは私ではない」「ガス室は怖くない。より早く私を天国に送ってくれるから」などと記されていた。なお、「408暗号文」と同様、「340暗号文」においても、パラダイスの綴りをPARADICE(本当はPARADISE)と間違えている[1]。連邦捜査局は「340暗号文」の解読が事実であることを認めたが、今回の解読がゾディアック事件の犯人の手がかりになることはないとの見解を示した[2]。
被疑者[編集]
ゾディアックの被疑者については、以下の5名が有力視されている。
- アーサー・リー・アレン(Arthur Lee Allen)
- 1990年代、ニューヨークでこの事件を模倣した連続殺人が発生した。結局、被疑者の逮捕にこそ至らなかったが、最有力候補に挙げられていた。IQ136を誇る。当人の死後、彼の犯行を裏付ける証拠品が見つかった為である。しかし、後に手紙についていた唾液のDNA鑑定によって無実と断定された。
- アール・ヴァン・ベスト・ジュニア(Earl Van Best Jr.)
- 2014年、息子のゲーリー・L・スチュワートが自著で告発している。その理由として、犯人のモンタージュ画の顔がそっくりである点に加え、犯行声明文に『ミカド』からの引用文があるが、著者の祖父はメソジスト系の海軍従軍牧師であり[3]、戦前まで青山学院を本拠地に宣教活動をしていた。さらにアールは両親とともに日本で暮らした経験があり、『ミカド』の一節をよく口ずさんでいたという親戚の証言があること、戦時中日本軍の暗号解読の任務についていた祖父の影響で、実父も暗号作りの遊びをよくしていたこと、被害女性たちが著者の実母に似ていること、指紋の傷が同じであることなどを挙げている。同書では父親がゾディアックであるという確証は示されていない。だが、2017年、日本のテレビ番組『奇跡体験!アンビリバボー』[4]において、これらに加えてDNA鑑定と筆跡鑑定を行っていることを明かした。警察に依頼したDNA鑑定の結果は知らされておらず、民間の鑑定人に依頼した筆跡鑑定については、「同一人物である可能性が非常に高い」との結果を得ていると言う。
- リチャード・ガイコウスキー(Richard Gaikowski)
- ローレンス・ケリー(Lawrence Kane)
- デニス・レイダー(Dennis Rader)
- 2015年、フロリダの元保安官代理キンバレー・マグガースは、各種の状況証拠に基づいて、「BTK絞殺魔」として知られる受刑者こそがゾディアックであるという著書を発表した。
関連作品[編集]
映画[編集]
- 『ダーティハリー』
- 製作年 1971年
- 出演 クリント・イーストウッド
- 連続殺人犯スコルピオのモデル。またイーストウッドが演じたハリー・キャラハンも実在の担当捜査員がモデル。
- 『サンフランシスコ 連続殺人鬼』
- 製作年 1971年
- 原題 The Zodiac Killer
- 『エクソシスト3』
- 原題 The Exorcist III
- 製作年 1990年
- 製作・監督・脚本・原作:ウィリアム・ピーター・ブラッディ
- 出演 ジョージ・C・スコット、ジェイソン・ミラー、ブラッド・ドゥーリフ、エド・フランダース
- 双子座殺人事件のモデル。映画『エクソシスト』(1973)及び小説『エクソシスト』(1971) の正当続編として書かれた小説『Legion』(1983)が原作。
- 『実録!! ゾディアック ~血に飢えた殺人鬼の刻印~』
- 製作年 1999年
- 原題 Case Reopened: The Zodiac with Lawrence Block
- 監督 ケヴィン・マッカーシー
- ドキュメンタリー映画
- 『ゾディアック』
- 製作年 2005年
- 原題 THE ZODIAC
- 日本未公開
- 監督 アレクサンダー・バークレー
- 出演 ジャスティン・チャンバース、ロビン・タニー、ロリー・カルキン、ウィリアム・メイポーザー
- 『ゾディアック キラー』
- 製作年 2005年
- 原題 The Zodiac Killer
- 監督 ウーリー・ロメル
- 日本未公開
- 『ゾディアック』
- 全米公開 2007年3月 日本公開 2007年6月
- 監督 デヴィッド・フィンチャー
- 出演 ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニー・Jr、マーク・ラファロ、アンソニー・エドワーズ
ドラマ[編集]
- 『ゾディアック~十二宮の殺人』 フランス
- 刑事ナッシュ・ブリッジス 第16話「伝説の殺人鬼」(原題「Zodiac」)で模倣犯が登場。
- 『クリミナル・マインド FBI行動分析課』シーズン7 第11話に模倣犯が登場。
- 『MACGYVER/マクガイバー』シーズン1 第15話に模倣犯が登場。
脚注[編集]
- ^ “謎の連続殺人事件「ゾディアック事件」の暗号文が51年間越しに解読される、その全容とは?” (日本語). GIGAZINE. 2020年12月14日閲覧。
- ^ Canon, Gabrielle (2020年12月11日). “Zodiac: cipher from California serial killer solved after 51 years”. The Guardian. 2020年12月30日閲覧。
- ^ God and Uncle Sam: Religion and America's Armed Forces in World War IIMichael Snape Boydell & Brewer Ltd, 2015
- ^ 自分を捨てた両親の真実!隠された出生の秘密 フジテレビ系列、2017年10月19日放送。
関連項目[編集]
- 連続殺人
- 未解決事件
- コールド・ケース
- シリアルキラー
- シェリ・ジョー・ベイツ殺害事件 - 第1の事件から約2年前の1966年10月に発生した未解決殺人事件。現場に残された文章の筆跡などから、ゾディアックの犯行である可能性が示唆されている。
外部リンク[編集]
- Zodiackiller.com
- Zodiologists.com Zodiac Ciphers, Solutions, New Information
- Zodiac killer letters[リンク切れ]
- This is the Zodiac Speaking...
- Two New Theories Regarding the Zodiac Case
- The Zodiac Killer[リンク切れ]